JP2008016114A - 磁気転写用マスター媒体、磁気記録媒体、及び、磁気記録装置 - Google Patents

磁気転写用マスター媒体、磁気記録媒体、及び、磁気記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁気転写により作製されるディスクにおいて安定したサーボ信号を得る。
【解決手段】 磁性層を有するディスク面が複数のセクタに分割され、各セクタに設けられたサーボゾーンに磁気ヘッドをトラック中心に位置決めをするための4相のバーストデータを有するサーボデータが記録されている磁気転写用マスター媒体において、評価用の磁気ヘッドについて前記サーボデータによるフィードフォワード制御を行うことなくオフトラック状態で位置決めをし、前記評価用の磁気ヘッドで読み取った4相のバーストデータ同士の出力の差より実効的なサーボ信号強度を算出した場合に、前記サーボ信号強度がディスク面の各半径位置において、前記バーストデータの半径方向の長さHとトラックの設計長さWTrとの比H/WTrが、0.90〜0.98であることを特徴とする磁気転写用マスター媒体を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、磁気転写用マスター媒体、磁気記録媒体、及び、磁気記録装置に係り、特に、媒体の略全面で安定したサーボ特性が得られる磁気転写用マスター媒体、該磁気転写用マスター媒体の磁気データを転写した磁気記録媒体、及び該磁気記録媒体を備える磁気記録装置に関する。
近年、急速に普及しているハードディスクドライブに使用される磁気ディスク(ハードディスク)は、磁気ディスクメーカーよりドライブメーカーに納入された後、ドライブに組み込まれる前に、フォーマット情報やアドレス情報が書き込まれるのが一般的である。この書き込みは、磁気ヘッドにより行うこともできるが、これらのフォーマット情報やアドレス情報が書き込まれているマスターディスクより一括転写する方法が効率的であり、好ましい。
この磁気転写技術は、マスターディスクと被転写ディスク(スレーブディスク)とを密着させた状態で、片側又は両側に電磁石装置、永久磁石装置等の磁界生成手段を配設して転写用磁界を印加し、マスターディスクの有する情報(たとえばサーボ信号)に対応する磁化パターンの転写を行うものである。
このような磁気転写に使用されるマスターディスクや、被転写ディスクであるスレーブディスクのサーボ信号等の欠陥の有無を検出して、不良のディスクを排除し、これにより磁気記録を確実ならしめるべく、従来より各種の提案がなされている(たとえば、特許文献1〜3。)。
このうち、特許文献1は、サーボ信号等欠陥の検出及び補償を行う磁気ディスク装置に関するもので、サーボ信号上の欠陥により発生した誤ったポジション信号を、実際のヘッドの位置ずれと区別して認識することを特徴としている。
特許文献2は、磁気ディスク装置のヘッド位置決め制御に関するもので、オフセットによる隣接トラック間のオーバーライト等の影響を防止し、ヘッド位置決め精度を向上させることを特徴としている。特許文献3は、サーボ信号復調方式に関するもので、セクタマークの検出誤差を防止し、デジタル部品の点数を減少でき、調整の手間を省くことを特徴としている。
特開平5−62393号公報 特開平7−122010号公報 特開平7−57410号公報
しかしながら、上記のような従来技術においては、磁気記録媒体のサーボ特性の評価は、実機ドライブを用いたオントラック評価であり、サーボ信号記録、ドライブ組み込み、サーボ特性評価のルーチンが必要である。
そのため、磁気転写用マスターディスクのように、オフラインでサーボ記録を行う磁気記録媒体では、評価時間が長くなり、この評価の短縮化が強く求められていた。そして、特に、オフトラック状態での簡易評価方法が望ましいとされていた。
また、位置決めパターンとして、振幅サーボを使用している媒体ではA/B、又はC/Dバースト信号の信号関係が重視されていたが、A〜Dバースト全体の信号特性を迅速に把握する手段はなかった。
