JP2009039904A - 過酸化水素バリア性フィルム、およびそれを使用した積層材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材フィルム1の片面に、耐水耐油剤を含む過酸化水素保護膜2を設け、他の面にバリア性薄膜層3を設けたことを特徴とする過酸化水素バリア性フィルムを提供する。
【選択図】 図1
Description
さらに包装用材料の表面に、過酸化水素ガスを導入し、包装用材料の表面に、過酸化水素を凝結させ、その後、過酸化水素を乾燥させて殺菌処理する方法が知られている(例えば、特許文献3、4等参照)。
また、上記の特許文献3、4に記載の殺菌処理方法は、過酸化水素を加熱蒸気化したミストを使用し、低温乾燥が可能であるものの、吸湿性を有する包装用材料や耐酸性に劣る包装用材料の場合、殺菌処理および乾燥後に、包装用材料の表面層の劣化やその表面層に過酸化水素が残留するという問題点があり、充填包装適性、内容物の保護適性等に優れた包装用材料であっても、包装用材料として使用することができないという問題点がある。
しかしながら上記フィルム自体は、過酸化水素による白化現象や、過酸化水素の浸透に対し、耐性を有するものの、前記フィルムは、単独で包装袋として使用できるものではなく、包装袋とするためには、さらに印刷層やヒートシール性樹脂層を積層して積層材とし、さらに前記積層材を製袋工程に付さなければならない。そして前記印刷、ラミネート工程においては、過酸化水素保護膜として機能する蒸着膜がロールとの接触により摩耗することや、製袋工程においては、曲げ、伸び等の外的負荷により、前記蒸着膜面にクラックが発生することから、前記フィルムを包装袋に加工したときには、過酸化水素に対する耐性が失われてしまうという問題点があった。
(a) 基材フィルムの片面に、耐水耐油剤を含む過酸化水素保護膜を設け、他の面にバリア性薄膜層を設けたことを特徴とする過酸化水素バリア性フィルム。
(b) 耐水耐油剤が、アクリルエマルジョン系耐水耐油剤であることを特徴とする(a)の過酸化水素バリア性フィルム。
(c) バリア性薄膜層が、化学気相成長法による有機酸化珪素の蒸着膜、または真空蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする(a)または(b)の過酸化水素バリア性フィルム。
(d) バリア性薄膜層にガスバリア性塗布膜を設けた過酸化水素バリア性フィルムであって、
前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物であることを特徴とする(a)〜(c)のいずれかの過酸化水素バリア性フィルム。
(e) 過酸化水素を用いた殺菌処理に付される包装材料に使用することを特徴とする(a)〜(d)のいずれかの過酸化水素バリア性フィルム。
(f) (a)〜(e)の過酸化水素バリア性フィルムにヒートシール性樹脂層を積層した積層材であって、前記ヒートシール性樹脂層を、過酸化水素バリア性フィルムのバリア性薄膜層、またはガスバリア性塗布膜を設けた面側に積層したことを特徴とする前記積層材。
図1は、本発明の過酸化水素バリア性フィルムの層構成の一例を示す概略的断面図であり、図2は、図1に示す本発明の過酸化水素バリア性フィルムを使用して製造した積層材の層構成についてその一例を示す概略的断面図であり、図3は、図2に示す積層材を使用して製袋した包装用袋についてその一例の構成を示す概略的斜視図であり、図4は、上記の図3に示す本発明の包装用袋内に内容物を充填包装してなる包装製品についてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
上記に挙げた例は、本発明の過酸化水素バリア性フィルム、およびそれを使用した積層材を例示したものであり、本発明は、これによって限定されるものではなく、例えば図示しないが、本発明においては、さらに、その使用目的、充填包装する内容物、流通経路、販売形態、用途等によって、他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層材を設計して製造することができる。
なお、上記の図4において、15は、例えば、IノッチあるいはVノッチ等の開封用切れ目を表すものである。
1.基材フィルム
本発明の過酸化水素バリア性フィルムは、主に醤油、ソース、スープ等を充填包装する液体用小袋、餅を充填包装する小袋、生菓子等を充填包装する軟包装用袋、あるいは、ボイルあるいはレトルト食品等を充填包装する軟包装用袋等の飲食物等を充填包装する包装用容器として使用されるものであるから、基材フィルムとしては、優れた耐突き刺し強度と耐圧性とを有すると共に、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有し、過酸化水素保護膜を形成する条件等に耐え、過酸化水素保護膜の特性を損なうことなく良好に保持し得る樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
このような性質を有する基材フィルムとして、具体的には、例えば、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを挙げることができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシートの膜厚としては、6〜100μm、より好ましくは、9〜50μmが望ましい。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を任意に使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ放電処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
