JP2008038293A - 抗菌性セルロース繊維及び抗菌性セルロース繊維を含有してなる抗菌性繊維製品 - Google Patents

抗菌性セルロース繊維及び抗菌性セルロース繊維を含有してなる抗菌性繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた抗菌効果を有し、特に皮膚に対して好適な繊維特性を有する抗菌性セルロース繊維及びこの抗菌性セルロース繊維を含有してなる抗菌性繊維製品を提供する。
【解決手段】セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する抗菌性セルロース繊維。抗菌性金属・カルボキシアルキル基を更に有する、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する抗菌性セルロース繊維。セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基がセルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.0001〜0.045モルであることが好ましく、抗菌性金属・カルボキシアルキル基がセルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.001〜0.045モルであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗菌性セルロース繊維及び抗菌性セルロース繊維を含有してなる抗菌性繊維製品に関する。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、ウィルス、細菌、真菌等の微生物による感染を防止し、皮膚等の衛生状態を保つために、糸、布帛(織布、編布、不織布)、又はこれらを加工した繊維製品の形態で使用することができる。
特に、本発明は、医療等の衛生性が求められる分野で使用されるガーゼ、包帯、脱脂綿、創傷被覆剤、サポーター、シーツ、ワイプ、手術用ドレープ、医療用着衣、帽子、マスク、靴下、ストッキング等の皮膚接触用の繊維製品に関する。
医療分野等において、感染の予防や衛生状態の維持のために、抗菌加工した繊維製品の研究が数多くなされている。
特許文献1には、置換度1.5〜3.0のカルボキシメチル基の第四級アンモニウム塩を有するカルボキシルメチルセルロースを、有機溶媒との混合溶液にし、それを対象物に塗布、含浸させた後、その溶媒を除去することによって、対象物に防かび殺菌性を付与する防かび殺菌方法が開示されている。この方法においては、具体的には、低級アルコールに可溶性で、置換度2.41のカルボキシメチルセルロースの塩化セチルピリジニウム塩が使用されている(製造例2、実施例4)。
この文献の方法においては、カルボキシメチル基の第四級アンモニウム塩置換度を高くすることが必要であり、経済的ではない。
また、この繊維の防かび殺菌に当っては、カルボキシメチルセルロースの塩化セチルピリジニウム塩の有機溶媒溶液を繊維に塗布又は含浸することが必要であり、このために、環境上問題があり、また、繊維の外観や風合い等を損なうことがあり、更に、繊維への付着むらが起こり易いという問題がある。
特許文献2には、官能性モノマーユニットを有するポリマー及びこの官能性モノマーユニットに結合した抗菌剤を含む抗菌性ポリマー組成物が、開示されている。具体的には、アクリル繊維に、セチルピリジニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩を結合したものが示されている。
しかしながら、この特許文献に示された抗菌性アクリル繊維は、セチルピリジニウムクロリドの結合率(取り込み率)が低く、また、75〜90℃付近で処理されているために、繊維の劣化の恐れがあり、高温での滅菌処理の際は、製品の型崩れ等を引き起こす恐れがある。
また、これら両文献に記載された抗菌性製品は、その抗菌性が十分とは言いがたい。
特公平7−14843号公報 特表2004−509220号公報
従って、本発明の目的は、優れた抗菌効果を有し、特に皮膚に対して好適な繊維特性を有する抗菌性セルロース繊維を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、本発明の抗菌性セルロース繊維を含有してなる抗菌性繊維製品を提供することにある。
本発明者は、カルボキシセルロース繊維に抗菌性を付与する方法について、鋭意検討を進めた結果、特定の構造を有するカルボキシアルキル化したセルロース繊維を用いれば、上記目的が達成されることを見出し、この知見に基づいて更に検討を進めて、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する抗菌性セルロース繊維が提供される。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.0001〜0.045モルのセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有することが好ましい。
