図1〜図7には、本発明の一実施形態に係る自動車のハイマウントストップランプ50に適用されたランプ取付構造10が示されている。詳細には、ルーフ12の車両後側部分である後部13と、リヤウインドガラス16の車両前側(車両上側)端部である前端部17との間に配置されるハイマウントストップランプ50と、ハイマウントストップランプ50をリヤウインドガラス16の前端部17側に取り付けるためのランプ取付構造10が示されており、図1は、車両後方から見たハイマウントストップランプ50及びランプ取付構造10の車両幅方向左側部分を分解斜視図で示しており、図2〜図6は、取付状態のハイマウントストップランプ50及びランプ取付構造10の車両幅方向における各部を車両前後方向で切断し車両幅方向右側から見た右側断面図で示しており、図7は、ランプ取付構造10の要部を拡大斜視図で示している。また、図1及び図7では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、車両上方を矢印UPで示している。
図1〜図6に示されるように、本実施形態に係る自動車のルーフ12には、後部13から車両後方へ延出されたガラス固定部14が設けられている。ガラス固定部14は、車両前後方向での縦断面形状が凹側にクランク状に屈曲形成されるとともに、ルーフ12の車両幅方向全域に亘って設けられている。リヤウインドガラス16の前端部17は、前端部17の車両下側面と、上記ガラス固定部14の車両後側端部との間に介在するウレタン接着剤18により、ガラス固定部14に接着固定されている。
ウレタン接着剤18は、リヤウインドガラス16の前端部17、及び、ルーフ12のガラス固定部14の車両幅方向全域に亘って設けられており、接着前の単品状態では、車両前後方向での縦断面形状が逆三角形とされた三角柱状に形成されている。このウレタン接着剤18は、車両上方に向けられた底面部がリヤウインドガラス16側に予め貼り付けられ、リヤウインドガラス16の前端部17がルーフ12のガラス固定部14に押し付けられることにより、図2〜図6に示されるように、車両下方に向けられた頂部がガラス固定部に突き当てられて車両上下方向に全体的に圧縮し、特に頂部が大きく潰れてガラス固定部14に密着し、断面形状が略台形状に変形する。そして、その形状に保持されたまま乾燥・硬化されることにより、リヤウインドガラス16の前端部17をルーフ12のガラス固定部14に所定の接着強度で固定している。
ガラス固定部14に固定されたリヤウインドガラス16の前端部17と、ルーフ12の後部13との間には、車両前後方向の縦断面で見ると、ウレタン接着剤18、ガラス固定部14、及び、ルーフ12の後部13に繋がれたガラス固定部14の縦壁部15によって囲まれた略凹状の空間19が形成されている。本実施形態のハイマウントストップランプ50をリヤウインドガラス16の前端部17に取り付けるためのランプ取付構造10は、この空間19内に配置されている。
図1に示されるように、本実施形態に係るランプ取付構造10は、リヤウインドガラス16の前端部17に取り付けられる複数(計5個)のブラケット20、30、40を備えている。詳細には、車両幅方向中央部にセンターブラケット20が1個配置され、車両幅方向の左右側端部に、同一形状のサイドブラケット30が1個ずつ配置され、センターブラケット20と各サイドブラケット30との間に、車両幅方向で左右反転形状とされたミドルブラケット(中間ブラケット)40が1個ずつ配置されている。なお、図1では、車両幅方向右側に配置されたサイドブラケット30及びミドルブラケット40の図示を省略している。また、以下の説明で、センターブラケット20、サイドブラケット30、及びミドルブラケット40を総称する場合には、単に「ブラケット20、30、40」と言う。
センターブラケット20は、車両幅方向が長手方向とされた略矩形平板状のブラケット本体22を備えている。
ブラケット本体22の車両後側端部における、車両幅方向の左右側端部からは、ブラケット本体22に対して縦断面形状が凸側のクランク状となるよう屈曲形成された一対の接着固定部24が車両後方へ延出されている。この一対の接着固定部24の間には凹部26が設けられ、各接着固定部24にはウレタン接着用乾燥孔28が形成されている。
サイドブラケット30は、車両幅方向が長手方向とされた略矩形平板状のブラケット本体32を備えている。
