JP5478845B2 - 透明ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法、並びにそれを使用した包装材料 - Google Patents
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Description
このように、未だ十分な性能を有する透明なガスバリア性積層フィルムはない。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、基本的構成としては、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物蒸着層を設け、さらに、その無機酸化物蒸着層に、ガスバリア性塗膜を設けた層構成を基本構造とするものである。
上記の例は、本発明のガスバリア性積層フィルムの一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
次に、本発明において上記のような本発明にかかるガスバリア性積層フィルム又は製造法において使用する材料、その製造法等について説明する。
まず、本発明のガスバリア性積層フィルムを構成する基材フィルムとしては、化学的又は物理的強度に優れ、無機酸化物の蒸着層を形成する条件等に耐え、それら無機酸化物蒸着層等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。
具体的には、基材フィルムとして、透明な熱可塑性樹脂フィルムが用いられ、その利用される分野の要求性能に従い、適宜選択すればよい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリエーテル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などのビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトンケトンなどが使用できる。これらの樹脂は単独重合体であっても共重合体であっても、あるいは1種以上の樹脂を溶融混合してフィルム状に成形したものが用いることができる。
本発明においては、上記の樹脂のフィルム又はシートの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、又は、ポリアミド系樹脂のフィルム又はシートを使用することが好ましい。
延伸方法については、周知のテンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸又は2軸方向に延伸することができる。
次に、本発明において、本発明にかかるガスバリア性積層フィルムを構成する無機酸化物の蒸着層を形成する無機酸化物としては、金属の酸化物が挙げられ、具体的には、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、スズ(Sn)、チタン、インジウム等の金属の酸化物を使用することができる。本発明において、包装材料としては、好ましいものとして、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)の酸化物の酸化ケイ素、酸化アルミニウムを使用することができる。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着層としては、使用する金属、又は、金属の酸化物を、1種又は2種以上の混合物で使用し、異種の材質のものを混合した無機酸化物で蒸着層を構成することもできる。
上記のように化学気相成長法又は物理気相成長法により基材フィルムに無機酸化物の蒸着層を形成した後、さらに前記蒸着層をグロー放電処理、プラズマ処理、又はマイクロウェーブ処理してもよい。これにより蒸着層と以下のガスバリア性塗膜との密着性がさらに向上する。
特に、物理気相成長法や化学気相成長法により酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を積層し、その上に、さらに、本発明のガスバリア性塗膜層を積層することにより、極めて優れたガスバリア性が得られる。
次に、本発明において、本発明のガスバリア性積層フィルムを構成するガスバリア性塗膜について説明する。
本発明のガスバリア性塗膜は、アルコキシドと水溶性高分子を含有するものであり、具体的には、ガスバリア性塗膜としては、一般式:R1 nM(OR2)mで表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールを含有する組成物をゾル−ゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を上記した無機酸化物蒸着フィルム上に塗布し、加熱乾燥処理し、形成したものである。
上記一般式:R1 nM(OR2)mにおける、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等が使用でき、好ましくはケイ素である。これらのアルコキシドの用い方としては、単独又は2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、アルキルアルコキシシランRb mSi(ORc)4-mを用いることができる(mは1、2、3の整数)。Rb、Rcとしては、メチル基、エチル基等が用いられ、アルキルアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシランCH3Si(OCH3)3、メチルトリエトキシシランCH3Si(OC2H5)3、ジメチルジメトキシシラン(CH3)2Si(OCH3)2、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si(OC2H5)2等が挙られる。これらのアルコキシシラン、アルキルアルコキシシランは、単独又は2種以上を混合して用いることもできる。
さらに、アルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的にはポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン等が挙げられる。
また、特に、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られる皮膜の熱伝導率が低くなり、基材の耐熱性が著しく向上する。
