以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る給紙装置10の正面図であり、図2は、給紙装置10のP−P断面図である。図1では理解を容易にするため、外側のカバーなどを2点鎖線で表し、給紙装置10の内部構造が表されるよう図示している。
給紙装置10は、装置本体12および給紙台14を備える。給紙装置10は、給紙部16、エア吹出機構57、第1エア吹出部材52、第2エア吹出部材54、用紙高さセンサ20、バッファ機構22を備える。装置本体12の略中央には、前方および下方に開口する空間領域である用紙収容部15が設けられている。給紙台14には用紙が積載され、用紙収容部15は給紙台14およびそれに積載された用紙を収容する。
給紙台14は装置本体12に対して着脱可能とされている。給紙台14は給紙板51およびキャスタ48を有する。給紙板51は、外形が四角形の平板状に形成される。給紙板51は上面が水平となるよう装置本体12に取り付けられ、給紙板51の上面には用紙が積載される用紙載置面50が設けられる。キャスタ48は給紙板51の下方に設けられる。キャスタ48は、給紙台14が装置本体12から取り外されたときに接地し、給紙台14を移動可能とする。
ユーザは、給紙台14を装置本体12に取り付けると、必要に応じて給紙台14に積載された用紙を装置奥側のフレーム13に突き当てるように移動させる。また、必要に応じて給紙台14に積載された用紙を所定の突き当て部に突き当てるように用紙送り出し方向に移動させる。こうして給紙台14に積載された用紙は、用紙の送り出しに適した位置に位置決めされる。また、送り出される用紙は、フレーム13によって斜めになることが抑制される。
給紙部16は、用紙収容部15の右上部に設けられる。給紙部16は、複数(第1の実施形態では8つ)の給紙ベルト17および2本のローラ18を有する。複数の給紙ベルト17の各々は、同一の幅および同一の周の長さを有し、軸方向に均等間隔に並ぶよう2本のローラ18の外周に装着される。給紙部16は、ローラ18の軸方向が前後方向を向き、且つ2本のローラが左右方向に並ぶように、用紙収容部15の上側かつ右側に配置され、装置本体12のフレーム13に固定される。
ローラ18の一方はモータ(図示せず)によって駆動され、これによって全ての給紙ベルト17も駆動される。このとき、モータは給紙ベルト17の下面が用紙の送り出し方向に移動するようローラ18を駆動する。また、給紙部16はエア吸引機構(図示せず)も有している。エア吸引機構は、給紙ベルト17の下面からエアを吸引する。用紙が所定の高さまで積載された状態で給紙ベルト17が駆動され、且つ給紙ベルト17の下面からエアが吸引されると、積載された用紙のうち最上位の用紙が給紙ベルト17の下面に吸着されて装置右方向に送り出される。なお、第1の実施形態ではエア吸引機構はファンを有し、ファンが作動することによって給紙ベルト17下面からエアを吸引するためのエアの流れが形成される。
給紙装置10は電子制御部(図示せず)を有している。電子制御部はCPU、RAM、およびROMなどを有し、給紙装置10に搭載されたモータやソレノイドなどの様々なアクチュエータの作動を制御する。
給紙ベルト17を駆動するモータは電子制御部に接続されており、電子制御部は給紙ベルト17の作動のオン、オフなどを制御する。エア吸引機構には、エアの流路に設けられた開口部を開放および閉鎖する蓋材を駆動するソレノイドが設けられている。ソレノイドがオフの場合は開口部が開放され、給紙ベルト17の下面からのエアの吸引が弱められることによって給紙ベルト17の下面への用紙の吸着が抑制される。ソレノイドがオンの場合は開口部が閉鎖され、給紙ベルト17の下面からのエアの吸引が強められることによって給紙ベルト17の下面に用紙が吸着される。このソレノイドも電子制御部に接続されており、電子制御部はソレノイドのオン、オブを制御することによって、給紙ベルト17への用紙の吸着を制御する。このように電子制御部は、給紙ベルト17の駆動および給紙ベルト17下面への用紙の吸着を制御することによって、給紙台14に積載された用紙の最上位の用紙の送り出しを制御する。
エア吹出手段としてのエア吹出機構57は、給紙部16の下方かつ積載された用紙の下流側の上端近傍に配置される。エア吹出機構57は、用紙送り出し方向下流側から積載された用紙の上端にエアを吹き出す。エア吹出機構57からエアが吹き出されることによって、最上位の用紙がその下の用紙に対して浮き上がり、両者間の摩擦力が低減され、用紙の搬送性を向上させることが可能となる。エア吹出機構57はファン(図示せず)を有しており、電子制御部はこのファンの作動を制御することにより、エア吹出機構57によるエアの吹き出しを制御する。