本発明の抗菌性セルロース繊維において、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基がセチルピリジニウム・カルボキシメチル基であることが好ましい。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、抗菌性金属・カルボキシアルキル基を更に有することが好ましい。
上記本発明の抗菌性セルロース繊維において、抗菌性金属が亜鉛であることが好ましい。
上記本発明の抗菌性セルロース繊維は、セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.001〜0.045モルの抗菌性金属・カルボキシメチル基を有することが好ましい。
本発明によれば、セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.0001〜0.045モルのセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基及び0.001〜0.045モルの亜鉛・カルボキシメチル基を有する抗菌性セルロース繊維が提供される。
また、本発明によれば、本発明のセルロース繊維からなる繊維製品が提供される。
本発明の繊維製品は、好適には、150〜2,000%の吸水率を有する。
本発明の繊維製品は、好適には、10〜500N/25mmの引張強度を有する。
本発明の繊維製品は、皮膚接触用繊維製品として、好適である。
本発明の抗菌性セルロース繊維及び繊維製品は、高い抗菌性を有しており、皮膚刺激がなく、更に、抗菌処理による繊維の劣化も少ないため、吸水性、肌触り、強度等の皮膚に対しての好適な繊維特性を有しており、皮膚に適用するものとして特に有用である。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する。
本発明の抗菌性セルロース繊維において、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基は、セルロース繊維のカルボキシアルキル基にセチルピリジニウムイオンが結合したものである。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基が結合した無水グルコース単位の繰り返し構造からなる。セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基がセチルピリジニウム・カルボキシメチル基である場合の、本発明の抗菌性セルロース繊維の構造を式(I)に示す。
Figure 2008038293
式(I)中、nは、無水グルコース単位の繰り返し数を表し、50〜10,000の整数である。
セチルピリジニウムは、抗菌スペクトルが広く、また即効性の殺菌作用を有することから、本発明の抗菌性セルロース繊維は、医療分野等における感染予防及び衛生状態の維持には非常に有効である。
本発明の抗菌性セルロース繊維においては、セチルピリジニウム基がカルボキシアルキル化セルロース繊維にイオン結合しており、セチルピリジニウム基が繊維表面に均一に存在するので、セチルピリジニウム基が少量であっても、十分な抗菌作用を奏すると共に、セチルピリジニウム基が繊維に化学結合するため抗菌の持続性があり、非常に経済的である。
また、抗菌剤を繊維に練り込んだり、バインダーにより抗菌剤を繊維に付着させたりする場合に比べ、セルロースが本来有する吸水性、肌触り、風合い等の特性が損なわれない。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.0001〜0.045モルのセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有することが好ましい。セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たりのセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基のモル数(以下、「セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基の平均置換度」ということがある。)は、0.0001〜0.030モルであることがより好ましく、0.0001〜0.015モルであることが特に好ましい。
セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基の平均置換度がこの範囲にあることにより、繊維の風合い悪化が抑えられ、皮膚刺激がなく優れた抗菌効果を得ることができる。
セルロース繊維に、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を付与するには、セルロース繊維をカルボキシアルキル化し(即ち、セルロース繊維のグルコース水酸基をカルボキシアルキル化し)、その後、塩化セチルピリジニウム含有液に接触させて、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を生成させる。