本発明においては、上記アルコキシドと共にシランカップリング剤が併用されることが好ましい。シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランが用いられ得る。特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適である。それには、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがある。このようなシランカップリング剤は2種以上を混合して用いてもよい。このようなシランカップリング剤の使用量は、上記アルコキシシラン100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内である。20重量部以上を使用すると形成される複合ポリマーの剛性と脆性とが大きくなり、複合ポリマー層の絶縁性及び加工性が低下する。
使用するポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールコポリマーは、その中に含有される酢酸ナトリウムの量を制御されたものが用いられる。
上記ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールコポリマーの合計の含有量は、上記アルコキシドの合計量100重量部に対して5〜600重量部の範囲であり、好ましくは約50〜400重量部である。600重量部を上回ると複合ポリマーの脆性が大きくなり、得られる積層フィルムの耐水性及び耐候性も低下する。5重量部を下回るとガスバリア性が低下する。
ゾル−ゲル法触媒として、主として重縮合触媒としては、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三級アミンが用いられる。例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等があり、特にN,N−ジメチルベンジルアミンが好適である。その使用量は、アルコキシド、及びシランカップリング剤の合計量100重量部当り0.01〜1重量部、好ましくは約0.03重量部である。
本発明においては、ガスバリア性塗膜を形成する際に使用するポリビニルアルコール中の酢酸ナトリウムの含有量がガスバリア性積層フィルムのガスバリア性の向上に大きく寄与するものであるとの知見にしたがって実験したものであり、アルコキシシラン、金属アルコキシド及びシランカップリング剤のアルコキシド分、酸触媒、水、有機溶媒からなる組成a、及びポリビニルアルコール、水、有機溶媒からなる組成bの含有比については、下記表1に示す組成比のものを用い、ポリビニルアルコール中の酢酸ナトリウムの含有量のみを表2に示す値となるように調製したものを用いた。酢酸ナトリウムの含有量は、通常1重量%程度含有されるものであり、1重量%以上であるとガスバリア性の向上はみられず、特に、水蒸気透過度の高温多湿下における低下が大きくなるとともに、表面自由エネルギーの低下がみられず、緻密な塗膜の形成ができない。1重量%より少ない範囲内で用いることが必要で、好ましくは、0.5重量%以下の範囲の含有量に制御することが好ましい。なお、酢酸ナトリウムの含有量は少ないほどよいが、どこまで洗浄処理するかは、求められる要求及び費用対効果を考慮して設定すればよい。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒として塩酸、水、有機溶媒、及び、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物の塗工液を調製する。ガスバリア性組成物の塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性塗膜形成用組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物蒸着層の上に、プライマー剤等を塗布することもできる。
特に本発明においては、上記加熱処理を150℃〜250℃、好ましくは180℃〜200℃の範囲の温度で行うことにより、ガスバリア性塗膜内部において、アルコキシド加水分解物と水溶性高分子とが水素結合や化学結合により結合する架橋反応が起こること、水溶性高分子が結晶化すること、蒸着層とガスバリア性塗膜とが水素結合や化学結合により強固に密着すると考えられることから、ガスバリア性が一層向上する。
すなわち、予め基材フィルムの少なくとも片面に、ポリビニルアルコールを含有する組成物を塗工して第1の複合ポリマー層を形成し、次いで、その塗工面上に上記エチレン・ビニルアルコールコポリマーを含有する組成物を塗工して第2の複合ポリマー層をさらに形成する。そのことにより、得られる積層フィルムのガスバリア性が向上する。
さらに、本発明においては、ガスバリア性塗膜を、基材フィルム上に複数層形成してもよい。ガスバリア性塗膜を複数層設けることにより、一層ガスバリア性の向上を図ることができる。
また、本発明の態様においては、基材上に蒸着層とガスバリア性塗膜を設けた後、さらに蒸着層を設け、その蒸着層上にガスバリア性塗膜を上記と同様にして形成してもよい。このように積層数を増やすことにより、より一層ガスバリア性に優れる積層フィルムを実現できる。
上記のようにして製造した本発明にかかるガスバリア性積層フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装材料を構成する包装用基材、ヒートシール性フィルム等と任意に組み合わせて、例えば、通常のラミネート法によりラミネートして種々の積層体を製造し、種々の物品を充填包装するに適した包装袋を製造可能とするものである。本ガスバリア性積層フィルムを用いた包装材料として、ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性塗膜上に、ヒートシール性樹脂層を積層したもの又は印刷層、ラミネート接着剤層、ヒートシール性樹脂層を順次設けたものについて説明する。
ヒートシール性樹脂層を構成するヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂、又はこれらの樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフイン系樹脂等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。
上記樹脂のフィルム又はシートは、単層ないし多層で使用することができ、また、上記樹脂のフィルム又はシートの厚さとしては、5〜300μm、好ましくは、10〜110μmである。
上記樹脂のフィルム又はシートの厚さは、袋状容器本体の製袋時等において、無機酸化物蒸着層を有する樹脂のフィルムないしシートを構成する無機酸化物蒸着層に、擦り傷やクラック等が発生することを防止するために、比較的その膜厚を厚くすることが好ましく、具体的には、70〜110μm、望ましくは、80〜100μmである。
