JP2005206303A - 紙葉類重送防止部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、長期間にわたって紙葉類の重送を防止することができるとともに、搬送される紙葉類と紙葉類重送防止部材とが擦れる際に生じる「鳴き」と称される異音を実質的に防止することができる紙葉類重送防止部材を提供することを課題としている。
【解決手段】 エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中にゴム成分が分散されているポリマー組成物からなる。アイオノマーは組成物全体100質量部に対して20質量部以上80質量部以下であり、上記ゴム成分として、オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムを用い、該ゴム成分が動的架橋で上記アイオノマー中に分散されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プリンター等の紙送り機構に用いられる紙葉類重送防止部材に関し、特に、重送防止性能、鳴き防止性能、耐摩耗性が優れた紙葉類重送防止部材に関する。
インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、自動預金支払機(ATM)等における紙送り機構においては、例えば、図1に示されるように搬送される紙葉類11を挟んで紙送りローラ7と板状の紙葉類重送防止部材(所謂、分離パッド)1が対向配置されている。この紙葉類重送防止部材と紙葉類との間の摩擦抵抗によって紙葉類が二枚以上同時に送られる重送を防止している。より詳細には、紙と紙送りローラとの間の摩擦係数μ1、紙と紙葉類重送防止部材と間の摩擦係数μ2、重ねられた紙同士の間の摩擦係数μ3との間には、μ1>μ2>μ3なる関係が成立していることが要求される。
従来、紙葉類重送防止部材には耐磨耗性に優れたエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(以下、EPDMゴムと略称する。)を用いたゴム、あるいはEPDMに熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)を配合したゴム等が用いられている。しかし、かかる紙葉類重送防止部材は長期間使用されると表面が摩耗して摩擦係数が低下し、紙葉類の重送が発生する場合がある。また、摩耗量が大きいと給紙ローラが紙葉類重送防止部材の基板と接触し、給紙ローラの耐久性も低下する問題がある。
また、前記紙葉類重送防止部材の作製には表面研磨工程が必須であり、しかもこの表面研磨工程においては所定範囲の摩擦係数となるように微妙に表面粗度を調整しなければならなず、製造コストが上昇する問題もある。
そこで、これらの問題を解決すべく、ゴム粒子が熱可塑性ポリマー中に分散している組成物からなる紙葉類重送防止部材が提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
さらに、特開平11−59950号公報(特許文献4)にはEPDM系ゴムを硫黄加硫または樹脂加硫により動的加硫してアイオノマー樹脂中に分散させたゴム組成物をローラ状に成形したことを特徴とするゴムローラが提案されている。
紙葉類重送防止部材に対しては、上記のように耐摩耗性の向上による紙葉類の重送の防止という要求のほかに、搬送される紙葉類と重送防止部材とが擦れる際に摩擦音である「鳴き」と称される異音が発生することが問題となっており、この鳴きの防止という要求も強い。
特開2000−289876号公報 特開2001−163468号公報 特開2002−19986号公報 特開平11−59950号公報
本発明は、長期間にわたって紙葉類の重送を防止することができるとともに、搬送される紙葉類と紙葉類重送防止部材とが擦れる際に生じる「鳴き」と称される異音を実質的に防止することができ、しかも耐久性が優れた紙葉類重送防止部材を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中にゴム成分が分散されているポリマー組成物からなる紙葉類重送防止部材を提供している。
本発明者らは、前記特許文献1〜3に記載の発明にさらなる検討を加え、熱可塑性樹脂の代わりにエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを用いることにより、紙葉類の重送を防止することができる適度な摩擦係数を持たせることができ、かつ耐摩耗性に優れている結果、長期間にわたって精度よく紙葉類の重送を防止することができ、さらに鳴きの発生を実質的に防止することができるという知見を得た。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーにおいて、エチレンと共重合させる不飽和カルボン酸としては、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸または無水マレイン酸等の炭素原子数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの中ではアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、具体的にはエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸三元共重合体、エチレン−エタクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−フマル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーにおいて、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボン酸基に中和する金属イオンは、1〜3価の原子価を有する金属イオン、特に元素周期律表におけるI、II、III、IV AおよびVII族の1〜3価の原子価を有する金属イオンであり、具体的にはNa+、K+、Li+、Cs+、Ag+、Hg+、Cu+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Cu2+、Cd2+、Hg2+、Sn2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Al3+、Sc3+、Fe3+、Y3+などが挙げられる。これらの金属イオンは2種以上を組み合わせて用いても良いし、またアンモニウムイオンと組み合わせて用いても良い。これらの金属イオンの中ではZn2+、Na+が好ましく、特にZn2+がより好ましい。
