JP2008037524A - 紙送りローラの製造方法および紙送りローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】ローラの表面を研磨することなく、紙粉が付着しにくく、耐摩耗性を備え、長期間にわたって適度な摩擦係数を維持することができる紙送りローラの製造法を提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリマーと、ゴム成分と、樹脂架橋剤とを混練した後、前記樹脂架橋剤によりゴム成分を動的架橋してゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物を作製し、前記熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加して混練物を作製し、前記混練物を押出成形してローラ形状に成形し、該押出成形時の温度を前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に設定して該熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させ、ローラ表面に空隙を形成している。
【選択図】図1

Description

本発明は、事務機器等に装着される紙送りローラの製造方法および紙送りローラに関するものである。
複写機、ファクシミリ、プリンターまたはATM等の事務機器の給紙機構、画像形成機構、定着機構および排紙機構等には紙送りローラ(給紙ローラ、搬送ローラ、排紙ローラ等と呼ばれている)が用いられている。紙送りローラは紙(紙以外の薄葉体状物を含む。以下同様。)を送るものなので、紙との摩擦係数が高いことが要求され、しかもこの高い摩擦係数が長期間維持されることが要求される。
この種の紙送りローラは、通常、天然ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(以下「EPDM」という)、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴムまたはクロロプレンゴム等を含むゴム組成物を加硫するか、熱可塑性エラストマーを押出成形もしくはインジェクション成形することにより作製されることが多い。いずれの場合でも、高摩擦係数を実現するために、ローラの表面形状を研磨面、ローレット面またはシボ面にする必要があった。
しかし、このような表面形状を有する紙送りローラは通紙による摩耗に従い、表面粗度が低下することがあり、その結果、紙送りローラと紙との摩擦係数が低下し、紙の搬送ができなくなることがあるという問題を有する。また、タルク紙や中性紙などの紙粉の発生が多い紙を用いると早期にローラ表面に紙粉が付着し、摩擦係数が低下することにより紙の不送りが発生するという問題もあった。
このような問題を解決する手段の一つとして、発泡層を利用した紙送りローラが開発されている。例えば、特開2001−341862公報(特許文献1)では、非発泡層からなる外層及び発泡層からなる内層の2層で形成されてなる給紙ローラならびに非発泡層からなる外層、発泡層からなる内層及び非発泡層からなる最内層との3層で形成されてなる給紙ローラが提供されている。
発泡層を内層に用いることにより高い反発弾性力および大きな圧接量等が得られるという利点がある。しかし、特許文献1の段落「0010」に記載されているように、ローラ表面に露出している外層は通常加硫ゴムから構成されているので、摩擦係数の低下および紙粉の付着という前記問題点は根本的に解決できていない。
ゴムに化学発泡等を施し、表面を発泡面とした紙送りローラが従来から存在する。当該紙送りローラでは表面に存在する微小な気泡により紙の搬送に適した摩擦係数が発揮され、かつ、摩耗しても内部に存在する気泡が次々と表面に出てくることから摩擦係数の低下を防ぐことができる。
しかし、当該紙送りローラを作製する工程においては、プレス加硫または加硫缶にて加硫すると表面にスキン層ができてしまうため、研磨することにより発泡面を表面に出す必要があり、製造工程数が増え、工程管理が複雑になるという問題がある。
これに対して、特開2002−46873号公報(特許文献2)では研磨なしで表面に開孔部を有する給紙ローラが記載されている。しかし、特許文献2の段落「0016」に記載されているように、当該給紙ローラを得るためには特殊な内面形状を有する成形型が必要であり、製造設備の整備にコストがかかるという問題がある。
また、上記のような化学発泡剤を用いた発泡層においては気泡同士が互いにつながっている連続気泡の状態を呈するので、摩耗性能が低下しやすいという問題もある。
本出願人は、ゴムを主成分として形成し、複数の微小な気泡を有し、全表面積に対する気泡の孔の面積占有率を10%以上30%以下とする給紙部材を提供している(特開2003−313357号公報(特許文献3))。この特許文献3では気泡を形成するためにマイクロカプセル型の発泡剤を用いており(請求項4)、それにより気泡同士が互いにつながっていない独立気泡の状態を作ることができるので、連続気泡による問題点を解消されて摩耗性能が低下しにくい給紙ローラとしている。
しかし、特許文献3では、EPDM等のゴム成分に、マイクロカプセル、硫黄等を配合して混練りした後に、プレス加硫を行ってコットを作製し、このコットを円筒研削盤で研磨して給紙ローラを製造している。このように、給紙ローラは通常最終工程で研磨しているが、製造の簡素化の観点から表面を研磨しなくても、成形後そのまま使用できるようにする点から改善の余地がある。かつ、生産性を高める点からもプレス加硫によりローラを成形するよりは連続成形できるようにすることが好ましい。さらに、ローラを形成するゴムの物性に関しても、耐摩耗性を更に高める点で改善の余地がある。