ブラケット本体32の中央部には、車両幅方向を長手とした矩形状の開口33が形成されており、開口33を挟んだブラケット本体32の車両幅方向の左右側部付近には、車両幅方向における縦断面形状が凹曲面状となるよう屈曲形成された一対の補強部34が車両前後方向に沿って延設されている。ブラケット本体32の車両後側端部からは、ブラケット本体32に対して縦断面形状が凸側のクランク状となるよう屈曲形成された接着固定部36が車両後方へ延出されており、接着固定部36の車両幅方向の左右側端部には、ウレタン接着用乾燥孔38が形成されている。
ミドルブラケット40は、車両幅方向に沿って延出された長尺矩形の略平板状のブラケット本体42を備えている。
ブラケット本体42には、車両幅方向外側(図1では左側)の端部に、凸面状に屈曲形成されたランプ固定部43が設けられており、ランプ固定部43の車両前側縁部には、凹状の切欠き43Aが形成されている。ブラケット本体42の車両幅方向内側(図1では右側)よりも少し中央寄りには、凸面状に屈曲形成されたランプ固定部44が設けられている。ランプ固定部44の中央部には、円形の取付孔45が形成されており、ランプ固定部44の車両下側面(裏面)には、取付孔45に対応してウェルドナット46が固着されている(図2参照)。
また、ブラケット本体42の車両後側端部からは、ブラケット本体42に対して縦断面形状が凸側のクランク状となるよう屈曲形成された接着固定部47が車両後方へ延出されており、接着固定部47には、車両幅方向に所定の間隔で配置された複数のウレタン接着用乾燥孔48が形成されている。
上記構成のブラケット20、30、40は、図2〜図5に示されるように、リヤウインドガラス16をルーフ12に固定するウレタン接着剤18によって、接着固定部24、36、47がリヤウインドガラス16の前端部17における車両下側面に接着固定されている。
このリヤウインドガラス16の前端部17に対するブラケット20、30、40の固定では、最初に専用の位置決め治具を用いて、リヤウインドガラス16に対するブラケット20、30、40の位置決めを行う。詳細には、単品状態のリヤウインドガラス16の前端部17における車両下側面の所定位置に、接着固定部24、36、47の車両上側面を面接させつつ、ブラケット本体22、32、42がリヤウインドガラス16の前端部17から突出する向きで、ブラケット20、30、40を位置決めする。次に、ウレタン接着剤18を接着固定部24、36、47の車両後側端部に一部重ねてリヤウインドガラス16に貼り付けることにより、ブラケット20、30、40を仮固定する。最後に、上述したように、リヤウインドガラス16の前端部17をルーフ12のガラス固定部14に押し付けてウレタン接着剤18を乾燥・硬化させると、リヤウインドガラス16の前端部17がルーフ12のガラス固定部14に接着固定されるとともに、ブラケット20、30、40は、ウレタン接着剤18によってリヤウインドガラス16の前端部17に接着固定される。
このようにして、リヤウインドガラス16の車両下側面に面接して接着されたブラケット20、30、40の接着固定部24、36、47は、圧縮変形して車両前方に膨張したウレタン接着剤18の車両上側部分に押さえ付けられて保持されるようになる。また、ウレタン接着剤18による接着固定部24、36、47の被覆部分では、ウレタン接着用乾燥孔28、38、48によって気化ガスの排出性が良好となり、乾燥・硬化が促進されて十分な接着強度が得られるようになる。これにより、ブラケット20、30、40は強固に接着固定され、車両前後、左右、及び上下の各方向でのガタツキや、ブラケット本体22、32、42側の垂れ下がりによる傾きなどが抑えられている。
そして、リヤウインドガラス16に取り付けられたブラケット20、30、40は、ブラケット本体22、32、42がリヤウインドガラス16の前端部17から車両前方へ突出されてガラス面と沿った方向に延設されるとともに、ルーフ12の後部13との間に形成された略凹状の空間19内に配置されている。
図1に示されるように、本実施形態に係るハイマウントストップランプ50は、ランプハウジングのベース部を構成して上記の各ブラケット20、30、40に取り付けられるランプボディ52を備えており、さらに、ランプボディ52の車両前側部分に取り付けられるシール部材96、ランプボディ52の車両幅方向中央部に取り付けられる、ランプ本体100及びランプ本体100を覆うレンズ108、ランプボディ52におけるレンズ108の車両幅方向両側に取り付けられて、ランプ本体100から自動車内部へ引き回されるワイヤーハーネス106を覆うとともにランプボディ52を隠蔽するカバー110を備えている。
