JP2008008935A - 配向膜、配向膜の形成方法、電子デバイス用基板、液晶パネルおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶分子の配向を制御する配向膜である。少なくとも有機ケイ素材料で形成され、この有機ケイ素材料は、籠形構造または部分開裂籠形構造を有するポリシルセスキオキサンからなる。このポリシルセスキオキサンは、その分子内に液晶分子との親和性を向上させる親和性付与基と、液晶分子の配向を制御する配向性付与基とを有し、かつ、シラノール基中の水素が置換基により置換されて不活性化されている。
【選択図】図2
Description
このような液晶パネルは、通常、液晶分子を一定方向に配向させるため、所定のプレチルト角が発現するように設定された配向膜を有している。これらの配向膜を製造するには、基材上に成膜されたポリイミド等の高分子化合物からなる薄膜を、レーヨン等の布で一方向に擦るラビング処理する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような問題を解決する目的で、SiO2に代表される無機材料で形成された配向膜(無機配向膜)を採用したものが知られており(例えば、特許文献2参照)、このような無機配向膜は、一般に斜方蒸着法によって形成される。
また、この無機配向膜は、膜表面に存在するシラノール基によって配向時に吸湿が起こり易く、吸湿した水分によって液晶の配向不良が生じ、液晶パネルの表示特性が劣化するため、長期信頼性が十分に確保されないという問題もある。
このようにすれば、シラノール基中の水素に代わってSiを含むトリメチルシリル基が導入されるため、ポリシルセスキオキサンからなる配向膜の性状を大きく変化させることなく、OH基に起因する液晶パネルの表示特性の劣化を確実に防止することができる。
このようにすれば、液晶分子との親和性をより効果的に向上させることができるため、液晶分子をより安定した状態で配置することができ、配向特性が向上する。
このようにすれば、液晶分子のプレチルト角をより効果的に所望のものとすることができ、より優れた配向特性を示すようになる。
このようにすれば、光学的にも物理的にも安定な配向膜となる。
このようにすれば、液晶分子の配向性をより効果的に規制することができる。
さらに、得られる配向膜が、籠形構造または部分開裂籠形構造を有するとともにそのシラノール基中の水素が置換基により置換されて不活性化されているので、膜中にシラノール基となるOH基がなくなることでこのシラノール基による吸湿が起こらなくなる。よって、この吸湿による水分に起因する液晶パネルの表示特性の劣化をなくし、この配向膜を用いた液晶パネルの長期信頼性を十分に確保することが可能になる。
このようにすれば、シラノール基中の水素に代わってSiを含むトリメチルシリル基が導入されるため、ポリシルセスキオキサンからなる配向膜の性状を大きく変化させることなく、OH基に起因する液晶パネルの表示特性の劣化を確実に防止することができる。
このようにすれば、配向膜を形成する有機ケイ素材料中における親和性付与基および配向性付与基の存在比率を容易に調整することができる。
このようにすれば、配向膜形成用液体の成膜性(成型性)を向上させることができ、したがって、物理的に安定な配向膜を効果的に形成することができる。
このようにすれば、安定な配向膜をより容易に形成することができる。
このようにすれば、安定した配向膜をより効率良く形成することができる。
この電子デバイス用基板によれば、配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)に優れ、かつ、耐光性に優れたものとなる。さらに、配向膜の吸湿による水分に起因する液晶パネルの表示特性の劣化を防止し、この電子デバイス用基板を用いた液晶パネルの長期信頼性を十分に確保することができ。
このようにすれば、配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)に優れ、かつ、耐光性に優れたものとなる。さらに、配向膜の吸湿による水分に起因する液晶パネルの表示特性の劣化を防止し、この液晶パネルの長期信頼性を十分に確保することができ。
このようにすれば、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
まず、本発明の配向膜、及びその形成方法の説明に先立ち、本発明に係る液晶パネルについて説明する。
