JP2008019322A - 色素化合物及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、450nm以下のレーザ光を照射して情報の高密度記録及び再生を行う光情報記録媒体の記録層の構成材料として好適な色素化合物と、その使用方法を提供する。
【解決手段】第1光情報記録媒体10Aの第1基板12上には、波長450nm以下のレーザ光照射による情報の記録が可能な第1追記型記録層14が設けられる。この第1追記型記録層14には、ボロン酸が縮合されることで形成されたボロキシン部分を有する三量体が含有されている。なお、ボロン酸の縮合(三量体化)は、該ボロン酸を溶媒に溶解して調製した溶液を第1基板12上に塗布して第1追記型記録層14を形成した後、該第1追記型記録層14に対してアニール処理を行うことで進行させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】第1光情報記録媒体10Aの第1基板12上には、波長450nm以下のレーザ光照射による情報の記録が可能な第1追記型記録層14が設けられる。この第1追記型記録層14には、ボロン酸が縮合されることで形成されたボロキシン部分を有する三量体が含有されている。なお、ボロン酸の縮合(三量体化)は、該ボロン酸を溶媒に溶解して調製した溶液を第1基板12上に塗布して第1追記型記録層14を形成した後、該第1追記型記録層14に対してアニール処理を行うことで進行させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ホウ素を構成元素として含む色素化合物及びその使用方法に関し、特に、光情報記録媒体におけるレーザ光を用いて情報の記録及び再生が可能な記録層に好適な色素化合物及びその使用方法に関する。
従来から、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも呼称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素を含有する記録層、金等の金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層状態で設けられている。そして、このCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザ光(通常は780nm付近の波長のレーザ光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
近時、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近に控えていることから、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。前述のCD−Rや、可視レーザ光(630nm〜680nm)を記録用レーザとして高密度記録を可能としたDVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位がある程度は確立されているものの、将来の要求に対応できる程度に充分大きな記録容量を有しているとは言い難い側面がある。
そこで、DVD−Rよりもさらに短波長、具体的には、波長530nm以下のレーザ光を用いることによって記録密度を向上させ、より大きな記録容量を備えた光ディスクの開発が試みられている。すなわち、有機色素としてのポルフィリン化合物、アゾ系色素、金属アゾ系色素、キノフタロン系色素、トリメチンシアニン色素、ジシアノビニルフェニル骨格色素、クマリン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物等を含有する記録層を具備する光ディスクの記録層側から光反射層側に向け、青色(波長430nm、488nm)又は青緑色(波長515nm)のレーザ光を照射することにより情報の記録再生を行う情報記録再生方法が提案されている。またオキソノール色素を有機色素として記録層に含有する光ディスクに、550nm以下のレーザ光を照射することにより情報の記録再生を行う情報記録再生方法も提案されている(例えば、特許文献1〜22参照)。
ここで、記録層は、一般的に、有機色素を溶媒に溶解して溶液とし、該溶液を基板上に塗布した後に乾燥することで設けられる。
記録再生に短波長を使用するこの種の光ディスクとして、現在、405nmの青色レーザを用いるBlu−ray方式と称する光記録ディスクが市販されるに至っている。
上記したようなレーザ光を用いる情報記録方法においては、記録層の照射部分がレーザ光を吸収することで局所的な温度上昇を起こし、これにより、当該部分にピットが形成される。このため、ピットを形成した後に該ピットの近傍に別のピットを形成するべく短波長のレーザ光を照射すると、前回に形成されたピットが変形されてしまうことがある(以下、この現象を「隣接干渉」と表記する)。この不都合は、レーザ光が短波長になるほど、換言すれば、光ディスクの大容量化を試みるほど顕著となる。
そして、本発明者の検討によれば、前記特許文献1〜22に記載された公知の色素化合物を含有する記録層を具備する光ディスクでは、上記の隣接干渉のため記録特性が満足できるレベルではないことが判明した。
上記した不都合を回避するべく、硬質なアモルファス膜を形成する有機色素を使用することが想起される。しかしながら、この種の有機色素は溶媒に対する溶解性が低く、従って、記録層を設けるための原材料である溶液を調製すること自体が容易ではないという不具合がある。
なお、特許文献23〜25には、有機ボロン酸化合物からなるインクジェットプリンタ用の水溶性有機色素が開示されている。これら特許文献23〜25によれば、いずれも該水溶性有機色素が紙類と強固に結合することで、優れた汚れ耐性、耐水性が発現するとともに、プリント品質が向上する、とのことである。すなわち、特許文献23〜25には、光ディスクにおける有機色素に、硬質なアモルファス膜が形成可能であるという特性と、溶媒に対する溶解性が高いという特性とが同時に必要であるという観点からの検討は何らなされていない。
本発明の主たる目的は、記録品質の向上と溶媒への良好な溶解性とを両立させることが可能な色素化合物と、該色素化合物を光記録情報媒体の記録層の構成材料として使用する使用方法とを提供することにある。
本発明の課題は、以下の構成によって好ましく達成された。
[1] 下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)のいずれかで表される構造を有する色素化合物。
ただし、Dyeは色素残基を表し、Lは2価の連結基もしくは単結合を表す。mは1〜5の整数を表し、nは1〜10の整数を表す。nが2以上の場合、mはnに等しくても等しくなくてもよく、2つ以上の連結基Lは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ただし、lは1〜5の整数を表し、このときm+l=2〜6である。lが2以上の場合、2つ以上の連結基L及び色素残基Dyeは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ただし、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、xは1〜10の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。さらに、Lが単結合であるときにはs=0、2価の連結基であるときには1以上の整数であり且つ2以上の整数であるときにはs=xである。
ただし、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、zは1以上の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。
[2] オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素の群から選択される[1]記載の色素化合物。
[3] 複数個の環状化合物が少なくとも1つの共役二重結合を含む官能基で結合された色素残基を有する[2]記載の色素化合物。
[4] 下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)のいずれかで表される構造を有するボロン酸の三量体化合物からなり、且つボロキシン部分を有することを特徴とする色素化合物。
ただし、Dyeは色素残基を表し、Lは2価の連結基もしくは単結合を表す。mは1〜5の整数を表し、nは1〜10の整数を表す。nが2以上の場合、mはnに等しくても等しくなくてもよく、2つ以上の連結基Lは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ただし、lは1〜5の整数を表し、このときm+l=2〜6である。lが2以上の場合、2つ以上の連結基L及び色素残基Dyeは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ただし、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、xは1〜10の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。さらに、Lが単結合であるときにはs=0、2価の連結基であるときには1以上の整数であり且つ2以上の整数であるときにはs=xである。
ただし、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、zは1以上の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。
[5] オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素の群から選択される[4]記載の色素化合物。
[6] 複数個の環状化合物が少なくとも1つの共役二重結合を含む官能基で結合された色素残基を有する[5]記載の色素化合物。
[7] ホウ素を構成元素とする色素化合物の使用方法であって、
前記色素化合物を、光情報記録媒体におけるレーザ光照射による情報の記録が可能な記録層の構成材料として用いる色素化合物の使用方法。
前記色素化合物を、光情報記録媒体におけるレーザ光照射による情報の記録が可能な記録層の構成材料として用いる色素化合物の使用方法。
[8] 前記色素化合物として、色素残基の吸収極大波長が300nm〜900nmであり、且つモル吸光係数ε[L/(mol・cm)]が5000以上であるものを使用する[7]記載の色素化合物の使用方法。
