JP2008001785A - 漆系塗料、その製造方法及び漆塗装材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の漆系塗料の製造方法は、生漆又は精製漆の油性成分に対して水分が5〜15重量%となるように調節する含水率調節工程を好ましくは経た後に、漆系塗料を媒体撹拌ミルを用いて、好ましくは20〜40℃において、微細化して油中水滴型エマルションに含まれる水滴の平均粒径を約100nmの大きさまで小さくする微細化工程、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明が解決しようとする他の1つの課題は、インクジェット用漆インクの製造に適した漆系塗料を製造する方法を提供することである。
<1>生漆又は精製漆を媒体撹拌ミルにより微細化する微細化工程を含むことを特徴とする漆系塗料の製造方法、
<2>20〜40℃において微細化する微細化工程である<1>記載の漆系塗料の製造方法、
<3>生漆又は精製漆の油性成分に対し水分が5〜15重量%となるように含水率を調節する水分調節工程の後に前記微細化工程を含む<1>又は<2>に記載の漆系塗料の製造方法、
<4>油中水滴型エマルションに含まれる水滴の粒径範囲を50〜150nmにする微細化工程である<1>〜<3>いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法、
<5>0.5kg以上の生漆又は精製漆を微細化する<1>〜<4>いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法、
<6>媒体として比重が4.5以上で直径が0.3〜0.8mmのビーズを使用する<1>〜<5>いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法、
<7>精製漆が無油透漆又は有油透漆である<1>〜<6>いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法、
<8>生漆又は精製漆に、重合アマニ油、重合アマニ油及びロジン、エチレングリコール、グリセリン並びに界面活性剤よりなる群から選ばれた添加剤を添加して微細化する、<1>〜<7>いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法、
<9><1>〜<8>いずれか1つに記載の製造方法により製造された漆系塗料、
<10>アルコキシシラン類、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂よりなる群から選ばれた添加剤を含む<9>に記載の漆系塗料、
<11><9>又は<10>に記載の漆系塗料を有機溶剤により希釈して得られるインクジェット用漆インク、
<12><11>に記載の漆インクを基材にインクジェット方法により吐出する印刷工程を含む漆系塗料の塗装方法、
<13>基材上に吐出された漆インクから有機溶剤を揮発させる乾燥工程、及び、漆インクの指触乾燥前に金属粉、金属箔、金属蒸着フィルム粉若しくは積層フィルム粉を蒔き付けるか又は金属箔を貼り付ける加飾工程を更に含む<12>に記載の漆系塗料の塗装方法。
約100nmの大きさまで微細化された漆液をナノ漆液ともいう。また、ナノ漆液により得られた漆塗膜をナノ漆塗膜ともいう。
以下、本発明を詳細に説明する。
その他にもこれらの4分類の2つ以上を併用する方式があり、例えば、上記の(2)と(4)とを併用する分散機があり、本発明の製造方法において好ましく使用できる。この型の媒体撹拌ミルは、媒体を収納したバスケットを撹拌槽に没入し、撹拌翼機構を介して媒体に高速回転運動を与えると同時に、回転軸の周囲に設けられた、撹拌翼が接続された駆動粉砕室を有している。
媒体撹拌ミルの一例として、リングミル分散機について以下説明する。リングミル分散機は、特開2000−350930号公報及び特開2004−255345号公報に開示されているように、配合物(漆液)を充填した撹拌槽内に、分散媒体が収納されたバスケットを没入し、このバスケット内で複数の分散ピンが突出された回転軸を回転して配合物を分散する分散機である。バスケットの側壁は図2に示すようにワイヤ及びワイヤ支持体で構成されており、分散媒体の流出を防ぎつつ微細化された被分散物を流出させることができる。バスケットの断面構造としては、図3及び図4に示す構造が例示できる。
図3に示すリングミル分散機において、前記分散ピンは、分散ピン支持体を介して前記回転軸に取り付けられており、前記分散ピン支持体は、前記回転軸が挿入されて回転軸の外周に固着される内筒部と、複数の分散ピンを前記回転軸と反対方向に突出して成る外筒部、及び前記内筒部と前記外筒部の前記回転軸方向間に分散媒体が通過可能な間隔を画定する連結部より成り、前記外筒部及び連結部又は前記外筒部又は連結部に、前記分散媒体が通過可能な開口を設けたことを特徴とする。具体的にはリングミル分散機RG−200(撹拌槽の容量85リットル)〜RG−800(撹拌槽の容量3,000リットル)を例示できる。
