JP2008032187A - 作業機械の油量制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】何の問題も生じることなく、ロードセンシング制御と再生回路の両者の長所を活かすことができる技術を提供しようとする。
【解決手段】回路の油圧を検出し、その検出値を基準にシリンダ1への圧油量を制御させる油圧信号ラインを備えた油圧回路に、再生回路4を付加させた油圧回路における油量制御方法である。制御手段5は、前記再生回路4が再生状態のとき、再生油量に相当する油量を減少させる絞り指令を、前記回路のコントロールバルブ3に対し出力する。
【選択図】図1

Description

この発明は、作業機械の油量制御方法に関する。
作業機械の油圧回路としてロードセンシング回路が採用されている。これは、回路中のシリンダに不足なく圧油を供給しようとするもので、シリンダの操作レバー位置だけでなく、回路中の油圧量を計測のうえ、マージン圧を考慮したシリンダ負荷圧を算定し、その算出値に基づき回路に供給するポンプ流量を制御する(例えば、特許文献1参照)。もっとも、シリンダに大きな負荷がかかり、エンジンが最も効率よく馬力を出力できる回転数より下がった場合は、電子制御システムによりポンプ流量を減少させ、エンジン回転数を維持するように制御されるが、いずれにしても、ロードセンシング回路を主とした流量制御により、エンジンはストールすることなく、また負荷に関係なく一定のレバーストロークにより対象アクチュエータを作動させるものとなっている。
ところで、作業機械によっては、ブーム下げ時のアクチュエータ速度の向上とポンプ流量の節減を図るために、ブームシリンダのロッド側からヘッド側に圧油を戻す再生回路が用いられるものがある(例えば、特許文献2参照)。この再生回路では、シリンダ縮み方向動作時、シリンダヘッド圧がロッド圧より高い場合に、ヘッド側からロッド側に作動油を戻す再生が行われ、シリンダ縮み動作が終了に近づき、ロッド圧がヘッド圧より高くなれば再生が終了する。
実開平6−84005号(0001段、0002段、図2及び3) 特開2006−9888号(0002段)
したがって、前記再生回路を前記ロードセンシング回路が配置された作業機械に適用すれば、理論上、シリンダ負荷に応じた適正なポンプ流量制御が図れたうえ、ブーム下げ時のアクチュエータ速度の向上とポンプ流量の節減が図れることになる。
しかし、両回路を実際の油圧回路として併存させようとすると、適正なロードセンシング制御が生じ得ない事態となる。このことを、両回路を併存させた回路の一例である図2を用いて説明する。ロードセンシング回路の制御では、ブームシリンダ1とメインバルブ3との間の油圧値をメインにポンプ2の斜板を制御するので(図示上、Aが検出ポイントであり、その地点の油圧値がポンプ2に送られる)、再生が行われるとその再生油分(リサイクル分)、メインバルブ側の油圧値と差異が生じてしまう。その結果、差異が生じたまま、シリンダ負荷を算定してしまうことになるので、ポンプ2からは不必要な流量(再生油分を考慮しない量)を吐出することになってしまうのである。
この結果、ロードセンシングの本来的意図であるシリンダ圧の適正制御が図れないことはもとより、再生回路が意図するポンプ流量の節減効果も生じ得ないことになる。
この発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、何の問題も生じることなく、ロードセンシング制御と再生回路の両者の長所を活かすことができる技術を提供しようとするものである。
このため、この発明に係る作業機械の油量制御方法は、回路の油圧を検出し、その検出値を基準にシリンダへの圧油量を制御させる油圧信号ラインを備えた油圧回路に、再生回路を付加させた油圧回路における油量制御方法であって、
前記再生回路が再生状態のとき、制御手段により、再生油量に相当する油量を減少させる絞り指令を、前記回路のコントロールバルブに対し出力することを特徴とする。
ここで、本発明は、回路の油圧値を検出し、その検出値を基準にシリンダへの圧油量を制御させるものとなっており、これは、いわゆるロードセンシング回路における圧油流量制御である。すなわち、本発明は、いわゆるロードセンシング回路に再生回路を付加させた油圧回路を前提としている。また、再生回路とは従来技術で説明したとおりのものであり、さらに、その再生回路が再生状態にあるとは、再生回路において再生油が流れている状態、より具体的にはシリンダヘッド側の圧油が再生回路を通ってロッド側へ流れている状態をいう。また、前記コントロールバルブは、再生回路を含めた、油圧ポンプからシリンダ及びシリンダからタンクまでの回路全体の油量を制御するコントロールバルブである。
本発明によれば、ロードセンシング回路と再生回路とを何の問題もなく併存させることができる。すなわち、通常状態であれば、いわゆるロードセンシング回路の制御によってポンプ流量が制御される一方、再生回路が再生状態にあるときには、再生油分の油量を減少させてポンプ流量が制御される。したがって、ロードセンシング回路によるシリンダ圧の適正制御と、再生回路によるアクチュエータ作動速度の向上、ポンプ流量の低減による燃費向上という効果が一つの回路で得られるものとなる。
本発明に係る具体的形態の一例を図1に基づき説明する。以下説明する形態例は、いずれも油圧ショベルの油圧回路に本発明が用いられる例である。なお、適用対象を含め、本発明が以下の形態例に限定されないことは当然である。
