JP2009079316A - サイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

サイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法 Download PDF

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【課題】優れたストレッチ性を有し、かつ優れたソフトタッチを有するとともに、操業安定性を有し、高次加工での工程通過性および編物とした際の品位が良好で、品質安定性に優れたストレッチ性のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法を提供する。
【解決手段】高粘度成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる粘度の異なる成分がサイドバイサイド型に複合された複合ポリエステル繊維であって、繊維のプラトー強度が1.0cN/dtex以上1.5cN/dtex以下であり、かつ鏡面擦過後の糸張力バラツキが30%以内であることを特徴とするサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維。
【選択図】図1

Description

本発明は、ストレッチ性を有するサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、優れたストレッチ性に加え、優れたソフトタッチを有するとともに、操業安定性を有し、高次加工での工程通過性および編物とした際の品位が良好で、品質安定性に優れたストレッチ性のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法に関するものである。
従来、ポリエステル繊維にストレッチ性、捲縮性を与えるため種々の手法が採用されている。例えば、ポリエステル糸に仮撚り加工を施し、加撚、解撚トルクを発現させてストレッチ性を付与する方法、収縮特性または溶融粘度の異なる重合体をサイドバイサイド型や偏芯芯鞘型に複合紡糸し、捲縮糸を得る方法も種々提案されている(特許文献1〜2参照)。
このような捲縮性ポリエステル複合糸を用いれば確かにある程度のストレッチ性能を得ることができるが、織編物にした際のストレッチ性能が不十分であり、ストレッチ性能発現のために高次工程において撚糸加工を施す場合も多く、高次工程にかかるコストが高くなってしまうという問題を有する。また、特に高次工程での撚糸加工を施していない織編物においては、糸を通常の2工程法において製造する場合では、延伸工程でのボビン巻に際し、高張力が付与され、捲縮糸のコイル位相が揃い、織編物にした際に、シボ、耳しわ、ヨコ段等の品位面での問題が発生する。
一方、製造工程の合理化を目的とした従来2工程法から紡糸直接延伸法と呼ばれる1工程法が進められている。この紡糸直接延伸法による一般糸の製造においては、使用するポリマーや要求される特性が単純であるため、通常、一対の引取、延伸ローラーと巻取機からなる装置が使用されており、パッケージの巻姿を良好にするために糸条を延伸ローラーで延伸、熱処理した後、ローラーと巻取機との間で弛緩し、巻取る方法が採用されている。しかしながら、ストレッチ性繊維を得る場合、得られる糸条は弛緩することによりストレッチ性が低下してしまうという問題を有する。このような問題を解決するために、例えば、延伸後に複数の中間ローラーを経由して巻取る方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、本方法では優れたストレッチ性は得られるものの、編物用途として使用する際に、高次工程において、毛羽、タルミによる糸切れが多くなってしまうことに加え、編立時の張力のバラツキが大きく、タテスジ等が発生し、満足な品位のものが得られないという問題を有する。
特公昭44−2504号公報(第1頁) 特開平4−308271号公報(第2頁) 特開平14−348738号公報(第2頁)
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、優れたストレッチ性を有し、かつ優れたソフトタッチを有するとともに、操業安定性を有し、高次加工での工程通過性および編物とした際の品位が良好で、品質安定性に優れたストレッチ性のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は下記の構成を採用するものである。すなわち、
