JP2008038070A - エポキシ接着剤、それを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法 - Google Patents

エポキシ接着剤、それを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属部品とエポキシ樹脂間の冷却時の熱膨張率の差に伴う残留応力の増大を効果的に抑制しつつ、長期的に優れた接着力を得られるエポキシ接着剤とそれを用いた注型品およびエポキシ接着剤の使用方法を提供する。
【解決手段】1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたことを特徴とするエポキシ接着剤。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エポキシ接着剤、それを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法に係り、特に金属部品をエポキシ樹脂中に埋め込んで構成される注型品の製造に適したエポキシ接着剤とそれを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法に関する。
例えば、重電機器では、通電による内部発熱に加え、夏季や日中時の直射日光等の外部からの入熱によって室温以上の温度条件で使用される場合が多い。こうした高温条件下においては、重電機器の注型品の金属部品とこの金属部品埋め込み用のエポキシ製注型樹脂との界面において互いの熱膨張率の違いによる応力が発生し、界面密着性が弱まって剥離が生じやすくなることがある。
このため、重電機器注型品の温度上昇に伴う金属と樹脂との界面の剥離を抑制する方法として、エポキシ樹脂でモールドする前の金属部品のインサート表面に接着剤を用いている。例えば、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するビスフェノール型エポキシ樹脂50〜90重量部と、1分子中に1〜6個のメチロール基を有するレゾール型キシレンフェノール樹脂10〜50重量部とを用いて構成したエポキシ接着剤を塗布する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、上述のビスフェノール型エポキシ樹脂を耐熱性エポキシ樹脂に置き換えて構成した接着剤を用いて接着剤自体の耐熱性を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特公昭61−44370号公報 特願平7−29443号公報
しかしながら、従来のエポキシ樹脂を用いた接着剤は、接着剤自体の靭性が低いため、特に冷却時において金属部品とエポキシ製注型樹脂との熱膨張率の差に基づく残留応力が発注し、低温時の接着力が低下する等の問題があった。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、金属部品とエポキシ樹脂との間の冷却時における熱膨張係数の差に伴う残留応力の増大を効果的に抑制し、優れた接着力を長期的に維持させたエポキシ接着剤、それを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るエポキシ接着剤は、上述した課題を解決するために、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたことを特徴とするものである。
また、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品は、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたエポキシ接着剤により、金属部品と金属部品が埋め込まれる注型樹脂とを接合して構成したことを特徴とするものである。
さらに、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法は、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたエポキシ接着剤を金属部品と注型樹脂との接合面に付着させ、前記エポキシ接着剤を介して前記金属部品を前記注型樹脂に被着させて固定することを特徴とする方法である。
本発明に係るエポキシ接着剤とそれを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法によれば、接着剤の靭性が向上し、また注型品における金属部品と注型樹脂との接合層として使用した場合、冷却時の金属部品と注型樹脂との熱膨張係数の差によって生じる熱応が緩和され、接着界面における残留応力が低減されるので、低温領域でも優れた接着力を実現することが可能である。
従って、接着部の耐久性が向上し、注型品の信頼性を長期にわたって良好に確保することが可能である。
以下、本発明に係るエポキシ接着剤、それを用いた注型品およびエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法の実施形態を表および図を参照して説明する。