本発明で用いるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは硬度が高すぎるとμが低くなり良くないためJIS K−7125で測定される硬度(ショア−D)の値が65以下であることが好ましい。前記アイオノマーの具体例としては、例えばハイミラン(三井・デュポンポリケミカル(株)社製)を挙げることができる。
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは組成物全体100質量部に対して20質量部以上80質量部以下、好ましくは30〜50質量部としている。
これはアイオノマーの配合量が20質量部未満の場合には、所要の硬度が得られにくいと共に反発弾性が低下するためであり、かつ、動的架橋されたゴム粒子をアイオノマー中に均一に分散できず、成形性が悪くなるからである。一方、アイオノマーの配合量が80質量部を越える場合には紙葉類重送防止部材の硬度が高くなり過ぎて摩擦係数が低下し、特に繰り返し使用により摩擦係数の低下が著しくなるためである。
上記ゴム成分としては、EPDMその他のジエン系ゴムを用い、上記アイオノマーを海部分とし、上記ゴム成分を島部分とした構成としている。より詳しくは、上記アイオノマーとオレフィン系ゴムあるいはジエン系ゴムとが動的架橋され、オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムの粒子がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中に分散しているポリマー組成物から紙葉類重送防止部材を形成していることが好ましい。
本発明で用いるオレフィン系ゴムとしては、EPDMゴム、エチレンプロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレンオクテン共重合体(EOR)、エチレンヘキセン共重合体(EHR)、ブチルゴム(IIR)、1,2−ポリブタジエン、エチレンプロピレンゴム 、アクリルゴム(ACM)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリトランスペンテナマー(PTPR)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、塩素化ポリエチレン(CPE)等が挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてよい。
なかでも、本発明においてはオレフィン系ゴムとしてEPDMゴムまたはEPDMゴムと他のゴムとの混合物を用いることが好ましく、EPDMゴムのみを用いることがより好ましい。EPDMゴムと他のゴムとをブレンドする場合、全ゴム成分に占めるEPDMゴムの比率は約50質量部以上、さらに約80質量部以上が好ましい。EPDMゴムと組み合わせる他のゴムとしてはブタジエンゴムが好ましい。EPDMゴムは主鎖が飽和炭化水素からなり主鎖に二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気または光線照射等の環境下に長時間曝されても分子主鎖切断が起こりにくく、従って紙葉類重送防止部材の耐候性を高めることができる。
本発明で用いるジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。なかでも、ジエン系ゴムとしてはスチレン系エラストマーを用いることが好ましい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン系モノマーを主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物を主体とするブロック(B)のブロック共重合体および該ブロック共重合体の共役ジエン重合単位を水素添加したものを例示することができる。前記スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンまたはt−ブチルスチレンなどを例示することができる。これらモノマーは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。スチレン系モノマーとしては、なかでもスチレンが好ましい。また前記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジメチルブタジエンなどを例示することができる。これらは1種類のみを使用しても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。共役ジエン化合物としては、とくにブタジエンまたはイソプレンが好ましい。スチレン系モノマーを主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)のブロック共重合体としては、例えば、(A−B)nまたは(A−B)n−A(式中、nは1以上の整数)で表される直鎖状、分岐状、放射状のブロック共重合体を挙げることができる。