本発明の過酸化水素バリア性フィルム等を形成する過酸化水素保護膜は、包装袋における基材フィルムへの過酸化水素等の接触、吸着、浸透を防止するという役割を有するものであるから、単に過酸化水素等に対する浸透等を防止するという性質を有するだけでなく、印刷工程やラミネート工程といった積層材製造時におけるロール等との摩擦による摩耗が少なく、さらに包装袋製造時における曲げや伸びといった外的負荷によりクラックが生じないという特質を有するものでなければならない。このような特質を有する過酸化水素保護膜は、紙等に耐水性や耐油性を付与するために使用される耐水耐油剤を使用して形成することができる。
上記耐水耐油剤として、具体的には、以下の耐水耐油剤1種または2種以上を混合して使用することができる。
アクリルエマルジョン系耐水耐油剤としては、アクリル樹脂が水性媒体に分散し、エマルジョンを形成しているものであれば、特に限定されないが、基材に塗布し、乾燥した後に形成された耐水耐油剤層(過酸化水素保護膜)のガラス転移温度が40℃〜70℃となるようなものを使用することが好ましい。また、上記のアクリル樹脂としては、アクリル酸エステル、アクリル酸およびアクリル系モノマーを80重量%以上含有するモノマーを重合して得られる重合体を使用することができ、ここでアクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−エチルメタクリレート等を使用することができる。
本発明において好適に使用することのできるアクリルエマルジョン系耐水耐油剤としては、ジョンソンポリマー社製のDFCシリーズ、例えばDFC−3040やPDX−7326等が挙げられる。
スチレン−ブタジエン系耐水耐油剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体が水性媒体中に分散しているものであれば特に限定されないが、ガラス転移温度が−10℃〜50℃であるスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを使用することが好ましい。さらに前記スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスの中でも、耐水性の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体の表面に結合しているカルボキシル基、スルホン酸基、ホスフィニル基等の酸基量と、共重合体ラテックスの水相中の酸基量との合計が、塩酸当量換算で、共重合体1g辺り0.4mg〜3.5mg当量であるものが好ましい。
上記のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとしては、日本ゼオン(株)社製のニポールZ400Sが挙げられる。
エチレン酢酸ビニル系耐水耐油剤としては、エチレン−酸化ビニル重合体ケン化物溶液を好適に使用することができる。そして前記エチレン−酸化ビニル重合体ケン化物溶液中のエチレン−酸化ビニル重合体としては、エチレン含量が20モル%〜60モル%であることが好ましく、ケン化度が90モル%以上であるものが好ましい。また上記溶液においては、溶媒として、水と、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられ、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール等のアルコールとの混合溶媒を使用することが好ましい。
105<9・logη+T<145 ・・・・・(1)
12・logα+β<40 ・・・・・(2)
(ただし、ηはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物溶液の基材フィルム面への塗布時の溶液粘度(cps)、Tはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物溶液の基材フィルム面への塗布後の乾燥温度(℃)、αは基材の秤量(g/m2)、βはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物溶液の乾燥後の基材への着量(g/m2)をそれぞれ表わす。)
アクリロニトリル−ブタジエン(NB)系耐水耐油剤としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体をトルエンなどの有機溶媒に溶解したものを使用することができる。さらにポリエチレン系耐水耐油剤、塩化ビニル系耐水耐油剤、塩化ビニリデン系耐水耐油剤としては、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンを、例えばイソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、水等、あるいはこれらの混合溶液等で、1〜30重量%になるように希釈した溶液を使用することができる。
シリコン系耐水耐油剤としては、シリコン樹脂(主にポリジメチルシロキサン)、あるいはその溶液、水性エマルジョンを使用することができる。具体的には、チッソ(株)社製のFM0711、FM0721、FM0725、PS583、信越化学(株)社製のKP−600、X−62−7100、X−62−7112、X−62−7140、X−62−7144、X−62−7153、X−62−7157、X−62−7158、KNS−5200、X−62−7166、X−62−7168、X−62−7177、X−62−7180、X−62ー7181、X−62−7192、X−62−7200、X−62−7203、X−62−7205、X−62−7931、ゴールドシュミット社製のRC149、RC300、RC450、RC802、RC710、RC720、ダイセルUCB(株)社製のEBECRYL350、EBECRYL1360等が挙げられる。