本発明においては、上記のような樹脂のフィルム又はシートの中でも、特に、線状低密度ポリエチレンを使用することが好ましいものである。線状低密度ポリエチレンは、粘着性を有することから破断の伝搬が少なく耐衝撃性を向上させるという利点があるものであり、また、内層は常時内容物に接触していることから、耐環境ストレスクラッキング性の劣化を防止するためにも有効なものである。
得られたガスバリア性積層フィルムについて、ガスバリア性を評価するために、酸素透過度、水蒸気透過度を測定対象とし、さらに、ガスバリア性塗膜の表面緻密状態を判断する指標として、接触角を測定し、接触角から表面自由エネルギー求めた。
各測定対象は、以下の要領で測定した。
酸素透過度の測定は、得られたガスバリア性積層フィルムを温度23℃、湿度90%RHの条件下で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕を使用し、JIS規格 K7126に従い、測定した。
水蒸気透過度の測定は、得られたガスバリア性積層フィルムを次の2つの条件下;温度40℃、湿度90%RHの条件及び温度50℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)〕を使用して、JIS規格 K7129に従い、測定した。
表面自由エネルギーの値は、協和界面科学株式会社全自動接触角計Drop Master700により20℃、50%RHの条件下で水とジヨードメタンの接触角を測定し、その測定した接触角から解析ソフトウェアFAMASを用いて表面自由エネルギーを算出して求めた。表面自由エネルギーとして把握することにより塗膜の緻密状態を評価できる。
JIS K6726に準じて、ポリビニルアルコール系重合体溶解後、指示薬を添加、塩酸滴定法により測定した。単位は原試料に対する重量%である。酢酸ナトリウムの含有量はPVAの洗浄条件をコントロールすることにより所望の範囲とした。
物理蒸着法(PVD法)による蒸着層を形成する場合について
まず、基材フィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いでこれを繰り出し、その基材フィルムの蒸着層を形成する面に、コロナ放電処理を施すか、又はコロナ処理が施されたコロナ処理面に、アルミニウム等の金属材料を蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウム等の金属酸化物の蒸着層を形成し、本発明にかかるガスバリア性蒸着フィルムを製造した。
蒸着条件 : 酸化アルミニウム蒸着層を形成する際の条件
蒸着チヤンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ処理面
まず、基材フィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いでこれを繰り出し、その基材フィルムの蒸着層を形成する面に、コロナ放電処理を施すか、又はコロナ処理が施された基材フィルムのコロナ処理面を形成し、コロナ処理面を有する基材フィルムをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、基材フィルムのコロナ処理面に、厚さ100Åの酸化ケイ素等の金属酸化物の蒸着層を形成した。
蒸着条件 : 酸化ケイ素蒸着層を形成する際の条件
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性塗膜の形成については、下記表1に示す組成に従って調製した組成aの正珪酸エチル(多摩科学社製)、イソプロピルアルコール、0.5N規定塩酸水溶液、イオン交換水、シランカップリング剤からなる加水分解液に、予め調製した組成bのポリビニルアルコール水溶液を加えて撹拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。
ただし、ポリビニルアルコールの酢酸ナトリウムの含有量は2.0重量%のものである。
基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いでこれを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理が施された面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法(PVD法)を用い、上記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着層を形成し、ガスバリア性蒸着フィルムを製造した。
製造したガスバリア性積層フィルムを前記した各測定装置を用いて、酸素透過度、水蒸気透過度及び接触角を測定し、表面自由エネルギーは接触角から算出した。その測定結果は、表2、3に記載したとおりである。
実施例2ないし実施例4及び比較例1ないし比較例3は、実施例1と同様の方法で形成した酸化アルミニウム蒸着フィルムに、ポリビニルアルコール中の酢酸ナトリウムの含有量を表2のように変えた以外は、実施例1と同様の方法で、各成分が表1に記載した組成a及び組成bとなるように調製し、実施例1と同様の塗工方法、塗工条件下で表1のガスバリア性塗膜形成用組成物の塗工液を製造、塗布し、ガスバリア性塗膜を形成してガスバリア性積層フィルムを得た。
製造したガスバリア性積層フィルムを前記した各測定装置を用いて、酸素透過度、水蒸気透過度及び接触角を測定し、表面自由エネルギーは接触角から算出した。その測定結果は、表2、3に記載したとおりである。
実施例5及び比較例4は、いずれも、蒸着フィルムとして実施例4、比較例1のPVD法に代えて、CVD法を採用したもので、蒸着フィルムは上記したCVD法の蒸着条件で蒸着層を形成した以外は、実施例4、比較例1と同じガスバリア性塗膜形成用組成物の塗工液、塗工方法、塗工条件下で、上記した酸化ケイ素蒸着層のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性塗膜形成用組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、180℃、60秒間加熱処理して、厚さ0.2μm(乾燥状態)のガスバリア性塗膜を形成してガスバリア性積層フィルムを得た。
製造したガスバリア性積層フィルムを前記した各測定装置を用いて、酸素透過度、水蒸気透過度及び接触角を測定し、表面自由エネルギーは接触角から算出した。その測定結果は、表2、3に記載したとおりである。
各実施例及び比較例の組成比は表1に示すとおりであり、ポリビニルアルコール中の酢酸ナトリウムの含有量は表2にしたがって変更している。なお、表1中の組成a及び成分bの各成分の総和が100重量%となるように調製した。