本発明に係るエポキシ接着剤は、1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物及び1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子を含む主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とを用いて構成したことを特徴とする。
本発明に係るエポキシ接着剤において使用可能なエポキシ化合物は、炭素原子2個と酸素原子1個からなる三員環を1分子中に2個以上持った化合物であれば、特に限定されない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイゾシアネートや、あるいは、ヒダントイン型エポキシ樹脂のような複素環式樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独または2種以上の混合物として使用され、エポキシ接着剤の主剤を構成する。ここで、一次粒子とは、粉体を構成する粒子のうち、最も径の小さい粒子をいう。
また、エポキシ硬化剤としては、上述したエポキシ樹脂に完全に溶解するものであれば、その種類は特に限定されないが、例えば、レゾール型フェノール樹脂またはジシアンジアミド等が接着剤の使用時間を長くすることが可能であるため好適である。レゾール型フェノール樹脂は、フェノールとクレゾールとホルマリンとの共縮合物であり、エポキシ樹脂成分の硬化剤として働く。
レゾール型フェノール樹脂を有する硬化剤の添加量は、主剤であるエポキシ樹脂に対して0.7等量以上1.0等量以下とすることが好ましい。硬化剤の添加量が0.7等量よりも少ない場合には、接着剤が十分に硬化せずに接着強度が低下する。また、硬化剤の添加量が1.0等量を超える場合には、フェノール樹脂が折出して組成が不均一になり接着強度が低下する。この効果は、例えば接着剤をモールド樹脂と硬化時に一体化させる際に発揮させることができる。
一方、ゴム粒子は、エポキシ接着剤中に均一に分散させることができる物質であれば、その種類は特に限定されないが、接着剤中のゴム粒子の一次粒子径を1μm以下(サブミクロン以下)とすることにより、ゴム粒子が接着剤層の応力緩和剤として極めて効果的に働き、さらに、ゴム粒子自体が破壊の弱点部となることが防止される。
また、本発明に係るエポキシ接着剤においては、ゴム粒子がコアシェル型のアクリルゴムを主成分としたゴム粒子であることが好ましい。アクリルゴム粒子の中で、特にコア部分がアクリルゴムで、外皮シェル部分としてエポキシ基を有する熱可塑性樹脂からなるコアシェル構造の含エポキシ基複合アクリルゴム粒子は、熱可塑性樹脂表面のエポキシ基の作用によってマトリックス樹脂とゴム粒子との親和性が向上される。このため、接着剤層の中にサブミクロン以下の粒子径でゴム粒子を安定的に存在させることができ、接着剤層の靭性を極めて効果的に向上させる。
さらに、本発明に係るエポキシ接着剤は、エポキシ接着剤の内部応力を緩和させる応力緩和剤を添加してもよい。具体的な応力緩和剤としては、エポキシ接着剤の内部応力を緩和させて接着層を形成する樹脂中に均一に溶解する高分子材料が選択される。例えば、ポリビニルブチラールは、応力緩和効果が顕著に得られるため、特に好ましい。ポリビニルブチラールは、ポリビニルブチルアルコールを酸触媒下でブチルアルデヒドと反応させて合成される樹脂材料である。ポリビニルブチラールの添加量は、応力緩和効果を最大限に発揮させるために、エポキシ接着剤(主剤+硬化剤)100重量部に対して、10重量部以上20重量部以下が好ましい。添加量が10重量部よりも少ない場合には内部応力の緩和硬化が十分でない。また、添加量が20重量部を超える場合には、エポキシ接着剤への樹脂成分の溶解性が低下することがある。
本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品は、金属部品およびその金属部品を埋設する注型樹脂から構成され、その金属部品と注型樹脂との界面(接合面)に本発明に係るエポキシ接着剤が存在する。注型樹脂としては、ビスフェノール型やクレゾールノボラック型等の汎用のエポキシ樹脂が用いられ、その種類は特に限定されない。
また、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法は、上述したエポキシ接着剤を金属部品と注型樹脂との接合面に塗布し、そのエポキシ接着剤を介して金属部品を注型樹脂に被着させて固定することにより、金属部品と注型樹脂とを接合させる。
また、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法において、エポキシ接着剤を金属部品と注型樹脂との接合面に塗布する前工程として、アセトンを含む溶媒で希釈することが好ましい。エポキシ接着剤層の厚さは、接着界面の耐熱性、耐湿性および接着強度に大きく影響するが、従来は、エポキシ接着剤を加熱して低粘度化するか、適当な有機溶媒に溶解したものを金属部品表面に塗布する等の方法であったためにエポキシ接着剤層の厚さを適切に制御することが難しかった。このためアセトンにより希釈すれば、希釈倍率によってエポキシ接着剤層の厚みを比較的容易に且つ精度よく制御でき、かつサブミクロン以下の一次粒子径を有するゴム粒子を接着剤層に均一に分散させることができる。
また、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法は、エポキシ接着剤を金属部品の表面上に塗布する前工程として、アセトンとプロパノールとの混合溶媒により希釈してもよい。
