JP2007527871A - 重合化合物及び関連した使用方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、実質的に水性環境において、例えば、接着剤として機能する組成物である。好ましい組成物は、一般に接着部分及びポリマー部分を含み、ポリマー部分は、所望の表面活性作用(又は他の所望の特性)を有する。本発明の組成物の接着部分は、ジ(DHPD)を含むジヒドロキシフェニル誘導体からなる。

Description

関連出願
この出願は、米国特許出願第60/306,750号及び第60/373,919号(それぞれ2001年7月20日、2002年4月19日出願)の一部継続出願第10/199,960(2002年7月19日出願)である。また、この出願は、米国特許出願第60/548,314号(2004年2月27日出願)、第60/549,259号(2004年3月2日出願)の優先権を主張し、これらの全内容をここに参照として組み込む。
連邦政府によって後援された研究または開発に関する声明
米国政府は、国立衛生研究所からノースウエスタンユニバーシティへの許可番号DE13030、DE12599及びDE14193ならびにNASAからノースウエスタンユニバーシティへの許可番号NCC-1-02097に準じてこの発明に対する特定の権利を有する。
イガイ(Mussel)接着剤タンパク(MAP)は、イガイとイガイが存在する表面と間に強靭な結合を形成する注目に値する水中接着材である。表面への接着プロセスの間、MAPは、固体プラークの形成をもたらす架橋又は硬化反応を経る流体として分泌される。MAPのユニークな特徴のうちの1つは、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、つまり、完全には理解されていないメカニズムによって基体への接着に少なくとも部分的に寄与すると考えられている特有のアミノ酸の存在である。イガイは、金属、金属酸化物、ポリマー、プラスチック及び木を含む種々の表面に接着する。
表面への細胞及びタンパクの接着の制御は、バイオセンサー、医療診断用製品、血清及び他のヒト/動物の体液を取り扱うことを必要として使われるいずれかの器具類及びアッセイ、組織エンジニアリング、インビボでの局所薬送出、移植医療装置、外科的切開の治癒、治癒のための組織(例えば、骨及び軟骨)の接着ならびにナノテクノロジー(ナノ粒子ベースの治療法と診断用ツール)の性能にとって重要である。また、多くの産業用途でも、表面への細胞及びタンパクの接着の制御は重要である。そのような用途は、海及び淡水中で使用されるボート及び船、埠頭並びに他の構造物へのイガイの接着を防止すること、産業用及び飲料水用に用いられる喫水線で藻類及び細菌が成長するのを防止すること、水質及び純度を測定するために用いられるセンサーを含む。
医療活動の現場において、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)及びPEO−PPO−PEOブロックコポリマー(プルロニックの商標で入手可能なもの等)等のポリ(アルキレンオキサイド)(PAO)、並びにPEG/テトラグリム、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)(PMEMA)及びポリ(メタクリロイル ホスファチジルコリン)(polyMPC)(E.W. Merrill, Ann. NY Acad. Sci., 516, 196 (1987); Ostuniら、Langmuir 2001, 17, 5605-20、参照としてここに取り込む)等のポリマーの物理的又は化学的な表面における不動化が、表面におけるタンパク及び細胞の吸着を制約するための方法として採用されている。ポリマーで表面を改質するために現在使用されている方法は、各タイプの材料に合わせなければならず、したがって、種々の化学的方法を必要とする。例えば、プラチナ、銀及び金のような貴金属表面は、チオール(−SH)含有分子を用いて改変することができ、一方、金属酸化物は、しばしばシランカップリング剤を用いて改変される。異なる種類の材料において全般的に適用することができる表面改質の方法は存在しない。さらに、現在の方法の多くは、高価な器具類、複雑な合成手順又は双方に頼っている。
本発明は、実質的に水性環境において、例えば、接着剤として機能する組成物である。好ましい組成物は、一般に接着部分及びポリマー部分を含み、ポリマー部分は、所望の表面活性作用(又は他の所望の特性)を有する。
一形態において、本発明の組成物の接着部分は、ジ(DHPD)を含むジヒドロキシフェニル誘導体からなる。ここで、第2のDHPDは、