特開2001−341862公報 特開2002−46873号公報 特開2003−313357号公報
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、紙粉が付着しにくく、摩耗しにくく、さらに長期間にわたって適度な摩擦係数を維持することができ、しかも、表面研磨の手間が省けて簡便に製造できる紙送りローラの製造方法および紙送りローラを提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、第1の発明として、熱可塑性ポリマーと、ゴム成分と、樹脂架橋剤とを混練した後、前記樹脂架橋剤によりゴム成分を動的架橋してゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物を作製し、
前記熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加して混練物を作製し、
前記混練物を押出成形してローラ形状に成形し、該押出成形時の温度を前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に設定して該熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させ、ローラ表面に空隙を形成していることを特徴とする紙送りローラの製造方法を提供している。
前記した本発明の給紙ローラの製造方法は、本発明者らが特許文献3に記載の発明についてさらに検討を重ねた結果、発泡剤としてマイクロカプセル型の発泡剤、つまり熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合、ゴム成分として樹脂架橋剤によって動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマーを用いれば、押出成形により給紙ローラを連続的に成形できると共に、成形したローラ表面に研磨せずとも空隙を露出させることができることを知見したことに基づくものである。
これにより、ローラ表面の研磨工程数を無くし、製造コストが削減できる上、工程管理もしやすくなる。しかも、この場合は特許文献2に記載の発明のように特殊な成形型を用いる必要がなく、汎用の押出機で連続的に製造することができるため、初期投資をかけずに済み、製造コストを低廉化でき、かつ、生産性を高めることができる。
さらに、前記熱可塑性エラストマーを用いることで、ローラ表面に紙粉が付着しにくくなり、タルク紙や中性紙などの紙粉の発生が多い紙を用いる場合であっても紙粉の付着による紙の不送りの発生を有効に防ぐことができる。
前記熱膨張性マイクロカプセルを押出成形時に膨張させるためには、当然のことながら熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度よりも押出成形温度を高く設定する必要がある。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度は、熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性ポリマーやゴム粒子の種類等により異なるので一概には言えないが、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。
かつ、前記押出成形時の温度は、前記熱膨張性マイクロカプセルを最大径に膨張させる膨張最適温度に対して0〜±30℃に設定していることが好ましい。前記設定は、押出成形時の押出温度が膨張最適温度よりも30℃以上高いと、熱膨張性マイクロカプセルが過膨張となり、マイクロバルーン内の低沸点物質が抜けてしまうため、逆に膨張径が小さくなり、膨張倍率も低下することによる。また、膨張最適温度よりも押出成形時の押出温度が低いと、熱膨張性マイクロカプセルが十分に膨張せず目的とする膨張径を有するマイクロバルーンが形成されないからである。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張最適温度と対応させる押出成形温度は、熱可塑性エラストマーを構成する熱可塑性ポリマーやゴム粒子の種類等により異なるので一概には言えないが、100〜250℃、150〜230℃である。
本発明の紙送りローラの製造方法を詳述すると、熱可塑性ポリマー、基材ゴム、樹脂架橋剤および各種添加剤を、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の公知の混練機にて混練する。
より具体的には、熱可塑性ポリマー、基材ゴム、軟化剤以外の添加物をタンブラー等の混練機にて予め混練しておく。得られた混合物と、樹脂架橋剤および軟化剤を一軸もしくは2軸押出機またはニーダー等に投入し、150〜250℃に加熱しながら樹脂架橋剤により基材ゴムを動的架橋し、熱可塑性ポリマー中にゴム粒子を分散させた前記熱可塑性エラストマー組成物を得ている。
前記動的架橋は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素等のハロゲンの存在下に行ってもよい。動的架橋時にハロゲンを存在させるには、上述したハロゲン化された樹脂架橋剤を用いるか、ハロゲン供与性物質を配合すればよい。前記ハロゲン供与性物質としては、塩化第二スズ等の塩化スズ、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。ハロゲン供与性物質は単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
架橋反応を適切に行うために架橋助剤(活性剤)を用いてもよい。架橋助剤としては金属酸化物が使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。
