JP2007532845A5 - - Google Patents
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Description
本発明は大型2サイクルディーゼルエンジン用クロスヘッドに関し、特に、クロスヘッドの軸受面に潤滑油を供給する配置に関する。
クロスヘッドは、重要かつ大きな負荷を受けるエンジンの構成要素であり、動作時に高い信頼性が必要とされる。このため従来のクロスヘッドは比較的重い可動部品となっており、その結果動的負荷を他のエンジン部品に与える。
EP0199906は、大型2サイクルディーゼルエンジン用のクロスヘッド軸受を開示しており、コネクティングロッドの上部に接続された給油ラインを介して加圧下で供給される潤滑油で潤滑するようにデザインされている。コネクティングロッド上部内側の流路は、シェルの軸受面に形成される潤滑ポケットへ開口する軸受シェルの給油孔へ通じる。潤滑ポケットは、比較的高圧(すなわち、約12bar)での潤滑油の供給を必要とする。しかし、大型2サイクルディーゼルエンジンの主な潤滑供給(システム油)は、約3barの圧力でしか行われない。したがって、潤滑ポケットを使用する場合は、通常の潤滑供給システムに加えて、専用の高圧潤滑供給システムおよびポンプが必要になる。高圧および低圧両方のシステムを、固定されたエンジン部品からフレキシブル管などを介してクロスヘッドに接続する必要がある。すなわち、二重の管系を有するフレキシブルな接続が必要となる。油ポケット型の軸受は、小さめに設計される。すなわち、クロスヘッドピンの半径は、軸受シェルの軸受面よりも小さい。その結果、軸受への負荷が低い、または負である燃焼サイクル中に、潤滑油を12barの供給圧力でポケットから圧送することができる。しかし、クロスヘッドジャーナル面および軸受シェル面が逸脱し、有効な軸受領域の中心から径方向の所与の距離において、これらの面の間の間隙が大きすぎると、軸受の油膜が形成できないので、小さめに設計できる範囲によって、有効な軸受領域の得られる最大の径方向の伸長に制限がもたらされる。実用的見地では、有効な軸受領域の径方向の伸長は40°以上には広がりえないことが示されている。潤滑ポケットの使用における別の不利点は、流速の遅い領域があるために汚れが入り込むという固有の傾向があることである。
MAN B&W Diesel社のMCシリーズ船舶用ディーゼルエンジンでは、クロスヘッド軸受を使用している。これは、クロスヘッドジャーナル内に配置される中央の軸方向の孔に接続される潤滑ラインを介して加圧下で潤滑油を供給することによって潤滑するようにデザインされる。上向きの径方向の孔は、ピストンに冷却用の潤滑油を供給するピストンロッド内の供給孔に通じる。下方へ向かう孔は、ジャーナル内の横断スリットに通じる。横断スリットは、下部軸受シェルの軸受面の軸方向の潤滑溝を介して、下部軸受面に潤滑油を供給する。横断スリットは、クランクピンの軸受に潤滑油を供給するために、長手方向に延びる給油孔に接続する、下部軸受シェルの大径孔と交わる。クロスヘッドジャーナルの中央の軸方向の孔には、単一のフレキシブル管を介して潤滑油システムから通常3barでシステム油が供給され、専用の高圧の給油を必要としない。この構造のクロスヘッドのジャーナルは、大きめに設計される。すなわち、クロスヘッドのジャーナルの半径は、軸受シェルの軸受面の半径よりも大きい。このデザインは、シェルの軸受面とクロスヘッドのジャーナルの外周全体のジャーナル面との間が狭間隙になるようにするので、「埋め込まれたアーク(embedded arc)」とも称される。したがって、有効な軸受面の径方向の伸長を最大120°にすることが可能である。
