JP2008002642A - 軸継手用ブーツ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性及び耐油性を両立させて耐久性の向上が図れる軸継手用ブーツを提供する。
【解決手段】 この軸継手用ブーツ1は、等速ジョイント3の端部を閉塞するように設けられ、一端側の小径端部11を従動シャフト2の前端部外周にブーツバンド14によって固定される一方、他端側の大径端部13を等速ジョイントのアウタレース4の後端部外周にブーツアダプタ15を介して固定され、内側にグリースを封入している。この軸継手用ブーツを、常時グリースが付着する内周側を耐油性のクロロプレンゴム系材料によって形成し、排気管などの熱の影響を受ける外周側を耐熱性のシリコンゴム系材料によって形成した。これによって、潤滑油及び熱による軸継手用ブーツの劣化を防止した。
【選択図】 図2
【解決手段】 この軸継手用ブーツ1は、等速ジョイント3の端部を閉塞するように設けられ、一端側の小径端部11を従動シャフト2の前端部外周にブーツバンド14によって固定される一方、他端側の大径端部13を等速ジョイントのアウタレース4の後端部外周にブーツアダプタ15を介して固定され、内側にグリースを封入している。この軸継手用ブーツを、常時グリースが付着する内周側を耐油性のクロロプレンゴム系材料によって形成し、排気管などの熱の影響を受ける外周側を耐熱性のシリコンゴム系材料によって形成した。これによって、潤滑油及び熱による軸継手用ブーツの劣化を防止した。
【選択図】 図2
Description
本発明は、例えば車両用プロペラシャフトの等速ジョイントなどに適用され、軸継手の端部を包囲して防塵する軸継手用ブーツの改良に関する。
例えば車両用プロペラシャフトの等速ジョイントに適用した従来の軸継手用ブーツとしては、以下の特許文献1に記載されたようなものが知られている。
この軸継手用ブーツは、車両のトランスミッション側に接続された駆動シャフトとデファレンシャル側に接続された従動シャフトとを連結する等速ジョイントの前記従動シャフト側の端部を包囲するように被着固定されている。
この軸継手用ブーツは、全体が耐熱性のシリコンゴムによって円筒状に形成され、小径な一端部が前記従動シャフトの外周部に形成されたブーツ溝に係合すると共にブーツ自体の緊縛力によって従動シャフトの端部に固定されている一方、大径な他端部が等速ジョイントの従動シャフト側の外周端部にブーツカバーを介して固定されている。
そして、前記軸継手用ブーツにより閉塞された内側空間にはグリースが封入され、これによって等速ジョイントの可動部の潤滑や発熱防止に供されている。
実用新案登録第2572621号公報
ところで、前記従来の軸継手用ブーツを構成するシリコンゴム材料は、耐熱性に非常に優れる性質を有しており、プロペラシャフトに隣接して配置される排気管などの熱の影響には優れた効果を発揮している反面、耐油性には劣る性質となっている。
そこで、前記従来の軸継手用ブーツにあっては、内側に封入されたグリースが常時付着していることから、該ブーツを構成するシリコンゴム材料が経時的に硬化しやすいという問題があった。
この結果、前記ブーツは、等速ジョイントの軸方向の摺動に追従して伸縮する機能が低下してしまい、該等速ジョイントの摺動によってブーツにひび割れなどが生じて耐久性が低下してしまうおそれがある。
本発明は、このような技術的課題に着目して案出されたものであって、耐熱性及び耐油性を両立させて耐久性の向上が図れる軸継手用ブーツを提供するものである。
請求項1に記載の発明は、第1軸部材と第2軸部材とを軸方向へ摺動可能に連結する軸継手の前記第1軸部材又は第2軸部材との結合部を閉塞するように設けられ、前記軸継手を潤滑するグリースを内側に封入すると共に、前記結合部を防塵する軸継手用ブーツであって、前記第1軸部材又は第2軸部材の外周端部に固定される一端部と、前記軸継手の外周端部に固定される他端部と、を有し、内側層を耐油性の第1弾性材によって形成する一方、外側層を耐熱性の第2弾性材によって形成したことを特徴としている。
この発明によれば、内側層を耐油性に優れた弾性材料によって成形したことから、内側に封入したグリースの付着による劣化を防止することができる。一方、外側層を耐熱性に優れた弾性材料によって成形したことから、特に車両用のプロペラシャフトに適用する場合など、前記軸継手用ブーツが常時高温状態におかれた際の熱的劣化を防止することができる。これにより、耐油性と耐熱性の両立が図られ、耐久性の高い軸継手用ブーツが得られる。
