JP4670453B2 - 無機酸化物膜の処理方法、液晶パネルの製造方法 - Google Patents

無機酸化物膜の処理方法、液晶パネルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無機酸化物膜の処理方法、電子デバイス用基板、電子デバイス用基板の製造方法、液晶パネルおよび電子機器に関するものである。
近年、垂直配向タイプの液晶表示素子が液晶テレビ(直視型表示装置)、液晶プロジェクタ(投射型表示装置)等で実用化されている。
これらの垂直配向タイプの液晶表示素子に用いられる垂直配向膜としては、例えば液晶テレビにはポリイミド等の有機配向膜が用いられ、液晶プロジェクタにはSiO等の斜方蒸着膜(無機配向膜)が多用されている。
無機酸化物の斜方蒸着膜は、複数の細孔を有し、その表面および細孔の内面には、分極した水酸基が多数存在している。この水酸基は、ブレンステッド酸点として活性があり、液晶分子や液晶表示素子に含まれる不純物、特に極性基を持つ化合物を吸着したり反応したりし易い。
ここで、不純物には、シール剤中の不純物および未反応成分、液晶層中の不純物および水分、製造過程で付着した汚れ等が含まれる。
斜方蒸着膜表面に不純物が吸着したり、反応したりすると、表面の形状や極性が変化して垂直アンカリング力が低下し、液晶分子が配向異常を起こすことが知られている。また、直接液晶分子が水酸基と化学反応をすることも知られている。
そこで、斜方蒸着膜(無機酸化物膜)の表面改質法として、無機配向膜の表面の水酸基を高級アルコールやシランカップリング剤で処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1に記載の方法では、SiOの斜方蒸着膜を高級アルコールの蒸気に曝すことが行われる。
ところが、この方法では、処理温度が低いため、高級アルコールが斜方蒸着膜の表面に物理的に吸着するに留まり、結合力が極めて弱い。このため、液晶分子と接触させることにより、高級アルコールが斜方蒸着膜の表面から容易に脱離して、初期的に安定な垂直配向力が得られないという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法では、イオンビームでアシストしながら蒸着したSiOの斜方蒸着膜に、垂直配向剤として、シランカップリング剤であるオクタデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライドを塗布した(接触させた)後、110℃で1時間焼成することが行われる。
しかしながら、斜方蒸着膜の細孔(空孔)径は小さく、斜方蒸着膜にシランカップリング剤を単に接触させるだけでは、表面にある水酸基にしか化学結合をさせることができない。すなわち、空孔内に存在する水酸基には、シランカップリング剤を化学結合さることができない。
このため、特許文献2に記載の方法では、斜方蒸着膜の細孔内に存在する水酸基の影響により、液晶分子の配向性が比較的短時間で低下するという問題がある。
特開平11−160711号公報 特開平5−203958号公報
本発明の目的は、アルコールを無機酸化物膜の表面のみならず、これが有する細孔の内面にも確実に化学結合させ得る無機酸化物膜の処理方法、例えば液晶分子等の配向性が経時的に低下し難い電子デバイス用基板、かかる電子デバイス用基板を製造し得る電子デバイス用基板の製造方法、信頼性の高い液晶パネルおよび電子機器を提供することにある。
本発明の無機酸化物膜の処理方法は、斜方蒸着法により形成され、複数の細孔を有する無機酸化物膜に、少なくとも第1のアルコールを含有する第1の処理液を接触させる工程と、
前記無機酸化物膜の表面に、前記第1の処理液中のアルコールを化学結合させる工程と、
前記無機酸化物膜を、少なくとも前記第1のアルコールより分子量の小さい第2のアルコールを含有する第2の処理液中に浸漬する工程と、
該第2の処理液が設置された空間を減圧することにより、前記無機酸化物膜の細孔内に前記第2の処理液を浸透させる工程と、
前記無機酸化物膜の表面および細孔の内面に、前記第2の処理液中のアルコールを化学結合させる工程とを有することを特徴とする。
これにより、アルコールを無機酸化物膜の表面のみならず、これが有する細孔の内面にも確実に化学結合させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法は、基板と、該基板の一方の面側に設けられた配向膜とを有する電子デバイス用基板を製造する方法であって、
前記基板の一方の面側に、斜方蒸着法により、複数の細孔を有する無機酸化物膜を形成する工程と、
前記無機酸化物膜に、少なくとも第1のアルコールを含有する第1の処理液を接触させる工程と、
前記無機酸化物膜の表面に、前記第1の処理液中のアルコールを化学結合させる工程と、
前記無機酸化物膜が形成された基板を、少なくとも前記第1のアルコールより分子量の小さい第2のアルコールを含有する第2の処理液中に浸漬する工程と、
該第2の処理液が設置された空間を減圧することにより、前記無機酸化物膜の細孔内に前記第2の処理液を浸透させる工程と、
前記無機酸化物膜の表面および細孔の内面に、前記第2の処理液中のアルコールを化学結合させて、前記配向膜を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、アルコールを無機酸化物膜の表面のみならず、これが有する細孔の内面にも確実に化学結合させることができ、例えば液晶分子等の配向性に優れ、その配向性が経時的に低下し難い配向膜を有する電子デバイス用基板を得ることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第1の処理液は、さらに、前記第2のアルコールより分子量が大きく、かつ、前記第1のアルコールおよび前記第2のアルコールと異種の第3のアルコールを含有することが好ましい。
これにより、液晶分子に対する垂直アンカリング力がさらに増大し、液晶分子をより確実に垂直配向させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第1の処理液中のアルコールを化学結合させる工程は、前記基板を加熱することにより行われることが好ましい。
加熱による方法を用いることにより、無機酸化物膜の表面および細孔の内面に存在する水酸基との反応を比較的容易かつ確実に行うことができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記基板の加熱温度は、80〜250℃であることが好ましい。
これにより、アルコールの種類や、無機酸化物の種類等によらず、無機酸化物膜にアルコールを十分に化学結合させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記基板の加熱時間は、20〜180分であることが好ましい。
これにより、加熱温度等の他の条件によらず、無機酸化物膜にアルコールを十分に化学結合させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第2の処理液を浸透させる工程において、前記空間の真空度は、10−4〜10Paであることが好ましい。
これにより、無機酸化物膜の細孔内から十分に空気が取り除かれ、細孔内に処理液を十分に浸透させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第2の処理液中のアルコールを化学結合させる工程は、前記基板を加熱することにより行われることが好ましい。
これにより、無機酸化物膜が有する水酸基とアルコールとをより確実に反応させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記基板の加熱温度は、80〜250℃であることが好ましい。
加熱による方法を用いることにより、無機酸化物膜の表面および細孔の内面に存在する水酸基との反応を比較的容易かつ確実に行うことができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記基板の加熱時間は、20〜180分であることが好ましい。
これにより、アルコールの種類や、無機酸化物の種類等によらず、無機酸化物膜にアルコールを十分に化学結合させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第1のアルコールは、その炭素数が5〜30のものであることが好ましい。
常温で液状であるか、または半固形状(固形状)であっても比較的低温で液状とすることができる。このため、後述する処理液により無機酸化物膜を処理する際の取り扱いが容易である。また、このような炭素数のアルコールは、液晶分子に対する親和性がより高いため、液晶分子に対する垂直アンカリング力を確実に増大させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第1のアルコールは、脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはこれらのフッ素置換体であることが好ましい。
脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはこれらのフッ素置換体を用いることにより、液晶分子に対する垂直アンカリング力がさらに増大し、液晶分子をより確実に垂直配向させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記脂環アルコールは、ステロイド骨格を有するものであることが好ましい。
ステロイド骨格を有する脂環アルコールまたはそのフッ素置換体は、平面性の高い構造を有するため、液晶分子を配向制御する機能に特に優れるものである。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第2のアルコールは、その炭素数が1〜4のものであることが好ましい。