[9] 前記色素化合物として、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素の群から選択される色素を使用する[7]又は[8]記載の色素化合物の使用方法。
[10] 前記色素化合物として、ボロン酸、又はボロン酸が互いに結合することで形成されたボロキシン部分を有するものを使用する[7]〜[9]のいずれかに記載の色素化合物の使用方法。
[11] 前記色素化合物として、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で表される化合物、又はその1種以上が互いに結合した多量体を使用する[10]記載の使用方法。
ただし、Dyeは色素残基を表し、Lは2価の連結基もしくは単結合を表す。mは1〜5の整数を表し、nは1〜10の整数を表す。nが2以上の場合、mはnに等しくても等しくなくてもよく、2つ以上の連結基Lは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ただし、lは1〜5の整数を表し、このときm+l=2〜6である。lが2以上の場合、2つ以上の連結基L及び色素残基Dyeは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ただし、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、xは1〜10の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。さらに、Lが単結合であるときにはs=0、2価の連結基であるときには1以上の整数であり且つ2以上の整数であるときにはs=xである。
ただし、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、zは1以上の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。
本発明によれば、ボロン酸を含有させているので、溶剤に対する溶解性が良好な色素化合物を構成することができる。従って、この色素化合物を溶剤に溶解することのみで、光情報記録媒体を構成する基板上に塗布することが極めて容易な記録層用原材料溶液を調製することが可能となる。
しかも、この色素化合物は、溶液中、さらには記録層の形成工程(特に、アニール処理)でホウ素原子を介して多量体が形成されることから、硬質なアモルファス膜が得られる。従って、該色素化合物を光情報記録媒体の記録層に含有させた場合、隣接干渉が低減されるので記録性能が向上する。
従って、本発明に係る色素化合物は、光情報記録媒体の記録層の構成材料として好適に使用可能である。
以下、本発明に係る色素化合物につき、該色素化合物を構成材料とする記録層を有する光情報記録媒体との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態においては、光情報記録媒体を構成する基板上に、レーザ光照射による情報の記録が可能な記録層が設けられている。そして、この記録層に、ホウ素を構成元素とする色素化合物が含有されている。
はじめに、この色素化合物につき説明する。
ホウ素の形態は特に限定されるものではないが、ボロン酸、ジクロロボロン、ジブロモボロン、置換又は無置換のジアミノボロン酸等が好適な例として挙げられ、中でも、ボロン酸、置換又は無置換のジアミノボロン酸が好ましく、ボロン酸が特に好ましい。
ボロン酸の好適な例としては、炭素原子数1〜20の鎖状又は環状のアルキルボロン酸(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル)、炭素原子数6〜18の置換又は無置換のアリールボロン酸(例えば、フェニル、クロロフェニル、アニシル、トルイル、2,4−ジ−t−アミル、1−ナフチル)、アルケニルボロン酸(例えば、ビニル、2−メチルビニル)、アルキニルボロン酸(例えば、エチニル、2−メチルエチニル、2−フェニルエチニル)、ヘテロ環ボロン酸(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル等の芳香族ヘテロ環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環等の脂肪族ヘテロ環)、ヘテロ原子連結ボロン酸(例えば、ケイ素原子、ホウ素原子)等が挙げられ、好ましくはアルキルボロン酸、アリールボロン酸とヘテロ環ボロン酸であり、より好ましくはアリールボロン酸である。
アリールボロン酸の好適な例としては、フェニルボロン酸、クロロフェニルボロン酸、アニシルボロン酸、トルイルボロン酸、2,4−ジ−t−アミルボロン酸、1−ナフチルボロン酸が挙げられ、好ましくはフェニルボロン酸、1−ナフチルボロン酸であり、より好ましくはフェニルボロン酸である。
一方、色素は特に限定されるものではなく、公知の色素であればよい。なお、公知の色素は、その色素残基の吸収極大波長が300nm〜900nmであり、且つモル吸光係数ε[L/(mol・cm)]が5000以上である。
このような色素の好適な例としては、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素等が挙げられる。中でも、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、アゾ系色素が好ましく、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素が特に好ましい。
このようなホウ素色素化合物の好適な例としては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で表される色素化合物が挙げられる。
ここで、Dyeは色素残基を表し、Lは2価の連結基もしくは単結合を表す。mは1〜5の整数を表し、nは1〜10の整数を表す。ただし、nが2以上の場合、mはnに等しくても等しくなくてもよく、2つ以上の連結基Lは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
lは1〜5の整数を表し、このときm+l=2〜6である。ただし、lが2以上の場合、2つ以上の連結基L及び色素残基Dyeは互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
ここで、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、xは1以上の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。さらに、Lが単結合であるときにはs=0、2価の連結基であるときには1〜10の整数であり且つ2以上の整数であるときにはs=xである。すなわち、Lが2価の連結基であって且つ2個以上存在する場合、Lも繰り返し単位に含まれる。
ここで、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。また、zは1以上の整数を表し、このときDyeはイオン性の色素残基を表す。
一般式(I)〜(IV)において、Dyeとはオキソノール色素、シアニン色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、白金ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素から表され、好ましくはオキソノール色素、シアニン色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素等の各色素残基であり、より好ましくはオキソノール色素、シアニン色素の各色素残基である。Dyeで表される色素残基は、nが2つ以上の場合は互いに異なっていても同一であってもよいが、同一であることが好ましい。
一般式(I)〜(IV)において、Lは、単結合又は2価の連結基であればよい。2価の連結基である場合、その好適な例としては、置換又は無置換のアルキル連結(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、置換又は無置換のアルケニル連結(好ましくは炭素数2〜20、例えば、ビニル、アリル)、置換又は無置換のアリール連結(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、置換又は無置換のヘテロ環連結(好ましくは炭素数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、ヘテロ原子連結(好ましくは酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、珪素原子、スズ原子、硫黄原子もしくは硫黄酸化物(スルフリル、スルホ連結))等が挙げられる。置換又は無置換のアルキル連結、置換又は無置換のフェニル連結、置換又は無置換のヘテロ環連結、ヘテロ原子連結であることが好ましく、置換又は無置換のフェニル連結又はヘテロ原子連結であることがより好ましい。
一般式(I)〜(IV)において、mは1〜5の整数であり、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
一般式(I)において、nは1以上の整数であればよく、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
一般式(II)において、lは1〜5の整数であり、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜2である。
一般式(III)、(IV)において、Qは荷電を有する置換基を表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。ここで、ある化合物が陽イオンもしくは陰イオンであるか、又は正味のイオン電荷を有するか否かは、その化合物の置換基に依存する。一般式(III)、(IV)においてQで表されるイオンは、対する色素分子の電荷に応じて、陽イオンを表す場合と、陰イオンを表す場合とがある。
Qとして表されるイオンは特に限定されるものではなく、無機化合物よりなるイオンであっても、有機化合物よりなるイオンであってもよい。また、Qとして表されるイオンの電荷は、1価であっても多価であってもよい。
Qとして表される陽イオンとしては、例えば、4級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、セレノニウムイオン、ヨードニウムイオン等のオニウムイオンが挙げられる。
