JP2008019759A - エンジンブロワ - Google Patents

Abstract

【課題】アースチェーンを使用することなく、エンジンとキャブレタとの間の放電を防止することができるエンジンブロワを提供すること。
【解決手段】エンジンブロワを、内部にファンが収容されたボリュートケースを有している遠心ブロワと、遠心ブロワに取り付けられてファンを駆動するエンジン４と、エンジン４にインシュレータ４０を介して取り付けられたキャブレタ５と、エンジン４とキャブレタ５とを電気的に導通するリードワイヤ７とを含んで構成した。これにより、エンジン４とキャブレタ５との間の電位差をなくすことができるので、ボリュートケースや風管に静電気が蓄積されても、エンジン４とキャブレタ５との間で放電が発生することを防止することができ、点火ユニット中の電子回路が放電により影響を受けて点火タイミングがずれてしまうことを防ぐことができる。
【選択図】図３

Description

本発明は、エンジンブロワに係り、特に静電気対策が施されたエンジンブロワに関する。

従来、エンジンブロワは、内部にファンが収容されたボリュートケースを有する遠心ブロワと、前記ファンを回転駆動させるエンジンと、遠心ブロワに取り付けられてファンの回転によって生じた噴出空気を噴き出す風管とを備え、遠心ブロワや風管などが合成樹脂から構成されている。

また、エンジンには合成樹脂製のインシュレータを介してキャブレタが取り付けられている。インシュレータは、インシュレータ側からねじが差し込まれてエンジンに取り付けられている。キャブレタは、キャブレタ側から差し込まれたねじがインシュレータ側のナットに螺合されることでインシュレータに取り付けられている。

このようなエンジンブロワでは、落ち葉などの清掃作業時に埃や塵を舞い上がらせ吸い込んでしまうため、これらの噴出時には、埃や塵が合成樹脂製のボリュートケースおよび風管と擦れて静電気が発生していた。そして、ボリュートケースおよび風管におけるこの静電気の蓄積量が所定量以上になると、蓄積された静電気は、導通性を有するエンジンを介し、インシュレータをエンジンに取り付けているねじから、インシュレータに設けられたキャブレタ取付用のナットへ放電する場合があった。そして、この放電により、インシュレータ近傍に配置された点火ユニットが影響を受けてしまい、点火タイミングがずれてしまうおそれがあった。

前述のような課題を解決するために、従来、ボリュートケースに地面まで達するアースチェーンを吊り下げ、ボリュートケースに蓄積された静電気を地面に逃すことが提案されている（例えば、特許文献１）。

実公昭６１−４５８９８号

しかしながら、特許文献１のアースチェーンを取り付けた場合、足にアースチェーンが絡まらないようにアースチェーンを取り扱う必要があり、煩雑であるという問題がある。従って、アースチェーンを使わない形での放電防止手段が望まれている。

本発明の目的は、アースチェーンを使用することなく、エンジンとキャブレタとの間の放電を防止することができるエンジンブロワを提供することにある。

本発明の請求項１に係るエンジンブロワは、内部にファンが収容されたボリュートケースを有している遠心ブロワと、前記遠心ブロワに取り付けられて前記ファンを駆動するエンジンと、前記エンジンにインシュレータを介して取り付けられたキャブレタと、前記エンジンとキャブレタとを電気的に導通するリードワイヤとを備えていることを特徴とする。

本発明の請求項２に係るエンジンブロワは、請求項１に記載のエンジンブロワにおいて、前記キャブレタのスロットルレバーに一端側が連結されているとともに、他端側が作業者操作用のアクセルレバーに連結されて前記キャブレタのバルブ開度を調整するスロットルケーブルを備え、前記スロットルケーブル内のインナーワイヤが前記リードワイヤと導通していることを特徴とする。

請求項１の発明によれば、エンジンとキャブレタとがリードワイヤによって導通接続されているので、エンジンとキャブレタとの間の電位差をなくすことができ、かつ、その間で放電が発生することを防止することができ、この放電により、インシュレータ近傍に配置される点火ユニットが放電によって影響を受けてしまい、点火タイミングがずれてしまうことを確実に防止することができる。