また、A〜Dバースト全体の信号特性を、ディスクの外周から内周まで全面に亘って最適に設計することがサーボ特性として重要であるが、磁気転写の場合、転写するビット長さや、印加する磁界強度及び分布等の影響を受けること、及び、転写する媒体(スレーブディスク)の保磁力等の磁気特性によってパターンエッジからの染み出し量が異なること等により、これらの影響を考慮した磁気転写用マスターディスクを設計する必要がある。ところが、このような磁気転写用マスターディスクは、これまで皆無であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ディスクの外周から内周まで全面に亘って安定したサーボ特性が得られる磁気転写用マスター媒体、該磁気転写用マスター媒体の磁気データを転写した磁気記録媒体、及び該磁気記録媒体を備える磁気記録装置を得ることを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、磁性層を有するディスク面が複数のセクタに分割され、各セクタに設けられたサーボゾーンに磁気ヘッドをトラック中心に位置決めをするための4相のバーストデータを有するサーボデータが記録されている磁気転写用マスター媒体において、評価用の磁気ヘッドについて前記サーボデータによるフィードフォワード制御を行うことなくオフトラック状態で位置決めをし、前記評価用の磁気ヘッドで読み取った4相のバーストデータ同士の出力の差より実効的なサーボ信号強度を算出した場合に、前記サーボ信号強度がディスク面の各半径位置において、前記バーストデータの半径方向の長さHとトラックの設計長さWTrとの比H/WTrが、0.90〜0.98であることを特徴とする磁気転写用マスター媒体である。
請求項1に係る発明によれば、比H/WTrが最適な範囲にあることより、PES(Position Error Signal)の値が適正となり、ディスクの全面に亘って安定したサーボ特性が得られる。なお、比H/WTrが0.90未満では、隣接するトラックへの位置決め制御量の変動値が大きく、PESの値が不適正となり、一方、比H/WTrが0.98超では、隣接するトラックへの位置決め制御量の変動値が少なく、PESの値が不適正となり、いずれも好ましくない。
請求項2に記載の発明は、前記評価用の磁気ヘッドで読み取った4相のバーストデータ同士の出力の差より実効的なサーボ信号強度を算出した場合に、前記サーボ信号強度がディスク面の各半径位置において、バースト部で算出される信号の最大値がプリアンブル出力の70%以上となるように、前記バーストデータの半径方向の長さを定めていることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター媒体である。
請求項2に係る発明によれば、評価用の磁気ヘッドについてフィードフォワード制御を行うことなく、オフトラック状態で位置決めをし、読み取った隣接する2相のバーストデータ同士の出力の差より実効的なサーボ信号強度を算出した場合に、サーボ信号強度がディスク面の各半径位置において、バースト部で算出される信号の最大値がプリアンブル出力の70%以上となるように、バーストデータの半径方向の長さが定められているので、ディスクの外周から内周まで全面に亘って安定したサーボ特性が得られる。即ち、本来ヘッド幅に対して、バースト幅が十分に広く、パターンの中心位置を通過する場合、{(A−B)/(A+B)}=0の位置には、バーストからの出力は半径方向につながっているプリアンブル(垂線部)出力に対し、100%となるが、パターンの中心を通らない場合やバースト幅がヘッド幅に対して十分に広くない場合、また、短ビット形成における形状との関係から内周側での出力が低下する傾向にあるため、全半径を対象とした場合には、70%以上必要であるとの経験則に基づくものである。
通常、オントラック状態でのサーボ精度の評価は、A/Bバーストの出力が等しくなるようにヘッド位置決めを行う。しかし、この方式では、Repeatable Run Out(定常的な軌跡ぶれ、以下、「RRO」と略す)などの要因が影響すると、純粋なバースト部のパターン性能を評価することができなくなる。