なお、本発明においては、カルボキシル基の水素原子をアルカリ金属等の金属で置換した形のアルカリ金属カルボキシアルキル化も、カルボキシアルキル化の概念に含む。
セルロース繊維をカルボキシアルキル化する方法としては、例えば、セルロース繊維を、アルカリ金属水酸化物及びカルボキシアルキル化剤を含有する水溶液に接触させればよい。
カルボキシアルキル化に使用するアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウムが用いられる。
カルボキシアルキル化に使用するカルボキシアルキル化剤としては、ハロゲノカルボン酸又はその塩を使用することができる。ハロゲノカルボン酸は、特に限定されないが、炭素数3以下のものが好ましい。ハロゲノカルボン酸の炭素数により、得られるカルボキシアルキル基が異なり、ハロゲノ酢酸を使用したときはカルボキシメチル基が、ハロゲノプロピオン酸を使用したときはカルボキシエチル基が生成する。これらのハロゲノカルボン酸のうち、ハロゲノ酢酸が好ましい。
また、ハロゲノカルボン酸を構成するハロゲンの種類は、特に限定されないが、塩素及び臭素が好ましく、その数も特に限定されないが、通常、モノハロゲノカルボン酸が用いられる。
また、ハロゲノカルボン酸そのものを用いてもよいが、水溶性の良好なアルカリ金属塩を用いるのが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム及びカリウムが好ましく用いられる。
ハロゲノカルボン酸の具体例としては、モノクロロ酢酸アルカリ金属塩、モノブロモ酢酸アルカリ金属塩、α−クロロプロピオン酸アルカリ金属塩、β−クロロプロピオン酸アルカリ金属塩、α−ブロモプロピオン酸アルカリ金属塩、β−ブロモプロピオン酸アルカリ金属塩等を挙げることができる。これらのハロゲノカルボン酸は一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。これらのうち、好ましくはモノクロロ酢酸アルカリ金属塩、特に好ましくはモノクロロ酢酸ナトリウム塩が用いられる。
本発明の抗菌性セルロース繊維に用いるセルロース繊維は、特に限定されず、綿等の天然セルロース繊維;ビスコースレーヨン繊維、ポリノジック繊維、銅アンモニアレーヨン繊維、リヨセル繊維、モダル繊維等の再生セルロース繊維;のいずれであってもよく、短繊維状(ステープル)でも長繊維状(フィラメント)であってもよい。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する抗菌性セルロース繊維のセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有するカルボキシアルキル基以外のカルボキシアルキル基に抗菌性金属をイオン結合させたもの、即ち、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基に加えて、抗菌性金属・カルボキシアルキル基を更に有するものであることが好ましい。
セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース単位当たりの抗菌性金属・カルボキシアルキル基のモル数(以下、「抗菌性金属・カルボキシアルキル基の平均置換度」ということがある。)は、好ましくは0.001〜0.045モル、更に好ましくは0.005〜0.040モルとなる範囲である。抗菌性金属・カルボキシアルキル基の平均置換度をこの範囲にすることで、抗菌性セルロース繊維は、皮膚刺激がなく優れた抗菌効果を有し、皮膚接触材料としての風合いを維持し得るので好ましい。
抗菌性金属としては、亜鉛、銀及び銅が利用できるが、高圧蒸気滅菌後の繊維の色が白色であり、酸化や硫化によっても変色することがないことから、亜鉛が好ましい。
セルロース繊維を抗菌性金属・カルボキシアルキル化する方法としては、例えば、カルボキシアルキル化したセルロース繊維を、抗菌性金属の化合物を含有する水溶液に接触させる方法によることができる。これにより、カルボキシアルキル基又はアルカリ金属カルボキシアルキル基が抗菌性金属・カルボキシアルキル基に変換される。
抗菌性金属の化合物は、抗菌性金属の、硫酸塩、塩酸塩、酢酸塩、硝酸塩等の塩;水酸化物;等である。
亜鉛化合物の具体例としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛及び酢酸亜鉛を例示することができるが、硫酸亜鉛が好ましい。また、銅化合物の具体例としては、硫酸銅、塩化銅、水酸化銅、及び酢酸銅を例示することができるが、硫酸銅が好ましい。更に、銀化合物の具体例としては、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、及び酢酸銀を例示することができるが、硝酸銀が好ましい。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基と抗菌性金属・カルボキシアルキル基とを同時に有するものであることが特に好ましい。
このセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基と抗菌性金属・カルボキシアルキル基とを同時に有する抗菌性セルロース繊維の構造を、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基がセチルピリジニウム・カルボキシメチル基であり、抗菌性金属が亜鉛である場合を例に、式(II)に示す。
なお、式(II)中、nは、無水グルコース単位の繰り返し数を表し、50〜10,000の整数である。
Figure 2008038293
セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基と抗菌性金属・カルボキシアルキル基とを同時に有する抗菌性セルロース繊維は、抗菌性金属・カルボキシアルキル化セルロース繊維をセチルピリジニウム・カルボキシアルキル化すればよい。また、結合させるセチルピリジニウム又は抗菌性金属の量等によっては、その逆の方法、即ち、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル化繊維を抗菌性金属・カルボキシアルキル化する方法を利用しても良い。
このセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基と抗菌性金属・カルボキシアルキル基とを同時に有する抗菌性セルロース繊維は、即効的な抗菌性を発揮し、相乗的に広い抗菌スペクトルを有する。このため、セルロース繊維に結合させる抗菌剤(本発明において、「抗菌剤」は、抗菌性金属や第4級アンモニウム基等の「抗菌性を有する基」をも包含する概念である。)の量を少なくすることができ、経済的に有利である。
このセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基と抗菌性金属・カルボキシアルキル基とを同時に有する抗菌性セルロース繊維において、セチルピリジニウム・カルボキシメチル基の平均置換度が0.0001〜0.045であり、抗菌性金属・カルボキシメチル基の平均置換度が0.001〜0.045であることが好ましく、抗菌性金属が亜鉛であることが更に好ましい。
本発明の抗菌性セルロース繊維は、糸若しくは布帛(織布、編布、不織布)又はこれらを加工した繊維製品の形態で使用することができる。
即ち、本発明の抗菌性繊維製品は、本発明の抗菌性セルロース繊維を必須成分として含有してなる。
この抗菌性繊維製品は、本発明の抗菌性セルロース繊維を公知の方法で繊維製品とすることによって得ることができる。
特に、本発明の抗菌性セルロース繊維は、医療等の感染予防や衛生性が求められる分野で使用されるガーゼ、包帯、創傷被覆剤、サポーター、シーツ、ワイプ、手術用ドレープ、医療用着衣、帽子、マスク、靴下、ストッキング、タイツ、肌着等の皮膚接触用の抗菌性繊維製品として好適である。
また、本発明の抗菌性セルロース繊維は、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、人インフルエンザ等のインフルエンザやその他の感染症の感染防止用として、作業着、又は畜舎用のクロース、カーテン、マット、空気や液体の浄化フィルター等の繊維製品にも有用である。
本発明の抗菌性繊維製品は、セルロース繊維以外の繊維をその構成繊維として含んでいてもよい。セルロース以外の繊維の具体例としては、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン系繊維、ビニロン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等の有機合成繊維;羊毛等の動物性天然繊維;ガラス繊維、カーボンファイバー繊維等の無機繊維;等を挙げることができる。
本発明の抗菌性繊維製品は、それらの構成繊維中にセルロース繊維を40〜100重量%含んでいることが好ましく、60〜100重量%含んでいることが更に好ましい。セルロース繊維の比率が上記範囲内にあることにより、その繊維から形成する繊維製品等に良好な吸水性、吸湿性及び肌触りを付与することができる。
本発明の抗菌性繊維製品は、150〜2,000%の吸水率を有することが好ましい。また、本発明の抗菌性繊維製品は、4〜20%の吸湿率を有することが好ましい。
吸水率及び吸湿率がこの範囲内であれば、皮膚接触用として、汗等の分泌液や滲出液等の液体を好適に吸収し、また、蒸れや過剰な水分による皮膚への不快感を好適に軽減することができる。
本発明の抗菌性繊維製品は、非水溶性又は非水分散性であることが好ましい。
更に、本発明の抗菌性繊維製品は、10〜500N/25mmの引張強度を有することが好ましく、15〜400N/25mmの引張強度を有することが更に好ましい。
本発明の抗菌性繊維製品が、非水溶性又は非水分散性であり、更に上記範囲の引張強度を有することにより、これを長期間皮膚に適用した場合、人体からの多量の分泌液や滲出液と接触することがあっても、実質的に繊維の構造が崩壊することなく、その製品形態を保持することができる。
これにより、本発明の抗菌性繊維製品を長期間使用した後、患部の処置や製品の交換のために、製品を引っ張ったり、引き剥がしたりしても、繊維が千切れたり、患部に繊維の一部が残ったりすることがなく、容易に患部から取り除くことができる。このような取り扱いの簡便性により、短時間での処置が可能となるので、煩雑な処置にともなう感染のリスクを低減することができると共に、崩壊や落下等した繊維による2次感染も防ぐことができる。
