JP2008023927A - 粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粘着フィルムは、粘着フィルム基材1とその上に設けた粘着剤層2とからなる。粘着フィルム基材1は、プラスチックフィルムからなる基材フィルム2とその少なくとも片面に形成した無機酸化物蒸着膜3と、無機酸化物蒸着膜3上に形成した、一般式R1 nM(OR2)m(但し、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表わし、n+mは原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有し、更にゾルゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布してなるバリア性被膜とからなる。
【選択図】 図1
Description
また、食品・日用品やエレクトロニクス関係部品及び医薬品等の包装分野に用いられる包装用の高ガスバリア性を有する粘着性フィルム、または電子機器関連部材などの高水蒸気バリアを必要とする包装分野や電子機器部材の分野で利用される高ガスバリア性を有する粘着性フィルムとして、プラスチック材料からなる基材の片面に蒸着薄膜層と中間被膜層を交互に積層した積層体を設けた高ガスバリア性を有する粘着性フィルムが知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献1に記載の粘着性フィルムは、何度も容器の取り出し口の開封及び再封を繰り返した場合、積層体を構成する蒸着薄膜層及び中間被膜層は、取り出し口の開封及び再封の度に引っ張り、しごきといった物理的負荷を受け、それによって本来のバリア性が低下するといった問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、容器の取り出し口の開封及び再封の度に生ずる、引っ張り、折、揉みといった物理的負荷を受けてもガスバリア性の低下が小さい、ガスバリア性が維持されるガスバリア性を有する粘着フィルムを提供することである。
本発明においては、具体的には、基材フィルム3の一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物蒸着膜4を形成することができる。
図5に示すように、プラズマCVD装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から基材フィルム3を繰り出し、更に、該基材フィルム3を、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
そして、ガス供給装置26、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された基材フィルム3の上に、グロ−放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素、炭素含有酸化珪素等の無機酸化物蒸着膜4を製膜する。
その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
なお、図中、35は、真空ポンプを表す。
また、上記のプラズマCVD装置は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
また、図示しないが、本発明においては、無機酸化物蒸着膜としては、無機酸化物蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物蒸着膜を構成することもできる。
また、原料揮発供給装置28においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置26、27から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを、原料供給ノズル29を介して真空チャンバ−22内に導入される。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:3:3〜1:17:14程度とすることができる。
また、本発明においては、SiOXプラズマにより基材フィルム3の表面が、清浄化され、基材フィルム3の表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物蒸着膜4と基材フィルム3との密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調整することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、基材フィルム3を原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX(ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げ等により、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、基材フィルム3との界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルム3と酸化珪素蒸着膜4との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材フィルム3の一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルム3の一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
図6に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す基材フィルム3は、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された基材フィルム3の上に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物蒸着膜を製膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物蒸着膜を形成した基材フィルム3を、ガイドロ−ル44、45を介して送り出し、巻き取りロ−ル51に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物蒸着膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物蒸着膜の上に、更に、無機酸化物蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物蒸着膜を形成することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物蒸着膜4は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX、MgOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物蒸着膜4の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物蒸着膜4としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物蒸着膜を構成することもできる。
而して、本発明において、好ましい金属としては、例えば、珪素、チタン等を挙げることができる。
また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独又は2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。
尚、本発明において、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記のアルコキシシランとしては、一般式Si(ORa)4(但し、式中、Raは、低級アルキル基を表す。)で表されるものである。
上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH3 )4、テトラエトキシシラン Si(OC2H5)4、テトラプロポキシシラン Si(0C 3H7)4、テトラブトキシシラン Si(OC4 H9)4 、その他等を使用することができる。
上記のアルキルアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン CH3Si(OCH3)3、メチルトリエトキシシラン CH3Si(OC2H5)3、ジメチルジメトキシシラン (CH3)2Si(OCH3)2、ジメチルジエトキシシラン (CH3)2Si(OC2H5)2、その他等を使用することができる。