また、図4に示すリングミル分散機において、前記分散ピンに該当する撹拌翼が前記回転軸に取り付けられており、前記撹拌翼の外周に位置するバスケット内壁面にフィンが固着されている。この分散機は、前記駆動粉砕室を有していない。バスケット外部の底板には流動用羽根を取り付けることができバスケット下方の被分散物(漆液)を流動させることができる。具体的にはリングミル分散機RG−100(撹拌槽の容量8リットル)が例示できる。
前記の2種類のバスケットの構造は、漆液の量に応じて適宜選択できる。
リングミル分散機は、従来の撹拌層式媒体撹拌ミルと比較して多量の分散媒体をバスケット内に収容することができ、分散媒体をバスケット底部に沈降させることなく、活発な移動及び循環を維持できるため短時間で効率良く漆系塗料を微細化させることができる。
冷却する方法は、撹拌槽の外側に二重円筒状に設けられた冷却部に冷媒を循環させても良く、撹拌槽を浸漬した外槽タンクの水温を冷媒循環コイルで冷却しても良い。リングミル分散機が、撹拌槽及びバスケット上部に形成されたロッド部に冷却水等の冷却媒体を循環することができる場合には、これを利用することができる。また、リングミル分散機の撹拌槽上部を開口にして、大気と接触が可能なようにして、空気を取り込んで分散させてもよい。この場合、漆の硬化反応が部分的に進行する。また、漆系塗料の含水率を調節することができる。
本発明において、漆液のエマルションを微細化する場合には、比重が4.5以上であり、直径が約0.3〜約0.8mmの分散媒体(ビーズ)を使用することが好ましく、約0.5mmの分散媒体がより好ましい。ミル回転数は、1,800〜1,200rpmであることが好ましい。
乾性油とは、ヨウ素価が130以上の脂肪油をいう。本発明に用いることができる乾性油は、従来公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えばアマニ油、ケシ油、胡桃油、紅花油、ひまし油、えの油、きり油及び大豆油などが挙げられる(これらの中には、重合させたものも含む)。なかでも、アマニ油及び重合アマニ油(煮アマニ油)を好ましく用いることができる。
ポリオールとしては、従来公知のものが使用でき、特に限定されないが、エチレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、ブタンジオール、ペンタンジオール及びグルシトールなどが挙げられる。なかでも、エチレングリコール、グリセリンを好ましく用いることができる。水溶性の添加剤の使用量は、生漆又は精製漆の油性成分に対し、1〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。上記の数値の範囲内であると、効率的に微細化することができる。
逆ミセル系界面活性剤の使用量は、漆液の油性成分に対し、0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。上記の数値範囲内であると、効率的に微細化することができる。
分散安定剤に用いられる高分子物質は従来公知のものであり、特に限定されないが極性高分子が望ましい。ここで「高分子」とは分子量が1万以上の化合物をいい、1万以上数十万以下が好ましい。極性高分子の極性基は、酸性基(カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基など)、塩基性基(第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、塩基性窒素原子を有する複素環基など)及び中性基(ポリアルキレンオキシ基、エポキシ基など)を例示できる。以下、「分散安定剤に用いられる高分子物質」を「樹脂系界面活性剤」ともいう。
樹脂系界面活性剤の使用量は、漆液の油性成分に対し、0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。上記の数値範囲内であると、効率的に微細化することができる。
XnSi(OR)m (2)
(式中、Xはアミノ基、アルキルアミノ基、アミノアルキル基、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基及びビニル基からなる群から選ばれる基であり、Rはアルキル基であり、nとmはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい1〜3の整数であり、かつ、nとmの合計は4である。)
上記のアルコキシシラン類は、特開2003−55558号公報に記載されており、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。また、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンとN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3−グリシドキシメチルジエトキシシランなども好ましく例示できる。
本発明の漆系塗料は、漆塗膜特有の漆艶、深み感、肉持ち感、しっとり感を一層高めた高意匠性及び高品位性を発現した塗膜を与える。