また、本実施形態のハイマウントストップランプ50は、ルーフ12とリヤウインドガラス16との間に、車両幅方向のほぼ全幅に亘って設置される長尺状とされており、更に三次元に湾曲した形状とされている。詳細には、車両前後方向では、ガラス固定部14の後部13、及び、リヤウインドガラス16の前端部17の各縁の曲線形状に沿って、車両幅方向の外側端部よりも中央部の方が少し車両後側へ突出するよう湾曲しており、車両前後方向では、ルーフ12の後部13の曲面形状に沿って、車両幅方向の中央部から外側端部に掛けて緩やかに下り傾斜するよう湾曲している。
このハイマウントストップランプ50に設けられたランプボディ52は、車両幅方向に延出された長尺のバー状で、空間19内に収まる外形寸法に形成されている。
ランプボディ52の車両幅方向における中央部には、ランプ本体取付部54が設けられている。
ランプ本体取付部54の車両後側端部における車両幅方向中央部には、センターブラケット20の凹部26に対応する突起部55が設けられており、ランプ本体取付部54の車両上側面には、ランプ本体100の車両前後方向における取付位置の基準となるランプ位置決めリブ56、及び、レンズ108の車両前後方向における取付位置の基準となるレンズ位置決めリブ58(図4参照)がそれぞれ車両幅方向に沿って延設されている。
ランプボディ52におけるランプ本体取付部54の車両幅方向外側には、ミドルブラケット40のランプ固定部44に対応するミドル固定部(中間固定部)60が設けられている。
ミドル固定部60には、ミドルブラケット40の取付孔45及びウェルドナット46と対応する位置に、車両幅方向を長径とした長穴状の取付孔62が形成されている。ミドル固定部60の車両上側面には、取付孔62に対する車両後側端部に、車両前後方向での縦断面形状が逆L字形とされたワイヤーハーネス用フック63が設けられており(図2参照)、車両幅方向の内側端部に、カバー110の車両前後方向及び上下方向における取付位置の基準となるカバー位置決めフック(ランス)64が設けられている。
図7に示されるように、カバー位置決めフック64は、ミドル固定部60の車両上側面に略垂直に立設された基部64A、基部64Aの車両上側端部から車両幅方向外側(図7では左側)へ略水平に延出された腕部64B、及び、腕部64Bの車両下側面における車両幅方向外側端部に設けられた突起部(ツメ部)64Cで構成されている。
このカバー位置決めフック64の基部64Aよりも車両幅方向における少し外側には、カバー110の車両幅方向における取付位置の基準となるカバー位置決めリブ66が設けられており、カバー位置決めフック64よりも車両幅方向外側には、カバー110の車両下側面(裏面)に当接するカバー受けリブ68が車両前後方向に沿って設けられている。
図1に示されるように、ランプボディ52におけるミドル固定部60の車両幅方向外側には、ワイヤーハーネス106の配線路を兼ねる位置決め固定部70が設けられている。
位置決め固定部70には、ミドルブラケット40のランプ固定部43と対応する位置に、矩形状の開口72が形成されており、図5に示されるように、位置決め固定部70の車両下側面(裏面)には、開口72の車両前側縁部から車両後方へ向けて突出された固定用フック74が設けられている。
位置決め固定部70は、図6に示されるように、車両前後方向での縦断面形状が凹状とされている。底壁部70Aの車両前後方向における略中央部には、位置決め固定部70内の凹状空間を車両前後方向に2分割する隔壁としてのリブ76が車両幅方向に沿って延設されている。このリブ76によって位置決め固定部70内の車両後側に区画形成された凹状空間が、ワイヤーハーネス106が収容されて引き回される配線通路部78とされている。
位置決め固定部70の車両前側に設けられた前壁部70B(ランプボディ52の前壁部52A)の車両上側端部には、カバー110の車両下側面(裏面)に当接する突起状のカバー受けリブ80が、前壁部70Bの延設方向である車両幅方向に沿って設けられている。位置決め固定部70の車両後側に設けられた後壁部70Cの車両上側端部には、カバー110の車両下側面に当接する突起状のカバー受けリブ82が、後壁部70Cの延設方向である車両幅方向に沿って設けられており、この後壁部70Cの車両後側面からは、車両後方へ向けて断面逆L字状に延出された補助支持リブ84が設けられている。