このような炭素数の第1のアルコールは、分子サイズが小さいため、細孔の奥深くにまで確実に浸透させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第2のアルコールは、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体であることが好ましい。
脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体は、その分子構造が直線に近いため、細孔の奥深くにまでより確実に浸透させることができる。
本発明の電子デバイス用基板の製造方法では、前記第1のアルコールの炭素数をAとし、第2のアルコールの炭素数をBとしたとき、A−Bが3以上なる関係を満足することが好ましい。
例えば液晶分子等の配向性をより向上させ、その配向性が経時的により低下し難いものとすることができる。
本発明の液晶パネルは、本発明の電子デバイス用基板と、
前記配向膜の前記基板と反対側に設けられた液晶層とを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い液晶パネルが得られる。
本発明の液晶パネルは、本発明の電子デバイス用基板を一対備え、
一対の前記電子デバイス用基板の前記配向膜同士の間に、液晶層を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い液晶パネルが得られる。
本発明の電子機器は、本発明の液晶パネルを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の無機酸化物膜の処理方法、電子デバイス用基板、電子デバイス用基板の製造方法、液晶パネルおよび電子機器について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、本発明の液晶パネルについて説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の液晶パネルの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の液晶パネルの第1実施形態を模式的に示す縦断面図、図2は、図1に示す液晶パネルが備える配向膜の構成を模式的に示す縦断面図である。なお、図1では、シール材、配線等の記載は省略した。また、以下の説明では、図1および図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す液晶パネル1Aは、液晶層2と、配向膜3A、4Aと、透明導電膜5、6と、偏光膜7A、8Aと、基板9、10とを有している。
このような構成において、基板9、透明導電膜5(電極)および配向膜3Aにより、また、基板10、透明導電膜6(電極)および配向膜4Aにより、それぞれ、本発明の電子デバイス用基板が構成されている。
なお、図示の構成では、透明導電膜5、6は、いずれも、分割されていないが、通常、これらのうちの少なくとも一方は、分割され、個別電極(画素電極)を構成している。
液晶層2は、液晶分子(液晶材料)を含有している。
液晶分子としては、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体、ビフェニル誘導体、ビフェニルシクロヘキサン誘導体、ターフェニル誘導体、フェニルエーテル誘導体、フェニルエステル誘導体、ビシクロヘキサン誘導体、アゾメチン誘導体、アゾキシ誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、キュバン誘導体、さらに、これらの誘導体に、フルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基などのフッ素系置換基を導入したもの等が挙げられる。
なお、後述するように、配向膜3A、4Aを用いた場合、液晶分子は垂直配向し易くなるが、垂直配向に適する液晶分子としては、例えば、下記化1〜化3で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0004670453
Figure 0004670453
Figure 0004670453
[式中、環A〜Iは、それぞれ独立して、シクロヘキサン環またはベンゼン環を示し、R〜Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アルコキシ基またはフッ素原子のいずれかを示し、X〜X10は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を示す。]
液晶層2の両面には、配向膜3A、4Aが配置されている。
また、配向膜3Aは、透明導電膜5と基板9とからなる基材100上に形成されており、配向膜4Aは、透明導電膜6と基板10とからなる基材101上に形成されている。
配向膜(垂直配向膜)3A、4Aは、液晶層2を構成する液晶分子の(電圧無印加時における)配向状態を規制する機能を有している。
なお、配向膜3A、4Aは、いずれも同様の構成であるため、以下では、配向膜3Aを代表にして説明する。
配向膜3Aは、図2に示すように、斜方蒸着法により形成された無機酸化物膜31と、この無機酸化物膜31に、後述するような方法により処理を施すことにより形成された被膜32とで構成されている。
無機酸化物膜31は、斜方蒸着法により形成されるため、図2に示すように、複数の細孔30を有する構造をなし、各細孔30の軸は、基材100の上面(配向膜3Aが形成される面)に対して、傾斜した状態で一軸配向している。
ここで、各細孔30の軸が一軸配向しているとは、大多数の細孔30の軸がほぼ等しい方向を向いていること(細孔30の軸の平均的な方向が制御されていること)をいい、複数の細孔30の中には、軸の方向が大多数のものと異なる方向を向いた細孔30が含まれていてもよい。
このように、各細孔30が規則的に配列していることにより、無機酸化物膜31(配向膜3A)は、高い構造規則性を有している。
このような構成により、液晶層2が含有する液晶分子は、垂直配向(ホメオトロピック配向)し易くなる。したがって、このような構成の配向膜3Aは、VA(Vertical Alignment)型の液晶パネルの構築に有用である。
また、配向膜3Aが高い構造規則性を有することから、液晶分子の配向方向もより正確に一定方向(垂直方向)に揃うようになる。その結果、液晶パネル1Aの性能(特性)の向上を図ることができる。
なお、細孔30と基材100の上面とのなす角度(図2中角度θ)は、特に限定されないが、30〜70°程度であるのが好ましく、40〜60°程度であるのがより好ましい。これにより、液晶分子をより確実に垂直配向させることができる。
無機酸化物膜31は、無機酸化物を主材料として構成された膜である。一般に、無機材料は、有機材料に比べて、優れた化学的安定性(光安定性)を有している。このため、無機酸化物膜31(配向膜3A)は、有機材料で構成された配向膜に比べ、特に優れた耐光性を有するものとなる。
また、無機酸化物膜31を構成する無機酸化物は、その誘電率が比較的低いものが好ましい。これにより、液晶パネル1Aにおいて画像の焼き付き等をより効果的に防止することができる。
このような無機酸化物としては、例えば、SiO、SiOのようなシリコン酸化物、Al、MgO、TiOTiO、In,Sb,Ta、Y、CeO、WO、CrO、GaO、HfO、Ti、NiO、ZnO、Nb、ZrO、Ta等の金属酸化物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、SiOを主成分とするものが好ましい。SiOは、誘電率が特に低く、かつ、高い光安定性を有する。
このような無機酸化物膜31の表面および細孔30の内面に沿って、被膜32が形成されている。
この被膜32は、後述する処理液を用いて無機酸化物膜31を処理することにより形成された膜、すなわち、無機酸化物膜31の表面および細孔30の内面に存在する活性な水酸基と、アルコールが有する水酸基とが化学反応(エーテル化反応)して形成された膜であり、アルコールの主骨格部分を主としてなる膜である。
本発明では、アルコールとして、分子量の異なる複数種のものを用いることに特徴を有する。
アルコールとして、例えば、第1のアルコールと、第1のアルコールより分子量の小さい第2のアルコールとの2種のアルコールを含むものを用いると、次のような効果が得られる。
第一に、比較的低分子量の第2のアルコールは、無機酸化物膜31の細孔30の奥深くにまで浸透して、化学結合するようになる。これにより、細孔30の内面に存在する活性な水酸基の数を減少させることができる。
第二に、比較的高分子量の第1のアルコールは、無機酸化物膜31の表面において、主骨格部分である炭化水素部分を液晶層2側に向けて、無機酸化物膜31に化学結合するが、当該部分は、液晶分子に対する親和性が比較的高いため、液晶分子に対する高い垂直アンカリング力が得られる。
第三に、比較的高分子量の第1のアルコールは、主骨格部分の構造が大きいため、当該部分の立体障害等により、無機酸化物膜31の表面付近において疎な状態で化学結合するが、第1のアルコール同士の間の水酸基には、第2のアルコールが化学結合するようになり、無機酸化物膜31に存在する活性な水酸基の数を確実に減少させることができる。
このようなことから、本発明の電子デバイス用基板を用いた液晶パネル1Aでは、液晶分子を確実に垂直配向させることができる。また、活性な水酸基の存在に起因して無機酸化物膜31に各種不純物が付着することや、無機酸化物膜31が液晶分子と反応すること等を防止することができる。これにより、例えば、配向膜3Aの液晶分子に対する垂直アンカリング力の低下等を防止することができ、液晶分子に配向異常が生じるのを防止することができる。
すなわち、本発明によれば、分子量の異なる複数種のアルコールを用いて無機酸化物膜31を処理するので、複数種のアルコールの相乗効果により、液晶パネル1Aの特性および耐光性(耐久性)の双方の向上を図ることができる。
第1のアルコールは、その炭素数が5〜30のものであるのが好ましく、8〜30のものであるのがより好ましい。このような炭素数のアルコールは、常温で液状であるか、または半固形状(固形状)であっても比較的低温で液状とすることができる。このため、後述する処理液により無機酸化物膜31を処理する際の取り扱いが容易である。