用紙高さセンサ20は、給紙台14に積載された用紙のうち最上位の用紙の高さを検出する。装置本体12は、給紙部16の用紙搬送方向上流側(以下、「上流側」という)に配置される。用紙高さセンサ20は回動プレート20a、光センサ20b、およびセンサフレーム20cを有する。回動プレート20aはセンサフレーム20cに回動可能に支持される。光センサ20bはセンサフレーム20cに固定され、回動プレート20aが所定の角度まで回動したことを検知する。用紙高さセンサ20は給紙部16の左側周辺に配置され、回動プレート20aが給紙ベルト17の下面よりもわずかに下方に突出するようにフレーム13に固定される。後述するように積載された用紙は給紙台14とともに上昇および下降が可能とされており、回動プレート20aは、積載された用紙のうち最上位の用紙が当接した状態で、その積載された用紙が上昇することによって回動する。積載された用紙のうち最上位の用紙が送り出しに適した高さまで持ち上げられたときに、回動プレート20aが所定の角度まで回動したことを検知するよう、光センサ20bおよび回動プレート20aがそれぞれ配置される。
第1エア吹出部材52は、積載された用紙の右側の後方近傍、かつ積載された用紙の最上位の用紙近傍に配置され、エアが供給されることによって前方にエアを吹き出す。したがって第1エア吹出部材52は、積載された用紙の上端側面にエアを吹き出すエア吹出手段として機能する。第2エア吹出部材54は、積載された用紙の左側の前方近傍且つ積載された用紙の最上位の用紙近傍に配置され、エアが供給されることによって後方にエアを吹き出す。したがって第2エア吹出部材54も、積載された用紙の上端側面にエアを吹き出すエア吹出手段として機能する。第1エア吹出部材52および第2エア吹出部材54からエアが吹き出されることによって、前述のエア吹出機構57によるエア吹出と相俟って積載された用紙のうち最上位の用紙とその下の用紙との間にさらに効果的に空気の層が形成される。これによって用紙間の摩擦力が低減され、最上位の用紙の送り出しが容易となる。
給紙部16からの用紙の送り出し先には、上昇しながら用紙搬送方向を右方向から左方向に反転させる湾曲した用紙搬送路が設けられている。この湾曲した用紙搬送路では用紙はローラ19によって搬送される。
この湾曲した用紙搬送路の用紙搬送方向下流側(以下、「下流側」という)である左側には、ローラユニット58が設けられる。ローラユニット58は、搬送ベルト64およびローラ60、ローラ62を有する。搬送ベルト64は、ローラ60およびローラ62の外周に装着され、搬送ベルト64の下面によって斜め下方に進む用紙搬送路を形成する。
ローラユニット58の下流側にはバッファ機構22が設けられている。バッファ機構22は、搬送ベルト26、ローラ24、停留ローラ28を有する。搬送ベルト26は2つのローラ24の外周に装着され、搬送ベルト26の上面によって斜め上方に進む用紙搬送路が形成される。
停留ローラ28は搬送ベルト26の上面に接触している。停留ローラ28の下方には搬送ベルト26上面の用紙搬送方向の長さと同様の長さを有する停留部材(図示せず)が、上流側を支点に回動可能にフレーム13に取り付けられている。用紙をバッファ機構22に停留させる場合、この停留部材を上方に移動するよう回動させ、停留ローラ28に当接させる。このとき停留部材の上面が搬送ベルト26の上面よりも上方に位置するまで停留部材が回動させられる。これによって搬送ベルト26が駆動されたまま、搬送ベルト26の上方において用紙を停留させることが可能となる。
第3エア吹出部材56は、バッファ機構22の上流側から下流側に向かって、搬送ベルト26の上面に沿ってエアを吹き出す。これによってバッファ機構22に進入する用紙の先端を上方に浮き上がらせることができる。したがって、すでに停留部材の上面に停留している用紙の後端と、その用紙のさらに上に重ねて停留させるべき用紙の前端とが突き当たって搬送される用紙の進行が阻害されることが抑制される。また、すでに停留部材の上面に停留している用紙の上面と、その用紙のさらに上に重ねて停留させるべき用紙の下面との間に空気の層を形成させることができ、用紙間の摩擦力も低減させることができる。このように第3エア吹出部材56からのエアの吹き出しによって、バッファ機構22への円滑な用紙の停留を実現することが可能となる。
バッファ機構22の下流側に設けられた用紙搬送路は、まず斜め下方に進み、その後水平方向に進むよう形成される。この用紙搬送路に搬送された用紙はローラ30によって搬送され、装置本体12外に排出される。バッファ機構22によって用紙が重ねられ用紙束が形成されている場合は用紙束のまま同様に搬送される。装置本体12から排出された用紙は、用紙折り装置、用紙綴じ装置、または用紙穿孔装置などの後処理装置に搬送される。