また、図1に示されるように、位置決め固定部70の前壁部70Bにおける車両上側端部には、車両前方へ向けて突出された2個のカバー固定フック86が各所定位置に設けられ、後壁部70Cにおける車両上側端部には、車両後方へ向けて突出された2個のカバー固定フック88が各所定位置に設けられており、この計4個のカバー固定フック86、88は、車両幅方向において互い違いとなるように配置されている。
ランプボディ52における位置決め固定部70の車両幅方向外側には、サイドブラケット30に対応するサイド固定部90が設けられている。サイド固定部90には、サイドブラケット30の開口33と対応する位置に、車両幅方向を長手とした矩形状で、開口33と略同形状とされた開口92が形成されており、サイド固定部90の車両外側端部には、カバー固定部94が設けられている。
ランプボディ52は以上の構成とされており、このランプボディ52の車両前側に設けられた前壁部52Aには、シール部材96が取り付けられている。
シール部材96は、例えば軟質合成樹脂等の弾性材料で、車両幅方向に沿って長尺状に形成されており、車両幅方向の長さ寸法がランプボディ52の同方向寸法と略同じにされている。
図2〜図6に示されるように、シール部材96は、車両前後方向での縦断面形状がL字形のアングル状とされた接着固定部96Aと、接着固定部96Aの車両前側面における車両上側端部付近から車両前方へ所定長さ突出された平板状のリップ状部96Bとを備えており、リップ状部96Bは、自然(無負荷)状態では図2〜図6の二点鎖線で示すように、接着固定部96Aから車両前方へ直線状に突出するよう形成されている。このシール部材96は、接着固定部96Aが両面接着テープ98によってランプボディ52の前壁部52Aに接着固定されて取り付けられている。
ランプボディ52のランプ本体取付部54に取り付けられるランプ本体100は、車両幅方向に延出された長尺矩形状の基板102を備えている。基板102は、車両幅方向の長さ寸法がランプ本体取付部54の同方向寸法よりも少し小さくされており、片面に、長手方向である車両幅方向に沿って複数のLED素子104が所定の間隔で一列に実装されている。このランプ本体100には、各LED素子104に電力を供給するためのワイヤーハーネス106が電気的に接続されており、ワイヤーハーネス106は、基板102の側端部から車両幅方向外側へ引き出されている。
図4に示されるように、ランプ本体100は、基板102がLED素子104の実装面を車両後方へ向けた略垂直姿勢でランプ本体取付部54の車両上側面に置かれ、基板102の車両下側縁部がランプ位置決めリブ56に突き当てられることにより車両前後方向の位置決めがなされてランプ本体取付部54に取り付けられている。また、図1に示されるように、基板102の側端部から車両幅方向外側へ引き出されたワイヤーハーネス106は、ミドル固定部60及び位置決め固定部70を引き回されて、詳細には、図2に示されるように、ミドル固定部60ではワイヤーハーネス用フック63の車両後側を引き回され、また図6に示されるように、位置決め固定部70では配線通路部78を引き回されて、位置決め固定部70の車両幅方向外側端部から車両内へ引き込まれるようになっている。
ランプ本体100を覆うレンズ108は、例えば透明ガラス等の光透過性材料で、車両幅方向に沿って長尺状に形成されており、車両幅方向の長さ寸法がランプ本体取付部54の同方向寸法と略同じにされている。
図2に示されるように、レンズ108は、車両前後方向での縦断面形状が横向きのL字形の逆凹状(箱状)とされており、略水平に配置される上壁部108Aと、上壁部108Aの車両後側端部から車両下側へ略垂直に延出された後壁部108Bと、上壁部108A及び後壁部108Bの車両幅方向外側の各端部(左右端部)に跨って設けられた一対の側壁部108C(図8参照)とを備えている。
このレンズ108は、ランプ本体取付部54に被せられ、後壁部108Bの車両下側縁部がレンズ位置決めリブ58に突き当てられることにより車両前後方向の位置決めがなされてランプ本体取付部54の車両下側端部(縁部)に密着し、車両幅方向外側の各側壁部108Cが各ミドル固定部60の車両幅方向内側端部(縁部)に嵌め込まれることにより車両幅方向の位置決めがなされてその嵌合部分が密着し、上壁部108Aの車両前側端部が前壁部52Aの車両上側端部に突き当てられ密着した状態で、ランプ本体取付部54に防滴性を備えて取り付けられている。