また、このような炭素数のアルコールは、液晶分子に対する親和性がより高いため、液晶分子に対する垂直アンカリング力を確実に増大させることができる。
また、この第1のアルコールとしては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環アルコール、複素環アルコール、多価アルコールまたはこれらのハロゲン置換体(特に、フッ素置換体)が挙げられるが、これらの中でも、脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはそのフッ素置換体(フルオロアルコール)が好ましい。脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはそのフッ素置換体を用いることにより、液晶分子に対する垂直アンカリング力がさらに増大し、液晶分子をより確実に垂直配向させることができる。
また、脂環アルコールまたはそのフッ素置換体は、ステロイド骨格を有するものがより好ましい。ステロイド骨格を有する脂環アルコールまたはそのフッ素置換体は、平面性の高い構造を有するため、液晶分子を配向制御する機能に特に優れるものである。
これらのことを考慮した場合、第1のアルコールとしては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール等の脂肪族アルコール、コレステロール、エピコレステロール、コレスタノール、エピコレスタノール、エルゴスタノール、エピエルゴスタノール、コプロスタノール、エピコプロスタノール、α−エルゴステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール等の脂環アルコールまたはこれらのフッ素置換体が好適である。
また、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体は、その炭化水素部分またはフッ化炭素部分(主骨格部分)が、直鎖状をなすもの、分枝状をなすもののいずれであってもよい。
その他、第1のアルコールとしては、例えば、ヘキサノール、ヘプタノール、トリアコンタノール等の脂肪族アルコール、シクロヘキサノール、4−メチル−シクロヘキサノール、シクロペンタノール等の脂環アルコール、フェノール、ベンジルアルコール、p−クロル−ベンジルアルコール等の芳香族アルコール、フルフリルアルコール等の複素環アルコール、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールまたはこれらのフッ素置換体を用いることができる。
一方、第2のアルコールは、その炭素数が1〜4のものであるのが好ましく、1〜3のものであるのがより好ましい。このような炭素数の第1のアルコールは、分子サイズが小さいため、細孔30の奥深くにまで確実に浸透させることができる。
また、この第2のアルコールとしては、脂肪族アルコール、多価アルコールまたはこれらのハロゲン置換体(特に、フッ素置換体)が挙げられるが、これらの中でも、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体(フルオロアルコール)が好ましい。脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体は、その分子構造が直線に近いため、細孔30の奥深くにまでより確実に浸透させることができる。
このような第2のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらのフッ素置換体が好適である。
その他、第2のアルコールには、例えば、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールまたはそのフッ素置換体を用いることができる。
なお、液晶分子には、フッ素化されたものが多いことから、フッ素置換体を用いることにより、液晶分子との親和性が向上し、液晶分子を垂直配向させる効果がより高まる。
また、第1のアルコールの炭素数をAとし、第2のアルコールの炭素数をBとしたとき、A−Bが3以上なる関係を満足するのが好ましく、5以上なる関係を満足するのがより好ましい。このような炭素数の関係を満足する2種のアルコールを組み合わせて用いることにより、液晶パネル1Aの特性および耐光性(耐久性)の双方のさらなる向上を図ることができる。
また、この場合、無機酸化物膜31の表面付近に化学結合した第1のアルコールと第2のアルコールとのモル比率は、50:50〜95:5程度であるのが好ましく、60:40〜90:10程度であるのがより好ましい。これにより、液晶分子を確実に垂直配向させる効果、および、経時的に液晶分子に配向異常が生じるのを防止する効果がより顕著に発揮される。
なお、無機酸化物膜31の表面付近に化学結合する第1のアルコールと第2のアルコールとの比率は、例えば、後述する第1の製造方法においては処理液中における第1のアルコールと第2のアルコールとの配合比、第1のアルコールおよび第2のアルコールの種類や分子量、アルコールを無機酸化物膜31に化学結合させる際の条件等を適宜設定することにより調整することができる。
このような配向膜3Aの平均厚さは、特に限定されないが、20〜300nm程度であるのが好ましく、20〜150nm程度であるのがより好ましく、20〜80nm程度であるのがさら好ましい。配向膜3Aの厚さが薄過ぎると、液晶分子が直接、透明導電膜5、6に接触し、ショートするのを十分に防止することができないおそれがある。一方、配向膜3Aの厚さが厚過ぎると、液晶パネル1Aの駆動電圧が高くなり、消費電力が大きくなる可能性がある。
配向膜3Aの外表面(図1中上面)側には、透明導電膜5が配置されている。同様に、配向膜4Aの外表面(図1中下面)側には、透明導電膜6が配置されている。
透明導電膜5、6は、これらの間で充放電を行うことにより、液晶層2が含有する液晶分子の配向を変化させる機能を有する。
透明導電膜5、6間での充放電の制御は、透明導電膜5、6に接続された制御回路(図示せず)から供給する電流を制御することにより行われる。
透明導電膜5、6は、導電性を有しており、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO)等で構成されている。
透明導電膜5の外表面(図1中上面)側には、基板9が配置されている。同様に、透明導電膜6の外表面(図1中下面)側には、基板10が配置されている。
基板9、10は、前述した液晶層2、配向膜3A、4A、透明導電膜5、6、および後述する偏光膜7A、8Aを支持する機能を有している。
基板9、10の構成材料としては、例えば、石英ガラスのような各種ガラス材料、ポリエチレンテレフタレートのような各種プラスチック材料等が挙げられるが、これらの中でも、特に、各種ガラス材料が好ましい。これにより、そり、たわみ等の生じにくい、より安定性に優れた液晶パネル1Aを得ることができる。
基板9の外表面(図1中上面)側には、偏光膜(偏光板、偏光フィルム)7Aが配置されている。同様に、基板10の外表面(図1中下面)側には、偏光膜(偏光板、偏光フィルム)8Aが配置されている。
偏光膜7A、8Aの構成材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。また、偏光膜としては、前記材料にヨウ素をドープしたもの等を用いてもよい。
偏光膜としては、例えば、上記材料で構成された膜を一軸方向に延伸したものを用いることができる。
このような偏光膜7A、8Aを配置することにより、通電量の調節による光の透過率の制御をより確実に行うことができる。
偏光膜7A、8Aの偏光軸の方向は、通常、配向膜3A、4Aの配向方向(本実施形態では、電圧印加時)に応じて決定される。
次に、本発明の無機酸化物膜の処理方法を適用した電子デバイス用基板の製造方法について説明する。
<第1の製造方法>
まず、本発明の電子デバイス用基板の製造方法の第1実施形態(第1の製造方法)について説明する。
電子デバイス用基板の第1の製造方法は、[1A]無機酸化物膜形成工程と、[2A]処理液Sへの浸漬工程と、[3A]処理液Sの浸透工程と、[4A]アルコールの反応工程とを有している。
なお、工程[2A]〜[4A]および後述する工程[4B]〜[6B]では、例えば、図3に示すような処理装置900が用いられる。
図3に示す処理装置900は、チャンバ910と、チャンバ910内に設けられたステージ950と、ステージ950上に配置された容器920と、容器920内に処理液Sを供給する給液手段960と、容器920内の処理液Sを排液する排液手段940と、チャンバ910内の排気を行う排気手段930とを有している。
また、ステージ950には、例えば、ヒータ等の加熱手段(図示せず)が設けられている。
排気手段930は、ポンプ932と、ポンプ932とチャンバ910とを連通する排気ライン931と、排気ライン931の途中に設けられたバルブ933とで構成されている。
また、排液手段940は、処理液Sを回収する回収タンク944と、回収タンク944と容器920とを連通する排液ライン941と、排液ライン941の途中に設けられたポンプ942およびバルブ943とで構成されている。
また、給液手段960は、処理液Sを貯留する貯留タンク964と、貯留タンク964から処理液Sを容器920に導く給液ライン961と、給液ライン961の途中に設けられたポンプ962およびバルブ963とで構成されている。
また、排液手段940および給液手段960には、それぞれ、図示しない加熱手段(例えば、ヒーター等)が設けられ、処理液Sを加熱し得るよう構成されている。
以下、各工程について、順に説明する。
[1A]無機酸化物膜形成工程
まず、基材100上(基板9の一方の面側)に、斜方蒸着法により無機酸化物膜31を形成する。斜方蒸着法を用いることにより、複数の細孔30を有する無機酸化物膜31が得られる。
ここで、蒸発源から気化した無機酸化物が、基材100の上面に到達する角度を適宜設定することにより、細孔30の基材100の上面に対する角度を調整することができる。
