JP2008013295A - 紙葉類重送防止部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】普通紙に加えてOHP紙等の表面が樹脂からなる紙葉類の給紙性能が安定しており、鳴きの発生も防止できる紙葉類重送防止部材を提供する。
【解決手段】ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分に、アクリルビーズが配合されている組成物から成形され、前記アクリルビーズは前記組成物全体に対して10質量%以下の割合で配合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、紙送り機構に用いられる紙葉類重送防止部材に関し、特に、重送を確実に防止すると共に、鳴き(異音)発生の防止と耐磨耗性の向上とを、バランス良く達成するものである。
インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等における紙送り機構においては、図2に示されるように、搬送される紙葉類1を挟んで、紙送りローラ2と板状の重送防止部材3を対向配置している。この重送防止部材と紙葉類との間の摩擦抵抗によって、紙葉類が二枚以上同時に送られる重送を防止している。
詳細には、重送を防止するためには、紙と紙送りローラとの間の摩擦係数μ1、紙と重送防止部材と間の摩擦係数μ2、重ねられた紙同士の間の摩擦係数μ3との間には、μ1>μ2>μ3なる関係が成立していることが要求される。
さらに、紙類の分離性能が安定していることが必要とされると共に、重送防止部材には耐オゾン性等の耐久性及び耐磨耗性に優れていることが要求される。
また、紙送り機構においては普通紙、樹脂コート紙、OHP紙等の種々の紙葉類が使用されるため、重送防止部材はどのような用紙に対しても1枚ずつ確実に紙を分離することが要求される。
しかしながら、OHP用フィルム、樹脂コート紙等の表面が合成樹脂である紙葉類が用いられる場合には、エラストマー組成物からなる重送防止部材と紙葉類とが密着する傾向がみられ、紙葉類の搬送不良である「不送り」が生じやすい傾向がある。また、両者の密着により、給紙時に両者が擦れ合って振動することにより「鳴き」と称される不快な異音が発生する傾向がある。
さらに、搬送される紙葉類と重送防止部材とが擦れる際に、両者間の摩擦係数が非常に大きくなるため、重送防止部材の磨耗がさらに大きくなるという問題がある。
これらの問題に対して、特開2002−255384号公報(特許文献1)、特開2002−96939号公報(特許文献2)では、コルクやナイロン繊維を重送防止部材に配合して、OHP紙等との密着を防止している。
しかしながら、コルクやナイロン繊維を配合するとOHP紙だけでなく普通紙に対しても摩擦係数が低下する傾向にあり、そのうえOHP紙との密着防止も十分ではない。
さらに、コルクを配合する場合には、コルクは粉砕したのち、メッシュに通して篩分けした一定の粒子範囲の粉砕コルクを使用しているものの、該粉砕コルクの粒径のばらつきが大きいため、摩擦係数やパッド表面状態が安定しないという問題がある。そのうえ、コルクは多量に配合しなければOHP紙等の密着防止効果を発揮できないため、コスト的にも問題がある。
このように、従来の重送防止部材は、普通紙、OHP紙等の種々の用紙に対して、所要の摩擦係数、耐磨耗性、耐久性を満足出来る程度に両立させることは困難であり、より優れた性能の重送防止部材の提供が要望されている。
特開2002−255384号公報 特開2002−96939号公報
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、耐久性、耐磨耗性を備え、かつ、普通紙に加えてOHP紙等の表面が樹脂からなる紙葉類の給紙性能が安定し、鳴きの発生も防止できる紙葉類重送防止部材を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分に、アクリルビーズが配合されている組成物から成形され、前記アクリルビーズは前記組成物全体に対して10質量%以下の割合で配合されていることを特徴とする紙葉類重送防止部材を提供している。
前記紙葉類重送防止部材を形成する組成物には、前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分と、アクリルビーズの他に、必要に応じて架橋剤、補強剤、充填剤等の各種添加剤が含まれる。
前記アクリルビーズは、適切な硬度及び圧縮回復性を有する微粒子であり、重送防止部材に含有させると、普通紙との摩擦係数は低下せず、OHP紙、樹脂コートされている紙葉類と密着しにくくなり、重送を防止できる優れた特性を発揮する。
即ち、アクリルビーズはゴム成分あるいは/及びエラストマー成分中に分散され、その一部が重送防止部材の表面に露出され、露出したアクリルビーズは紙葉類と直接擦れ合い、OHP紙等の表面が合成樹脂からなる紙葉類と重送防止部材の表面との密着を防止することができる。これにより、普通紙に対する摩擦係数は適切な範囲に保ちつつ、OHP紙等の紙葉類に対しての摩擦係数は適切な範囲に下げることができ、両者に対して重送を防止することができる。また、重送防止部材と各種紙葉類の間には大きな振動が発生しないため、鳴きの発生も防止される。
さらに、アクリルビーズの添加により重送防止部材自体も長時間の使用においても摩耗しにくく、安定した搬送力が維持される。かつ、アクリルビーズは耐熱性、耐薬品性に優れ、分散性にも優れるため、既存の方法により、種々のゴム成分あるいは/及びエラストマー成分、添加剤等と混合、混練等することができ、紙葉類重送防止部材を簡単に形成することができる。