給紙装置10はさらに、エアポンプ42、第1パイプ34、第2パイプ36、第3パイプ38、第2エアバルブ40、第1エアバルブ44、ドア32も備える。ドア32は、用紙収容部15より右方向の装置本体12の前面に設けられる。
エアポンプ42は用紙収容部15より右方向に位置する装置本体12内部に設けられる。エアポンプ42には第1エアバルブ44が接続されている。第1パイプ34、第2パイプ36、および第3パイプ38もまた装置本体12内部に設けられる。第1パイプ34は第3エア吹出部材56に接続される。第2パイプ36は第1エア吹出部材52に接続される。第3パイプ38は第2エア吹出部材54に接続される。第1パイプ34、第2パイプ36、および第3パイプ38は、共に単一の第2エアバルブ40に接続される。エアポンプ42、第1エアバルブ44、および第2エアバルブ40は、ドア32を開けることによってユーザがアクセスできるような位置に配置されている。
第1エアバルブ44にはホース(図示せず)の一端が連結されており、第2エアバルブ40にはそのホースの他端が連結される。エアポンプ42がオンにされると、第1エア吹出部材52、第2エア吹出部材54、および第3エア吹出部材56にそれぞれエアが供給される。
図3は、第1の実施形態に係る給紙装置10の左側面図である。装置本体12は、さらに2本のアーム72、2つのチェーン80、および単一のモータ84を有する。2本のアーム72は細長いプレート状の同一の形状を有する。
2本のアーム72は連結軸(図示せず)によって、互いに離間した状態で平行に延在するように相互に固定される。フレーム13の装置後方にはローラ76が上下方向に並設される。ローラ76の外周にチェーン80が装着される。このようなローラ76とチェーン80が2組、装置左右方向に並設される。2本のアーム72の各々は、2つのチェーン80の各々にアーム支持部74を介して結合される。このときアーム72は、用紙収容部15内において、フレーム13から装置前方に向かって突出するよう設けられる。このアーム72に給紙台14が装着される。したがってアーム72は給紙台14が装着される被装着部として機能する。また、給紙台14はアーム72に装着する装着体として機能する。
上方のローラ76の中心軸は減速機82を介してモータ84に連結されている。モータ84が作動することによってチェーン80が駆動され、アーム72が上下方向に移動する。モータ84は電子制御部に接続され、電子制御部は駆動信号をモータ84に供給することによってモータ84の作動を制御する。これにより、電子制御部は用紙高さセンサ20の検出結果を利用して、積載された用紙のうち最上位の用紙が給紙部16による用紙の送り出しに適した高さとなるよう給紙台14を昇降させ、最上位の用紙の高さを制御する。
図1乃至図3に記載される給紙装置10では、給紙台14に印刷や電子写真方式、インクジェット方式などによる画像記録が行われた用紙が積載される。通常このような画像記録装置はその装置自身が、または画像記録装置に接続されたスタッカなどがある場合にはそのスタッカなどが、画像記録が行われた用紙を積載する。以下、画像記録が行われた用紙を積載するこれらの装置を用紙処理装置と総称する。
用紙処理装置は、一般的に用紙受け台を有し、この用紙受け台に用紙を積載する。用紙受け台に積載された用紙は、ユーザの手作業によって給紙台14に載せ換えられる。しかし、積載された用紙は載せ換え時に崩れるなど積載状態が変化する可能性がある。このような積載状態の変化は、積載された用紙から給紙する時の重送や送り出し不良などの不具合に繋がる可能性がある。また、生産性向上の観点から用紙受け台や給紙台には近年多くの用紙が積載することができるようになってきており、ユーザによる用紙の載せ換えはますます困難なものとなってきている。
このため、第1の実施形態に係る給紙装置10の給紙台14は、用紙処理装置の用紙受け台の上方に、アダプタ102を介して取り付けることができ、用紙処理装置によって給紙台14の用紙載置面50に直接用紙を積載することが可能となっている。以下、図4乃至図6に関連してこれについて詳述する。
図4は、相互に取り付ける前の給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を示す斜視図である。図4はこれらの左前方から見た状態を示す。
給紙板51の下面には、鉛直下方に突出する位置決めピン110が設けられている。位置決めピン110は、給紙台14が給紙装置10に装着されたときの前側の左右両側に計2本配置される。
アダプタ102は、給紙台14と略同一の鉛直下方に見た場合の投影面積を有する。アダプタ102は、前方から見て板状の部材の中央を凸型に曲げた形状に形成される。その結果、アダプタ102の左右の凹んだ部分にそれぞれキャスタ収容スペース102bが形成される。
アダプタ102の中央の凸型の上面には位置決め孔102aが設けられる。位置決め孔102aは、アダプタ102の前側の左右両側に計2つ設けられる。