また、基材100と蒸発源とは、できる限り離間しているのが好ましい。基材100と蒸発源とが十分に離間することにより、蒸発源から気化した無機酸化物がほぼ等しい方向から基材100の表面に到達するようになる。これにより、より配向性の高い無機酸化物膜31が形成される。
[2A]処理液Sへの浸漬工程
次に、無機酸化物膜31が形成された基材100を、前述したような第1のアルコールおよび第2のアルコールを含有する処理液Sに浸漬する。
具体的には、チャンバ910を開放し、無機酸化物膜31が形成された基材100を搬入して、容器920内に設置する。
次に、チャンバ910を密閉した状態とし、ポンプ962を作動し、この状態で、バルブ963を開くことにより、給液ライン961を介して、処理液Sを貯留タンク964から容器920内に供給する。
そして、容器920内に所定量の処理液S、すなわち、基材100が完全に漬かる量の処理液を供給すると、ポンプ962を停止するとともに、バルブ963を閉じる。
ここで、アルコールとしては、常温で液状のものであっても、常温で固形状または半固形状のものであってもよい。
常温で液状のアルコールを用いる場合、処理液Sには、このアルコールそのもの(アルコールの含有量がほぼ100%のもの)を用いることができる他、適当な溶媒にアルコールを混合して用いることができる。
また、常温で固形状または半固形状のアルコールを用いる場合、処理液Sには、このアルコールを加熱により液状としたものを用いることができる他、適当な溶媒にアルコールを溶解して用いることができる。
アルコールを溶媒に混合または溶解する場合、溶媒には、アルコールを混合または溶解可能であり、かつ、アルコールより極性の低いものが選択される。これにより、溶媒が、後工程[4A]における無機酸化物膜31の水酸基とアルコールとの反応を妨げることを防止することができ、化学反応を確実に生じさせることができる。
また、アルコールとして第1のアルコールと第2のアルコールとを含むものを用いる場合、これらの配合比は、モル比で70:30〜90:10程度であるのが好ましく、75:25〜85:15程度であるのがより好ましい。このような範囲の配合比とすることにより、第1のアルコールを細孔30の奥深くにまでより確実に化学結合させることができるとともに、無機酸化物膜31の表面付近においては、第1のアルコールと第2のアルコールとの比率を、より確実に前述したような範囲に調整することができる。
[3A]処理液Sの浸透工程
次に、チャンバ910内(処理液Sが設置された空間)を減圧することにより、無機酸化物膜31の細孔30内に処理液Sを浸透させる。
具体的には、チャンバ910を密閉した状態とし、ポンプ932を作動し、この状態で、バルブ933を開くことにより、排気ライン931を介して、チャンバ910内の気体を処理装置900外に排出する。
チャンバ910内の圧力が徐々に低下することにより、処理液S中および無機酸化物膜31の細孔30内の気体(例えば空気等)が取り除かれ、細孔30内に処理液Sが浸透していく。
そして、チャンバ910内が所定の圧力になると、ポンプ932を停止するとともに、バルブ933を閉じる。
このチャンバ910内(空間)の所定の圧力、すなわち、チャンバ910内の真空度は、10−4〜10Pa程度であるのが好ましく、10−2〜10Pa程度であるのがより好ましい。これにより、無機酸化物膜31の細孔30内から十分に空気が取り除かれ、細孔30内に処理液Sを十分に浸透させることができる。
次に、ポンプ942を作動し、この状態で、バルブ943を開くことにより、容器920内の余剰の処理液Sを排液ライン941を介して回収タンク944に回収する。
そして、容器920内から処理液Sのほぼ全てが回収されると、ポンプ942を停止するとともに、バルブ943を閉じる。
[4A]アルコールの反応工程
次に、無機酸化物膜31の表面および細孔30の内面に、アルコールを化学結合(エーテル結合)させる。
具体的には、ステージ950に設けられた加熱手段を作動させることにより、無機酸化物膜31が形成された基材100を加熱する。
これにより、無機酸化物膜31の表面および細孔30の内面に存在する水酸基と、アル
コールが有する水酸基との間にエーテル化反応が生じ、無機酸化物膜31の表面および細
孔30の内面に、アルコールが化学結合する。
その結果、無機酸化物膜31の表面および細孔30の内面に沿って、アルコールの主骨
格部分を主としてなる被膜32が形成され、配向膜3Aが得られる。
なお、この加熱を行うのに先立って、必要に応じて、再度、チャンバ910内を減圧するようにしてもよい。
基材100の加熱温度は、特に限定されないが、80〜250℃程度であるのが好ましく、100〜200℃程度であるのがより好ましい。加熱温度が低過ぎると、アルコールの種類や、無機酸化物の種類等によっては、無機酸化物膜31にアルコールを十分に化学結合させることができないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
また、基材100の加熱時間も、特に限定されないが、20〜180分程度であるのが好ましく、40〜100分程度であるのがより好ましい。加熱時間が短過ぎると、加熱温度等の他の条件によっては、無機酸化物膜31にアルコールを十分に化学結合させることができないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
以上のように、無機酸化物膜31の表面および細孔30の内面に存在する水酸基と、アルコールとを反応させる方法として、加熱による方法を用いることにより、前記反応を比較的容易かつ確実に行うことができる。
なお、前記反応は、加熱による方法に限定されず、例えば、紫外線の照射、赤外線の照射等により行うこともできる。これらの場合、各処理を行うのに必要な機構(手段)が処理装置900に設けられる。
なお、第1の製造方法では、処理液Sは、第1のアルコールと第2のアルコールとを含有するため、第1のアルコールと第2のアルコールとは、相溶性の高いものであるのが好ましく、具体的には、いずれも、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体を用いるのが好ましい。
<第2の製造方法>
次に、本発明の電子デバイス用基板の製造方法の第2実施形態(第2の製造方法)について説明する。
以下、第2の製造方法について、前記第1の製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
電子デバイス用基板の第2の製造方法は、[1B]無機酸化物膜形成工程と、[2B]第1の処理液S1の接触工程と、[3B]アルコールの反応工程と、[4B]第2の処理液S2への浸漬工程と、[5B]第2の処理液S2の浸透工程と、[6B]アルコールの反応工程とを有している。
以下、各工程について、順に説明する。
[1B]無機酸化物膜形成工程
本工程[1B]は、前記工程[1A]と同様の条件で行う。
[2B]第1の処理液S1の接触工程
次に、常圧下で、無機酸化物膜31に、前述したような第1のアルコールを含有する第1の処理液S1を接触させる。
無機酸化物膜31に第1の処理液S1を接触させる方法としては、例えば、無機酸化物膜31に第1の処理液S1を塗布する方法(塗布法)、無機酸化物膜31が形成された基材100を第1の処理液S1に浸漬する方法(浸漬法)、無機酸化物膜31を第1の処理液S1の蒸気に曝す方法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、塗布法には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等を用いることができる。
また、第1の処理液S1としては、前記処理液Sと同様のものを用いることができる。
[3B]アルコールの反応工程
本工程[3B]は、前記工程[4A]と同様の条件で行う。
[4B]第2の処理液S2への浸漬工程
本工程[4B]は、前記工程[2A]と同様の条件で行う。
また、第2の処理液S2としては、前記処理液Sと同様のものを用いることができ、第2の処理液S2中のアルコールの濃度は、70vol%以上であるのが好ましく、85vol%以上であるのがより好ましい。
[5B]第2の処理液S2の浸透工程
本工程[5B]は、前記工程[3A]と同様の条件で行う。
[6B]アルコールの反応工程
本工程[6B]は、前記工程[4A]と同様の条件で行う。
このような第2の製造方法によっても、前記第1の製造方法と同様の効果が得られる。
なお、第2の製造方法によれば、第1の処理液S1と、第2の処理液S2とを、それぞれ用いて、無機酸化物膜31を処理するため、第1のアルコールと第2のアルコールとの相溶性等を考慮することなく、用いる第1のアルコールの種類と第2のアルコールの種類とを選択することができる。すなわち、第1のアルコールと第2のアルコールの選択の幅が広がるという利点がある。
また、この場合、第1の処理液S1は、さらに、前記第2のアルコールより分子量が大きく、かつ、前記第1のアルコールおよび前記第2のアルコールと異種の第3のアルコールを含有するのが好ましい。
具体的には、第1のアルコールとして、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体を用い、第3のアルコールとして、その炭素数が5〜30(好ましくは8〜30)の脂環アルコールまたはそのフッ素置換体を、組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、かかる第3のアルコールにより、第1のアルコールの配向安定性を向上させることができるようになる。
なお、第2の製造方法において、第1の処理液S1による処理と第2の処理液S2による処理とは、逆に行うようにしてもよい。
以上、配向膜3Aを形成する場合について説明したが、配向膜4Aを形成する場合についても同様である。
<第2実施形態>