上記オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムは動的架橋されてアイオノマー中に分散されている。動的架橋することにより、硫黄と加硫促進剤とを用いた動的加硫の場合にありがちなブルーミングが抑制され、ひいてはブルーミングによる紙葉類重送防止部材の摩擦係数低下が防止される。動的架橋の方法としては特に限定されず公知の方法を用いて良いが、樹脂架橋剤や過酸化物架橋剤が用いられ、特に、樹脂架橋剤を用いることが好ましい。
上記樹脂架橋剤としては、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールとホルムアルデヒドとの反応によって得られる、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が好適な例として挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。これらの樹脂架橋剤はゴムとの相溶性に優れており、また反応性に富んでいて架橋反応開始時間が早くなるからである。
樹脂架橋剤の配合量は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーおよびゴム成分の合計量100質量部に対して1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましく、3質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。配合量が1質量部未満であると架橋不足が起こり紙葉類重送防止部材の耐久性が低下してしまうことがある。逆に、配合量が20質量部を越えると過剰架橋となって動的架橋時の異常発熱によるポリマー組成物の熱劣化が生じてしまうことがある。
過酸化物架橋剤としては、例えば有機ペルオキシドまたは無機ペルオキシド(例えばKMnO4)が挙げられる。中でも有機ペルオキシドが好ましく用いられる。有機ペルオキシドとしては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、臭気性およびスコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートなどが好ましく、なかでも2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
本発明において、過酸化物架橋剤はエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーおよびゴム成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜4.0質量部、さらに好ましくは0.01〜3.5質量部、特に好ましくは0.02〜2.5質量部の量で用いられる。過酸化物架橋剤を上記範囲内の量で用いると流動性に優れたポリマー組成物が得られるため、成形性の観点から好ましい。
本発明においては、過酸化物架橋剤とともに架橋助剤を使用することもできる。架橋助剤としては、具体的にはp−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンオキシム等のキノンオキシム類;ラウリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールアクリレート等の(メタ)アクリレート類;ジアリールフマレート、トリアリールシアヌレート等のアリール類;マレイミド、フェニールマレイミド等のマレイミド類;その他、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、1,2−ポリブタジエンなどを挙げることができる。前記架橋助剤は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーおよびゴム成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜4質量部の量で用いられる。
本発明の紙葉類重送防止部材を構成するポリマー組成物にはオイルまたは可塑剤等の軟化剤が配合されてもよい。これにより紙葉類重送防止部材が低硬度となって、その摩擦係数が向上する。配合されるオイルとしては、例えばパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油または炭化水素系オリゴマー等が挙げられる。また、配合される可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケートまたはジオクチルアジペート等が挙げられる。さらに、前記ポリマー組成物には必要に応じて充填剤、老化防止剤、ワックス、着色剤、架橋助剤または補強繊維等が適量添加されてもよい。
本発明の紙葉類重送防止部材を用いた場合、紙と紙送りローラとの間の摩擦係数μ1、紙と紙葉類重送防止部材と間の摩擦係数μ2、重ねられた紙同士の間の摩擦係数μ3とするとμ1>μ2>μ3なる関係が成立し、これにより紙葉類の重送および紙残りが防止される。上記関係を満たすため、本発明の紙葉類重送防止部材の初期摩擦係数は0.8以上1.2未満であることが好ましい。なお、初期摩擦係数は実施例に記載方法で測定する。
また、本発明の紙葉類重送防止部材は耐摩耗性に優れたものとしている。具体的には、本発明の紙葉類重送防止部材において3000枚通紙後の摩耗量が約10mg/103mm3以下、好ましく、約8mg/103mm3以下としている。なお、3000枚通紙後の摩耗量は実施例に記載方法で測定する。