本発明のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維は、粘度の異なるポリマーのうち高粘度成分がポリトリメチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維であって、繊維のプラトー強度が1.0cN/dtex以上1.5cN/dtex以下であり、かつ鏡面擦過後の糸張力バラツキが30%以内であることを特徴とするものである。
また、本発明のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維の製造方法は、(1)粘度の異なる成分のうち高粘度成分がポリトリメチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型に複合された複合ポリエステル繊維を紡糸しするに際し、(2)延伸前に繊維処理剤有効成分に対しホスフェート金属塩を5重量%以上20重量%以下含有した繊維処理剤を付着させ、(3)延伸倍率2.8倍以上3.8倍以下で延伸し、(4)熱処理温度145℃以上165℃以下、熱処理時間0.05秒以上0.5秒以下で熱処理し、(5)延伸から巻取までの間に3.0%以上8.0%以下のリラックス処理を施すとともに、(6)冷却時間0.05秒以上0.5秒以下で冷却し、(7)紙管圧縮強度80kg/10cm以上の紙管を用いて巻取ることを特徴とするものである。
本発明によれば、優れたストレッチ性に加え、優れたソフトタッチを有するとともに、操業安定性を有し、高次加工での工程通過性および編物とした際の品位が良好で、品質安定性に優れたストレッチ性のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維およびその製造方法を提供することができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維は、粘度の異なる2成分のポリマーを繊維軸方向に貼り合わせたバイメタル複合繊維であり、2成分の複合比率(重量比)は通常サイドバイサイド型複合による捲縮性付与に用いられる複合比率で80:20〜20:80の範囲であり、さらに好ましくは60:40〜40:60の範囲である。
本発明におけるポリエステル繊維の高粘度成分は、90モル%以上がトリメチレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリトリメチレンテレフタレートからなるものであり、ここでいうポリトリメチレンテレフタレートとはテレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、たとえばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
本発明におけるポリトリメチレンテレフタレートの好ましい固有粘度は、0.70〜2.00であり、固有粘度を0.70以上とすることで充分な強度と伸度を兼ね備えた繊維を製造することが容易となる。より好ましい固有粘度は0.80以上である。また、固有粘度を2.00以下とすることで、生産安定性が良好となる。より好ましい固有粘度は1.50以下である。
一方、低粘度側のポリエステル成分は、固有粘度を0.40以上にすることで安定した製糸性が得られ好ましい。より好ましくは0.50以上である。さらに高い捲縮特性を得るためには、0.70以下であることが好ましい。低粘度側のポリエステル成分としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどを用いれば良く、また低粘度のポリトリメチレンテレフタレートを用いても良いが、高い捲縮特性を得るためにポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明におけるポリエチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分としエチレングリコールを主たるグリコール成分とする、90モル%以上がエチレンレンテレフタレートの繰り返し単位からなるポリエステルを用いることができる。ただし、10モル%以下の割合で他のエステル結合を形成可能な共重合成分を含むものであっても良い。共重合可能な化合物として、例えばイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボンサン類、一方、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限られるものではない。また、艶消剤として、二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤として、ヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを必要に応じて添加することができる。