次に、本発明の液晶パネルの第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の液晶パネルの第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。なお、図4では、シール材、配線等の記載は省略した。また、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4に示す液晶パネル(TFT液晶パネル)1Bは、TFT基板(液晶駆動基板)17と、TFT基板17に接合された配向膜3Bと、液晶パネル用対向基板12と、液晶パネル用対向基板12に接合された配向膜4Bと、配向膜3Bと配向膜4Bとの空隙に封入された液晶分子を含有する液晶層2と、TFT基板(液晶駆動基板)17の外表面(上面)側に接合された偏光膜7Bと、液晶パネル用対向基板12の外表面(下面)側に接合された偏光膜8Bとを有している。
このような構成において、TFT基板17と配向膜3Bとにより、また、液晶パネル用対向基板12と配向膜4Bとにより、それぞれ、本発明の電子デバイス用基板が構成されている。
なお、配向膜3B、4Bは、前記第1実施形態で説明した配向膜3A、4Aと同様の構成のものであり、偏光膜7B、8Bは、前記第1実施形態で説明した偏光膜7A、8Aと同様の構成のものである。
液晶パネル用対向基板12は、マイクロレンズ基板11と、かかるマイクロレンズ基板11の表層114上に設けられ、開口131が形成されたブラックマトリックス13と、表層114上にブラックマトリックス13を覆うように設けられた透明導電膜(共通電極)14とを有している。
マイクロレンズ基板11は、凹曲面を有する複数(多数)の凹部(マイクロレンズ用凹部)112が設けられたマイクロレンズ用凹部付き基板111と、かかるマイクロレンズ用凹部付き基板111の凹部112が設けられた面に樹脂層(接着剤層)115を介して接合された表層114とを有している。
また、樹脂層115では、凹部112内に充填された樹脂によりマイクロレンズ113が形成されている。
マイクロレンズ用凹部付き基板111は、平板状の母材(透明基板)より製造され、その表面には、複数(多数)の凹部112が形成されている。
凹部112は、例えば、マスクを用いた、ドライエッチング法、ウェットエッチング法等により形成することができる。
このマイクロレンズ用凹部付き基板111は、例えば、ガラス等で構成されている。
前記母材の熱膨張係数は、ガラス基板171の熱膨張係数とほぼ等しいもの(例えば両者の熱膨張係数の比が1/10〜10程度)であることが好ましい。これにより、得られる液晶パネル1Bでは、温度が変化したときに二者の熱膨張係数が違うことにより生じるそり、たわみ、剥離等が防止される。
かかる観点からは、マイクロレンズ用凹部付き基板111と、ガラス基板171とは、同種類の材質で構成されていることが好ましい。これにより、温度変化時の熱膨張係数の相違によるそり、たわみ、剥離等が効果的に防止される。
特に、マイクロレンズ基板11を高温ポリシリコンのTFT液晶パネルに用いる場合には、マイクロレンズ用凹部付き基板111は、石英ガラスで構成されていることが好ましい。TFT液晶パネルは、液晶駆動基板としてTFT基板を有している。かかるTFT基板には、製造時の環境により特性が変化しにくい石英ガラスが好ましく用いられる。このため、これに対応させて、マイクロレンズ用凹部付き基板111を石英ガラスで構成することにより、そり、たわみ等の生じにくい、安定性に優れたTFT液晶パネル1Bを得ることができる。
マイクロレンズ用凹部付き基板111の上面には、凹部112を覆う樹脂層(接着剤層)115が設けられている。
凹部112内には、樹脂層115の構成材料が充填されることにより、マイクロレンズ113が形成されている。
樹脂層115は、例えば、マイクロレンズ用凹部付き基板111の構成材料の屈折率よりも高い屈折率の樹脂(接着剤)で構成することができ、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系のような紫外線硬化樹脂等で好適に構成することができる。
樹脂層115の上面には、平板状の表層114が設けられている。
表層(ガラス層)114は、例えばガラスで構成することができる。この場合、表層114の熱膨張係数は、マイクロレンズ用凹部付き基板111の熱膨張係数とほぼ等しいもの(例えば両者の熱膨張係数の比が1/10〜10程度)とすることが好ましい。これにより、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114の熱膨張係数の相違により生じるそり、たわみ、剥離等が防止される。このような効果は、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114とを同種類の材料で構成すると、より効果的に得られる。
表層114の平均厚さは、マイクロレンズ基板11が液晶パネルに用いられる場合、必要な光学特性を得る観点からは、通常、5〜1000μm程度とされ、より好ましくは10〜150μm程度とされる。
なお、表層(バリア層)114は、例えばセラミックスで構成することもできる。なお、セラミックスとしては、例えば、AlN、SiN、TiN、BN等の窒化物系セラミックス、Al、TiO等の酸化物系セラミックス、WC、TiC、ZrC、TaC等の炭化物系セラミックスなどが挙げられる。
表層114をセラミックスで構成する場合、表層114の平均厚さは、特に限定されないが、20nm〜20μm程度とすることが好ましく、40nm〜1μm程度とすることがより好ましい。
なお、このような表層114は、必要に応じて省略することができる。
ブラックマトリックス13は、遮光機能を有し、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Ti等の金属、カーボンやチタン等を分散した樹脂等で構成されている。
透明導電膜14は、導電性を有し、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO)等で構成されている。
TFT基板17は、液晶層2が含有する液晶分子を駆動(配向制御)する基板であり、ガラス基板171と、かかるガラス基板171上に設けられ、マトリックス状(行列状)に配設された複数(多数)の画素電極172と、各画素電極172に対応する複数(多数)の薄膜トランジスタ(TFT)173とを有している。
ガラス基板171は、前述したような理由から、石英ガラスで構成されていることが好ましい。
画素電極172は、透明導電膜(共通電極)14との間で充放電を行うことにより、液晶層2の液晶分子を駆動する。この画素電極172は、例えば、前述した透明導電膜14と同様の材料で構成されている。
薄膜トランジスタ173は、近傍の対応する画素電極172に接続されている。また、薄膜トランジスタ173は、図示しない制御回路に接続され、画素電極172へ供給する電流を制御する。これにより、画素電極172の充放電が制御される。
配向膜3Bは、TFT基板17の画素電極172と接合しており、配向膜4Bは、液晶パネル用対向基板12の透明導電膜14と接合している。
液晶層2は、液晶分子(液晶材料)を含有しており、画素電極172の充放電に対応して、かかる液晶分子の配向が変化する。
このような液晶パネル1Bでは、通常、1個のマイクロレンズ113と、かかるマイクロレンズ113の光軸Qに対応したブラックマトリックス13の1個の開口131と、1個の画素電極172と、かかる画素電極172に接続された1個の薄膜トランジスタ173とが、1画素に対応している。
液晶パネル用対向基板12側から入射した入射光Lは、マイクロレンズ用凹部付き基板111を通り、マイクロレンズ113を通過する際に集光されつつ、樹脂層115、表層114、ブラックマトリックス13の開口131、透明導電膜14、液晶層2、画素電極172、ガラス基板171を透過する。
このとき、マイクロレンズ基板11の入射側に偏光膜8Bが設けられているため、入射光Lが液晶層2を透過する際に、入射光Lは直線偏光となっている。
その際、この入射光Lの偏光方向は、液晶層2の液晶分子の配向状態に対応して制御される。したがって、液晶パネル1Bを透過した入射光Lを偏光膜7Bに透過させることにより、出射光の輝度を制御することができる。
このように、液晶パネル1Bは、マイクロレンズ113を有しており、しかも、マイクロレンズ113を通過した入射光Lは、集光されてブラックマトリックス13の開口131を通過する。
一方、ブラックマトリックス13の開口131が形成されていない部分では、入射光Lは遮光される。したがって、液晶パネル1Bでは、画素以外の部分から不要光が漏洩することが防止され、かつ、画素部分での入射光Lの減衰が抑制される。このため、液晶パネル1Bは、画素部で高い光の透過率を有する。
この液晶パネル1Bは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、公知の方法により製造されたTFT基板17と液晶パネル用対向基板12とを用意する。
次に、これらを用いて、本発明の電子デバイス用基板の製造方法により、それぞれ、配向膜3B、4Bを形成して、本発明の電子デバイス用基板を得る。
次に、シール材(図示せず)を介して両者を接合し、これにより形成された空隙部の封入孔(図示せず)から液晶を空隙部内に注入した後、かかる封入孔を塞ぐ。
なお、上記液晶パネル1Bでは、液晶駆動基板としてTFT基板を用いたが、液晶駆動基板にTFT基板以外の他の液晶駆動基板、例えば、TFD基板、STN基板などを用いてもよい。
次に、前述したような液晶パネル1Aを備える本発明の電子機器(液晶表示装置)について、図5〜図7に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。バックライトからの光を液晶パネル1Aに透過させることにより画像(情報)を表示し得るものである。
図6は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。
