JP2008019061A - 弾性糸巻糸体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 巻糸体から弾性糸を高速で解舒し、積極送り出し方式で経編用整経工程等に給糸する場合でも、最外層における綾落ちや最内層でのカブリを十分に減少させることができ、解舒時における糸切れ発生が十分に抑制され、安定した解舒性を呈する弾性糸巻糸体を提供する。
【解決手段】 円筒状のボビン上に弾性糸450g以上が巻かれた巻糸体であって、巻き始め時の弾性糸に相当する最内層部において窪み部5が有り、該窪み部の層厚みLが1mm以上5mm以下である巻き形状を有する。また、巻始め時の最内層部2の平均綾角をA1、内層から外層までの中間巻き部3の平均綾角をA2、最外層部4の平均綾角をA3としたときに、以下の関係を同時に満足する。A1<A2<A3、 0.40×A2≦A1≦0.70×A2、 1.10×A2≦A3≦1.30×A2
【選択図】 図1

Description

本発明は、スパンデックス等の弾性糸の巻糸体に関するものである。さらに詳しくは、近年高速化が進んだ経編用整経に好適なポリウレタン弾性糸巻糸体に関するものである。
ポリウレタン弾性糸は、その伸縮特性を活かし、ファンデーション、ソックス、パンティストッキング、水着などのスポーツウェア等の衣料分野の伸縮機能素材として使用されている。また、近年では紙おむつのギャザー作成のための伸縮機能素材としても使用され、ポリウレタン弾性糸の用途はさらに拡大してきている。
しかし、その弾性糸を使用する加工工程においては、巻糸体から弾性糸を解舒する際に、巻糸体の最外層部での「綾落ち」現象や、最内層部での「カブリ」現象(ダブリ、下口、綾崩れ、糸立ち不良とも呼ばれる)が生じ易く、解舒された弾性糸の糸切れを誘発し、加工における生産性の低下や製品品位への悪影響を引き起こすことがある。
「綾落ち」現象は、解舒時に巻糸体表層部から糸が脱落する現象であり、典型例としては、経編工程の前処理工程である整経工程において、弾性糸を整経機等で積極送り出しによって巻糸体から解舒させる際に、巻糸体表層部から糸が脱落し、糸切れを発生させる現象が挙げられる。
「カブリ」現象は、巻糸体の残糸量が少なくなった時の解舒において、解舒糸条とともにその下層の糸も同伴して解舒される現象や、糸が引っ掛かり解舒不良となる現象であり、典型例としては、上述の整経工程において、15デシテックスから78デシテックスの細繊度のポリウレタン弾性糸を巻量500g程度の巻糸体から解舒させる際、巻糸体の最内層部の解舒時(即ち、残糸量が巻糸量の10%以下程度になって解舒する時)に、下層の糸を同伴して解舒されたり、糸が引っ掛かる解舒不良を引き起こし、糸切れする現象が挙げられる。
近年、経編業界においては、経編加工速度の高速化が進んでおり、スパンデックス等の弾性糸の整経速度は、10〜15年前が100〜200m/minであったのに対し、300m/min前後にまで高速化されてきている。
経編工程の前処理工程である整経工程において弾性糸の糸切れが発生した時、従来の低速整経の場合には断糸した糸端どうしを結び直して、整経を続けるノット処理にて対応できる。しかし、高速整経の場合には、断糸端が整経(ビーム)ドラムに巻込まれてしまい、所謂ロストエンドが発生する。ロストエンドが発生すれば、後工程である編成工程において修正に多大な労力が必要となる。そこで、経編工程の高速化に伴い、解舒時において糸切れが生じない弾性糸巻糸体が強く望まれてきている。
また、弾性糸の整経収率を高めるため、弾性糸の残糸量が数gの極く少量となるまで整経が続行されることもあり、最内層部での「カブリ」現象による糸切れを解決することも望まれている。
巻糸体から弾性糸を解舒する際の最外層での綾落ち現象や、最内層でのカブリ現象の問題を解決するため、これまで弾性糸巻糸体の形状を改善する等、多くの改良技術が提案されてきている。