ついで、得られた熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーまたはタンブラー型ミキサー等の混練機で混練する。
該混練物を、押出機を用いて所要温度に加熱しながらローラ形状に押出成形する。其の際、押出機内では熱膨張性マイクロカプセルには熱とともに圧力が付与されている。つまり、熱膨張性マイクロカプセルは低沸点物質が気化してカプセルの内圧が高まっているにもかかわらず、外圧がかかっているために十分に膨張していない状態にある。該状態で、押出口に設けた口金から出てきた熱膨張性マイクロカプセルは、外圧から解放されるため、膨張する。その後、熱膨張性マイクロカプセル内の低沸点物質は冷却されて、カプセルの内圧が低下するが、それよりも速く外側のシェルが冷却されて硬くなるため、空隙が存在することとなる。特にローラの内部および表面にほぼ均一に熱膨張性マイクロカプセルが存在して、ローラ表面に空隙が生じることより、押出成形後の表面には研磨せずとも空隙が存在することとなる。
このように本発明の紙送りローラは、押出成形後の表面に研磨せずとも空隙が存在し、研磨工程を経ないでそのまま使用することが可能である。なお、初期摩擦係数を調整する等の目的で成形後に研磨工程に付してもよい。
第2の発明として、樹脂架橋剤により動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物に、熱膨張性マイクロカプセルが配合され、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張よる空隙が表面に露出されていることを特徴とする紙送りローラを提供している。
前記紙送りローラは第1の発明の製造方法により最も好適に製造され、その場合は、ローラ表面を研磨する必要はない利点を有する。なお、本発明の紙送りローラは前記構成を有する構成であれば、前記方法により製造されるものに限定されない。
本発明で用いる前記「熱膨張性マイクロカプセル」は、ガスバリアー性のある熱可塑性樹脂をシェル(殻)とし、このシェルに低沸点物質(熱膨張剤)が内包された熱膨張性のマイクロカプセルからなる。該熱膨張性マイクロカプセルは加熱されると、シェルの熱可塑性樹脂が軟化し、低沸点物質の気化に伴って膨張してマイクロバルーン(中空球状粒子)になる。このため、各気泡は互いに連結することなく、独立気泡性が確保される。また、熱可塑性樹脂のガスバリアー性により低沸点物質の気化によるガスが膨張後のマイクロバルーン内に保持されるため、熱膨張性マイクロカプセルを含有する混練物からなるローラを連続的に加熱加圧しても、化学発泡剤を配合した場合のように気化したガスがローラ表面から抜けるようなことはなく表面にスキン層が形成されることがない。かつ、前記したように、押出成形機の出口(押出口)の口金から出る時の急激な圧力開放で、熱膨張性マイクロカプセルの膨張が生じ、押出成形されたローラの表面から該熱膨張性カプセルが取れることで、ローラ表面に空隙が形成される。
前記熱膨張性マイクロカプセルのシェル(殻)を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリブタジエン、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。なかでもアクリル系コポリマーが好ましい。
シェルに内包される低沸点物質としては、シェルを構成する熱可塑性樹脂の軟化点以下でガス状になる物質が好ましい。かかる低沸点物質としては、例えばプロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、メタンのハロゲン化物、テトラアルキルシランのごとき低沸点液体および加熱により熱分解してガス状になるAIBNのごとき化合物が挙げられる。これらのうち、好適にはイソブタン、ノルマルブタン、ノルマルペンタンまたはイソペンタンのごとき低沸点の液状炭化水素が用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径(p)は5〜50μmであることが好ましい。粒子径(p)が5μm未満であると凝集して均一に分散されない可能性があるからである。一方、粒子径(p)が50μmを越えると膨張後の粒子径が大きくなりすぎて表面平滑性が損なわれたり、機械的強度が低下したりするおそれがあるからである。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張後の粒子径(P)は30〜200μmであることが好ましい。膨張径が30μm未満である場合には、熱膨張体としての特性を十分に発現することができない。一方、膨張径が200μmを超える場合には、表面平滑性および機械的特性に劣るものとなる。膨張径はより好ましくは50〜150μmであり、さらに好ましくは80〜100μmである。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張率(P/p)としては2倍以上であることが好ましく、2〜20倍であることがより好ましい。
また、本発明の紙送りローラ自体の膨張倍率は1.2〜4.0であることが好ましい。膨張倍率が1.2未満である場合には、膨張体としての特性を十分に発現することができない。一方、膨張倍率が4.0を超える場合には、表面平滑性および機械的特性に劣るものとなる。膨張倍率はより好ましくは1.2〜3.0であり、さらに好ましくは1.3〜2.5である。
上述したように、本発明の紙送りローラにおいては各空隙が独立していることが特徴であり、その指標として独立空隙率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。なお、独立空隙率とは、全空隙体積に対する他の空隙と連結していない空隙(独立空隙)の体積比率を意味し、例えば空気比重計(1〜1/2〜1気圧法)(東京サイエンス社製、商品名「1000型」)を用いることにより算出することができる。