本発明の抗菌性繊維製品は、好ましくは白色である。これにより、体液の滲出や汚れの付着等を認識し易く、また、清潔感がある。
また、本発明の抗菌性繊維製品は、高圧蒸気滅菌前後のL表色系による色差(ΔEab)が好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。これにより、高圧蒸気滅菌処理をしても着色の度合いが少ないので、体液の滲出や汚れの付着等を認識し易く、また、清潔感がある。
本発明の抗菌性繊維製品は、カルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化したセルロース繊維製品をセチルピリジニウム・カルボキシアルキル化することによっても得ることができる。
カルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化したセルロース繊維製品は、セルロース繊維をカルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化するのと同様にして、セルロース繊維製品をカルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化することによって得ることができる。
カルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化したセルロース繊維製品をセチルピリジニウム・カルボキシアルキル化する方法は、セルロース繊維をセチルピリジニウム・カルボキシアルキル化する方法と同様の方法を採用することができる。
このカルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化したセルロース繊維製品をセチルピリジニウム・カルボキシアルキル化する抗菌性セルロース繊維製品の製造方法によれば、例えば、医療従事者が、その実施する手術や処置の種類、求められる抗菌性のレベル等に合わせて、カルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化した繊維製品(例えば、ガーゼ、包帯、脱脂綿)を、セチルピリジニウム・カルボキシアルキル化することができる。この際、カルボキシアルキル化及び/又は抗菌性金属・カルボキシアルキル化したセルロース繊維製品と、塩化セチルピリジニウムを収納した包装容器とからなるキット製品等を利用すれば、抗菌性セルロース繊維製品の製造が容易となる。
キット製品とする場合、塩化セチルピリジニウムを使用するに際しては、包装容器から塩化セチルピリジニウムを取り出し、目的に応じて、所定濃度の水溶液を調製すればよい。
この塩化セチルピリジニウムを収容した包装容器は、材質、形状、大きさ等において、特に限定されず、塩化セチルピリジニウム水溶液を収納できるものであればよい。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、各例中の部及び%は特に断りのない限り、質量基準である。
また、実施例の各特性の評価方法は、以下のとおりである。
(抗菌剤の結合量と置換度)
(1)抗菌剤がセチルピリジニウムとベンザルコニウムである場合
実施例及び比較例で作成した包帯から、乾燥重量0.5gの試験片を採取する。試験片を0.1N塩酸50mlに浸漬し、18時間放置する。これによりセルロース繊維のカルボキシメチル基に結合したセチルピリジニウム又はベンザルコニウムが、塩酸によって脱離する。
その後、この溶出液の吸光度を、吸光光度計(島津製作所社製 「UV1650PC」)を用いて測定し、塩酸によって繊維から脱離した塩化セチルピリジニウム又は塩化ベンザルコニウムの溶出濃度(mg/l)を測定する(あらかじめ検量線を作成しておく。)。
塩化セチルピリジニウムの測定波長としては260nmを、塩化ベンザルコニウムの測定波長としては262nmを用いる。
これから、セルロース繊維に結合した塩化セチルピリジニウム(分子量358)、塩化ベンザルコニウム(分子量354.01)の結合量及び置換度を以下の式から算出する。
試験片1gあたりの抗菌剤の結合量A(mg/g)
=[(溶出濃度(mg/l)/1000)×50]]/0.5(g)
試験片1gあたりの抗菌剤の結合量B(mmol/g)=(A)/抗菌剤分子量
置換度=(B/1000)/[1/(162+58C)]
ここで、Cは、出発材料のカルボキシメチルセルロースの置換度である(その測定方法は(3)に示す。)。
(2)抗菌剤が抗菌性金属である場合
実施例及び比較例で作成した包帯から、乾燥重量0.5gの試験片を採取する。共栓付き三角フラスコに試験片を入れ、50mlの70%硫酸を加え、栓をして少なくとも10分間振とうし、試験片を溶解させる(なお、必要に応じて加温する)。これによりセルロース繊維のカルボキシメチル基に結合した抗菌性金属が、硫酸によって脱離する。
その後、この溶出液の吸光度を、原子吸光光度計(島津製作所社製 「AA6700F」)、ホロカソードランプ(浜松ホトニクス社製)を用いて吸光度を測定し、硫酸によって繊維から脱離した抗菌性金属の溶出濃度(mg/l)を測定する(あらかじめ検量線を作成しておく。)。