請求項2に記載の発明は、前記一端部から前記他端部に向かう途中に、前記他端部側を径方向外側へ折り返す反転部を設けると共に、該反転部における前記第1弾性材及び第2弾性材の少なくともいずれか一方の肉厚を大きく形成したことを特徴としている。
この発明によれば、前記軸継手用ブーツの仕様及び用途に応じて耐熱性又は耐油性の各特性を選択的に向上させることができ、該軸継手用ブーツのより適切な物理的特性が得られる。さらに、前記第1軸部材及び第2軸部材の軸方向の摺動時に伸縮変形して引っ張り力などが最も大きく作用する前記反転部が厚肉となるため、前記軸継手用ブーツの剛性が向上する。
請求項3に記載の発明は、前記一端部の端縁に連続して設けると共に、その内径が前記一端部の内径よりも縮径した延長部を軸方向に沿って延設したことを特徴としている。
この発明によれば、前記一端部を延長し、その延長部の外側端部の内径を前記一端部の内径よりも縮径して形成したことによって、前記一端部の開口が閉塞されるため、該一端部を閉塞するブーツカバーを別途設ける必要がなく、製造コストの低廉化が図れる。
請求項4に記載の発明は、前記第1弾性材をクロロプレンゴム系材料によって構成する一方、前記第2弾性材をシリコンゴム系材料によって構成したことを特徴としている。
この発明によれば、前記第1弾性材を耐油性に優れかつ比較的安価な材料であるクロロプレンゴム系材料によって構成し、前記第2弾性材を耐熱性に優れたシリコンゴム系材料によって構成したことによって、耐油性と耐熱性を両立させて前記軸継手用ブーツの耐久性を確保しつつ製造コストの低廉化も図れる。
以下、本発明に係る軸継手用ブーツの各実施の形態を図面に基づいて詳述する。なお、各実施の形態では、軸継手用ブーツを車両用プロペラシャフトの等速ジョイントであって、ダブルオフセット型の自在継手に適用したものを示している。
図1及び図2は本発明の軸継手用ブーツの第1の実施形態を示し、この軸継手用ブーツ1は、トランスミッション側に接続される第1軸部材である図外の駆動シャフトとデファレンシャル側に接続される第2軸部材である従動シャフト2とを互いに軸方向へ摺動自在に連結する軸継手である等速ジョイント3の前記従動シャフト2側の端部を包囲するように被着固定されている。
駆動シャフトは、等速ジョイント3のアウタレースを構成する保持部4がそのシャフト本体部の後端に一体に設けられ、従動シャフト3は、前記保持部4の内側に挿入配置される小径のスタブ軸5がそのシャフト本体部の前端に一体に設けられている。
等速ジョイント3は、前記保持部4によって構成されたアウタレースと、前記スタブ軸5の先端部外周に設けられた円環状のインナレース6と、このインナレース6と保持部4の間に転動自在に設けられた複数のボール7と、このボール7を保持するケージ8とを備えている。
すなわち、前記軸継手用ブーツ1は、前記保持部4とスタブ軸5に跨って配設され、前記等速ジョイント3の後端側開口を封止している。そして、等速ジョイント3の内部には、該等速ジョイント3に対するスタブ軸5の摺動を潤滑するグリースが充填され、このグリースの外部流出が軸継手用ブーツ1によって阻止されている。
この軸継手用ブーツ1は、軸心方向に沿う縦断面における判断面がほぼU字形状をなす円筒状に形成され、内周側に位置する一端部である小径端部11と、該小径端部11から他端側に向かって径方向外側へ折り返し状に形成された反転部12と、該反転部12によって外周側に延出した他端部である大径端部13と、を有している。
前記小径端部11は、内周側に突出して設けられた環状突部11aが一体に形成され、この環状突部11aが前記スタブ軸5の外周部に形成された円環状のブーツ溝5aに嵌合しつつ、外周側に切欠形成された環状凹溝11bに沿って巻回された前記ブーツバンド14によって前記スタブ軸5の外周部に締め付け固定されている。
前記大径端部13は、縦断面ほぼ円形状に形成されており、その周縁部を巻き込むようにして円筒状のブーツアダプタ15の一端部にかしめ固定され、このブーツアダプタ15の他端部が前記保持部4の後端部外周にかしめ固定されることによって、前記保持部4に連結固定されている。
そして、前記小径端部11及び大径端部13は、前記反転部12及びその近傍と比べて厚肉に形成されている。これによって、軸継手用ブーツ1の固定部の強度が確保されている。
また、前記環状突部11aの内周面には、軸方向の一端から他端に連続する複数の通気溝16が周方向にほぼ等間隔に形成されている。この通気溝16は、前記ブーツバンド14によって圧迫される環状突部11aと前記スタブ軸5のブーツ溝5aの間に、軸継手用ブーツ1の内外を連通するエア抜き通路を形成している。