このようにしてレンズ108に覆われたランプ本体100は、LED素子104が発光(点灯)すると、その照明光がレンズ108の後壁部108Bを透過して車両後方へ照射されるようになる。これにより、車両後側からハイマウントストップランプ50の点灯及び消灯状態が視認できるようになる。
ワイヤーハーネス106を覆うカバー110は、例えば硬質合成樹脂等の弾性材料で、車両幅方向に沿って長尺状に形成されており、車両幅方向の長さ寸法がランプ本体取付部54の車両幅方向外側端部(ミドル固定部60の車両幅方向内側端部)からサイド固定部90の車両幅方向外側端部までの長さ寸法と略同じにされている。
図2、図3、図5、及び図6に示されるように、カバー110は、車両前後方向での縦断面形状が逆凹形とされており、ランプボディ52と略平行に配置される上壁部110Aと、上壁部110Aの車両前側端部から車両下側へ突出された前壁部110Bと、上壁部110Aの車両後側端部から車両下側へ突出された後壁部110Cとを備えている。また、図6に示されるように、位置決め固定部70の補助支持リブ84と対応する箇所では、後壁部110Cの車両下側端部に、補助支持リブ84の車両上側面に当接する突起状の支持リブ111が、後壁部110Cの延設方向である車両幅方向に沿って設けられている。
上壁部110Aの車両下側面(裏面)における車両幅方向内側端部付近には、車両下側へ突出されるとともに車両前後方向に沿って延出された位置決め用の基準リブ112が設けられている。基準リブ112には、ランプボディ52のミドル固定部60に設けられたカバー位置決めフック64と対応する位置に、矩形状の取付孔114が形成されている。
基準リブ112の反対側となる上壁部110Aの車両下側面における車両幅方向外側端部には、サイド固定部90に設けられたカバー固定部94に対応する固定リブ(引掛け部)115が形成されている。
また、前壁部110Bの車両下側端部には、位置決め固定部70の前壁部70Bに設けられた2個のカバー固定フック86に対応する各位置に、切欠き116及び固定リブ(引掛け部)117が形成されており、後壁部110Cの車両下側端部には、位置決め固定部70の後壁部70Cに設けられた2個のカバー固定フック88に対応する各位置に、切欠き118及び固定リブ(引掛け部)119が形成されている。
ハイマウントストップランプ50は以上の構成とされ、本実施形態のランプ取付構造10は、このハイマウントストップランプ50のランプボディ52に設けられたサイド固定部90をサイドブラケット30に固定するためのクリップ120を備えている。
クリップ120は、合成樹脂等の弾性材料で形成されており、図3に示されるように、略円筒状に形成された本体部(嵌合部)122を備え、本体部122の外周面における車両下側縁部に、小径の下フランジ部124が設けられ、本体部122の外周面における車両上側縁部に、大径の上フランジ部126が設けられている。また、本体部122は、サイド固定部90の開口92、及び、サイドブラケット30の開口33に嵌合可能な外径寸法とされており、下フランジ部124と上フランジ部126の内側間隔は、サイド固定部90の厚さとサイドブラケット30(ブラケット本体32)厚さを加算した総厚さと略同じにされている。
次に、上記のランプ取付構造10によるハイマウントストップランプ50の着脱手順と作用について説明する。
本実施形態のランプ取付構造10では、上述したように、ブラケット20、30、40が予めリヤウインドガラス16の前端部17に取り付けられており、ブラケット本体22、32、42がリヤウインドガラス16の前端部17から車両前方へ突出されてガラス面と沿った方向に延設されるとともに、ルーフ12の後部13との間に形成された略凹状の空間19内に配置されている。
このブラケット20、30、40にハイマウントストップランプ50を取り付けるには、まず、ランプボディ52に、シール部材96、ランプ本体100、及びレンズ108を組み付け、ワイヤーハーネス106を引き回してサブアッセンブリ化しておく。このサブアッセンブリ状態で、ランプボディ52を空間19内に収め入れ、センターブラケット20のブラケット本体22、サイドブラケット30のブラケット本体32、及び、ミドルブラケット40のランプ固定部43、44に載せながら、突起部55をセンターブラケット20の凹部26に嵌め合わせ、更に車両後側にスライドさせて固定用フック74をランプ固定部43の切欠き43Aに嵌め込んで引掛ける。
