JP2008031735A - 塔状構造物の制振装置 - Google Patents

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隆文 伊藤
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Abstract

【課題】主架構にダンパーを組み込んだ制振装置及びTMDの持つ機能の欠点を相互に補いつつ、利点のみを発揮できる構成として、地震時における塔状構造物の応答をより効果的に低減し、信頼性の高い補強を可能にする塔状構造物の制振装置を提供すること。
【解決手段】塔状構造物1に装備される制振装置であって、塔状構造物1の内部空間を利用して、その塔状構造物の上部から吊り下げられる振り子2と、振り子と塔状構造物との間に設けられる複数の減衰装置3とを備える。振り子2は、塔状構造物1の高さ方向に延びる棒状の重りを含む構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信鉄塔や煙突などの塔状構造物に装備される制振装置の技術に関するものである。
既存通信鉄塔などの鋼製塔状構造物は、耐震性が低い場合、大地震時には倒壊の恐れがあり、早急な耐震補強が必要となる。耐震補強には耐力不足の度合いに応じて様々な方法があるが、一般的には許容応力度を越えた箇所の部材交換や部材付加など、地震時の発生応力を低減させる方法が用いられている。
一方、補強箇所が多いと、上記手法は重量や剛性の増加と共に入力地震動がさらに増したり、受風面積が増加するなど必ずしも経済的でない場合がある。そこで、弾塑性ダンパーやオイルダンパーなどのダンパー(減衰装置)やTMD(tuned mass damper)などを構造物に組み込むことで、地震時における構造物の応答を低減させ、大地震下でも部材の許容応力度以内に発生応力を抑える方法が用いられている。
特開2005−83401号公報
このように補強箇所が多い場合、構造物に弾塑性ダンパー、オイルダンパーなどのダンパーやTMDを組み込んで、構造物の応答低減を図る方法がある。しかし、ダンパーによる場合は、既存の主要部材の取り替えなど、主架構に手を加えることが多く、補強時の精度、品質管理には労力を有する。また、地震時には弾塑性ダンパーの場合、塑性化によって生じた残留変形が主要部材に残ることから、架構そのものに変形が残る可能性が高い。
一方、TMDによる補強は、振動体に同調させた単一成分に減衰効果が限定されることから、複数の周期成分で卓越するような地震動に対して効果を発揮しにくい点がある。またダンパーを取り付ける支持部材に大きな反力を生じるため、補強そのものが困難なケースもある。
よって、本発明の課題は、主要架構にダンパーを組み込んだ制振装置及びTMDの持つ機能の欠点を相互に補いつつ、利点のみを発揮できる構成とすることで、地震時における塔状構造物の応答をより効果的に低減することができ、しかも、信頼性の高い補強を可能にすることができる塔状構造物の制振装置を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。
本発明は、塔状構造物に装備される制振装置であって、塔状構造物の内部空間を利用して、その塔状構造物の上部から吊り下げられる振り子と、振り子と塔状構造物との間に設けられる複数の減衰装置とを備え、振り子は、塔状構造物の高さ方向に延びる棒状の重りを含む構成とした。
本発明によれば、棒状の重りで振り子を構成し、その振り子を塔状構造物の内部空間を利用して上部から吊り下げているので、振り子の長さを変化させる(予め調節する)ことで、自由に振り子の周期を調節し、減衰装置により効果的に地震時の塔状構造物の応答を低減することが可能になる。また、地震動の単一成分に制振効果が制限されることなく、TMD単独の場合よりも適用範囲が広いという利点がある。