図1は、本発明の液晶パネルの第1実施形態を示す模式的な縦断面図である。図1において符号1Aは液晶パネルであり、この液晶パネル1Aは、液晶層2と、配向膜3A、4Aと、透明導電膜5、6と、偏光膜7A、8Aと、基板9、10とを有している。
また、配向膜3Aは、後述するような透明導電膜5と基板9とからなる基材100上に形成されており、配向膜4Aは、後述するような透明導電膜6と基板10とからなる基材101上に形成されている。
配向膜3A、4Aは、液晶層2を形成する液晶材料(液晶分子)の(電圧無印加時における)配向状態を規制する機能を有している。
有機ケイ素材料は、籠形構造または部分開裂籠形構造を有するポリシルセスキオキサンからなるもので、ポリシロキサンからなる骨格に有機官能基が付加されてなるものである。このような構成によってこの有機ケイ素材料からなる配向膜3A、4Aは、従来のポリイミド等の有機材料に比べ、優れた化学的安定性を有したものとなり、したがって従来の有機材料による配向膜に比べ、特に優れた耐光性を有するものとなる。
ここで、無機材料で形成された配向膜は、従来の有機材料で形成された配向膜に比べ、優れた耐光性を有しているものの、液晶分子との親和性が低く、液晶分子の配向状態を規制するのが困難であり、液晶分子を配向させる能力が低いという問題がある。
すなわち、親和性付与基のみを有する場合、液晶分子を配向膜3A、4Aの表面に十分引きつけることはできるものの、液晶分子を所定の方向に配向させるのが困難であるからである。また、配向性付与基のみを有する場合、液晶分子との親和性が低いため、液晶分子を配向膜3A、4Aの表面に十分に引きつけることが困難となり、液晶分子の配向状態を規制するのが困難になるからである。
そして、配向膜3A、4Aは、前述した親和性付与基の中でも、特にビニル基、アルキレン基、アルキリデン基、シアノアルキル基のうちの、少なくとも1種または2種以上を有している有機ケイ素材料で形成されているのが好ましい。これにより、液晶分子との親和性をより効果的に向上させることができるため、液晶分子をより安定した状態で配置することができ、配向特性が向上する。
そして、配向膜3A、4Aは、前述した配向性付与基の中でも、特にフェニル基、置換フェニル基、フェニルアルキル基、置換フェニルアルキル基、炭素数が3〜12の分岐アルキル基のうちの、少なくとも1種または2種以上を有している有機ケイ素材料で形成されているのが好ましい。これにより、液晶分子の配向方向がより揃ったものとなり、より優れた配向特性を示す。
図2(a)は、籠形構造のポリシルセスキオキサンの一例を示す図であり、図2(a)中のSiはケイ素、Oは酸素、Rは有機官能基である。このポリシルセスキオキサンは、有機官能基(R)として、前記した親和性付与基、配向性付与基、さらには後述する硬化反応基を有している。また、これを合成するうえで、必然的に形成されるシラノール基(Si−OH)を有しており、このシラノール基は、エンドキャッピング(不活性化)がなされていない状態となっている。このシラノール基中の水酸基(OH基)は、前述したように吸湿性が高く、したがって吸湿した水分によって液晶の配向不良を引き起こし、結果として液晶パネルの表示特性を劣化させ、長期の信頼性を損なってしまう。
このように、シラノール基中の水素がトリメチルシリル基に置換されたことで配向膜3A、4Aは、シラノール基中の水酸基による吸湿性がなくなることにより、吸湿した水分によって液晶の配向不良を引き起こすといった問題がなくなる。
また、このような配向膜3A、4Aとしては、その平均厚さが、0.01〜10μmであるのが好ましく、0.01〜0.1μmであるのがより好ましく、0.02〜0.05μmであるのがさらに好ましい。平均厚さが0.01μm未満であると、有機ケイ素材料の組成等によっては、配向膜としての機能が十分に発揮されないおそれがある。一方、平均厚さが10μmを超えると、駆動電圧が高くなり、TFTによる駆動が困難になるおそれがある。なお、平均厚さが0.01〜0.1μmの範囲、さらには0.02〜0.05μmになると、前記したおそれが確実に回避されるようになり、好ましい。
透明導電膜5、6は、これらの間で通電を行うことにより、液晶層2の液晶分子を駆動する(配向を変化させる)機能を有する。
透明導電膜5、6は、導電性を有しており、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、酸化スズ(SnO2)等で形成されている。
透明導電膜5の外表面側(配向膜3Aと対向する面とは反対の面側)には、基板9が配置されている。同様に、透明導電膜6の外表面側(無機配向膜4Aと対向する面とは反対側の面側)には、基板10が配置されている。
