JP2008037524A - 紙送りローラの製造方法および紙送りローラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性ポリマーと、ゴム成分と、樹脂架橋剤とを混練した後、前記樹脂架橋剤によりゴム成分を動的架橋してゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物を作製し、前記熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加して混練物を作製し、前記混練物を押出成形してローラ形状に成形し、該押出成形時の温度を前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に設定して該熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させ、ローラ表面に空隙を形成している。
【選択図】図1
Description
しかし、このような表面形状を有する紙送りローラは通紙による摩耗に従い、表面粗度が低下することがあり、その結果、紙送りローラと紙との摩擦係数が低下し、紙の搬送ができなくなることがあるという問題を有する。また、タルク紙や中性紙などの紙粉の発生が多い紙を用いると早期にローラ表面に紙粉が付着し、摩擦係数が低下することにより紙の不送りが発生するという問題もあった。
発泡層を内層に用いることにより高い反発弾性力および大きな圧接量等が得られるという利点がある。しかし、特許文献1の段落「0010」に記載されているように、ローラ表面に露出している外層は通常加硫ゴムから構成されているので、摩擦係数の低下および紙粉の付着という前記問題点は根本的に解決できていない。
しかし、当該紙送りローラを作製する工程においては、プレス加硫または加硫缶にて加硫すると表面にスキン層ができてしまうため、研磨することにより発泡面を表面に出す必要があり、製造工程数が増え、工程管理が複雑になるという問題がある。
また、上記のような化学発泡剤を用いた発泡層においては気泡同士が互いにつながっている連続気泡の状態を呈するので、摩耗性能が低下しやすいという問題もある。
前記熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加して混練物を作製し、
前記混練物を押出成形してローラ形状に成形し、該押出成形時の温度を前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に設定して該熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させ、ローラ表面に空隙を形成していることを特徴とする紙送りローラの製造方法を提供している。
これにより、ローラ表面の研磨工程数を無くし、製造コストが削減できる上、工程管理もしやすくなる。しかも、この場合は特許文献2に記載の発明のように特殊な成形型を用いる必要がなく、汎用の押出機で連続的に製造することができるため、初期投資をかけずに済み、製造コストを低廉化でき、かつ、生産性を高めることができる。
さらに、前記熱可塑性エラストマーを用いることで、ローラ表面に紙粉が付着しにくくなり、タルク紙や中性紙などの紙粉の発生が多い紙を用いる場合であっても紙粉の付着による紙の不送りの発生を有効に防ぐことができる。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は、熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性ポリマーやゴム粒子の種類等により異なるので一概には言えないが、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張最適温度と対応させる押出成形温度は、熱可塑性エラストマーを構成する熱可塑性ポリマーやゴム粒子の種類等により異なるので一概には言えないが、100〜250℃、150〜230℃である。
より具体的には、熱可塑性ポリマー、基材ゴム、軟化剤以外の添加物をタンブラー等の混練機にて予め混練しておく。得られた混合物と、樹脂架橋剤および軟化剤を一軸もしくは2軸押出機またはニーダー等に投入し、150〜250℃に加熱しながら樹脂架橋剤により基材ゴムを動的架橋し、熱可塑性ポリマー中にゴム粒子を分散させた前記熱可塑性エラストマー組成物を得ている。
架橋反応を適切に行うために架橋助剤(活性剤)を用いてもよい。架橋助剤としては金属酸化物が使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。
該混練物を、押出機を用いて所要温度に加熱しながらローラ形状に押出成形する。其の際、押出機内では熱膨張性マイクロカプセルには熱とともに圧力が付与されている。つまり、熱膨張性マイクロカプセルは低沸点物質が気化してカプセルの内圧が高まっているにもかかわらず、外圧がかかっているために十分に膨張していない状態にある。該状態で、押出口に設けた口金から出てきた熱膨張性マイクロカプセルは、外圧から解放されるため、膨張する。その後、熱膨張性マイクロカプセル内の低沸点物質は冷却されて、カプセルの内圧が低下するが、それよりも速く外側のシェルが冷却されて硬くなるため、空隙が存在することとなる。特にローラの内部および表面にほぼ均一に熱膨張性マイクロカプセルが存在して、ローラ表面に空隙が生じることより、押出成形後の表面には研磨せずとも空隙が存在することとなる。
