JP3838512B2 - 無機配向膜の形成方法、無機配向膜、電子デバイス用基板、液晶パネルおよび電子機器 - Google Patents
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Description
このような液晶パネルは、通常、液晶分子を一定方向に配向させるため、所定のプレチルト角が発現するように設定された配向膜を有している。これらの配向膜を製造するには、基板上に成膜されたポリイミド等の高分子化合物からなる薄膜を、レーヨン等の布で一方向に擦るラビング処理する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
本発明の無機配向膜の形成方法は、基材上に無機配向膜を形成する方法であって、
前記基材に対向して設けられたターゲットにイオンビームを照射してスパッタ粒子を引き出し、
前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させた方向から前記基材上に照射し、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する方法であり、
前記基材上に到達する前記スパッタ粒子のエネルギーおよび/または数を制御することにより、前記柱状の結晶の頂部付近の形状を制御することを特徴とする。
これにより、耐光性に優れ、かつ、プレチルト角を確実に制御することが可能な無機配向膜を得ることができる。
これにより、無機配向膜を構成する柱状結晶の頂部付近の形状を、液晶分子をより配向させることが可能な形状に制御することができ、その結果、より確実にプレチルト角を制御することができる。
これにより、無機配向膜を構成する柱状結晶の頂部付近の形状を、液晶分子をより配向させることが可能な形状に制御することができ、その結果、より確実にプレチルト角を制御することができる。
前記基材に対向して設けられたターゲットにイオンビームを照射してスパッタ粒子を引き出し、
前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させて前記基材上に照射し、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する方法であり、
前記イオンビームを照射する際の前記イオンビームの加速電圧が、1200V以上であることを特徴とする。
これにより、耐光性に優れ、かつ、プレチルト角を確実に制御することが可能な無機配向膜を得ることができる。
前記基材に対向して設けられたターゲットにイオンビームを照射してスパッタ粒子を引き出し、
前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させて前記基材上に照射し、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する方法であり、
照射される前記イオンビームのイオンビーム電流が、50〜500mAであることを特徴とする。
これにより、耐光性に優れ、かつ、プレチルト角を確実に制御することが可能な無機配向膜を得ることができる。
これにより、無機配向膜を構成する柱状結晶の頂部付近の形状を、液晶分子をより配向させることが可能な形状に制御することができ、その結果、より確実にプレチルト角を制御することができる。
これにより、無機配向膜を構成する柱状結晶の頂部付近の形状を、液晶分子がより安定して配向することが可能な形状とすることができ、その結果、得られる無機配向膜は液晶分子の配向状態を規制する機能がより優れたものとなる。
これにより、液晶分子がより安定して配向可能な無機配向膜を形成することができる。
本発明の無機配向膜の形成方法では、前記柱状の結晶は、前記基材に対して所定の角度θcだけ傾斜した状態で配向したものであることが好ましい。
これにより、適度なプレチルト角を発現させることができ、液晶分子の配向状態をより好適に規制することができる。
これにより、液晶層を構成する液晶分子の(電圧無印加時における)配向状態(プレチルト角)をより容易に規制することができる。
本発明の無機配向膜の形成方法では、前記無機材料は、シリコンの酸化物を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、得られる液晶パネルは、より優れた耐光性を有するものとなる。
これにより、耐光性に優れ、かつ、プレチルト角を確実に制御することが可能な無機配向膜を提供することができる。
本発明の無機配向膜では、無機配向膜の平均厚さは、0.02〜0.3μmであることが好ましい。
これにより、より適度なプレチルト角を発現させることができ、液晶分子の配向状態をより好適に規制することができる。
本発明の無機配向膜とを備えることを特徴とする。
これにより、耐光性に優れた電子デバイス用基板を提供することができる。
本発明の液晶パネルは、本発明の無機配向膜と、液晶層とを備えたことを特徴とする。
これにより、耐光性に優れた液晶パネルを提供することができる。
本発明の液晶パネルは、本発明の無機配向膜を一対備え、
一対の前記無機配向膜の間に液晶層を備えたことを特徴とする。
これにより、耐光性に優れた液晶パネルを提供することができる。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の液晶パネルを備えたライトバルブを有し、該ライトバルブを少なくとも1個用いて画像を投射することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