さらに、ポリエステル成分の高粘度成分と低粘度成分の固有粘度差を0.30以上とすることにより捲縮特性に優れた原糸となるが、0.50以上と大きくすると、さらに伸縮性の優れた原糸となるので好ましい。一方、固有粘度差が1.50を越えると、得られる糸の捲縮特性は良好であるものの、紡糸糸条が高粘度成分側に過度に曲がるため、長時間にわたって安定して製糸することができず、好ましくない。したがって、安定した製糸性とストレッチ回復性の両方を満たすため、固有粘度差は0.30以上1.50以下とすることが望ましい。
なお、固有粘度は、o−クロロフェノールを溶媒として、25℃で常法に従って求めたものである。
本発明のポリエステル繊維では、優れたソフトタッチ性、優れた布帛品位を得るために、繊維のプラトー強度が1.0cN/dtex以上1.5cN/dtex以下であることが重要である。プラトー強度が1.5cN/dtexより大きいと、編立張力の影響を受けにくく、タテスジのない布帛は得られるものの、繊維がかたくなり、ソフトタッチ性が得られにくくなり、満足する高品位な布帛が得られない。プラトー強度が1.0cN/dtex未満であるとソフトタッチ性は得られるが、編立張力の影響を受けやすく、布帛にした際にタテスジやイラツキが発生してしまう。
なお、繊維のプラトー強度とは、後述するように、強伸度曲線において繊維強度の伸度微分値(強度の傾き)が極小を示したときの強度を示している(図2参照)。
さらに、本発明のポリエステル繊維においては鏡面擦過後の糸張力バラツキを抑えることが非常に重要であり、糸張力バラツキを抑えることで編み立て後の布帛品位が格段に良くなる。鏡面擦過後の糸張力バラツキは平均値に対し30%以内にすることが重要である。好ましくは0%以上25%以内である。鏡面擦過後の糸張力バラツキが平均値に対し30%を越えると、整経性が悪化したり、編立後の繊維強伸度にバラツキが生じ、布帛にした際の品位が低下する。
なお、鏡面擦過後の糸張力バラツキとは、後述するように、英光産業(株)製走行糸摩擦係数測定装置を用いて、糸速2.5m/min、摩擦体(鏡面)との摩擦角度90°の条件で糸を1分間擦過し、擦過後の平均糸張力値と最大(最小)糸張力値から算出したものである。
次に、本発明のポリエステル繊維には、繊維処理剤有効成分に対しホスフェート金属塩を5重量%以上含有した繊維処理剤を付着させることが好ましい。ホスフェート金属塩はポリエステル繊維に制電性を付与するばかりでなく、ポリエステル繊維と編み針などの金属との擦過において、金属の摩耗を防止する効果があるほか、金属以外のガイド類との擦過を抑制する効果もある。本発明のようなポリトリメチレンテレフタレートを用いた繊維は通常編み針などの金属との擦過、摩擦後の張力バラツキが大きいが、上記繊維処理剤を併用することにより、編み針などの金属との擦過、摩擦後の張力低減効果、張力バラツキ低減効果が大きく、プラトー強度の低い繊維に対しても、優れたソフトタッチを有し、タテスジのない高品位な布帛を得られる。ホスフェート金属塩の含有率が5重量%未満では編み針などの金属との擦過、摩擦後の張力低減効果が十分得られず、張力バラツキも大きくなり、十分な品位の布帛が得られない。また、ホスフェート金属塩を20重量%を越えて含有すると繊維処理剤の粘度が上がり、編み針などに付着することで金属との擦過、摩擦後の張力が上がってしまい好ましくない。そのため、ホスフェート金属塩の含有率は20重量%以下が好ましく、さらに好ましくは15重量%以下である。また、繊維処理剤有効成分に対しホスフェート金属塩を5重量%以上含有した繊維処理剤の繊維付着量としては、編み針などの金属との擦過、摩擦後の張力低減効果、張力バラツキ、編立性の観点から設定され、繊維処理剤の有効成分換算で0.1重量%以上1.5重量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.5重量%以上1.0重量%以下である。