漆系塗料の希釈に用いることのできる有機溶剤は、従来公知のものであり、漆系塗料を希釈することができるものであれば限定されるものではないが、トルエンなどの芳香族系有機溶媒、リグロインなどの非芳香族系有機溶媒及びテレピン油などの植物油、などを好ましく用いることができる。また、アラビヤゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルローズ等の水溶性糊剤などを添加剤として用いても良い。
蒔き付けに用いられる金属粉、金属箔若しくは金属蒸着フィルム粉は公知のものを用いることができ限定されないが、金粉、銀粉、金箔の他に光輝性顔料が代表的である。光輝性顔料としては、有機顔料、無機顔料、体質顔料、金属粉末などを用いることができる。また、光輝性顔料として、光沢塗料、めっき、金属蒸着及びフィルムのラミネート等により表面が着色・加飾された樹脂フィルム及び金属箔を細かく切断して得られる顔料を好ましく用いることができる。例えばホログラムフィルムをラミネートしたPETフィルムを細かく切断したホログラムフレーク(ホログラムサプライ(株)製)を好ましく例示できる。光輝性の顔料の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、ビーズ状、鱗片型、短冊型、星型及び亀甲型など種々の形状のものを用いることができる。
塗装基材に貼り付ける金属箔は公知のものを用いることができ限定されないが、金箔、銀箔及び銅箔などを用いることができるが、金箔が好ましい。
塗装基材は、木材、金属、ガラス、合成樹脂等限定されるものではないが、本発明の漆系塗料を塗装したものが好ましく、黒ナノ漆を塗装したものがより好ましく、シランカップリング剤、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂を添加した黒ナノ漆を塗装した基材がさらに好ましい。
本発明の漆インクを基材にインクジェット方法により吐出する印刷工程を含む漆系塗料の塗装方法及び加飾工程を含む塗装方法により、従来職人が手書きで行っていた文字などの印刷に限られず、パソコンに保存・編集されたデザイン、レイアウト、写真や絵画をあらゆる基材に印刷することが可能となる。黒漆の塗装を施した基材の上に、漆インクを使インクジェット方式で吐出した後、文字部分にを金粉で加飾した表札、黒漆塗装した平板に社寺仏閣のデザインを漆インクを使インクジェット方式で吐出した後、ホログラムフレークで加飾した美術品などが例示できる。
(実施例1)
BRG−100型リングミル分散機(荒木鉄工社製)に、−10℃の冷媒を流して温度制御を行うことができる冷却装置を接続し、分散媒体としてジルコニア製ビーズ0.65mmφを用い、精製漆(中国城口産生漆から調製したもの)1.2kgを入れ、回転速度1,200〜1,800rpmで、撹拌槽内の漆液の温度を約40℃以下の温度に保ちながら分散を1時間行った。容器は大気と接触が可能なように開口し、空気を巻き込むようにして分散した。得られた漆塗料の乾燥硬化時間と光沢度を評価し、その結果を表1に示した。乾燥硬化条件は、20〜25℃/60〜65%RHとして各種の乾燥時間を評価した。乾燥時間は、息乾燥(DF:Dust−free dry)、指触乾燥(TF:Touch−free dry)及び硬化乾燥(HD:Hardened dry)により評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。
実施例1と同様にリングミル分散機を使用して、精製漆に煮アマニ油(20重量%)、煮アマニ油とロジン(1:1を20重量%)、エチレングリコール(10重量%)、樹脂系界面活性剤(5重量%)、逆ミセル系界面活性剤(1重量%)あるいは水(5重量%)を添加した以外は、実施例1と同様に漆系塗料を得た。
精製漆を生漆、箔下漆及び朱合漆に変更した以外は実施例1と同様に漆系塗料を得た。
原料を生漆に変更し、微細化工程を施さない以外は、実施例1と同様に漆系塗料を得た。
リングミル分散装置で調製したナノ漆の乾燥性(h)と光沢度(60°)
漆の種類 添加物 添加量(重量%) DF(h) TD(h) HD(h) Gloss
実施例1 精製漆 − − 2:30 3:50 6:40 75
実施例2 精製漆 煮アマニ油 20 3:00 4:10 6:20 100
実施例3 精製漆 煮アマニ油 20 2:10 3:50 5:30 100
+ロジン(1:1)
実施例4 精製漆 EG 10 3:10 4:20 6:30 100
(エチレングリコール)
実施例5 精製漆 樹脂系 5 2:20 3:50 6:00 100
界面活性剤
実施例6 精製漆 逆ミセル系 1 2:30 4:30 6:40 90
界面活性剤
実施例7 精製漆 水 5 1:40 3:00 5:30 75
実施例8 生漆 − − 3:00 6:10 9:50 90
実施例9 箔下漆 − − 2:10 3:50 5:20 100
実施例10 朱合漆 − − 2:50 4:10 6:00 100
比較例1 生漆(blank)− − 3:50 9:40 23:30 62
(乾燥硬化条件:20〜25℃/60〜65%RH)
DF : Dust-free dry, TF : Touch-free dry, HD : Hardened dry
ナノ生漆から黒ナノ漆の調製