前記紙送りローラは第1の発明の製造方法により最も好適に製造され、その場合は、ローラ表面を研磨する必要はない利点を有する。なお、本発明の紙送りローラは前記構成を有する構成であれば、前記方法により製造されるものに限定されない。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張後の粒子径(P)は30〜200μmであることが好ましい。膨張径が30μm未満である場合には、熱膨張体としての特性を十分に発現することができない。一方、膨張径が200μmを超える場合には、表面平滑性および機械的特性に劣るものとなる。膨張径はより好ましくは50〜150μmであり、さらに好ましくは80〜100μmである。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張率(P/p)としては2倍以上であることが好ましく、2〜20倍であることがより好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルの配合量が0.1質量部未満である場合には、目的とする膨張倍率を確保することができない。一方、熱膨張性マイクロカプセルの配合量が10質量部をこえる場合には、最終的に得られる紙送りローラの表面平滑性が損なわれたり、機械的強度が低下したりするおそれがある。
前記熱可塑性エラストマーとしては公知の熱可塑性エラストマーを使用できる。具体的には、例えばスチレン系エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩ビ系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、アイオノマー、エチレンエチルアクリレート樹脂(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
前記スチレン系エラストマーとして、具体的にはスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−スチレン共重合体(SES)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)またはスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
なかでも好適な熱可塑性樹脂はポリオレフィンである。ポリオレフィンは分子鎖が飽和状態なので、動的架橋時に架橋させてしまうことがない。また、ポリオレフィンは一般的に安価で入手が容易なので、これを用いることにより紙送りローラの製造コストが抑えられる。ポリオレフィンの具体例としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。また、いわゆるメタロセン触媒によって重合されたポリプロピレンやポリエチレンを用いることもできる。さらに、超高分子量ポリエチレンを用いることもできる。これらのポリオレフィンは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。ポリオレフィンのなかでも、紙送りローラの耐摩耗性が向上すること、成形性が良好であること、安価であること等の観点から、ポリプロピレンが特に好適である。
前記混合物において熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂との混合割合は、使用するエラストマーおよび樹脂に応じて適切な混合割合を決定できるが、熱可塑性エラストマー100質量部に対して熱可塑性樹脂が1質量部以上100質量部以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂の混合量が1質量部未満であると熱可塑性樹脂を混合した効果が見られないからであり、熱可塑性樹脂の混合量が100質量部より多いと混合物がエラストマーでなくなるからである。熱可塑性樹脂の混合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して20〜80質量部であることが好ましく、25〜60質量部であることがより好ましい。
ゴム粒子の基材ゴムには、EPDM、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリウレタン、ポリクロロプレン、アクリルゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム等が用いられうる。
樹脂架橋剤は加熱等によってゴムに架橋反応を起させる合成樹脂であり、例えばフェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。なかでもフェノール樹脂を用いることが好ましい。
特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
さらに、熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて充填剤、老化防止剤、着色剤、架橋助剤、補強剤等が適量添加されていてもよい。
また、本発明の紙送りローラは通常当該技術分野で用いられている汎用の装置を用いて製造することができ、特殊な装置や金型は必要ないので、初期投資の必要がなく、製造コストも抑えることができる。
また、本発明の紙送りローラでは、タルク紙や中性紙などの紙粉の発生が多い紙を用いてもローラ表面に紙粉が付着しにくく、紙粉の付着による紙送り不良の発生を有効に防止することができる。
本発明においては、空隙を形成するために熱膨張性マイクロカプセルを用いているため空隙同士が互いにつながっていない独立空隙の状態を作ることができるので、摩耗性能が低下しにくい紙送りローラを提供することができる。
図1は本発明の紙送りローラの一実施形態である円筒形状の紙送りローラ1を示し、その中空部には円柱形状の芯金(シャフト)2が取り付けられている。芯金2が紙送りローラ1に圧入されることにより、または両者が接着剤で接合されることにより、紙送りローラ1と芯金2とは固定されている。紙送りローラ1の肉厚は特に限定されないが、通常は1〜20mm、特に5〜15mmとされる。また、紙送りローラ1の全長も特に限定されないが、通常5mmから100mmとされる。