偏光膜7A、8Aの形成材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。また、これら偏光膜7A、8Aとしては、前記材料にヨウ素をドープしたもの等を用いることもでき、さらに、前記材料で形成された膜を一軸方向に延伸したものを用いることができる。
このような偏光膜7A、8Aに配設することにより、通電量の調節による光の透過率の制御をより確実に行うことができる。
なお、これら偏光膜7A、8Aの偏光軸の方向は、通常、配向膜3A、4Aの配向方向に応じて適宜に決定される。
本実施形態の配向膜の形成方法は、組成の異なる複数種のアルコキシシランを縮重合させて、籠形構造または部分開裂籠形構造を有し、かつ、その分子内に前記液晶分子との親和性を向上させる親和性付与基と、前記液晶分子の配向を制御する配向性付与基とを有するポリシルセスキオキサンを合成する工程[ポリシルセスキオキサン合成工程]と、得られたポリシルセスキオキサンと置換基を有する化合物とを反応させ、該ポリシルセスキオキサン中のシラノール基中の水素を前記置換基に置換してエンドキャッピング(不活性化)する工程[エンドキャッピング工程]と、前記のエンドキャッピング処理したポリシルセスキオキサンを含む配向膜形成用液体を調製する工程[配向膜形成用液体調製工程]と、基材上に得られた配向膜形成用液体を塗布し、塗膜を形成する工程[塗膜形成工程]と、形成された塗膜を硬化させる工程[硬化工程]とを有している。
<1>
まず、最終的に得られる配向膜内の親和性付与基、配向性付与基等の官能基の存在比率が所望のものとなるように、それに対応する比率で、親和性付与基を有するアルコキシシラン、配向性付与基を有するアルコキシシラン、後述する成膜する際の硬化反応に寄与する硬化反応基を有するアルコキシシランの複数種のアルコキシシランを用意する。
このように複数種のアルコキシシランを用いることにより、配向膜を形成する有機ケイ素材料中における親和性付与基および配向性付与基の存在比率を容易に調整することができる。
このような硬化反応基としては、例えば、グリシドキシアルキル基、脂環式エポキシアルキル基、アクリロイルアルキル基、メタクリロイルアルキル基、ビニル基、アルキレン基、アルキリデン基、スチリル基、スチリルアルキル基等が挙げられる。
このような硬化反応基を有するアルコキシシランとしては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシルロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
次に、前述したような複数種のアルコキシシランと、水と、必要に応じて用いられる希釈溶剤とを所定の割合で混合し、混合液を得る。ここで、希釈溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエンなどの炭化水素類等が適宜に使用される。
次に、得られた混合液を撹拌しつつ、これに、酸触媒、塩基触媒等の加水分解および重縮合触媒を添加する。なお、これらの触媒は、予め反応に用いる溶剤もしくは水に加えておいてもよい。
酸触媒(固体酸触媒を含む)としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、有機スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)等の有機酸等が挙げられる。また、塩基触媒としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、第三アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン等)、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等の有機塩基等が挙げられる。このような塩基触媒のうち、特に塩基としての活性が高くかつ後処理の際に除去しやすい水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウムが、より好ましい。
加水分解触媒を添加した後、撹拌しつつ、所定の温度で加温し、アルコキシシランを縮重合させる。
上記所定の温度(反応温度)は、5〜140℃であるのが好ましく、特に30〜60℃であるのがより好ましい。反応温度が高すぎると、硬化反応基の反応が起こる恐れがあり、逆に低すぎると反応の進行が著しく遅くなる。