BRG−100型リングミル分散機を用いて調製したナノ生漆10gにナフテン酸鉄溶液(日本化学産業(株)製ナフテックス鉄5%溶液)(5重量%)を添加して、混練り撹拌装置ニーダーミキサーを用いて混練り撹拌しながら水分を蒸発させて、水分量を3〜5重量%に調整して、黒ナノ漆液をつくった(A法)。乾燥硬化条件は、20〜25℃/60〜65%RHの下で、各種の乾燥時間を評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。その性状を表2に示した。
ナノ精製漆から黒ナノ漆の調製
BRG−100型リングミル分散機を用いて調製したナノ精製漆10gに、水(5重量%)及びナフテン酸鉄溶液(5重量%)を添加して、混練り撹拌装置ニーダーミキサーを用いて混練り撹拌しながら水分を蒸発させて、水分量を3〜5重量%に調整して、黒ナノ漆液を作製した(B法)。乾燥硬化条件は、20〜25℃/60〜65%RHの下で、各種の乾燥時間を評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。その性状を表2に示した。その性状を表2に示した。
黒ナノ漆の乾燥性(h)と光沢度(60°)
漆の種類 方法 DF(h) TD(h) HD(h) Gloss
実施例11 黒ナノ漆 A 3:10 4:20 6:30 96
実施例12 黒ナノ漆 B 3:30 4:30 7:00 95
比較例1 生漆(blank) 3:50 9:40 23:30 62
(乾燥硬化条件:20〜25℃/60〜65%RH)
DF : Dust-free dry, TF : Touch-free dry, HD : Hardened dry
ウレタン変性ナノ漆
BRG−100型リングミル分散機を用いて調製したナノ精製漆70gに、ウレタン主剤(カシュー(株)製)(15重量%)及びウレタン硬化剤(カシュー(株)製)(15重量%)を添加して、混練り撹拌装置ニーダーミキサーを用いて混練り撹拌してウレタン変性ナノ漆液を作製した。乾燥硬化条件は、20〜25℃/60〜65%RHの下で、各種の乾燥時間を評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。その性状を表3に示した。
エポキシ変性ナノ漆
BRG−100型リングミル分散機を用いて調製した精製漆70gに、エポキシ主剤(アイレジン(株)製)(15重量%)及びエポキシ硬化剤(アイレジン(株)製)(15重量%)を添加して、混練り撹拌装置ニーダーミキサーを用いて混練り撹拌してエポキシ変性ナノ漆液をつくった。乾燥硬化条件は、20〜25℃/60〜65%RHの下で、各種の乾燥時間を評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。その性状を表3に示した。
合成樹脂変性ナノ漆の乾燥性(h)と光沢度(60°)
漆の種類 DF(h) TD(h) HD(h) Gloss
実施例13 ウレタン変性ナノ漆 1:20 3:20 5:20 90
実施例14 エポキシ変性ナノ漆 1:10 2:30 4:50 95
比較例1 生漆(blank) 3:50 9:40 23:30 62
(乾燥硬化条件:20〜25℃/60〜65%RH)
DF : Dust-free dry, TF : Touch-free dry, HD : Hardened dry
ナノ漆のハイブリッド化
BRG−100型リングミル分散機を用いて調製したナノ精製漆60gに、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン及びN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンとの(15:35)混合物(2.5重量%)にさらに3−グリシドキシメチルジエトキシシラン(2.5重量%)を添加した混合溶液を5重量%加えて、混練り撹拌装置ニーダーミキサーを用いて混練り撹拌を30分行った(C法)。乾燥硬化条件は、20〜25℃/55〜60%RHの下で、各種の乾燥時間を評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。その結果を表4に示した。
BRG−100型リングミル分散機を用いて調製したナノ精製漆60gに、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンとN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンとの(15:35)混合物(2.5重量%)にさらにアミノ変性シリコーン(2.5重量%)を添加した混合溶液を5重量%加えて混練り撹拌装置ニーダーミキサーを用いて混練り撹拌を30分行った(D法)。乾燥硬化条件は、20〜25℃/55〜60%RHの下で、各種の乾燥時間を評価した。得られた漆塗膜の光沢度は、測定角度60°でスペクトロ−ガイド(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。それらの結果を表4に示した。
ナノ精製漆をナノ箔下漆に変更した以外は、実施例15と同様にして漆系塗料を得た。