前記ライトバルブは、本発明の液晶パネルを備えたことを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
まず、無機配向膜の形成方法の説明に先立ち、本発明の液晶パネルについて説明する。
図1は、本発明の液晶パネルの第1実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、本発明の方法により形成された無機配向膜を示す縦断面図である。
図1に示すように、液晶パネル1Aは、液晶層2と、無機配向膜3A、4Aと、透明導電膜5、6と、偏光膜7A、8Aと、基板9、10とを有している。
液晶層2を構成する液晶分子としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶など配向し得るものであればいかなる液晶分子を用いても構わないが、TN型液晶パネルの場合、ネマチック液晶を形成させるものが好ましく、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられる。さらに、これらネマチック液晶分子にモノフルオロ基、ジフルオロ基、トリフルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基などのフッ素系置換基を導入した液晶分子も含まれる。
また、無機配向膜3Aは、後述するような透明導電膜5と基板9とからなる基材100上に形成されており、無機配向膜4Aは、後述するような透明導電膜6と基板10とからなる基材101上に形成されている。
無機配向膜3A、4Aは、液晶層2を構成する液晶分子の(電圧無印加時における)配向状態を規制する機能を有している。
また、このような柱状の結晶の幅Wは、10〜40nmであるのが好ましく、10〜20nmであるのがより好ましい。これにより、より適度なプレチルト角を発現させることができ、液晶分子の配向状態をより好適に規制することができる。
また、無機配向膜3A、4Aを構成する無機材料は、図2に示すように、柱状に結晶化し得るものであるのが好ましい。これにより、液晶層2を構成する液晶分子の(電圧無印加時における)配向状態(プレチルト角)をより容易に規制することができる。
このような無機配向膜3A、4Aは、その平均厚さが0.02〜0.3μmであるのが好ましく、0.02〜0.08μmであるのがより好ましい。平均厚さが前記下限値未満であると、各部位におけるプレチルト角を十分に均一にするのが困難となる場合がある。一方、平均厚さが前記上限値を超えると、駆動電圧が高くなり、消費電力が大きくなる可能性がある。
透明導電膜5、6は、これらの間で通電を行うことにより、液晶層2の液晶分子を駆動する(配向を変化させる)機能を有する。
透明導電膜5、6は、導電性を有しており、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等で構成されている。
透明導電膜5の外表面側(無機配向膜3Aと対向する面とは反対側の面側)には、基板9が配置されている。同様に、透明導電膜6の外表面側(無機配向膜4Aと対向する面とは反対側の面側)には、基板10が配置されている。
偏光膜7A、8Aの構成材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。また、偏光膜としては、前記材料にヨウ素をドープしたもの等を用いてもよい。
偏光膜としては、例えば、上記材料で構成された膜を一軸方向に延伸したものを用いることができる。
偏光膜7A、8Aの偏光軸の方向は、通常、無機配向膜3A、4Aの配向方向に応じて決定される。
なお、本実施形態では、無機配向膜として、図2に示すような構成のものについて説明したが、これに限定されず、液晶分子が安定して配向するような形状であれば、いずれの形状であってもよい。
図3は、本発明の無機配向膜の形成方法に用いるスパッタ装置の模式図である。
図3に示すイオンビームスパッタ装置S100は、イオンビームを照射するイオン源S1と、前記イオンビームの照射によりスパッタ粒子を発生(照射)するターゲットS2と、真空チャンバS3と、真空チャンバS3内の圧力を制御する排気ポンプS4と、無機配向膜を形成する基材を真空チャンバS3内に固定する基材ホルダーS5とを有している。
図示の構成のようなイオンビームスパッタ装置を用いた場合、以下のようにして無機配向膜が形成される。以下、代表的に、無機配向膜3Aを形成する場合について説明する。
2.排気ポンプS4により、真空チャンバS3内を減圧する。
3.イオン源S1内に、ガス供給源S13よりガスを供給する。
4.フィラメントS11に電源(図示せず)より、電圧を印加し、熱電子を発生させる。
5.発生した熱電子が導入されたガスと衝突し、ガスがイオン化し、プラズマが発生する。
6.引き出し電極S12にイオン加速電圧を印加して、イオンを加速し、イオンビームとして、ターゲットS2に照射される。
7.イオンビームが照射されたターゲットS2は、基材100に向けてスパッタ粒子を照射し、基材100上に無機配向膜3Aが形成された基板(本発明の電子デバイス用基板(電子デバイス用基板200))が得られる。
(1)引き出し電極S12に印加するイオンビームの加速電圧が、1200V以上である。
(2)照射されるイオンビームのイオンビーム電流が、50〜500mAである。
特に、前記条件(1)および(2)を同時に満足することにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