また、反応時間は、1〜48時間であるのが好ましく、特に3〜18時間であるのがより好ましい。反応時間が長すぎると、硬化反応基の反応が起こる恐れがあり、逆に短すぎると反応が完結しない。
次に、中和、希釈溶剤の除去、乾燥等の処理を施す。このような処理を施すことにより、図2(a)に示したような籠形構造(もしくは部分開裂籠形構造)を有するポリシルセスキオキサンを得る(合成する)ことができる。
次に、前記工程で得られたポリシルセスキオキサンと置換基を有する化合物とを反応させ、該ポリシルセスキオキサン中のシラノール基中の水素を前記置換基に置換してエンドキャッピング(不活性化)を行う。
この工程では、まず、前記工程で得られたポリシルセスキオキサンを例えば乾燥ジエチルエーテルを用いて乾燥する。そして、乾燥後のポリシルセスキオキサンに対し、エンドキャッピング材として例えばトリメチルクロロシランを添加し、さらにこれと同時にトリエチルアミンも添加する。
次いで、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、さらにエーテルによる抽出処理、飽和食塩水での洗浄処理、無水硫酸マグネシウムによる乾燥処理を順次行う。
その後、低沸点部を留去し、図2(b)に示したようにシラノール基中の水素がトリメチルシリル基(Me3Si−)に置換され、エンドキャッピングされた籠形構造のポリシルセスキオキサンを得る。
次いで、前記のエンドキャッピング処理したポリシルセスキオキサンを含む、配向膜形成用液体を調製する。
なお、この調製工程では、前記工程で得られたエンドキャッピング処理後のポリシルセスキオキサンを、そのまま配向膜形成用液体として用いてもよく、また、必要に応じて溶剤等添加してもよい。
また、調製する配向膜形成用液体については、必要に応じて硬化剤(重合開始剤)を添加してもよい。これにより、後述するような塗膜の硬化を容易に行うことができる。
また、配向膜形成用液体に対して、必要に応じてろ過処理を施してもよい。これにより、配向膜形成用液体中に含まれる不純物を取り除くことができ、均一な膜厚の配向膜を効率良く形成することができる。
次いで、前記工程で得られた配向膜形成用液体を、基材(基材100、基材101)上に塗布し、配向膜形成用液体で形成された塗膜を形成する。
配向膜形成用液体を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等が挙げられる。
次いで、形成された塗膜を硬化させ、配向膜(配向膜3A、配向膜4A)を形成する。
塗膜の硬化は、例えば、加熱処理、エネルギー線照射処理等を施すことにより行うことができる。
エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、放射線、赤外線等が挙げられる。
塗膜の硬化は、特に、塗膜を形成する配向膜形成用液体中に含まれる水分や溶媒等を除去した後(塗膜に対して乾燥処理を施した後)に行うのが好ましい。これにより、膜厚の安定した配向膜を効率良く形成することができる。
上記硬化後、通常のポリイミド配向膜と同様にラビング処理をを行う。これにより、得られる配向膜の配向特性をより優れたものとすることができる。
図3は、本発明の液晶パネルの第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。以下、図3に示す液晶パネル1Bについて、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成については、その説明を省略する。
図3に示すように、液晶パネル(TFT液晶パネル)1Bは、TFT基板(液晶駆動基板)17と、TFT基板17に接合された配向膜3Bと、液晶パネル用対向基板12と、液晶パネル用対向基板12に接合された配向膜4Bと、配向膜3Bと配向膜4Bとの空隙に封入された液晶よりなる液晶層2と、TFT基板(液晶駆動基板)17の外表面側(配向膜4Bと対向する面とは反対の面側)に接合された偏光膜7Bと、液晶パネル用対向基板12の外表面側(配向膜4Bと対向する面とは反対の面側)に接合された偏光膜8Bとを有している。配向膜3B、4Bは、前記第1実施形態で説明した配向膜3A、4Aと同様の方法(本発明の配向膜の形成方法)で形成されたものであり、偏光膜7B、8Bは、前記第1実施形態で説明した偏光膜7A、8Aと同様のものである。