これに対し、本発明によれば、バーストデータの半径方向の長さが最適な値に設計されているので、RRO等の影響がなく、また、オフトラック状態ではヘッドの軌跡が基準となるため、バースト部の信号が精度よく評価可能となる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の磁気転写用マスター媒体の凹凸パターンの形成されている面と被転写用磁気記録媒体とを密着させる密着工程と、磁界生成手段を設け、前記被転写用磁気記録媒体と前記マスター媒体に磁界を印加することにより、前記マスター媒体の磁気パターンを前記被転写用磁気記録媒体に転写させる磁気転写工程と、により磁気情報が記録されていることを特徴とする磁気記録媒体である。
請求項3に係る発明によれば、ディスクの外周から内周まで全面に亘って安定したサーボ特性が得られる磁気転写用マスター媒体を使用して、被転写用磁気記録媒体(スレーブディスク)に磁気転写を行う。したがって、品質の良好なスレーブディスクが得られる。
なお、スレーブディスクが面内磁気記録媒体の場合、磁気転写工程ではディスクの円周方向に磁界を加えるが、スレーブディスクが垂直磁気記録媒体の場合、磁気転写工程では、ディスクの円周方向に磁界を加える方式(いわゆるedge printing)と、ディスクの垂直方向に磁界を加える方式(いわゆるbit printing)とがある。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の磁気記録媒体を備えていることを特徴とする磁気記録装置である。請求項4に係る発明によれば、ディスクの外周から内周まで全面に亘って安定したサーボ特性が得られるスレーブディスクを備えた磁気記録装置なので、良好な磁気記録が行える。
以上説明したように、本発明によれば、磁気転写用マスター媒体の外周から内周まで全面に亘って安定したサーボ特性が得られる。
以下、添付図面に従って、本発明に係る磁気転写用マスター媒体、磁気記録媒体、及び、磁気記録装置の好ましい実施の形態について詳説する。先ず、磁気転写用マスターディスク(磁気転写用マスター媒体)について説明し、次いで、磁気転写について説明する。
図1は本発明の磁気転写用マスターディスク10(以下、マスターディスク10という)の部分斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿った断面図であり、被転写用ディスク(スレーブディスク14)を想像線で示したものである。
図1及び図2に示されるように、マスターディスク10は、金属製のマスター基板11と磁性層12とで構成され、マスター基板11の表面に転写情報に対応する微細な凹凸パターンP(たとえばサーボ情報パターン)を有するとともに、その凹凸パターンPに磁性層12が被覆されている。
これにより、マスター基板11の片面に磁性層12が被覆された微細な凹凸パターンPを有する情報担持面13が形成される。図1から解るように、この微細な凹凸パターンPは、平面視で長方形であり、磁性層12が形成された状態でトラック方向(図の矢印方向)の長さpと、半径方向の長さLとよりなる。
この長さpと長さLとの最適値は、記録密度や記録信号波形により異なり、また、長さLの最適値は、ディスクの半径位置により異なるが、たとえば長さpを80nm、MD部(径方向中央部)での長さLを200nmにできる。この微細な凹凸パターンPはサーボ信号の場合は、半径方向に長く形成される。この場合、たとえば半径方向の長さLが0.05〜20μm、トラック方向(円周方向)の長さpが0.01〜5μmであることが好ましい。
この範囲で半径方向の方が長い凹凸パターンPを選ぶことがサーボ信号を担持するパターンとして好ましい。凹凸パターンPの深さt(突起の高さ)は、30〜800nmの範囲が好ましく、50〜300nmの範囲がより好ましい。
マスター基板11は、電鋳により作製され、図3に示されるように、中心孔11Gを有する円盤状に形成され、片面の(情報担持面13)の内周部11D及び外周部11Eを除く円環状領域11Fに凹凸パターンPが形成される。このマスター基板11の製造の詳細は後述するが、主に、情報を凹凸パターンPで形成した原版上に電鋳を施して、電鋳層から成る金属盤を原版上に形成して、この金属盤に凹凸パターンPを転写する電鋳工程と、金属盤を原版上から剥離する剥離工程とにより製造される。