横断スリットおよび軸受の最大負荷部分の中央の大径給油孔の不利点は、軸受の油膜の分断、すなわち、油膜が軸方向に分割される点であり、より高いピーク圧力およびより急な圧力傾度を生じさせる。
GB1524757およびGB2020783は、2つの別々の下部軸受シェルおよび軸受シェルの大きな負荷を受ける領域に配置される軸方向の潤滑スリットを備える、クロスヘッド軸受を開示している。油膜形状は、これらの構造では1つの大きな弧形ではなく、むしろ一群の小さな弧形である。したがって、単一の弧形の油膜を有する軸受の圧力曲線と比較すると、等しい負荷における最大油圧が非常に高くなる。
欧州特許公報EP0199906
GB1524757およびGB2020783は、2つの別々の下部軸受シェルおよび軸受シェルの大きな負荷を受ける領域に配置される軸方向の潤滑スリットを備える、クロスヘッド軸受を開示している。油膜形状は、これらの構造では1つの大きな弧形ではなく、むしろ一群の小さな弧形である。したがって、単一の弧形の油膜を有する軸受の圧力曲線と比較すると、等しい負荷における最大油圧が非常に高くなる。
この背景に関して、本発明は、軸受の最も負荷を受ける部分に大きくて有効な軸受面を有するクロスヘッドを提供することを目的とする。
本目的は、大型2サイクルエンジン用クロスヘッド軸受を提供する請求項1によって達成される。前記軸受は、コネクティングロッドと一体の軸受サドルと、前記軸受サドルに支持される単一の軸受面を有する下部軸受シェルと、前記下部軸受シェルの軸受面、または前記下部軸受シェルに面するジャーナルの表面に少なくとも2つ設けられる、軸方向に走る潤滑溝または線状の潤滑用開口部と、前記軸受サドルに固定される軸受キャップとを備え、
さらに前記軸受は、クロスヘッドジャーナルの周りに回動可能であり、前記ジャーナルには、圧力下で供給される潤滑油を通すための軸方向の孔が形成されると共に、前記軸方向の孔から前記軸受キャップに関連する前記ジャーナルの表面へと前記軸方向の孔に対して実質的に横方向に延びる孔であって、作動中の前記コネクティングロッドの揺動の少なくとも一部において、前記下部軸受シェルの前記軸方向の潤滑溝に達する少なくとも1つの流路に接続するように配される、少なくとも1つの径方向の孔が形成され、
ただし、前記軸方向の孔から前記軸方向の潤滑溝又は線状の潤滑用開口部への前記流路は、前記軸受面に実質的に隣接し、および/または前記軸受シェルの上部または下部のいずれかの背面に実質的に隣接するように形成される。
さらに前記軸受は、クロスヘッドジャーナルの周りに回動可能であり、前記ジャーナルには、圧力下で供給される潤滑油を通すための軸方向の孔が形成されると共に、前記軸方向の孔から前記軸受キャップに関連する前記ジャーナルの表面へと前記軸方向の孔に対して実質的に横方向に延びる孔であって、作動中の前記コネクティングロッドの揺動の少なくとも一部において、前記下部軸受シェルの前記軸方向の潤滑溝に達する少なくとも1つの流路に接続するように配される、少なくとも1つの径方向の孔が形成され、
ただし、前記軸方向の孔から前記軸方向の潤滑溝又は線状の潤滑用開口部への前記流路は、前記軸受面に実質的に隣接し、および/または前記軸受シェルの上部または下部のいずれかの背面に実質的に隣接するように形成される。
前記流路は、前記軸受キャップから前記サドルへ延びる少なくとも1つの円周方向の溝を備える。
前記軸受の最大荷重部分における軸受面は、広い角度にわたって分断されない。軸受面において潤滑溝を使用することによって、埋め込まれたアーク(embedded arc)のデザインが可能である。これらの2つの特徴を組み合わせることによって、前記軸受の最大荷重部分において広範囲に軸受の油膜がもたらされる。前記軸受の油膜の最大圧力が低いことにより、軸受の大きさおよび重量を減じることができ、その結果、小端部など他のエンジン部品への動的負荷が低くなり、クランクシャフトの平均主要軸受圧力に好ましい影響をもたらす。
