JP2008032296A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 外管又は内管に螺旋管を用いることによる熱交換効率向上の影響を、外側流路を流れる流体の全量に及びやすい熱交換器を提供する。サイズが小さくて取扱性に優れ、しかも、容易かつ安価に製作することのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】 外管1と内管5とのうちの少なくとも一方側の管に螺旋管を用い、その螺旋管と他方側の管との相互間に形成される外側流路10の全体形状を螺旋状に形作る。この場合に、外管1と内管5との間に、外管に内管を挿入するのに必要な不可避的隙間δを確保する。外管1は、外側流路10の始部に通じる流体入口を、その終部に通じる流体出口をそれぞれ有していると共に、流体配管系の途中箇所に当該熱交換器を介在させることに用いられる継手21,22を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】 外管1と内管5とのうちの少なくとも一方側の管に螺旋管を用い、その螺旋管と他方側の管との相互間に形成される外側流路10の全体形状を螺旋状に形作る。この場合に、外管1と内管5との間に、外管に内管を挿入するのに必要な不可避的隙間δを確保する。外管1は、外側流路10の始部に通じる流体入口を、その終部に通じる流体出口をそれぞれ有していると共に、流体配管系の途中箇所に当該熱交換器を介在させることに用いられる継手21,22を有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、熱交換器、特に、外管に内管が挿入された二重管の内側流路と外側流路にそれぞれ流体を流通させてそれらの流体間で熱交換を行わせることができるようになっている熱交換器に関する。
熱交換器は、複数本の管を外管の中に並列させて熱交換モジュールを形成したタイプの多管式熱交換器、筐体の中に多数枚のプレートを並べて配備することによって蛇行状の流路を形成したプレート式熱交換器、二重管の内管と外管との相互間隙間を周方向で複数の流路に仕切ってある二重管式熱交換器などに大別することができる。これらの各熱交換器において、熱交換効率を高めるためには、2つの流体の流路を隔てている伝熱壁としての管壁を薄肉にしてその伝熱効率を向上させることと共に、伝熱面積をできるだけ広く確保することが有効であることが判っている。一方、熱交換器の取扱性を高めるためには、その熱交換器のサイズを小さく抑えることが有効であるので、熱交換効率と取扱性の両方を高めるためには、熱交換器のサイズを小さく抑えた上で伝熱面積をできるだけ広く確保し得るような対策を講じることが有益であると云える。
ところで、従来、内側チューブと外側チューブとの両方に螺旋管を用いた熱交換器が提案されていた(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1によって提案されている熱交換器では、内側チューブの螺旋ピッチを外側チューブのそれよりも小さくして伝熱面積を増大させてあると共に、その内側チューブをチタン製とすることによって材質面からも伝熱性能を上げることのできる対策が講じられている。
また、この熱交換器では、内外のチューブの相互間の流体流路の断面積を広くして必要な流量を確保するための対策として、外側チューブの径を内側チューブの径よりも十分に大きくすることによって内外のチューブの相互間の流体流路を、各チューブの軸線に沿って延びるストレート流路として形成してある。したがって、内外のチューブの相互間の流体流路を流れる流体(二次側流体)は、その内層部分については、内側チューブの螺旋溝に沿う螺旋流になるために内側チューブを流れる流体(一次側流体)の熱量が効率よく伝達されるものと考えられるけれども、二次側流体の外層部分はストレート流に近い流れになり、しかも、外層部分の流量が内層部分の流量に比べて圧倒的に多いということなどにより、その外層部分へは二次側流体自体の流動によってのみ熱が伝達されるに過ぎないものと考えられる。このことから、この熱交換器にあっては、内側チューブに螺旋管を用いて伝熱面積を増大させてあるにもかかわらず、螺旋管を用いたことによる熱交換効率向上の影響が二次側流体の全量に及びにくいという問題があると云える。
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、外管と内管とによる二重管構造を備える熱交換器において、外管又は内管に螺旋管を用いることを基本として、そのような螺旋管を用いることによる熱交換効率向上の影響が、外管と内管との相互間に形成される外側流路を流れる流体の全量に及びやすくなる熱交換器を提供することを目的とする。