アダプタ102の前側には係止部材104が設けられる。図4では図示されていないが、アダプタ102の後側にも前側に設けられた係止部材104と同様の係止部材104が設けられる。係止部材104は板状のバネ材を曲げて形成される。係止部材104は前後方向と垂直な平面部を有しており、その下方には平面部に対して傾斜する傾斜部が設けられる。前側および後側の係止部材104の各々の傾斜部は、下方向に行くにしたがって拡開するように傾斜する。
用紙受け台106も、給紙台14と略同一の鉛直下方に見た場合の投影面積を有する。用紙受け台106は、外形が四角形の厚みにある板状に形成されている。この板状の部分の上面に、用紙処理装置によって用紙が積載される用紙受け面106cが設けられる。また、この板状の部分の下面には、左右の端部近傍に前後方向に延在する脚部106aが下方に突出している。板状の部分の下面および2つの脚部106aによって空間部106bが形成される。
図5は、相互に取り付けた後の給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を示す斜視図である。図5も図4と同様にこれらの左前方から見た状態を示す。
給紙台14は、アダプタ102上に置かれアダプタ102に組み付けられる。給紙台14は、給紙台14の位置決めピン110が鉛直下方に向かってアダプタ102の位置決め孔102aに挿入されることによって、アダプタ102との水平方向における相対的な位置が位置決めされる。なお、アダプタ102に位置決めピンが設けられ、給紙台14に位置決め孔が設けられてもよいことは勿論である。このように位置決めピン110が鉛直に位置決め孔102aに挿入されて給紙台14がアダプタ102に位置決めされるため、アダプタ102から給紙台14を離脱させる際には、給紙台14を鉛直上方に移動させることでアダプタ102から給紙台14を容易に離脱させることが可能となる。
アダプタ102は、給紙台14が上面に置かれたときに、給紙台14の下面との間に、アーム72が挿入可能なアーム挿入空間としての空間部108が設けられるように形成される。給紙台14がアーム72に取り付けられる際に、この空間部108にアーム72が挿入される。
アダプタ102は、用紙受け台106上に置かれ用紙受け台106に組み付けられる。アダプタ102が下方の用紙受け台106に向かって移動することによって、前方および後方に設けられた係止部材104の傾斜部の各々が、用紙受け台106の前方の側部の上端部および後方の側部の上端部と摺動し、係止部材104が相互に拡開するよう変形する。
アダプタ102が係止部材104上に置かれると、相互に拡開された係止部材104がバネの弾性力によって再び相互に閉鎖するように復元する。このとき、係止部材104の内側の側面の各々が、用紙受け台106の前方の側部および後方の側部に当接し、係止部材104の弾性力によって用紙受け台106が挟持される。これによりアダプタ102は用紙受け台106に対する水平方向の位置決めがなされる。したがって、係止部材104はアダプタ102を用紙受け台106に対して位置決めするアダプタ位置決め手段として機能する。
用紙受け台106は様々な形態のものがあり、もともとアダプタ102が取り付けられることが想定されず設計および製造されている場合もあり得る。このため、用紙受け台106にはアダプタ102を位置決めするための位置決めピンや位置決め孔などが設けられていない場合が考えられる。このように用紙受け台106の側部を利用してアダプタ102との位置決めを行うことにより、用紙受け台106に位置決めピンや位置決め孔などを設けることなく、アダプタ102と用紙受け台106との水平方向の相対的な位置決めが可能となる。
以上のように位置決めピン110および位置決め孔102aによって、給紙台14とアダプタ102との水平方向の相互の位置決めがなされる。また、係止部材104によって、アダプタ102と用紙受け台106との水平方向の相互の位置決めがなされる。したがって用紙受け台106に対する給紙台14の水平方向の位置決めが成されることとなる。これにより、たとえば給紙装置10において用紙の送り出しに適した位置またはそれに近い位置に用紙を積載させるよう、用紙受け台106に対して給紙台14を位置決めすることが可能となる。
また、係止部材104には、内側に突出する係止部が設けられている。アダプタ102が用紙受け台106上に置かれると、係止部材104が相互に閉鎖するように復元することによって、用紙受け台106の下方に係止部材104の係止部が進出し、用紙受け台106からのアダプタ102の離脱が抑止される。
図6は、第1の実施形態に係る給紙装置10において給紙台14を装着するためにアーム72が下降した状態におけるアーム72周辺の正面図であり、図7は、第1の実施形態に係る給紙装置10においてアーム72が上昇した状態におけるアーム72周辺の正面図である。