さらに、前記スタブ軸5のブーツ溝5aに隣接する外周部には、前記小径端部11を包囲するゴム製のブーツカバー17が取り付けられている。このブーツカバー17は、シリコンゴムによって一体に形成され、前記ブーツ溝5aに隣接して形成された環状溝5bに嵌合固定される取付基部17aと、この取付基部17aから段差状に拡径して前記小径端部11の外周面を非接触状態で覆う被覆部17bと、この被覆部17bの先端に延設されて小径端部11における付根部近傍の外周面に接触するリップ部17cとを備え、該リップ部17cの先端部内周面には、前記被覆部17bによって画成された空間部をブーツカバー17の外部に連通させる通気溝18が形成されている。
また、前記軸継手用ブーツ1は、前記小径端部11から大径端部13にわたってほぼ全体が二層に形成され、内側層が耐油性及び引っ張りなどの機械的強度に優れたクロロプレンゴム系材料からなる第1弾性材19によって構成されている一方、外側層が耐熱性及び耐水性などに優れた従来と同様のシリコンゴム系材料からなる第2弾性材20によって構成されている。
前記第1弾性材19は、ほぼ均一の肉厚に形成され、一端が前記小径端部11の端縁まで形成され、他端が前記大径端部13の被固定部と重複しない位置まで形成されている。また、前記第1弾性材19は、小径端部11を構成する外周側の面に、外方へ突出した係合突部21が設けられている。
一方、前記第2弾性材20は、ブーツ全体の肉厚に対して十分に大きく厚肉に形成され、前記小径端部11を構成する内周側の面には、前記係合突部21に対応して外方へ窪んだ凹状の係止溝22が切欠形成されている。
そして、第1弾性材19と第2弾性材20は、前記係止溝22に前記係合突部21を係合させつつ、互いの接触面に接着剤を塗布することによって接合されている。
したがって、この実施の形態によれば、前記軸継手用ブーツ1を二層構造として、内側層に耐油性を有する第1弾性材19を配置したため、軸継手用ブーツ1内に封入されたグリースが内壁面に常時付着しても、該軸継手用ブーツ1が化学変化により硬化してしまうおそれがない。さらに、外側層に耐熱性を有する第2弾性材20を配置したことから、プロペラシャフトに隣接して配置される排気管などの熱によって軸継手用ブーツ1に悪影響が及ぼされるおそれもない。これにより、軸継手用ブーツ1において耐油性と耐熱性とを両立させて、該軸継手用ブーツ1の耐久性を向上させることができる。
また、前記小径端部11において、第1弾性材19の外周面に係合突部21を設け、第2弾性材20の内周面に係止溝22を設けて、両弾性部材19,20を互いに係合固定したことによって、接着剤の接着作用に加えて前記係合固定による係止作用がはたらくことから、前記従動シャフト2のスタブ軸5が等速ジョイント3を介して軸方向に摺動した際の各弾性部材19,20の相対的な位置ずれをより効果的に防止することができる。
しかも、前記係合部は、前記両弾性部材19,20の接合する際の位置決めとしての役割も果たすことから、軸継手用ブーツ1の接合作業を容易に行うことができ、該作業性の向上に伴って製造コストの低廉化が図れる。
図3及び図4は本発明の第2の実施の形態を示し、基本的な構成は前記第1の実施の形態と同様であり、前記係合突部21と前記係止溝22とを、前記第1弾性材19及び第2弾性材20に対して前記第1の実施の形態と対称に形成したものである。
したがって、この実施の形態においても、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
図5及び図6は本発明の第3の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態の第1弾性材19と第2弾性材20の係合構造を変更したものであり、前記係合突部21を縦断面ほぼ円形状に形成して軸方向に複数並べて形成し、この係合突部21の形状に合わせて前記係止溝22の形状を変更したものである。
これにより、前記係合突部21と係止溝22とがより強固に係合固定され、軸方向に加えて軸直角方向の移動も規制することが可能となっている。したがって、前記第1弾性材19と第2弾性材20とを接合する際の位置決め性がより向上すると共に、両弾性部材19,20のより高い位置ずれ防止効果が得られる。
図7及び図8は第4の実施の形態を示し、基本的な構成は前記第1の実施の形態と同様であり、前記第1弾性材19の大径端部13側の端部19aを厚肉に形成すると共に先端先細りとなるテーパ形状に形成したものである。