アクリルエマルジョンとワックスエマルジョンの混合物としては、アクリル系エマルジョンとワックス系エマルジョンとの混合物を好適に使用することができる。そしてアクリル系エマルジョンとしては、例えば、アクリルポリマー、アクリル−スチレンコポリマー等の共重合体エマルジョンや自己架橋型アクリル系共重合体エマルジョン等の各種エマルジョンを使用することができ、具体的には、スチレンおよびスチレン誘導体、アクリル酸(メタクリル酸)およびアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルやメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステルなどを共重合したアクリル系コポリマーを使用することができる。また、ワックス系エマルジョンとしては、パラフィン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、マイクロクリスタリン系ワックス等の公知のワックスエマルジョンを使用することができるが、2種以上のワックス系エマルジョンを混合して使用してもよい。上記アクリル系エマルジョンとワックス系エマルジョンの配合は、アクリル系エマルジョン100重量部に対してワックス系エマルジョン1〜20重量部であるのが好ましい。
カルボキシ基含有の非ハロゲン系樹脂水溶液として、不飽和カルボン酸単量体と水に難溶または不溶の疎水性単量体とを必須成分として含む単量体混合物を、有機溶剤または水と有機溶剤の混合溶剤中で溶液重合し、その後、樹脂中のカルボキシル基の一部ないし全てをアンモニウム塩および/またはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩とすると共に、有機溶剤をストリッピングして水に置換することによって得られるカルボキシル基含有樹脂水溶液を使用することができる。前記不飽和カルボン酸単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸等を挙げることができ、また水に難溶又は不溶の疎水性単量体としては炭素数4以上のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、炭素数4以上のアルキルビニルエーテル等を挙げることができる。
ワックス系エマルジョンとしては、例えば石油系パラフィンワックス、動植物系ワックス、石炭由来のワックス、低分子量ポリエチレン等の固形ワックス等から選択されるワックス類を乳化したものを使用することができる。
本発明において好適に使用することのできる上記混合物としては、青木油脂工業社製のOR−20、PA−1等が挙げられる。
フッ素系耐水耐油剤として、フッ素系樹脂またはフッ素系樹脂エマルジョンを使用する。フッ素系樹脂としては、限定されないが、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシ行重合体樹脂、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレン共重合体樹脂、エチレン−四フッ化エチレン樹脂、三フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、またはフッ化ビニル樹脂を使用することができる。
本発明において好適に使用することのできるフッ素系耐水耐油剤としては、理研グリーン社製のインプレスFP−200等が挙げられる。
次に、本発明の過酸化水素バリア性フィルム等を構成するバリア性薄膜層について説明する。本発明においては、バリア性薄膜層は、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜により形成することができる。
化学気相成長法として、具体的には、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(chemical Vapor Deposition法、CVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
さらに具体的には上記の樹脂のフィルムないしシートの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キヤリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、さらに酸素を供給ガスとして使用し、かつ低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
図5に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チヤンバー22内に配置された巻き出しロール23から基材フィルム1を繰り出し、さらに、その基材フィルム1を、補助ロール24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
上記において、真空チヤンバー内を真空ポンプにより減圧し、真空度1.33×10-1〜1.33×10-8mbar、好ましくは、真空度1.33×10-3〜1.33×10-7mbarに調整することが好ましい。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は1〜40%、酸素ガスの含有量は10〜70%、不活性ガスの含有量は10〜60%の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14とすることができる。
なお、このときの真空チヤンバー内の真空度は、1.33×10-1〜1.33×10-4mbar、好ましくは、真空度1.33×10-1〜1.33×10-2mbarに調整することが好ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分、好ましくは、50〜150m/分に調整することが望ましい。
さらに、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1.33×10-1〜1.33×10-4mbar、好ましくは、1.33×10-1〜1.33×10-2mbarに調整することから、従来の真空蒸着法による蒸着膜形成時の真空度(1.33×10-4〜1.33×10-5mbar)に比べて低真空度であることから、基材フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度が安定し、製膜プロセスが安定するものである。