本実施形態で使用する熱膨張性マイクロカプセルとして、アクリル系コポリマーからなるシェル(シェル)に低沸点物質として液状炭化水素が内包されたものを用いる。
熱膨張性マイクロカプセルは、本実施形態では、その膨張開始温度が110℃以上のものを用い、膨張最高温度が150〜200℃であるものを用いている。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径(p)は10〜40μm、膨張後の粒子径(P)は80〜100μmであるものを用い、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張率(P/p)が2〜10倍であるものを用いている。
EPDMとしては油展タイプのものを用いることが好ましく、EPDM:オイル=1:1のものを用いている。
マトリクスである熱可塑性ポリマーは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーまたは/およびポリプロピレンを主成分とする。具体的には、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンとの合計量は全熱可塑性ポリマーの合計量に対して50質量%以上、より好ましく80質量%以上としている。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを混合して用いる場合、その混合割合は水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレン20〜40質量部としている。
EPDM(伸展油は除く)と熱可塑性ポリマーとの質量比は30/70以上60/40以下としている。
樹脂架橋剤の配合量は、EPDM(伸展油は除く)100質量部に対して5質量部以上15質量部以下としている。
軟化剤を用いる場合は、芳香族系、ナフテン系もしくはパラフィン系等の鉱物油を用いることがより好ましくい、パラフィンオイルが特に好ましい。軟化剤の配合量はEPDM(伸展油は除く)100質量部に対して50質量部以上250質量部以下としている。これは、軟化剤の配合量が50質量部未満であると、加工しにくくなると共に紙送りローラ1の硬度が高くなってしまうおそれがある。一方、軟化剤の配合量が250質量部を超えると、紙送りローラ1に成形したときに強度や耐摩耗性が低下するとともに、軟化剤のブリードが問題となることによる。
酸化亜鉛の配合量はEPDM(伸展油は除く)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下としている。
まず、熱可塑性エラストマー組成物を作製する。熱可塑性エラストマー組成物の作製方法は特に限定されないが、以下の方法で行うことが好ましい。はじめにEPDMをペレット状にしておくと後の操作が行いやすい。得られたEPDMペレットと、熱可塑性ポリマーである熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂と、さらに酸化亜鉛をタンブラーなどの混練機にて混合する。得られた混合物、軟化剤および樹脂架橋剤を2軸押出機などの混練機にて150〜200℃で混練して樹脂架橋剤によってEPDMを動的架橋し、熱可塑性エラストマー組成物を得る。
(実施例1,2)
EPDMを2軸押出機((株)モリヤマ製「2TR−75」)を用いて押出し、直径4mm、長さ4mmのEPDMペレットを得た。このEPDMペレットに、下記の表1に記載の各配合割合で熱可塑性ポリマーとしての熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂と、さらに酸化亜鉛をタンブラーにて混合し、2軸押出機(アイベック社製「HTM38」)に投入した。前記2軸押出機の別の投入口よりパラフィンオイルおよび樹脂架橋剤を投入し、180℃で混練して動的架橋を行わせ、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物に下記の表1に記載の配合割合で熱膨張性マイクロカプセルを加え、タンブラーにて混合し、φ50単軸押出機(笠松加工研究所)を用い、押出成形温度を180℃として押出し、内径φ9mm、外径φ20mmの紙送りローラを得た。
実施例と全く同様にペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを加えず、φ50単軸押出機(笠松加工研究所)にて180℃で押出し、内径φ9mm、外径φ21mmのローラを作製し、円筒研削盤で外径をφ20mmに研磨し、長さ10mmにカットした。
下記の表1に記載の各配合割合で所要温度で混練りし、170℃で20分間の条件でプレス加硫を行い、内径φ9mm、外径φ21mm、長さ38mmのローラを作成した。このローラを円筒研削盤で外径φ20mmに研磨し、長さ10mmにカットした。
・EPDM:住友化学(株)製「エスプレン670F」(油展量100)
・熱可塑性エラストマー:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン((株)クラレ製「セプトン4077」)
・熱可塑性樹脂:ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ノバテックBC6」)
・熱膨張性マイクロカプセル:松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアーF170D」(膨張最高温度170℃)
・シリカ:日本シリカ工業(株)製「ニプシールVN3」
・炭酸カルシウム:備北粉化工業(株)製「BF300」
・酸化チタン:チタン工業(株)製「クロノス
酸化チタン KR380」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シーストSO」