Qで表される陽イオンとして特に好ましいイオンはオニウムイオンであり、さらに好ましくは4級アンモニウムイオンである。4級アンモニウムイオンの中でも特に好ましくは、特開2000−52658号公報の一般式(I−4)で表される4,4’−ビピリジニウム陽イオン、及び特開2002−59652号公報に開示されている4,4’−ビピリジニウム陽イオンである。
一方、Qとして表される陰イオンとしては、例えば、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン等のヘテロポリ酸イオン、カルボン酸イオン、琥珀酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、芳香族ジスルホン酸イオンのような有機多価陰イオン、四フッ化ホウ酸イオン、六フッ化リン酸イオンが挙げられる。
Qで表される陰イオンとして特に好ましい陰イオンは、ヘテロポリ酸イオン及び有機多価陰イオンであり、さらに好ましくは、ナフタレンジスルホン酸誘導体のような2又は3価の有機陰イオンである。2又は3価有機陰イオンの中でも特に好ましくは、特開平10−226170号公報に開示されたナフタレンジスルホン酸陰イオンである。
一般式(III)において、xは1以上の整数であればよく、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
一般式(IV)において、zは1以上の整数であればよく、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4である。
この種の化合物の具体例を以下に示すが、本発明において、色素化合物がこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
以上の色素化合物は、各々を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、記録層には、ホウ素を含有する色素化合物と、それ以外の色素化合物とを併用してもよい。
そして、色素化合物が上記一般式(I)〜(IV)に示されるようなボロン酸化合物である場合、光情報記録媒体の記録層を形成した後には、該記録層中にボロン酸同士が縮合したホウ素―酸素結合、すなわち、ボロキシン部分を有する色素化合物が存在すると推定される。
なお、ボロン酸が縮合した場合、下記の反応式に従ってボロキシン部分が形成されることが知られている(例えば、Heterocycoles、2002年第57巻第787頁参照)。すなわち、本実施の形態に係る色素化合物を使用して光情報記録媒体の記録層を形成する際には、記録層形成用塗布液中、又は該塗布液を用いて形成された塗膜(記録層)において、ボロン酸同士が縮合してボロキシン部分が形成すると考えられる。加えて、塗膜を加熱乾燥(アニール処理)する際に、ホウ素―酸素結合(ボロキシン部分)がさらに形成されることに伴って、塗膜を構成するアモルファス膜が硬化する。本発明者らは、光情報記録媒体の記録層の形成に際しては、塗布液中で徐々に多量体が形成し、アニール処理によりボロン酸の大部分が多量体を形成すると推定する。このように、本実施の形態に係る色素化合物を使用した場合、記録層でホウ素―酸素結合が形成され、アモルファス膜の硬化具合がホウ素原子を含有しない場合に比べて高まり、その結果、隣接干渉が低減される。
また、このような色素化合物は、各種溶剤への溶解性に優れる。このため、記録層の原材料である塗布溶液を容易に調製することができる。
しかも、上記したように、この種の色素化合物は硬質なアモルファス膜を形成するので、隣接干渉が著しく低減する。従って、記録性能が向上する。
すなわち、ホウ素、好ましくはボロン酸基、さらに好ましくはボロキシン部分を導入した色素化合物を用いることにより、記録性能と溶解性の両立を達成することができる。
本実施の形態に係る光情報記録媒体の記録層は、上記した色素化合物のみで形成するようにしてもよいが、記録層の耐光性を向上させるべく、種々の褪色防止剤を含有させるようにしてもよい。
褪色防止剤としては、有機酸化剤や一重項酸素クエンチャーを挙げることができる。褪色防止剤として用いられる有機酸化剤としては、特開平10−151861号公報に記載されている化合物が好ましい。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号公報、特開昭59−81194号公報、特開昭60−18387号公報、特開昭60−19586号公報、特開昭60−19587号公報、特開昭60−35054号公報、特開昭60−36190号公報、特開昭60−36191号公報、特開昭60−44554号公報、特開昭60−44555号公報、特開昭60−44389号公報、特開昭60−44390号公報、特開昭60−54892号公報、特開昭60−47069号公報、特開昭63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、及び特公平6−26028号公報等の各公報、独国特許第350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。好ましい一重項酸素クエンチャーの例としては、下記の一般式(V)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(V)中、R21は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Q-はアニオンを表す。
一般式(V)において、R21は置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基が一般的であり、無置換の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(F、Cl等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等)、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アルケニル基(ビニル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)を挙げることができる。これらの中で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基が好ましい。アニオンQ-の好適な例としては、ClO4 -、AsF6 -、BF4 -、及びSbF6 -を挙げることができる。
一般式(V)で表される化合物の具体例は、下記の化合物番号V−1〜V−8で表される物質である。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素化合物の量に対して、通常0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜45重量%の範囲、さらに好ましくは3〜40重量%の範囲、特に好ましくは5〜25重量%の範囲である。
<光情報記録媒体の様態>
本発明に係る光情報記録媒体は、図1に示す第1の様態に係る光情報記録媒体(以下、単に第1光情報記録媒体10Aと記す)と、図2に示す第2の様態に係る光情報記録媒体(以下、単に第2光情報記録媒体10Bと記す)であることが好ましい。
本発明に係る光情報記録媒体は、図1に示す第1の様態に係る光情報記録媒体(以下、単に第1光情報記録媒体10Aと記す)と、図2に示す第2の様態に係る光情報記録媒体(以下、単に第2光情報記録媒体10Bと記す)であることが好ましい。
第1光情報記録媒体10Aは、図1に示すように、厚さ0.7〜2mmの第1基板12上に、色素を含有する第1追記型記録層14と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層16とをこの順に有する。具体的には、例えば第1基板12上に、第1光反射層18と、第1追記型記録層14と、バリア層20と、第1接着層22と、カバー層16とをこの順に有する。
第2光情報記録媒体10Bは、図2に示すように、厚さ0.1〜1.0mmの第2基板24上に、色素を含有する第2追記型記録層26と、厚さ0.1〜1.0mmの保護基板28とをこの順に有する。具体的には、例えば第2基板24上に、第2追記型記録層26と、第2光反射層30と、第2接着層32と、保護基板28とをこの順に有する。
第1光情報記録媒体10Aにおいては、図1に示すように、第1基板12に形成される第1プリグルーブ34のトラックピッチが50〜500nm、溝幅が25〜250nm、溝深さが5〜150nmであることが好ましい。
第2光情報記録媒体10Bにおいては、図2に示すように、第2基板24に形成される第2プリグルーブ36のトラックピッチが200〜600nm、溝幅が50〜300nm、溝深さが30〜200nmであり、ウォブル振幅が10〜50nmであることが好ましい。
第1光情報記録媒体10Aは、図1に示すように、少なくとも第1基板12と、第1追記型記録層14と、カバー層16とを有する様態であり、先ず、これらに必須の部材について順に説明する。
〔第1光情報記録媒体10Aの第1基板12〕
図1に示すように、好ましい第1光情報記録媒体10Aの第1基板12には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有する第1プリグルーブ34(案内溝)が形成されていることが必須である。この第1プリグルーブ34は、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、第1光情報記録媒体10Aを、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
図1に示すように、好ましい第1光情報記録媒体10Aの第1基板12には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有する第1プリグルーブ34(案内溝)が形成されていることが必須である。この第1プリグルーブ34は、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、第1光情報記録媒体10Aを、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
第1プリグルーブ34のトラックピッチは、50〜500nmの範囲であることが必須であり、上限値が420nm以下であることが好ましく、370nm以下であることがより好ましく、330nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、260nm以上であることがさらに好ましい。
