JP2008037223A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】制動性能や牽引性能と耐偏摩耗性とを維持しつつ、耐石噛み性を向上させる。
【解決手段】タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、リブの少なくともに1つに、タイヤ幅方向両側の主溝に開口するサイプ3が刻まれ、サイプ3の深さは最浅部13から端部まで徐々に深くなっていて、最浅部13は、サイプ長さLの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれ、サイプ3の最浅部13の深さD1は主溝深さDの5〜20%であり、サイプ3の両端部の深さDs、Dcは主溝深さDの40〜80%である空気入りタイヤとする。
【選択図】図3

Description

本発明は空気入りタイヤに関し、より詳細には、制動性能や牽引性能と耐偏摩耗性とを維持しつつ、耐石噛み性を向上させた空気入りタイヤに関する。
トラック、バスやダンプカーに装着される空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝により形成されたリブを備えていることが多い。このような空気入りタイヤにおいては、制動性能や牽引性能が不十分な場合、更にリブにサイプが刻まれることがある。しかしながら、サイプが深くなるとリブの剛性が低下しすぎ、偏摩耗が発生するおそれがある。そのため、図1に示すサイプの断面図において、サイプ101の両端部102を浅くしてリブの剛性を高めることにより、偏摩耗の発生を抑制していた(特許文献1)。
特開平10−151915号公報(図8)
上記の形状のサイプを備えた空気入りタイヤにおいては、サイプ101の中央部103はより深くなっているので、中央部103に小石が挟まると小石が抜けにくくなる。このような現象は石噛みと呼ばれ、挟まった小石はタイヤ回転軸方向に徐々に進入し、トレッドゴムの下にあるベルト層を損傷させ、故障の原因となることもある。
したがって、本発明の目的は、制動性能や牽引性能と耐偏摩耗性とを維持しつつ、耐石噛み性を向上させることにある。
上記課題を解決するため、本願発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記リブの少なくともに1つのリブに、タイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
前記最浅部は、サイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれ、
前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする。
サイプ深さは前記最浅部から端部まで徐々に深くなっているので、リブの剛性が過度に低下することがなく、偏摩耗の発生が抑制されている。また、従来のサイプのように最深部が中央にないため、小石がサイプに進入しても容易に離脱し、石噛みを防止することができる。また、サイプの最浅部はタイヤ幅方向ショルダー側にずれているため、リブのセンター側の剛性をショルダー側に比べて、低くなる。その結果、接地圧が均一化され、偏摩耗を抑制できる。
また、本願発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記リブの少なくともに1つのリブにタイヤ幅方向に延びるスリットが刻まれ、
前記スリットの溝底にタイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
前記最浅部は、サイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれ、
前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする。
初期の制動性能や牽引性能を高めるため、偏摩耗の発生を抑え得る程度の溝深さが浅いスリットをリブに刻むことがあるが、スリットが消滅した後においても、制動性能や牽引性能を確保するために、スリットの溝底にサイプを刻むことがある。このようなタイヤにおいても、該サイプを上述した構成とすることにより、制動性能や牽引性能と耐偏摩耗性とを維持しつつ、耐石噛み性を向上させることができる。なお、本願でスリットとは、幅が2.0〜8.0mm、深さが1.0〜5.0mmの溝をいう。
本願発明の空気入りタイヤは、前記サイプのタイヤ幅方向ショルダー側端部の深さは、タイヤ幅方向センター側端部の深さよりも深い空気入りタイヤでもある。
タイヤ幅方向ショルダー側端部の深さをタイヤ幅方向センター側端部の深さよりも深くすることで、リブのセンター側の剛性をショルダー側に比べて、低くすることができ、その結果接地圧が均一化され、偏摩耗を抑制できる。
本願発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記リブの少なくともに1つのリブに、タイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれたサイプと、前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向センター側にずれたサイプとがタイヤ周方向に交互に配置され、
前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする。
本願発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記リブの少なくともに1つのリブにタイヤ幅方向に延びるスリットが刻まれ、
前記スリットの溝底にタイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれたサイプと、前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向センター側にずれたサイプとがタイヤ周方向に交互に配置され、