前記径方向の孔は、前記軸受キャップまたは上部軸受シェルの円周方向のスリットへ開口することが好ましく、このスリットは、少なくとも部分的に前記円周方向の溝に重なる。したがって、潤滑油は、前記径方向の孔から前記円周方向の溝に流れることができる。
前記サドルは、前記円周方向の溝、および前記サドルに延在する円周方向の溝の両方と交差する軸方向の孔を備え、前記サドルの前記円周方向の溝は、前記軸方向の潤滑溝に通じ、クランクピンの軸受に潤滑油を供給するために、前記コネクティングロッドを通って延びる給油孔と交差する、少なくとも2つの給油孔へ開口する。
上述の目的は、大型2サイクルエンジン用クロスヘッド軸受を提供する請求項10に従って達成される。前記軸受は、コネクティングロッドと一体の軸受サドルと、前記軸受サドルに支持される単一の軸受面を有する下部軸受シェルと、前記軸受サドルに固定される軸受キャップとを備え、
さらに前記軸受は、クロスヘッドジャーナルの周りに回動可能であり、前記ジャーナルには、圧力下で供給される潤滑油を通すための軸方向の孔が形成されると共に、前記軸方向の孔から前記下部軸受シェルに関連する前記ジャーナルの表面へと前記軸方向の孔に対して実質的に横方向に延びる孔であって、作動中の前記コネクティングロッドの揺動の少なくとも一部において、前記下部軸受シェルの円周上に延在する列孔の少なくとも1つと接続するか、または前記下部軸受シェルまたは前記ジャーナルのいずれかに配置される円周方向のスリットの少なくとも1つと接続するように配される少なくとも1つの径方向の孔が形成され、前記横スリットは、前記下部軸受シェルの軸受面、または前記下部軸受シェルに面する前記ジャーナルの表面に配置される、軸方向の潤滑溝の少なくとも1つと交差する。
さらに前記軸受は、クロスヘッドジャーナルの周りに回動可能であり、前記ジャーナルには、圧力下で供給される潤滑油を通すための軸方向の孔が形成されると共に、前記軸方向の孔から前記下部軸受シェルに関連する前記ジャーナルの表面へと前記軸方向の孔に対して実質的に横方向に延びる孔であって、作動中の前記コネクティングロッドの揺動の少なくとも一部において、前記下部軸受シェルの円周上に延在する列孔の少なくとも1つと接続するか、または前記下部軸受シェルまたは前記ジャーナルのいずれかに配置される円周方向のスリットの少なくとも1つと接続するように配される少なくとも1つの径方向の孔が形成され、前記横スリットは、前記下部軸受シェルの軸受面、または前記下部軸受シェルに面する前記ジャーナルの表面に配置される、軸方向の潤滑溝の少なくとも1つと交差する。
その効果は、請求項1によるクロスヘッド軸受で述べられたものと同じである。前記軸受の最大荷重部分における軸受面は、広い角度にわたって分断されない。軸受面において潤滑溝を使用することによって、埋め込まれたアークのデザインが可能である。これらの2つの特徴を組み合わせることによって、前記軸受の最大荷重部分において広範囲に軸受の油膜がもたらされる。前記軸受の油膜の最大圧力が低いことにより、軸受の大きさおよび重量が減じられ、その結果、他のエンジン部品への動的負荷が低くなる。
前記サドルに延在する円周方向の溝は、前記円周方向のスリットの下に配置され、前記円周方向の溝は、クランクピンの軸受に潤滑油を供給するために、前記コネクティングロッドを通って長手方向に延在する給油孔と交差することが好ましい。
本発明によるクロスヘッドの更なる目的、機能、利点、および特性は、以下の詳細な説明によって明らかになろう。
本説明の以下の詳細部分において、図面に示される例示的な実施形態を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