上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式:SiOx(式中、xは1.3〜1.9の数を表す)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましい。
上記において、xの値は、蒸着モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有率としては、0.1〜50%、好ましくは、5〜20%が好ましい。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げ等により、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、ガスバリア性が低下して好ましくないものである。
蒸着膜の膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。
また、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸著する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
本発明において、無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スバッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて形成することができる。
具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して樹脂のフィルムないしシートの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂のフィルムないしシートの上に蒸着する酸化反応蒸着法、さらに、酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の非結晶の薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
上記の無機酸化物の蒸着膜としては、金属の酸化物の蒸着膜が挙げられ、具体的には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属が挙げられる。
また、上記のxの値の範囲としては、ケイ素(Si)は0〜2、アルミニウム(Al)は0〜1.5、マグネシウム(Mg)は0〜1、カルシウム(Ca)は0〜1、カリウム(K)は0〜0.5、スズ(Sn)は0〜2、ナトリウム(Na)は0〜0.5、ホウ素(B)は0〜1.5、チタン(Ti)は0〜2、鉛(Pb)は0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、x=0の場合、完全な金属であり、透明でないので使用することができない。また、xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、望ましくは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が使用され、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または、金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
図6に示すように、巻き取り式真空蒸着装置40の巻き取りチヤンバー41の中で、巻き出しロール42から繰り出す基材フィルム1は、ガイドロール43,44を介して、冷却したコーティングドラム45に案内される。
上記の冷却したコーティングドラム上に案内された樹脂のフィルムないしシートの上に、るつぼ52で熱せられた蒸着源46、例えば、金属アルミニウム、あるいは酸化アルミニウム等を蒸発させ、さらに、必要ならば、酸素ガス吹出口47より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク48を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を樹脂のフィルムないしシート上に形成する。
また、巻き取りチヤンバーの真空度としては、100 〜10-5mbar、好ましくは、10-1〜10-4mbarが望ましい。また、蒸着チヤンバーの真空度としては、酸素ガスの導入前においては、10-2〜10-8mbar、好ましくは、10-3〜10-7mbarが望ましく、酸素ガスの導入後においては、10-1〜10-6mbar、好ましくは、10-2〜10-5mbarが望ましい。また、可撓性プラスチック基材の搬送速度としては、10〜800m/分、好ましくは、50〜600m/分が望ましい。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
上記のように化学気相成長法、または物理気相成長法により基材に無機酸化物の蒸着膜を形成した後、さらに前記蒸着膜をグロー放電処理、プラズマ処理、またはマイクロウェーブ処理してもよい。これにより蒸着膜と以下のガスバリア性塗布膜との密着性がさらに向上する。
本発明においては、基材フィルムに設けたバリア性薄膜層に、さらにガスバリア性塗布膜を設けることが好ましい。
上記のガスバリア性塗布膜は、アルコキシドと水溶性高分子を含有するものであり、具体的には、ガスバリア性塗布膜として、一般式:R1 nM(OR2)mで表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン・ビニルアルコールを含有する組成物をゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を使用する。
有機基R1の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等のアルキル基等が挙げられる。また、有機基R2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。同一分子中にこれらアルキル基は同一でであっても、異なってもよい。