例えば、綾落ち現象の問題を解消するために、特開平7−61708号公報では、巻き取り時に綾角を連続的に大きくする方法が提案され、特開平9−71367号公報では、綾角を急速に上げて巻き取り、その後綾角を徐々に小さくする方法が提案されている。また、特開2000−128428号公報では、巻取り開始から綾角を連続的に増加させ、極大を経て減少させ、次いで、極小を経て増加させる方法が提案されている。
カブリ現象の問題を解消するために、特開2001−130832号公報では、巻き取り開始からの一定時間、低綾角で巻き取る技術が提案されている。
また、両者の問題に対応できる技術として、特開2000−191237号公報のように、綾角度を、リボン帯を通過しないように巻き始めから徐々に低下させる技術が提案されている。
しかしながら、特開平7−61708号公報記載のように、綾角度を徐々に大きくして巻き取る場合には、弾性糸の伸縮特性から、表層部の綾崩れが顕著に出現することになるので、糸切れや解舒張力変動の増大などの問題が生じ易い。一方、特開平9−71367号公報記載のように、綾角度を急速に大きくした後に徐々に小さくして巻き取る場合には、表層の巻張力が小さくなることから、綾落ちではなく、綾崩れが発生し易くなり、綾崩れによる糸切れが発生することになる。これら巻糸体では、特に、整経機のクリールスタンドと呼ばれる積極送り出し装置において高い接触圧を掛けられた時、ランニングバンドと呼ばれる鉢巻き状の綾崩れを生じ易く、糸切れを発生させる要因となる。
特開2000−128428号公報記載の方法は、600〜800g巻の多量巻化という視点においては極めて有効な手段であるが、巻糸帯の内部に複数のリボン帯を形成しているので、リボン帯の部分で糸切れがし易いという問題がある。
また、カブリ問題解消のために提案された特開2001−130832号公報記載の場合、溶融紡糸によるポリエーテルエステル弾性糸のように、復元回復性が低く応力緩和が大きい弾性糸を巻き取る場合には有効であっても、回復性が高く応力緩和の小さい乾式紡糸によるポリウレタン弾性糸の場合に適用しても十分な効果が得られず、綾落ちやカブリ現象を十分に解消することは困難である。
さらにまた、特開2000−191237号公報のように、綾角を徐々に低下させる巻き取り方法では、必然的に巻幅が最内層から徐々に大きくなっていくことから、ランニングバンドと呼ばれる鉢巻き状の綾崩れが生じ易くなり、安定的な巻き形状を得ることが困難である。
特開平7−61708号公報 特開平9−71367号公報 特開2000−128428号公報 特開2001−130832号公報 特開2000−191237号公報
本発明の目的は、巻糸体から弾性糸を高速で解舒し、積極送り出し方式で経編用整経工程等に給糸する場合でも、最外層における綾落ちや最内層でのカブリを十分に減少させることができ、解舒時における糸切れ発生が十分に抑制され、安定した解舒性を呈する弾性糸巻糸体を提供するものである。併せて、その弾性糸巻糸体を製造するための方法を提供するものである。
本発明の弾性糸巻糸体は、前記課題を解決するため、以下の特定事項を有する。
幅50mm以上100mm以下、内径75mm以上80mm以下の円筒状のボビン上に弾性糸450g以上が巻かれた巻糸体であって、巻き始め時の弾性糸に相当する最内層部において窪み部が有り、該窪み部の層厚みが1mm以上5mm以下である巻き形状を有する弾性糸巻糸体である。
この弾性糸巻糸体は、巻始め時の最内層部の平均綾角をA1、内層から外層までの中間巻部における平均綾角をA2、最外層部の平均綾角をA3としたときに、以下の関係を同時に満足することが好ましい。
Figure 2008019061
また、本発明の弾性糸巻糸体の製造方法は、紡糸により弾性糸を製造する工程において、製造された弾性糸を、幅50mm以上100mm以下、内径75mm以上80mm以下の円筒状のボビン上に巻き上げる際、巻き始めに平均綾角A1で最内層部を巻き上げ、平均綾角A2で、内層から外層までの中間巻き部を巻き上げ、平均綾角A3で巻終わりの最外層部を巻き上げ、450g以上の所定量の弾性糸を巻き上げるに要する満巻所要時間をTとし、巻き始め時を起点にし、最内層部の綾角で巻き終わるまでの時間をT1とし、中間巻き部の綾角で巻き終わるまでの時間をT2としたとき、以下の関係を同時に満足することを特徴とする。