上述のような溶媒を用いれば、エポキシ接着剤を金属部品の表面に塗布した後の加熱乾燥時に、溶媒が系外へゆるやかに散逸するため、エポキシ接着剤層中のボイド発生が抑制され、金属部品と注型樹脂との接合面における電気特性を高めることができる。
さらに、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法は、エポキシ接着剤を金属部品と注型樹脂との接合面に塗布した後に、エポキシ接着剤が半硬化状態となるような加熱条件の下、加熱するものである。すなわち、従来において、エポキシ接着剤は、金属部品と注型樹脂との接合面に塗布した後、乾燥工程により完全に硬化させて皮膜化し、その後、エポキシ樹脂で埋め込まれていた。
これに対して、本発明に係るエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法によれば、エポキシ接着剤が完全硬化状態となる前に半硬化状態で注型樹脂をモールドするので、エポキシ接着剤とモールド樹脂との相溶や化学結合が可能となり、この結果、金属部材と注型樹脂との接合層における電気特性や接着強度をより向上することができる。なお、本発明に係るエポキシ接着剤を用いる金属部品と注型樹脂との接合面は、接着前に、表面を洗浄した後にサンドブラスト処理等の手段によって表面に凹凸処理を施してもよい。
本発明に係るエポキシ接着剤の実施例について以下に示す。
以下の実施例において、本発明に係るエポキシ接着剤を使用して突合せ接着試験片(以下試験片)を作製し、この試験片に対して各種試験を行った。この試験片の金属−樹脂界面における接着強度の温度依存性を測定し、その結果に基づいて金属−樹脂界面における低温条件での接着力を評価した。
[実施例1]
実施例1の試験片1を次の要領にて作製した。まず、主剤として、組成が、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバガイギー社製、商品名:CT200)90重量部、脂環式エポキシ樹脂(チバガイギー社製、商品名:CY179)10重量部、酸無水物硬化剤(チバガイギー社製、商品名:HT901)35重量部、粒子状アルミナ(昭和電工社製、平均粒径12μm)300重量部となるようにエポキシ樹脂を調整した。硬化条件は、120℃で10時間、130℃で10時間とした。
一方、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名:エピコート828)100gの主剤に対して、含エポキシ基複合アクリルゴム粒子(呉羽化学工業株式会社製、商品名、EXL2315、平均一次粒径:0.2μm)10重量部を投入し、80℃において回転速度、毎分750回(r.p.m)で10分間撹拌した。攪拌後の樹脂混合物を室温まで冷却した後、エポキシ硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂0.9等量を添加してエポキシ接着剤を調製した。
次に、上述のとおり調製したエポキシ接着剤を100℃に加熱して、金属部品のエポキシ樹脂と当接する接合面に塗布し、120℃で2時間の加熱条件で硬化させることにより、厚さ30μmの接着剤層(接合層)を形成した。また、金属部品のエポキシ樹脂と当接する側の接合面には、サンドブラスト処理によって表面処理を施した。このようにエポキシ接着剤を塗布した2個の金属部品を注型法にてエポキシ樹脂を介して突合せ接合させ、図1に示す試験片1を得た。
図1に、試験片1の断面構造図を示す。
図1に示すように、試験片1は、注型用のエポキシ製の注型樹脂2を挟んで対向する両側に2個の金属部品3Aおよび金属部品3Bが配置され、本発明に係るエポキシ接着剤の接合層4Aおよび接合層4B(接着剤層)にて接合されて一体に構成される。金属部品3Aおよび金属部品3Bが、それぞれ接合層4Aおよび接合層4Bによって注型樹脂2と接合される面と対向する側の表面には、接着強度の試験のために、それぞれ雌ネジ部5A、雌ネジ部5Bが設けてある。
比較例1として、ビスフェノール型エポキシ樹脂に対して含エポキシ基複合アクリルゴム粒子を含まないエポキシ接着剤を用いた場合の試験片も用意した。
この比較例1の試験片は、実施例1と同様のビスフェノール型エポキシ樹脂100gに対してレゾール型フェノール樹脂0.9等量の条件でエポキシ接着剤を調整し、実施例1と同様の工程にて作製した。
このように得られた実施例1および比較例1の試験片に対して、−35℃〜100℃の温度範囲における接着強度を測定した。引張り接着強度の試験結果を図2に示す。
この図2に示すように、実施例1の試験片は、低温領域の接着強度が比較例1よりも測定範囲内において向上しており、特に0℃以下の低温領域において、約10%程度も向上することが確認された。
従って、実施例1のエポキシ接着剤は、含エポキシ基複合アクリルゴム粒子を含むビスフェノール型エポキシ樹脂を主成分とするので、硬化温度からの冷却過程で生じる金属−樹脂接着界面における残留応力を緩和し、接着強度を大きく向上させることが判明した。
すなわち、平均粒径がサブミクロンのアクリルゴム粒子を含む接着剤を金属部品とその部品埋め込み用の注型樹脂との界面に配置することにより、界面において冷却時の金属と樹脂との熱膨張係数の差に起因する熱応力を抑制し、残留応力を低減することにより、低温領域での接着力にも優れた注型品を得ることができる。