前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする。
また、高速道路で長距離走行する場合、リバーウェア偏摩耗と呼ばれる、リブの肩部がより摩耗する偏摩耗が発生しやすい。このような場合、すべてのサイプの最浅部をタイヤ幅方向ショルダー側にずらすよりも、最浅部がタイヤ幅方向センター側にずれたサイプと最浅部タイヤ幅方向センター側にずれたサイプとをタイヤ周方向に交互に配置して、リブの両側の肩部の剛性を均一化させることができる。その結果、耐石噛み性能を向上させ、リバーウェア偏摩耗を抑えることができる。
本願発明の空気入りタイヤは、前記リブを形成する主溝の少なくとも一方はジグザグ状に延び、前記リブは幅狭部を有し、前記サイプは前記幅狭部に刻まれた空気入りタイヤでもある。
主溝の少なくとも一方はジグザグ状に延びている場合、形成されるリブは等幅ではなく、幅狭部を有している。幅狭部にサイプを刻むことで、リブの剛性の低下を最小限にとどめることができる。
以下、図面を用いて、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を説明する。図2は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す図である。図において、タイヤ周方向に延びる主溝1が複数本刻まれ、主溝1によりリブ2、12が形成されている。タイヤ幅方向ショルダー側のリブ12にはラグ溝11が刻まれている。
主溝1はジグザグ状に延びているので、残りのリブ2は幅狭部15を有している。サイプ3は幅狭部15に刻まれ、リブ2を形成するタイヤ幅方向両側の主溝1に開口するオープンサイプであり、制動性能や牽引性能を高めている。
図3は、図2のA−A断面(サイプ3の断面)を示す図である。サイプ3の深さは不均一であり、最浅部13から端部に向かって徐々に深くなっている。その結果、リブ2の剛性が過度に低下することがなく、偏摩耗の発生が抑制されている。また、従来のサイプのように最深部が中央にないため、小石がサイプに進入しても容易に離脱し、石噛みを防止することができる。
最浅部13の深さD1は、主溝深さDの5〜20%であり、サイプ3の両端部の深さDs、Dcは、主溝深さDの40〜80%である。したがって、タイヤの初期状態ではサイプ3は途切れない状態であり、制動性能や牽引性能の向上が図られている。また、摩耗が進行してもサイプ3の一部が残存しているので、制動性能や牽引性能が大幅に低下することはない。
最浅部13は、L1(サイプ3の長さLの5〜30%)だけサイプ3の長さ方向中心Cよりタイヤ幅方向ショルダー側にずれているので、サイプ3の最浅部13はタイヤ幅方向ショルダー側にずれているため、リブ2のセンター側の剛性をショルダー側に比べて、低くなる。その結果、接地圧が均一化され、偏摩耗を抑制できる。
リブ2のセンター側の剛性をショルダー側に比べて、低くすることができ、接地圧が均一化され、偏摩耗を抑制できることから、サイプ3のショルダー側端部の深さDsを、センター側端部の深さDcよりも深くすることが好ましい。また、サイプ3の幅は限定されないが、0.6〜2.0mmが好ましい。
図5は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す図である。図2と同様に、タイヤ周方向に延びる主溝1が複数本刻まれ、主溝1によりリブ2、12が形成されている。タイヤ幅方向ショルダー側のリブ12にはラグ溝11が刻まれている。更に、初期の性能を高めるために、スリット14が刻まれている。スリット14が消滅した後においても、制動性能や牽引性能を確保するために、スリット14の溝底にサイプ3が刻まれている。
図6は、図5のC−C断面(サイプ3の断面)を示す図である。図3と同様に、サイプ3の深さは不均一であり、最浅部13から端部に向かって徐々に深くなっている。その結果、既述したように、偏摩耗の発生が抑制され、小石がサイプに進入しても容易に離脱し、石噛みを防止することができる。なお、サイプの深さD1、Ds、Dcは、スリット14の溝底からではなくリブ2表面からの深さである。
なお、リブ12において、最浅部13がタイヤ幅方向ショルダー側にずれたサイプと、最浅部13がタイヤ幅方向センター側にずれたサイプとが、タイヤ周方向に交互に配置してもよい。この場合、リブ12の両側の肩部の剛性を均一化することができ、リバーウェア偏摩耗を抑えることができる。
実施例として本発明に係る空気入りタイヤ(タイヤサイズ11R22.5)、比較例として従来サイプを備えた空気入りタイヤを試作し、2−D小型トラックの全輪に装着し、一般路を走行し評価を行なった。リムサイズ22.5×7.5、内圧700kPa、JATMA規定の荷重とした。
実施例1、2、5及び比較例1−5は、図2に示したトレッドパターンを有し、実施例3、4、6及び比較例6〜10はスリット(深さ2.0mm、幅5.0mm)を更に備え、図5に示したトレッドパターンを有する。いずれの実施例及び比較例においても、サイプ長さLは35mmで、主溝深さDは15mmであった。
実施例1、2、5及び実施例3、4、6のサイプは、それぞれ図3及び図6に示した形状で最深部のずれL1は3mmとした。ただし、実施例5、6では、最浅部がタイヤ幅方向ショルダー側にずれたサイプと、最浅部がタイヤ幅方向センター側にずれたサイプとが、タイヤ周方向に交互に配置されている。比較例1、6のサイプは、それぞれ図1、図7に示した従来形状のサイプとした。比較例3、4、8、9は深さが一定のサイプとした。比較例5、10のサイプは実施例1、3のサイプと同じ形状であるが、最浅部がセンター側に3mmずれている点が異なる。