Figure 2007527871
であり、つまり、ジヒドロキシフェニルのメチレン誘導体である。
さらなる形態において、ポリマー部分は、ポリ(アルキレンオキサイド)を含む。非常に好ましい実施では、接着部分は、DHPD、例えば、DOPA(ここで説明された)を含み、ポリマー部分はPEO−PPO−PEOブロックコポリマー(上述された)を含む。
さらに好ましい実施では、接着部分は、例えば、アルキルアクリレート等のエチレン性又はビニル性不飽和基を含むペンダント鎖を含有するDHPDを含む。
発明の詳細な説明
より具体的な本発明は、式(I)
Figure 2007527871
(式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖、置換又は非置換C1-4の炭化水素からなる群から独立に選択され、
Pは、−NH2、-CO-OH、-OH、-SH、
Figure 2007527871
(ここで、R1及びR2は上記と同義)
単結合、ハロゲン原子、
Figure 2007527871
(ここで、A1及びA2は、別個に独立して、水素原子、単結合からなる群から選択される)、
保護基、実質的にポリ(アルキレンオキサイド)、
Figure 2007527871
(ここで、nは1〜約3、A3
Figure 2007527871
(ここで、R4は水素原子、C1-6の低級アルキル又は
ポリ(アルキレンオキサイド)−C(=O)−C(R3)=CH2
(ここで、R3は上記と同義、
Dは式(I)に記載されている)
から別個に独立してなる群から選択される)
のジヒドロキシフェニル(DHPD)接着化合物を含む。
一形態において、ポリ(アルキレンオキサイド)は、
Figure 2007527871
(式中、R3及びR4は、別個に独立して水素原子、CH3及びmは1〜約250の範囲の数値、A4は、NH2、CO−OH、−OH、−SH、−H又は保護基である)
の構造を有する。
非常に好ましい形態では、DHPDは、
Figure 2007527871
(ここで、R1、R2及びPは上記と同義である)
である。
さらに好ましい形態では、DHPDは、
Figure 2007527871
(ここで、A2は−OHであり、A1は、
Figure 2007527871
(ここで、R3、R4及びmは請求項2と同義である)
の構造の実質的にポリ(アルキレンオキサイド)
の構造のものである。一般に、ポリ(アルキレンオキサイド)はエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである。
本発明の方法は、基板を互いに接着させることを包含しており、
Figure 2007527871
(式中、R1及びR2は上記と同義である)
の構造のDHPDを準備し;上記構造のDHPDを、接着させる基体の一方、他方又は双方に塗布し;接着させる基体を上記構造のDHPDに接触させて互いに基体を接着し、及び任意に、基板を分離することにより互いに相対的に再位置決めを行い、上記構造のDHPDを互いに再接触させる工程を含む。
好ましい方法では、R1及びR2は水素である。
定義
この適用の目的に対するジヒドロキシフェニル誘導体(DHPD)は、以下の構造式のジヒドロキシフェニル誘導体を意味する。
Figure 2007527871
(P、R1及びR2は以下の定義であり、nは1〜約5である。)
一実施例では、R1及びR2は水素であり、Pは、それ自体ジヒドロキシフェニルである。本発明の実施において、好ましいDHPDは、1-3,4ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、(一般的に)、
Figure 2007527871
(ここで、A1及びA2は上記と同義である)
ここで用いる用語「実質的にポリ(アルキレンオキサイド)」とは、組成物中において、優勢に又は大部分がアルキルオキサイド又はアルキルエーテルであることを意味する。この定義は、例えば、N、O、S、P等のヘテロ原子、例えば、−CO−OH、−NH2、−SH等の官能基並びにエチレン性又はビニル性不飽和基の存在を意図する。そのようないずれかの非アルキレンオキサイド構造は、例えば、概して、界面活性、非毒性又は免疫反応特性(必要に応じて、このポリマーの)を著しく低減しないような相対存在量で存在するかもしれないことは理解される。
CDCl3中でのプルロニック(登録商標)F127、その炭酸塩中間体(SC−PAO7)及びDME−PAO7の1HNMRスペクトルを示 す。
30重量%DME−PAO7、DOPA−PAO7及び未改変プルロニック(登録商標)F127水溶液の示差走査熱分析図を示す。矢印は、ゲル化吸熱の位置を示す。