前記アクリルビーズの添加割合を組成物全体に対して10質量%以下としているのは、10質量%を越えると摩擦係数が小さくなり過ぎ、使用初期段階から重送が発生しやすくなるからである。より好ましく5質量%以下、特に4質量%以下が好ましい。該アクリルビーズの添加量の下限は1質量%とするのが好ましい。
前記アクリルビーズは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類を中心としたモノマーを重合して得られる有機微粒子であり、球状であるのが好ましい。
具体的には、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸エチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル、架橋ポリアクリル酸メチル、架橋ポリアクリル酸エチル、架橋ポリアクリル酸ブチル等の樹脂が好適に用いられる。
特に、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル系のアクリルビーズが好適に用いられる。
アクリルビーズは前記モノマーを単独で重合して得られたものでもよいし、2種以上のモノマーを混合重合して得られたものでもよい。
さらに、アクリルビーズは、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるポリマービーズのうち1種以上と混合して用いてもよい。
前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分としては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、1,2―ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、クロロスルフォン化ポリエチレン、ポリトランスペンテナマー(PTPR)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、塩素化ポリエチレン(CPE)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBS、SIS、SEBS、SEPS等)、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩素系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、フッ素系熱可塑性エラストマーから選択される1種または2種以上を使用することができる。
前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー中のゴム成分としては、オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムが好ましく、特にEPDMが好適に用いられる。
EPDMはその配合量により摩擦係数の調節が容易とされる。また、EPDMの主鎖は、飽和炭化水素からなり、二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気、光線照射等の環境下に長時間曝されても分子切断が起こりにくい。そのため、紙葉類重送防止部材の耐候性および耐酸化性を高める観点からも、EPDMを主成分とし、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部中に50質量部以上90質量部以下で含有されていることが好ましい。EPDMと他のゴムとを併用する場合においても、耐候性および耐酸化性を高める効果を得る観点からは、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部中のEPDMの含有量を50質量部以上、さらには80質量部以上としても良いが、70質量部程度とするのが特に好ましい。
EPDMには、ゴム成分のみからなる非油展タイプのEPDMとゴム成分とともに親展油を含む油展タイプのEPDMとが存在するが、本発明ではいずれのタイプのものも使用可能である。油展タイプのEPDMが用いられる場合は、伸展油を除いたゴム成分あるいは/及びエラストマー成分が前記した範囲とされることが好ましい。
前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分は、樹脂架橋剤によって動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散されたエラストマーからなることが好ましい。
前記構成とすれば、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分は、いわゆる動的加硫型熱可塑性エラストマーとなる。
動的架橋によれば、ゴム成分と熱可塑性ポリマーとの効果的なアロイ化が可能であり、熱可塑性ポリマーからなるマトリックスに、ゴム粒子の島を分散させることができる。このような組成物によれば、熱可塑性ポリマーの利点とゴムの優れた物性とを両立することが可能である。従って、紙葉類重送防止部材の耐摩耗性の更なる向上が可能であり、鳴き防止効果も高められる。
また、動的架橋されたゴム粒子を熱可塑性ポリマー中に分散しているとすることにより、成形した重送防止部材は、表面研磨工程が省略あるいは表面研磨工程における研磨時間が短縮されても、適切な摩擦係数の範囲内に設定することができる。
重送防止部材は熱可塑性ポリマーが配合されている場合には摩耗しにくいが、長期間の使用によって表面が摩耗しても、熱可塑性ポリマーのマトリクス中にゴム粒子が分散した状態が表面から内部にまで存在しているため、常にほぼ一定の表面粗度を維持することができ、その結果、摩擦係数の経時変化を抑えることができる。