[実施例2]
実施例2の試験片を以下の方法で作製した。
まず、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、商品名:YX4000)の主剤に対して、含エポキシ基複合アクリルゴム粒子(呉羽化学工業株式会社製、商品名、EXL2314、平均一次粒径:0.2μm)10重量部を投入し、120℃において回転速度、毎分750回(r.p.m)の操作条件で10分間撹拌した。攪拌後の樹脂混合物を室温まで冷却した後、レゾール型フェノール樹脂の硬化剤0.9等量を添加してエポキシ接着剤を調整した。その他の製法については、実施例1と同様の条件として図1に示すような試験片を作製した。
この実施例2の試験片について、実施例1および比較例1と同様の試験を行って評価した。実施例2の試験片は、図2に示すように実施例1と同様に、測定範囲内において引張り強度が向上した。特に0℃以下の低温領域において、引張り強度が比較例1の試験片に対して約20%も向上することが明らかとなった。
次に、実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤にポリビニルブチラールを添加させた場合の特性について評価した。
[実施例3]
実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤100重量部に対して、ポリビニルブチラールを10重量部の条件で添加して、エポキシ接着剤を調整した。このエポキシ接着剤を用いて、その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような実施例3の試験片を作製した。
[実施例4]
実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤100重量部に対して、ポリビニルブチラールを20重量部の条件で添加して、エポキシ接着剤を調整した。このエポキシ接着剤を用いて、その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような実施例4の試験片を作製した。
なお、比較例2、比較例3として、ゴム粒子を含まないエポキシ接着剤を用いた他は、それぞれ上述の実施例3、実施例4と同様の構成を有する試験片を作製した。
得られた実施例3、実施例4、比較例2、比較例3の各試験片に対して、室温および低温(−30℃)における引張り接着強度をそれぞれ測定した。
Figure 2008038070
表1に示すように、実施例1、実施例2は、室温時においてそれぞれ50MPa以上、低温条件において6それぞれ0MPa以上と極めて高い引張り接着強度を示した。また、比較例2、比較例3も室温時および低温時のいずれの場合も引張り接着強度が良好であった。すなわち、ポリビニルブチラールの添加により、引張り接着強度が向上する傾向が確認された。
特に、実施例3、実施例4は、ゴム微粒子を含まないポリビニルブチラール添加系の接着剤を用いた比較例2、比較例3に比べて、低温時における引張り接着強度が、常温で7%〜8%、低温条件で20%程度向上することが確認された。
一般に樹脂の機械的強度は、測定温度が低いほど大きくなる傾向を示すが、引張り接着強度の場合は、多くの場合、金属と樹脂との線膨脹係数の差から生じる熱応力により、低温になるほど低下する傾向を示す。また、ゴム粒子の靭性向上の効果は、マトリックス樹脂が柔軟であるほど大きくなることが知られている。従って、実施例3、実施例4の場合、低温時の引張り接着強度の低下傾向が抑制され、むしろ向上している理由は、ポリビニルブチラールとゴム粒子添加との相乗効果によって金属部品と注型樹脂との接合面において発生する熱応力がより効果的に緩和されているためと考察された。
次に、実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤に、アセトンとプロパノールとの混合溶剤を、添加量を変えて加えて希釈した場合の接合層の膜厚状態を評価した。
[実施例5]
実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤100重量部を、アセトンとプロパノールとの体積比1対1の混合溶液300重量部に溶解希釈し、このエポキシ接着剤を室温で塗布し、温度120℃の下、2時間の条件で硬化させることにより、接合層を形成した。その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような試験片を得た。
[実施例6]
実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤100重量部を、アセトンとプロパノールとの体積比1対1の混合溶液600重量部に溶解希釈し、このエポキシ接着剤を室温で塗布し、温度120温度で2時間の条件で硬化させることにより接合層を形成した。その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような試験片を得た。
[実施例7]
実施例1と同様の構成を有するエポキシ接着剤100重量部を、アセトンとプロパノールとの体積比1対1の混合溶液1000重量部に溶解希釈し、このエポキシ接着剤を室温で塗布し、120温度で2時間の条件で硬化させることにより接合層を形成した。その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような試験片を得た。