本発明で用いる熱膨張性マイクロカプセルは商業的に入手可能であって、例えば「エクスパンセル」(ケマノーベル社製)、「マツモトマイクロスフェアー」(松本油脂製薬(株)製)等の市販品の中から、適宜に選択して用いることができる。
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルは、下記に詳述する熱可塑性エラストマー組成物100質量部に対して0.1〜10質量部の割合で配合することが好ましく、1〜6質量部の割合で配合することがより好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルの配合量が0.1質量部未満である場合には、目的とする膨張倍率を確保することができない。一方、熱膨張性マイクロカプセルの配合量が10質量部をこえる場合には、最終的に得られる紙送りローラの表面平滑性が損なわれたり、機械的強度が低下したりするおそれがある。
熱膨張性マイクロカプセルを添加する「樹脂架橋剤によって動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物」について以下に詳述する。この熱可塑性エラストマー組成物は、分散質の材質であるゴムの長所と、マトリクスの材質である熱可塑性ポリマーの長所とを併せ持つという特徴を有する。
マトリクスである熱可塑性ポリマーには、ソフトセグメントとハードセグメントとを備えた熱可塑性エラストマーや、熱可塑性樹脂が用いられうる。
前記熱可塑性エラストマーとしては公知の熱可塑性エラストマーを使用できる。具体的には、例えばスチレン系エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩ビ系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、アイオノマー、エチレンエチルアクリレート樹脂(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーのうち、スチレン系エラストマーを用いることが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン系モノマーを主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物を主体とするブロック(B)のブロック共重合体および該ブロック共重合体の共役ジエン重合単位を水素添加したものを例示することができる。前記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンまたはt−ブチルスチレンなどを例示することができる。これらモノマーは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。スチレン系モノマーとしては、なかでもスチレンが好ましい。また前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどを例示することができる。これらは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
前記スチレン系エラストマーとして、具体的にはスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−スチレン共重合体(SES)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)またはスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
好適な熱可塑性エラストマーとしては、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレン末端ブロックとエラストマー中間ブロックとからなるブロック共重合体を主成分としているものである。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーでは中間ブロックが水素添加されることによって二重結合が消滅しているので、動的架橋時に架橋させてしまうことがない。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、SES、SEPS、SEBS等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては公知のものを使用でき、例えばオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン等が挙げられる。
なかでも好適な熱可塑性樹脂はポリオレフィンである。ポリオレフィンは分子鎖が飽和状態なので、動的架橋時に架橋させてしまうことがない。また、ポリオレフィンは一般的に安価で入手が容易なので、これを用いることにより紙送りローラの製造コストが抑えられる。ポリオレフィンの具体例としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。また、いわゆるメタロセン触媒によって重合されたポリプロピレンやポリエチレンを用いることもできる。さらに、超高分子量ポリエチレンを用いることもできる。これらのポリオレフィンは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。ポリオレフィンのなかでも、紙送りローラの耐摩耗性が向上すること、成形性が良好であること、安価であること等の観点から、ポリプロピレンが特に好適である。
本発明においてマトリクスである熱可塑性ポリマーは、上述した熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂の混合物であることが好ましい。