トラックピッチが50nm未満では、第1プリグルーブ34を正確に形成することが困難になる上、クロストークの問題が発生することがあり、500nmを超えると、記録密度が低下する問題が生ずることがある。
第1プリグルーブ34の溝幅(半値幅)は、25〜250nmの範囲であることが必須であり、上限値が200nm以下であることが好ましく、170nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。
第1プリグルーブ34の溝幅が25nm未満では、成形時に溝が十分に転写されなかったり、記録のエラーレートが高くなったりすることがあり、250nmを超えると、記録時に形成されるピットが広がってしまい、クロストークの原因となったり、十分な変調度が得られないことがある。
第1プリグルーブ34の溝深さは、5〜150nmの範囲であることが必須であり、上限値が100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、28nm以上であることがさらに好ましい。
第1プリグルーブ34の溝深さが5nm未満では、十分な記録変調度が得られないことがあり、150nmを超えると、反射率が大幅に低下することがある。
また、第1プリグルーブ34の溝傾斜角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、70°以下であることがより好ましく、60°以下であることがさらに好ましく、50°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることがさらに好ましい。
第1プリグルーブ34の溝傾斜角度が20°未満では、十分なトラッキングエラー信号振幅が得られないことがあり、80°を超えると、第1基板12の成形(射出成形等)が困難となる。
第1光情報記録媒体10Aにおいて用いられる第1基板12としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成形を用いて第1基板12を作製することができる。
また、第1基板12の厚さは、0.7〜2mmの範囲であることを要し、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
なお、後述する第1光反射層18が設けられる側の第1基板12の表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましい。
下塗層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;シランカップリング剤等の表面改質剤;を挙げることができる。
下塗層は、上記材料を適当な溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート等の塗布法によって、第1基板12の表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は、一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
〔第1光情報記録媒体10Aの第1追記型記録層14〕
好ましい第1光情報記録媒体10Aの第1追記型記録層14は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上又は後述する第1光反射層18上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。ここで、第1追記型記録層14は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行われることになる。
好ましい第1光情報記録媒体10Aの第1追記型記録層14は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上又は後述する第1光反射層18上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。ここで、第1追記型記録層14は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行われることになる。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、さらに、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
このようにして形成された第1追記型記録層14の厚さは、グルーブ38(第1基板12において凸部)上で、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましく、180nm以下であることが特に好ましい。下限値としては30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましく、90nm以上であることが特に好ましい。
また、第1追記型記録層14の厚さは、ランド40(第1基板12において凹部)上で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることがさらに好ましい。下限値としては、70nm以上であることが好ましく、90nm以上であることがより好ましく、110nm以上であることがさらに好ましい。
さらに、グルーブ38上の第1追記型記録層14の厚さt1と、ランド40上の第1追記型記録層14の厚さt2との比(t1/t2)は、0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、0.7以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることがさらに好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
塗布液が結合剤を含有する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;を挙げることができる。第1追記型記録層14の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。
また、第1追記型記録層14には、該第1追記型記録層14の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、特開昭59−81194号公報、特開昭60−18387号公報、特開昭60−19586号公報、特開昭60−19587号公報、特開昭60−35054号公報、特開昭60−36190号公報、特開昭60−36191号公報、特開昭60−44554号公報、特開昭60−44555号公報、特開昭60−44389号公報、特開昭60−44390号公報、特開昭60−54892号公報、特開昭60−47069号公報、特開昭63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報及び特公平6−26028号公報等の各公報、独国特許第350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、さらに好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
〔第1光情報記録媒体10Aのカバー層16〕
好ましい第1光情報記録媒体10Aのカバー層16は、上述した第1追記型記録層14又は後述するバリア層20上に、接着剤や粘着剤等からなる第1接着層22を介して貼り合わされる。
好ましい第1光情報記録媒体10Aのカバー層16は、上述した第1追記型記録層14又は後述するバリア層20上に、接着剤や粘着剤等からなる第1接着層22を介して貼り合わされる。
第1光情報記録媒体10Aにおいて用いられるカバー層16としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート又は三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録及び再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
また、カバー層16は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤及び/又は500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
さらに、カバー層16の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータ及び3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録及び再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層16の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
カバー層16の厚さは、記録及び再生のために照射されるレーザ光の波長や第1対物レンズ42のNAにより、適宜、規定されるが、第1光情報記録媒体10Aにおいては、0.01〜0.5mmの範囲内であり、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。
また、カバー層16と第1接着層22とを合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層16の光入射面には、第1光情報記録媒体10Aの製造時に、光入射面が傷つくことを防止するためのハードコート層44(保護層)が設けられていてもよい。
第1接着層22に用いられる接着剤としては、例えばUV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましく、特にUV硬化樹脂を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、若しくはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層20の表面に供給してもよい。また、作製される第1光情報記録媒体10Aの反りを防止するため、第1接着層22を構成するUV硬化樹脂は硬化収縮率の小さいものが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)社製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