給紙装置10は、センサ130、規制ブラケット140、およびバネ144を備える。規制ブラケット140は、長細い板状の部材が両端部近傍においてそれぞれ同一方向に曲げられたコ字状に形成される。規制ブラケット140は、曲げられれた2つの端部が上下に各々配置されるよう、またコ字の開口側がアーム72側を向くように、アーム72の一方側(第1の実施形態では正面から見て右側)に配置される。
規制ブラケット140の上方の端部の下面には最上位規制面140aが形成され、規制ブラケット140の下方の端部の上面には最下位規制面140bが形成される。最上位規制面140aおよび最下位規制面140bには、円柱状のガイドシャフト142の端部がそれぞれ固定される。これによりガイドシャフト142は鉛直方向に延在する。
センサ130は、センサ部132、センサフレーム134、第1摺動部材136、および第2摺動部材138を有する。センサフレーム134は板状の部材がコ字状に曲げられた形状に形成される。センサ部132は、コ字の開口側と反対側にセンサフレーム134から突出するようセンサフレーム134に固定される。給紙台14は、下面にセンサ130による検知のための磁石(図示せず)を有している。センサ部132は電子制御部に接続されており、給紙台14の下面に設けられたこの磁石が上方近傍に位置したときに電子制御部に検知信号を出力する。なおセンサ130は、このような磁気近接式のものの代わりに光センサまたはマイクロスイッチを用いた方式のものが採用されてもよいことは勿論である。
センサフレーム134の曲げられた2つの端部のうち、一方の端部には筒状の第1摺動部材136が設けられ、他方の端部には同じく筒状の第2摺動部材138が設けられる。第1摺動部材136および第2摺動部材138の各々に形成される挿通孔は、ガイドシャフト142の外径と略同一の内径を有する。第1摺動部材136および第2摺動部材138は、各々の挿通孔の中心が同一軸上に位置するよう配置される。
第1摺動部材136および第2摺動部材138の各々の挿通孔は、第1摺動部材136が上方に位置し、第2摺動部材138が下方に位置するようガイドシャフト142に挿通される。これによって、センサ130は、センサフレーム134の曲げられた2つの端部が上下に各々配置され、またセンサフレーム134のコ字の開口側がアーム72側を向くように配置される。このとき、センサフレーム134の上方の端部よりも下方の端部の方がアーム72側に突出しており、この突出した下方の端部のフレーム上面134aの上方に、アーム下面72bが位置するようセンサ130が配置される。
また、センサ130は、ガイドシャフト142に摺動することによって、第1摺動部材136の上端が規制ブラケット140の最上位規制面140aに当接する位置から、第2摺動部材138の下端が最下位規制面140bに当接する位置まで、上下方向に移動可能となる。したがって、規制ブラケット140は、センサ130が最上位規制面140aに当接するときの位置を最上位、センサ130が最下位規制面140bに当接するときの位置を最下位として、センサ130の最上位より上方への移動、および最下位より下方への移動を規制する規制手段として機能する。
規制ブラケット140の上方において、係止部材146がフレーム13に固定されている。バネ144は、一端が係止部材146に取り付けられ、他端がセンサ130のセンサフレーム134に取り付けられる。付勢手段としてのバネ144は、センサ130が移動可能な範囲のいずれの位置にあるときにも、センサ130を上方に付勢する。
以上の構成によって、アーム72が上昇しているときは、センサ130はバネ144によって上方に付勢されて最上位規制面140aに押接され、最上位に保持される。この状態からアーム72が下降してくることによりアーム下面72bがセンサ130のフレーム上面134aに当接する。
給紙台14をアーム72に装着する場合、アーム72は、挿入される給紙台14の下面よりも下方にアーム上面72aが位置するよう、あらかじめ下降させられる。このとき、図6に示されるように、給紙台14が装着され得るよう、最上位に保持されたセンサ130と当接するときの位置よりアーム72が下方に移動すると、センサ130は、バネ144の付勢力によりアーム72に押接されて、アーム72と共に上昇および下降するようアーム72に結合する。
センサ部132は、給紙台14の下面に設けられた磁石の磁力を検知したときに検知信号を出力することによって、給紙台14がアーム72に装着されるために適切な挿入方向の位置まで挿入されたことを検出する。しかし、挿入される給紙台14の高さは、給紙台14の下方に設けられるアダプタや用紙受け台、搬送車の形状などによって異なるものとなる。したがって、挿入される給紙台14の高さに応じて、図6に示される例とは異なる高さにアーム72が下降する場合が考えられる。