また、本発明は、製作が容易でサイズを小さく抑えてその取扱性を高めた場合でも、高い熱交換効率を実現することのできる熱交換器を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、流体配管系の途中箇所に容易に介在させることのできる取扱性に優れた熱交換器を提供することを目的とする。
本発明に係る熱交換器は、外管とこの外管の内側に配備された内管との相互間に形成される外側流路と内管の内部通路によって形成される内側流路とを有して、内側流路と外側流路とを各別に流れる流体の相互間で熱交換を行わせるようになっている。そして、外管と内管とのうちの少なくとも一方側の管に螺旋管が用いられて、その螺旋管と他方側の管との相互間に形成される上記外側流路の全体形状を螺旋状に形作ってある。
この構成を採用すると、外側流路を流れる流体(二次側流体)は、その全量又はほゞ全量が、全体形状を螺旋状に形成してある当該外側流路を螺旋流となって流通する。そのため、二次側流体の流動長さが当該熱交換器の軸線方向長さに比べて非常に長くなり、その結果、螺旋管を用いることによる熱交換効率向上の影響が、外管と内管との相互間に形成される外側流路を流れる流体の全量に及びやすくなり、二次側流体への一次側流体(内管を流通する流体)からの伝熱効率が向上して高い熱交換効率が実現される。このことを言い換えると、サイズが小さくて取扱性に優れた熱交換器であっても、二次側流体がストレート流となって流通するような熱交換器に比べて高い熱交換効率を実現することができるということを意味している。
本発明では、螺旋状に延びる上記外側流路の相隣接する螺旋ループの相互間に位置して上記外管及び内管の管壁同士の対向部位によって形成されている螺旋状の仕切り部に、外管に内管を挿入するのに必要な不可避的隙間を確保させて当該仕切り部で外管と内管の管壁同士を実質的には当接させてある、という構成を採用することが望ましい。これによれば、外管に内管を挿入するだけで外管の内側に内管を配備することができるようになって、当該熱交換器を容易にかつ安価に製作することができるようになる。特に、外管や内管に一般的な配管系に汎用される螺旋管又はストレート管を用いることが可能になって、その製作工程の簡略化を促進したり、製作コストを低減化を促進したりする上で有利である。
上記不可避的隙間の広さが0mmよりも広くて2mm以下の広さであることが臨まれる。この不可避的隙間が不存在のとき、言い換えると不可避的隙間の広さが仮に0mmに定められているときには、内管を外管に挿入するのに圧入工程が必要になるおそれが生じるけれども、それが0mmよりも広い場合には、圧入工程が必要なくなって内管が外管にスムーズに挿入されるようになり、当該熱交換器の製作が容易になる。上記不可避的隙間の広さが2mmを越えると、その広さが広くなりすぎて、螺旋流を形成せずに流通する二次側流体の量が多くなりすぎ、螺旋管を用いたことによる熱交換効率向上の影響が二次側流体の全体に及びにくくなるおそれが生じる。不可避的隙間の広さが0mmよりも広くて2mm以下の広さであると、外管に内管を挿入しやすくなって当該熱交換器の製作が容易になるという作用と、螺旋管を用いたことによる熱交換効率向上の影響が二次側流体の全体に及ぶという作用との両方が発揮されて、サイズの割りに熱交換効率に優れ、しかも、取扱性に優れた熱交換器が得られる。
本発明では、外側流路を流通する流体の流量の多少に見合って、上記螺旋管の管壁の径方向での凹凸度合を調節してある、という構成を採用することが望ましい。これによれば、外側流路を流通する二次側流体の全量又はほゞ全量が螺旋流を形成するという状況を損なわずに、二次側流体の流量の多少に対処することが可能になる。
本発明において、上記外管は、上記外側流路の始部に通じる流体入口を、その終部に通じる流体出口を、それぞれ有していると共に、流体配管系の途中箇所に当該熱交換器を介在させることに用いられる継手を有している、という構成を採用することが可能である。これによれば、外管に具備されている継手を利用してその外管を流体配管系の途中箇所に接続することが可能になり、しかも、その流体配管系を流通する流体を一次側流体として、外側流路に流通される二次側流体との間で熱交換を行わせることが可能になるという利便性がある。
以上のように、本発明によれば、外管又は内管に螺旋管を用いることによる熱交換効率向上の影響が、外側流路を流れる流体の全量に及びやすくなるというだけでなく、サイズが小さくて取扱性に優れ、しかも、容易かつ安価に製作することのできる熱交換器を提供することが可能になるという効果が奏される。