亜鉛の測定波長としては213.9nmを、銅の測定波長としては324.8nm、銀の測定波長は328.1nmを用いる。
これから、セルロース繊維に結合した亜鉛(分子量65.39)、銅(分子量63.55)、銀(分子量107.9)の結合量、置換度を以下の式から算出する。
試験片1gあたりの抗菌剤の結合量A(mg/g)
=[(溶出濃度(mg/l)/1000)×50]]/0.5(g)
試験片1gあたりの抗菌剤の結合量B(mmol/g)=(A)/抗菌剤分子量
置換度=(B/1000)/[1/(162+58C)]
ここで、Cは、出発材料のカルボキシメチルセルロースの置換度である(その測定方法は(3)に示す。)。
(3)出発材料のカルボキシメチルセルロースのカルボキシメチル基による平均置換度
実施例及び比較例の出発材料である(ナトリウム)カルボキシメチル化したセルロース繊維から、質量(Xg)の試料を採取する。試料繊維がセルロース繊維と非セルロース繊維とを含む場合は、その含有比率からセルロース繊維の質量を算出する。
なお、アルカリ金属カルボキシルメチル基を有するセルロース繊維の場合は、酸を添加した水とアルコールとの混合溶媒中で処理して、アルカリ金属カルボキシメチル基:−CHCOOM(但し、Mは、アルカリ金属である。)をカルボキシメチル基:−CHCOOHに変換する。次に、水とアルコールとの混合溶媒で洗浄後、乾燥したものを試料とする。
乾燥後の試料を容器中に入れ、一定量の水酸化ナトリウム水溶液で溶解する。フェノールフタレイン指示薬を添加した後、過剰の水酸化ナトリウムを規定度Nの塩酸で中和滴定して、その使用量をSmlとする。一方、包帯を酸処理しないで同様の操作を行い、塩酸の使用量をBmlとする。
平均置換度は、下記式で求められる。
A=N×(B−S)/X
置換度C=0.162A/(1−0.058A)
(生理食塩水によるセチルピリジニウムとベンザルコニウムの脱離率)
実施例及び比較例で作成した包帯から、乾燥重量0.5gの試験片を採取し、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム溶液)50mlの中に、1時間浸漬する。
その後、吸光光度計(島津製作所社製 「UV1650PC」)を用いて、その浸漬液の吸光度を測定し、生理食塩水により試験片の繊維から脱離したセチルピリジニウム又はベンザルコニウムの脱離量(mmol/g)を、上記「抗菌剤の結合量と置換度」の測定方法と同様の方法により求める。
また、上記「抗菌剤の結合量と置換度」の測定方法と同様の方法により、試験片を生理食塩水に浸漬する前のセチルピリジニウム又はベンザルコニウムの結合量を初期結合量(mmol/g)として求めておき、以下の式により脱離率を算出する。
脱離率(%)=脱離量(mmol/g)/初期結合量(mmol/g)
(抗菌効果)
JIS Z 1902に記載の方法に準拠して、緑膿菌を用いて試験を行なう。
実施例及び比較例で得た繊維から、試験片0.4gを切り出し、その試験片に菌液0.2mlを滴下し、滴下直後の生菌数(個)、並びに37℃で、それぞれ、20分、40分、60分及び240分放置した後の生菌数(個)を測定し、下式により、減少率を算出する。
減少率(%)
=[(標準布(非抗菌布)の各時間における生菌数の常用対数値−抗菌加工試料の各時間後の生菌数の常用対数値)/標準布(非抗菌布)の各時間における生菌数の常用対数値]×100
(抗菌性の持続性)
実施例及び比較例で得た布を5回洗濯する(洗濯条件は、洗濯機を用いて、プログラムにより、すすぎ洗い2回、脱水6分とし、洗剤は使用しない。)。洗濯後の布から試験片0.4gを切り出し、その試験片に黄色ブドウ球菌菌液0.2mlを滴下し、37℃で1分間放置した後の生菌数を測定し、下式により、減少率を算出する。
また、洗濯しないとき(洗濯0回)の減少率も算出する。
減少率(%)
=[(標準布(非抗菌布)の各時間における生菌数の常用対数値−抗菌加工試料の各時間後の生菌数の常用対数値)/標準布(非抗菌布)の各時間における生菌数の常用対数値]×100
(引張強度)
実施例及び比較例で得た布から、幅25mm、長さ200mmの試験片を、布の縦方向及び横方向につき、各5枚採取する。試験片を引張試験機(島津製作所社製、商品名「オートグラフAG−I」ロードセル50N)のつかみ部分に、掴み間隔100±1mmで取り付け、100mm/minの引張速度で、試験片が切断するまで荷重を加える。その際の最大荷重の5回の平均値を引張強度(N/25mm)とする。引張強度は、縦方向と横方向についてそれぞれ測定する。
なお、縦方向とは、基材の製造方向に平行な方向、いわゆる長手方向のことをいう。一方、横方向とは、縦方向に直交する方向をいう。
(吸水率)
実施例及び比較例で得た繊維から切り出した5cm×5cmの試験片を105℃、2時間乾燥し、その重量(乾燥重量)を測定する。
その後、その試験片を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に3分間浸漬し、取り出して1分間吊るし、余分な水を滴下させた後の重量(吸水後重量)を測定する。