図1に、第1の実施形態による大型2サイクルディーゼルエンジン用クロスヘッド軸受1を示す。ピストンロッド2は、その軸端で閉じている軸方向の孔5を備えるクロスヘッドジャーナル4に、油圧締め付けスタッドによって接続される。ある角度のカットアウトを有するピストンロッド2用の一体型クロスヘッド軸受キャップ6は、油圧ジャッキによって締め付けられるスタッド8およびナット9によってコネクティングロッド7に固定される。軸受キャップ6は、薄壁の上部鋼シェル10を備え、軸受の内面にはホワイトメタルが裏打ちされる。コネクティングロッド7は、薄壁下部鋼シェル12を保持する一体型サドル11を備え、軸受の内面にはホワイトメタルなどが裏打ちされる。サドル11の下部シェル12は、事実上一体の構成要素として機能するが、連続する軸受面を形成する密に積み重ねた2つ以上の部品で形成することも可能である。すなわち、シェルを形成する部品間の移動が抑えられ、水平が保たれる。サドル11および軸受キャップ6は、互いにクロスヘッド軸受のハウジングを形成する。下部シェル12上の軸受面は、上部シェル10の軸受面と協働して、クロスヘッドジャーナル4を受ける軸受孔を形成する。この軸受は大きめに設計される。すなわち、クロスヘッドジャーナル4の半径は、軸受シェルの半径よりも大きく、軸受の外周全体に完全な油膜を形成するために、ジャーナルの正面およびシェルの軸受面を十分に接近させることができる。このデザインは、埋め込まれたアーク(embedded arc)とも称される。
クロスヘッドは鍛鋼製であり、動作面にホワイトメタルを裏打ちした鋳鋼製のガイドシュー(図示せず)を備える。伸縮はめ合管(図示せず)は、シリンダフレームの最上部のシステム油ライン(図示せず)から、クロスヘッドの方へ下り、ガイドシューのうちの1つに載置され、伸縮はめ合管から注入されるオイルのためのブラケット(図示せず)の方へ下って延在する。
図2に示されるように、ジャーナル4の軸方向の孔5は、径方向の孔28およびクロスヘッド内の溝および孔(図示せず)を介して伸縮はめ合管に接続され、約3barという比較的低圧の潤滑油をエンジンの潤滑システム(システム油)から供給する。しかし、潤滑システムと軸方向の孔5との間の接続には、伸縮はめ合管を使用する必要はなく、公知技術であるヒンジ付管および/またはフレキシブル管を使用することも可能である。更なる径方向の孔29が、ガイドシューに潤滑油を供給する。
ピストン(図示せず)を冷却するため、潤滑油が、中空のピストンロッド2へ向かう上向きの径方向の孔13を介して、軸方向の孔5からピストンへ流れる。ピストンロッド2を通ってピストンから戻ってくる油は、油溜に通じる2つの上向きの孔14で受ける。
軸方向の孔5から軸受キャップ側のジャーナル4の表面へと径方向に延びる孔15が、上方へ向かう孔14の各側にそれぞれ2つずつ計4つ設けられる。
図3に示されるように、上部シェル10の軸受面の軸方向には、円周方向に走る溝16が間隔をあけて2つ設けられる。溝16は、径方向の孔15の開口部に対向するように配置され、径方向の孔15の孔から流出する潤滑油を受ける。円周方向の溝16は、上部シェル10において、上方に向かう径方向の孔13の各側の1つずつ設けられる。円周方向の溝16は、上部シェル10の全周にわたって走るように設けられる。円周方向の溝16の中央部は、軸受シェルの貫通するスリットを形成するに十分な深さを有するが、円周方向の溝16の端部は浅くなっており、上部軸受シェル12の軸受面に形成される軸方向の潤滑溝17に向かう。円周方向の溝16の背部の軸受キャップ6およびサドル11には、円周方向に走る溝18が、軸方向に間隔をあけて2つ形成される(図4および5)。潤滑油は、円周方向の溝16の中心部を通って、それぞれの円周方向の溝18へと流れる。また、上部軸受シェルを省略することも可能である。この場合、上部軸受キャップの表面が上部軸受面として機能し、潤滑油は、径方向の孔15から円周方向の溝18へと直接流れる。