これによって、ブーツアダプタ15の組付時において、該ブーツアダプタ15の内周面に対する前記第1弾性材19の端部19aの接触面積が拡大することから、この接触面積の拡大に伴って前記端部19aとブーツアダプタ15との間の摩擦抵抗が増大するため、第1弾性材19をブーツアダプタ15に強固に固定させることができる。したがって、前記スタブ軸5の軸方向の摺動に伴って軸継手用ブーツ1の伸縮運動が繰り返されても、前記大径端部13における第1弾性材19の端部19aの脱落(はがれ)を防止することができ、軸継手用ブーツ1の耐久性がより高められる。
図9及び図10は本発明の第5の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態における第1弾性材19の大径端部13側の端部19aを内方へ折り返し状に延長し、大径端部13を構成する第2弾性材20の端部20aの外周面全体を包み込むように形成したものである。
これにより、前記大径端部13が比較的高い機械的強度を有する第1弾性材19により保護されるため、大径端部13にブーツアダプタ15をかしめ固定する際に作用する剪断力によって大径端部13が破損することを防止できると共に、軸継手用ブーツ1の伸縮運動時に前記かしめ固定部に作用する引っ張り力などに起因する軸継手用ブーツ1の破損を抑制することができる。したがって、前記軸継手用ブーツ1の耐久性の向上が図れる。
図11及び図12は本発明の第6の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態における第1弾性材19の小径端部11側の端部19bを外方へ折り曲げ状に延長し、前記第2弾性材20の端縁を覆うような縦断面ほぼL字形状に形成したものである。
よって、前記第1弾性材19の端部19bによって第2弾性材20の小径端部11側の端部を保護したことから、該端部の経時劣化などに起因する破損の進行を抑制することが可能となる。しかも、第1弾性材19の端部19bによって第2弾性材20の軸方向の移動が規制されることから、前記軸継手用ブーツ1の伸縮運動時において、第1弾性材19に対する第2弾性材20の位置ずれを防止することができる。
図13及び図14は本発明の第7の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態における第2弾性材20の大径端部13側の端部20aを薄肉に形成し、該端部20aを外方へ折り返し状に延長すると共に大径端部13を構成する第1弾性材19の端部19aの外周面全体を包み込むように形成したものである。
よって、ブーツアダプタ15の内周面に接触して外部からの熱の影響を受け易い部位が耐熱性の高い第2弾性材20により保護されているため、軸継手用ブーツ1の耐久性の向上が図れる。
図15及び図16は本発明の第8の実施の形態を示し、第7の実施の形態における第1弾性材19の反転部12の肉厚のみを部分的に大きく形成したものである。
前記軸継手用ブーツ1の伸縮運動時に最も負荷のかかる反転部12における第1弾性材19の肉厚を部分的に厚く形成したことによって、軸継手用ブーツ1の伸縮部の剛性が向上して該伸縮部の過度の変形が防止されることから、軸継手用ブーツ1の耐久性の向上が図れる。しかも、比較的高い材料コストを有する第1弾性材19を部分的に厚肉に形成したことから、製造コストの高騰化を最小限に抑えられる。
図17及び図18は本発明の第9の実施の形態を示し、前記第1の実施の形態における第1弾性材19の反転部12を除く部位が厚肉に形成され、小径端部11及び大径端部13近傍が第1弾性材19のみによって形成されている。換言すれば、第2弾性材20がブーツアダプタ15の開口部15aを通じて外部に露出する部位のみに配置され、残余の部位は第1弾性材19によって構成されている。
前記軸継手用ブーツ1の固定部近傍を第1弾性材19のみによって構成したため、該軸継手用ブーツ1の取付剛性を高めることができる。そして、外部から直接的に熱の影響を受ける部位については、比較的厚肉な第2弾性材20によって形成したため、軸継手用ブーツ1の外部熱による劣化を防止することができる。このように、軸継手用ブーツ1の各部位を、それぞれ適切な特性を有する弾性部材により形成したことから、材料コストを有効に活用することができると共に、耐油性、耐熱性、強度のバランスを図られ、軸継手用ブーツ1の耐久性を効果的に向上させることができる。
図19及び図20は本発明の第10の実施の形態を示し、前記第5の実施の形態において第1弾性材19と第2弾性材20を接着する部位を小径端部11及び大径端部13のみとして、該小径端部11及び大径端部13を除く部位における第1弾性材19と第2弾性材20の間に空気層23を形成したものである。