Figure 2008019061
本発明の弾性糸巻糸体とすることにより、高速整経等の後工程において高速で弾性糸を解舒した場合でも、最外層部での綾落ちや最内層部でのカブリ等のトラブルが大幅に抑制され、解舒時における糸切れ発生を非常に少なくすることができ、解舒時の安定性を格段に高めることができる。この結果、弾性糸を使用したトリコット、ラッセル等の経編生地の整経工程での糸切れ削減、即ち生産性を向上することができ、それを使用した経編生地の製品品位を向上させることができる。
以下、本発明に係る弾性糸巻糸体について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る弾性糸巻糸体の典型例を示す概略図であり、図1(a)はその平面図、図1(b)はその中心線b−b′での断面図である。
本発明の弾性糸巻糸体において、弾性糸が巻き上げられる際の巻芯となるボビン1は、円筒状の形状であり、その材質および肉厚については特に規定されるものでないが、繊維巻き上げ用に用いられている紙管等の筒状ボビンを用いればよい。その寸法は、通常のスパンデックス整経機に装着できる範囲内、即ち、幅50mm以上100mm以下、内径が75mm以上80mm以下の円筒状の形状であれば良い。また、表面材質等は特に限定されるものでなく、溝加工、テーパー等の加工が施されていても構わない。
巻き始めの最内層部は、ボビン1の外周の近傍に巻き上げられた弾性糸の部分であり、その部分に存在する窪み部5は、巻き幅が狭い巻き層が続いて窪み状となっている部分であり、外観上から明らかに窪みと識別できるものである。この窪みは、図1(b)のような断面図とした場合に略U字状の窪みとして表され、より明確に窪みを認識することができる。その窪み部分の層厚さLは、1mm以上、5mm以下である。この窪みの層厚さが1mm未満であれば、この窪み部分内における弾性糸量が数gと極めて少量であり、この部分の弾性糸は実際の整経には使用されることがなく、本発明の効果を奏さない。一方5mmを越える場合、巻糸体側面の境界部分から横切りと呼ばれる弾性糸の飛び出しが顕著になるので、整経時には綾落ちという糸切れの問題が生じ易くなる。なお、図11の巻き始め部における切り込み部的な鋭角の凹みは、本発明の窪みには該当しない。
この窪み部5の層厚さLの値は、図1(b)に示すように、巻き幅が急激に増大する境界部までを窪みとして層厚みを測定すればよい。
巻糸体に巻き上げられた弾性糸の量は450g以上であり、この量は正味重量である。正味重量とは、油剤等の処理剤を除いた糸重量である。巻糸体における弾性糸重量が450以上である場合に、本発明の効果が顕著に発揮できる。これに対し、弾性糸重量がそれ未満の場合には弾性糸の伸長回復特性による巻締まりが小さくなるため、本発明の巻糸体形状にしなくても最内層の安定解舒は有る程度良好に保つことができる。
本発明の弾性糸巻糸体の最内層部における窪み部分は、その部分を巻き取る際の綾角を、それに続く中間巻取り部における綾角よりも明らかに小さな水準として巻き幅を狭くすることにより形成することができる。この窪み部分の層厚さLは、綾角を小さく保って巻き上げる最内層巻きを継続する時間を制御することにより調整することができる。また、窪み部分の深さは、綾角を小さく保って巻き上げる最内層巻き時の綾角水準により調整することができる。
窪み部分の層厚さLを、1mm以上、5mm以下とするためには、巻き始め時を起点にし、最内層部の低い綾角A1で巻き終わるまでの時間T1を、満巻所要時間Tに対して1から10%の時間とすればよい。また、この窪み部分が好ましい窪み深さをもつためには、最内層部の低い綾角A1を、内層から外層までの中間巻き部における平均綾角A2に対して40〜70%の水準とすることが好ましい。