前記ゴム粒子とするゴム成分の種類は、特に限定されないが、オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムが好適に用いられ、特に、EPDMが好ましい。
前記EPDM以外のゴム成分として、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、1,2―ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)等から選択される1種または2種以上を混合使用しても良い。
前記ゴム粒子は粒子直径が小さいほど、マトリックス中に均一に分散するので好ましい。具体的には、ゴム粒子の平均粒子直径は10μm以下が好ましく、5μm以下が特に好ましい。平均粒子直径は小さいほど好ましいが、通常得られるゴム粒子の平均粒子直径は0.1μm以上である。
前記動的架橋は樹脂架橋剤を用いて行うことが好ましい。
樹脂架橋剤を用いることにより、硫黄と加硫促進剤とが用いられた場合に発生しがちであるブルーミングが抑制され、ブルーミングに伴って生じる重送防止部材の摩擦係数低下が防止される。
好ましい樹脂架橋剤として、ベンゼンのオルト位又はパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールとホルムアルデヒドとの反応によって得られる、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。これらの樹脂架橋剤はゴムとの相溶性に優れており、また、反応性に富んでいて架橋反応開始時間が早くなるので好ましい。
樹脂架橋剤の具体的な製品名としては、タッキロール201、タッキロール250−III(以上、田岡化学工業(株)製)、ヒタノール2501(日立化成工業(株)製)などのアルキルフェノール樹脂または臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
前記樹脂架橋剤の配合量の下限値は、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部に対して1質量部とするのが好ましく、3質量部とするのがさらに好ましく、5質量部とするのが特に好ましい。配合量が上記範囲未満であると、架橋不足が起こり、重送防止部材の耐久性が低下してしまうことがあるからである。さらに上限値は、20質量部とするのが好ましく、15質量部とするのがさらに好ましく、10質量部以下とするのが特に好ましい。配合量が上記範囲を越えると、過剰架橋となって動的架橋時の異常発熱によるゴムあるいは/及びエラストマー組成物の熱劣化が生じてしまうことがあるからである。
前記ゴム粒子を分散させたマトリクス樹脂として前記した熱可塑性ポリマーを用いると、使用期間が終了した後の重送防止部材を加熱・溶融されることにより、再生ポリマー材料として利用することができ省資源に寄与しうる。また、再利用によって重送防止部材の廃棄処分や焼却処分の必要がなくなるので、この重送防止部材は地球環境に悪影響を与えない利点がある。
前記ゴム粒子が分散するマトリックスである前記熱可塑性ポリマーとして、ポリオレフィンを用い、動的加硫型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)とすることが好ましい。
これは、ポリオレフィンは分子鎖が飽和状態であるので、動的架橋時に架橋させてしまうことがなく、ポリオレフィンは一般的に安価で入手が容易なため重送防止部材の製造コストが抑えることができるためである。
ポリオレフィンの具体例としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、また、2種以上が混合されて用いられてもよい。
ポリオレフィンに代えて、又はポリオレフィンとともに、ソフトセグメントとハードセグメントとを備えた熱可塑性エラストマーが用いられてもよい。好適な熱可塑性エラストマーとしては、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレン末端ブロックとエラストマー中間ブロックとからなるブロック共重合体を主成分としているものである。中間ブロックが水素添加されることによって二重結合が消滅しており、従って動的架橋時に架橋させてしまうことがない。用いられる水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−エチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。
また、ナイロン樹脂等のエラストマーを用いてもよい。
前記熱可塑性ポリマーとして、ポリオレフィンの中でもポリプロピレンを用いるのが特に好ましい。
ポリプロピレンは安価で、成形性が良好であり、重送防止部材の成分として用いた場合には耐摩耗性が向上する。特に、メルトフローレートが0.5以上10以下(特には0.5以上5.0以下)であるポリプロピレンが用いられれば、重送防止部材の耐摩耗性がさらに良好となる。メルトフローレートは、JIS−K−6758に準拠して測定される。
ポリプロピレンが他の熱可塑性ポリマーと併用される場合でも、ポリプロピレンが主成分とされるのが好ましい。具体的には、全熱可塑性ポリマーに占めるポリプロピレンの比率が50質量%以上、特には75質量%以上とされるのが好ましい。ポリプロピレンの比率は多いほど好ましいので、その上限は特には定められない。すなわち、理想的には、必須成分であるアクリルビーズを除く全ての熱可塑性ポリマーがポリプロピレン(特にメルトフローレートが0.5以上5.0以下のポリプロピレン)とされる。