円周方向の溝18の長さは軸受キャップ6の全周に及び、その端部はサドル11まで延伸する。サドル11における円周方向の溝18の端部は、サドル11に埋設された軸方向の孔19と交差する。
軸方向の孔19は、軸方向に間隔をあけて形成されている2つの溝18の端部を、サドル11の軸方向中央部に設けられる円周方向の溝20に接続する。
円周方向の溝20の長さはサドル11の全周にわたる。軸方向の孔19を軸受キャップ6内に位置させることも可能である。その場合、軸方向に間隔をあけて設けられる溝18をサドル11まで延ばす必要はなくなるが、その代わり、軸方向中央の円周方向の溝20を、軸受キャップ6まで延ばして軸方向の孔19に接続させる。別様には、孔19をある長さ円周方向に掛けることによって、軸方向に間隔をあけた溝18および中央の円周方向の溝20のいずれかの長さを減じるように、孔19をこれらの溝の間に斜めに延在させてもよい(図示せず)。
円周方向の溝20の長さはサドル11の全周にわたる。軸方向の孔19を軸受キャップ6内に位置させることも可能である。その場合、軸方向に間隔をあけて設けられる溝18をサドル11まで延ばす必要はなくなるが、その代わり、軸方向中央の円周方向の溝20を、軸受キャップ6まで延ばして軸方向の孔19に接続させる。別様には、孔19をある長さ円周方向に掛けることによって、軸方向に間隔をあけた溝18および中央の円周方向の溝20のいずれかの長さを減じるように、孔19をこれらの溝の間に斜めに延在させてもよい(図示せず)。
円周方向の溝20は、下部シェル12(図3)の給油孔21へ開口するが、下部シェル12の給油孔21は、下部シェル12の軸受面に配置される軸方向の潤滑溝22に通じている。図に示されるように、軸方向の潤滑溝22は2つあることが好ましいが、状況に応じて、例えば4つなどとしてもよい。軸方向の孔19から円周方向の溝20に流れる潤滑油の一部は、給油孔21を介して軸方向の潤滑溝22へと流れる。潤滑溝22内の大部分の油は、その端部から圧送されて、油溜(図示せず)において受けられるが、軸方向の潤滑溝22を通って流れる一部の潤滑油は、横断方向に圧送され、ジャーナル4を担持する油膜の形成を補助し、実質的に下部シェル12のジャーナル面と軸受面との直接的な接触を防ぎ、潤滑を提供する。
軸方向の孔19から円周方向の溝20に流れる潤滑油の大部分は、給油孔21には流れないが、代わりに、クランクピンの軸受(図示せず)に潤滑油を供給するために、サドル11の中央で径方向に伸びる溝20と交差し、コネクティングロッド7を通って長手方向に延びる大径給油孔23へさらに流れる。
軸方向の潤滑溝22は、記述される実施形態のすべてにおいて、軸受面の開口部の列(図示せず)に置き換えることができる。この開口部は、軸受シェル12の背面またはサドル11のいずれかにおいて、それらの下部に軸方向の給油流路を備える。
したがって、軸方向の孔5の開口部から、軸方向に走る潤滑溝22または線状の潤滑用開口部への流路は、実質的に軸受面に隣接するように、または、いずれかの軸受シェルの背面に沿って、延びている。流路19はサドル内に形成されているが、それでもこの部分の流路は軸受シェルの背面に実質的に隣接するとみなされる。
図6は、第1の実施形態によるクロスヘッド軸受の、軸受の油膜の径方向の圧力分布を示す。これは、幅広い基部と比較的低い最大振幅を有する単一のピークを有する。図8は、基部が狭く、最大振幅が非常に高い潤滑ポケットを有する、従来技術の構造の対応する径方向の圧力分布を示す。
図7は、軸受の油膜の軸方向の圧力分布を示し、幅広い基部と比較的低い最大振幅を有する。図9は、クロスヘッドジャーナルにおいて横断方向のスリットを有する従来技術の構造の対応する径方向の圧力分布を示し、最大圧力が非常に高い2つの別々のピークを有する。