電鋳層としては各種金属や合金類を使用できるが、本実施の形態では好ましい一例として、Ni電鋳層の例で以下に説明する。このNi電鋳層は柔軟性をもたせるため、規定された結晶構造を有するように、電鋳時の電流密度を制御しながら電鋳する。
次に、上記の如く構成される本発明のマスターディスク10の製造方法を詳細に説明する。
図4はマスターディスク10を製造するステップを示す工程図である。先ず、図4(a)に示されるように、表面が平滑且つ清浄なシリコーンウエハーによる原板15(ガラス板、石英板でもよい)の上に、密着層形成等の前処理を行い、電子線レジスト液をスピンコート等で塗布してレジスト膜16を形成し、ベーキングする。
そして、高精度な回転ステージ又はX−Yステージを備えた電子ビーム露光装置(図示せず)にて、そのステージに搭載した原板15にサーボ信号等に対応して変調した電子ビームBを照射し、レジスト膜16に所望の凹凸パターンP' を描画露光する。
次に、図4(b)に示されるように、レジスト膜16を現像処理し、露光部分を除去して残ったレジスト膜16によって所望の凹凸パターンP' を形成する。この凹凸パターンP' 上にたとえばスパッタリングによりNi導電膜(薄いので図示せず)を付与し、電鋳可能な原版17を作製する。
次に、図4(c)に示されるように、原版17の全面に電鋳装置で電鋳処理を施し、Ni金属による所望厚さの金属盤18(Ni電鋳層)を積層する。Niは面心立方格子の結晶構造を有しており、電鋳時の電流密度を制御して規定の結晶構造となるように電鋳する。
図5は、電鋳装置60の断面図である。この電鋳装置60は、鍍金液(浴)62を貯留する鍍金槽64と、鍍金槽64よりオーバーフローした鍍金液62を受けるドレーン槽66と、陽極となるNiペレット68、68…が充填され、鍍金槽64よりオーバーフローした鍍金液62を受けるアノード室70と、原版17を保持する陰極72等より構成される。
鍍金槽64には鍍金液供給配管74より鍍金液62が供給されるようになっている。また、鍍金槽64よりドレーン槽66にオーバーフローした鍍金液62は、ドレーン槽排水配管76より回収されるようになっている。また、鍍金槽64よりアノード室70にオーバーフローした鍍金液62は、アノード室排水配管78より回収されるようになっている。
鍍金槽64とアノード室70とは、隔壁板80により区切られている。また、鍍金槽64側の隔壁板80の表面には、電極遮蔽板82が陰極72と対向するように固定されている。この電極遮蔽板82は、電鋳した膜厚が面内で均一になるように、電極の所定部分を覆うように形成されているものである。
以上の構成からなる電鋳装置60において、陰極72に原版17を保持させ、陰極72に負電極を接続し、アノード室70の正電極を接続して通電することにより、マスター基板11の電鋳が行われる。
電鋳装置60における鍍金液62としては、公知の組成のもの、たとえばスルファミン酸ニッケル浴が使用できる。また、電鋳処理による金属盤18の積層において、電流密度と時間を制御して、残留応力の非常に小さいNi電鋳層が形成されることが好ましい。
図4に戻り、次に、前述のように規定した結晶構造を有する金属盤18を原版17から剥離し、残留するレジスト膜16を除去・洗浄する。これにより、図4(d)に示されるように、反転した凹凸パターンPを有し、且つ所定サイズに打ち抜く前の外径Dを有するマスター基板11の原盤11' が得られる。
この原盤11' を打ち抜いて、図4(e)に示される外径dの所定サイズのマスター基板11が得られる。このマスター基板11の凹凸パターン面に磁性層12を成膜することでマスターディスク10を製造することができる。
なお、マスターディスク10の他の製造工程としては、原版17に電鋳を施して第2原版を作製する。そして、この第2原版を使用して電鋳を行い、反転した凹凸パターンを有する金属盤を作製し、所定サイズに打ち抜いてマスター基板としてもよい。
更には、第2原版に電鋳を行うか、樹脂液を押しつけて硬化を行って第3原版を作製し、この第3原版に電鋳を行って金属盤を作製し、更に反転した凹凸パターンを有する金属盤を剥離してマスター基板としてもよい。第2原版又は第3原版を繰り返し使用し、複数の金属盤18を作製することができる。