前記混合物において熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂との混合割合は、使用するエラストマーおよび樹脂に応じて適切な混合割合を決定できるが、熱可塑性エラストマー100質量部に対して熱可塑性樹脂が1質量部以上100質量部以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂の混合量が1質量部未満であると熱可塑性樹脂を混合した効果が見られないからであり、熱可塑性樹脂の混合量が100質量部より多いと混合物がエラストマーでなくなるからである。熱可塑性樹脂の混合量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して20〜80質量部であることが好ましく、25〜60質量部であることがより好ましい。
上述したようにマトリクスである熱可塑性ポリマーにはゴム粒子が分散している。
ゴム粒子の基材ゴムには、EPDM、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリウレタン、ポリクロロプレン、アクリルゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム等が用いられうる。
このなかでも特にEPDMが好適に用いられる。EPDMの主鎖は飽和炭化水素からなるので、この主鎖には二重結合が含まれない。このため、EPDMは高濃度オゾン雰囲気、光線照射等の環境下に長時間曝されても分子主鎖切断が起こりにくく、耐候性に優れている。複写機等では画像形成時にオゾンが発生することがあるが、EPDMを用いることにより紙送りローラのオゾン劣化が抑制される。また、EPDMは熱可塑性ポリマーへの分散性にも比較的優れる。EPDMには、ゴム成分のみからなる非油展タイプのものとゴム成分とともに伸展油を含む油展タイプのものとが存在するが、本発明においてはいずれのタイプのものも用いられうる。
EPDM以外の他のゴムを併用してもよい。この場合でも、紙送りローラの耐候性維持の観点から、EPDMが主成分であることが好ましい。具体的には、全基材ゴムに占めるEPDM(伸展油を除く)の比率が30質量%以上、さらには50質量%以上、特には80質量%以上とされるのが好ましい。耐候性の観点からEPDMが全ゴムに占める比率は高いほど好ましいので本発明ではこの上限値は特には規定されない。
粒子径が小さいほど、ゴム粒子がマトリクス中に均一に分散するので好ましい。具体的には、ゴム粒子の平均粒子径は10μm以下が好ましく、5μm以下が特に好ましい。平均粒子径は小さいほど好ましいが、通常得られるゴム粒子の平均粒子径は0.1μm以上である。
基材ゴムと熱可塑性ポリマーとの質量比は30/70以上80/20以下が好ましい。質量比が30/70未満であると、紙送りローラの摩擦係数が小さくなることがある。この観点から、質量比は40/60以上がより好ましい。質量比が80/20を超えると、熱可塑性ポリマーがマトリクスでなくなり、熱可塑性エラストマーの可塑化が困難となることがある。この観点から、質量比は70/30以下が特に好ましい。なお、油展ゴムが用いられる場合は、この油展ゴム中のゴム成分と熱可塑性ポリマーとの質量比が上記範囲内とされる。
基材ゴムは樹脂架橋剤によって架橋されている。樹脂架橋剤が用いられることにより、硫黄と加硫促進剤とによってゴムが架橋された場合にありがちなブルーミングが抑制される。従って、ブルーミングによる紙送りローラの摩擦係数低下が防止される。
樹脂架橋剤は加熱等によってゴムに架橋反応を起させる合成樹脂であり、例えばフェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。なかでもフェノール樹脂を用いることが好ましい。
フェノール樹脂の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノールもしくはレゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドもしくはフルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が挙げられる。フェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂を用いることもできる。
特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
樹脂架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部(油展ゴムの場合はゴム成分100質量部)に対して1質量部以上20質量部以下が好ましい。配合量が1質量部未満であると架橋不足となって紙送りローラの耐久性が低下することがある。この観点から配合量は3質量部以上が特に好ましい。配合量が20質量部を超えると、混練時の異常発熱により熱可塑性エラストマー組成物が熱劣化を起こすことがある。この観点から配合量は15質量部以下が特に好ましい。
熱可塑性エラストマー組成物には、オイルまたは可塑剤等の軟化剤が配合されていてもよい。これにより紙送りローラが低硬度となって、その摩擦係数が向上する。配合されるオイルとしては、例えばパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油、炭化水素系オリゴマー等が挙げられる。また、配合される可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペート等が挙げられる。油展タイプのゴムが用いられる場合は伸展油が軟化剤として作用するので、他の軟化剤の配合が省略されてもよい。もちろん、必要に応じ、油展タイプのゴムにさらに軟化剤が添加されてもよい。