前述した理由により、樹脂架橋剤によって動的架橋されたEPDMからなるゴム粒子がポリプロピレンからなる熱可塑性ポリマー中に分散されたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることが最も好ましい。
前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分中におけるゴム粒子のゴム成分と前記熱可塑性ポリマーとの質量比(ゴム粒子のゴム成分/熱可塑性ポリマー)は30/70以上80/20以下が好ましく、40/60以上80/25以下が特に好ましく、50/50以上75/25以下がさらに好ましい。質量比が30/70以上未満であると、重送防止部材の摩擦係数が小さくなってしまうことがある。逆に、質量比が80/20を超えると、熱可塑性ポリマーがマトリックスでなくなってしまい、ポリマー組成物の可塑化が困難となってしまうことがある。
一方、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分として、ポリエステル系熱可塑性エラストマーも好適に用いられる。ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分の全てをポリエステル系熱可塑性エラストマーとすると、紙葉類の重送防止と、鳴き防止と、耐摩耗性の向上とを、バランス良く達成することができるため、特に好ましい。この他、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、前述したゴム成分あるいは/及びエラストマー成分の1種以上と混合して使用してもよく、この場合、ポリエステル系熱可塑性エラストマーはゴム成分あるいは/及びエラストマー成分中で60質量%以上であることが好ましい。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、配合量、またはハードセグメントとソフトセグメントの比率などにより調節することで硬度の容易に調節でき、所要の高さの反発係数を有するものとすることができる。このように、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、適度に高い反発係数を有すると共に低い損失係数(tanδ)より、鳴き防止機能を備え、かつ、通紙に適した硬度となる。
即ち、硬度が高すぎると耐摩耗性は良いが摩擦係数が低くなり重送が発生しやすくなるが、適度に硬度を高くしているため、鳴きの発生を防止しながら重送の発生も防止できる。さらに、引張強度、伸びにも優れ、耐摩耗性も向上する。このように、重送防止と、鳴き防止と、耐摩耗性の向上の3つの要求をバランス良く達成することができる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーをゴム成分あるいは/及びエラストマー成分の主成分とした場合、アクリルビーズを含有させていない状態でのJIS A硬度が、75〜85であることが好ましい。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、tanδが低いため反発係数が高い。tanδが低い方が、重送防止部材がスティックおよびスリップしにくく、鳴きが発生しにくくなる。
また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、低温特性に優れ、耐油性および耐熱性にも優れている。従って、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを含む紙葉類重送防止部材は、低温でも高い摩擦係数を維持し、紙葉類の重送を確実に防止できるとともに、優れた耐久性を有する。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント(結晶相)およびソフトセグメント(非晶相)からなり、前記ハードセグメントが、芳香族ジカルボン酸ジエステル基からなり、前記ソフトセグメントが、芳香族カルボン酸エステルまたは脂肪族ポリエーテル基からなることが好ましい。
ハードセグメントは、一般に芳香族ジカルボン酸ジエステル基からなる。
ハードセグメントを構成する原料芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸等のフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらのなかでは、特にテレフタル酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸とエステルを形成するアルコールとしては、一般式HO(CH2 )nOH(nは2〜12の整数であり、好ましくは2〜6である)で表される脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等が好ましい。ハードセグメントの具体例として、例えばポリブチレンテレフタレート基:{CO−C64−COO(CH24
−O}が挙げられる。