次に、本発明の弾性糸巻糸体を製造するために好適な巻糸体製造方法について図2を用いてさらに詳しく説明する。図2は、巻き上げ時の綾角度を、巻き取り時間経過に対応して示すグラフであり、本発明法における綾角変化の好ましい一例を示す。
図2の示す綾角変化では、巻き取り開始時点から時間T1までは略一定水準の低綾角でもって巻き上げられ、時間T1経過後に綾角が急激に増加され、増加後には略一定水準の綾角で巻き上げが継続され、時間T2の少し前から綾角が若干漸減され、時間T2経過後に綾角が急激に増加され、増加後に略一定水準の綾角で最外層部が巻き上げられ、満巻Tに達し巻き上げが終了する。
ここで、満巻とは、所定量の弾性糸の巻上げが完了する時点のことを示す。従って、満巻き所要時間Tとは巻き始めから巻き終わりまでに要する時間である。
図2に示す綾角変化の場合では、時間T1までは略一定の低い綾角で巻き上げられているので、この綾角水準が「巻始め時の最内層部における平均綾角A1」に相当する。また、時間T1経過後に綾角を急速に増加させた後に一定綾角水準を維持して巻き上げられ、時間T2の少し前から綾角が漸減されているが、この間における綾角の平均値が、「内層から外層までの中間巻き部を巻き上げる際の平均綾角A2」に相当する。さらにまた、時間T2経過後に綾角を急速に増加させた後に一定綾角水準として巻き上げられているので、この綾角水準が「巻終わりの最外層部における平均綾角A3」に相当する。
本発明において、最内層部では平均綾角A1となるような略一定水準の綾角に設定され、中間巻き部では平均綾角A2となるような略一定水準の綾角に設定され、また、最外層部では平均綾角A3となるような略一定水準の綾角に設定されているが、それら各層内で多少の漸減・漸増変化が含まれていてもよい。
本発明においては、綾角の値として、トラバース速度の振幅の中心値から計算される綾角値を示す。
弾性糸の巻き上げ速度は通常一定であるので、ボビン軸の回転数は巻糸体の巻径が大きくなるに従って減少していく。ボビン軸の回転数が減少していき実質的にトラバースカム回転数と一致した時、或いは、ある整数速度比になった時、その巻層にリボン帯が発生することになる。そこで、このリボン帯を回避するためにトラバース回転を単位時間内で概ね±5%程度で変化させるリボンブレーク機能が一般的に採用されている。そこで、本発明では、綾角の値を、トラバース速度の振幅の中心値から計算される値と定義する。
巻糸体における綾角度は、図3中に示すように、糸条Yの長手方向の傾き角度(θ)であり、巻取り速度とトラバースの速度比から求められる。
本発明法においては、弾性糸を巻き上げる際、綾角を、次の水準で変化させている。
Figure 2008019061
最内層部における綾角を、上記した式(2)かつ式(4)の条件内とすることにより、カブリ現象の発生を抑制し、その悪影響を最小に抑え、ボビン近くまでの最内層部も安定解舒することが可能となる。ここで、T1が0.01×T以下になると、実際には整経されない部分となり本発明の効果を呈しないし、0.10×T以上になれば巻糸体側面の境界部分から横切りと呼ばれる弾性糸の飛び出しが顕著になる。より好ましい範囲は、次式のとおりである。
Figure 2008019061
また、最外層部における綾角を、上記した式(3)かつ式(5)の条件内とすることにより、最外層部の弾性糸を解舒する時の綾落ちの発生を防止し、安定解舒することが可能となる。ここで、T2が0.95×T以下である場合、最外層部の巻き幅が小さくなるため、不安定な形状となる。0.99×T以上である場合は、綾落ち防止の効果が効かなくなる。より好ましい範囲は、次式のとおりである。
Figure 2008019061
T1、T2、T3、A1、A2、及びA3が上記範囲内であれば、整経機のクリールスタンド上におけるランニングバンドの発生がない優れた巻糸体とすることができる。