マイクロレンズ基板11は、凹曲面を有する複数(多数)の凹部(マイクロレンズ用凹部)112が設けられたマイクロレンズ用凹部付き基板(第1の基板)111と、かかるマイクロレンズ用凹部付き基板111の凹部112が設けられた面に樹脂層(接着剤層)115を介して接合された表層(第2の基板)114とを有しており、また、樹脂層115では、凹部112内に充填された樹脂によりマイクロレンズ113が形成されている。
このマイクロレンズ用凹部付き基板111は、例えば、ガラス等で形成されている。
かかる観点からは、マイクロレンズ用凹部付き基板111と、ガラス基板171とは、同種類の材質で形成されていることが好ましい。これにより、温度変化時の熱膨張係数の相違によるそり、たわみ、剥離等が効果的に防止される。
凹部112内には、樹脂層115の形成材料が充填されることにより、マイクロレンズ113が形成されている。
樹脂層115は、例えば、マイクロレンズ用凹部付き基板111の形成材料の屈折率よりも高い屈折率の樹脂(接着剤)で形成することができ、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系のような紫外線硬化樹脂等で好適に形成することができる。
表層(ガラス層)114は、例えばガラスで形成することができる。この場合、表層114の熱膨張係数は、マイクロレンズ用凹部付き基板111の熱膨張係数とほぼ等しいもの(例えば両者の熱膨張係数の比が1/10〜10程度)とすることが好ましい。これにより、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114の熱膨張係数の相違により生じるそり、たわみ、剥離等が防止される。このような効果は、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114とを同種類の材料で形成すると、より効果的に得られる。
なお、表層(バリア層)114は、例えばセラミックスで形成することもできる。なお、セラミックスとしては、例えば、AlN、SiN、TiN、BN等の窒化物系セラミックス、Al2O3、TiO2等の酸化物系セラミックス、WC、TiC、ZrC、TaC等の炭化物系セラミックスなどが挙げられる。表層114をセラミックスで形成する場合、表層114の厚さは、特に限定されないが、20nm〜20μm程度とすることが好ましく、40nm〜1μm程度とすることがより好ましい。
なお、このような表層114は、必要に応じて省略することができる。
透明導電膜14は、導電性を有し、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等で形成されている。
TFT基板17は、液晶層2の液晶を駆動する基板であり、ガラス基板171と、かかるガラス基板171上に設けられ、マトリックス状(行列状)に配設された複数(多数)の画素電極172と、各画素電極172に対応する複数(多数)の薄膜トランジスタ(TFT)173とを有している。なお、図3では、シール材、配線等の記載は省略した。
画素電極172は、透明導電膜(共通電極)14との間で充放電を行うことにより、液晶層2の液晶を駆動する。この画素電極172は、例えば、前述した透明導電膜14と同様の材料で形成されている。
配向膜3Bは、TFT基板17の画素電極172と接合しており、配向膜4Bは、液晶パネル用対向基板12の透明導電膜14と接合している。
このような液晶パネル1Bでは、通常、1個のマイクロレンズ113と、かかるマイクロレンズ113の光軸Qに対応したブラックマトリックス13の1個の開口131と、1個の画素電極172と、かかる画素電極172に接続された1個の薄膜トランジスタ173とが、1画素に対応している。
また、前述したような配向膜を備える液晶パネルは、光源の強いものや、屋外で用いられるものに好適に用いることができる。
図4は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。バックライトからの光を液晶パネル1Aに透過させることにより画像(情報)を表示し得るものである。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとが設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、液晶パネル1Aは、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が液晶パネル1Aに表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