ホスフェート金属塩としては、有機基含有ホスフェート金属塩などが挙げられ、有機基としては炭素数10〜18のアルキル基、アルキレン基やアリール基など適当であり、有機基含有ホスフェート金属塩がエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの1種または2種以上を共重合していても原液および水系エマルションの安定性が向上するので好ましい。また、金属塩の種類としては、Na、K、Liなどが挙げられる。
次に、本発明におけるサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維の製造方法の実施の一形態を図1に示す。本発明のポリエステル繊維は粘度の異なる2成分のポリマーを繊維軸方向に貼り合わせた状態で口金より吐出、冷却、固化して引き取り、延伸前に繊維処理剤付与装置2により繊維処理剤有効成分に対しホスフェート金属塩を含有した繊維処理剤を付着させ、引取ローラー4と延伸ローラー5との間で延伸および熱処理し、その後延伸ローラー5と巻取機(コンタクトローラー9、パッケージ10)の間に設置されたゴデットローラー(第1ゴデットローラー7、第2ゴデットローラー8)を経由しながら冷却され、リラックス処理を施した上で巻取り、かつ巻取り前に好ましくは交絡処理(交絡付与装置3、5)を施すことにより得ることができる。
本発明におけるポリエステル繊維では延伸倍率を2.8倍以上3.8倍以下で延伸することが好ましい。2.8倍未満では十分に繊維が延伸されず、満足したプラトー強度が得られないので好ましくない。一方、延伸倍率を3.8倍より大きくすると、繊維が充分に延伸されてしまい、満足したソフトタッチ性が得られないので好ましくない。
次に、本発明におけるポリエステル繊維の熱処理条件としては、熱処理温度145℃以上165℃以下、かつ熱処理時間0.05秒以上0.5秒以下が好ましい。熱処理温度が145℃未満もしくは熱処理時間が0.05秒未満であると、ポリエステル繊維の結晶構造がきちんとセットされないため、経時による物性の変化や毛羽が発生し高品位な布帛が得られないため好ましくない。熱処理温度が165℃より大きいまたは0.5秒より長いとポリトリメチレンテレフタレート成分同士が融着してしまい、タルミや毛羽が多発し高品位な布帛が得られないため好ましくない。
本発明におけるポリエステル繊維の冷却時間としては0.05秒以上0.5秒以下が好ましい。冷却時間が0.05秒より短いと十分に冷却されず、巻取り後に繊維の収縮が変化してしまい、編立張力のバラツキが大きくなり、高品位な布帛が得られないため好ましくない。一方、冷却時間が0.5秒より長くても特に問題はないが、設備的に煩雑となる上コストが増えるため0.5秒以下が好ましい。
本発明におけるポリエステル繊維の延伸ローラーと巻取機との間のリラックス率は3.0%以上8.0%以下が好ましい。さらに好ましくは4.0%以上6.0%以下である。リラックス率が3.0%より小さいと、繊維のプラトー強度が大きくなるため、繊維の風合いがかたくなり、ソフトタッチ性が得られず、高品位な布帛が得られないので好ましくない。一方、リラックス率が8.0%より大きくなると、繊維のプラトー強度が小さくなるのに加え、巻取り工程において糸揺れが大きくなり操業性が悪化するので好ましくない。
なお、ここでいうリラックス率は下記式により算出した値である。
[リラックス率]=100×([延伸ローラー速度]−[巻取速度])/[巻取速度]
本発明におけるポリエステル繊維を巻取る際に用いる紙管圧縮強度としては80kg/10cm以上であることが好ましい。トリメチレンテレフタレートを用いた繊維は紙管巻取り後に遅延収縮を起こすために、この強度より低い紙管を用いた場合には紙管が変形して巻締まるために、安定して製品を得ることができないので好ましくない。また、紙管圧縮強度について本発明を満たす範囲内であれば特に上限を限定するものではないが、安価に製品を供給することを考慮すると、200kg/cm以下が好ましく、さらに好ましくは150kg/cm以下である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、これら実施例のみに本発明の範囲が限定されるものではない。なお、実施例中の原糸、布帛の特性値は発明を実施するための最良の形態中に記載の方法により評価した。
(1)繊維処理剤付着量
ポリエステル繊維10gを採取し、ソックスレー抽出管を用いて、メタノールを溶媒として30分間処理剤を抽出した。抽出物の重量と採取したポリエステル繊維の重量から繊維処理剤付着量を算出した。
(2)紙管圧縮強度
オリエンテック社製万能試験機を用いて、紙管長10cmの紙管にて圧縮強度を測定した。
(3)繊維のプラトー強度