また、補強工事の際は既存の主柱材などの主架構に手を加えることがないため、信頼性の高い補強が可能である。さらに、塔状構造物と振り子の周期を離すことにより、地震動に対して、塔状構造物か振り子のどちらか一方が共振すれば、両者に相対変位、相対速度が生じ、各減衰装置が地震エネルギーを吸収するため、地震時には効果的な応答低減機能(制振効果)を発揮させることができる。
ここで、前記振り子としては、塔状構造物の中心軸線に沿って塔状構造物の高さ方向に延びていることが望ましい。このようにすれば、塔状構造物の重心上に、若しくは重心付近に振り子を配置することができるので、重心の偏りを防止して塔状構造物全体のバランスを維持する構成とすることができる。さらに、振り子を、塔状構造物の中心軸線に沿って配置することで、塔状構造物の内部空間を有効利用することができる。
本発明において、前記減衰装置は、塔状構造物の高さ方向に間隔をおいて複数段に配置されていることが望ましい。このように減衰装置を複数段に配置した場合、減衰装置の分散化によって減衰装置自体の小型化を図ることが可能になる。さらに、減衰装置の反力部材に大きな曲げ応力がかからないように配慮することができる。
本発明において、前記塔状構造物は、平面矩形の四隅に主柱材がそれぞれ配置された鋼製鉄塔であり、それら各主柱材と振り子との間に、減衰装置がそれぞれ配置されていることが望ましい。このように構成した場合、各減衰装置によって振り子を鋼製鉄塔の中央部に位置決めする形態とし、各減衰装置の反力部材を四隅の主柱材にそれぞれ分散した構造とすることができる。これにより、主架構の補強工事等を不要にすることが可能になる。また、本発明においては、主柱材と振り子の間に減衰装置を配置するので、平面形状が矩形の塔状構造物に限らず、三角形、矩形以上の多角形、あるいは円形のものにも適用することができる。
前記減衰装置としては、振動入力時の振り子と塔状構造物間の相対速度を利用して減衰要素を作動させ、振動エネルギーを吸収するオイルダンパーを含むことが望ましい。
前記振り子としては、鋼材のみやコンクリートなど、重量のあるものであれば何でもよいが、特に、鋼管内にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管と、そのコンクリート充填鋼管の上端側を前記塔状構造物の上部に連結して吊り下げる吊り下げ手段とを含む構成とすることが望ましい。例えば、吊り下げ手段にワイヤーロープやチェイン等を用いた場合、その一部をコンクリート充填鋼管のコンクリート内に埋め込んだ構成とすることもできるからである。
本発明に係る塔状構造物の制振装置によれば、主要架構にダンパーを組み込んだ制振装置及びTMDの持つ機能の欠点を相互に補いつつ、利点のみを発揮できる構成とすることができる。これにより、地震時における塔状構造物の応答をより効果的に低減することができ、しかも、信頼性の高い補強を可能にすることができる。
以下、本発明の好適な実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例では、本発明を鋼製塔状構造物としての通信鉄塔に適用した例について説明する。
図1は本発明の制振装置を装備した通信鉄塔の概略立面図であり、図2はダンパーの平面配置を示す図である。この通信鉄塔1は、図2に示すように平面視において四隅に位置する4本の主柱材11、それらの主柱材11を連結する複数の水平材12、上下方向に延
びる斜め材として用いられる斜材13、水平方向に延びる斜め材として用いられる水平斜材(図示せず)、等の鉄塔構成材からなる。この実施例の通信鉄塔1は、各鉄塔構成材に鋼管が用いられた、いわゆる鋼管鉄塔として構成されているが、各鉄塔構成材にアングル材を用いた通常の鋼製鉄塔にも適用することができる。
この実施例の制振装置は、通信鉄塔(以下鉄塔と略す)1の上部(頂部)1a付近から、鉄塔1の内部空間Aを利用して鉄塔1の上下方向に延びるように吊り下げた棒状の重りからなる振り子2と、この振り子2と四つの主柱材11との間に配置した複数の減衰装置3とを備えている。