図7は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとが設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、液晶パネル1Aは、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が液晶パネル1Aに表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
次に、本発明の電子機器の一例として、上記液晶パネル1Bを用いた電子機器(液晶プロジェクタ)について説明する。
図8は、本発明の電子機器(投射型表示装置)の光学系を模式的に示す図である。
同図に示すように、投射型表示装置300は、光源301と、複数のインテグレータレンズを備えた照明光学系と、複数のダイクロイックミラー等を備えた色分離光学系(導光光学系)と、赤色に対応した(赤色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)24と、緑色に対応した(緑色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)25と、青色に対応した(青色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)26と、赤色光のみを反射するダイクロイックミラー面211および青色光のみを反射するダイクロイックミラー面212が形成されたダイクロイックプリズム(色合成光学系)21と、投射レンズ(投射光学系)22とを有している。
また、照明光学系は、インテグレータレンズ302および303を有している。色分離光学系は、ミラー304、306、309、青色光および緑色光を反射する(赤色光のみを透過する)ダイクロイックミラー305、緑色光のみを反射するダイクロイックミラー307、青色光のみを反射するダイクロイックミラー(または青色光を反射するミラー)308、集光レンズ310、311、312、313および314とを有している。
液晶ライトバルブ25は、前述した液晶パネル1Bを備えている。液晶ライトバルブ24および26も、液晶ライトバルブ25と同様の構成となっている。これら液晶ライトバルブ24、25および26が備えている液晶パネル1Bは、図示しない駆動回路にそれぞれ接続されている。
なお、投射型表示装置300では、ダイクロイックプリズム21と投射レンズ22とで、光学ブロック20が構成されている。また、この光学ブロック20と、ダイクロイックプリズム21に対して固定的に設置された液晶ライトバルブ24、25および26とで、表示ユニット23が構成されている。
以下、投射型表示装置300の作用を説明する。
光源301から出射された白色光(白色光束)は、インテグレータレンズ302および303を透過する。この白色光の光強度(輝度分布)は、インテグレータレンズ302および303により均一にされる。光源301から出射される白色光は、その光強度が比較的大きいものであるのが好ましい。これにより、スクリーン320上に形成される画像をより鮮明なものとすることができる。また、投射型表示装置300では、耐光性に優れた液晶パネル1Bを用いているため、光源301から出射される光の強度が大きい場合であっても、優れた長期安定性が得られる。
インテグレータレンズ302および303を透過した白色光は、ミラー304で図8中左側に反射し、その反射光のうちの青色光(B)および緑色光(G)は、それぞれダイクロイックミラー305で図8中下側に反射し、赤色光(R)は、ダイクロイックミラー305を透過する。
ダイクロイックミラー305を透過した赤色光は、ミラー306で図8中下側に反射し、その反射光は、集光レンズ310により整形され、赤色用の液晶ライトバルブ24に入射する。
ダイクロイックミラー305で反射した青色光および緑色光のうちの緑色光は、ダイクロイックミラー307で図8中左側に反射し、青色光は、ダイクロイックミラー307を透過する。
ダイクロイックミラー307で反射した緑色光は、集光レンズ311により整形され、緑色用の液晶ライトバルブ25に入射する。
また、ダイクロイックミラー307を透過した青色光は、ダイクロイックミラー(またはミラー)308で図8中左側に反射し、その反射光は、ミラー309で図8中上側に反射する。前記青色光は、集光レンズ312、313および314により整形され、青色用の液晶ライトバルブ26に入射する。
このように、光源301から出射された白色光は、色分離光学系により、赤色、緑色および青色の三原色に色分離され、それぞれ、対応する液晶ライトバルブに導かれ、入射する。
この際、液晶ライトバルブ24が有する液晶パネル1Bの各画素(薄膜トランジスタ173とこれに接続された画素電極172)は、赤色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路(駆動手段)により、スイッチング制御(オン/オフ)、すなわち変調される。
同様に、緑色光および青色光は、それぞれ、液晶ライトバルブ25および26に入射し、それぞれの液晶パネル1Bで変調され、これにより緑色用の画像および青色用の画像が形成される。この際、液晶ライトバルブ25が有する液晶パネル1Bの各画素は、緑色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御され、液晶ライトバルブ26が有する液晶パネル1Bの各画素は、青色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御される。
これにより赤色光、緑色光および青色光は、それぞれ、液晶ライトバルブ24、25および26で変調され、赤色用の画像、緑色用の画像および青色用の画像がそれぞれ形成される。
前記液晶ライトバルブ24により形成された赤色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ24からの赤色光は、面213からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211で図8中左側に反射し、ダイクロイックミラー面212を透過して、出射面216から出射する。
また、前記液晶ライトバルブ25により形成された緑色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ25からの緑色光は、面214からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211および212をそれぞれ透過して、出射面216から出射する。
また、前記液晶ライトバルブ26により形成された青色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ26からの青色光は、面215からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面212で図8中左側に反射し、ダイクロイックミラー面211を透過して、出射面216から出射する。
このように、前記液晶ライトバルブ24、25および26からの各色の光、すなわち液晶ライトバルブ24、25および26により形成された各画像は、ダイクロイックプリズム21により合成され、これによりカラーの画像が形成される。この画像は、投射レンズ22により、所定の位置に設置されているスクリーン320上に投影(拡大投射)される。
本実施形態の投射型表示装置300は、3個の液晶パネルを有するものであり、これらの全てに液晶パネル1Bを適用したものについて説明したが、これらのうちの少なくとも1つが、液晶パネル1Bであればよい。この場合、少なくとも、青色用の液晶ライトバルブに液晶パネル1Bを適用するのが好ましい。
なお、本発明の電子機器は、図5のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図6の携帯電話機、図7のディジタルスチルカメラ、図8の投射型表示装置の他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータなどが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部、モニタ部として、前述した本発明の液晶パネルが適用可能なことは言うまでもない。
以上、本発明の無機酸化物膜の処理方法、電子デバイス用基板、電子デバイス用基板の製造方法、液晶パネルおよび電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の無機酸化物膜の処理方法および電子デバイス用基板の製造方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、本発明の無機酸化物膜の処理方法は、各種用途の無機酸化物膜の処理に適用することができる。
また、例えば、本発明の電子デバイス用基板、液晶パネルおよび電子機器では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、本発明の電子デバイス用基板は、前記実施形態で説明した構成の液晶パネルへの適用に限定されず、例えば、同一基板上に、液晶層に電圧を印加する一対の電極を設けた構成の液晶パネルに適用することができる。
さらに、本発明の電子デバイス用基板は、液晶パネルへの適用に限定されず、例えば、有機トランジスタ等に適用することもできる。この場合、かかる電子デバイス用基板を用いることにより、有機半導体層の配向方向を規制して、キャリア移動度の向上を図ることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.電子デバイス用基板の製造
(サンプルNo.1)
<1A> まず、ガラス基板(2.5cm×2.5cmの正方形)を用意し、真空蒸着装置に基板面が蒸着源に対して50°となるようにセットした。
そして、蒸着装置内を減圧(10−4Pa)し、SiOを斜方蒸着して、斜方蒸着膜(無機酸化物膜)付き基板を作製した。
なお、得られた斜方蒸着膜は、その細孔のガラス基板の上面に対する角度が約70°であった。
<2A> 次に、斜方蒸着膜付き基板を、クリーンオーブン中、200℃×90分間で加熱し、加熱終了直後、乾燥窒素雰囲気中に移動し、そのまま放置した。