第1の実施形態に係る給紙装置10では、このように挿入される給紙台14の高さに応じてアーム72を昇降した場合においても、アーム72と共に昇降するようセンサ130がアーム72に結合する。このため、挿入される給紙台14とセンサ130との高さ方向の相対的な位置精度の低下が抑制され、センサ部132の検出精度の低下を抑制することができる。
給紙台14が適切に挿入された後、アーム72が上昇されることにより、アーム上面72aに給紙台14の載置され、アーム72に給紙台14が装着される。電子制御部は、給紙台14に積載された用紙のうち最上位の用紙が所定高さの給紙位置に位置するよう、積載された用紙から用紙を順次送り出すにしたがって、徐々に給紙台14を上昇させる。電子制御部は、給紙台14に積載された用紙がなくなるまでこの動作を繰り返す。したがって、給紙台14は給紙部16の近傍まで上昇する。
センサ部132はワイヤ(図示せず)によって電子制御部に接続されている。したがって、センサ130とワイヤの可動範囲には別の部品を配置することが困難となる。仮に給紙装置10が、給紙台14が移動可能な全ての範囲においてセンサ130が給紙台14に結合する構成となっているとすると、センサ130も給紙部16近傍まで上昇することとなる。このためセンサ130とセンサ130に接続されるワイヤの可動範囲が大きくなるため、給紙装置10の小型化が困難となる。一方、どのようなアダプタ、用紙受け台、または搬送車が使用されたとしても、一般的に給紙台14は装置下方において給紙装置10に挿入される。このため、センサ130を装置上方まで移動させる必要性は低い。
第1の実施形態では、図7に示されるように、最上位に保持されたセンサ130と当接するときの位置よりアーム72が上方に移動すると、センサ130は最上位規制面140aに当接して最上位より上方への移動が規制されることによりアーム72との結合が解除される。このとき、センサ130はバネ144の付勢力によって最上位規制面140aに押接され、最上位に保持される。これにより、給紙台14の適切な位置までの挿入を検知するために必要な範囲にセンサ130の移動範囲を制限することができる。このため、センサ130およびこれに接続されるワイヤの可動範囲が大きくなることを抑制することができ、給紙装置10の大型化を抑制することができる。
以下、図8(a)乃至(f)に関連して、用紙処理装置120によって積載された用紙を給紙装置10に供給する工程を詳細に説明する。
図8(a)は、用紙処理装置120に給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106が装着された状態を示す図である。用紙受け台106は、用紙の積載のため用紙処理装置120内において通常取り付けられる位置に取り付けられる。給紙台14の用紙載置面50に直接用紙を積載するため、用紙受け台106の上方にアダプタ102を介して給紙台14が取り付けられる。用紙処理装置120は、給紙台14の用紙載置面50に直接用紙を積載する。図8(a)では、給紙台14に用紙2が積載された後の状態が示されている。
ユーザは搬送車86を用紙受け台106下方の空間部106bに挿入して用紙処理装置120から引き出すことにより、給紙台14に用紙2が積載された状態のまま、給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を同時に引き出すことができる。図8(b)は、搬送車86を用いて用紙処理装置120から給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を引き出した状態を示す図である。用紙処理装置120から引き出された給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106は、搬送車86によって給紙装置10に搬送される。
図8(c)は、給紙装置10に給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を挿入する前の状態を示す図である。給紙装置10にはコントロールパネル(図示せず)が設けられており、ユーザはコントロールパネルにアーム72の高さを入力することにより、または予め選択可能に表示されたアーム72の高さから任意の高さを選択することにより、アーム72の高さを指定することができる。コントロールパネルは電子制御部に接続されており、ユーザにより入力または選択されたアーム72の高さは電子制御部に出力される。電子制御部は、モータ84を作動させて入力または選択された高さまでアーム72を移動させる。