0.1Hz及び0.45%の歪みでの温度の関数として、22重量%のDME−PAO7水溶液の剪断ストレージ係数(shear storage modulus)G’をプロットしている。差込図に示されたものは、温度の関数として22重量%の未改変プルロニック(登録商標)F127水溶液のレオロジープロフィールである。
0.1Hz及び0.45%の歪みでの温度の関数として、50重量%のDME−PAO8水溶液の剪断ストレージ係数G’をプロットしている。差込図に示されたものは、温度の関数として50重量%の未改変プルロニック(登録商標)F68水溶液のレオロジープロフィールである。
0.1Hz及び0.45%の歪みでの温度の関数として、それぞれ45重量%及び50重量%でのDME−PAO8水溶液のストレージ係数をプロットしている。
異なる濃度での加熱におけるDOPA−PAO7及びDME−PAO7の示差走査熱分析図を示す。矢印は、より高いポリマー濃度でのみ観察されたゲル化吸熱の位置を示す。
未改変Au、mPEG−OH、mPEG−DOPAに対する高解像度C(1s)XPSスペクトルを示す。(C)において286.5eVでのエーテルピークにおける劇的な増加はPEGの存在を示す。
金のカテコール結合を表すピークを示すTOF−SIMSポジティブスペクトルを提供する。スペクトルはAuピーク(m/z〜197)に標準化した。
未改変Au基体、mPEG−OH、mPEG−DOPA粉末にさらした金、mPEG−DOPAにさらした金に対するマス(m/z〜43)でのポジティブ二次イオンピークを示すTOF−SIMSスペクトルを提供する。
mPEG−DOPAで化学吸着したAu基体に対するポジティブ二次イオンピークを示すTOF−SIMSスペクトルを示す。金のカテコール結合はm/z〜225 (AuOC)、254 (AuOCCO)及び309で観察された。より小さい強度AuOaCbピークは、m/z〜434、450、462及び478で見られた。周期的な三重項は、m/z範囲530〜1150で見られた。これはDOPA−(CH2CH2O)nに結合した金に対応する。各サブピークは、14−16amu離れ、PEG鎖におけるCH2、CH2CH2及びCH2CH2Oを示す。このパターンは、n=1〜15で観察された。
改変又は未改変金表面へのタンパク((0.1 mg/ml BSA)吸着のSPRスペクトルを示す。mPEG−DOPA及びmPEG−MAPd改変表面は、裸の金及びmPEG−OH改変表面に比較してタンパク吸着が減少したことを示す。
抗付着特性のmPEG−DOPA濃度依存を示す。金表面は、24時間、示されたmPEG−DOPA濃度で改変し、続いて、付着細胞の密度及び面積を分析した (*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.00l;黒棒=合計の設定面積、灰色棒=表面細胞密度である。
裸の金、mPEG−OH処理の金ならびにmPEG−DOPA 5K、mPEG−MAPd 2K及びmPEG−MAPd 5Kで改変した金(最適条件下:50mg/ml、24時間)における細胞付着及び拡散の比較である (黒棒=合計の設定面積、灰色棒=表面細胞密度; ***=p<0.001)。
未改変Au、mPEG−OHで処理した金、mPEG−DOPA−改変AuにおけるNIH 3T3繊維芽細胞 のモホロジーを示す一連のSEM顕微鏡写真である。すべての処理を、24時間DCM中50mg/mlで行った。
示され、プロットしたいくつかのNaCl水溶液濃度中に懸濁したmPEG−DOPA安定化マグネタイトナノ粒子のUV/可視スペクトルである。NaClの添加はナノ粒子の沈殿を誘発しなかった。
未処理Auナノ粒子への塩の添加が凝集を誘発したことを示す。NaCl水溶液に懸濁された10nm未処理Auナノ粒子のUV/可視走査を示す(示された濃度で、プロットした) NaCl濃度の増加での520 nm 吸収バンドの減衰及びシフトはナノ粒子の凝集を反映する。
mPEG−DOPA安定化Auナノ粒子に対する塩の添加は凝集を誘発しなかったことを示す。NaCl水溶液に懸濁された10nmmPEG−DOPA安定化Auナノ粒子のUV/可視走査を示す(示された濃度で、プロットした) NaCl濃度の増加で520 nm 吸収バンドの減衰及びシフトが起こらなかったことは、ナノ粒子の有効な安定化を反映する。
NaCl水溶液に懸濁されたmPEG−DOPA安定化CdSナノ粒子 UV/可視吸収スペクトルをプロットした(示された濃度で、プロットした)。
未改変TiO2及びmPEG−DOPA1-3で改変したTiO2のXPSサーベイ走査をプロットした。