イオンビーム電流は、上述したように50〜500mAであるのが好ましいが、200〜500mAであるのがより好ましい。イオンビーム電流が前記下限値未満であると、スパッタレートが低下し、十分な生産性が得られない場合がある。一方、イオンビーム電流が前記上限値を超えると、液晶分子の配向性にバラツキが生じる傾向がある。
無機配向膜3Aを形成する際の基材100の温度は、比較的低いのが好ましい。具体的には、基材100の温度は、150℃以下とするのが好ましく、80℃以下とするのがより好ましく、20〜50℃とするのがさらに好ましい。これにより、基材100に付着したスパッタ粒子が最初に付着した位置から移動する現象、すなわちマイグレーションという現象を抑制し、液晶分子がより安定して配向可能な無機配向膜3Aを形成することができる。なお、無機配向膜3Aを形成する際の基材100の温度が、上記範囲のものとなるように、必要に応じて冷却してもよい。
以上、無機配向膜3Aを形成する場合について説明したが、無機配向膜4Aについても同様に形成することができる。
図4は、本発明の液晶パネルの第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。以下、図4に示す液晶パネル1Bについて、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4に示すように、液晶パネル(TFT液晶パネル)1Bは、TFT基板(液晶駆動基板)17と、TFT基板17に接合された無機配向膜3Bと、液晶パネル用対向基板12と、液晶パネル用対向基板12に接合された無機配向膜4Bと、無機配向膜3Bと無機配向膜4Bとの空隙に封入された液晶よりなる液晶層2と、TFT基板(液晶駆動基板)17の外表面側(無機配向膜4Bと対向する面とは反対側の面側)に接合された偏光膜7Bと、液晶パネル用対向基板12の外表面側(無機配向膜4Bと対向する面とは反対側の面側)に接合された偏光膜8Bとを有している。無機配向膜3B、4Bは、前記第1実施形態で説明した無機配向膜3A、4Aと同様の方法(本発明の無機配向膜の形成方法)で形成されたものであり、偏光膜7B、8Bは、前記第1実施形態で説明した偏光膜7A、8Aと同様なものである。
マイクロレンズ基板11は、凹曲面を有する複数(多数)の凹部(マイクロレンズ用凹部)112が設けられたマイクロレンズ用凹部付き基板(第1の基板)111と、かかるマイクロレンズ用凹部付き基板111の凹部112が設けられた面に樹脂層(接着剤層)115を介して接合された表層(第2の基板)114とを有しており、また、樹脂層115では、凹部112内に充填された樹脂によりマイクロレンズ113が形成されている。
このマイクロレンズ用凹部付き基板111は、例えば、ガラス等で構成されている。
かかる観点からは、マイクロレンズ用凹部付き基板111と、ガラス基板171とは、同種類の材質で構成されていることが好ましい。これにより、温度変化時の熱膨張係数の相違によるそり、たわみ、剥離等が効果的に防止される。
凹部112内には、樹脂層115の構成材料が充填されることにより、マイクロレンズ113が形成されている。
樹脂層115は、例えば、マイクロレンズ用凹部付き基板111の構成材料の屈折率よりも高い屈折率の樹脂(接着剤)で構成することができ、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系のような紫外線硬化樹脂等で好適に構成することができる。
表層(ガラス層)114は、例えばガラスで構成することができる。この場合、表層114の熱膨張係数は、マイクロレンズ用凹部付き基板111の熱膨張係数とほぼ等しいもの(例えば両者の熱膨張係数の比が1/10〜10程度)とすることが好ましい。これにより、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114の熱膨張係数の相違により生じるそり、たわみ、剥離等が防止される。このような効果は、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114とを同種類の材料で構成すると、より効果的に得られる。
なお、表層(バリア層)114は、例えばセラミックスで構成することもできる。なお、セラミックスとしては、例えば、AlN、SiN、TiN、BN等の窒化物系セラミックス、Al2O3、TiO2等の酸化物系セラミックス、WC、TiC、ZrC、TaC等の炭化物系セラミックスなどが挙げられる。表層114をセラミックスで構成する場合、表層114の厚さは、特に限定されないが、20nm〜20μm程度とすることが好ましく、40nm〜1μm程度とすることがより好ましい。
なお、このような表層114は、必要に応じて省略することができる。
透明導電膜14は、導電性を有し、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等で構成されている。
TFT基板17は、液晶層2の液晶を駆動する基板であり、ガラス基板171と、かかるガラス基板171上に設けられ、マトリックス状(行列状)に配設された複数(多数)の画素電極172と、各画素電極172に対応する複数(多数)の薄膜トランジスタ(TFT)173とを有している。なお、図4では、シール材、配線等の記載は省略した。
画素電極172は、透明導電膜(共通電極)14との間で充放電を行うことにより、液晶層2の液晶を駆動する。この画素電極172は、例えば、前述した透明導電膜14と同様の材料で構成されている。