結果を表1〜3に示す。耐偏摩耗性能は、トレッドが5mm摩耗した時点でのトウヒール偏摩耗量を指数で示している。なお、トウヒール偏摩耗量は、図4(図2のB−B断面)又は図8(図5のD−D断面)に示すサイプ3の両側の段差を言う。牽引性能は、トレッドが5mm摩耗した時点での乾燥路面との摩擦係数で、指数で示している。耐石噛み性能は、トレッドが5mm摩耗した時点で、小石が挟まったサイプ(サイプの総数は120)の数を指数で示している。いずれの指数も比較例1、6を100とした値で、値が小さいほど性能が良いことを示している。なお、上記の摩擦係数は、乾燥路面上での制動試験により求めている。また、比較例2、7では、サイプが消滅しているのでトウヒール偏摩耗量を測定しなかった。
表1〜3によれば、比較例2、7ではサイプが消滅しているため牽引性能が大幅に低下している。サイプの深さが一定である比較例3、4、8、9では牽引性能が向上しているが、石噛みも多く発生している。また、比較例5、10では、最浅部がセンター側にずれているため、耐偏摩耗特性が劣化している。これに対して、実施例では、牽引性能と耐偏摩耗性とを従来タイヤと同レベルに維持しつつ、耐石噛み性を向上させることができた。
Figure 2008037223
Figure 2008037223
Figure 2008037223
従来の空気入りタイヤにおけるサイプの断面図を示す図である。 本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す図である。 図2のA−A断面(サイプ3の断面)を示す図である。 図2のB−B断面(サイプ3を跨ぐ断面)を示す図である。 本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す図である。 図5のC−C断面(サイプ3の断面)を示す図である。 比較例6のサイプの断面図を示す図である。 図5のD−D断面(サイプ3を跨ぐ断面)を示す図である。
符号の説明
1 主溝
2、12、 リブ
3、101 サイプ
11 ラグ溝
13 サイプの最浅部
14、104 スリット

Claims (6)

  1. タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記リブの少なくともに1つのリブに、タイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
    前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
    前記最浅部は、サイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれ、
    前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記リブの少なくともに1つのリブにタイヤ幅方向に延びるスリットが刻まれ、
    前記スリットの溝底にタイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
    前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
    前記最浅部は、サイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれ、
    前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプのタイヤ幅方向ショルダー側端部の深さは、タイヤ幅方向センター側端部の深さよりも深い請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記リブの少なくともに1つのリブに、タイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
    前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
    前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれたサイプと、前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向センター側にずれたサイプとがタイヤ周方向に交互に配置され、
    前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  5. タイヤ周方向に延びる複数の主溝がトレッドに刻まれ、複数のリブが形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記リブの少なくともに1つのリブにタイヤ幅方向に延びるスリットが刻まれ、
    前記スリットの溝底にタイヤ幅方向両側の前記主溝に開口するサイプが刻まれ、
    前記サイプの深さは最浅部から端部まで徐々に深くなっていて、
    前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向ショルダー側にずれたサイプと、前記最浅部がサイプ長さの5〜30%だけサイプの長さ方向中心よりタイヤ幅方向センター側にずれたサイプとがタイヤ周方向に交互に配置され、
    前記サイプの最浅部の深さは前記主溝深さの5〜20%であり、前記サイプの両端部の深さは前記主溝深さの40〜80%であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  6. 前記リブを形成する主溝の少なくとも一方はジグザグ状に延び、前記リブは幅狭部を有し、前記サイプは前記幅狭部に刻まれた請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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