本発明の紙葉類重送防止部材は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを含むポリマー組成物を溶融混練し、該混練物を所望の形状に成形することにより製造される。より具体的には、まずエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー、オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴム、ならびに所望により架橋剤およびその他の成分の溶融混練する。溶融混練の過程で溶融したゴム成分が動的架橋して、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中に微細に分散される。溶融混練は公知の方法で行うことができ、例えばオープンロール、バンバリーミキサーまたは二軸押出機等の公知のゴム混練装置を用いて混練する。得られた混練物を成形する方法としては、例えば混練装置の先に所望の形状の口金を取り付けて混練物を押し出した後、研磨およびカットする方法、または混練物をペレット化し、射出成形により所望の形状に成形した後、研磨およびカットする方法等の種々の方法を用いることができる。特に本発明の紙葉類重送防止部材の製造工程においては表面を研磨するのが好ましい。研磨を行うと、アイオノマーは研磨されやすくゴム成分は研磨されにくいので、紙葉類重送防止部材の表面にはこれら両者の研磨の程度差による凹凸が有効に形成される。よって、紙葉類重送防止部材の表面は紙に対して大きなグリップ力が得られるようになり、摩擦係数を大きく高めることができる。
本発明の紙葉類重送防止部材を用いれば、紙と紙送りローラとの間の摩擦係数μ1、紙と紙葉類重送防止部材と間の摩擦係数μ2、重ねられた紙同士の間の摩擦係数μ3とするとμ1>μ2>μ3なる関係が成立し、これにより紙葉類の重送および紙残りを防止することができる。
本発明の紙葉類重送防止部材はエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを含み、このアイオノマーが優れた反発弾性を有することから、紙葉類重送防止部材のスティックスリップを防ぎ、その結果紙葉類重送防止部材の振動を抑え、鳴きと称する異音の発生を実質的に防止することができる。さらに、前記アイオノマーは充填剤を配合せずとも高硬度なため、紙葉類重送防止部材の耐摩耗性も向上する。
本発明の紙葉類重送防止部材の好ましい態様によれば、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中に動的架橋されたオレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムの粒子が分散している状態が表面から内部にまで渡っている。このため表面の摩耗等による摩擦係数の経時変化が抑えられる。またこの態様では表面研磨工程が省略されたり表面研磨工程における研磨時間が短縮されたりしても、容易に所望の初期摩擦係数が得られる。したがって、従来の紙葉類重送防止部材よりも製造工程が簡略化される。さらに、オレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムを動的架橋することにより、硫黄と加硫促進剤とを用いた動的加硫の場合にありがちなブルーミングが抑制され、ひいてはブルーミングによる紙葉類重送防止部材の摩擦係数低下が防止される。
図1は、本発明の一実施形態にかかる紙葉類重送防止部材としての分離パッド1を用いた給紙機構3を示した模式的断面図である。この給紙機構3ではトレイ5と給紙ローラ7とが離間している。分離パッド1は基板9に固定されており、給紙ローラ7と対向している。給紙ローラ7が図中の矢印Rで示される方向に回転することにより、トレイ5の上の紙葉類11が1枚ずつ画像形成機構(図示されず)に向けて送り出される。
図2は、本発明の他の実施形態にかかる紙葉類重送防止部材としての分離シート13を用いた給紙機構15を示した模式的断面図である。この給紙機構15は、給紙ローラ17とトレイ19とを備えている。分離シート13は、トレイ19の上面の給紙ローラ17寄りに設けられている。トレイ19の上面には、多数枚の紙葉類11が重ねられて蓄えられている。トレイ19の給紙ローラ17寄りは、その下面に当接するバネ(図示されず)によって上方に押し上げられ、給紙ローラ17に向かって押しつけられている。分離シート13と給紙ローラ17との間には紙葉類11の先端部分が挟まれている。給紙ローラ17が図中の矢印Rで示される方向に回転することにより、紙葉類11が1枚ずつ画像形成機構(図示されず)に向けて送り出される。
分離パッド1と分離シート13との両方を備えた給紙機構も存在する。本発明では、これら分離パッドおよび分離シート等を紙葉類重送防止部材と総称する。
上記分離パッド1、分離シート13からなる紙葉類重送防止部材は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中に、EPDMあるいはEPDMとプタジエンゴムのゴム粒子が分散されているポリマー組成物からなる。アイオノマーは組成物全体100質量部に対して30以上50質量部以下であり、該ゴム成分が動的架橋でアイオノマー中に分散され、アイオノマーが海部分を構成し、ゴム成分が島部分を構成している。
以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
EPDM(住友化学(株)製、商品名「E514F」)40質量部と、ブタジエンゴム(JSR(株)製、商品名「BR01」)30質量部と、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーとしてエチレン−アクリル酸−メタクリル酸三元共重合体のZnイオン中和物(三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名「ハイミラン1855」)30質量部と、カーボン(東海カーボン(株)製、商品名「シーストSO」)1質量部とをタンブラーにて混合し、二軸押出機(アイベック社の「HTM38」)に投入した。