ナノ精製漆をナノ箔下漆に変更した以外は、実施例16と同様にして漆系塗料を得た。
漆の種類*1 方法 DF(h) TD(h) HD(h) Gloss
実施例15 HBナノ精製漆 C 1:20 2:20 3:50 90
実施例16 HBナノ精製漆 D 1:20 2:40 4:10 85
実施例17 HBナノ箔下漆 C 1:20 2:10 2:40 99
実施例18 HBナノ箔下漆 D 1:40 2:30 2:50 98
生漆(blank)*1 ND
比較例1 生漆(blank)*2 3:50 9:40 23:30 62
(*1:乾燥硬化条件:20〜25℃/55〜60%RH)
(*2:乾燥硬化条件:20〜25℃/60〜65%RH)
DF : Dust-free dry, TF : Touch-free dry, HD : Hardened dry, ND : Non-drying
微細化した漆系塗料をトルエンで希釈して、その粘度を室温で約20mPa・secとし、インクジェット用漆インクとした。
次に当該漆インクを株式会社マスターマインド社製の厚物・素材ダイレクトプリンタのインク容器に充填し、予めパソコンによってレイアウトしてあった名前を黒漆塗装したネームプレートにインクジェット方式で印字した。印字を施した表札を温度20〜25℃、湿度70〜80%RHに静置し、指触乾燥直前にまで乾燥した。印刷を施したネームプレートに金粉を蒔き付け、室温で2時間放置した。付着した金粉を拭き取ったところ、金文字の名前が形成された名札が完成した。
微細化した漆系塗料をトルエンで希釈して、その粘度を室温で約20mPa・secとし、インクジェット用漆インクとした。
次に当該漆インクを株式会社マスターマインド社製の厚物・素材ダイレクトプリンタのインク容器に充填し、予めパソコンによってレイアウトしてあった仏像の絵画を、エポキシ変性黒ナノ漆を塗装し硬化乾燥させた木製プレート表面に印刷した。印刷を施した木製プレートを温度20〜25℃、湿度70〜80%RHに静置し、指触乾燥直前にまで乾燥した。印刷を施した木製プレートに厚み12μm、カットサイズ0.05mmのホログラムフレーク(ホログラムサプライ(株)製)を蒔き付け、室温で2時間放置した。付着したホログラムフレークを拭き取ったところ、虹色に輝く仏像の絵画が形成された。
11・・・回転軸
12・・・バスケット
13・・・撹拌槽
14・・・ロッド
20・・・バスケット側壁
21・・・ワイヤ
22・・・ワイヤ支持体
23・・・側壁
30・・・バスケット
31・・・分散媒体
32・・・分散ピン
33・・・分散ピン支持体
34・・・内筒部
35・・・外筒部
36・・・連結部
37・・・開口
40・・・バスケット
41・・・撹拌翼
42・・・フィン
43・・・流動用羽根
Claims (13)
- 生漆又は精製漆を媒体撹拌ミルにより微細化する微細化工程を含むことを特徴とする
漆系塗料の製造方法。 - 20〜40℃において微細化する微細化工程である請求項1記載の漆系塗料の製造方法。
- 生漆又は精製漆の油性成分に対し水分が5〜15重量%となるように含水率を調節する水分調節工程の後に前記微細化工程を含む請求項1又は2に記載の漆系塗料の製造方法。
- 油中水滴型エマルションに含まれる水滴の粒径範囲を50〜150nmにする微細化工程である請求項1〜3いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法。
- 0.5kg以上の生漆又は精製漆を微細化する請求項1〜4いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法。
- 媒体として比重が4.5以上で直径が0.3〜0.8mmのビーズを使用する請求項1〜5いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法。
- 精製漆が無油透漆又は有油透漆である請求項1〜6いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法。
- 生漆又は精製漆に、重合アマニ油、重合アマニ油及びロジン、エチレングリコール、グリセリン並びに界面活性剤よりなる群から選ばれた添加剤を添加して微細化する、請求項1〜7いずれか1つに記載の漆系塗料の製造方法。
- 請求項1〜8いずれか1つに記載の製造方法により製造された漆系塗料。
- アルコキシシラン類、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂よりなる群から選ばれた添加剤を含む請求項9に記載の漆系塗料。
- 請求項9又は10に記載の漆系塗料を有機溶剤により希釈して得られるインクジェット用漆インク。
- 請求項11に記載の漆インクを基材にインクジェット方法により吐出する印刷工程を含む漆系塗料の塗装方法。
- 基材上に吐出された漆インクから有機溶剤を揮発させる乾燥工程、及び、
漆インクの指触乾燥前に金属粉、金属箔、金属蒸着フィルム粉若しくは積層フィルム粉を蒔き付けるか又は金属箔を貼り付ける加飾工程を更に含む請求項12に記載の漆系塗料の塗装方法。
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