図1は本発明の実施形態に係る熱交換器の一部破断側面図、図2は図1の熱交換器の一部の縦断側面図、図3は図1の熱交換器の要部の拡大縦断側面図である。
この熱交換器は、外管1と内管5とを同心状に組み合わせて配置することによって構成された二重管構造を備えている。また、この二重管構造の下では、外管1と内管5との相互間に形成される外側流路10と内管5の内部通路によって形成される内側流路50とが形成され、内側流路50と外側流路10とを各別に流れる流体の相互間で熱交換が行われる。そして、熱交換の際には内管5の管壁が伝熱壁として作用する。
図例の熱交換器では、外管1にステンレス製のストレート管が用いられ、内管5にステンレス製の螺旋管が用いられている。図3のように、内管5に用いられている図例の螺旋管は、その管壁に螺旋方向に延びる山形部51と谷形部52とが形成されていて、螺旋管の軸線方向ではそれらの山形部51と谷形部52とが交互に並んでいる。そして、上記外側流路10は、具体的には次の構成を採用することによって螺旋状に形成されている。すなわち、ストレート管でなる外管1に、その外管1にスムーズに挿入しうる範囲内でできるだけ大きいサイズの内管5を挿入してその内管5の両端部を外管1に溶接などで接合することによって上記外側流路10が螺旋状に形作られている。加えて、外管1の両端部に螺旋状の外側流路10に連通する継手11,12を溶接などで接続し、内側流路50に連通する継手21,22を溶接などで接続することによって熱交換器が製作されている。
この熱交換器において、外側流路10を螺旋状に形成するという考え方の下では、螺旋管でなる内管5の管壁の山形部51の頂部と外管1とを隙間を隔てずに当接させておくことが理想であるけれども、上記したように熱交換器の製作工程で内管5を外管1に挿入するという作業性を重視した過程を経る場合には、外管1に内管5を挿入するのに必要な不可避的隙間δを確保させておくことが要求される。したがって、この実施形態では、上記不可避的隙間δの広さを0mmよりも広くて2mm以下の広さという狭い範囲に定め、そうすることによって内管5の管壁の山形部51の頂部とストレート管でなる外管1とをできるだけ近付けて、内管5を外管1に挿入する際の円滑性が確保することと併せて、外側流路10の全体形状を実質的には螺旋状に形作ってある。なお、上記の不可避的隙間δの広さを0mmよりも広くて2mm以下の広さという狭い範囲に定める場合には、外管1の内径を20mm以下に抑えておくことが、後述する熱交換効率を高めたり流体配管系に当該熱交換器を介在させる上で有益である。
ここで、上記した山形部51の頂部と外管1との対向箇所は、螺旋状に延びる外側流路10の相隣接する螺旋ループの相互間に位置する外管1及び内管5の管壁同士の対向部位によって形成されている螺旋状の仕切り部60に相当している。
以上のように構成されている熱交換器において、2箇所の継手21,22の一方側を一次側流体入口、他方側を一次側流体出口として使用すると共に、他の2箇所の継手11,12の一方側を二次側流体入口、他方側を二次側流体出口として使用すると、内側流路50を流通する一次側流体と外側流路10を流通する二次側流体との間で熱交換が行われる。この場合において、外側流路10を流通する二次側流体の一部、すなわちきわめて少量の二次側流体は仕切り部60を通過するストレート流となって流通するけれども、残りのほとんどの二次側流体は、螺旋状に延びる外側流路10に沿って内管5の外周面に接触しながらその周囲で螺旋流を形成して流通する。そのため、二次側流体の流動長さが当該熱交換器の軸線方向長さに比べて非常に長くなり、しかも、二次側流体のほゞ全量が一次側流体と直接的に熱交換を行うようになる。また、上記した仕切り部60を通過してストレート流となって流れる二次側流体も、一次側流体と直接的に熱交換を行うようになる。これらのことから、内管5に螺旋管を用いたことによる熱交換効率向上の影響が、二次側流体の全量に及びやすくなり、二次側流体への一次側流体(内管を流通する流体)からの伝熱効率が向上して高い熱交換効率が実現される。
なお、一次側流体と二次側流体とを向流としたり並流としたりすることは、一次側流体の入口や出口に上記した継手11,12のいずれを利用するかということや、二次側流体の入口や出口に上記した継手21,22のいずれを利用するかということによって適宜選択することが可能である。
この実施形態において、外管1や内管5にその管壁の肉厚が1mm程度の所謂薄肉管を用いると、内管5の管壁によって発揮される高い伝熱性能が一次側流体と二次側流体との熱交換効率に反映されることは勿論である。