吸水率(%)は、下記式により算出する。
吸水率(%)=[(吸水後重量−乾燥重量)/乾燥重量]×100
(吸湿率)
実施例及び比較例で得た繊維から切り出した5cm×5cmの試験片を105℃、2時間乾燥し、その重量(乾燥重量)を測定する。
その後、その試験片を40℃湿度90%の環境下で、12時間吸湿させる。吸湿後の重量(吸湿後重量)を測定し、下記式により吸湿率(%)を算出する。
吸湿率(%)=[(吸湿後重量−乾燥重量)/乾燥重量]×100
(高圧蒸気滅菌後の性質)
高圧蒸気滅菌前と滅菌後の試験片のそれぞれについて、自記分光光度計(日本電色工業社製、NF333積分球使用。測定面積8mmφ、測長間隔20mm、視野角2°)を用いて、表色法としてL系を用い、次の色差式により色差(ΔEab)を求める。
ΔEab=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、ΔLは滅菌前と滅菌後の試験片のL値の差であり、Δaは滅菌前と滅菌後の試験片のa値の差であり、Δbは滅菌前と滅菌後の試験片のb値の差である。また、高圧蒸気滅菌前後の試験片の色を肉眼で確認する。
(セチルピリジニウムとベンザルコニウムの結合率)
反応溶液中のセチルピリジニウム又はベンザルコニウムのうち、繊維に結合するものの比率を、下記式により結合率(%)として算出する。尚、抗菌剤の結合量(mmol/g)、カルボキシメチル基量(mmol/g)は、上記(抗菌剤の結合量と置換度)と同様の方法を用いて測定する。
(1)反応溶液中の抗菌剤の量が、繊維のカルボキシメチル基量より多い場合
結合率(%)=[繊維への抗菌剤結合量(mmol/g)/カルボキシメチル基量(mmol/g)]×100
(2)反応溶液中の抗菌剤の量が、繊維のカルボキシメチル基量より少ない場合
結合率(%)=[繊維への抗菌剤結合量(mmol/g)/反応溶液中の抗菌剤量(mmol/g)]×100
(実施例1)
綿糸30/2(30番手、双糸)を用いて丸編で作製したチューブ状の包帯を、モノクロロ酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを溶解させた水溶液に浸漬した後、適当な脱水率で脱水し、絶乾状態になるまで乾燥させ、セルロース繊維の一部をナトリウムカルボキシメチル化した。その後、この包帯を酢酸及び酢酸ナトリウムを溶解させた水溶液に浸漬して中和し、続いて、水洗及び乾燥を行い、ナトリウムカルボキシメチル化した包帯を得た。
次に、塩化セチルピリジニウムを溶解した水溶液中に、上記のナトリウムカルボキシメチル化した包帯を浸漬し、60℃、1時間反応させ、ナトリウムカルボキシメチル基をセチルピリジニウム・カルボキシメチル基に変換した。その後、水洗及び乾燥し、セルロース繊維の一部をセチルピリジニウム・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
綿糸30/2(30番手、双糸)を用いて丸編で作製したチューブ状の包帯を、モノクロロ酢酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを溶解させた水溶液に浸漬した後、適当な脱水率で脱水し、絶乾状態になるまで乾燥させ、セルロース繊維の一部をナトリウムカルボキシメチル化した。
続いて、この包帯を硫酸亜鉛七水和物、酢酸及び酢酸ナトリウムを溶解した水溶液に浸漬し、中和するのと同時に、ナトリウムカルボキシメチル基を亜鉛・カルボキシメチル基に変換した。その後、水洗により残存する硫酸亜鉛、酢酸及び酢酸ナトリウムを除去した後、乾燥し、セルロース繊維の一部を亜鉛・カルボキシメチル化した包帯を得た。
次に、塩化セチルピリジニウムを溶解した水溶液中に、上記の亜鉛・カルボキシメチル化包帯を浸漬し、60℃、1時間反応させ、亜鉛・カルボキシメチル基の一部をセチルピリジニウム・カルボキシメチル基に変換した。その後、水洗及び乾燥し、セルロース繊維の一部を亜鉛・カルボキシメチル化、及びセチルピリジニウム・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3、4)
モノクロロ酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び塩化セチルピリジニウムを変量するほかは実施例2と同様の方法で、セルロース繊維の一部を亜鉛・カルボキシメチル化及びセチルピリジニウム・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
硫酸亜鉛七水和物の代わりに、硝酸銀を用いるほかは、実施例2と同様の方法で、セルロース繊維の一部を銀・カルボキシメチル化、及びセチルピリジニウム・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
硫酸亜鉛七水和物の代わりに硫酸銅五水和物を用いるほかは、実施例2と同様の方法で、セルロース繊維の一部を銅・カルボキシメチル化及びセチルピリジニウム・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