TiO2及びmPEG−DOPA1-3で改変したTiO2の細胞接着に対する長期抵抗性をプロットした。非付着応答の期間は、DOPAペクチドアンカー基の長さに比例する。接着細胞は、カルシウムAMで可視化した。
mPEG−DOPA1-3で改変したTiO2のC1s領域の高解像度XPS走査をプロットした。DOPAペクチドアンカーの長さが増加するにつれて、エーテルカーボンピーク (286.0eV)が増加した。
mPEG−DOPA1-3で改変したTiO2基体のO1s領域の高解像度XPS走査をプロットした。DOPAペクチド長さが増加するにつれて、ポリマー酸素を表す532.9eVのピークが増加し、一方、TiOHピーク(531.7eV)が減少した。
316L ステンレススチールにおけるRobust Design 実験の結果をプロットした。
示されたpHで50℃にて、24時間改変を利用してmPEG−DOPA1-3により改変した種々の表面への4時間細胞接着をプロットした。
%ゲル変換対UVにさらした時間(分)をプロットしたものである。
組み込まれたDOPAのモル画分対前駆体溶液中の1又は7のモル%をプロットしたものである。
%ゲル転換対1又は前駆体溶液のモル%をプロットしたものである。
窒化珪素表面のX線光電子求引性スペクトルXPS分析である。
官能化窒化珪素カンチレバーの力モニタリングである。
ポリ(エチレングリコール)のエントロピー弾性の分析である。
改変DOPAの側鎖の力測定である。
DOPA−T12結合メカニズムの提案モデルである。
原子間力顕微鏡の配列である。
力測定に関するデータを示す。
接着データを示す。
合成経路及びデータ分析を示す。
これらのジヒドロキシフェニル誘導体(DHPD)接着剤は、水性環境下で機能する。ポリマー組成物を形成するために、接着機能を通常与えるDHPD部分は、所望の表面活性作用を与えるポリマーに結合する。これらの成分を、以下により詳細に説明する。
これらの接着性及びポリマー組成物は、タンパク及び/又は細胞の種々の医学、産業及び民生用途における表面への接着の防止を含む、多くの用途を有している。また、DHPD接着剤は、傷の縫合の代わりとして、骨折または軟骨から骨の損傷を癒やすことの助けとして用いることもできる。これら及び他の用途を、以下にさらに詳細に説明する。
本発明の好ましいポリマー組成物は、以下の構造を有する。
Figure 2007527871
(ここで、式(1a)の各化合物について、R1及びR2は別個に独立して上記のように定義され、
1及びP2は、別個に独立して式(I)のPとして定義されており、
n及びmは独立して0〜約5であり、ただし、n又はmの少なくとも1つは1以上である。)
接着部分
本発明の接着部分は、以下の好ましい構造を有するジヒドロキシフェニル誘導体(DPHD)である。
Figure 2007527871
(ここで、R1、R2及びPは、上記と同義、tは1〜約10、好ましくは1〜約5、最も好ましくは1〜約3である。)
DHPD接着剤は水性環境下で機能することができる。この文脈において、水性環境は、水を含むいずれかの媒体である。これは、限定されないが、塩水及び淡水(細胞及び細菌増殖培養液、水性バッファ、他の水性溶液及び体液)を包含する水を意味する。DHPD部分は、誘導体化されたものであってもよい。当業者によって理解されるように、そのような誘導体化は、望ましい接着特性を維持によって制約される。
ポリマー成分
表面の活性作用及び他の望ましい特性を与える種々のポリマー成分は、この発明を認識する当業者にはよく知られている。望ましい表面の活性作用は、細胞及び/又はタンパク接着に対する抵抗を含む、微粒子のかたまりの減少及び抗生物接着に関するものである。例えば、ポリマー成分は水溶性であってもよく、最終的な用途アプリケーションに依存することができ、および/または、種々の他の最終使用用途によってミセルを形成することが。本発明に有用なポリマーは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO−PPO−PEOブロック共重合体、ポリフェニレンオキサイド、PEG/テトラグリム(tetraglyme)、PMEMA、ポリMPC及びパーフルオロ(perfluorunated)ポリエーテルを含む。
ポリマー組成物は、いくつかの方法で合成することができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー末端基を活性化する一般的な合成法によって合成することができる。種々のポリマーまたはそのモノマー成分は、カーボネートの化学を使って活性化することができる。特に、DHPD部分と反応したスクシンイミド(succinimidyl)のカーボネート化−活性ポリマー成分は、安定したウレタン結合を提供することができる。以下の式1a及び1bにおける多くの可能な経路(a)及び(b)の2つは、望ましい生物接着(bioadhesion)を損なうことなく、水性又は非水溶媒中の双方においてポリ(アルキレンオキサイド)と結合することを示す。例えば、DHPD残基は、ウレタンまたはアミド結合形成のいずれかによって、所望の結合組成物を提供するために、ポリマー成分に結合することができる。これらの合成カウントは、以下にさらに詳しく説明する式1a及び1bで示す。