また、この実施形態では、外管1及び内管5として、共に市販の汎用的なステンレス管を用いてあり、そうすることによって材料コストを安価に抑えてある。このため、この実施形態の熱交換器は、上記したような簡略化された組立工程を採用していることと相まって、きわめて安価に提供することができるようになった。
図4は他の実施形態に係る熱交換器の要部の一部破断側面図である。この熱交換器では、内管5の管壁の山形部51や谷形部52の形状が図3に示したものと異なっているだけであり、その他の点は図1〜図3を参照して説明したものと同様である。
図5は外管1に螺旋管を用い、内管5にストレート管を用いたさらに他の実施形態に係る熱交換器の要部の一部破断側面図である。この熱交換器では、外管1の谷形部52と内管5との対向部位が図3を参照して説明した仕切り部60に相当している。その他の点は図1〜図3を参照して説明したものと同様である。
図6はさらに他の実施形態に係る熱交換器の要部の一部破断側面図である。この熱交換器では、内管5にコルゲート螺旋管を用いているために、その管壁の山形部51や谷形部52の形状が図3に示したものと異なっているだけであり、その他の点は図1〜図3を参照して説明したものと同様である。
図7はさらに他の実施形態に係る熱交換器の要部の一部破断側面図である。この熱交換器では、外管1にコルゲート螺旋管を用い、内管5にストレート管を用いていて、外管1の谷形部52と内管5との対向部位が図3を参照して説明した仕切り部60に相当している。その他の点は図1〜図3を参照して説明したものと同様である。
以上説明した各実施形態では、外管1と内管5のいずれか一方だけに螺旋管を用い、他方にはストレート管を用いた事例を説明したけれども、外管1と内管5の両方に螺旋管を用いることも可能である。この場合には、外管の谷形部と内管の山形部との対向部位が上記した仕切り部に相当することになる。
ところで、この発明に係る熱交換器では、外側流路10を流通する一次側流体の流量が多いときには、螺旋管を用いている外管1又は内管5の山形部と谷形部との凹凸度合を増大させてその流量を確保することが可能であり、一次側流体の流量が少ないときには、螺旋管を用いている外管1又は内管5の山形部と谷形部との凹凸度合を減少させてその流量に合わせることが可能である。したがって、外側流路10を流通する一次側流体の流量の多少に見合って、螺旋管の管壁の径方向での凹凸度合を調節しておくと、一次側流体の流量を適切に確保することが可能になる。
また、図1などに示した熱交換器では、外管1の両端部の継手21,22を利用して、当該熱交換器を流体配管系の途中箇所に介在させることが可能である。そのため、大掛かりの熱交換設備を用いることなく、流体配管系を流通する流体を一次側流体として、その熱を回収したりすることが可能になるという利点がある。
図1〜図7に示した各実施形態では、同一又は相当する部分に同一の符号を付すことによってその説明を簡略にしてある。
1 外管
5 内管
10 外側流路
50 内側流路
60 螺旋状の仕切り部
δ 不可避的隙間
5 内管
10 外側流路
50 内側流路
60 螺旋状の仕切り部
δ 不可避的隙間
Claims (5)
- 外管とこの外管の内側に配備された内管との相互間に形成される外側流路と内管の内部通路によって形成される内側流路とを有して、内側流路と外側流路とを各別に流れる流体の相互間で熱交換を行わせるようになっている熱交換器であって、
外管と内管とのうちの少なくとも一方側の管に螺旋管が用いられて、その螺旋管と他方側の管との相互間に形成される上記外側流路の全体形状を螺旋状に形作ってあることを特徴とする熱交換器。 - 螺旋状に延びる上記外側流路の相隣接する螺旋ループの相互間に位置して上記外管及び内管の管壁同士の対向部位によって形成されている螺旋状の仕切り部に、外管に内管を挿入するのに必要な不可避的隙間を確保させて当該仕切り部で外管と内管の管壁同士を実質的には当接させてある請求項1に記載した熱交換器。
- 上記不可避的隙間の広さが0mmよりも広くて2mm以下の広さである請求項1又は請求項2に記載した熱交換器。
- 外側流路を流通する流体の流量の多少に見合って、上記螺旋管の管壁の径方向での凹凸度合を調節してある請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した熱交換器。
- 上記外管は、上記外側流路の始部に通じる流体入口を、その終部に通じる流体出口を、それぞれ有していると共に、流体配管系の途中箇所に当該熱交換器を介在させることに用いられる継手を有している請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した熱交換器。
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