図1および3に示されるように、軸方向の潤滑溝22は、大きな荷重のかかる部分の境界域に配置される。潤滑溝22の角距離は、最大120°とすることができる。これにより、クロスヘッド軸受には、軸受の大きな荷重のかかる部分に有効な軸受領域がもたらされ、この領域は、この種の軸受を小さめに設計することにより、潤滑ポケットを有するクロスヘッド軸受を備えることが可能なものよりも著しく広くなる。小さめの寸法にすることは、軸受の大きな荷重のかかる部分における軸受の油膜の径方向の最大伸長は、約40°に制限される。
図10は、クロスヘッド軸受1の第2の実施形態を示す。ピストンロッド2は、軸方向の孔5を備えるクロスヘッドジャーナル4に、油圧締め付けスタッド(図示せず)によって接続される。ある角度のカットアウトを有するピストンロッド2用の一体型クロスヘッド軸受キャップ6は、油圧ジャッキによって締め付けられるスタッドおよびナット9によってコネクティングロッド7に固定される。軸受キャップ6は、薄壁の上部鋼シェル10を備え、軸受の内面にはホワイトメタルが裏打ちされる。コネクティングロッド7は、薄壁下部鋼シェル12を保持する一体型サドル11を備え、軸受内面にはホワイトメタルが裏打ちされる。サドル11の下部シェル12は、事実上一体の構成要素として機能するが、連続する軸受面を形成するように密に積み重ねた2つ以上の要素で形成することも可能である。この場合、シェルを形成する要素は、要素間の移動が抑えられ、水平が保たれる。サドル11および軸受キャップ6はクロスヘッド軸受のハウジングを形成する。下部シェル12上の軸受面は、上部シェル10の軸受面と協働して、クロスヘッドジャーナル4を受ける軸受孔を形成する。この軸受は大きめに設計される。すなわち、クロスヘッドジャーナル4の半径は、軸受シェルの半径よりも大きく、軸受の外周全体に完全な油膜を形成するために、ジャーナルの正面およびシェルの軸受面を十分に接近させることができる。このデザインは、埋め込まれたアーク(embedded arc)とも称される。
クロスヘッドは鍛鋼製であり、動作面にホワイトメタルを裏打ちした鋳鋼製のガイドシュー(図示せず)を備える。伸縮はめ合管(図示せず)は、シリンダフレームの最上部のシステム油ライン(図示せず)から、クロスヘッドの方へ下り、ガイドシューのうちの1つに載置され、伸縮はめ合管から注入されるオイルのためのブラケット(図示せず)の方へ下って延在する。
図11に示されるように、ジャーナル4の軸方向の孔5が、径方向の孔28およびクロスヘッド内の溝および孔(図示せず)を介して伸縮はめ合管に接続され、約3barという比較的低圧の潤滑油をエンジンの潤滑システム(システム油)から供給する。しかし、潤滑システムと軸方向の孔5との間の接続は、伸縮はめ合管によって形成する必要はなく、公知技術であるヒンジ付管および/またはフレキシブル管を使用することも可能である。更なる径方向の孔29は、ガイドシューに潤滑油を供給する。
潤滑油は、中空のピストンロッド2へ向かう上向きの径方向の孔13を介して、ピストン(図示せず)を冷却するために、軸方向の孔5からピストンへ流れる。ピストンロッド2を通ってピストンから戻ってくる油は、2つの上向きの孔14で受ける。油は、孔14から油溜(図示せず)に導かれる。
斜め下向きの2つの孔24は、軸方向の孔5から下部軸受シェル12を伴うジャーナル4の表面へと延びる。