振り子2は、例えば鋼管内にコンクリートを充填して製作した棒状の重りであり、図2に示すように、鉄塔1の横断面の中央部(中心軸線)を通る形態で上下に延びている。この振り子2の上端は、鉄塔1の頂部付近1aに対してピン支持により吊り下げられている。これにより、振り子2の下端は水平面内の360度の任意の方向へ変位(振り子動作)可能に構成されている。
振り子2の吊り下げ金具としては種々考えられるが、例えばUクレビス(シャックル)を上下に二個ないし三個連結して振り子動作の方向性を除いた、いわゆる自在継ぎ手タイプのもの、吊り下げ用ワイヤーロープやチェイン等を利用して振り子動作の方向性を除いたもの、或いは遊動環方式や、方向性のないユニバーサルジョイントなどが、製作性の点で好適である。
例えば、ワイヤーロープを使用する場合には、図3に示すように、吊り下げ手段21を介して振り子2の鋼管(充填コンクリート鋼管)2aを吊り下げる構成とすることができる。即ち、振り子2の鋼管2a内に充填したコンクリート2b内にワイヤロープ2cの一部を埋め込み、残りの部分を鋼管2aの上端から露出させ、シャックル2dを利用して、頂部付近の支持材1bに連結して振り子2を吊り下げる構成とすることもできる。
減衰装置3には、例えばオイルダンパーが用いられている。この減衰装置3の配置については、振り子2が鉄塔1の横断面の中央部(鉄塔1の中心軸)を通る点、ダンパーの反力部材に充分な強度を有する主柱材11を利用できる点に配慮して、四つの主柱材11で形成される矩形の二つの対角線方向に沿う配置(一段に4組×2方向配置)としている。
即ち、図2に示すように、四つの主柱材11のそれぞれに各減衰装置3の一端側を連結し、各減衰装置3の他端側を振り子2に連結している。減衰装置3の一端側と主柱材11との連結部、及び減衰装置3の他端側と振り子2との連結部はいずれもピン結合(図示せず)としている。これは、振り子2が振り子運動する際に、その下端は円軌道を描くため、これを許容する連結構造とする必要があるからである。
上記の構成の減衰装置3は、図1に示すように、必要に応じて上下に間隔をおいて多段に配置される。この減衰装置3の段数については、振り子2の長さや重量、装備する制振装置の目的とする制振効果等についても左右されるが、好ましくは2段以上配置される。そうした方が、減衰装置3の反力部材となる主柱材11に大きな曲げ応力がかからないように配慮することができるからである。これにより、主架構の補強工事等を不要にすることが可能になる。
この実施例の制振装置によれば、振り子2は鉄塔1の頂部付近1aから吊り下げられているので、その長さを長くすることにより周期を変更でき、長周期化が可能となる。従って、振り子2の周期を鉄塔1の周期と予め大きく離しておくことにより、短周期地震動に対しては振り子2は振動せず、減衰装置3の両端の相対変位、相対速度に比例して減衰力
を生み、鉄塔1の揺れを低減する作用を発揮する。
この際、振り子2は、その質量を十分なものとしておくことで、各減衰装置3の反力部材として機能させることができる。また、長周期地震動に対しては、逆に振り子2が共振し、鉄塔1は振動しないように機能させることができるため、各減衰装置3の働きにより鉄塔1の揺れを低減させることができる。
即ち、この実施例によれば、振り子2の長さを変化させることで、自由に振り子2の周期を調節し、減衰装置3により効果的に地震時の鉄塔1の応答を低減することが可能になる。また、地震動の単一成分に制振効果が制限されることなく、TMD単独の場合よりも適用範囲が広い。
補強工事の際は既存の主柱材11などの主架構に手を加えることがないため、信頼性の高い補強が可能である。さらに、鉄塔1と振り子2の周期を離すことにより、地震動に対して、鉄塔1か振り子2のどちらか一方が共振すれば、両者に相対変位、相対速度が生じ、各減衰装置3が地震エネルギーを吸収するため、地震時には効果的な応答低減機能(制振効果)を発揮させることができる。