<3A> 次に、1−オクタノール(第1のアルコール)と2−プロパノール(第2のアルコール)との混合液(重量比=80:20)を用意し、ろ過フィルターを用いてイオン性不純物を除去した後、窒素バブリングにより微量含有水分を除去して、処理液を調整した。
<4A> 次に、図3に示す処理装置内に、斜方蒸着膜付き基板を搬入し、容器(ポリテトラフルオロエチレン製)内に、斜方蒸着膜を上にして設置した。
そして、チャンバを密閉した後、準備した処理液を容器内に供給して、斜方蒸着膜付き基板を処理液に浸漬させた。
<5A> 次に、前記工程<4A>の状態で、チャンバ内を100Paに減圧した。
これにより、斜方蒸着膜の細孔内の気体を処理液に置換した。すなわち、細孔内に処理液を浸透させた。
<6A> 次に、過剰な処理液を容器から排出した後、再度、チャンバ内を133Pa(1Torr)に減圧し、基板を150℃×1時間で加熱した。
これにより、斜方蒸着膜の表面および細孔の内面に、1−オクタノールおよび2−プロパノールを化学結合させた。
<7A> 加熱終了後、減圧状態を維持しつつ、放冷した。
以上のようにして、電子デバイス用基板を得た。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが45nmであった。
また、斜方蒸着膜の表面付近に化学結合した1−オクタノールと2−プロパノールとのモル比率は、70:30であった。これは、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS分析)により確認した(以下において同様である)。
(サンプルNo.2)
<1B> まず、前記工程<1A>と同様の工程を行った。
<2B> 次に、前記工程<2A>と同様の工程を行った。
<3B> 次に、1−オクタデカノール(第1のアルコール)をジエチルエーテル(溶媒)に溶解し、ろ過フィルターを用いてイオン性不純物を除去した後、窒素バブリングにより微量含有水分を除去して、第1の処理液を調整した。
なお、第1の処理液中の1−オクタデカノールの濃度は、90vol%とした。
<4B> 次に、第1の処理液をスピンコート法により、斜方蒸着膜に塗布した後、乾燥した。
<5B> 次に、大気圧下に、基板を150℃×1時間で加熱した。
これにより、斜方蒸着膜の表面付近に、1−オクタデカノールを化学結合させた。
<6B> 次に、2−プロパノール(第2のアルコール)を用意し、ろ過フィルターを用いてイオン性不純物を除去した後、窒素バブリングにより微量含有水分を除去して、第2の処理液を調整した。
<7B> 次に、前記工程<4A>と同様の工程を行った。
<8B> 次に、前記工程<5A>と同様の工程を行った。
これにより、斜方蒸着膜の細孔内の気体を第2の処理液に置換した。すなわち、細孔内に第2の処理液を浸透させた。
<9B> 次に、前記工程<6A>と同様の工程を行った。
これにより、斜方蒸着膜の表面および細孔の内面に、2−プロパノールを化学結合させた。
<10B> 次に、前記工程<7A>と同様の工程を行った。
以上のようにして、電子デバイス用基板を得た。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが45nmであった。
また、斜方蒸着膜の表面付近に化学結合した1−オクタデカノールと2−プロパノールとの比率は、モル比で80:20であった。
(サンプルNo.3)
第1のアルコールとして、コレステロールを用い、溶媒としてトルエンを用いた以外は、前記サンプルNo.2と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが46nmであった。
また、斜方蒸着膜の表面付近に化学結合したコレステロールと2−プルパノールとの比率は、モル比で75:25であった。
(サンプルNo.4)
第1のアルコールとして、1−オクタデカノールおよびコレステロールを用い、溶媒としてトルエンを用いた以外は、前記サンプルNo.2と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、1−オクタデカノールとコレステロールとは、モル比で50:50となるようにして用いた。
また、得られた配向膜は、その平均厚さが48nmであった。
また、斜方蒸着膜の表面付近に化学結合した1−オクタデカノールとコレステロールと2−プロパノールとのモル比率は、重量比で40:35:25であった。
(サンプルNo.5)
SiOに代えて、Alを斜方蒸着して、斜方蒸着膜(無機酸化物膜)付き基板を作製した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが45nmであった。
また、斜方蒸着膜の表面付近に化学結合した1−オクタノールと2−プロパノールとのモル比率は、70:30であった。
(サンプルNo.6)
アルコールとして、1−オクタノールを単独で用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが45nmであった。
(サンプルNo.7)
アルコールとして、2−プロパノールを単独で用いた以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが42nmであった。
(サンプルNo.8)
前記工程<5A>において減圧を省略し、さらに、前記工程<6A>を省略した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが40nmであった。
(サンプルNo.9)
前記工程<5A>において減圧を省略した以外は、前記サンプルNo.1と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが45nmであった。
(サンプルNo.10)
前記工程<5A>において減圧を省略し、さらに、前記工程<6>を省略した以外は、前記サンプルNo.5と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが40nmであった。
(サンプルNo.11)
前記工程<5A>において減圧を省略した以外は、前記サンプルNo.5と同様にして、電子デバイス用基板を製造した。
なお、得られた配向膜は、その平均厚さが45nmであった。
2.アルコール結合量の評価
サンプルNo.1、5およびサンプルNo.8〜11の電子デバイス用基板を、それぞれ、200℃に加熱し、発生したガスを、GC−MS(株式会社島津製作所製、「GC−MS QP5050A」)で分析した。
そして、得られたGC−MSのチャートから、プロピレンに由来するピークの面積を時間積算して、各サンプルNo.の電子デバイス用基板において発生したプロピレンおよびオクテンの量を求めた。
なお、発生したプロピレンおよびオクテンの量は、それぞれ、斜方蒸着膜に化学結合した2−プロパノールおよび1−オクタノールの量に比例する。
この結果を、下記表1に示す。
Figure 0004670453
なお、表1には、サンプルNo.9の電子デバイス用基板で発生したプロピレンおよびオクテンの量を「1.0」とし、サンプルNo.1および8の電子デバイス用基板で発生したプロピレンおよびオクテンの量を、それぞれ、相対値で示した。
また、サンプルNo.11の電子デバイス用基板で発生したプロピレンおよびオクテンの量を「1.0」とし、それぞれ、サンプルNo.5および10の電子デバイス用基板で発生したプロピレンおよびオクテンの量を、それぞれ、相対値で示した。
表1に示すように、斜方蒸着膜を処理液に単に浸漬する(サンプルNo.8および10)のに対して、熱処理を行うこと(サンプルNo.9および11)により、斜方蒸着膜に化学結合したアルコールの量を増大させることができることが明らかとなった。
さらに、斜方蒸着膜をアルコールに浸漬する際に減圧すること(サンプルNo.1および5)により、斜方蒸着膜に化学結合したアルコールの量をより増大させることができることが明らかとなった。これは、減圧により、斜方蒸着膜の細孔の奥深くにまでアルコールが浸透し、斜方蒸着膜の細孔の内面に化学結合したアルコールの量が増大したことを示唆する結果である。
3.液晶パネルの製造
(実施例1)
まず、サンプルNo.1と同様にして製造した電子デバイス用基板を2枚用意した。
次に、一方の電子デバイス用基板に対し、配向膜を形成した面の外周部に沿って、液晶注入口となる部分を残して、熱硬化型接着剤(日本化薬社製、「ML3804P」)を印刷し、80℃×10分間加熱して溶媒を除去した。
なお、熱硬化型接着剤は、直径約3μmのシリカ球を混合したエポキシ樹脂である。
次に、他方の電子デバイス用基板の配向膜を形成した面を内側にして、2枚の基板を圧着しつつ、140℃×1時間で加熱することにより貼り合わせた。
なお、2枚の電子デバイス用基板は、配向膜の配向が互いに180°となるように配置した。
次に、2枚の基板を貼り合わせて形成された内側の空間に、液晶注入口から、フッ素系の負の誘電異方性液晶(メルク社製、「MLC−6610」)を真空注入法により注入した。
次に、液晶注入口をアクリル系のUV接着剤(ヘンケルジャパン社製、「LPD−204」)を用いて、波長365nmのUVを3000mJ/cm照射して硬化し、液晶注入口を封止した。
以上のようにして、液晶パネルを製造した。
(実施例2)
サンプルNo.2の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(実施例3)
サンプルNo.3の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(実施例4)
サンプルNo.4の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(実施例5)
サンプルNo.5の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(比較例1)
サンプルNo.6の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(比較例2)
サンプルNo.7の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(比較例3)