図7は、本発明の電子機器(投射型表示装置)の光学系を模式的に示す図である。
図7に示すように、投射型表示装置300は、光源301と、複数のインテグレータレンズを備えた照明光学系と、複数のダイクロイックミラー等を備えた色分離光学系(導光光学系)と、赤色に対応した(赤色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)24と、緑色に対応した(緑色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)25と、青色に対応した(青色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)26と、赤色光のみを反射するダイクロイックミラー面211および青色光のみを反射するダイクロイックミラー面212が形成されたダイクロイックプリズム(色合成光学系)21と、投射レンズ(投射光学系)22とを有している。
光学系は、ミラー304、306、309、青色光および緑色光を反射する(赤色光のみを透過する)ダイクロイックミラー305、緑色光のみを反射するダイクロイックミラー307、青色光のみを反射するダイクロイックミラー(または青色光を反射するミラー)308、集光レンズ310、311、312、313および314とを有している。
なお、投射型表示装置300では、ダイクロイックプリズム21と投射レンズ22とで、光学ブロック20が構成されている。また、この光学ブロック20と、ダイクロイックプリズム21に対して固定的に設置された液晶ライトバルブ24、25および26とで、表示ユニット23が構成されている。
光源301から出射された白色光(白色光束)は、インテグレータレンズ302および303を透過する。この白色光の光強度(輝度分布)は、インテグレータレンズ302および303により均一にされる。光源301から出射される白色光は、その光強度が比較的大きいものであるのが好ましい。これにより、スクリーン320上に形成される画像をより鮮明なものとすることができる。また、投射型表示装置300では、耐光性に優れた液晶パネル1Bを用いているため、光源301から出射される光の強度が大きい場合であっても、優れた長期安定性が得られる。
ダイクロイックミラー305を透過した赤色光は、ミラー306で図7中下側に反射し、その反射光は、集光レンズ310により整形され、赤色用の液晶ライトバルブ24に入射する。
ダイクロイックミラー307で反射した緑色光は、集光レンズ311により整形され、緑色用の液晶ライトバルブ25に入射する。
このように、光源301から出射された白色光は、色分離光学系により、赤色、緑色および青色の三原色に色分離され、それぞれ、対応する液晶ライトバルブに導かれ、入射する。
同様に、緑色光および青色光は、それぞれ、液晶ライトバルブ25および26に入射し、それぞれの液晶パネル1Bで変調され、これにより緑色用の画像および青色用の画像が
形成される。この際、液晶ライトバルブ25が有する液晶パネル1Bの各画素は、緑色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御され、液晶ライトバルブ26が有する液晶パネル1Bの各画素は、青色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御される。
前記液晶ライトバルブ24により形成された赤色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ24からの赤色光は、面213からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211で図7中左側に反射し、ダイクロイックミラー面212を透過して、出射面216から出射する。
また、前記液晶ライトバルブ26により形成された青色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ26からの青色光は、面215からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面212で図7中左側に反射し、ダイクロイックミラー面211を透過して、出射面216から出射する。