請求項２の発明によれば、エンジンに一端側が接続されたリードワイヤの他端側が、作業者操作用のアクセルレバーに連結されたスロットルケーブル内のインナーワイヤに接続されているので、エンジンを、リードワイヤ、インナーワイヤ、アクセルレバー、および作業者を介して接地することができる。これにより、エンジンに帯電する静電気を地面に逃すことができ、一層確実にエンジンとキャブレタとの間で放電が発生することを防止することができる。

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図１は、本実施形態に係るエンジンブロワ１を示す正面図、図２は、エンジンブロワ１の平面図、図３は、エンジンブロワ１の要部を示す斜視図である。

背負い式のエンジンブロワ１は、側面視でＬ字形状とされたフレーム２と、このフレーム２の底面上でゴムマウント３０に支持され、かつ背面上で別のゴムマウント３１（図２参照）によって支持された遠心ブロワ３と、遠心ブロワ３を構成するボリュートケース３２内に収容された遠心式の図示しないファンを回転駆動させるエンジン４と、遠心ブロワ３のエルボー３４に取り付けられてファンの回転によって生じた噴出空気を噴き出す風管３５とを備えている。また、エンジンブロワ１では、遠心ブロワ３や風管３５などのエンジン４以外の主な部分が合成樹脂から構成されている。

エンジン４は、例えば層状掃気式の２ストロークエンジンであり、このエンジン１には、インシュレータ４０を介してキャブレタ５が取り付けられているとともに、キャブレタ５に対してシリンダ４１を挟んだ位置にマフラ４２が取り付けられている。エンジン４は、クランクケース４３と一体に形成されたクランクケース取付部４４がねじ止めされることにより、遠心ブロワ３に取り付けられている。

インシュレータ４０は、図３に示されるように、平板状に形成された基部４００を貫通するねじ４０１によりエンジン４に取り付けられている。また、インシュレータ４０には、図示しないキャブレタ取付用のナットが前記ねじ４０１と近接対向する位置に設けられている。

キャブレタ５は、ねじ穴５０から挿通される図示しないねじがインシュレータ４０に設けられたキャブレタ取付用の前記ナットに螺合されることで、インシュレータ４０に固定されている。このキャブレタ５の内部には、ロータリーバルブが回動自在に設けられている。ロータリーバルブは、キャブレタ５の上部（図３中上側）に設けられたスロットルレバー５１により、先導空気通路５２内および混合気通路５３内のバルブ開度を変化させ、シリンダ４１内に送る先導空気量および混合気量を調整している。

スロットルレバー５１には、孔５４を備えた連結ピン５５が取り付けられている。この孔５４には、スロットルケーブル６内のインナーワイヤ６０端部に設けられた抜け止め部６１（図４参照）が嵌入されている。このスロットルケーブル６の他端側は、作業者操作用の図示しないアクセルレバーに連結されている。つまり、キャブレタ５は、スロットルケーブル６（インナーワイヤ６０）によって、アクセルレバーに連結されている。

クランクケース取付部４４の下部（図３中下側）には点火ユニット収容部４５が設けられている。点火ユニット収容部４５の内部には、発電用コイルや、イグニッションコイル、コンデンサー等とから構成される点火ユニットが収容されている。この点火ユニットは、イグニッションコード４６を通してスパークプラグ４７に電圧を印加している。

本実施形態では、このようなエンジンブロワ１において、エンジン４と、一端側がキャブレタ５に連結されたインナーワイヤ６０とがリードワイヤ７によって導通接続されている。詳述すると、図３に示されるように、リードワイヤ７は、一端側がクランクケース取付部４４に取り付けられ、他端側がスロットルレバー５１近傍に設けられたスロットルアジャスタ８に取り付けられている。そして、このスロットルアジャスタ８部分において、リードワイヤ７の端部がスロットルケーブル６内のインナーワイヤ６０と導通しているのである。

具体的にリードワイヤ７を説明すると、リードワイヤ７の両端には圧着端子７１，７２（図４参照）が設けられている。リードワイヤ７の一端側の圧着端子７１は、ねじ７１によりクランクケース取付部４４に取り付けられている。