次に、塔状構造物の耐震性能の向上を図るために、長周期振り子を用いた塔状構造物の制振機構に関する解析的検討結果について、以下に説明する。
<振り子による制振機構の概要>
制振機構の開発に当たり、塔状構造物の振動性状に与える様々なパラメータに着目した。まず構造物側のパラメータとしては、M(質量)・C(減衰)・K(バネ)があるが、既設構造物への適用なども考慮すると、MやKに比べて調整がしやすく、かつ安定した効果が期待できることから判断して、C(減衰)を付加することが適切であると考えられる。
また外乱としては、塔状構造物脚部での入力地震波となるが、対象とする地震と震源距離、建設地の地盤特性、塔状構造物を支持する下部構造物の振動特性(特に建屋屋上構造物の場合)などの要素に影響を受けるため、その大きさのみならず周期特性も多様である。そのため様々な周期特性を有する外乱に対しても、安定した効果を発揮するための機構が必要となる。
そこで開発したのが、塔状構造物の1次固有周期に対して数倍の1次固有周期を有し、かつ様々な外乱の卓越周期とも共振を起こす可能性が低く、十分に周期の長い振り子(5〜10秒程度)による制振機構である。つまり「塔状構造物に対して大きな減衰を付加することができ、かつ様々な周期特性を有する塔状構造物や外乱に対して効果が期待できる」機構である。
具体的には、構造物頂部より鋼棒を吊下げて振り子を形成し、振り子と構造物間にオイルダンパー等の減衰要素を配置する。地震時の振り子と構造物間の相対速度を利用して減衰要素を作動させ、振動エネルギーを吸収して耐震性を向上させることをねらいとしている。
<検討モデルと検討方法>
(検討モデル)
検討モデルは、長さの異なる振り子(鋼管とコンクリートで構成)を鉄塔上部より吊下げ、鉄塔モデルの高さ方向数箇所に、水平方向にダンパー(減衰係数C)支持するモデルとした(図1)。
(対象鉄塔概要)
検討対象鉄塔は、建屋屋上に設置された実長57m、重量は1200kN程度の四脚鋼管トラス屋上鉄塔である。主柱材はφ355.6×7.9〜φ508.0×14.0(STK400, STK490)である。鉄塔単体の1次固有振動数は、1.44Hzである。
(鉄塔解析モデル)
解析モデルは鉄塔のみを対象とし、主柱材、水平材、斜材、水平斜材を下記要領で忠実にモデル化した立体骨組み弾性モデルとする。主柱材、水平材は軸力および曲げを、斜材・水平斜材は軸力のみを考慮する。重量は、主柱材や斜材の交点に質点を設け、上下節の重量を支配高さに応じて分配する。また鉄塔に設置されるアンテナやステージ等の重量も質点に分配する。
(吊下げ振り子のモデル化)
吊下げ振り子は下記要領でモデル化した。
振り子は、鉄塔の節の長さに対応する位置に質点を設けたビーム要素と、質点間に配置した振り子のばねでモデル化する。重量(W)は上下節の支配長に応じて各質点に分配する。振り子のばね(K)は、自重による質点間の張力(T)を算出し、質点間の長さ(L)で除した諸元として図4の要領で算出する。
(振り子諸元と検討ケース)
鉄塔上部より吊下げる振り子は、最下層主柱材と同じ断面の鋼管を仮定し、原則として内部にコンクリートを充填するものとした。剛性は鋼管とコンクリートに分けてそれぞれ求め、両者を加算して評価した。
表1に振り子諸元と検討ケースを示す。ここでの検討は、鉄塔パネルの交点に設置したダンパー位置に同じ値の減衰係数Cを与え、複素固有値解析を行って鉄塔1次振動に付加される減衰定数を検討することとした。
Figure 2008031735
(固有値解析結果)
水平支持するダンパー(減衰係数C)を無視して計算した実固有値解析結果について、各ケースの振り子と鉄塔1次の固有振動数を表2に示す。振り子の振動数は、振り子が長くなる程低くなるが、重量(コンクリート充填有無)の影響は受けない。一方鉄塔全体の振動数は、振り子重量の影響を受けるため、振り子の長さやコンクリート充填の有無により変動する。