繊維のプラトー強度とは、強伸度曲線において繊維強度の伸度微分値(強度の傾き)が極小を示したときの強度を示している。(図2参照)強伸度曲線は東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用いて試長20cm、引張速度10cm/分の条件で測定し求めた。
(4)鏡面擦過時の糸張力バラツキ
英光産業(株)製走行糸摩擦係数測定装置を用いて、糸速2.5m/min、摩擦体(鏡面)との摩擦角度90°の条件で糸を1分間擦過し、擦過後の平均糸張力値と最大(最小)糸張力値から算出したものである。なお、平均糸張力値及び最大(最小)糸張力値はそれぞれ1回の測定内での平均及び最大(最小)値を示している。
張力バラツキ(%)=|(最大(最小)糸張力値−平均糸張力値)/平均糸張力値|×100
なお、本発明の説明において、鏡面とは表面粗度Rmax=5μmの摩擦体を表し、表面粗度は、JIS規格B0651−1976に準ずる触針式表面粗さ測定器を用いて測定したものであり、表面粗度Rmaxの定義はJIS規格B0601−1982に準ずるものである。
(5)巻締まり
巻幅10cm、巻径14cmのドラムを得た際の巻取機からのドラムの取り出し可否で判定した。
○:取り出し可能
×:取り出し不可
(6)巻姿
巻幅10cm、巻径14cmのドラムを得た際のドラム端面のふくらみ量で判定した。
○:ふくらみ8mm未満
×:ふくらみ8mm以上
(7)毛羽
糸速度500m/minで糸を走行させて糸長5万mあたりの毛羽の個数をカウントして判定した。
○:1個以下/5万m
△:2個以上10個以下/5万m
×:11個以上/5万m
(8)布帛品位
布帛品位を10人のパネラーに10点満点で採点してもらい下記の通り3段階で評価した。◎、○をタテスジなく、優れたソフトタッチ性を有する合格レベルと判定した。
◎:10人のパネラーの平均点が9点以上
○:10人のパネラーの平均点が6点以上8点以下
×:10人のパネラーの平均点が6点未満
実施例1
固有粘度1.43のポリトリメチレンテレフタレートと固有粘度0.51のポリエチレンテレフタレートを50:50の複合比率(容積比)で、それぞれエクストルーダーを用いて260℃、285℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、ポリマー温度270℃にて口金から吐出し、図1の設備にて紡糸・延伸した。すなわち、紡糸パック1から吐出された糸条を、繊維処理剤付与装置2により繊維処理剤有効成分に対しホスフェート金属塩を5.0重量%含有した繊維処理剤を1.0%付与し、交絡装置3により交絡を付与した後、1100m/分の速度で55℃に加熱された引取ローラー4に引き取られ、一旦巻き取ることなく、3630m/分の速度で150℃に加熱された延伸ローラー5に引き回し、延伸、熱処理時間を0.10秒に設定し熱セットを行った。さらに延伸ローラーから巻取までの冷却時間を0.15秒に設定し、交絡装置6により再度交絡を付与し、2個のゴデットローラ7,8に引き回した後、コンタクトローラ9に速度3440m/分にて紙管圧縮強度80kg/cmの紙管に巻き取りリラックス率5.5%を付与した、56dtex−24フィラメントのサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維を得た。得られた繊維はプラトー強度1.2cN/dtex、鏡面擦過後張力バラツキ20%であった。得られたサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維を用いて28ゲージで編製し、布帛サンプルを得た。このサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維および布帛の特性評価結果は表1の通りであり、張力のバラツキが抑えられタテスジがなく、優れたソフトタッチ性を有する高品位な布帛が得られた。
実施例2、比較例1〜2
実施例2、比較例1〜2は繊維処理剤のホスフェート金属塩含有量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に製造した。実施例2は張力のバラツキが抑えられタテスジがなく、優れたソフトタッチ性を有する高品位な布帛が得られた。
比較例1はホスフェート金属塩の含有量を1.0%とした実験であるが、ホスフェート金属塩の含有量が少ないため、鏡面擦過後の張力バラツキが非常に大きくなるとともに、毛羽が多くなり、タテスジの目立つ品位の劣る布帛となった。