さらに、熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて充填剤、老化防止剤、着色剤、架橋助剤、補強剤等が適量添加されていてもよい。
さらに、本発明の紙送りローラは、硬度がアスカーC硬度で45〜85であることが好ましく、50〜80であることがより好ましい。この範囲の硬度であれば紙送りローラを比較的小さい圧接力で紙に押し付けてもゴムローラが充分に変形し、紙との間に大きい接触面積を得ることができるからである。アスカーC硬度が45未満であると摩耗量が多くなるという問題があり、アスカーC硬度が85を越えると通紙中に不送りが発生するという問題がある。
本発明の紙送りローラは、その用途は特に制限されず、例えば複写機、ファクシミリ、プリンターまたはATM等の画像形成装置の給紙機構、画像形成機構、定着機構または排紙機構等において用いられている紙送りに供するローラであれば、給紙ローラ、搬送ローラ、排紙ローラ等いずれにも使用することができる。
以上の説明より明らかなように、本発明の紙送りローラの製造方法によれば、押出成形後の表面に研磨せずとも空隙が存在しているため研磨工程が必ずしも必要でないことから、製造工程数が減って製造が簡素化され、工程管理も行いやすくなる。
また、本発明の紙送りローラは通常当該技術分野で用いられている汎用の装置を用いて製造することができ、特殊な装置や金型は必要ないので、初期投資の必要がなく、製造コストも抑えることができる。
また、本発明の紙送りローラでは表面に存在する微小な空隙により紙の搬送に適した摩擦係数が発揮され、かつ内部にもほぼ均一な空隙を有していることからローラ表面が摩耗しても内部に存在する空隙が次々と表面に出てくるため摩擦係数の低下を長期にわたって防ぐことができる。
また、本発明の紙送りローラでは、タルク紙や中性紙などの紙粉の発生が多い紙を用いてもローラ表面に紙粉が付着しにくく、紙粉の付着による紙送り不良の発生を有効に防止することができる。
本発明においては、空隙を形成するために熱膨張性マイクロカプセルを用いているため空隙同士が互いにつながっていない独立空隙の状態を作ることができるので、摩耗性能が低下しにくい紙送りローラを提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の紙送りローラの一実施形態である円筒形状の紙送りローラ1を示し、その中空部には円柱形状の芯金(シャフト)2が取り付けられている。芯金2が紙送りローラ1に圧入されることにより、または両者が接着剤で接合されることにより、紙送りローラ1と芯金2とは固定されている。紙送りローラ1の肉厚は特に限定されないが、通常は1〜20mm、特に5〜15mmとされる。また、紙送りローラ1の全長も特に限定されないが、通常5mmから100mmとされる。
紙送りローラ1は、熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルが含まれている混練物からなる。
本実施形態で使用する熱膨張性マイクロカプセルとして、アクリル系コポリマーからなるシェル(シェル)に低沸点物質として液状炭化水素が内包されたものを用いる。
熱膨張性マイクロカプセルは、本実施形態では、その膨張開始温度が110℃以上のものを用い、膨張最高温度が150〜200℃であるものを用いている。
熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径(p)は10〜40μm、膨張後の粒子径(P)は80〜100μmであるものを用い、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張率(P/p)が2〜10倍であるものを用いている。
本実施形態で使用する熱可塑性エラストマー組成物としては、フェノール樹脂架橋剤で動的架橋されたEPDM粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物を用いる。
EPDMとしては油展タイプのものを用いることが好ましく、EPDM:オイル=1:1のものを用いている。
マトリクスである熱可塑性ポリマーは、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーまたは/およびポリプロピレンを主成分とする。具体的には、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンとの合計量は全熱可塑性ポリマーの合計量に対して50質量%以上、より好ましく80質量%以上としている。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを混合して用いる場合、その混合割合は水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対してポリプロピレン20〜40質量部としている。
EPDM(伸展油は除く)と熱可塑性ポリマーとの質量比は30/70以上60/40以下としている。
熱可塑性エラストマー組成物に含まれる樹脂架橋剤であるフェノール樹脂としては、本実施形態では、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂を用いている。
樹脂架橋剤の配合量は、EPDM(伸展油は除く)100質量部に対して5質量部以上15質量部以下としている。
紙送りローラ1を構成する組成物には、そのほかに軟化剤と架橋助剤として役割を果たす酸化亜鉛を含めてもよい。