接着剤は、例えば、バリア層20からなる被貼り合わせ面上に、所定量塗布し、その上に、カバー層16を載置した後、スピンコートにより接着剤を、被貼り合わせ面とカバー層16との間に均一になるように広げた後、硬化させることが好ましい。
このような接着剤からなる第1接着層22の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。
また、第1接着層22に用いられる粘着剤としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができるが、透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。かかるアクリル系の粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート等を主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となりうるアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等と、を共重合したものを用いることが好ましい。主成分と、短鎖成分と、架橋点を付加するための成分と、の混合比率、種類を、適宜、調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
上記粘着剤と併用される架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。かかるイソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート類を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品としては、日本ポリウレタン社製のコロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートHTL;武田薬品社製のタケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製のデスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等を挙げることができる。
粘着剤は、バリア層20からなる被貼り合わせ面上に、所定量、均一に塗布し、その上に、カバー層16を載置した後、硬化させてもよいし、予め、カバー層16の片面に、所定量を均一に塗布して粘着剤の塗膜を形成しておき、該塗膜を被貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
また、カバー層16に、予め、粘着剤層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
このような粘着剤からなる第1接着層22の厚さは、0.1〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、さらに好ましくは10〜30μmの範囲である。
〔第1光情報記録媒体10Aにおけるその他の層〕
好ましい第1光情報記録媒体10Aは、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層としては、例えば、第1基板12の裏面(第1追記型記録層14の形成面に対する裏面)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、第1基板12と第1追記型記録層14との間に設けられる第1光反射層18(後述)、第1追記型記録層14とカバー層16との間に設けられるバリア層20(後述)、第1光反射層18と第1追記型記録層14との間に設けられる界面層等が挙げられる。ここで、レーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、及び熱乾燥樹脂等を用いて形成される。
好ましい第1光情報記録媒体10Aは、本発明の効果を損なわない範囲においては、上述の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。かかる他の任意の層としては、例えば、第1基板12の裏面(第1追記型記録層14の形成面に対する裏面)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、第1基板12と第1追記型記録層14との間に設けられる第1光反射層18(後述)、第1追記型記録層14とカバー層16との間に設けられるバリア層20(後述)、第1光反射層18と第1追記型記録層14との間に設けられる界面層等が挙げられる。ここで、レーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、及び熱乾燥樹脂等を用いて形成される。
なお、これら必須及び任意の層は、いずれも単層でもよいし、多層構造を有してもよい。
〔第1光情報記録媒体10Aにおける第1光反射層18〕
第1光情報記録媒体10Aにおいて、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、第1基板12と第1追記型記録層14との間に、第1光反射層18を形成することが好ましい。
第1光情報記録媒体10Aにおいて、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、第1基板12と第1追記型記録層14との間に、第1光反射層18を形成することが好ましい。
第1光反射層18は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
第1光反射層18の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは2種以上の組合せで、又は合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alあるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agあるいはこれらの合金である。
〔第1光情報記録媒体10Aにおけるバリア層20(中間層)〕
第1光情報記録媒体10Aにおいては、第1追記型記録層14とカバー層16との間にバリア層20を形成することが好ましい。
第1光情報記録媒体10Aにおいては、第1追記型記録層14とカバー層16との間にバリア層20を形成することが好ましい。
バリア層20は、第1追記型記録層14の保存性を高める、第1追記型記録層14とカバー層16との接着性を向上させる、反射率を調整する、熱伝導率を調整する、等のために設けられる。
バリア層20に用いられる材料としては、記録及び再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に、制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。
具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、ZnS、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZuO、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3が好ましく、ZnS−SiO2、SnO2、ZnO−Ga2O3がより好ましい。
また、バリア層20は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティング等の真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましく、RFスパッタリングを用いることがさらに好ましい。
バリア層20の厚さは、1〜200nmの範囲であることが好ましく、2〜100nmの範囲であることがより好ましく、3〜50nmの範囲であることがさらに好ましい。
次に、第2光情報記録媒体10Bについて説明する。
ここで、第2光情報記録媒体10Bは、貼り合わせ型の層構成を有する光情報記録媒体であり、その代表的な層構成としては、下記の通りである。
(1) 第1の層構成は、図2に示すように、第2基板24上に、第2追記型記録層26、第2光反射層30、第2接着層32を順次形成し、第2接着層32上に保護基板28を設ける構成である。
(2) 第2の層構成は、図示しないが、第2基板24上に、第2追記型記録層26、第2光反射層30、保護層、第2接着層32を順次形成し、第2接着層32上に保護基板28を設ける構成である。
(3) 第3の層構成は、図示しないが、第2基板24上に、第2追記型記録層26、第2光反射層30、保護層、第2接着層32、保護層を順次形成し、該保護層上に保護基板28を設ける構成である。
(4) 第4の層構成は、図示しないが、第2基板24上に、第2追記型記録層26、第2光反射層30、保護層、第2接着層32、保護層、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板28を設ける構成である。
(5) 第5の層構成は、図示しないが、第2基板24上に、第2追記型記録層26、第2光反射層30、第2接着層32、光反射層を順次形成し、該光反射層上に保護基板28を設ける構成である。
なお、上記(1)〜(5)の層構成は単なる例示であり、当該層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよいし、一部を省略してもかまわない。また、第2追記型記録層26は、保護基板28側にも形成されていてもよく、その場合、両面からの記録、再生が可能な光情報記録媒体となる。さらに、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
ここでは、第2光情報記録媒体10Bとして、図2に示すように、第2基板24上に、第2追記型記録層26、第2光反射層30、第2接着層32、保護基板28をこの順に有する構成のものを例にとって、以下にその説明をする。
〔第2光情報記録媒体10Bの第2基板24〕
第2光情報記録媒体10Bにおける第2基板24には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有する第2プリグルーブ36(案内溝)が形成されていることが必須である。この第2プリグルーブ36は、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、第2光情報記録媒体10Bを、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