例えば、本発明の配向膜の形成方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。また、例えば、本発明の電子デバイス用基板、液晶パネルおよび電子機器では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、複数種のアルコキシシランを用いるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、同じ分子内に、親和性付与基と配向性付与基と硬化反応基とを有するアルコキシシランを用いてもよい。
以下のようにして、図3に示すような液晶パネルを製造した。
(実施例1)
まず、以下のようにして、マイクロレンズ基板を製造した。
厚さ約1.2mmの未加工の石英ガラス基板(透明基板)を母材として用意し、これを85℃の洗浄液(硫酸と過酸化水素水との混合液)に浸漬して洗浄を行い、その表面を清浄化した。
次に、形成した多結晶シリコン膜に、形成する凹部に対応した開口を形成した。
これは、次のようにして行った。まず、多結晶シリコン膜上に、形成する凹部のパターンを有するレジスト層を形成した。次に、多結晶シリコン膜に対してCFガスによるドライエッチングを行い、開口を形成した。次に、前記レジスト層を除去した。
その後、石英ガラス基板を、15wt%テトラメチル水酸化アンモニウム水溶液に5分間浸漬して、表面および裏面に形成した多結晶シリコン膜を除去することにより、マイクロレンズ用凹部付き基板を得た。
その後、カバーガラスを厚さ50μmに研削、研磨して、マイクロレンズ基板を得た。 なお、得られたマイクロレンズ基板では、樹脂層の厚みは12μmであった。
まず、親和性付与基としてビニル基を有するビニルトリメトキシシラン:5.3重量部と、配向性付与基としてフェニル基を有するフェニルトリメトキシシラン:4.8重量部と、硬化反応基としてグリシドキシアルキル基を有する3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:14.2重量部と、テトラヒドロフラン:533重量部と、1N水酸化ナ
トリウム水溶液:22.5重量部とを用意した。
その後、常温まで冷却し、1N塩酸:22.5重量部を加え、中和し、混合液1を得た。
次に、混合液1から、エバポレーターを用いて、テトラヒドロフランを留去し、混合液2を得た。
次に、得られた抽出液を、蒸留水50重量部および飽和食塩水50重量部を用いて洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。
次に、洗浄・乾燥した抽出液から、エバポレーターを用いてトルエンを除去した後、13.3Paの減圧下にて、前記ポリシロキサン中に含まれる低沸点物を除去した。
これにより、エンドキャップ処理前の、籠型構造を有するポリシルセスキオキサン(ポリシロキサン)を得た。
次に、前記フラスコ内に、エンドキャッピング材としてのトリメチルクロロシラン3.90g(35.9mmol)を滴下によって添加し、さらにこれと同時に、トリエチルアミン4.04g(40.0mmol)も滴下によって添加した。そして、その状態で撹拌を1時間続けた。
その後、低沸点部を留去し、図2(b)に示したようにシラノール基中の水素がトリメチルシリル基(Me3Si−)に置換され、エンドキャッピングされた籠形構造のポリシルセスキオキサンを得た。
次に、この混合液3を、ポアサイズ0.2μmのフィルターを用いて、ろ過し、混合液3から不純物を除去した。
ろ過した混合液3に、硬化剤として、(チオフェノキシフェニル)ジフェニルサルフォニウムヘキサフルオロホスフェイトとビス(ジフェニルサルフォニウム)ジフェニルチオエーテルヘキサフルオロホスフェイトとの混合物の50wt%プロピレンカーボネート溶液を加え、配向膜形成用液体を得た。
得られた塗膜を、150℃に加熱したホットプレートを用いて、3分間乾燥した後、メタルハイドレートランプを用いて、5分間光を照射し、仮硬化させた。
次に、200℃3時間加熱し、本硬化させた。
なお、形成された配向膜の膜厚は、0.2μmであった。また、配向膜を形成する有機ケイ素材料1分子中、親和性付与基を持つケイ素ユニット存在比率は、29moL%であった。また、同じく配向性付与基の存在比率は、21moL%であった。これらの値は、配向膜作成に用いた有機ケイ素材料を合成する際の原料仕込比と良い一致を示した。また、有機ケイ素材料の重量平均分子量は、1800であった。
配向膜が形成された液晶パネル用対向基板と、配向膜が形成されたTFT基板とを、シール材を介して接合した。この接合は、液晶層を形成する液晶分子が左ツイストするように配向膜の配向方向が90°ずれるように行った。
次に、配向膜−配向膜間に形成された空隙部の封入孔から液晶(メルク社製:MJ99247)を空隙部内に注入し、次いで、かかる封入孔を塞いだ。形成された液晶層の厚さは、約3μmであった。