上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン、その他等を使用することができる。
上記のジルコニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム Zr(OCH3)4、テトラエトキシジルコニウム Zr(OC2H5)4、テトライソプロポキシジルコニウム Zr(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシジルコニウム Zr(OC4H9)4、その他等を使用することができる。
上記のチタニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシチタニウム Ti(OCH3)4、テトラエトキシチタニウム Ti(OC2 H5)4、テトライソプロポキシチタニウム Ti(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシチタニウム Ti(OC4H9)4、その他等を使用することができる。
上記のアルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム Al(OCH3)4、テトラエトキシアルミニウム Al(OC2H5)4、テトライソプロポキシアルミニウム Al(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシアルミニウム Al(OC4H9)4、その他等を使用することができる。
而して、本発明において、特に、アルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られるバリア性積層フィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避されるものである。
上記のジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは、約5重量部位が好ましいものである。 上記において、10重量部を越えると、形成されるバリア性被膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、また、バリア性被膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
上記において、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して5重量部以下の範囲であり、好ましくは、約3重量部位が好ましいものである。
上記において、5重量部を越えると、形成されるバリア性被膜の脆性が大きくなり、また、バリア性被膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
特に、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用することにより、上記のガスバリア性、耐水性、および耐候性等の物性に加えて、耐熱水性および熱水処理後のガスバリア性等に著しく優れたバリア性被膜を形成することができるものである。
上記において、500重量部を越えると、バリア性被膜の脆性が大きくなり、その耐水性および耐候性等も低下する傾向にあることから好ましくなく、更に、5重量部を下回るとガスバリア性が低下することから好ましくないものである。
上記のポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
具体的には、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが望ましいものである
また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
而して、上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。 本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部位の範囲内で使用することができる。
上記において、20重量部以上を使用すると、形成されるバリア性被膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、バリア性被膜の絶縁性および加工性が低下する傾向にあることから好ましくないものである。
具体的には、例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、その他等を使用することができる。
本発明においては、特に、N、N−ジメチルベンジルアミンが好適である。
その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100重量部当り、0.01〜1.0重量部、好ましくは、約0.03重量部位使用することが好ましいものである。
また、上記のガスバリア性組成物において用いられる、酸としては、上記ゾル−ゲル法の触媒、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
上記の酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他等を使用することができる。
上記の酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル位、好ましくは、約0.01モル位を使用することが好ましいものである。
上記の水の量が、2モルを越えると、上記のアルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、而して、そのような多孔性のポリマーは、ガスバリア性を改善することができなくなることから好ましくないものである。
また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる傾向にあることから好ましくないものである。
更に、上記のガスバリア性組成物において、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態であることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
本発明において、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(商品名)として市販されているものを使用することができる。
上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部当り30〜500重量部位である。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物(塗工液)を調製する。
次に、上記のガスバリア性組成物(塗工液)中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性組成物(塗工液)を通常の方法で塗布し、乾燥する。
而して、上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が進行し、塗工膜が形成される。
更に、好ましくは、上記の塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗工膜を積層する。
最後に、上記の塗工液を塗布した基材フィルムを20℃〜180℃位で、かつ、基材フィルムの融点以下の温度、好ましくは、約50℃〜160℃位の範囲の温度で、10秒〜10分間加熱処理して、基材フィルムの一方の面に形成した無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のガスバリア性組成物(塗工液)によるバリア性被膜を1層ないし2層以上形成して、本発明に係るバリア性層を構成することができる。
このようにして得られた本発明に係るバリア性層は、ガスバリア性に優れているものである。
その際、酸が加水分解の触媒となる。
次いで、ゾル−ゲル法触媒の働きによって、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。
このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きにより、エポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。
加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。
さらに、反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する水酸基との反応も生じる。