第2光情報記録媒体10Bにおける第2基板24には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、及びウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有する第2プリグルーブ36(案内溝)が形成されていることが必須である。この第2プリグルーブ36は、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、第2光情報記録媒体10Bを、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
第2プリグルーブ36のトラックピッチは、200〜600nmの範囲であることが必須であり、上限値が500nm以下であることが好ましく、450nm以下であることがより好ましく、430nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、300nm以上であることが好ましく、330nm以上であることがより好ましく、370nm以上であることがさらに好ましい。
トラックピッチが200nm未満では、第2プリグルーブ36を正確に形成することが困難になる上、クロストークの問題が発生することがあり、600nmを超えると、記録密度が低下する問題が生ずることがある。
第2プリグルーブ36の溝幅(半値幅)は、50〜300nmの範囲であることが必須であり、上限値が250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、180nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましく、140nm以上であることがさらに好ましい。
第2プリグルーブ36の溝幅が50nm未満では、成型時に溝が十分に転写されなかったり、記録のエラーレートが高くなったりすることがあり、300nmを超えると、記録時に形成されるピットが広がってしまい、クロストークの原因となったり、十分な変調度が得られないことがある。
第2プリグルーブ36の溝深さは、30〜200nmの範囲であることが必須であり、上限値が170nm以下であることが好ましく、140nm以下であることがより好ましく、120nm以下であることがさらに好ましい。また、下限値は、40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることがさらに好ましい。
第2プリグルーブ36の溝深さが30nm未満では、十分な記録変調度が得られないことがあり、200nmを超えると、反射率が大幅に低下することがある。
第2光情報記録媒体10Bにおいて用いられる第2基板24としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができ、具体例及び好ましい例は、第1光情報記録媒体10Aの第1基板12と同様である。
また、第2基板24の厚さは、0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
なお、後述する第2追記型記録層26が設けられる側の第2基板24の表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することが好ましく、該下塗層の材料、塗布法及び層厚の具体例及び好ましい例は、第1光情報記録媒体10Aの下塗層と同様である。
〔第2光情報記録媒体10Bの第2追記型記録層26〕
好ましい第2光情報記録媒体10Bの第2追記型記録層26に関する詳細な説明は、第1光情報記録媒体10Aの第1追記型記録層14に関するものと同様である。
好ましい第2光情報記録媒体10Bの第2追記型記録層26に関する詳細な説明は、第1光情報記録媒体10Aの第1追記型記録層14に関するものと同様である。
〔第2光情報記録媒体10Bの第2光反射層30〕
第2光情報記録媒体10Bにおいて、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、第2追記型記録層26上に第2光反射層30を形成することがある。第2光情報記録媒体10Bの第2光反射層30に関する詳細は、第1光情報記録媒体10Aの第1光反射層18と同様である。
第2光情報記録媒体10Bにおいて、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、第2追記型記録層26上に第2光反射層30を形成することがある。第2光情報記録媒体10Bの第2光反射層30に関する詳細は、第1光情報記録媒体10Aの第1光反射層18と同様である。
〔第2光情報記録媒体10Bの第2接着層32〕
好ましい第2光情報記録媒体10Bにおける第2接着層32は、第2光反射層30と、保護基板28との密着性を向上させるために形成される任意の層である。
好ましい第2光情報記録媒体10Bにおける第2接着層32は、第2光反射層30と、保護基板28との密着性を向上させるために形成される任意の層である。
第2接着層32を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、第2接着層32の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましい。
〔第2光情報記録媒体10Bの保護基板28〕
好ましい第2光情報記録媒体10Bにおける保護基板28(ダミー基板)は、上述した第2基板24と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。保護基板28の厚さとしては、0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
好ましい第2光情報記録媒体10Bにおける保護基板28(ダミー基板)は、上述した第2基板24と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。保護基板28の厚さとしては、0.1〜1.0mmの範囲であることを要し、0.2〜0.8mmの範囲であることが好ましく、0.3〜0.7mmの範囲であることがより好ましい。
〔第2光情報記録媒体10Bの保護層(図示せず)〕
第2光情報記録媒体10Bは、その層構成によっては、第2光反射層30や第2追記型記録層26等を物理的及び化学的に保護する目的で保護層が設けられることある。
第2光情報記録媒体10Bは、その層構成によっては、第2光反射層30や第2追記型記録層26等を物理的及び化学的に保護する目的で保護層が設けられることある。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si3N4等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して光反射層上に貼り合わせることにより形成することができる。また、真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。
また、保護層として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いる場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのまま若しくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、さらに帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層の層厚は一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。
〔第2光情報記録媒体10Bにおけるその他の層〕
第2光情報記録媒体10Bは、本発明の効果を損なわない範囲において、上述の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。このような他の任意の層の詳細な説明は、第1光情報記録媒体10Aにおけるその他の層と同様である。
第2光情報記録媒体10Bは、本発明の効果を損なわない範囲において、上述の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。このような他の任意の層の詳細な説明は、第1光情報記録媒体10Aにおけるその他の層と同様である。
<光情報記録方法>
本発明の光情報記録方法は、第1光情報記録媒体10A又は第2光情報記録媒体10Bを用いて、例えば、次のように行われる。
本発明の光情報記録方法は、第1光情報記録媒体10A又は第2光情報記録媒体10Bを用いて、例えば、次のように行われる。
第1光情報記録媒体10Aにおいては、先ず、第1光情報記録媒体10Aを定線速度(0.5〜10m/秒)又は定角速度にて回転させながら、カバー層16側から半導体レーザ光等の記録用のレーザ光46を、開口数NAが例えば0.85の第1対物レンズ42を介して照射する。このレーザ光46の照射により、第1追記型記録層14がレーザ光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
同様に、第2光情報記録媒体10Bにおいては、先ず、第2光情報記録媒体10Bを定線速度(0.5〜10m/秒)又は定角速度にて回転させながら、第2基板24側から半導体レーザ光等の記録用のレーザ光46を、開口数NAが例えば0.65の第2対物レンズ48を介して照射する。このレーザ光46の照射により、第2追記型記録層26がレーザ光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
本実施の形態においては、記録用のレーザ光46として390〜450nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザ光が用いられる。好ましい光源としては390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザ光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ光を挙げることができる。特に、記録密度の点で390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、第1光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザ光を基板側あるいは保護層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