Figure 2007527871
Figure 2007527871
より詳しくは、ウレタン結合の形成を通してポリマー成分に結合する場合、DHPD成分のカルボン酸基を、エステル化又は種々の他の官能基で誘導体化することができる。あるいは、DHPD成分は、限定されないが、Boc、Fmoc、ホウ酸エステル、リン酸エステル及びトリブチルジメチルシリルを含む多数の公知の保護基のいずれかによって誘導体化することができるDHPD官能性を与えるポリマー成分に結合することができる(例えばポリマー末端基、−NH2または−OHによるアミド化またはエステル化)。DHPD成分のN基の保護は、多官能誘導体化に有用なカルボン酸基及び/又はそれに結合される高密度のポリマー成分を残すことができる。
したがって、一つには、本発明は、DHPD残基を重合システムに取り込むためにウレタン合成を用いる方法でもある。そのような方法は、(1)それぞれが官能末端基を有する複数のモノマーで終端するポリマー成分を準備し、(2)ポリマー成分のカーボネート誘導体を形成し、(3)カーボネート誘導体及び少なくとも1つのDHPD部分の反応によってウレタン部分を形成することを含む。上述したように、この方法に関連して用いられるポリマー成分は、所望のカーボネート誘導体与え、最終的にポリマー及びDHPD成分を結合するウレタン部分を与える試薬と、反応性のある末端モノマー官能性を有するものを含むことができる。種々の他の結合試薬及び/又はヒドロキシ末端ポリマー成分を、所望のウレタン部分を与えるために用いることができる。
一つには、本発明は、DHPDを取り込んだポリマー組成物及び/又はシステムのカテコールの(catecholic)官能性を維持するために、あるいはそれらの接着特性を強めるためにカーボネート中間体を用いる方法でもある。そのような方法は、(1)それぞれ官能末端基を有する複数のモノマーで終端したポリマー成分を準備し、(2)ポリマー成分を試薬と反応させ、カーボネート中間体を与え、及び(3)カーボネート中間体を少なくとも1つのDHPD部分と反応させることを含む。いずれかの単一の理論又は操作モードに限定されないで、本発明の方法は、適当なカーボネート中間体を通して、ポリマー成分の末端基の反応性を高める方法と考えられる。カテコールの官能性を維持しながら、DHPD部分のアミノ窒素において、以降の反応は対応する結合を与える。
本発明によれば、式1aで示されたように、種々の合成経路を、そのようなカーボネート活性化中間体にDHPD部分を結合させるために用いることができる。DOPAメチルエステル(DME)は、塩化チオニルの存在下でDOPAとメタノールとの反応によって形成されるが、有機溶媒下で用いることができる。反応プロセスは、1時間で実質的に完了する結合反応で(典型的なDME−PAO7(PAO PLURONIC(登録商標) F127から)及びDME−PAO8(PAO PLURONIC(登録商標) F68から)の結合で)、TLC及びNMRによってモニターすることができる。高収率の生成物は、冷メタノールからの精製によって得ることができた。
DOPAの遊離カルボキシル酸形は、アルカリ性水溶液中でカーボネート中間体に結合することができる。DOPAで作用することの主要な困難性は、(DOPA−キノン及び他の生成物への)酸化の容易さであることはよく知られており、それは容易にアルカリ性水溶液で起こる。アルカリ条件下での結合の間、DOPAカテコール側鎖の不必要な酸化を防ぐために、ホウ酸エステルで保護されたDOPAを、まず、DOPAを水性ホウ酸ナトリウムに加えることによって形成することができる(式1b)。結果として生じる複合体は、中性またはアルカリ性溶液で非常に安定していて、酸性条件下で容易に脱保護することができる。DOPAとホウ酸エステルとの間での複合体形成の利点を利用して、DOPAを、アルカリ水性条件下でいくつかの市販のPAOの末端に結合させて、DOPA−PAO7及びDOPA−PAO8を得た。反応溶液の目視検査では、DOPA−キノンの強い吸収のないことが表され、これは、DOPAが反応の間酸化されないままであったことを示す。反応完了時、塩酸によって酸化することによりブロック共重合体のDOPA末端基が脱保護した。