無機配向膜3Bは、TFT基板17の画素電極172と接合しており、無機配向膜4Bは、液晶パネル用対向基板12の透明導電膜14と接合している。
このような液晶パネル1Bでは、通常、1個のマイクロレンズ113と、かかるマイクロレンズ113の光軸Qに対応したブラックマトリックス13の1個の開口131と、1個の画素電極172と、かかる画素電極172に接続された1個の薄膜トランジスタ173とが、1画素に対応している。
また、上述したような無機配向膜を備える液晶パネルは、光源の強いものや、屋外で用いられるものに好適に用いることができる。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。バックライトからの光を液晶パネル1Aに透過させることにより画像(情報)を表示し得るものである。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
撮影者が液晶パネル1Aに表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
図8は、本発明の電子機器(投射型表示装置)の光学系を模式的に示す図である。
同図に示すように、投射型表示装置300は、光源301と、複数のインテグレータレンズを備えた照明光学系と、複数のダイクロイックミラー等を備えた色分離光学系(導光光学系)と、赤色に対応した(赤色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)24と、緑色に対応した(緑色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)25と、青色に対応した(青色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)26と、赤色光のみを反射するダイクロイックミラー面211および青色光のみを反射するダイクロイックミラー面212が形成されたダイクロイックプリズム(色合成光学系)21と、投射レンズ(投射光学系)22とを有している。
なお、投射型表示装置300では、ダイクロイックプリズム21と投射レンズ22とで、光学ブロック20が構成されている。また、この光学ブロック20と、ダイクロイックプリズム21に対して固定的に設置された液晶ライトバルブ24、25および26とで、表示ユニット23が構成されている。
光源301から出射された白色光(白色光束)は、インテグレータレンズ302および303を透過する。この白色光の光強度(輝度分布)は、インテグレータレンズ302および303により均一にされる。光源301から出射される白色光は、その光強度が比較的大きいものであるのが好ましい。これにより、スクリーン320上に形成される画像をより鮮明なものとすることができる。また、投射型表示装置300では、耐光性に優れた液晶パネル1Bを用いているため、光源301から出射される光の強度が大きい場合であっても、優れた長期安定性が得られる。
ダイクロイックミラー305を透過した赤色光は、ミラー306で図8中下側に反射し、その反射光は、集光レンズ310により整形され、赤色用の液晶ライトバルブ24に入射する。
ダイクロイックミラー307で反射した緑色光は、集光レンズ311により整形され、緑色用の液晶ライトバルブ25に入射する。
このように、光源301から出射された白色光は、色分離光学系により、赤色、緑色および青色の三原色に色分離され、それぞれ、対応する液晶ライトバルブに導かれ、入射する。
同様に、緑色光および青色光は、それぞれ、液晶ライトバルブ25および26に入射し、それぞれの液晶パネル1Bで変調され、これにより緑色用の画像および青色用の画像が形成される。この際、液晶ライトバルブ25が有する液晶パネル1Bの各画素は、緑色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御され、液晶ライトバルブ26が有する液晶パネル1Bの各画素は、青色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御される。
前記液晶ライトバルブ24により形成された赤色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ24からの赤色光は、面213からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211で図8中左側に反射し、ダイクロイックミラー面212を透過して、出射面216から出射する。
また、前記液晶ライトバルブ26により形成された青色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ26からの青色光は、面215からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面212で図8中左側に反射し、ダイクロイックミラー面211を透過して、出射面216から出射する。
例えば、本発明の無機配向膜の形成方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。また、例えば、本発明の電子デバイス用基板、液晶パネルおよび電子機器では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
以下のようにして、図4に示すような液晶パネルを製造した。
(実施例1)
まず、以下のようにして、マイクロレンズ基板を製造した。
厚さ約1.2mmの未加工の石英ガラス基板(透明基板)を母材として用意し、これを85℃の洗浄液(硫酸と過酸化水素水との混合液)に浸漬して洗浄を行い、その表面を清浄化した。