また、原版の作製において、レジスト膜を露光・現像処理した後、エッチング処理を行って、原版の表面にエッチングによる凹凸パターンを形成してからレジスト膜を除去してもよい。
磁性層12の形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、又はメッキ法、塗布法等により成膜する。磁性層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN等)、Ni、Ni合金(NiFe等)、を用いることができる。特にFeCo、FeCoNiを好ましく使用することができる。磁性層12の厚さは50〜500nmの範囲が好ましく、100〜400nmの範囲が更に好ましい。
なお、磁性層12の上に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、スパッタカーボン等の保護膜を設けることが好ましく、保護膜の上に更に潤滑剤層を設けても良い。この場合、保護膜として厚さが3〜30nmのDLC膜と潤滑剤層とする構成が好ましい。
また、磁性層と保護膜との間に、Si等の密着強化層を設けるようにしても良い。潤滑剤はスレーブディスク14との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などの耐久性の劣化を改善する効果を有する。
次に、本発明の特徴部分である磁気転写用マスターディスク10のバーストデータの半径方向の長さについて説明する。このバーストデータの半径方向の長さは、既述の図1における長さLに相当する。
図6は、磁気転写用マスターディスク10の磁性層パターンを示した図であり、既述の図1よりは倍率が小さく、全体像が得られるように示されている。このマスターディスク10の表面には、複雑な磁性層パターンにより構成されるサーボウェッジ10A、10A…(ハッチング部分)と、サーボウェッジ10A、10A…の間に形成されるギャップ10B、10B…と呼ばれる磁性層のない部分(白地部分)が交互に形成されている。
図7は、磁気転写用マスターディスク10、又はマスターディスク10により磁気転写磁気ディスク(スレーブディスク14)を回転させ、磁気ヘッドがサーボウェッジ10A、10A…を通過するときに再生される信号の波形を示したものである。図7において、期間T10Aの範囲がサーボウェッジ10Aの1ピッチ分の信号であり、期間T10Bはギャップ10Bの1ピッチ分の信号(信号なし)である。
サーボウェッジ10Aの1ピッチ分の信号は、先頭(図の左)より、最初のプリアンブル50、サーボタイミングマーク52、セクターアドレス54、シリンダーアドレス56、定周期のバースト信号58(58A、58B、58C、及び58Dの4種よりなる)、及び最後のプリアンブル60よりなる。
図8は、バースト信号58(以下、単に「A、B、C、及びD」と記す)の詳細図である。このうち、(A)は、各バースト信号とヘッドの走行位置Sとの関係を示す図であり、(B)は、各バースト信号によるヘッド出力を示すグラフである。
図8(A)に示されるように、各バースト信号同士は、幅の1/2ピッチずつずれて形成されている。すなわち、バースト信号Aとバースト信号Dとは幅の1/2ピッチずれて形成されており、バースト信号Dとバースト信号Bとは幅の1/2ピッチずれて形成されており、バースト信号Bとバースト信号Cとは幅の1/2ピッチずれて形成されており、バースト信号Cとバースト信号Aとは幅の1/2ピッチずれて形成されている。
図8(A)に示される状態で、ヘッド出力は、図8(B)に示されるように、バースト信号Aで50%であり、バースト信号Bで50%であり、バースト信号Cで100%であり、バースト信号Dで0%となっている。
以上の各バースト信号において、信号幅に対応する半径方向の長さH(図1における長さLに相当)の求め方について説明する。以下の式1は、この長さH(単位:nm)を算出する数式である。
Figure 2008016114