図中、1はブームシリンダ、2はメインポンプ、3はメインコントロールバルブ、4は再生用調整バルブ、5は制御手段であるコントローラである。
まず、本形態例の回路は、ロードセンシング回路を前提としている。すなわち、回路中には油圧値検出ポイントAが設けられ、この検出ポイントAからメインポンプ2に油圧信号ラインが形成される。メインポンプ2は、この信号ラインからの信号によって斜板が制御され、その吐出量が制御される。このように、油圧値検出ポイントAからの検出値が、ポンプ2吐出圧制御の指令信号となるロードセンシング回路が形成されている。
次に、本形態例の回路では、ブームシリンダ1とメインコントロールバルブ3との間に、再生用調整バルブ4が配置される。該バルブ4に加え、チェックバルブとから回路が形成され、この回路はブームシリンダ1のヘッド側がロッド側より圧が高いときに、シリンダヘッド側からロッド側に圧油が流れる、いわゆる再生回路となっている。これにより、ブーム(図示なし)が下げ状態となったとき、ヘッド側の圧がロッド側より高くなっている間は、再生回路からロッド側に圧油が流入することになり、ブーム下げ動作速度の向上と、圧油の節減が図れる。
また、該再生回路において圧油が流れているとき、再生用調整バルブ4からその再生状態を示す信号が前記コントローラ5に出力される。このコントローラ5には、操作レバー7から位置信号も入力される。この位置信号に対応したブームシリンダ1の想定圧(マージン圧を含む)がテーブルに設定されている。また後述するように、コントローラ5は、前記メインコントロールバルブ3に対して制御指令を出力する。
該メインコントロールバルブ3は、電磁比例弁によってメインステムのストロークが制御され、その電磁比例弁の動作はコントローラ5からの指令信号に基づく。電磁比例弁によるメインステムのストローク量の調整は、油圧ポンプ2からシリンダ1に流れる油路(P−C)と、シリンダ1からタンクへ落ちる油路(C−T)の両方の油量の絞り量の調整となり、回路全体に流れる油量の調整となる。換言すれば、その調整により、回路全体に流れる油量が切り換わる(すなわち、後述する図3のグラフに示すように操作レバー7のストロークが同じでも、P−C及びC−Tへの油量が減少することになる)。
本形態例の特徴は、前記コントローラ5に再生状態を示す信号が入力されたときである。そのとき、コントローラ5は、メインコントロールバルブ3に対して、絞り量を制限するように、すなわちステムストローク量を減少させるように指令出力をする。この指令におけるストローク量、つまり絞り量は再生油量を考慮したもの(再生油分相当量)であり、その値はコントローラ5の前記テーブルに予め算定されて設定されている。したがって、コントローラ5は、操作レバー7の位置信号と再生状態を示す信号とから、対応する絞り量をテーブルから抽出し、その絞り量を減圧指令信号として、前記メインコントロールバルブ3に対して出力する。指令を受けたメインコントロールバルブ3は、電磁比例弁を介して、その指令値(絞り量)に相当するステムストローク量を減少させる。
この制御によるレバーストロークに対するコントロールバルブ3の開口面積(絞り量)変化をグラフに示したのが図3である。同グラフは、本形態例における、通常時の場合と再生時の場合の、それぞれの操作レバー7のストロークと、メインコントロールバルブ3の前記P−C油路及びC−T油路の開口面積(絞り量)との関係を示している。同グラフに示すように、作動油再生時には、コントローラ5の上記制御によって、回路へ送られるポンプ2からの吐出流量が減少し、ロードセンシング制御に基づく再生回路の再生が促される。
以上のように、本形態例では、再生状態にない通常状態であれば、通常のロードセンシング制御が行われ、またブームを下げる時のように、圧油の再生が行われる状態となれば、再生のリサイクル分の圧油を考慮して、回路の油量が減少するように制御される。
したがって、本形態例では、通常時はロードセンシング制御によりポンプ2の適正流量制御が行われながら、再生時は、再生回路によるブームシリンダ1作動速度の向上と、ポンプ流量低減による燃費向上が図れる制御となる。
しかも、装置構成としては、既存のロードセンシング回路と再生回路を組み合わせたうえ、その制御をコントローラ5で指令するだけで済むので、既存の回路に大幅な変更を加えることなく、実現可能な形態となっているので、コスト的にも低廉で済むものとなっている。
この発明は、作業機械の油圧回路として適用可能である。
本発明の実施形態例の回路図である。 ロードセンシング回路に再生回路を単に付加した形態の回路図である。 レバーストロークに対するコントロールバルブ3の開口面積(絞り量)変化を示したグラフである。
符号の説明
1 ブームシリンダ
2 メインポンプ
3 メインコントロールバルブ
4 再生用調整バルブ
5 コントローラ(制御手段)

Claims (1)

  1. 回路の油圧を検出し、その検出値を基準にシリンダへの圧油量を制御させる油圧信号ラインを備えた油圧回路に、再生回路を付加させた油圧回路における油量制御方法であって、
    前記再生回路が再生状態のとき、制御手段により、再生油量に相当する油量を減少させる絞り指令を、前記回路のコントロールバルブに対し出力することを特徴とする作業機械の油量制御方法。
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