前記ソフトセグメントは、例えば、芳香族カルボン酸エステル基、脂肪族カルボン酸エステル基、脂肪族ポリエーテル基等からなる。ソフトセグメントを構成する原料芳香族カルボン酸としては、両端にそれぞれカルボキシル基および水酸基を有する芳香族ヒドロキシカルボン酸を挙げることができる。また、ソフトセグメントを構成する原料脂肪族ポリエーテルとしては、ポリアルキレンエーテルグリコールが好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールの重量平均分子量は、一般に400〜6000である。脂肪族ポリエーテル基からなるソフトセグメントは、さらにエステル基を含む場合もある。脂肪族ポリエーテルとエステルを形成するカルボン酸としては、フタル酸等が好ましい。ソフトセグメントの具体例として、例えば[CO−C64−COO−{(CH24O}5−]、(CO−CH2CH2CH2CH2CH2O)m 等が挙げられる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーにおいては、ハードセグメントとソフトセグメントとがブロック共重合体を構成している。ブロック共重合体に占めるハードセグメントおよびソフトセグメントのモル比は、一般に前者が15〜90%、後者が85〜10%である。
前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分には、前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーと共に、前述したようなEPDM等からなるゴムを含めるとともに、動的架橋を行ってもよい。
動的架橋によれば、ゴム成分とポリエステル系熱可塑性エラストマーとの効果的なアロイ化が可能であり、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなるマトリックスに、ゴム粒子の島を分散させることができる。このような組成物によれば、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの利点と、ゴムの優れた物性とを、両立することが可能である。従って、紙葉類重送防止部材の耐摩耗性の更なる向上が可能であり、鳴き防止効果も高められる。
本発明の紙葉類重送防止部材を成形する組成物には、前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分とアクリルビーズと共に、軟化剤、架橋活性剤、強度向上のための充填材を混合してもよい。
上記軟化剤としてはオイル、可塑剤が挙げられ、オイルとしては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油や炭化水素系オリゴマーからなるそれ自体公知の合成油、またはプロセスオイルを用いることができる。合成油としては、例えば、α−オレフィンとのオリゴマー、ブテンのオリゴマー、エチレンとα−オレフィンとの非晶質オリゴマーが好ましい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチルアジペート(DOA)等を用いることができる。
また、架橋反応を適切に行うために架橋活性剤を用いても良く、該架橋活性剤としては例えば金属酸化物が良好に使用され、特に酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましい。その配合量は加工性の理由から前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部(軟化剤を除く)に対し、1質量部以上5質量部以下が適当である。
さらに、必要に応じて、充填剤、補強剤、老化防止剤、ワックス、着色剤、架橋助剤等が適量添加してもよい。
前記充填剤としては、タルク、シリカ、カーボン、酸化チタン、アルミ、ウィスカー、炭酸カルシウム、クレー、グラスファイバー、カーボンファイバー等を挙げることができる。充填剤の添加により、紙葉類重送防止部材の機械的強度を向上させることができる。充填剤の配合量は、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部に対して、30質量部以下とするのが好ましい。充填剤の比率が上記範囲を越えると、ゴムの柔軟性が低下してしまうことがあるからである。
前記補強剤としては、カーボンブラック等が用いられる。カーボンブラックの添加により、重送防止部材の耐摩耗性を向上させることが可能である。カーボンブラックとしては、例えばHAF、MAF、FEF、GPF、SRF、SAF、MT、FT等のカーボンブラックを用いることができる。なお、組成物への分散性の観点から、カーボンブラックの粒径は10nm以上100nm以下であることが好ましい。カーボンブラックの配合量は、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部に対し、例えば0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
前記老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン,N,N´−ジ−6−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N´−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類などが挙げられる。
前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分、アクリルビーズ等を含む組成物の調製は、従来から行われている通常の方法で行うことができる。
例えば、所定の配合物を、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の公知の混練装置を用いて混練りすることにより、組成物を得ることができる。混練り中の配合物の温度は、例えば160℃〜220℃である。得られた組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の既知の成形手段により、所要の形状に成形される。