塩化セチルピリジニウムの代わりに塩化ベンザルコニウムを用いるほかは、実施例1と同様の方法で、セルロース繊維の一部をベンザルコニウム・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
綿糸30/2(30番手、双糸)を用いて丸編で作製したチューブ状の包帯を、実施例1と同濃度の塩化セチルピリジニウム水溶液中に浸漬し、60℃、1時間反応させ、セルロース繊維の一部に塩化セチルピリジニウムを吸着させた。その後、水洗及び乾燥し、セルロース繊維の一部に塩化セチルピリジニウムを吸着させた包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
塩化セチルピリジニウムによる処理を行なわないほかは、実施例2と同様の方法により、セルロース繊維の一部を亜鉛・カルボキシメチル化した包帯を得た。この包帯について、各特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008038293
表1の結果から、実施例と比較例1との比較により、塩化ベンザルコニウム基を有する抗菌性セルロース繊維は、セチルピリジニウム・カルボキシメチル基を有する本発明の抗菌性セルロース繊維に比して、緑膿菌に対する抗菌性において若干優れるものの、抗菌剤の脱離率が非常に高いことが分かる。従って、塩化ベンザルコニウム基を有する抗菌性セルロース繊維の場合は、汗等と接触すると、容易に脱離してしまい、持続的な抗菌作用が期待できないと考えられる。
また、カルボキシメチル化していないセルロース繊維を塩化セチルピリジニウムで処理をした場合(比較例2)は、同量の塩化セチルピリジニウムを用いてカルボキシメチル化したセルロース繊維を処理した場合(実施例1)に比べて、繊維に残存しているセチルピリジニウム量が1桁少なく、この結果、抗菌性の持続性に劣ることが分かる。これは、カルボキシメチル化処理していない場合(比較例2)、セチルピリジニウムの繊維への結合力が弱く、試料作成時の水洗過程等でセチルピリジニウムが脱落したためと考えられる。
また、亜鉛・カルボキシメチル基のみを有する抗菌性セルロース繊維(比較例3)は、抗菌効果に劣る。
一方、2種類の抗菌剤を併用した場合(実施例2〜6)は、セチルピリジニウム化合物及び抗菌性金属のそれぞれ単独では効果が弱かった緑膿菌に対しても、相乗的に高い抗菌効果を示し、特に即効的な抗菌効果(60分以内での抗菌効果)があることが分かる。
また、セチルピリジニウムと抗菌性金属とを併用することにより、これら抗菌剤それぞれの量をかなり少量で使用しても、十分な抗菌効果を発現することが分かる(実施例3)。
更に、抗菌性金属として亜鉛を使用した場合(実施例2〜4)は、高圧蒸気滅菌後も変色がなかった。従って、抗菌性金属として亜鉛を用いたものは、特に医療用の衛生材料として有用であることが分かる。
このように、本発明の抗菌性セルロース繊維及び抗菌性繊維製品は、皮膚接触用として、衛生管理を行なう上で重要な繊維強度、吸水率及び吸湿率のような特性において好適な結果を示すことが分かる。

Claims (11)

  1. セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する抗菌性セルロース繊維。
  2. セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.0001〜0.045モルのセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基を有する請求項1に記載の抗菌性セルロース繊維。
  3. セチルピリジニウム・カルボキシアルキル基がセチルピリジニウム・カルボキシメチル基である請求項1又は2に記載の抗菌性セルロース繊維。
  4. 抗菌性金属・カルボキシアルキル基を更に有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌性セルロース繊維。
  5. 抗菌性金属が亜鉛である請求項4に記載の抗菌性セルロース繊維。
  6. セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.001〜0.045モルの抗菌性金属・カルボキシメチル基を有する請求項4又は5に記載の抗菌性セルロース繊維。
  7. セルロース繊維を構成するセルロースの無水グルコース1単位当たり、0.0001〜0.045モルのセチルピリジニウム・カルボキシアルキル基及び0.001〜0.045モルの亜鉛・カルボキシメチル基を有する抗菌性セルロース繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌性セルロース繊維を含有してなる抗菌性繊維製品。
  9. 150〜2,000%の吸水率を有する請求項8に記載の抗菌性繊維製品。
  10. 10〜500N/25mmの引張強度を有する請求項8又は9に記載の抗菌性繊維製品。
  11. 皮膚接触用繊維製品である請求項8〜10のいずれか1項に記載の抗菌性繊維製品。
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