上記アルコキシドの中で、MがZrであるジルコニウムアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシジルコニウムZr(O−CH3)4、テトラエトキシジルコニウムZr(O−C2H5)4、テトラiプロポキシジルコニウムZr(O−Iso−C3H7)4、テトラnブトキシジルコニウムZr(O−C4H9)4等を好適に使用できる。
上記アルコキシドの中で、MがTiであるチタニウムアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシチタニウムTi(O−CH3)4、テトラエトキシチタニウムTi(O−C2H5)4、テトライソプロポキシチタニウムTi(O−Iso−C3H7)4、テトラnブトキシチタニウムTi(O−C4H9)4等を好適に使用できる。
上記アルコキシドの中で、MがAlであるアルミニウムアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシアルミニウムAl(O−CH3)4、テトラエトキシアルミニウムAl(O−C2H5)4テトライソプロポキシアルミニウムAl(O−Iso−C3H7)4、テトラnブトキシアルミニウムAl(O−C4H9)4等を好適に使用できる。
ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコールコポリマーの組み合わせを採用する場合のそれぞれの含有重量比は、10:0.05〜10:6であることが好ましく、約10:1がさらに好ましい。
ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン・ビニルアルコールコポリマーは、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む組成物(塗工液)中で溶解した状態であることが好ましく、そのため上記有機溶媒の種類が適宜選択される。ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコールコポリマーの組み合わせを採用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコールコポリマーは、例えば、ソアノール(商品名)として市販されている。上記有機溶媒の使用量は、通常上記アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン・ビニルアルコールコポリマー、酸、およびゾル−ゲル法触媒の合計量100重量部当り30〜500重量部である。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性塗工液を調製する。ガスバリア性塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性塗工液を通常の方法で塗布し、乾燥する。乾燥により、上記アルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびビニルアルコールポリマーの重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。好ましくは上記の操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層する。
最後に、上記塗工液を塗布したフィルムを通常の環境下、50℃〜300℃、好ましくは、70℃〜200度の温度で、0.005分間〜60分間、好ましくは、0.01分間〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
ガスバリア性塗布膜を形成する他の態様として、熱水処理後のガスバリア性を向上させるため、以下のような積層フィルムを形成することが好ましい。
さらに、本発明においては、ガスバリア性塗布膜を、基材フィルム上に複数層形成してもよい。ガスバリア性塗布膜を複数層設けることにより、一層ガスバリア性の向上を図ることができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできる。
また、本発明の態様においては、基材フィルム上に蒸着層とガスバリア性塗布膜を設けた後、さらに蒸着層を設け、その蒸着層上にガスバリア性塗布膜を上記と同様にして形成してもよい。このように積層数を増やすことにより、より一層ガスバリア性に優れる積層フィルムを実現できる。
次に本発明の過酸化水素バリア性フィルムを使用した積層材に使用する材料、製造方法について説明する。
本発明の積層材は、過酸化水素バリア性フィルムを過酸化水素保護膜基材、バリア性基材等として使用し、これと、他のプラスチックフィルム、紙基材、セロハン、織布ないし不織布、ガラス板等の種々の基材の1種ないし2種以上と任意に積層したものである。
上記プラスチックフィルム等の基材において、積層材の最内層等を形成するものとして、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得るヒートシール性樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂のフィルムないしシートが挙げられる。上記のフィルムないしシートは、その樹脂を含む組成物によるコーティング膜の状態で使用することができる。そしてその膜もしくはフィルムないしシートの厚さとしては、5μmないし300μmが好ましく、さらには10μmないし100μmが望ましい。
上記のような積層を行う際に、積層面の基材面には、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理等の公知の前処理を任意に行うことができる。
本発明の積層材は、包装用材料、光学部材、太陽電池モジュール用保護シート、有機ELディスプレイ用保護フィルム、フィルム液晶ディスプレイ用保護フィルム、ポリマーバッテリー用包材、または、アルミ包装材料等の種々の用途に使用することができる。