1HNMRスペクトル及び比色分析の双方によって、スクシンイミドの活性化反応中間体及び式1の4つ全てのDOPA改変PAOの組成物を確認した。図1は、PAO PLURONIC(登録商標)F127、スクシンイミジルカーボネート活性中間体(SC−PAO7)及び対応DOPAメチルエステル改変PAO(PLURONIC(登録商標)F127、DME−PAO7を用いた)の1HNMRスペクトルを示す。スクシンイミドカーボネート基からの−CH2−プロトンによる〜2.8ppm及び活性化PAOにおけるカーボネート基に隣接するエチレンオキサイド基のみからの−CH2−O−による〜4.4ppmでの鋭いピークは、DOPA含有PAOの1HNMRスペクトルから完全に消失しており、一方、一連の新しいピークがDOPA部分が共重合体に導入されたことにより現れる。DOPA含有PAOの1HNMRスペクトルのひとつの特徴は、DOPAフェニル環での3つのプロトンに対応する6.5〜6.9ppmにおける1つの一重項及び2つの二重項の出現である。同様の特徴が、水溶液から合成されたDOPA−PAO複合体の1HNMRスペクトルにおいても観察された(図示せず)。
対応するカーボネート中間体、SC−PAO7及びSC−PAO8において2つの有用なスクシンイミドカーボネート基の前提に基づいて、これら2つのPAOへのDOPAメチルエステル及びDOPAの結合効率が、比色分析(表1)から得られたように、76%及び81%の範囲に定量的に見出された。報告された結合効率は、同じ条件下で行われた少なくとも3回の繰り返し合成の平均値であり、かなり過剰のDOPAが反応で使われた場合、顕著な増加が見出されなかった。同様の結合効率が、水溶液から製造されたDOPA−PAO7及びDOPA−PAO8についても見いだされ、スクシンイミジルカーボネート活性化PAOの加水分解が、Na247を含む水性アルカリ溶液では遅いことを示唆している。
結合効率と対照的に、水溶液で合成された選択されたDOPA改変PAOの生成率(表1に示す)は、有機溶媒で合成されたそれらより低いことが見出された。これは、原料のPAO材料の界面活性特性によるかもしれず、水からジクロロメタンでのDOPA改変PAOの抽出の低い効率を招く。DOPA−PAO7及びDOPA−PAO8中の遊離カルボン酸を、ブロック共重合体の特性を合わせるために、標準的なペプチド化学を使ってさらに官能化することができる点に留意する必要がある。表1の4つのDOPA改変PAOは、変色または特性の変化が起こらずに、無期限に−20℃で保存することができた。
Figure 2007527871
表面の細胞およびタンパク接着のコントロールは、バイオセンサー、医療診断用製品、血清及び他のヒト/動物の体液を取り扱うことを必要として使われるいずれかの機器及びアッセイ、組織エンジニアリング、生体内薬送出、移植医療装置、外科的切開の治癒、治癒のための組織(例えば、骨及び軟骨)の接着及びナノテクノロジー(ナノ粒子ベースの治療及び診断用ツール)の性能にきわめて重大である。多くの産業用途でも、表面への細胞およびタンパク接着のコントロールは重要である。そのような用途は、限定されないが、海及び淡水中で使用されるボート及び船、埠頭及び他の構造に対するイガイ接着の防止、産業飲料水で使われる喫水線で成長する藻類及び細菌の防止、ならびに水質及び純度の測定に使用されるセンサーを含む。
本発明のポリマー組成物を、医学および研究用途の装置にタンパク及び細胞接着を防ぐコーティングとして使用することができる。これらは、限定されないが、医療インプラント用コーティング、外科装置用コーティング、血清及び他の動物/ヒト派生材料を処理する装置用のコーティング、医療診断用装置及びバイオセンサーのような用途を含む。あるいは、ポリマー組成物は、組織シーラント、外科的粘着力(瘢痕組織形成)、骨及び軟骨接着の防止のためのゲル、組織エンジニアリング及び部位特異性薬物溶出のような医療用途用のため、ならびに抗体及び医薬品を含む低分子検体を包含するタンパクの固定化等の研究用途のための組織接着ポリマーヒドロゲルとすることができる。さらに、限定されないが、海洋生物付着(水表面への藻、バクテリア及びイガイの接着)の防止、電子及び薬物製造のような産業工場への水流の細菌汚染の防止、飲料水流の細菌汚染の防止、歯及び義歯接着、デリバー・インジケーターへの水中付着、水質純度及び測定センサーのためのコーティング、生物付着の防止に用いられるペンキ、及び髪、まぶた、唇及び皮膚へ所望の香料、色素を付着させるため及び刺青等の一時的な皮膚着色を形成するための化粧品における使用、保存バッグ等の消費者製品のための再付着可能な接着剤のための使用を含むこれらコーティング及びヒドロゲルの種々の産業及び消費者製品の使用がある。本発明の方法は、医学(診断法、装置、ナノ粒子ベースの治療法)及び非医学(ペンキ及び他の粒子分散剤、MEMS、量子ドット、非付着表面)テクノロジー双方のために種々のポリマー改変表面を形成するために用いることができる。