前述したように、本発明の紙葉類重送防止部材によれば、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分にアクリルビーズを添加させることにより、OHP紙、樹脂コート紙等の表面が合成樹脂からなる紙葉類と重送防止部材の表面との密着を防止することができる。これにより、普通紙に対する摩擦係数を適切な範囲としつつも、OHP紙等の紙葉類に対しての摩擦係数も適切な範囲とすることができ、紙葉類の重送および鳴きの発生を防止することができる。
また、アクリルビーズを含有することにより重送防止部材自体も長時間の使用においても摩耗しにくく、長期に渡り適切な摩擦係数を付与でき、かつ優れた耐磨耗性を有する。
よって、インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置等の給紙機構において、紙送りローラと対向させて配置すると、紙葉類の分離性能を安定させることができ、耐久性、耐磨耗性に優れているので良好に使用できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、紙葉類重送防止部材としての分離パッド23が用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。該給紙機構では、トレイ21と給紙ローラ12とが離間して配置され、給紙ローラ12と対向する位置には、基板22に固定された分離パッド23が設けられている。該分離パッド23が紙葉類重送防止部材となる。
給紙ローラ12が図中の矢印Rで示される方向に回転することにより、トレイ21の上の紙葉類15が1枚ずつ画像形成機構に向けて送り出される構成としている。
前記分離パッド23からなる本発明の紙葉類重送防止部材の第一実施形態について、以下に詳述する。
第一実施形態の分離パッド23は、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分として、EPDMからなるゴム粒子がポリプロピレンからなる熱可塑ポリマー中に樹脂架橋剤により動的架橋されて分散されたエラストマーに、アクリルビーズが配合された組成物から成形している。よって、成形された分離パッド23にはアクリルビーズが分散しており、その一部は分離パッド23の表面に露出している。露出したアクリルビーズの粒子は、紙葉類11と直接擦れ合うことにより、OHP用フィルム、樹脂コート紙等の表面が合成樹脂からなる紙葉類11と分離パッド23の表面との密着を防止できるようにしている。
前記組成物全体に対する前記アクリルビーズの配合量は、10質量%以下としているが、本実施形態では1〜4質量%としている。
アクリルビーズとして、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等のポリメタクリル酸エステル系ポリマーを主成分とする平均粒径4〜100μmの球状アクリルビーズを用いている。
前記のようにゴム粒子は、耐候性および耐酸化性に優れている点よりEPDMを用いているが、EPDMとともに他のゴムを併用しても良い。
また、EPDMには、ゴム成分のみからなる非油展タイプのEPDMとゴム成分とともに親展油を含む油展タイプのEPDMとが存在し、いずれを使用してもよいが本実施形態では油展量50%の油展タイプのEPDMを用いている。
マトリックスとなるエラストマーには、EPDMを架橋するための樹脂架橋剤を配合している。該樹脂架橋剤としては、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物が挙げられるが、本実施形態では反応型アルキルフェノール樹脂を用いている。該樹脂架橋剤はゴムとの相溶性に優れ、また、反応性に富んでいて架橋反応開始時間が早くすることができ、かつ、成形後においてブルーミングを抑制することができる。
樹脂架橋剤の配合量は、前記エラストマー100質量部に対して、本実施形態では5質量部以上10質量部以下としている。
マトリックスである熱可塑性ポリマーとして、前記のようにポリプロピレン(特にメルトフローレートが0.5以上5.0以下のポリプロピレン)を用いている。ポリプロピレンは安価かつ成形性が容易であり、耐摩耗性が向上するので好適である。ポリプロピレンが他の熱可塑性ポリマーと併用される場合でも、ポリプロピレンが主成分とされるのが好ましい。
前記エラストマーにおけるEPDMとポリプロピレンの質量比(EPDM/ポリプロピレン)は30/70以上80/20以下が好ましく、本実施形態では60/40以上75/25以下としている。該範囲とすることで、分離パッドの摩擦係数を小さくし過ぎることなく、ポリプロピレンがマトリックスとして存在し、組成物として熱可塑性を有する。
前記エラストマーとアクリルビーズと共に、組成物中に必要に応じて、軟化剤、充填剤、補強剤、老化防止剤、ワックス、着色剤、架橋助剤等を適量添加してもよい。
分離パッド23を成形する組成物は、ゴム粒子のゴム成分(EPDM)、アクリルビーズ、熱可塑性ポリマー(ポリプロピレン)、樹脂架橋剤、各種添加剤等を、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機等の既知の混練機で混練して調製している。
混練時にゴム粒子が架橋され、微細なゴム粒子となって熱可塑性ポリマーのマトリックス中に分散し、いわゆる動的架橋型熱可塑性エラストマーとなる。得られた組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の既知の成形手段により、所要形状のシート状に成形される。このシートを所望の厚さにスライスした後、さらに所望の大きさの長方形に裁断し、紙葉類の重送防止部材である分離パット23としている。