Figure 2008031735
<まとめ>
ここでは、既設塔状構造物の耐震性向上方策や、新設構造物への付加的な耐震要素としての制振機構として、長周期振り子を用いた制振機構を提案した。効果的な振り子諸元を明確にするために、振り子の長さ・振り子の重量(コンクリート充填有無)・ダンパー段数などを変化させた。また実固有値解析により、振り子・鉄塔の振動が卓越する1次固有振動数を求めた。
次に、塔状構造物に対して長周期振り子を用いた制振機構の複素固有値解析、地震応答解析結果と考察を示す。
<複素固有値解析>
水平支持するダンパーの減衰係数(C)を変化させ、複素固有値解析により求めたダンパー減衰係数を図5に示す。鉄塔1次に付加される減衰定数は、振り子の長さが長い程大きく、L=33.6mの鋼棒にコンクリートを充填したケース3では、7%以上の付加減衰が期待できる。ただし、コンクリートが充填されないケース4では、同じ長さの振り子でも付加減衰は1%程度に留まる。以上より振り子と鉄塔間に減衰要素(減衰係数C)を配置する制振構法では、鋼棒内にコンクリートを充填し、重量を重くする必要があることが分かる。
<地震応答解析>
図5に示すように、ケース3(L=33.6m(コンクリート充填))が最も応答低減効果が期待できることが複素固有値解析で判明した。そこで表3、図5に示す2つのダンパー諸
元(ケース3 条件1、条件2)を設定し、地震応答解析を行うと共に現状鉄塔の応答と比較することで応答低減効果を検討した。
Figure 2008031735
(解析条件)
・地震波入力位置は鉄塔基部とする。
・地震応答解析は弾性解析とし並進2方向別々に行う。
・鉄塔の減衰定数は1%(各次一定)とする。
・入力地震波は表4に示すように鉄塔を支持する建屋屋上の応答波形と告示波とする(なおこれらの地震波の大きさは、工学的基盤に平12建告1461号の極めて稀に発生する地震動を入力した場合に相当する)。
Figure 2008031735
<応答解析結果>
(鉄塔の振動振幅)
・振り子制振組込み補強時の最大応答変位は、入力地震波により低減度合はやや異なるものの、現状鉄塔の応答値に比べ低減する。
・複素固有値解析で最も付加減衰が大きかったケース3、条件1では現状の応答結果と比較して、応力は半減した。
・応答加速度については、高次の振動成分が関与するためか減衰係数を変えたケースでも大きな差はなく、加速度がほぼ半減する効果が確認できる。
(鉄塔の部材力)
・振り子制振組込み補強時の鉄塔部材力は、入力地震波により低減度合はやや異なるものの、現状鉄塔の部材力に比べ低減する。
・振り子制振の減衰係数を3.5kN・s/m(条件1)にした補強対策は、15kN・s/m(条件2)とした対策に比べ、部材力の低減効果は大きく、部材力がほぼ半減する制震効果が確認できる。
(鉄塔部材の強度評価)
主柱材、斜材、水平材の最大応力度を現状鉄塔の最大応力度に対する比で表し図6に示す。また現状鉄塔NG部材に着目し、同部材応力度比の最少と最大をピックアップすると下記のようであり、減衰係数3.5kN・s/mのケース(条件1)は応力度をほぼ半減する効果が確認できる。
条件1 条件2
〔C=3.5kN・s/m〕 〔C=15kN・s/m〕
・主柱材 0.47〜0.52 0.60〜0.66
・斜材 0.49〜0.53 0.55〜0.66
・水平材 0.48 0.66〜0.67
(設置ダンパーの作動量)
本構法は、鉄塔の部材力を半分程度に低減する制振性能を有するものの、減衰要素に要求される性能の中で特に相対速度を満足することが難しい(通常100cm/s程度まで許容)。
(地震応答に及ぼす減衰の影響)