比較例2はホスフェート金属塩含有量を30重量%に変更した実験であるが、ホスフェート金属塩の含有率が多すぎるため、繊維処理剤の粘度が増加し、鏡面擦過後の張力バラツキが非常に大きくなるとともに、毛羽が多くなり、タテスジの目立つ品位の劣るものであった。
実施例3、比較例3〜4
実施例3、比較例3〜4は延伸倍率をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に実験した。実施例3は張力のバラツキが抑えられタテスジがなく、優れたソフトタッチ性を有する高品位な布帛が得られた。
比較例3は延伸倍率が低いために、プラトー強度が低くなりすぎてしまい、優れたソフトタッチ性は得られるものの、編み立て時の張力のバラツキが大きくなり、タテスジの目立つ品位の劣る布帛であった。
比較例4は延伸倍率が高いために、プラトー強度が高くなってしまい、タテスジは問題ないものの、優れたソフトタッチ性が得られず、品位の劣る布帛であった。
比較例5〜6
比較例5〜6は熱処理温度と熱処理時間を変更した以外は実施例1と同様に実験した。比較例5は熱処理温度が低いために、繊維の熱セットが不十分であったため、プラトー強度が低くなってしまい、タテスジの目立つ品位の劣る布帛となった。
比較例6は熱処理温度が高過ぎるために、ポリトリメチレンテレフタレート成分同士が融着してしまい、毛羽が多く、鏡面擦過後の張力バラツキが大きくなり、タテスジの多い品位の劣る布帛となった。
比較例7は冷却時間を変更した以外は実施例1と同様に実験した。比較例7は冷却時間を短くしたため、繊維が十分に冷却されずに巻取られ、巻取り後に繊維の収縮が変化してしまい、張力バラツキが大きく、タテスジの多い品位の劣る布帛となった。
比較例8〜9
比較例8〜9はリラックス率を変更した以外は実施例1と同様に実験した。比較例8はリラックス率が低いために、プラトー強度が高く、巻姿が悪くなり、優れたソフトタッチ性が得られない品位の劣る布帛となった。
比較例9はリラックス率が大きいため、ゴデットローラーから巻取機間の糸条の揺れが大きいため、製糸することができなかった。
実施例4
実施例4は紙管圧縮強度を変更した以外は実施例1と同様に実験した。実施例4は得られた繊維の布帛はタテスジがなく、優れたソフトタッチ性を有する高品位な布帛であったものの、紙管圧縮強度が低いために巻取後の繊維の収縮により紙管形状が変化してしまい、紙管が抜けないということがあった。結果を表1に示す。
Figure 2009079316
本発明の実施例で用いる直接紡糸延伸装置の概略図である。 強伸度曲線のプラトー強度の説明図である。
符号の説明
1:紡糸パック
2:繊維処理剤付与装置
3:交絡付与装置
4:引取ローラー
5:延伸ローラー
6:交絡付与装置
7:第1ゴデットローラー
8:第2ゴデットローラー
9:コンタクトローラー
10:パッケージ

Claims (3)

  1. 粘度の異なる成分のうち高粘度成分がポリトリメチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型に複合された複合ポリエステル繊維であって、繊維のプラトー強度が1.0cN/dtex以上1.5cN/dtex以下であり、かつ鏡面擦過後の糸張力バラツキが30%以内であることを特徴とするサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維。
  2. 低粘度成分がポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1に記載のサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維。
  3. (1)粘度の異なる成分のうち高粘度成分がポリトリメチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型に複合された複合ポリエステル繊維を紡糸するに際し、(2)延伸前に繊維処理剤有効成分に対しホスフェート金属塩を5重量%以上20重量%以下含有した繊維処理剤を付着させ、(3)延伸倍率2.8倍以上3.8倍以下で延伸し、(4)熱処理温度145℃以上165℃以下、熱処理時間0.05秒以上0.5秒以下で熱処理し、(5)延伸から巻取までの間で3.0%以上8.0%以下のリラックス処理を施すとともに、(6)冷却時間0.05秒以上0.5秒以下で冷却し、(7)紙管圧縮強度80kg/10cm以上の紙管を用いて巻取ることを特徴とするサイドバイサイド型複合ポリエステル繊維の製造方法。
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