次に、形成した多結晶シリコン膜に、形成する凹部に対応した開口を形成した。
これは、次のようにして行った。まず、多結晶シリコン膜上に、形成する凹部のパターンを有するレジスト層を形成した。次に、多結晶シリコン膜に対してCFガスによるドライエッチングを行ない、開口を形成した。次に、前記レジスト層を除去した。
その後、石英ガラス基板を、15wt%テトラメチル水酸化アンモニウム水溶液に5分間浸漬して、表面および裏面に形成した多結晶シリコン膜を除去することにより、マイクロレンズ用凹部付き基板を得た。
その後、カバーガラスを厚さ50μmに研削、研磨して、マイクロレンズ基板を得た。
なお、得られたマイクロレンズ基板では、樹脂層の厚みは12μmであった。
まず、真空チャンバS3内の基材ホルダーS5に、液晶パネル用対向基板を設置し、排気ポンプS4により、真空チャンバS3内を5.0×10-4Paまで減圧した。
次に、イオン源S1内に、ガス供給源S13よりアルゴンガスを供給し、フィラメントS11に、電圧を印加し、プラズマを発生させ、引き出し電極S12に1500Vのイオン加速電圧を印加して、イオンを加速し、イオンビームとして、ターゲットS2に照射した。なお、ターゲットS2としてはSiO2を用いた。また、照射されたイオンビームのイオンビーム電流は、250mAであった。
また、形成された無機配向膜を構成する柱状の結晶の液晶パネル用対向基板に対する傾斜角θcは、45°で、柱状の結晶の幅は、25nmであった。
無機配向膜が形成された液晶パネル用対向基板と、無機配向膜が形成されたTFT基板とを、シール材を介して接合した。この接合は、液晶層を構成する液晶分子が左ツイストするように無機配向膜の配向方向が90°ずれるように行った。
その後、液晶パネル用対向基板の外表面側と、TFT基板の外表面側とに、それぞれ、偏光膜8B、偏光膜7Bを接合することにより、図4に示すような構造のTFT液晶パネルを製造した。偏光膜としては、ポリビニルアルコール(PVA)で構成された膜を一軸方向に延伸したものを用いた。なお、偏光膜7B、偏光膜8Bの接合方向は、それぞれ、無機配向膜3B、無機配向膜4Bの配向方向に基づき決定した。すなわち、電圧印加時には入射光が透過せず、電圧無印加時には入射光が透過するように、偏光膜7B、偏光膜8Bを接合した。
なお、製造された液晶パネルのプレチルト角は、3〜7°の範囲のものであった。
無機配向膜を形成する際の各条件を表1に示すようにして、SiO2で構成された無機配向膜を形成した以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
(実施例4〜6)
ターゲットS2として、SiOを用い、無機配向膜を形成する際の各条件を表1に示すようにして、SiOで構成された無機配向膜を形成した以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
図3に示すような装置を用いずに、ポリイミド系樹脂(PI)の溶液(日本合成ゴム株式会社製:AL6256)を用意し、スピンコート法により、液晶パネル用対向基板の透明導電膜上に平均厚さ0.05μmの膜を形成し、プレチルト角が2〜3°となるように、ラビング処理を施して、配向膜とした以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。なお、比較例1では、ラビング処理する際に、埃のようなものが発生した。
ターゲットS2より発生したスパッタ粒子を、傾斜させずに液晶パネル用対向基板に照射させた以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
(比較例3)
蒸着装置を用いて、無機配向膜を形成した以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
上記各実施例および各比較例で製造した液晶パネルについて、光透過率を連続的に測定した。光透過率の測定は、各液晶パネルを50℃の温度下に置き、電圧無印加の状態で、15lm/mm2の光束密度の白色光を照射することにより行った。
なお、液晶パネルの評価としては、比較例1で製造した液晶パネルの白色光の照射開始から光透過率が初期の光透過率と比較して、50%低下するまでの時間(耐光時間)を基準として、以下のように4段階で評価を行った。
○:耐光時間が比較例1よりも2倍以上5倍未満。
△:耐光時間が比較例1よりも1倍以上2倍未満。
×:耐光時間が比較例1よりも劣る。
表1には、無機配向膜の形成条件、無機配向膜の平均厚さ、柱状の結晶の幅および傾斜角θc、各液晶パネルでのプレチルト角度とともに、液晶パネルの評価結果をまとめて示した。
また、本発明の液晶パネルでは、十分なプレチルト角が得られ、液晶分子の配向状態を確実に規制することができたが、比較例2および3の液晶パネルでは、十分なプレチルト角が得られず、液晶分子の配向状態を規制するのが困難であった。
上記各実施例および各比較例で製造したTFT液晶パネルを用いて、図8に示すような構造の液晶プロジェクター(電子機器)を組み立て、この液晶プロジェクターを5000時間連続駆動させた。
なお、液晶プロジェクターの評価としては、駆動直後の投射画像と駆動後5000時間の投射画像とを観察し、以下のように4段階で鮮明度の評価を行った。
○:ほぼ鮮明な投射画像が観察された。
△:やや鮮明さに劣る投射画像が観察された。
×:鮮明でない投射画像が確認された。
この結果を表2に示した。