なお、レーザ光としては、近赤外域のレーザ光(通常は780nm付近の波長のレーザ光)、可視レーザ光(630nm〜680nm)、波長530nm以下のレーザ光(405nmの青色レーザ)等を用いることも可能であるが、可視レーザ光(630nm〜680nm)、波長530nm以下のレーザ光(405nmの青色レーザ)であることが一層好ましく、とりわけ、波長530nm以下のレーザ光(405nmの青色レーザ)であることが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例用化合物の合成]
〔色素化合物C−72の合成〕
下記スキーム(1)、(2)に従い、前記色素化合物C−72を合成した。
〔色素化合物C−72の合成〕
下記スキーム(1)、(2)に従い、前記色素化合物C−72を合成した。
17.3gの化合物1、8.78gの化合物2をアセトニトリル200mlに溶解し、撹拌しつつ無水酢酸5.31mlを滴下し、さらにトリエチルアミン7.91mlを滴下した。80℃で1時間反応し、溶媒溜去後シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、化合物3を19.6gを得た。
2gの化合物3をメタノール20mlに加え、撹拌しながら1gの化合物4を添加し、その後加熱還流した。4時間反応させた後、室温まで放冷しアセトニトリル100mlにあけ、濾過して2.8gのC−72の結晶を得た。構造はNMRで確認した。NMRデータは下記の通りである。
1HNMR(DMSO−d6):d =1.3(m,1H),1.5(m,3H),1.75(m,6H),3.1(d,6H),7.8(t,1H),8.0(s,1H),8.05(s,1H),8.20(2H,m),8.52(s,2H),9.05(d,2H),9.72(d,2H)
1HNMR(DMSO−d6):d =1.3(m,1H),1.5(m,3H),1.75(m,6H),3.1(d,6H),7.8(t,1H),8.0(s,1H),8.05(s,1H),8.20(2H,m),8.52(s,2H),9.05(d,2H),9.72(d,2H)
〔色素化合物C−37の合成〕
下記スキーム(3)、(4)に従って、色素化合物C−37の合成を行った。
下記スキーム(3)、(4)に従って、色素化合物C−37の合成を行った。
10.5gの化合物6をN,N'−ジメチルホルムアミド110mlに加え、0℃に冷却した後に撹拌しながらトリエチルアミン18.6mlを添加し、その後に10.5gの化合物5を添加した。その後0℃で5時間反応させた。反応溶液を酢酸エチル400mlにあけ、濾過して黄色結晶の化合物7を得た。
0.387gの化合物7をメタノール20mlに加え、撹拌しながら化合物4を0.234g添加し、その後加熱還流した。3時間反応させた後、室温まで放冷し濾過して0.3gのC−37の結晶を得た。構造はNMRで確認した。NMRデータは下記の通りである。
1HNMR(DMSO−d6):d =2.01(s,8H),2.61(dd,4H),3.12(dd,4H),7.81(m,4H),8.00(m,2H),8.18(m,2H),8.21(s,2H),8.50(s,4H),9.08(d,4H),9.70(d,4H)
1HNMR(DMSO−d6):d =2.01(s,8H),2.61(dd,4H),3.12(dd,4H),7.81(m,4H),8.00(m,2H),8.18(m,2H),8.21(s,2H),8.50(s,4H),9.08(d,4H),9.70(d,4H)
なお、その他の化合物も、上記に準拠したスキームによって合成することが可能である。
[比較例用化合物の合成]
〔色素化合物H−1の合成〕
下記スキーム(5)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−1を合成した。
〔色素化合物H−1の合成〕
下記スキーム(5)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−1を合成した。
0.68gの化合物3をメタノール20mlに加え、撹拌しながら化合物8を0.28g添加し、その後加熱還流した。3時間反応させた後、室温まで放冷し濾過してメタノール50mlにあけH−1の結晶0.5gを得た。構造はNMRで確認した。NMRデータは下記の通りである。
1HNMR(DMSO−d6):d =1.3(m,1H),1.5(m,3H),1.75(m,6H),3.1(d,6H),8.05(s,1H),8.25(5H,s(br)),9.15(d,2H),9.75(d,2H)
1HNMR(DMSO−d6):d =1.3(m,1H),1.5(m,3H),1.75(m,6H),3.1(d,6H),8.05(s,1H),8.25(5H,s(br)),9.15(d,2H),9.75(d,2H)
〔色素化合物H−2の合成〕
下記スキーム(6)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−2を合成した。
下記スキーム(6)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−2を合成した。
0.47gの化合物3をメタノール20mlに加え、撹拌しながら化合物9を0.27g添加し、その後加熱還流した。3時間反応させた後、室温まで放冷し濾過してメタノール40mlにあけ、H−2の結晶0.4gを得た。構造はNMRで確認した。NMRデータは下記の通りである。
1HNMR(DMSO−d6):d =1.3(m,1H),1.5(m,3H),1.75(m,6H),3.1(d,6H),7.45〜7.62(m,4H),7.85(m,3H),8.05(s,1H),8.10(s,1H),8.30(s,1H),9.15(d,2H),9.82(d,2H)
1HNMR(DMSO−d6):d =1.3(m,1H),1.5(m,3H),1.75(m,6H),3.1(d,6H),7.45〜7.62(m,4H),7.85(m,3H),8.05(s,1H),8.10(s,1H),8.30(s,1H),9.15(d,2H),9.82(d,2H)
〔化合物(H−3)の合成〕
下記スキーム(7)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−3を合成した。
下記スキーム(7)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−3を合成した。
0.2gの化合物7をメタノール10mlに加え、撹拌しながら0.10gの化合物8を添加し、その後加熱還流した。3時間反応させた後、室温まで放冷し濾過してメタノール40mlで洗浄し、比較化合物H−3の結晶0.2gを得た。構造はNMRで確認した。NMRデータは下記の通りである。
1HNMR(DMSO−d6):d =2.00(s,8H),2.61(dd,4H),3.14(dd,4H),7.81(s,2H),7.78〜7.98(m,5H),9.07(s,4H),9.71(s,4H)
1HNMR(DMSO−d6):d =2.00(s,8H),2.61(dd,4H),3.14(dd,4H),7.81(s,2H),7.78〜7.98(m,5H),9.07(s,4H),9.71(s,4H)
〔色素化合物H−4の合成〕
下記スキーム(8)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−4を合成した。
下記スキーム(8)に従い、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−4を合成した。
0.2gの化合物7をメタノール10mlに加え、撹拌しながら化合物9を0.13g添加し、その後加熱還流した。3時間反応させた後、室温まで放冷し濾過してメタノール30mlで洗浄し、比較化合物H−4の結晶0.21gを得た。構造はNMRで確認した。NMRデータは下記の通りである。
1HNMR(DMSO−d6):d =1.99(s,8H),2.60(dd,4H),3.14(dd,4H),7.50(m,2H),7.55(t,4H),7.80(s,2H),7.85(m,4H),7.94〜8.30(m,8H),9.12(d,4H),9.82(d,4H)
1HNMR(DMSO−d6):d =1.99(s,8H),2.60(dd,4H),3.14(dd,4H),7.50(m,2H),7.55(t,4H),7.80(s,2H),7.85(m,4H),7.94〜8.30(m,8H),9.12(d,4H),9.82(d,4H)
[光情報記録媒体の製造]
(基板の作製)
厚さ0.6mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:400nm、溝幅:190nm、溝深さ:90nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザカッティング(351nm)を用いて行った。
(基板の作製)
厚さ0.6mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:400nm、溝幅:190nm、溝深さ:90nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザカッティング(351nm)を用いて行った。
(追記型記録層の形成)
色素化合物C−72、色素化合物C−37のそれぞれの2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。
色素化合物C−72、色素化合物C−37のそれぞれの2gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。
次いで、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で前記基板上に塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、追記型記録層(グルーブ上の厚さ40nm、ランド上の厚さ10nm)を形成した。
追記型記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、80℃で1時間保持して行った。
このアニール処理により、色素化合物C−72、色素化合物C−37が各々縮合してボロキシン部分が形成された。