接着性ヒドロゲルは、本発明の方法を用いて形成することもできる。DHPD接着剤は、インビボ又はインビトロにおいてヒドロゲルを形成することができるポリマーに付着する。これらのヒドロゲルは、正常人の体温のような高い温度でゲルを形成する自己集合性ポリマーの使用、酵素反応によって架橋させることができるポリマーの使用、架橋ヒドロゲルを形成するために酸化処理にすることができるポリマーの使用、架橋ヒドロゲルを生成するために光活性化に付すことができるポリマーの使用を含む種々の方法によって形成することができる。
抗生物付着コーティング
本発明の抗生物付着コーティングは、医療装置(例えば、脈管又は動脈ステント、ペースメーカ、心臓弁、ブドウ糖検出装置及び他のバイオセンサー、脈管帯(vascular wrap)、除細動器)、縫糸及びカテーテルを含む整形外科装置及び外科装置に塗布されるかもしれない。本発明のポリマー組成物は、医学および研究用途の装置に対して、タンパクや細胞接着を防止するコーティングとして用いることができる。これらは、限定されないが、医療インプラント用コーティング、外科装置用コーティング、血清及び他の動物/ヒト派生材料の処理装置用、医療診断用装置及びバイオセンサー用のコーティング等の用途を含む。細胞接着抵抗のためのポリマーによる生物材料の表面を改変する難題のうち、タンパク及び細胞を寄せ付けず、完全に表面を覆うコーティングを生成することができる十分に高い密度のポリマーを製造する。これは、異なる材料でできている複数の部品を含む装置に関して特に問題である。表面は、多くの方法で、本発明のポリマー組成物によって改変されるかもしれない。例えば、ポリマー組成物は、表面に吸着されるかもしれず、あるいは、ポリマー開始剤を含むDHPD部分が、表面及び表面から開始されたポリマー成長に吸着されるかもしれない。後者について、限定されないが、ラジカル重合、ラジカル重合法、イオン重合、開環重合及び光重合が開始した表面を含む多くの重合技術が可能である。
例えば、PEGのユニークな可溶特性を利用することによって、ポリマーの表面密度は、低臨界溶液温度(LCST)または雲点の近くで、表面をPEG溶液で処理することによって増大させることができる。理論に束縛されたくなければ、出願人は、本発明で用いられる高いイオン強度及び高温度条件下で、PEG分子が減少した流体力学半径を有すると考えており、それは原則として、標準的な条件下でよりも高密度でPEG鎖を表面に詰め込むことを可能にする。このアプローチは、逆溶解性転位を示す、ポリエチレングリコール、ポリN−イソプロピルアクリルアミド及び他のN−置換ポリアクリルアミド等の高温及び高イオン強度で逆溶解性転位を示すポリマーに有用である。
本発明の種々のポリマー組成物で表面を改変することによって、細胞およびタンパク付着に対する抵抗を、最高7日、14日、21日、30日、60日、90日及び120日以上の間与えられる。接着成分におけるDHPD部分の数及び改変バッファ中のpHは、改変材料の細胞及び/又はタンパク付着抵抗において非常に多くのバリエーションを担う。吸着によって改変されたそれらの表面について、吸着時間及びポリマー組成物濃度は、改変材料の細胞及び/又はタンパク接着着抵抗における変化にほとんど寄与しない。接着成分中のDHPD部分モノマーの数がより大きいほど、細胞及び/又はタンパク接着抵抗は良好となる。表面におけるポリマー組成物の密度は、細胞及び/又はタンパク接着に対する抵抗と良好に相関する。用いられるポリマー組成物及び改変バッファのpHによって、コーティング層の厚みを、30Åを含む約20Å〜100μmに形成することができる。
表面改質のために使われるポリマー組成物の濃度は、約.1mg/mlから約75mg/mlとすることができる。改変バッファ中pHは、約3から約9とすることができる。改変時間は、約10分から約72時間とすることができる。改変温度は、約25℃から約60℃とすることができる。
図19に示すように、未改質のTiO2のXPS精査スキャンは、自然酸化物に特有の〜458eV (Ti2p) 及び〜530eV (O1s)で強いピークを示し、同様に二次的な炭化水素不純物の結果である248.7eV(C1s)での小さなピークを示した。しかし、雲点条件下、mPEG−DOPA1-3で処理されたTiO2基体は、C1sピークによって反映されたように、表面結合炭素における劇的な増加を示し、表面におけるPEGの存在を示唆する。さらに、mPEG−DOPA1-3で改変された後に観察されたC1sピークにおける増加は、存在する末端DOPAの数に直接的に比例した。加えて、400eV(N1s)での小さいピークは、mPEG−DOPA1-3で改変されたTiO2表面のスペクトルで見られ、DOPAにおけるアミド窒素を意味する。