ここでは、建築物荷重指針(’93)と道路橋示方書(耐震設計編)の減衰補正係数に着目し、減衰定数による応答スペクトル値の変化と前述の解析結果を比較し、振り子制振鉄塔の減衰と地震応答の関係を検討した。現状鉄塔に対する振り子長33.6mの振り子制振応答比は、減衰定数のみの影響としてみた場合、道路橋示方書の減衰定数補正係数に準じた応答スペクトル比にほぼ対応する。
(振り子全長<33.6mに対する応答比の推定)
上記結果より、道路橋示方書の減衰定数補正係数に準じた応答スペクトル比を適用し、振り子長が16mの場合と24.8mの場合の応答比を推定した。なお両者は鋼管内にコンクリートを充填した場合を対象とし、その減衰定数は、複素固有値解析で求めた最大付加減衰の場合と、減衰係数として15KNs/mを採用した場合の下記2通りを考えた。推定結果を図8に示す。現状鉄塔に対する振り子長16mの場合の応答比は0.75〜0.8程度になり、振り子長24.8mの応答比は0.65〜0.7程度になることが推定される。
<まとめ>
長周期振り子を用いた制振機構は、鋼棒内にコンクートを充填し、重量を重くすると共に剛性を高めた振り子を形成することで、オイルダンパーの作動性能と鉄塔全体の減衰性能を増し、応答を低減する効果が期待できる。ただし以下の点に注意する必要がある。
(1)入力地震の種類及びレベルによっては、設置する減衰装置の使用限界を超える可能性がある。
(2)減衰装置の配置・減衰係数によって効果が変動するため、必要性能に応じた設計が必要となる。
本発明の実施例に係る塔状構造物の制振装置を示す概略立面図。 本発明の実施例に係る制振装置のダンパーの平面配置図。 本発明の実施例に係る塔状構造物の制振装置の吊り下げ手段を示す一部断面図。 本発明の実施例に係る振り子のモデル化の説明図。 本発明の実施例に係る制振装置の鉄塔一次に付加される減衰定数を示すグラフ。 制振装置の現状と対策後の応力比較を示すグラフ。 本発明の実施例に係る制振装置の解析応答比と補正係数の比較を示すグラフ。 本発明の実施例に係る制振装置における振り子長が短い場合の応答比の推定を示すグラフ。
符号の説明
1 塔状構造物(鉄塔)
11 主柱材
12 水平材
13 斜材
2 振り子
21 吊り下げ手段
2a 鋼管
2b コンクリート
2c ワイヤーロープ
2d シャックル
3 ダンパー(減衰装置)

Claims (6)

  1. 塔状構造物に装備される制振装置であって、
    前記塔状構造物の内部空間を利用して、その塔状構造物の上部から吊り下げられる振り子と、
    前記振り子と塔状構造物との間に設けられる複数の減衰装置とを備え、
    前記振り子は、塔状構造物の高さ方向に延びる棒状の重りを含む、塔状構造物の制振装置。
  2. 前記振り子は、前記塔状構造物の中心軸線に沿って塔状構造物の高さ方向に延びている、請求項1に記載の塔状構造物の制振装置。
  3. 前記減衰装置は、前記塔状構造物の高さ方向に間隔をおいて複数段に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の塔状構造物の制振装置。
  4. 前記塔状構造物は、平面矩形の四隅に主柱材がそれぞれ配置された鋼製鉄塔であり、それら各主柱材と前記振り子との間に、前記減衰装置がそれぞれ配置されている、請求項1〜請求項3の何れかに記載の塔状構造物の制振装置
  5. 前記減衰装置は、振動入力時の振り子と塔状構造物間の相対速度を利用して減衰要素を作動させ、振動エネルギーを吸収するオイルダンパーを含む、請求項1〜請求項4の何れかに記載の塔状構造物の制振装置。
  6. 前記振り子は、鋼管内にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管と、そのコンクリート充填鋼管の上端側を前記塔状構造物の上部に連結して吊り下げる吊り下げ手段とを含む、請求項1〜請求項5の何れかに記載の塔状構造物の制振装置。
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