軟化剤を用いる場合は、芳香族系、ナフテン系もしくはパラフィン系等の鉱物油を用いることがより好ましくい、パラフィンオイルが特に好ましい。軟化剤の配合量はEPDM(伸展油は除く)100質量部に対して50質量部以上250質量部以下としている。これは、軟化剤の配合量が50質量部未満であると、加工しにくくなると共に紙送りローラ1の硬度が高くなってしまうおそれがある。一方、軟化剤の配合量が250質量部を超えると、紙送りローラ1に成形したときに強度や耐摩耗性が低下するとともに、軟化剤のブリードが問題となることによる。
酸化亜鉛の配合量はEPDM(伸展油は除く)100質量部に対して1質量部以上10質量部以下としている。
次に、紙送りローラ1の製造方法について説明する。
まず、熱可塑性エラストマー組成物を作製する。熱可塑性エラストマー組成物の作製方法は特に限定されないが、以下の方法で行うことが好ましい。はじめにEPDMをペレット状にしておくと後の操作が行いやすい。得られたEPDMペレットと、熱可塑性ポリマーである熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂と、さらに酸化亜鉛をタンブラーなどの混練機にて混合する。得られた混合物、軟化剤および樹脂架橋剤を2軸押出機などの混練機にて150〜200℃で混練して樹脂架橋剤によってEPDMを動的架橋し、熱可塑性エラストマー組成物を得る。
得られた熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを加え、タンブラーなどの混練機にて予め混合しておき、単軸押出機にて180〜200℃で押出成形することにより、本発明の紙送りローラを得ている。
このようにして得られる本発明の紙送りローラ1においては、押出成形後の表面に研磨せずとも空隙が存在している。ゆえに、研磨工程を経ないでそのまま使用することができる。なお、必要に応じて、初期摩擦係数を調整する等の目的で研磨工程を行ってもよい。
本発明の紙送りローラ1においては、膨張径は50〜150μm、より好ましく80〜100μmとしている。紙送りローラ1の膨張倍率を1.3〜2.5としている。紙送りローラ1の硬度はアスカーC硬度で50〜80としている。
以下、本発明の実施例および比較例について詳述する。
(実施例1,2)
EPDMを2軸押出機((株)モリヤマ製「2TR−75」)を用いて押出し、直径4mm、長さ4mmのEPDMペレットを得た。このEPDMペレットに、下記の表1に記載の各配合割合で熱可塑性ポリマーとしての熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性樹脂と、さらに酸化亜鉛をタンブラーにて混合し、2軸押出機(アイベック社製「HTM38」)に投入した。前記2軸押出機の別の投入口よりパラフィンオイルおよび樹脂架橋剤を投入し、180℃で混練して動的架橋を行わせ、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物に下記の表1に記載の配合割合で熱膨張性マイクロカプセルを加え、タンブラーにて混合し、φ50単軸押出機(笠松加工研究所)を用い、押出成形温度を180℃として押出し、内径φ9mm、外径φ20mmの紙送りローラを得た。
(比較例1)
実施例と全く同様にペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを加えず、φ50単軸押出機(笠松加工研究所)にて180℃で押出し、内径φ9mm、外径φ21mmのローラを作製し、円筒研削盤で外径をφ20mmに研磨し、長さ10mmにカットした。
(比較例2)
下記の表1に記載の各配合割合で所要温度で混練りし、170℃で20分間の条件でプレス加硫を行い、内径φ9mm、外径φ21mm、長さ38mmのローラを作成した。このローラを円筒研削盤で外径φ20mmに研磨し、長さ10mmにカットした。
表1中の配合成分としては、各々、以下の各会社の各商品名のものを使用した。
・EPDM:住友化学(株)製「エスプレン670F」(油展量100)
・熱可塑性エラストマー:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン((株)クラレ製「セプトン4077」)
・熱可塑性樹脂:ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ノバテックBC6」)
・熱膨張性マイクロカプセル:松本油脂製薬(株)製「マツモトマイクロスフェアーF170D」(膨張最高温度170℃)
・シリカ:日本シリカ工業(株)製「ニプシールVN3」
・炭酸カルシウム:備北粉化工業(株)製「BF300」
・酸化チタン:チタン工業(株)製「クロノス
酸化チタン KR380」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シーストSO」
・パラフィンオイル:出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−380」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・ステアリン酸:日本油脂(株)製「つばき」
・樹脂架橋剤;臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(田岡化学(株)製「タッキロール250−III」)
・粉末硫黄:鶴見化学「粉末硫黄」
・加硫促進剤TS:テトラメチルチウラムモノスルフィド(川口化学工業(株)製「アクセルTS」)
・加硫促進剤M:2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興化学工業(株)製「ノクセラーM」)
実施例1,2および比較例1,2で得られた各紙送りローラについて以下の測定を行った。
(アスカーC硬度)
SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)の規定に従って、アスカーC硬度計を用いて測定した。
(膨張倍率)