これに対し、比較例1の液晶パネルを用いて製造された液晶プロジェクターでは、駆動時間に伴い、投射画像の鮮明度が明らかに低下した。これは、初期の段階では、液晶分子の配向が揃っているが、長期駆動により、配向膜が劣化し、液晶分子の配向性が低下したためであると考えられる。なお、比較例2および3の液晶パネルを用いて製造された液晶プロジェクターでは、駆動当初から、鮮明な投射画像を得られるものではなかった。これは、無機配向膜の配向性がもともと低いためであると考えられる。
これらの結果から、本発明の液晶パネル、電子機器は、耐光性に優れ、長期間使用しても安定した特性が得られるものであることが分かる。
Claims (19)
- 基材上に無機配向膜を形成する方法であって、
前記基材に対向して設けられたターゲットにイオンビームを照射してスパッタ粒子を引き出し、
前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させた方向から前記基材上に照射し、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する方法であり、
前記基材上に到達する前記スパッタ粒子のエネルギーおよび/または数を制御することにより、前記柱状の結晶の頂部付近の形状を制御することを特徴とする無機配向膜の形成方法。 - 前記イオンビームを照射する際の前記イオンビームの加速電圧は、1200V以上である請求項1に記載の無機配向膜の形成方法。
- 照射される前記イオンビームのイオンビーム電流は、50〜500mAである請求項1または2に記載の無機配向膜の形成方法。
- 基材上に無機配向膜を形成する方法であって、
前記基材に対向して設けられたターゲットにイオンビームを照射してスパッタ粒子を引き出し、
前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させて前記基材上に照射し、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する方法であり、
前記イオンビームを照射する際の前記イオンビームの加速電圧が、1200V以上であることを特徴とする無機配向膜の形成方法。 - 基材上に無機配向膜を形成する方法であって、
前記基材に対向して設けられたターゲットにイオンビームを照射してスパッタ粒子を引き出し、
前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させて前記基材上に照射し、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する方法であり、
照射される前記イオンビームのイオンビーム電流が、50〜500mAであることを特徴とする無機配向膜の形成方法。 - 前記イオンビームを照射する際の前記イオンビームの加速電圧は、1200V以上である請求項5に記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記所定の角度θsは、40°以上である請求項1ないし6のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記無機配向膜を形成する際の雰囲気の圧力は、5.0×10−2Pa以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記柱状の結晶は、前記基材に対して所定の角度θcだけ傾斜した状態で配向したものである請求項1ないし8のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記無機材料は、柱状に結晶化し得るものである請求項1ないし9のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記無機材料は、シリコンの酸化物を主成分とするものである請求項1ないし10のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。
- 請求項1ないし11のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法により形成することを特徴とする無機配向膜。
- 無機配向膜の平均厚さは、0.02〜0.3μmである請求項12に記載の無機配向膜。
- 基板上に、電極と、
請求項12または13に記載の無機配向膜とを備えることを特徴とする電子デバイス用基板。 - 請求項12または13に記載の無機配向膜と、液晶層とを備えたことを特徴とする液晶パネル。
- 請求項12または13に記載の無機配向膜を一対備え、
一対の前記無機配向膜の間に液晶層を備えたことを特徴とする液晶パネル。 - 請求項15または16に記載の液晶パネルを備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項15または16に記載の液晶パネルを備えたライトバルブを有し、該ライトバルブを少なくとも1個用いて画像を投射することを特徴とする電子機器。
- 画像を形成する赤色、緑色および青色に対応した3つのライトバルブと、光源と、該光源からの光を赤色、緑色および青色の光に分離し、前記各光を対応する前記ライトバルブに導く色分離光学系と、前記各画像を合成する色合成光学系と、前記合成された画像を投射する投射光学系とを有する電子機器であって、
前記ライトバルブは、請求項15または16に記載の液晶パネルを備えたことを特徴とする電子機器。
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