ユーザは、給紙台14の下方に形成される空間部108にアーム72が挿入することができるよう、コントロールパネルを用いてアーム72の高さを入力または選択する。アーム72が空間部108に挿入することができる高さに移動すると、ユーザは搬送車86を給紙装置10に向かって押し進め、空間部108にアーム72を挿入させながら給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を給紙装置10の用紙収容部15に挿入する。ユーザは、図8(d)に示されるように、給紙台14の後端部が用紙収容部15後方のフレーム13に当接するまでこれらを挿入する。
ユーザが給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を給紙装置10の用紙収容部15に挿入し、センサ130によって給紙台14が適切な所定位置に挿入されたことが検知されると、電子制御部は、位置決めピン110が位置決め孔102aから引き抜かれるために充分な距離だけアーム72を上昇させる。これにより、アーム上面72aに給紙台14が載置され、給紙台14はアーム72と共に昇降するようアーム72に装着される。
図8(e)は、給紙装置10に給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106が挿入された状態で、アーム72を上昇させた状態を示す図である。給紙台14は、アダプタ102に対し位置決めピンが位置決め孔に鉛直方向に挿入されることにより位置決めされており、また係止部材などによってアダプタ102からの離脱が係止されていない。これに対し、アダプタ102は係止部材104によって用紙受け台106からの離脱が抑止されている。このため、アーム72が上方に移動することによって、用紙受け台106からのアダプタ102の離脱を抑止しながら、給紙台14を容易にアダプタ102から離脱させることができる。
給紙台14の位置決めピン110は、アーム72が上方に移動する工程において、アダプタ102の位置決め孔102aから引き抜かれる。これによって給紙台14に対するアダプタ102の水平方向への移動の規制が解除される。アーム72の上昇が完了すると、ユーザは搬送車86を給紙装置10から引き離すように移動させる。これによって、図8(f)に示されるように、給紙装置10に給紙台14が取り付けられた状態のまま、アダプタ102および用紙受け台106を給紙装置10から引き出すことができる。
アダプタ102および用紙受け台106を引き出すと、ユーザは給紙台14上に積載された用紙2を用紙載置面50上で給紙に適した位置となるよう水平方向に移動させる。その後ユーザによりスタートボタンが押されると、用紙2のうち最上位の用紙が給紙に適した位置となるよう用紙収容部15が上昇され、給紙部16によって用紙2の最上位の用紙が順次送り出される。
以上のように、第1の実施形態に係る給紙装置10およびアダプタ102を含む給紙システムでは、用紙処理装置120の用紙受け台106に積載された用紙を給紙装置10の給紙台14に載せ換えることなく、給紙装置10の給紙台14に用紙を積載することができる。これにより、給紙台14への用紙の積載を容易なものとすることができる。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る給紙装置10において給紙台14を装着するためにアーム72が下降した状態におけるアーム72周辺の正面図であり、図10は、第2の実施形態に係る給紙装置10においてアーム72が上昇した状態におけるアーム72周辺の正面図である。なお、特に言及する箇所を除いて、第2の実施形態に係る給紙装置10は、第1の実施形態に係る給紙装置10と同様の構成を有する。
第2の実施形態に係る給紙装置10は、第1の実施形態に係る給紙装置10のバネ144の代わりに、第1磁石150および第2磁石152を備える。第1磁石150は、センサフレーム134の上方の端部の上面に設けられる。第2の実施形態では、センサ130が上昇すると第1摺動部材136の上端部ではなく第1磁石150の上面である第1磁着面150aが最上位規制面140aに当接する。最上位規制面140aは鉄系の材料で形成されており、第1磁着面150aが最上位規制面140aに当接することにより、センサ130は最上位で保持される。
第2磁石152は、センサフレーム134のフレーム上面134aのうち、アーム下面72bと当接する箇所に設けられる。したがって、第2の実施形態では、アーム72が下降することによって、アーム下面72bは最下位規制面140bではなく第2磁石152の上面である第2磁着面152aに当接する。アーム72も鉄系の材料で形成されており、第2磁着面152aがアーム下面72bに当接することにより、センサ130はアーム72と共に移動可能に結合する。