なお、混練機としては、ゴムの配合量が熱可塑性ポリマーの配合量を多少上回った場合でも熱可塑性ポリマーがマトリックスとされ得るとの理由より、二軸押出機が好ましい。また、アクリルビーズは、他の配合剤が混練された後に投入し、さらに混練してもよい。
次に、第二実施形態の紙葉類重送防止部材である分離パッド23について説明する。
第二実施形態の分離パッド23は、ゴム成分あるいは/およびエラストマー成分として、ポリエステル系熱可塑性エラストマーを単独で用い、組成物全体に対して0.5〜9質量%の割合でアクリルビーズを配合している。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントが、芳香族ジカルボン酸ジエステル基からなり、ソフトセグメントが、芳香族カルボン酸エステルまたは脂肪族ポリエーテル基からなる。
ハードセグメントを構成する原料芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸ジメチルを、芳香族ジカルボン酸とエステルを形成するアルコールとしては、ブタンジオールの組合せで作られる、ポリブチレンテレフタレート基:{CO−C64 −COO(CH24
−O}を用いている。
ソフトセグメントは、両端にそれぞれカルボキシル基および水酸基を有する芳香族ヒドロキシカルボン酸からなる。ソフトセグメントを構成する原料脂肪族ポリエーテルとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコール等を用いている。脂肪族ポリエーテルとエステルを形成するカルボン酸としては、テレフタル酸等が好ましい。ソフトセグメントの具体例として、例えば[CO−C64
−COO−{(CH24O}5−](CO−CH2CH2CH2CH2CH2O)m
等が挙げられる。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーにおいては、ハードセグメントとソフトセグメントとがブロック共重合体を構成している。ブロック共重合体に占めるハードセグメントおよびソフトセグメントのモル比は、一般に前者が15〜90%、後者が85〜10%である。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーに対して、第一実施形態と同様に、アクリルビーズを配合している。また、必要に応じて他の充填剤を適量配合してもよい。該充填剤としては、カーボンブラック、酸化ケイ素、クレー等が挙げられるが、本実施形態ではカーボンブラックを配合している。カーボンブラックの配合量は、ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下としている。
さらに、オイル、可塑剤等の軟化剤、老化防止剤、着色剤、補強繊維等を必要に応じ適量配合してもよい。
前記のように第二実施形態では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーをエラストマー成分とする組成物で分離パッド23を形成しているため、硬度の調整が容易となり、紙葉類重送防止部材の硬度は、摩擦係数と耐摩耗性との関係を考慮し適度な硬度に設計することができる。
また、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、低温特性に優れ、低温でも高い摩擦係数を維持し、紙葉類の重送を確実に防止できるとともに、優れた耐久性を有する。耐油性および耐熱性にも優れている。
なお、紙葉類重送防止部材として、図1に示す分離パッド23に代えて、分離ローラが設けられた給紙機構も存在し、分離パッド23と分離シートとの両方を備えた給紙機構も存在する。いずれの場合でも、これら紙葉類重送防止部材(分離パッド、分離ローラ、分離シート等)を、前記第一実施形態あるいは第二実施形態に記載した組成物より成形することができる。
以下、本発明の紙葉類の重送防止部材の実施例、比較例について詳述する。
なお、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
下記表1に示すように、実施例および比較例について、表1に記載の配合からなる混練物を作成した。
Figure 2008013295
表1中の各成分の各配合の数値単位は質量部であり、アクリルビーズ、コルク粒子について括弧内で示されたものはゴムあるいは/及びエラストマー組成物に占めるアクリルビーズ、コルク粒子の質量%である。
使用した材料の詳細は下記の通りである。
EPDM:住友化学(株)製「エスプレン670F(商品名)」(油展量50質量%,ゴム成分50質量%)
ポリプロピレン:日本ポリケム(株)製「ノバテックMG05BS(商品名)」
ポリエステル系熱可塑性エラストマー:東レ・デュポン(株)製「ハイトレル3046(商品名)」、ハードセグメントとして[CO−C64−COO(CH24−O−] xを含み、ソフトセグメントとして[CO−C64−COO{(CH2)POq}]nを含むものである。
アクリルビーズ:ガンツ化成(株)製「ガンツパールGBX−10S(商品名)」(化粧品グレード、平均粒径4〜100μm)
カーボン:東海カーボン(株)製「シーストSO(商品名)」
樹脂架橋剤:田岡化学工業(株)製「タッキロール250−III(商品名)」
(実施例1乃至実施例3)