生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Ti、その他等の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーを構成する
上記の反応においては、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーがまず生成する。
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)が、直鎖状のポリマーから分岐した形で有する。
このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾル−ゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、まず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。
すなわち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II)に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、あるいは、下記の式(V)及び(VI)に示される共重合した複合ポリマーが生じると考えられるものである。
このガスバリア性組成物(塗工液)を、基材フィルム3の一方の面に設けたと無機酸化物の蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒および重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に透明な塗工層が形成される。
上記の塗工層を複数層積層する場合には、層間の塗工層中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層との間が強固に結合する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面の水酸基等と結合するため、基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面と、塗工層との密着性、接着性等も良好なものとなるものである。
このような直鎖状ポリマーは、結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をとる。
このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため良好なガスバリア性を示す。
特に、N2あるいは、CO2ガス等を充填した、いわゆる、ガス充填包装に用いた場合には、その優れたガスバリア性が、充填ガスの保持に極めて有効となる。
更に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、熱水処理、特に、高圧熱水処理(レトルト処理)に優れ、極めて優れたガスバリア性特性を示すものである。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロ−ルコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗工膜を形成することができ、更に、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、本発明の第1または第2のバリア性被膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできるものであり、また、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理、その他等の前処理を任意に施すことができるものである。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム:アルゴン=1.0:5.0:1.0:0.5(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度;60mTorr
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;50m/min
(2)他方、下記の表1に示す組成に従って、調製した組成b.のポリビニルアルコール水溶液、N、N−ジメチルベンジルアミン32重量%エタノール溶液及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成a.のエチルシリケート、エタノール、2N塩酸、イオン交換水及びシランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)からなる加水分解液を加え、充分に攪拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。
(表1)
a エチルシリケート 34.074(wt%)
エタノール 34.074
2N塩酸 2.535
H2O 2.058
シランカップリング剤 3.407
b ポリビニルアルコール 2.372
H2O 21.344
N、Nジメチルベンジルアミンエタノール溶液
(32wt%) 0.136
合計 100.000
次に、上記の(1)で形成した炭素含有酸化珪素蒸着膜に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)のバリア性被膜を形成し、粘着フィルム基材を形成した。この粘着フィルム基材の片面にアクリル系エマルジョン(東亜合成(株)製HVC−3006)をコーティングして粘着剤層を形成して粘着フィルムを得た。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム:アルゴン=1.0:5.0:1.0:0.5(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度;60mTorr
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;20m/min
(2)次に、上記の(1)で形成した炭素含有酸化珪素蒸着膜に、実施例1のガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)のバリア性被膜を形成し、粘着フィルム基材を形成した。この粘着フィルム基材の片面にアクリル系エマルジョン(東亜合成(株)製HVC−3006)をコーティングして粘着剤層を形成して粘着フィルムを得た。
アルミナ蒸着PET(東レ加工フィルム、1011HGC #12)の片面にアクリル系エマルジョン(東亜合成(株)製HVC−3006)をコーティングして粘着剤層を形成して粘着フィルムを得た。
シリカ蒸着PET(三菱樹脂(株)製、TECH−H、#12)の片面にアクリル系エマルジョン(東亜合成(株)製HVC−3006)をコーティングして粘着剤層を形成して粘着フィルムを得た。
ポリビニリデンOPP(東セロ、OLD #12)の片面にアクリル系エマルジョン(東亜合成(株)製HVC−3006)をコーティングして粘着剤層を形成して粘着フィルムを得た。
2 粘着剤層
3 基材フィルム
4 無機酸化物蒸着膜
5 バリア性被膜
Claims (5)
- 容器の開口部の繰り返しの密封及び開封をするためのガスバリア性を有する粘着フィルムであって、前記粘着フィルムは粘着フィルム基材とその上に設けた粘着剤層とからなり、前記粘着フィルム基材は、プラスチックフィルムからなる基材フィルムとその少なくとも片面に形成した無機酸化物蒸着膜と、この無機酸化物蒸着膜上に形成した、一般式R1 n M(OR2 )m(但し、式中、R1 、R2 は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表わし、n+mは原子価を示す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有し、更にゾルゲル法によって重縮合して得られるバリア性組成物からなるコート材を塗布してなるバリア性被膜とからなり、繰り返しの開封及び再封を行ってもそれによるバリア性の低下が小さいことを特徴とするガスバリア性を有する粘着フィルム。
- 前記無機酸化物蒸着膜が化学気相成長法により形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。
- 前記無機酸化物蒸着膜がプラズマCVD法により形成したものであることを特徴とする請求項2に記載の粘着フィルム。
- 前記無機酸化物蒸着膜は炭素含有酸化珪素層であることを特徴とする請求項3に記載の粘着フィルム。
- 前記無機酸化物蒸着膜は物理気相成長法により形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。
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