図４は、スロットルアジャスタ８の分解斜視図、図５は、スロットルアジャスタ８の断面図である。
スロットルアジャスタ８は、インナーワイヤ６０を被覆するアウターチューブ６２の端部に取り付けられている金属キャップ６３が挿入されるアジャスタボルト８１と、アジャスタボルト８１に螺合されるナット８２と、アジャスタボルト８１が螺合される鍔５６とを備えて構成されている。鍔５６は、キャブレタ５の上端に設けられた金属板である。金属キャップ６３には、インナーワイヤ６０の径と略等しい径（わずかに大きい径）の孔６４が穿設され、この孔６４にインナーワイヤ６０が挿通されている。リードワイヤ７の他端側の圧着端子７２は、アジャスタボルト８１に挿通され、ナット８２と鍔５６との間に挟まれることにより、スロットルアジャスタ８に取り付けられている。

ここで、圧着端子７２はナット８２および鍔５６と面接触して導通し、これらのナット８２および鍔５６は、アジャスタボルト８１とねじの噛み合い部分で接触して導通し、アジャスタボルト８１は金属キャップ６３が挿入されて金属キャップ６３と導通し、金属キャップ６３はインナーワイヤ６０と孔６４の縁で接触して導通している。このため、圧着端子７２は、インナーワイヤ６０と良好に導通接続することができる。

そして、この導通により、エンジン４とキャブレタ５との間の電位差をなくすことができ、清掃作業時等にボリュートケース３２および風管３５で静電気が生じても、インシュレータ４０をエンジン４に取り付けているねじ４０１と、インシュレータ４０に鋳込まれているナットとの間で放電が発生することをアースチェーンを使うことなく防止することができ、点火ユニット中の電子回路が放電により影響を受けて点火タイミングがずれてしまうことを確実に防ぐことができる。

なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。

例えば、前記実施形態では、リードワイヤ７は、クランクケース取付部４４に取り付けられていたが、クランクケース４３やシリンダ４１に取り付けられていてもよく、エンジン４と金属キャップ６３とを導通できればよい。

前記実施形態では、リードワイヤ７は、スロットルアジャスタ８を介してインナーワイヤ６０と導通接続していたが、リードワイヤ７は、インナーワイヤ６０の径と略等しい径の孔を備え、この孔がインナーワイヤ６０に直接挿通されることでインナーワイヤ６０と直接導通接続していてもよい。

前記実施形態では、スロットルケーブル６に接続するキャブレタ５は、ロータリーバルブ形式であったが、バタフライバルブ形式でもよく、ロータリーバルブ形式のものに限定されない。また、エンジン４は、層状掃気式の２サイクルエンジンに限定されず、混合気通路５３のみを備えた２サイクルエンジンでもよいし、４サイクルエンジンでもよい。

本発明は、噴出空気によって落ち葉などを清掃するエンジンブロワに利用できる。

本発明の一実施形態に係るエンジンブロワを示す正面図。 エンジンブロワの平面図。 エンジンブロワの要部を示す斜視図。 スロットルアジャスタの分解斜視図。 スロットルアジャスタの断面図。

符号の説明

１…エンジンブロワ、３…遠心ブロワ、４…エンジン、５…キャブレタ、６…スロットルケーブル、７…リードワイヤ、３２…ボリュートケース、４０…インシュレータ、５１…スロットルレバー、６０…インナーワイヤ。

Claims (2)

1. 内部にファンが収容されたボリュートケースを有している遠心ブロワと、
   前記遠心ブロワに取り付けられて前記ファンを駆動するエンジンと、
   前記エンジンにインシュレータを介して取り付けられたキャブレタと、
   前記エンジンとキャブレタとを電気的に導通するリードワイヤとを備えている
   ことを特徴とするエンジンブロワ。
2. 請求項１に記載のエンジンブロワにおいて、
   前記キャブレタのスロットルレバーに一端側が連結されているとともに、他端側が作業者操作用のアクセルレバーに連結されて前記キャブレタのバルブ開度を調整するスロットルケーブルを備え、
   前記スロットルケーブル内のインナーワイヤが前記リードワイヤと導通している
   ことを特徴とするエンジンブロワ。

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