また、比較例化合物である前記色素化合物H−1〜H−4についても、2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに溶解することを試みた。これら色素化合物H−1〜H−4の2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに対する溶解性を、前記色素化合物C−72、色素化合物C−37の溶解性とともに図3に併せて示す。
この図3から、ホウ素を構成元素とする色素化合物C−72及び色素化合物C−37が、色素化合物H−1〜H−4に比して溶解性が大きいことが明らかである。特に、色素化合物H−3、H−4の2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに対する溶解性は小さく、このために記録層を設けることができなかった。
(光反射層の形成)
追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのANC光反射層(Ag:98.4質量%、Ni:0.7質量%、Cu:0.9質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのANC光反射層(Ag:98.4質量%、Ni:0.7質量%、Cu:0.9質量%)を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
(保護基板の貼り合わせ)
スピンコートにより、紫外線硬化樹脂(SD640、大日本インキ製)を前記光反射層上に塗布し、ポリカーボネート製の保護基板(プリグルーブを形成していない以外は上記基板と同様のもの)を貼り合わせ、紫外線を照射することで硬化させた。作製した光情報記録媒体において、紫外線硬化樹脂からなる接着層の厚さは、25μmであった。
スピンコートにより、紫外線硬化樹脂(SD640、大日本インキ製)を前記光反射層上に塗布し、ポリカーボネート製の保護基板(プリグルーブを形成していない以外は上記基板と同様のもの)を貼り合わせ、紫外線を照射することで硬化させた。作製した光情報記録媒体において、紫外線硬化樹脂からなる接着層の厚さは、25μmであった。
<光情報記録媒体の評価>
・C/N(搬送波対雑音比)評価:
作製した光情報記録媒体中、記録層に色素化合物C−72又は色素化合物H−2を含有する光情報記録媒体に対し、405nmレーザ、NA0.65ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数64.8MHz、線速6.61m/sにて、0.204μmの信号(2T)を記録、再生し、スペクトルアナライザー(ROHDE&SCHWARZ社製:FSP3)にて記録後のC/Nを測定した。記録は、ピークパワー値が3〜12mWの範囲で1mW毎に行い、この時、RBW=30kHz、VBW=10kHz、sweep=30msec、ave=128cycに設定して0〜34MHzの範囲を測定し、2T周波数のキャリア出力Cと34MHzのノイズ出力Nの差をC/N値とした。
・C/N(搬送波対雑音比)評価:
作製した光情報記録媒体中、記録層に色素化合物C−72又は色素化合物H−2を含有する光情報記録媒体に対し、405nmレーザ、NA0.65ピックアップを積んだ記録再生評価機(パルステック社製:DDU1000)を用い、クロック周波数64.8MHz、線速6.61m/sにて、0.204μmの信号(2T)を記録、再生し、スペクトルアナライザー(ROHDE&SCHWARZ社製:FSP3)にて記録後のC/Nを測定した。記録は、ピークパワー値が3〜12mWの範囲で1mW毎に行い、この時、RBW=30kHz、VBW=10kHz、sweep=30msec、ave=128cycに設定して0〜34MHzの範囲を測定し、2T周波数のキャリア出力Cと34MHzのノイズ出力Nの差をC/N値とした。
その後、ランダム記録を行ってPRSNRを測定した。記録時には発光パターン、及び記録時ピークパワーを最適化し、また、3トラック記録して中央のトラックのPRSNR値を評価値とした。
なお、本評価において、情報の記録はグルーブ上に行った。また、記録パワーを12mW、再生パワーを0.5mWとした。ここで、記録特性が好ましいのは、記録後のC/Nが25dBm以上であれば再生信号強度が、また、PRSNRが15以上であれば再生信号品質が十分であることを指す。
色素化合物C−72を用いた光情報記録媒体では、最大となる2TのC/Nは27dBmであった。その後、ランダム記録をしてPRSNRを測定すると29であった。これに対し、色素化合物H−1、H−2を用いた光情報記録媒体では、最大となる2TのC/Nは、それぞれ、26、29dBmであったものの、PRSNRは22、26であり、いずれも色素化合物C−72を用いた光情報記録媒体に及ばなかった。
上記から諒解されるように、ホウ素を構成元素とする色素化合物C−72を含有する記録層が設けられた光情報記録媒体は、ホウ素を構成元素としない色素化合物H−1の光情報記録媒体に比して品質が良好な再生信号が得られる。このことは、色素化合物C−72を用いた記録層において、隣接干渉が低減されていることを意味する。
以上の結果から、ホウ素を構成元素とする色素化合物を用いることにより、塗布溶剤への溶解性と良好な記録品質とを両立する光情報記録媒体が得られることが確認された。特にCD−RやDVD−Rの場合よりも短波長のレーザを用いて上記効果が得られることから、より高密度の光情報記録媒体を提供することができるといえる。
10A…第1光情報記録媒体 10B…第2光情報記録媒体
12…第1基板 14…第1追記型記録層
16…カバー層 18…第1光反射層
20…バリア層 22…第1接着層
24…第2基板 26…第2追記型記録層
28…保護基板 30…第2光反射層
32…第2接着層 44…ハードコート層
12…第1基板 14…第1追記型記録層
16…カバー層 18…第1光反射層
20…バリア層 22…第1接着層
24…第2基板 26…第2追記型記録層
28…保護基板 30…第2光反射層
32…第2接着層 44…ハードコート層
Claims (11)
- 下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)のいずれかで表される構造を有することを特徴とする色素化合物。
- 請求項1記載の色素化合物において、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素の群から選択される色素であることを特徴とする色素化合物。
- 請求項2記載の色素化合物において、複数個の環状化合物が少なくとも1つの共役二重結合を含む官能基で結合された色素残基を有するものであることを特徴とする色素化合物。
- 下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)のいずれかで表される構造を有するボロン酸の三量体化合物からなり、且つボロキシン部分を有することを特徴とする色素化合物。
- 請求項4記載の色素化合物において、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素の群から選択される色素であることを特徴とする色素化合物。
- 請求項5記載の色素化合物において、複数個の環状化合物が少なくとも1つの共役二重結合を含む官能基で結合された色素残基を有するものであることを特徴とする色素化合物。
- ホウ素を構成元素とする色素化合物の使用方法であって、
前記色素化合物を、光情報記録媒体におけるレーザ光照射による情報の記録が可能な記録層の構成材料として用いることを特徴とする色素化合物の使用方法。 - 請求項7記載の使用方法において、前記色素化合物として、色素残基の吸収極大波長が300nm〜900nmであり、且つモル吸光係数ε[L/(mol・cm)]が5000以上であるものを使用することを特徴とする色素化合物の使用方法。
- 請求項7又は8記載の使用方法において、前記色素化合物として、オキソノール色素、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、フタロシアニン色素、トリアジン色素、ベンゾトリアゾール色素、ベンゾオキサゾール色素、アミノブタジエン、アゾ系色素、アゾメチン色素、ピリドポルフィラジン色素、ピラドポルフィラジン色素、ポルフィリン色素、ポルフィラジン色素の群から選択される色素を使用することを特徴とする色素化合物の使用方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載の使用方法において、前記色素化合物として、ボロン酸、又はボロン酸が互いに結合することで形成されたボロキシン部分を有するものを使用することを特徴とする色素化合物の使用方法。
- 請求項10記載の使用方法において、前記色素化合物として、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で表される化合物、又はその1種以上が互いに結合した多量体を使用することを特徴とする色素化合物の使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006191261A JP2008019322A (ja) | 2006-07-12 | 2006-07-12 | 色素化合物及びその使用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006191261A JP2008019322A (ja) | 2006-07-12 | 2006-07-12 | 色素化合物及びその使用方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008019322A true JP2008019322A (ja) | 2008-01-31 |
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ID=39075533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006191261A Withdrawn JP2008019322A (ja) | 2006-07-12 | 2006-07-12 | 色素化合物及びその使用方法 |
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JP (1) | JP2008019322A (ja) |
-
2006
- 2006-07-12 JP JP2006191261A patent/JP2008019322A/ja not_active Withdrawn
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