なお、製造された液晶パネルのプレチルト角は、3〜7°の範囲のものであった。
また、本発明の液晶パネルを備えたパーソナルコンピュータ、携帯電話機、ディジタルスチルカメラを作製して、同様の評価を行ったところ、同様の結果が得られた。
これらの結果から、本発明の液晶パネル、電子機器は、耐光性に優れ、長期間使用しても安定した特性が得られるものであることが分かった。
Claims (15)
- 液晶分子の配向を制御する配向膜であって、
少なくとも有機ケイ素材料で形成され、
前記有機ケイ素材料は、籠形構造または部分開裂籠形構造を有するポリシルセスキオキサンからなり、該ポリシルセスキオキサンは、その分子内に前記液晶分子との親和性を向上させる親和性付与基と、前記液晶分子の配向を制御する配向性付与基とを有し、かつ、シラノール基中の水素が置換基により置換されて不活性化されていることを特徴とする配向膜。 - 前記置換基がトリメチルシリル基であることを特徴とする請求項1記載の配向膜。
- 前記親和性付与基は、ビニル基、アルキレン基、シアノアルキル基のうちの、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の配向膜。
- 前記配向性付与基は、フェニル基、置換フェニル基、フェニルアルキル基、置換フェニルアルキル基、炭素数が3〜12の分岐アルキル基のうちの、少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の配向膜。
- 前記有機ケイ素材料の重量平均分子量は、500〜50000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の配向膜。
- 配向膜の平均厚さは、0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配向膜。
- 液晶分子の配向を制御する配向膜の形成方法であって、
アルコキシシランを縮重合させて、籠形構造または部分開裂籠形構造を有し、かつ、その分子内に前記液晶分子との親和性を向上させる親和性付与基と、前記液晶分子の配向を制御する配向性付与基とを有するポリシルセスキオキサンを合成する工程と、
前記ポリシルセスキオキサンと置換基を有する化合物とを反応させ、該ポリシルセスキオキサン中のシラノール基中の水素を前記置換基に置換して不活性化する工程と、
前記の不活性化処理したポリシルセスキオキサンを含む配向膜形成用液体を用いて、基材上に配向膜を成膜する工程と、を備えたことを特徴とする配向膜の形成方法。 - 前記置換基がトリメチルシリル基であることを特徴とする請求項7記載の配向膜の形成方法。
- 前記アルコキシシランとして、組成の異なる複数種のものを用い、
組成の異なる複数種の前記アルコキシシランとして、親和性付与基を有するアルコキシシランと、配向性付与基を有するアルコキシシランとを用いることを特徴とする請求項7又は8に記載の配向膜の形成方法。 - 前記配向膜は、前記配向膜形成用液体が硬化することにより成膜されるものであって、
前記ポリシルセスキオキサンが、前記配向膜形成用液体の硬化反応に寄与する硬化反応基を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の配向膜の形成方法。 - 前記硬化反応基は、グリシドキシアルキル基、脂環式エポキシアルキル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、スチリルアルキル基のうちの、少なくとも1種であることを特徴とする請求項10記載の配向膜の形成方法。
- 前記配向膜形成用液体の硬化は、加熱処理及び/又はエネルギー線照射処理を施すことにより行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の配向膜の形成方法。
- 基板上に、電極と、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の配向膜とを備えることを特徴とする電子デバイス用基板。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の配向膜と、液晶層とを備えたことを特徴とする液晶パネル。
- 請求項14に記載の液晶パネルを備えたことを特徴とする電子機器。
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