図5に示されるように、固定用フック74がランプ固定部43の切欠き43Aに嵌め込まれて引掛けられ嵌合すると、ランプボディ52の車両幅方向中央部分の浮き上がりが抑えられて車両上下方向の取付位置が定まるとともに、ランプボディ52全体の車両前後方向及び幅方向の取付位置もほぼ定まり、ミドル固定部60の取付孔62がミドルブラケット40(ランプ固定部44)の取付孔45に位置合わせられ、サイド固定部90の開口92がサイドブラケット30の開口33に位置合わせられる。また、ランプ固定部44を引き回されたワイヤーハーネス106は、図2に示されるように、ミドルブラケット40のランプ固定部44とワイヤーハーネス用フック63の間に収められ、ワイヤーハーネス用フック63によって浮き上がりや取付孔62側への弛みが抑えられる。
次に、ネジ128を取付孔62及び取付孔45に挿入してウェルドナット46に締結し、ミドル固定部60をミドルブラケット40に固定する。また、クリップ120を開口92及び開口33に挿入して嵌合させ、サイド固定部90をサイドブラケット30に固定する。なお、これらのネジ128とクリップ120の取付順序は逆にしてもよい。
クリップ120の組み付けでは、挿入側となる下フランジ部124と本体部122の下側部位が弾性変形して、開口92及び開口33に挿入され、上フランジ部126がサイド固定部90の開口92の車両上側縁部に突き当たって係止すると、下フランジ部124がサイドブラケット30の開口33を通り抜け、弾性力により元の形状に復帰して、開口33の車両下側縁部に係止し、本体部122が弾性力により元の形状に復帰して開口92及び開口33に嵌合する(図3参照)。サイドブラケット30のブラケット本体32に載せられたサイド固定部90を含むランプボディ52の車両幅方向外側部分は、このクリップ120によって車両上下方向の取付位置が定められ、浮き上がらないよう保持されて固定される。
最後に、カバー110をランプボディ52におけるレンズ108の車両幅方向外側部分に被せて取り付ける。このカバー110の取り付けでは、カバー110をランプボディ52に被せながら車両幅方向内側にスライドさせて、基準リブ112の取付孔114をミドル固定部60のカバー位置決めフック64に嵌め入れて引掛け、固定リブ115をサイドブラケット30のカバー固定部94に嵌め込んで引掛け、各固定リブ117、119を位置決め固定部70の各カバー固定フック86、88に嵌め込んで引掛ける。
ここで、カバー110を被せるためにランプボディ52に押し付けると、位置決め固定部70では、図6に示されるように、カバー110の車両下側面が前壁部70Bのカバー受けリブ80及び後壁部70Cのカバー受けリブ82に突き当たり、カバー110の後壁部110Cに設けられた支持リブ111が補助支持リブ84に突き当たることで、カバー110に加えられた押し付け荷重がランプボディ52に及び、ランプボディ52はガラス固定部14側(車両下側)へ撓もうとする。
これに対し、本実施形態では、補助支持リブ84の先端部である車両下側端部とガラス固定部14との隙間Y1、及び、シール部材96(接着固定部96A)の車両下側面とガラス固定部14との隙間Y2が小さく設定されており、ランプボディ52の撓みが、ガラス固定部14に対する補助支持リブ84及びシール部材96の当接によって抑えられる。これにより、カバー110をランプボディ52に被せるとき、更にスライドさせるときに底付き感(剛性感)及び安定感が得られるようになり、力が加え易くなってカバー110の取付作業性が良好になる。
上記各部が掛止され、カバー110が所定位置までスライドされると、図8(A)に示されるように、基準リブ112がカバー位置決めリブ66に突き当たってそれ以上スライドできなくなり、取付孔114にカバー位置決めフック64の突起部64Cが引掛かる。このカバー位置決めリブ66への基準リブ112の当接と、カバー位置決めフック64の突起部64Cによる取付孔114への掛止により、カバー110の車両幅方向における取付位置が定まる。また、カバー固定フック86、88による固定リブ117、119への掛止により、カバー110の車両前後方向における取付位置が定まり、上記各部の掛止により、カバー110全体の車両上下方向における取付位置が定まって浮き上がりや同方向での反りが抑えられる。