式1において、WTrは、設計するトラックの長さ(単位:nm)であり、Wheadは、評価ヘッドのリード幅(単位:nm)であり、Bは、バースト信号A、B(又はC、D)の平均値であり、Bは、0.75以上のバースト信号C、D(又はA、B)の平均値であり、Bは、0.35以下のバースト信号C、D(又はA、B)の平均値である。
そして、式1で得られた長さHとトラックの設計長さWTrとの比H/WTrが0.90〜0.98となっていることが好ましい。この範囲の値にすれば、PES(Position Error Signal)の値が適正となり、ディスクの全面に亘って安定したサーボ特性が得られる。
なお、比H/WTrが0.90未満では、隣接するトラックへの位置決め制御量の変動値が大きく、PESの値が不適正となり、一方、比H/WTrが0.98超では、隣接するトラックへの位置決め制御量の変動値が少なく、PESの値が不適正となり、いずれも好ましくない。
図9は、このような状態を示す概略図であり、既述の図8(A)に対応する。図10は、トラック位置とPES値との関係を示すグラフである。
図9において、左側のバースト信号A及びBは長さHが適正範囲にあるので、図10のグラフにおいて、トラック位置とPES値とが直線状(適正な)の相関関係にある。これに対し、図9の中央のバースト信号A及びBは、長さHが不適正(短い)範囲にあるので、図10のグラフにおいて、トラック位置とPES値とが直線状から外れた(不適正な)相関関係にある。また、図9の右側のバースト信号A及びBは、長さHが不適正(長い)範囲にあるので、図10のグラフにおいて、トラック位置とPES値とが直線状から外れた(不適正な)相関関係にある。
表1は、比H/WTrが所定の範囲内に収まるようにすべく、ディスクの各半径位置において、バーストデータの半径方向の長さHを算出した値を示す。なお、各半径位置は、ディスクの外周側が0Cylであり、ディスクの内周側が80000Cylである。このCylは、相対的な指標である。また、長さHの各数値は、トラックの設計長さWTrを100%とした場合の比率(%)である。
Figure 2008016114
表1において、実施例1は、比H/WTrが0.94〜0.96の範囲内に収まるように算出したものであり、長さHは、ディスク外周側の55%からディスク内周側の75%まで変化している。
実施例2は、比H/WTrが0.90〜0.94の範囲内に収まるように算出したものであり、長さHは、ディスク外周側の50%からディスク内周側の70%まで変化している。
実施例3は、比H/WTrが0.95〜0.98の範囲内に収まるように算出したものであり、長さHは、ディスク外周側の60%からディスク内周側の80%まで変化している。
比較例1は、比H/WTrが0.88〜0.98の範囲内に収まるように算出したものであり、長さHは、ディスク外周側からディスク内周側まで60%で一定である。
比較例2は、比H/WTrが0.96〜1.06の範囲内に収まるように算出したものであり、長さHは、ディスク外周側からディスク内周側まで75%で一定である。
図11は、これをグラフにプロットしたものである。このうち、「仕様」とあるのは、トラックの設計長さWTrであり、全て100%である。「変動設計」とあるのは、実施例1である。「60%設計」とあるのは、実施例1である。「75%設計」とあるのは、実施例2である。
図12は、図11と同一のプロットにおいて、Y軸の値を実効的な信号算出値としたものである。なお、「変動設計」とあるのは、実施例1である。また、「従来ヘッドライト」とあるのは、トラックの設計長さWTrに対応するものである。
図13は、実施例1のマスターディスク10表面の拡大平面図(写真)であり、各バースト信号に対応する部分である。このうち、(A)は、外周部分(OD部)であり、長さHが55%である。(B)は、中周部分(MD部)であり、長さHが65%である。(C)は、内周部分(ID部)であり、長さHが75%である。
次に、上記の如く製造したマスターディスク10の凹凸パターンPをスレーブディスク14に転写する磁気転写方法について説明する。図14は本発明のマスターディスク10を使用して磁気転写を行うための磁気転写装置20の要部斜視図である。