図12に示されるように、(軸方向中央の)2つの円周方向のスリット25が、下部シェル12の軸受面に設けられ、その1つは径方向の孔24のそれぞれの開口部に対向し、径方向の孔24から流出する潤滑油を受ける。円周方向のスリット25は、下部軸受シェル12の上縁から、2つの軸方向の潤滑溝22のそれぞれの下方に向かって延びる。潤滑油の一部は、円周方向のスリット25を通って軸方向の潤滑溝22に流れる。別様には、円周方向のスリット25は、下部軸受シェルの真下のサドル11に配置させることも可能である。また、下部軸受シェルは、サドル11の円周方向のスリット25を斜め下向きの孔24に接続する開口部(図示せず)を備える。
径方向の孔24から円周方向のスリット25に流れる潤滑油の一部は、軸方向の潤滑溝22に流れる。潤滑溝22内の大部分の油は、その端部から圧送されて、油溜(図示せず)において受けられる。軸方向の潤滑溝22を通って流れる一部の潤滑油は、横断方向に圧送され、ジャーナル4を担持する油膜の形成を補助し、実質的に下部シェル12のジャーナル面と軸受面との直接的な接触を防ぎ、潤滑を提供する。図に示されるように、軸方向の潤滑溝22が2つあることが望ましいが、円周方向のスリット25のそれぞれと交差する2つの軸方向の潤滑溝とともに、状況に応じて、例えば4つなどとしてもよい。
図13および14に示されるように、サドル11は、その軸方向の中央部に、サドル11の円周方向に端から端まで設けられる溝26を備える。この円周方向の溝26は、幅が変化し、円周方向のスリット25の下に配置される。円周方向のスリット25へ開く円周方向の溝26の一部は、径方向中央の部分よりも幅が広くなっている。径方向の孔24から円周方向のスリット25に流れる潤滑油の大部分は、潤滑溝22には流れないが、代わりに、径方向の溝26を介して、クランクピンの軸受(図示せず)に潤滑油を供給するために、径方向の溝26の中央部分と交差し、コネクティングロッド7を通って長手方向に延びる大径給油孔23へ流れる。
第2の実施形態による軸受の油膜の圧力分布状態は、図6および8に示される第1の実施形態と実質的に同一である。軸受の油膜の得られる径方向の延在は、第2の実施形態においても最大120°に達する。
図15および16は、本発明の第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、第1の実施形態と同様にクロスヘッドジャーナルの上向きの流路15を備え、軸受キャップ6上で軸方向に間隔をあけて設けられる溝18に、スリット16を介して潤滑油を導く。軸方向に間隔を開けて配される溝18は、(サドル、または示されるように軸受キャップにおいて)サドル11に斜めに配置される2つの溝20'と交差する。この溝20'は、サドル中央の大径給油孔23と交差する。斜めの溝20'は、軸方向の潤滑溝22のそれぞれにおいて軸方向に間隔をあけた2つの給油孔21に開き、下部軸受面に潤滑油を供給する。
別の実施形態(図示せず)によれば、軸方向の潤滑溝22は、ジャーナル4に配置することができる。ジャーナルの軸方向の潤滑溝22は、径方向の孔24の開口部から軸受面に沿ってジャーナル4の軸方向の潤滑溝22の方へ延びる円周方向の溝を介して、給油されることが可能である。円周方向の溝は、ジャーナル面または下部軸受シェルの表面で受けられることが可能である。
上述の全ての実施形態に対して、軸方向の潤滑溝22は、下部軸受シェル12の間隔をあけた潤滑用開口部(図示せず)の列と置き換えることが可能である。軸受シェルの後面の軸方向の溝(図示せず)は、開口部の列に潤滑油を供給することが可能である。
本発明は、大きめに設計した軸受において最も好都合であるように思われるが、小さめに設計した軸受でも使用することが可能である。
本発明は、例証のために詳述したが、当該の詳細は単にその目的のためのものであり、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく変更できると理解されたい。
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