第2の実施形態においても、図6に関連する説明と同様に、アーム72は、給紙台14がアーム72に装着されるべく、挿入される給紙台14の下面よりも下方にアーム上面72aが位置するよう、あらかじめ下降させられる。このとき、図9に示されるように、給紙台14が装着され得るよう、最上位に保持されたセンサ130と当接するときの位置よりアーム72が下方に移動すると、第1磁着面150aと最上位規制面140aとの磁力による結合が解除され、第2磁着面152aがアーム下面72bに当接して磁力によって結合することにより、センサ130はアーム72と共に上昇および下降するようアーム72と結合する。
このように第2の実施形態に係る給紙装置10においても、挿入される給紙台14の高さに応じてアーム72を昇降した場合において、アーム72と共に昇降するようセンサ130がアーム72に結合する。このため挿入される給紙台14とセンサ130との高さ方向の相対的な位置精度の低下によるセンサ部132の検出精度の低下を抑制することができる。
給紙台14が適切に挿入された後、アーム72が上昇されることにより、アーム上面72aに給紙台14の載置され、アーム72に給紙台14が装着される。電子制御部は、給紙台14に積載された用紙のうち最上位の用紙が所定高さの給紙位置に位置するよう、積載された用紙から用紙を順次送り出すにしたがって、徐々に給紙台14を上昇させる。電子制御部は、給紙台14に積載された用紙がなくなるまでこの動作を繰り返す。したがって、給紙台14は給紙部16の近傍まで上昇する。
また、第2の実施形態においても、図10に示されるように最上位に保持されたセンサ130と当接するときの位置よりアーム72が上方に移動すると、第2磁着面152aとアーム下面72bとの磁力による結合が解除され、第1磁着面150aが最上位規制面140aに磁力によって結合することにより最上位に保持される。このため、第1の実施形態と同様にセンサ130の可動範囲を制限することができ、センサ130およびワイヤの可動範囲が大きくなることを抑制することができる。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
ある変形例では、アダプタ102は、複数種類の用紙受け台に位置決めすることができるよう、たとえば係止部材104など、用紙受け台との位置決めを行う位置決め部材が交換可能とされている。なお、用紙受け台との位置決めを行う位置決め部材の位置が、複数の用紙受け台に応じて変更可能となっていてもよい。たとえば、係止部材104が装置前後方向に移動可能に構成されており、用紙受け台の大きさに応じた位置でアダプタ102に固定することができるような場合である。これによって、アダプタ102を複数の種類の用紙受け台に対応させることができるため、複数種類の用紙処理装置がある場合においもて、給紙台14に直接用紙を積載することが可能となる。
また、別の変形例では、ユーザは、給紙台14、アダプタ102、および用紙受け台106を給紙装置10の用紙収容部15に挿入後、アームの上昇を指令する所定のボタンを押すか、または位置決めピン110が位置決め孔102aから引き抜かれるために充分なアーム72の上昇距離をコントロールパネルを用いて入力または選択してもよい。この場合においても、電子制御部は、ユーザによるこのような操作があった場合、位置決めピン110が位置決め孔102aから引き抜かれるために充分な距離だけアーム72を上昇させる。
また、別の変形例では、アーム72とセンサ130との結合、またはセンサ130の最上位での保持は、ラッチ機構によって行われる。この場合、最上位に保持されたセンサ130と当接するときの位置よりアーム72が下方にあるときは、センサ130はアーム72にラッチ機構よりに結合する。また、最上位に保持されたセンサ130に当接するときの位置よりアーム72が上方にあるときは、センサ130は、最上位規制面140aに当接することによって最上位より上方への移動が規制されてアーム72との結合が解除され、且つラッチ機構により最上位に保持される。
第2の実施形態において、第1磁石150は最上位規制面140aに取り付けられていても良く、また第2磁石152はアーム下面72bに取り付けられていても良い。この場合、センサフレーム134の上端上面が第1磁着面として機能し、フレーム上面134aが第2磁着面として機能する。
10 給紙装置、 14 給紙台、 15 用紙収容部、 16 給紙部、 86 搬送車、 102 アダプタ、 102a 位置決め孔、 102b キャスタ収容スペース、 104 係止部材、 106 用紙受け台、 108 空間部、 110 位置決めピン、 120 用紙処理装置、 130 センサ、 134a フレーム上面、 140 規制ブラケット、 140a 最上位規制面、 144 バネ、 150a 第1磁着面、 152a 第2磁着面。