前記軸継手用ブーツ1の固定部を除く部位における第1弾性材19と第2弾性材20の間に空気層23を形成したことによって、外部からの熱を受け易い部位の断熱効果が高められ、耐熱性に劣る第1弾性材20の熱的劣化がより効果的に防止される。したがって、軸継手用ブーツ1の耐久性のさらなる向上が図れる。
図21及び図22は本発明の第11の実施の形態を示し、基本的な構成は第1の実施の形態と同様であり、異なるところは、前記ブーツカバー17が廃止され、第2弾性材20の小径端部11側の端部20bに、該端部20bから軸方向に延出する延長部24が一体に形成されている。
この延長部24は、前記スタブ軸5の環状溝5bのほぼ中間位置まで延設され、その先端が先細り状に形成されている。そして、その先端縁24aの内径r1が、前記小径端部11における第2弾性材20の内径r2よりも小さく設定され、かつ前記環状溝5bの外径r3よりも若干小さく設定されている。
前記第2弾性材20の端部20bに前記延長部24を延設し、その先端縁24aにスタブ軸5に対する僅かに締め代を設けたことによって、軸継手用ブーツ1の内外の連通が基本的に遮断され、外部からの異物の侵入が防止される。しかも、前記締め代が小さく設定されていることから、前記通気溝16によるエア抜きが可能となっている。したがって、前記小径端部11の開口部を閉塞するブーツカバー17が不要となり、部品点数の低減による製造コストの低廉化が図れる。
図23及び図24は本発明の第12の実施の形態を示し、前記第11の実施の形態において小径端部11を構成する第1弾性材19の端部19bについても延長し、該端部19bを軸方向に沿って前記延長部24の先端縁24aの位置まで延設したものである。
これにより、前記第11の実施の形態の作用効果に加えて、第1弾性材19の延長により前記延長部24の剛性が高められるため、軸継手用ブーツ1の耐久性の向上が図れる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、第1弾性材19をニトリルゴム系材料やクロロスルフォン化ポリエチレンなどのより高い機械的強度及び耐油性を有する合成ゴム材料によって形成することが可能であり、第2弾性材20をニトリルゴム系材料やエチレンプロピレンゴムなどのより高い機械的強度及び耐熱性を有する合成ゴム材料によって形成することも可能である。
また、ブーツカバー16の構成材料についても、シリコンゴムに限定されるものではなく、前記第2弾性材20と同様に、より硬質な耐熱性を有する合成ゴム材料によって形成することも可能である。
そして、前記第1弾性材19と第2弾性材20との接合は、接着剤による接合に限定されるものではなく、加硫接着によって行うことも可能である。
また、前記軸継手用ブーツ1は、例えば前記ボール7がローラによって構成されるトリポード型自在継手など各種自在継手に適用することができる。
1…軸継手用ブーツ
2…従動シャフト(第1軸部材)
3…等速ジョイント(軸継手)
11…小径端部
12…反転部
13…大径端部
19…第1弾性材
20…第2弾性材
2…従動シャフト(第1軸部材)
3…等速ジョイント(軸継手)
11…小径端部
12…反転部
13…大径端部
19…第1弾性材
20…第2弾性材
Claims (4)
- 第1軸部材と第2軸部材とを軸方向へ摺動可能に連結する軸継手の前記第1軸部材又は第2軸部材との結合部を閉塞するように設けられ、前記軸継手を潤滑するグリースを内側に封入すると共に、前記結合部を防塵する軸継手用ブーツであって、
前記第1軸部材又は第2軸部材の外周端部に固定される一端部と、
前記軸継手の外周端部に固定される他端部と、を有し、
内側層を耐油性の第1弾性材によって形成する一方、
外側層を耐熱性の第2弾性材によって形成したことを特徴とする軸継手用ブーツ。 - 前記一端部から前記他端部に向かう途中に、前記他端部側を径方向外側へ折り返す反転部を設けると共に、該反転部における前記第1弾性材及び第2弾性材の少なくともいずれか一方の肉厚を大きく形成したことを特徴とする請求項1に記載の軸継手用ブーツ。
- 前記一端部の端縁に連続して設けると共に、その内径が前記一端部の内径よりも縮径した延長部を軸方向に沿って延設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の軸継手用ブーツ。
- 前記第1弾性材をクロロプレンゴム系材料によって構成する一方、前記第2弾性材をシリコンゴム系材料によって構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軸継手用ブーツ。
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