磁気転写時には図16(a)に示される後述する初期直流磁化を行った後のスレーブディスク14のスレーブ面(磁気記録面)を、マスターディスク10の情報担持面13に接触させ、所定の押圧力で密着させる。そして、このスレーブディスク14とマスターディスク10との密着状態で、磁界生成手段30により転写用磁界を印加して、マスターディスク10の凹凸パターンPをスレーブディスク14に転写する。
スレーブディスク14は、両面又は片面に磁気記録層が形成されたハードディスク、フレキシブルディスク等の円盤状記録媒体であり、マスターディスク10に密着させる以前に、グライドヘッド、研磨体などにより表面の微小突起及び付着塵埃を除去するクリーニング処理(バーニッシィング等)が必要に応じて施される。
スレーブディスク14の磁気記録層には、塗布型磁気記録層、メッキ型磁気記録層、又は金属薄膜型磁気記録層を採用できる。金属薄膜型磁気記録層の磁性材料としては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、CoPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、FeCoNi等)、Ni、Ni合金(NiFe等)、を用いることができる。
これらは磁束密度が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(面内記録なら面内方向)の磁界異方性を有していることにより、明瞭な転写を行えるため好ましい。そして、磁性材料の下(支持体側)に必要な磁気異方性を付与するために、非磁性の下地層を設けることが好ましい。この下地層には、結晶構造と格子定数を磁性層12に合わすことが必要である。その為には、Cr、CrTi、CoCr、CrTa、CrMo、NiAl、Ru等を用いることが好ましい。
マスターディスク10による磁気転写は、スレーブディスク14の片面にマスターディスク10を密着させて片面に転写を行う場合と、図示しないが、スレーブディスク14の両面に一対のマスターディスク10を密着させて両面で同時転写を行う場合とがある。
転写用磁界を印加する磁界生成手段30は、密着保持されたスレーブディスク14とマスターディスク10の半径方向に延びるギャップ31を有するコア32にコイル33が巻き付けられた電磁石装置34、34が上下両側に配設されており、上下で同じ方向にトラック方向と平行な磁力線G(図15参照)を有する転写用磁界を印加する。図15は、円周トラック14A、14A…と磁力線Gとの関係を示したものである。
磁界印加時には、スレーブディスク14とマスターディスク10とを一体的に回転させつつ磁界生成手段30によって転写用磁界を印加させ、マスターディスク10の凹凸パターンをスレーブディスク14のスレーブ面に磁気的に転写する。なお、この構成以外に磁界生成手段の方を回転移動させるようにしてもよい。
転写用磁界は、最適転写磁界強度範囲(スレーブディスク14の保磁力Hcの0.6〜1.3倍)の最大値を超える磁界強度がトラック方向のいずれにも存在せず、最適転写磁界強度範囲内の磁界強度となる部分が1つのトラック方向で少なくとも1カ所以上存在し、これと逆向きのトラック方向の磁界強度が何れのトラック方向位置においても最適転写磁界強度範囲内の最小値未満である磁界強度分布の磁界をトラック方向の一部分で発生させている。
図16は、面内記録による磁気転写方法の基本工程を説明する説明図である。先ず、図16(a)に示されるように、予めスレーブディスク14に初期磁界Hi をトラック方向の一方向に印加して初期磁化(直流消磁)を施しておく。
次に、図16(b)に示されるように、このスレーブディスク14の記録面(磁気記録部)とマスターディスク10の凹凸パターンPが形成された情報担持面13とを密着させ、スレーブディスク14のトラック方向に初期磁界Hi とは逆方向に転写用磁界Hd を印加して磁気転写を行う。転写用磁界Hd が凹凸パターンPの凸部の磁性層12に吸い込まれてこの部分の磁化は反転せず、その他の部分の磁界が反転する結果、図16(c)に示されるように、スレーブディスク14の磁気記録面にはマスターディスク10の凹凸パターンPが磁気的に転写記録される。
このような磁気転写において、スレーブディスク14とマスターディスク10とを良好に密着させることが高精度な転写を行う上で重要である。