別の投入口より樹脂架橋剤としての臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(田岡化学(株)製、商品名「タッキロール 250−III」)5.6質量部を投入し、160〜200℃で1〜10時間混練して動的架橋を行わせた。得られたポリマー組成物をリボン状(幅30mm、厚み3mm)に押し出して冷却後に厚みが半分となるようにスライスし、さらに幅が10mmで長さが60mmの長方形に裁断して、本発明にかかる紙葉類重送防止部材を得た。
(実施例2)
ブタジエンゴムを配合せず、EPDMの配合量を70質量部にした以外は、実施例1と同一の方法で本発明にかかる紙葉類重送防止部材を得た。
(実施例3)
ブタジエンゴムを配合せず、紙葉類重送防止部材を構成するポリマー組成物の各成分の配合量を表1に記載の値にした以外は、実施例1と同一の方法で本発明にかかる紙葉類重送防止部材を得た。
(実施例4)
スチレン系エラストマー((株)クラレ製、商品名「セプトン2063」)40質量部と、同じくスチレン系エラストマー((株)クラレ製、商品名「セプトンHG252」)10質量部と、実施例1で用いたアイオノマー50質量部と、実施例1で用いたカーボン1質量部とをタンブラーにて混合し、二軸押出機(アイベック社の「HTM38」)に投入し、160〜200℃で1〜10時間混練して動的架橋を行わせた。得られたポリマー組成物をリボン状(幅30mm、厚み3mm)に押し出して冷却後に厚みが半分となるようにスライスし、さらに幅が10mmで長さが60mmの長方形に裁断して、本発明にかかる紙葉類重送防止部材を得た。
(比較例1)
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーの代わりにポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名「ノバテック BC6」)を用いた以外は、実施例2と同一の方法で紙葉類重送防止部材を得た。
上記実施例1〜4、比較例1について、加工性、硬度、初期摩擦係数、実機装着後の摩耗量、通紙時の重送性、鳴きについて下記のように測定、評価した。
(加工性)
二軸押出機による押出成形において加工性の良いものを「○」、加工性の極めて良いものを「◎」とした。
(硬度)
JIS K 6253「スプリング式測定法」に従ってヂュロメータを用いてJIS A硬度を測定した。
(初期摩擦係数の測定)
ヘイドン14型の摩擦係数測定機(新東科学(株)製、商品名「トライボギア TYPE:HEIDON−14DR」)を用いて、未使用状態の実施例1〜3および比較例1で得られた紙葉類重送防止部材の摩擦係数を測定した。測定条件としては、荷重を200gf、速度を600mm/minとした。また、測定紙としてはキャノン社のプロパーボンド紙を用いた。
(摩擦量の測定)
実施例1〜4および比較例1で作製した紙葉類重送防止部材の未使用時の質量を測定した。各紙葉類重送防止部材をプリンター(キャノン社、商品名「LBP750」)に装着し、該プリンターにPPC用紙を30,000枚の通紙した。通紙後、紙葉類重送防止部材を取り外し、その質量を測定した。未使用時の質量と通紙後の質量の差を算出し、103mm3辺りの質量(mg)を摩耗量とした。
(重送防止性能の評価)
上記摩耗量の測定においてプリンターにPPC用紙を30,000枚通紙した際に、重送が全く発生しなかったものを「○」、重送が発生したものを「△」、重送が多発したものを「×」とした。
(鳴き防止性能の評価)
上記摩耗量の測定においてプリンターにPPC用紙を30,000枚通紙した際に、鳴きが全く発生しなかったものを「◎」、ごくわずかであるがかすかに鳴きが発生するものを「○」、鳴きが発生したものを「×」とした。
試験結果を下記表に示す。
Figure 2005206303
表1から本発明の紙葉類重送防止部材は、重送防止性能、耐摩耗性および鳴き防止性能の全てを兼ね備えていることが確認できた。
本発明の一実施形態にかかる紙葉類重送防止部材としての分離パッドを用いた給紙機構を示した模式的断面図である。 本発明の他の実施形態にかかる紙葉類重送防止部材としての分離シートを用いた給紙機構を示した模式的断面図である。
符号の説明
1・・・分離パッド
3、15・・・給紙機構
5、19・・・トレイ
7、17・・・給紙ローラ
9・・・基板
11・・・紙葉類
13・・・分離シート

Claims (6)

  1. エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー中にゴム成分が分散されているポリマー組成物からなる紙葉類重送防止部材。
  2. 上記アイオノマーは組成物全体100質量部に対して20質量部以上80質量部以下であり、上記ゴム成分が動的架橋で上記アイオノマー中に分散されている請求項1に記載の紙葉類重送防止部材。
  3. 上記ゴム成分がオレフィン系ゴムまたはジエン系ゴムである請求項1または請求項2に記載の紙葉類重送防止部材。
  4. 上記オレフィン系ゴムがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体であり、上記ジエン系ゴムがスチレン系エラストマーである請求項3に記載の紙葉類重送防止部材。
  5. 上記動的架橋が樹脂架橋剤でなされている請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の紙葉類重送防止部材。
  6. 初期摩擦係数が0.8以上1.2未満である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の紙葉類重送防止部材。
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