次に本発明の積層材の使用例として、包装用容器を例にして説明する。
本発明においては、包装用容器として、例えば、上記の積層材を2枚用意し、その最内層に位置するヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒートシールしてシール部を形成すると共に上方に開口部を設けて、三方シール型の軟包装用容器を製造することができる。さらに上記で製造した三方シール型の軟包装用容器の開口部から、例えば、飲食品等の内容物を充填し、次いで、上方の開口部をヒートシールして上方のシール部等を形成し、さらに、必要に応じて、例えば、ボイル処理、レトルト処理等を施して、種々の形態からなる包装製品を製造することができる。
なお上記の例示は本発明を限定するものではなく、その目的、用途等により、軟包装用袋、液体紙製容器、紙缶等の種々の形態の包装用容器を製造することができる。
上記の本発明について以下に実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
1.本発明の過酸化水素バリア性フィルムの製造
(1)バリア性薄膜層の形成
基材フィルムとして、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカONBC)を使用し、まず、上記の2軸延伸ナイロンフィルムをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着した。次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ナイロンフィルムに、下記の蒸着条件により、膜厚100Åの有機酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:4.0:1.0(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
上記2軸延伸ナイロンフィルムの有機酸化珪素を積層した面の背面に、耐水耐油剤として、ジョンソンポリマー社製のDFC−3040をグラビアロールコート法で、乾燥状態で4g/m2となるように塗工し、本発明の過酸化水素バリア性フィルムを製造した。
上記で製造した過酸化水素バリア性フィルムの有機酸化珪素の蒸着膜面に、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。次に、前記印刷模様層上に二液硬化型のポリウレタン系のドライラミネート用接着剤を、グラビアコート法で、乾燥状態で4g/m2となるように塗工し、その接着剤面に対向するように、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレン(出光:LS722CN)と貼り合わせ、本発明の過酸化水素バリア性フィルムを用いた積層材を製造した。
1.本発明の過酸化水素バリア性フィルムの製造
(1)バリア性薄膜層の形成
基材フィルムとして、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカONBC)を使用し、まず、上記の2軸延伸ナイロンフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着した。次いでこれを繰り出し、その2軸延伸ナイロンフィルムのコロナ放電処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、以下の蒸着条件により、膜厚約100Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
酸素ガス導入後の蒸着チヤンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ放電処理面
上記2軸延伸ナイロンフィルムの酸化アルミニウムを積層した面の背面に、耐水耐油剤として、ジョンソンポリマー社製のPDX−7326をグラビアロールコート法で、乾燥状態で4g/m2となるように塗工し、本発明の過酸化水素バリア性フィルムを製造した。
上記「[実施例2]の1.本発明の過酸化水素バリア性フィルムの製造」で製造した過酸化水素バリア性フィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の過酸化水素バリア性フィルムを用いた積層材を製造した。
1.本発明の過酸化水素バリア性フィルムの製造
(1)バリア性薄膜層の形成
基材フィルムとして、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカONBC)を使用し、まず、上記の2軸延伸ナイロンフィルムをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着した。次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ナイロンフィルムに、下記の蒸着条件により、膜厚100Åの有機酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:4.0:1.0(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
上記有機酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧8.0×10-5mbar、処理速度100m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、有機酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
他方、下記の(表1)に示す組成に従って、調製した組成a.のポリビニルアルコール水溶液、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート、シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、0.5N塩酸水溶液、イオン交換水からなる加水分解液を加え、充分に攪拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。