サンプルNo.8の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(比較例4)
サンプルNo.9の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(比較例5)
サンプルNo.10の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
(比較例6)
サンプルNo.11の電子デバイス用基板を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、液晶パネルを製造した。
4.液晶パネルの耐光性試験および配向安定性試験
耐光性試験としては、各実施例および各比較例で製造した液晶パネルを、それぞれ、図8に示す投射型表示装置の青色用の液晶ライトバルブとしてセットして、液晶パネルの表面温度を55℃に保ちつつ、光源を連続点灯し、表示異常が発生するまでの時間を測定した。
なお、光源には、130WUHPランプ(フィリップス社製)を用いた。
また、配向安定性試験としては、各実施例および各比較例で製造した液晶パネルを80℃の恒温槽内に放置し、100時間経過毎に、シール際の液晶配向異常領域の幅を測定し、初期の液晶配向異常領域の幅を「1.0」として、恒温槽内に放置後の異常領域の幅が「2.0」になるまでの時間を計測した。
この結果を、下記表2に示す。
Figure 0004670453
なお、表2には、比較例4の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を「1.0」とし、実施例1〜4および比較例1〜3の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を、それぞれ、相対値で示した。
また、比較例6の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を「1.0」とし、実施例5および比較例6の液晶パネルにおいて表示異常が発生するまでの時間を、それぞれ、相対値で示した。
表2に示すように、実施例1〜4の液晶パネルは、いずれも、比較例1、3および4の液晶パネルに対して、また、実施例5の液晶パネルは、比較例5および6の液晶パネルに対して、表示異常が発生するまでの時間が長くなることが明らかとなった。
これは、低分子量のアルコールが斜方蒸着膜の細孔の奥深くにまで浸透し、斜方蒸着膜の細孔の内面に化学結合したアルコールの量が増大したことを示唆する結果である。
また、表2の配向安定性の試験結果では、恒温槽内に放置後の異常領域の幅が「2.0」になるまで時間が、300時間未満を「×」、300時間以上600時間未満を「△」、600時間以上1000時間未満を「○」、1000時間以上放置しても幅が拡大しないものを「◎」とした。
実施例1〜4の液晶パネルと、比較例2の液晶パネルとを比較して、高分子量のアルコールを用いることにより、配向安定性が向上する傾向を示した。これは、高分子量のアルコールの液晶分子に対する垂直アンカリング力が上昇することによる効果であると考えられる。
また、アルコールとして、前述したような各種アルコールのフッ素置換体を用いて、前記と同様の電子デバイス用基板、および、液晶パネルを製造し、前記と同様にして評価を行ったところ、同様の結果が得られた。
本発明の液晶パネルの第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す液晶パネルが備える配向膜の構成を模式的に示す縦断面図である。 本発明の電子デバイス用基板の製造方法に用いる処理装置の構成を示す模式図である。 本発明の液晶パネルの第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した投射型表示装置の光学系を模式的に示す図である。
符号の説明
1A、1B……液晶パネル 2……液晶層 3A、3B……配向膜 30……細孔 31……無機酸化物膜 32……被膜 4A、4B……配向膜 5……透明導電膜 6……透明導電膜 7A、7B……偏光膜 8A、8B……偏光膜 9……基板 10……基板 100……基材 101……基材 11……マイクロレンズ基板 111……マイクロレンズ用凹部付き基板 112……凹部 113……マイクロレンズ 114……表層 115……樹脂層 12……液晶パネル用対向基板 13……ブラックマトリックス 131……開口 14……透明導電膜 17……TFT基板 171……ガラス基板 172……画素電極 173……薄膜トランジスタ 900……処理装置 910……チャンバ 920……容器 930……排気手段 931……排気ライン 932……ポンプ 933……バルブ 940……排液手段 941……排液ライン 942……ポンプ 943……バルブ 944……回収タンク 950……ステージ 960……給液手段 961……給液ライン 962……ポンプ 963……バルブ 964……貯留タンク S……処理液 S1……第1の処理液 S2……第2の処理液 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ 300……投射型表示装置 301……光源 302、303……インテグレータレンズ 304、306、309……ミラー 305、307、308……ダイクロイックミラー 310〜314……集光レンズ 320……スクリーン 20……光学ブロック 21……ダイクロイックプリズム 211、212……ダイクロイックミラー面 213〜215……面 216……出射面 22……投射レンズ 23……表示ユニット 24〜26……液晶ライトバルブ

Claims (14)

  1. 斜方蒸着法により形成され、複数の細孔を有する無機酸化物膜に、少なくとも第1のアルコールを含有する第1の処理液を接触させる工程と、
    前記無機酸化物膜の表面に、前記第1の処理液中のアルコールを化学結合させる工程と、
    前記無機酸化物膜を、少なくとも前記第1のアルコールより分子量の小さい第2のアルコールを含有する第2の処理液中に浸漬する工程と、
    該第2の処理液が設置された空間を減圧することにより、前記無機酸化物膜の細孔内に前記第2の処理液を浸透させる工程と、
    前記無機酸化物膜の表面および細孔の内面に、前記第2の処理液中のアルコールを化学結合させる工程とを有することを特徴とする液晶分子用の配向膜の無機酸化物膜の処理方法。
  2. 基板と、液晶層と、前記基板と前記液晶層との間に設けられた配向膜とを有する液晶パネルを製造する方法であって、
    前記基板の一方の面側に、斜方蒸着法により、複数の細孔を有する無機酸化物膜を形成する工程と、
    前記無機酸化物膜に、少なくとも第1のアルコールを含有する第1の処理液を接触させる工程と、
    前記無機酸化物膜の表面に、前記第1の処理液中のアルコールを化学結合させる工程と、
    前記無機酸化物膜が形成された基板を、少なくとも前記第1のアルコールより分子量の小さい第2のアルコールを含有する第2の処理液中に浸漬する工程と、
    該第2の処理液が設置された空間を減圧することにより、前記無機酸化物膜の細孔内に前記第2の処理液を浸透させる工程と、
    前記無機酸化物膜の表面および細孔の内面に、前記第2の処理液中のアルコールを化学結合させて、前記配向膜を得る工程とを有することを特徴とする液晶パネルの製造方法。
  3. 前記第1の処理液は、さらに、前記第2のアルコールより分子量が大きく、かつ、前記第1のアルコールおよび前記第2のアルコールと異種の第3のアルコールを含有する請求項2に記載の液晶パネルの製造方法。
  4. 前記第1の処理液中のアルコールを化学結合させる工程は、前記基板を加熱することにより行われる請求項2または3に記載の液晶パネルの製造方法。
  5. 前記基板の加熱温度は、80〜250℃である請求項4に記載の液晶パネルの製造方法。
  6. 前記第2の処理液を浸透させる工程において、前記空間の真空度は、10−4〜10Paである請求項2ないし5のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
  7. 前記第2の処理液中のアルコールを化学結合させる工程は、前記基板を加熱することにより行われる請求項2ないし6のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
  8. 前記基板の加熱温度は、80〜250℃である請求項7に記載の液晶パネルの製造方法。
  9. 前記第1のアルコールは、その炭素数が5〜30のものである請求項2ないし8のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
  10. 前記第1のアルコールは、脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはこれらのフッ素置換体である請求項2ないし9のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
  11. 前記脂環アルコールは、ステロイド骨格を有するものである請求項10に記載の液晶パネルの製造方法。
  12. 前記第2のアルコールは、その炭素数が1〜4のものである請求項2ないし11のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
  13. 前記第2のアルコールは、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体である請求項2ないし12のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
  14. 前記第1のアルコールの炭素数をAとし、第2のアルコールの炭素数をBとしたとき、A−Bが3以上になる関係を満足する請求項2ないし13のいずれかに記載の液晶パネルの製造方法。
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