以上の手順により、ハイマウントストップランプ50がブラケット20、30、40に取り付けられ、この取付状態では、図2〜図6に示されるように、シール部材96に設けられたリップ状部96Bの先端部96Cがガラス固定部14の縦壁部15に接触し、縦壁部15に倣うよう車両上側へ弾性的に屈曲変形しつつ、弾性復元力により縦壁部15に圧接し、密着してシールする。そして、リップ状部96Bは、車両前後方向での縦断面が凹状となり、ルーフ12の後部13とハイマウントストップランプ50との間をシールするこのシール部材96のリップ状部96Bによって、車両幅方向に沿った排水通路99が形成されている。
また、本実施形態のハイマウントストップランプ50は長尺であるため、熱膨張による撓みなどが起こりやすくなる構造である。これに対し、ハイマウントストップランプ50の固定部では、ネジ128が挿通されたミドル固定部60の取付孔62が車両幅方向を長径とした長穴状であり、クリップ120が嵌合されたサイド固定部90の開口92及びサイドブラケット30の開口33が車両幅方向を長手とした矩形状であるため、車両幅方向に多少の余裕が設けられており、これによって、ハイマウントストップランプ50が車両幅方向に熱膨張(延伸)しても撓みが抑えられる。
このハイマウントストップランプ50を取り外すには、まず、ランプボディ52からカバー110を取り外す。その場合、図8(B)に示されるように、カバー110の上壁部110Aにおける車両幅方向内側の端部付近を押し込む(矢印A方向)。この押し込み操作で、上壁部110Aの車両下側面がミドル固定部60に設けられたカバー受けリブ68に当接し、仮にランプボディ52が押し込み方向へ多少撓んで逃げたとしても、カバー110はカバー受けリブ68を支点として上記端部側が押し込み方向へ変位し、ミドル固定部60に近接する。これにより、基準リブ112の取付孔114がカバー位置決めフック64の突起部64Cから外れ、そのままカバー110を車両幅方向外側(矢印B方向)へスライドさせると、掛止されていた各部が外れ、カバー110を持ち上げてランプボディ52から取り外すことができる。そして、露出されたクリップ120を開口92及び開口33から引き抜き、ネジ128を緩めて取り外すと、ランプボディ52の固定が解除され、ランプボディ52を持ち上げてブラケット20、30、40から取り外すことができる。
以上説明したように、本実施形態のランプ取付構造10では、ハイマウントストップランプ50のランプボディ52に設けられた固定用フック74がミドルブラケット40のランプ固定部43に形成された切欠き43Aに車両の外側から嵌合し、ミドルブラケット40のランプ固定部44に、ミドル固定部60が車両の外側からネジ128によって取り付けられる。さらに、サイド固定部90がサイドブラケット30に車両の外側からクリップ120によって取り付けられる。また、上記各部の取り外し作業も、車両の外側から行えるようになる。このように、ハイマウントストップランプ50の取り付け及び取り外しに関する全ての作業が車両の外側から行えるようになるため、作業姿勢に無理が生じ難くなって着脱作業性が良好になる。
また特に、リヤウインドガラス16の前端部17からガラス面と沿った方向に延設された取付手段としての板状のミドルブラケット40と、ミドルブラケット40の切欠き43Aに嵌合してハイマウントストップランプ50を固定する嵌合手段としての固定用フック74、及び、リヤウインドガラス16の前端部17からガラス面と沿った方向に延設された取付手段としての板状のサイドブラケット30と、サイドブラケット30の開口33に嵌合してハイマウントストップランプ50を固定する嵌合手段としてのクリップ120を備えていることで、車両内外方向(上下方向)の取付寸法を小さくすることができ、ハイマウントストップランプ50の厚みを小さくすることができる。
さらに、固定用フック74によってミドルブラケット40に対する車両内外方向の位置決めがなされ、クリップ120の下フランジ部124及び上フランジ部126によって、サイドブラケット30に対する車両内外方向の位置決めがなされることで、リヤウインドガラス16やルーフ12とハイマウントストップランプ50との段差が抑えられ、外観品質を向上することができる。