上記2軸延伸ナイロンフィルムの有機酸化珪素を積層した面の背面に、耐水耐油剤として、ジョンソンポリマー社製のDFC−3040をグラビアロールコート法で、乾燥状態で4g/m2となるように塗工し、本発明の過酸化水素バリア性フィルムを製造した。
上記「[実施例3]の1.本発明の過酸化水素バリア性フィルムの製造」で製造した過酸化水素バリア性フィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の過酸化水素バリア性フィルムを用いた積層材を製造した。
過酸化水素保護膜を形成しなかったこと以外は、実施例3と同様の方法により、過酸化水素バリア性フィルムを用いた積層材を製造した。
厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカON)のコロナ放電処理面に、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄等からなる所定の印刷模様を印刷して、印刷模様層を形成した。
次に、前記印刷模様層上に二液硬化型のポリウレタン系のドライラミネート用接着剤を、グラビアコート法で、乾燥状態で4g/m2となるように塗工し、その接着剤面に対向するように、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレン(出光:LS722CN)と貼り合わせ、過酸化水素バリア性フィルムを用いた積層材を製造した。
バリア性薄膜層、ガスバリア性塗布膜を形成しなかったこと以外は、実施例3と同様の方法により、過酸化水素バリア性フィルムを用いた積層材を製造した。
上記の実施例1〜3で製造した積層材と、上記の比較例1〜3で製造した積層材について、下記のデータを測定した。
1.酸素透過度の測定
温度23℃、湿度90%RHの条件(JIS規格 K7126)で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OX−TRAN2/20)〕にて測定した。
温度40℃、湿度90%RHの条件(JIS規格 K7129)で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN3/31)〕にて測定した。
上記実施例1〜3、および比較例1〜3で製造した積層材に過酸化水素水のミストを吹き付け、次いで、加熱エアーにて乾燥後、その積層材10cm2を水100mlに浸漬し、次いで、その水に溶出した過酸化水素濃度を酸素電極法にて測定した。
上記の実験結果を下記の表2に示す。
すなわち過酸化水素保護膜を設けた実施例1の積層材においては、残留過酸化水素濃度は、3.0ppmと低かったのに対し、過酸化水素保護膜を設けた比較例1、2の積層材は、残留過酸化水素濃度が検出限界である50ppmを超え、本願発明の積層材は過酸化水素の浸透に対する優れた耐性を有することが確認された。
2 過酸化水素保護膜
3 バリア性薄膜層
4 ヒートシール性樹脂層
11 ヒートシール部
12 開口部
13 内容物
14 上部ヒートシール部
15 開封用切れ目
21 プラズマ化学気相成長装置
22 真空チヤンバー
23 巻き出しロール
24 補助ロール
25 冷却・電極ドラム
26,27 ガス供給装置
28 原料揮発供給装置
29 原料供給ノズル
30 グロー放電プラズマ
31 電源
32 マグネット
33 ガイドロール
34 巻き取りロール
35 真空ポンプ
40 巻き取り式真空蒸着装置
41 巻き取りチヤンバー
42 巻き出しロール
43,44 ガイドロール
45 コーティングドラム
46 蒸着源
47 酸素ガス吹出口
48 マスク
49,50 ガイドロール
51 巻き取りロール
52 るつぼ
53 蒸着チャンバー
A 過酸化水素バリア性フィルム
B 積層材
C 液体充填包装用袋
D 液体小袋包装体
Claims (8)
- 基材フィルムの片面に、耐水耐油剤を含む過酸化水素保護膜を設け、他の面にバリア性薄膜層を設けたことを特徴とする過酸化水素バリア性フィルム。
- 基材フィルムが、2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の過酸化水素バリア性フィルム。
- 耐水耐油剤が、アクリルエマルジョン系耐水耐油剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の過酸化水素バリア性フィルム。
- 過酸化水素保護膜が、耐水耐油剤を乾燥状態で1g/m2〜16g/m2となるように塗工してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過酸化水素バリア性フィルム。
- バリア性薄膜層が、化学気相成長法による有機酸化珪素の蒸着膜、または真空蒸着法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の過酸化水素バリア性フィルム。
- バリア性薄膜層にガスバリア性塗布膜を設けた過酸化水素バリア性フィルムであって、
前記ガスバリア性塗布膜が、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の過酸化水素バリア性フィルム。 - 過酸化水素を用いた殺菌処理に付される包装材料に使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の過酸化水素バリア性フィルム。
- 請求項1〜7の過酸化水素バリア性フィルムにヒートシール性樹脂層を積層した積層材であって、前記ヒートシール性樹脂層を、過酸化水素バリア性フィルムのバリア性薄膜層、またはガスバリア性塗布膜を設けた面側に積層したことを特徴とする前記積層材。
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