表1の配合でEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ポリプロピレン、樹脂架橋剤、アクリルビーズを配合し、タンブラを用いてドライブレンドしたのち、2軸押出機に投入し、200℃で混練し、同時に動的架橋を行い、シート状に押し出した。得られたシートをスライスもしくは研磨して、厚さ2.0mmのシート状の紙葉類重送防止部材を得た。
(比較例1)
アクリルビーズを配合しない以外は実施例1乃至実施例3と同様にして紙葉類重送防止部材を作製した。
(比較例2)
アクリルビーズの換わりにコルク粒子を配合した以外は実施例1乃至実施例3と同様にして紙葉類重送防止部材を作製した。
(実施例4)
組成物の配合を表1に記載のように変更した以外、実施例1乃至実施例3と同様にして紙葉類重送防止部材を作製した。
(比較例3)
アクリルビーズを配合しない以外は実施例4と同様にして紙葉類重送防止部材を作製した。
前記実施例1乃至実施例4、比較例1乃至比較例3の紙葉類重送防止部材の、初期摩擦係数、鳴き発生状況、通紙状況及び磨耗量に関して以下の様に試験し、評価した。
(初期摩擦係数の測定)
ヘイドン14型の摩擦係数測定機(新東科学(株)製「トライボギア」、TYPE:HEIDON―14DR)を用いた。測定紙として普通紙はキャノン(株)製のプロパーボンド紙(商品名)を、OHPはエプソン(株)製のカラーレーザープリンタ用OHPシートを各々使用し、荷重1.96N、速度600mm/分の条件で測定した。
(鳴き発生状況)
各実施例及び比較例の紙葉類重送防止部材をプリンタ(キャノン(株)製の商品名「LBP1310(商品名)」)に装着し、23℃、相対湿度55%で、OHP紙200枚を通紙している際の異音(鳴き)発生の有無を観察した。鳴きが全く発生しなかった場合を「無」、僅かでも鳴きが発生した場合を「有」とした。
(通紙状況)
各実施例及び比較例の紙葉類重送防止部材をプリンタ(キャノン(株)製の商品名「LBP1310(商品名)」)に装着し、23℃、相対湿度55%で、普通紙を30000枚通紙している際の通紙状況の観察を行った。重送が全く発生しなかった場合を「良好」、数回でも重合が発生した場合を「重送発生」とした。
(磨耗量)
磨耗量は、前記通紙試験の前後における重送防止部材の質量差を測定し、単位をmgとして表した。数値が小さいほど試料の耐磨耗性は優れている。
実施例1乃至実施例3と比較して、アクリルビーズを配合しない以外は配合が同じである組成物を使用した比較例1の重送防止部材は、OHPの初期摩擦係数が1.7と大きく、さらに鳴きの発生が確認され、実施例の重送防止部材と比べて劣っていた。
また、アクリルビーズの代わりにコルク粒子30質量%配合した比較例2は、実施例1乃至実施例3と比較して、普通紙、OHP紙とも初期摩擦係数は良好であったが、重送の発生が確認され、実施例の重送防止部材と比べて劣っていた。
実施例4と比較して、アクリルビーズを配合しない以外は配合が同じである組成物を使用した比較例3の重送防止部材は、OHP紙の初期摩擦係数が1.8と大きく、鳴きの発生も確認された。さらに、磨耗量が14.3mgと大きく、実施例4の重送防止部材と比べて劣っていた。
実施例1〜4の重送防止ゴム部材は、いずれも普通紙に対する初期摩擦係数が0.7〜1.0と適切な値であり、OHP紙に対する初期摩擦係数も1.0〜1.3と適切な値であった。通紙性能も良好であり、「鳴き」も全く確認されなかった。また、実施例4の磨耗量は6.2mgであり、比較例3の重送防止部材と比較して小さく、耐磨耗性にも優れていた。
よって、実施例1〜4のアクリルビーズを含有する重送防止部材は、優れた重送防止部材となり、特に、紙葉類がOHP紙等の表面が樹脂からなり平滑度が高いものである場合においても、優れた耐磨耗性を有しており、従って各種の紙類において広範に良好に使用できることが確認できた。また、イオウ加硫でないことからブルームの問題もなく、耐酸化性等の耐久性にも優れた高性能の重送防止部材である。
本発明の紙葉類の重送防止部材としての分離パッドが用いられた給紙機構が示された模式的断面図である。 従来の紙送り重送防止部材の説明図である。
符号の説明
12 給紙ローラ
21 トレイ
15 紙葉類
22 基板
23 分離パッド

Claims (5)

  1. ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分に、アクリルビーズが配合されている組成物から成形され、前記アクリルビーズは前記組成物全体に対して10質量%以下の割合で配合されていることを特徴とする紙葉類重送防止部材。
  2. 前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分100質量部中に、前記ゴム成分としてEPDMが50質量部以上90質量部以下で含有されている請求項1に記載の紙葉類重送防止部材。
  3. 前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分は、樹脂架橋剤によって動的架橋されたゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散されたエラストマーからなる請求項1または請求項2に記載の紙葉類重送防止部材。
  4. 前記ゴム粒子がEPDMからなると共に、前記熱可塑性ポリマーがポリプロピレンからなる請求項3に記載の紙葉類重送防止部材。
  5. 前記ゴム成分あるいは/及びエラストマー成分が、ポリエステル系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載の紙葉類重送防止部材。
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