上記実施例及び比較例において作成したガスバリア性積層フィルムについて、酸素透過度、水蒸気透過度及び接触角を測定し、表面自由エネルギーは接触角から算出した。接触角の測定値及び接触角と表面自由エネルギーとの換算結果は表2に示したとおりである。
また、その結果は、下記の表3に示すとおりである。
また、高湿度状態において10℃温度を上げた条件に変更したものについて水蒸気透過度の比較をみると、本発明の実施例では、著しく水蒸気透過度が増加することもなく、高温多湿下においても優れたガスバリア性を維持できるものであることが確認されたが、比較例にあっては、温度条件を10℃厳しくしただけでも水蒸気透過度が著しく増加する傾向がみられ、高温多湿下でのガスバリア性の向上はみられない。また、蒸着層の形成法として、CVD法とPVD法との違いは大きいものではないが、比較すると、CVD法の蒸着層の方がガスバリア性が僅かに優れているものであった。
また、優れたガスバリア性と柔軟性とを有するので、包装材料として有用であり、特に食品包装用フィルムとして好適に使用される。
さらに、本発明のガスバリア性積層フィルムは、熱水処理、特に高圧熱水処理(レトルト処理)後のガスバリア性にも優れている。
Claims (16)
- プラスチックフィルムからなる基材フィルムに、無機酸化物を蒸着層として形成した無機酸化物蒸着層と、該蒸着層側に、ガスバリア性塗膜を設けてなるガスバリア性積層フィルムにおいて、
前記ガスバリア性塗膜が、一般式R1 nM(OR2)m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系水溶性樹脂と、酸触媒を含有する混合溶液を用い、ゾル−ゲル法によって得られるガスバリア性組成物の塗工液を塗布し、加熱乾燥処理して形成したものであって、前記ポリビニルアルコール系水溶性樹脂として、ポリビニルアルコール系水溶性樹脂中の酢酸ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系水溶性樹脂に対して1重量%未満の範囲内に調製したものを用いて形成したガスバリア性塗膜の表面自由エネルギーが60dyne未満の範囲内である緻密な膜構造を有することを特徴とするガスバリア性積層フィルム。 - ポリビニルアルコール系水溶性樹脂中の酢酸ナトリウムの含有量が該ポリビニルアルコール系水溶性樹脂に対して0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性透明積層フィルム。
- ポリビニルアルコール系水溶性樹脂がポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 酸触媒が塩酸であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 無機酸化物蒸着層が、CVD法により形成されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のガスバリア性透明積層フィルム。
- 無機酸化物蒸着層が、プラズマ化学気相成長法により形成されたことを特徴とする請求
項1ないし5のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。 - ガスバリア性が、23℃、90%RHの雰囲気下で、酸素透過度0.1cc/m2・day・atm未満、かつ40℃、90%RHの雰囲気下で、水蒸気透過度0.1g/m 2 ・day以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 無機酸化物蒸着層が酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの蒸着層であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- アルコキシドが正珪酸四エチルであり、ポリビニルアルコール系水溶性樹脂がポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルム。
- プラスチックフィルムからなる基材フィルムに、無機酸化物の蒸着層を形成する工程と、前記基材フィルムの該無機酸化物蒸着層を形成した側にガスバリア性塗膜層を形成する工程とを有するガスバリア性積層フィルムの製造方法において、
前記ガスバリア性塗膜層を形成する工程が、
一般式R1 nM(OR2)m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系水溶性樹脂と、酸触媒を含有する混合溶液において、ポリビニルアルコール系水溶性樹脂中の酢酸ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系水溶性樹脂に対して1重量%未満の範囲内とし、ゾル−ゲル法によって調製したガスバリア性組成物の塗工液を塗布し、加熱乾燥処理することにより、ガスバリア性塗膜の表面自由エネルギーが60dyne未満の範囲内である緻密な膜構造を有するガスバリア性塗膜を形成することを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。 - ポリビニルアルコール系水溶性樹脂中の酢酸ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系水溶性樹脂に対して0.5重量%以下であることを特徴とする請求項10に記載のガ
スバリア性積層フィルムの製造方法。 - ポリビニルアルコール系水溶性樹脂がポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールであることを特徴とする請求項10又は11に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
- 酸触媒が塩酸であることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
- 無機酸化物蒸着層が、CVD法により形成されることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
- 無機酸化物蒸着層が、プラズマ化学気相成長法により形成されることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルムの製造方法。
- 請求項1ないし9のいずれか一項に記載のガスバリア性積層フィルムを含むことを特徴とする包装材料。
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