本発明に用いる巻取機については、特に限定されるものでなく、フリクションドライブ、スピンドルドライブ方式のどちらであっても構わない。また、トラバース方式についても特に限定されるものでなく、機械溝を施したカムトラバース方式、羽根トラバース方式のどちらでも構わない。
巻糸体の側面におけるバルジを抑え、安定的な巻糸体形状を維持するためには、内層から外層までの中間巻き部における平均綾角(A2)を10度以上、20度以下とすることが好ましい。10度未満であれば、A2の値から導き出されるA1の値が小さくなりすぎるので、安定的な解舒が困難となる。20度を越える場合には、巻き付け張力が高くなり過ぎ、巻き上がった巻糸体の形状不良を生じることになる。A2の最も好ましい範囲は11度以上、15度以下である。
本発明における弾性糸は、乾式紡糸にてポリウレタン重合体を紡糸することにより得られるポリウレタン弾性糸で代表される。乾式紡糸にて得られるポリウレタン弾性糸は、溶融紡糸で得られるポリウレタン弾性糸よりも、復元回復性が高いので、本発明による効果を最も発揮する。
ここで、ポリウレタン重合体は、ポリウレタン−ウレア共重合体であってもよいし、ポリウレタンとポリウレタン−ウレアの混合物もしくは共重合体であってもよい。より具体的には、このポリウレタン重合体は、2種類の型のセグメント、即ち、ソフトセグメントとハードセグメントとから構成される。ソフトセグメントは、(a)長鎖のポリエーテル及び/又はポリエステルのセグメントからなり、ハードセグメントは、(b)有機イソシアネートとジアミン鎖伸長剤またはジオール鎖伸長剤との反応により誘導された比較的短鎖のセグメントからなる。
このポリウレタン重合体にはその使用用途によってベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤、酸化チタン、酸化鉄等の各種顔料、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化セシウム、銀イオン等を含有する機能性添加剤等が含有されていてもよい。
本発明のポリウレタン弾性糸は、ポリウレタン紡糸原液から乾式紡糸法により製造されるが、紡糸筒内で仮撚りによって複数本が合着、すなわち、熱融着されたポリウレタン弾性糸であることが好ましい。
また、紡糸工程において付与される処理剤としては、1種類以上のシリコーン系オイルを主成分として含有する処理剤が好ましい。シリコーン系オイルとしては、例えば、ホリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等のシリコーン系オイルが好ましい。必要に応じて、アミノ、アルキル、アミド、ポリエーテル変性シリコーンを併用しても良い。また、この処理剤には平滑性を向上させるため金属石鹸を5%以下で加えることが好ましい。金属石鹸の例としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明における弾性糸の糸条繊度は、15デシテックス以上、120デシテックス以下であることが好ましい。本発明の効果を最も呈するのは、20デシテックス以上、80デシテックス以下である。弾性糸を構成する単糸本数は、その断面形状等、特に限定されるものでないが、単糸本数が少なくとも2本以上、12本以下で構成されることが好ましい。
以下、本発明について実施例、比較例をあげて説明するが、この実施例は代表例を示すものであり、本発明がその方法に限定されるものではない。
[実施例1]
分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコールと、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを反応させて、プレポリマーとし、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に希釈させて、溶液(35重量%)とした後、伸長剤としてエチレンジアミン、末端停止剤としてジエチルアミンを使って反応させ、ポリウレタンウレア紡糸溶液を製造した。この紡糸溶液に安定剤を加え、増粘のための経日処理を行った。