また、比較例4として、比較例1と同様のエポキシ接着剤を用いた場合の試験片を用意した。
Figure 2008038070
得られた各試験片のエポキシ接着剤層(接合層)の膜厚を測定したところ、アセトンとプロパノールとの混合溶剤をそれぞれ300重量部、600重量部、1000重量部とした場合の実施例5、実施例6、実施例7は、溶剤希釈量と膜厚とがほぼ直線的な相関関係を示すことが確認された。すなわち、室温でのエポキシ接着剤の塗布作業において、アセトンとプロパノールとの混合溶剤の添加量を適正範囲内で調整することにより、接合層の膜厚を容易に制御でき、作業効率をより高めることが可能となる。
また、各試験片に対して室温での引張り接着強度を測定したところ、特に適正範囲内のアセトンとプロパノールとの混合溶剤を用いた場合である実施例6、実施例7は、同レベルの膜厚を有する比較例4と比べて接着強度が4%〜8%向上しており、また、破壊のバラツキ(標準偏差)が小さく、均質な品質が得られることが確認された。
なお、アセトン溶剤添加量が300重量部の実施例5は、接着特性が低下する傾向を示したが、接着剤層の膜厚が大きいためと考察される。
次に、実施例1と同様の構成を有する各エポキシ接着剤を使用し、硬化条件(接着剤乾燥条件)を変えた場合の特性について評価した。
[実施例8]
実施例1と同様の各エポキシ接着剤を使用し、乾燥条件(硬化条件)を温度120℃で2時間として完全硬化させた。その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような実施例8の試験片を得た。
[実施例9]
実施例2と同様の各エポキシ接着剤を使用し、乾燥条件(硬化条件)を温度120℃で2時間として完全硬化させた。その他の製法については、実施例2と同様の工程として図1に示すような実施例9の試験片を得た。
[実施例10]
実施例1と同様の各エポキシ接着剤を使用し、乾燥条件(硬化条件)を温度120℃で1時間として半硬化状態とし、その他の製法については、実施例1と同様の工程として図1に示すような実施例10の試験片を得た。
[実施例11]
実施例2と同様の各エポキシ接着剤を使用し、その乾燥条件(硬化条件)を温度120℃で1時間として半硬化状態とし、その他の製法については、実施例2と同様の工程として図1に示すような実施例11の試験片を得た。
Figure 2008038070
得られた実施例8、実施例9、実施例10、実施例11の各試験片に対して室温での引張り接着強度を測定したところ、実施例8、実施例9の接着剤のように乾燥条件が完全硬化となる試験片よりも、実施例10、実施例11のような半硬化状態の試験片の方が、接着強度がそれぞれ約10%向上することが確認された。これは、半硬化状態のエポキシ接着剤とモールド樹脂との間で相溶や化学結合が生じたためと考察される。
本発明のエポキシ接着剤を使用した試験片の断面構造図。 接着強度の温度特性を説明するグラフ。
符号の説明
1 試験片
2 注型樹脂
3A、3B 金属部品
4A、4B 接合層
5A、5B 雌ネジ部

Claims (8)

  1. 1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたことを特徴とするエポキシ接着剤。
  2. 前記ゴム粒子がコアシェル型のアクリルゴムを主成分としたゴム粒子であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ接着剤。
  3. 前記エポキシ接着剤の内部応力を緩和させる応力緩和剤を添加したことを特徴とする請求項1記載のエポキシ接着剤。
  4. 前記応力緩和剤が、ポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項3記載のエポキシ接着剤。
  5. 1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたエポキシ接着剤により、金属部品と金属部品が埋め込まれる注型樹脂とを接合して構成したことを特徴とする注型品。
  6. 1分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と1μm以下の一次粒子径を有するゴム粒子とを備えた主剤と、この主剤に添加されるエポキシ硬化剤とから構成されたエポキシ接着剤を金属部品と注型樹脂との接合面に付着させ、前記エポキシ接着剤を介して前記金属部品を前記注型樹脂に被着させて固定することを特徴とするエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法。
  7. 前記エポキシ接着剤をアセトンまたはアセトンとプロパノールとの混合溶媒にて希釈し、前記金属部品と前記注型樹脂との接合面に塗布することを特徴とする請求項6記載のエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法。
  8. 前記エポキシ接着剤を前記金属部品と前記注型樹脂との接合面に付着させた後に、前記エポキシ接着剤が半硬化状態となる加熱条件にて加熱することを特徴とする請求項7記載のエポキシ接着剤を用いた注型品の製造方法。
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