このスレーブディスク14は、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)に組み込んで好適に使用できる。これに使用されるハードディスクドライブとしては、各ドライブメーカーより販売されている公知の各種装置を使用すればよい。
以上、本発明に係る磁気転写用マスター媒体、磁気記録媒体、及び、磁気記録装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態において、バースト信号58を58A、58B、58C、及び58Dの4種よりなる信号としているが、これ以外の態様、たとえばバースト信号を6種の信号とする態様も採用できる。
また、サーボウェッジ10Aの1ピッチ分の信号も、図7に示される態様以外のパターンとすることも可能である。
更に、本実施形態のマスターディスク10は、内径を有する円環状(ドーナツ状)のものであるが、内径を有しない円盤状のものであってもよい。
本発明のマスターディスクの部分斜視図 図1のA−A線に沿った断面図 マスター基板の平面図 本発明のマスターディスクの製造方法の一実施の形態における工程図 電鋳装置の断面図 磁気転写用マスターディスクの磁性層パターンを示した図 磁気ヘッドがサーボウェッジを通過するときに再生される信号の波形を示した図 バースト信号の詳細図 バースト信号の詳細図 トラック位置とPES値との関係を示すグラフ 表1の数値をプロットしたグラフ 図11と同一のプロットにおいて、Y軸の値を実効的な信号算出値としたグラフ 実施例1のマスターディスク表面の拡大平面図 磁気転写装置の要部斜視図 転写用磁界の印加方法を示す平面図 磁気転写方法の基本工程を示す工程図
符号の説明
10…マスターディスク(磁気転写用マスターディスク)、10A…サーボウェッジ、10B…ギャップ、11…マスター基板、12…磁性層、14…スレーブディスク、20…磁気転写装置、58…バースト信号、P…凹凸パターン

Claims (4)

  1. 磁性層を有するディスク面が複数のセクタに分割され、各セクタに設けられたサーボゾーンに磁気ヘッドをトラック中心に位置決めをするための4相のバーストデータを有するサーボデータが記録されている磁気転写用マスター媒体において、
    評価用の磁気ヘッドについて前記サーボデータによるフィードフォワード制御を行うことなくオフトラック状態で位置決めをし、
    前記評価用の磁気ヘッドで読み取った4相のバーストデータ同士の出力の差より実効的なサーボ信号強度を算出した場合に、前記サーボ信号強度がディスク面の各半径位置において、
    前記バーストデータの半径方向の長さHとトラックの設計長さWTrとの比H/WTrが、0.90〜0.98であることを特徴とする磁気転写用マスター媒体。
  2. 前記評価用の磁気ヘッドで読み取った4相のバーストデータ同士の出力の差より実効的なサーボ信号強度を算出した場合に、前記サーボ信号強度がディスク面の各半径位置において、
    バースト部で算出される信号の最大値がプリアンブル出力の70%以上となるように、前記バーストデータの半径方向の長さを定めていることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスター媒体。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気転写用マスター媒体の凹凸パターンの形成されている面と被転写用磁気記録媒体とを密着させる密着工程と、
    磁界生成手段を設け、前記被転写用磁気記録媒体と前記マスター媒体に磁界を印加することにより、前記マスター媒体の磁気パターンを前記被転写用磁気記録媒体に転写させる磁気転写工程と、
    により磁気情報が記録されていることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項3に記載の磁気記録媒体を備えていることを特徴とする磁気記録装置。
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