膨張前後の密度をそれぞれ測定し、膨張前の密度を膨張後の見かけ密度で割って算出した。
(膨張径)
任意の断面をマイクロスコープで観察し、空隙の大きなものから20個選び、その平均値を算出し、膨張径とした。
実施例1,2および比較例1,2で得られた各紙送りローラを専用の芯金に填め込み、以下の測定を行った。
(初期摩擦係数の測定)
摩擦係数を図2に示す以下の方法で測定した。
すなわち、紙送りローラ21とテフロン(登録商標)板23との間に、ロードセル25に接続した60mm×210mmサイズの紙24(富士ゼロックス社のP紙(普通紙))をはさみ、図2中の黒矢印で示す様に紙送りローラ21の芯金22に鉛直荷重W(W=250gf)を加え、紙送りローラ21をテフロン(登録商標)板23に圧接させた。次いで、温度23℃、湿度55%の条件下で、上記紙送りローラ21を図2中実線の矢印aで示す方向に周速300mm/秒で回転させた。通紙の前後において図2中白矢印で示す方向に発生した紙24の搬送力F(gf)をロードセル25で測定し、F(gf)および荷重W(W=250gf)とから、下記の数式1より摩擦係数μを求めた。その結果を表2に示す。
μ=F(gf)/W(gf) (数式1)
(5万枚通紙後の摩擦係数の測定)
複写機「VIVACE455」(富士ゼロックス社製)に各紙送りローラを給紙ローラとして装着し、前記P紙を5万枚通紙し、通紙後の摩擦係数を初期摩擦係数と同一の方法で測定した。その結果を表2に示す。
また、実施例2および比較例2で作製した紙送りローラについては、通紙前後でローラ表面の電子顕微鏡写真を撮影した。実施例2で作製した紙送りローラの通紙前のローラ表面の電子顕微鏡写真を図3に、通紙後のローラ表面の電子顕微鏡写真を図4に示す。比較例2で作製した紙送りローラの通紙前のローラ表面の電子顕微鏡写真を図5に、通紙後のローラ表面の電子顕微鏡写真を図6に示す。
図3〜図6において、白色の部分が空隙として現れている。
(中性紙3万枚通紙試験)
複写機「VIVACE455」(富士ゼロックス社製)に各紙送りローラを給紙ローラとして装着し、紙粉発生量が多く摩擦係数が低下しやすい炭酸カルシウム成分を多く含む紙(富士ゼロックス社製「ゼロックス4200」)を3万枚通紙し、通紙状況を観察した。その結果を表2に示す。
実施例の紙送りローラでは、比較例の紙送りローラに比して5万枚通紙後の摩擦係数の低下が小さいことが分かる。これは、比較例の紙送りローラは表面が研磨面であるから図5および図6に示したように摩耗すると研磨目がなくなってくるのに対し、実施例の紙送りローラでは図3および図4に示したように摩耗しても新たな白色の空隙を備えた膨張面が出てくるためである。
また、中性紙3万枚通紙試験においては、表面が研磨面である比較例の紙送りローラには紙粉が付着し、1万枚〜2万枚で不送りが発生したのに対し、実施例の紙送りローラでは3万枚を通紙しても不送りが発生せず、表面の膨張面は紙粉などが付着しにくいことがわかった。
本発明の紙送りローラの概略図である。 紙送りローラの摩擦係数の測定方法を示す図である。 実施例2で作製した紙送りローラの通紙前のローラ表面の電子顕微鏡写真である。 実施例2で作製した紙送りローラの通紙後のローラ表面の電子顕微鏡写真である。 比較例2で作製した紙送りローラの通紙前のローラ表面の電子顕微鏡写真である。 比較例2で作製した紙送りローラの通紙後のローラ表面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 紙送りローラ
2 芯金
21 紙送りローラ
22 芯金
23 テフロン(登録商標)板
24 紙
25 ロードセル

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリマーと、ゴム成分と、樹脂架橋剤とを混練した後、前記樹脂架橋剤によりゴム成分を動的架橋してゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物を作製し、
    前記熱可塑性エラストマー組成物に熱膨張性マイクロカプセルを添加して混練物を作製し、
    前記混練物を押出成形してローラ形状に成形し、該押出成形時の温度を前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張開始温度以上に設定して該熱膨張性マイクロカプセルを熱膨張させ、ローラ表面に空隙を形成していることを特徴とする紙送りローラの製造方法。
  2. 前記押出成形時の温度を、前記熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度に対して0〜±30℃に設定している請求項1に記載の紙送りローラの製造方法。
  3. 樹脂架橋剤により動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している熱可塑性エラストマー組成物に、熱膨張性マイクロカプセルが配合され、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張よる空隙が表面に露出されていることを特徴とする紙送りローラ。
  4. ローラ表面が研磨されていない請求項3に記載の紙送りローラ。
  5. 前記熱膨張性マイクロカプセルの膨張径が30〜200μmである請求項3または請求項4に記載の紙送りローラ。
  6. 膨張倍率が1.2〜4.0である請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の紙送りローラ。
  7. 請求項1または請求項2に記載の方法で製造された請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の紙送りローラ。
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