・パラフィンオイル:出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−380」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・ステアリン酸:日本油脂(株)製「つばき」
・樹脂架橋剤;臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(田岡化学(株)製「タッキロール250−III」)
・粉末硫黄:鶴見化学「粉末硫黄」
・加硫促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド(川口化学工業(株)製「アクセルTS」)
・加硫促進剤M:2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーM」)
(アスカーC硬度)
SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)の規定に従って、アスカーC硬度計を用いて測定した。
(膨張倍率)
膨張前後の密度をそれぞれ測定し、膨張前の密度を膨張後の見かけ密度で割って算出した。
(膨張径)
任意の断面をマイクロスコープで観察し、空隙の大きなものから20個選び、その平均値を算出し、膨張径とした。
摩擦係数を図2に示す以下の方法で測定した。
すなわち、紙送りローラ21とテフロン(登録商標)板23との間に、ロードセル25に接続した60mm×210mmサイズの紙24(富士ゼロックス社のP紙(普通紙))をはさみ、図2中の黒矢印で示す様に紙送りローラ21の芯金22に鉛直荷重W(W=250gf)を加え、紙送りローラ21をテフロン(登録商標)板23に圧接させた。次いで、温度23℃、湿度55%の条件下で、上記紙送りローラ21を図2中実線の矢印aで示す方向に周速300mm/秒で回転させた。通紙の前後において図2中白矢印で示す方向に発生した紙24の搬送力F(gf)をロードセル25で測定し、F(gf)および荷重W(W=250gf)とから、下記の数式1より摩擦係数μを求めた。その結果を表2に示す。
μ=F(gf)/W(gf) (数式1)
複写機「VIVACE455」(富士ゼロックス社製)に各紙送りローラを給紙ローラとして装着し、前記P紙を5万枚通紙し、通紙後の摩擦係数を初期摩擦係数と同一の方法で測定した。その結果を表2に示す。
また、実施例2および比較例2で作製した紙送りローラについては、通紙前後でローラ表面の電子顕微鏡写真を撮影した。実施例2で作製した紙送りローラの通紙前のローラ表面の電子顕微鏡写真を図3に、通紙後のローラ表面の電子顕微鏡写真を図4に示す。比較例2で作製した紙送りローラの通紙前のローラ表面の電子顕微鏡写真を図5に、通紙後のローラ表面の電子顕微鏡写真を図6に示す。
図3〜図6において、白色の部分が空隙として現れている。
複写機「VIVACE455」(富士ゼロックス社製)に各紙送りローラを給紙ローラとして装着し、紙粉発生量が多く摩擦係数が低下しやすい炭酸カルシウム成分を多く含む紙(富士ゼロックス社製「ゼロックス4200」)を3万枚通紙し、通紙状況を観察した。その結果を表2に示す。
また、中性紙3万枚通紙試験においては、表面が研磨面である比較例の紙送りローラには紙粉が付着し、1万枚〜2万枚で不送りが発生したのに対し、実施例の紙送りローラでは3万枚を通紙しても不送りが発生せず、表面の膨張面は紙粉などが付着しにくいことがわかった。
2 芯金
21 紙送りローラ
22 芯金
23 テフロン(登録商標)板
24 紙
25 ロードセル
Claims (7)
- 熱可塑性ポリマーと、ゴム成分と、樹脂架橋剤とを混練した後、前記樹脂架橋剤によりゴム成分を動的架橋してゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物を作製し、
前記熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加して混練物を作製し、
前記混練物を押出成形してローラ形状に成形し、該押出成形時の温度を前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に設定して該熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させ、ローラ表面に空隙を形成していることを特徴とする紙送りローラの製造方法。 - 前記押出成形時の温度を、前記熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度に対して0〜±30℃に設定している請求項1に記載の紙送りローラの製造方法。
- 樹脂架橋剤により動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物に、熱膨張性マイクロカプセルが配合され、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張よる空隙が表面に露出されていることを特徴とする紙送りローラ。
- ローラ表面が研磨されていない請求項3に記載の紙送りローラ。
- 前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張径が30〜200μmである請求項3または請求項4に記載の紙送りローラ。
- 膨張倍率が1.2〜4.0である請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の紙送りローラ。
- 請求項1または請求項2に記載の方法で製造された請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の紙送りローラ。
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