得られた紡糸溶液を50℃に加熱し、孔径0.30mmの吐出孔をもつ紡糸口金を用いて、毎時0.48kg/引取本数の溶液吐出速度で紡糸筒内に吐出した。紡糸筒内の温度は、紡糸筒壁温度を300℃とし、この時の乾燥風は400℃で毎時60kgの窒素ガスを紡糸筒上部から噴出し、紡糸筒内で循環させた。紡糸筒直下で仮撚りガイドによる仮撚りを施して紡糸筒内で熱融着(合着)させ、44デシテックス、4フィラメント合糸のポリウレタン弾性糸を製造した。得られた弾性糸には、紡糸工程において、25℃における粘度が10センチストークスベースのポリジメチルシロキサンを主成分とする処理剤が、弾性糸に対し6重量%の量で付与されていた。
得られたポリウレタン弾性糸を、内径79mm、肉厚6mm、幅58mmのボビン(紙管)上に巻き上げ、弾性糸巻糸体(弾性糸の正味重量が500g分)を製造した。この巻き上げにはフリクションドライブ方式の巻き上げ装置を使用し、カムトラバース方式で、トラバース幅40mmでトラバースさせた。巻取り速度は733m/minとし、図2及び表1に示す綾角度の軌跡に従って巻き上げを行い、500gの弾性糸巻糸体とした。巻取り時間、即ち満巻までの所要時間は181分であった。即ち、最内層部における平均綾角A1を9度、中間巻き部における平均綾角A2を13度、最外層部における平均綾角A3を15度とした。また、綾角の増加を開始した時点を、巻き始めから7分経過時、また、巻き始めから177分経過時とした。
巻き上げて得られた弾性糸巻糸体の略形状は図7に示すとおりであり、巻糸体の直径Dが160mm、最大巻幅Wが50mm、窪みの層厚みLが3mmであり、外観形状良好であった。
[比較例1]
T1、T2を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にした図2の綾角変化で弾性糸の巻き取りを行った。得られた弾性糸巻糸体の略形状は図8に示すとおり、窪み部分の層厚みLが6mmと長く、窪み層との境界部に糸が大きくはみ出た形状であった。
[比較例2]
弾性糸の巻き上げ時における綾角変化を図4に示すとおり、巻き始めから巻き終わりまで綾角14度一定とした以外は、実施例1の方法に従い弾性糸巻糸体を製造した。得られた弾性糸巻糸体の略形状は図9に示すとおり、最外層部の反り返りが強い形状であって、最内層部に窪みがなかった。
[比較例3]
弾性糸の巻き上げ時における綾角変化を図5に示すとおり、巻始めの綾角を8.5度とし、14度まで暫増さした後、10度まで暫減し、満巻直前に13.5度まで急増させた以外は、実施例1の方法に従い弾性糸巻糸体を製造した。得られた弾性糸巻糸体の略形状は図10に示すとおりであって、最内層部に窪みがなかった。
[比較例4]
弾性糸の巻き上げ時における綾角変化を図6に示すとおり、巻始めの綾角度を14度とし暫減させながら8度で満巻になるようにした以外は、実施例1の方法に従い弾性糸巻糸体を製造した。得られた弾性糸巻糸体の略形状は図11に示すとおり、巻き始め時から巻き幅が急激に増大し、内層部において膨れ部分(最大巻き幅)が存在する巻き形状のものであった。この場合の巻き始め時の狭い巻き幅部分は窪みとは言えないものである。
Figure 2008019061
Figure 2008019061
実施例および比較例の方法に従って得られた弾性糸巻糸体について、整経機の積極送り出し装置(クリールスタンド)の一部を模擬した高速解舒モデル装置(図12)を使い、解舒テストを実施した。
この高速解舒モデル装置においてローラ7Bの表面の周速度を300m/min、ローラ7Cおよび7Dの周速度を690m/minとし、巻糸体の表層から解舒試験を実施した。得られた結果を表3にまとめた。実施例1が最も優れた解舒性能を示した。
Figure 2008019061