また、本実施形態のハイマウントストップランプ50は、リヤウインドガラス16の上縁部に沿った長尺状とされているが、ルーフ12との間に設けられたシール部材96によって、車両幅方向への排水が行われる。詳細には、ルーフ12からガラス固定部14へ流れ込もうとする水は(図2〜図6の矢印W方向)、ガラス固定部14の縦壁部15に密着したシール部材96のリップ状部96Bにより塞き止められ、空間19内やハイマウントストップランプ50内へ浸水することなく、排水通路99を車両幅方向外側へ流れて、図1に示されるサイドモール内に設けられた排水通路130へ排水される(矢印W方向)。これにより、ルーフ12から車両後側へ流下する水によるハイマウントストップランプ50やリヤウインドガラス16の汚れを抑制できる。また、シール部材96のリップ状部96Bによって形成された排水通路99からは、サイドモール内(排水通路130)へ排水されるため、リヤウインドガラス16の車両幅方向外側に位置するボディの汚れも抑制することができる。
また、シール部材96のリップ状部96Bは弾性を有して、リヤウインドガラス16のガラス面と沿った方向に伸縮(変位)可能に構成されており、さらに、ガラス固定部14の縦壁部15との間に形成される隙間よりも長くされているため、ハイマウントストップランプ50の取付時に、ガラス面と沿った方向(車両前後方向)での取付代を確保することができて取付作業性を更に向上できる。また、同方向における取付位置のバラツキを目立たなくできるとともに、先端部96Cの弾性(屈曲)変形によるガラス固定部14(縦壁部15)へ密着で所定のシール圧が得られ、高いシール性を確保できる。
また、本実施形態のハイマウントストップランプ50では、取付部を構成している、ランプ本体100及びレンズ108の車両幅方向外側に設けられたミドル固定部60、位置決め固定部70、及びサイド固定部90がカバー110に覆われて隠蔽されるため、見栄え(外観品質)が向上する。また、このカバー110はリヤウインドガラス16の上縁部(車両幅方向)に沿った方向にスライドして着脱されるため、例えば車両上下方向にスライドして着脱される構成に比べ、上記各固定部に対するカバー110の取付構造の厚み方向の寸法を小さくすることができる。したがって、カバー110を含むハイマウントストップランプ50の上記各固定部の厚さを薄くすることができる。
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
例えば、上述の実施形態では、ランプ取付構造10のブラケット20、30、40を、リヤウインドガラス16の取付前に、リヤウインドガラス固定用のウレタン接着剤18でリヤウインドガラス16の前端部17に予め取り付けるようにしているが、リヤウインドガラス16を自動車のボディ(ルーフ12のガラス固定部14)に取り付けてから、ブラケット20、30、40をリヤウインドガラス16の前端部17に個別に接着固定するなどして取り付けるよう構成してもよい。
また、上述の実施形態では、長尺のハイマウントストップランプ50を取り付ける場合の例として、ランプ取付構造10に取付手段としての板状のブラケット20、30、40を計5個設け、それらのブラケット20、30、40でハイマウントストップランプ50の車両幅方向中央部、左右側端部、及び、中央部と左右側端部との間の各中間部を支持し、中央部を除いて固定するよう構成しているが、このような取付手段(ブラケット)の数、配置、固定箇所、及び形状等については、ランプの形状や設置箇所等に応じて適宜変更することができる。また同様に、上述の実施形態で説明した嵌合手段としての固定用フック74及びクリップ120についても、ランプの形状や設置箇所等に応じて、数、配置、及び形状等を適宜変更することができる。
また、ランプについては、上述の実施形態で説明したような、ルーフ12とリヤウインドガラス16との間に、車両幅方向のほぼ全幅に亘って設置される長尺で、且つ、三次元に湾曲したようなハイマウントストップランプ50に限らず、例えば、リヤウインドガラスの前端部(上端部)における車両幅方向中央の一部範囲のみに設置されるような短尺のハイマウントストップランプ、あるいは、リヤウインドガラスの車両幅方向側端部や後端部(下端部)など、リヤウインドガラスの周囲に配置されるテールランプなどとしてもよく、それらの各種ランプ等に対しても本発明のランプ取付構造を適用することができる。