本発明の弾性糸巻糸体は、トリコット、ラッセル等の経編生地に使用されるポリウレタン弾性糸の巻糸体として特に好適であるが、その他の弾性糸の巻糸体に適用することもできる。
本発明に係る弾性糸巻糸体の形状を模式的に示す平面図及び断面図である。 本発明に係る弾性糸巻糸体の製造方法における綾角度の時間変化を模式的に示すグラフである。 綾角の定義を示すための巻糸体の側面図である。 比較例2における綾角度の時間変化を示すグラフである。 比較例3における綾角度の時間変化を示すグラフである。 比較例4における綾角度の時間変化を示すグラフである。 実施例1による弾性糸巻糸体の巻き形状を模式的に示す巻糸体の部分断面図である。 比較例1による弾性糸巻糸体の巻き形状を模式的に示す巻糸体の部分断面図である。 比較例2による弾性糸巻糸体の巻き形状を模式的に示す巻糸体の部分断面図である。 比較例3による弾性糸巻糸体の巻き形状を模式的に示す巻糸体の部分断面図である。 比較例4による弾性糸巻糸体の巻き形状を模式的に示す巻糸体の部分断面図である。 実施例及び比較例において解舒性を評価した際の高速解舒モデル装置の概略を示す工程図である。
符号の説明
1: 円筒状のボビン
2: 最内層部
3: 中間層部
4: 最外層部
5: 最内層部における窪み部
6: 巻糸体
7B、7C、7D: 糸送りローラー
8: 吸引装置
Y: 糸条
T: 満巻所要時間

Claims (8)

  1. 幅50mm以上100mm以下、内径75mm以上80mm以下の円筒状のボビン上に弾性糸450g以上が巻かれた巻糸体であって、巻き始め時の弾性糸に相当する最内層部において窪み部が有り、該窪み部の層厚みが1mm以上5mm以下である巻き形状を有することを特徴とする弾性糸巻糸体。
  2. 巻始め時の最内層部における平均綾角をA1とし、内層から外層までの中間巻部における平均綾角をA2とし、最外層部における平均綾角をA3としたときに、以下の関係を同時に満足することを特徴とする請求項1に記載の弾性糸巻糸体。
    Figure 2008019061
  3. 内層から外層までの中間巻部における平均綾角A2が、10度以上、20度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性糸巻糸体。
  4. 弾性糸が、乾式紡糸により製造されたポリウレタン弾性糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の弾性糸巻糸体。
  5. 弾性糸の糸条繊度が15デシテックス以上120デシテックス以下であり、かつ、単糸本数が2本以上12本以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性糸巻糸体。
  6. 整経されて経編用に供される弾性糸が巻かれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の弾性糸巻糸体。
  7. 紡糸により弾性糸を製造する工程において、製造された弾性糸を、幅50mm以上100mm以下、内径75mm以上80mm以下の円筒状のボビン上に巻き上げる際、巻き始めに平均綾角A1で最内層部を巻き上げ、平均綾角A2で、内層から外層までの中間巻き部を巻き上げ、平均綾角A3で巻終わりの最外層部を巻き上げ、450g以上の所定量の弾性糸を巻き上げるに要する満巻所要時間をTとし、巻き始め時を起点にし、最内層部の綾角で巻き終わるまでの時間をT1とし、中間巻き部の綾角で巻き終わるまでの時間をT2としたとき、以下の関係を同時に満足することを特徴とする弾性糸巻糸体の製造方法。
    Figure 2008019061
  8. 弾性糸を製造する紡糸工程において付与される処理剤が、1種類以上のシリコーン系オイルを主成分として含有しかつ5%以下の金属石鹸を含有する処理剤であることを特徴とする請求項7に記載の弾性糸巻糸体の製造方法。
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