基体表面の高解像度XPSデータの定量分析は、表面に結合したPEGの相対的な量に関して有用な情報を提供することができる。表2は、mPEG−DOPA1-3で改変されたTiO2に対するチタン、酸素及び炭素原子組成計算を示す。さらに、酸素シグナルは、金属酸化物(Ti−O−Ti)、表面水酸化物(Ti−OH)及び有機酸素、ならびに結合水(C−OH2O)種に再分割される。
Figure 2007527871
全ての基体に対するTi対Ti−O−Ti比は、2.0の理論上の化学量論と実質的に異なり、その違いは、表面酸化物(3−4mm)の深さを越えるサンプリング深さのためであろう。この結果は、5000MwのPEG(2.8mm)のフローリー半径及び5〜10mmの典型的XPSサンプリング深さから与えられたことが予想される。mPEG−DOPA1-3で改変された表面で、Ti対C原子比は、DOPAペプチド長の増加によって劇的に減少し、吸着されたPEG量の増加に対応する。観察されたC対有機酸素(CO)比は、純粋なPEGの2.0の理論値を上回り、それは改変表面に残る二次的な炭化水素汚染を示唆する。これらの結果を表3に示す。
Figure 2007527871
DOPAは、TiO2と強力で可逆的な結合を作る。結合エネルギーは、30.56kcal/モルであって、一つの分子レベルでTiO2から分離するために約800pNを必要とし、それはアビジン(Avidin)及びビオチン(Biotin)間の相互作用より4倍強力である。相互作用のDOPA−TiO2強さは、アビジン−ビオチンのそれ(生物学における相互作用に基づくもっとも強力な水素結合(0.1−0.2nN)のひとつ)と共有結合(>2nN)との間のおよそ中間である。
適切にDOPA接着を研究するために、以下の条件を用いた。1回の分子アプローチ、水性環境及びDOPA固定するためのプラットホーム。それらの3つの条件を満たし、軟質材料(1分子レベルでのタンパク、DNA及び合成ポリマー)の粘弾特性を測定するのに十分敏感な、調査のためのツールとして、原子間力顕微鏡(AFM)を選択した。アミン部分を、カンチレバーの先端(Si34)に導入し、次いで、メトキシ−ポリ(エチレングリコール、mPEG)及びFmoc−終端化PEG(Fmoc−PEG)誘導体の混合物を結合させた。 (Boc−)DOPAを、Fmocの開裂によって生じたアミン基に結合させた(図33C)。DOPA−PEGに対するmPEGの5〜10モルの過剰量を、1つの固定されたDOPA4 PEGを単離することができるように用いた。この分子構成は、DOPA−PEGの分子動力学を立体配置的に妨害し、よって、後のDOPA酸化実験の結果の説明を与える(図36)。化学反応ステップを、平坦な窒化ケイ素表面(1×1cm2)の上で成功したPEG改変を示すX線光電子分光法(XPS)によってモニターした(図28)。窒化ケイ素の先端表面に導入された化学基は静電特性を変化し、それは表面改変の良好な指標でもある(図29A)。アプローチシグナルの差が、裸及び分子層のために抵抗力を示す改変カンチレバーの間で検出された(図29B)ことに注意することが重要である。
DOPA結合カンチレバーは、PEG鎖のエントロピー弾性に伴う顕著な接着を示した(図34)。力分布のヒストグラムは、1つの接着事象のみを示す単峰形の形状を示し、それは、多価タンパク、アビジン12の場合と比較して異なる。力−距離(F−D)の測定値を収集し、統計分析を行った(図34、n=105)。平均の力は、180nN/sの負荷速度で、水中で785pNであった。最も重要なことに、伸張したPEG長(36nm)は、予想されるPEG分子の輪郭長(37nm、図30)と一致していたことである。これらのデータは、単一の分子事象:DOPAの一価の結合、PEGの多分散及び先端ジオメトリー、に従っている。1つのDOPAは、TiO2表面でひとつの結合ユニットとして機能するためにポリマー鎖末端で結合した(図33)。この一価は、連結された(His)6が3つの金属キレート部位(3×金属/(His)2)13−15を与える金属−ヒスチジン6(金属−(His)6)研究と異なる。さらに、PEG5カンチレバーの「山−木」様形状は、PEG(木)及び球形の先端(山)(r=25nm)の多分散のため2つの異なるDOPA脱離(detachment )シグナルを分離することができる。
定義
「d」は、収縮の間、単一のDOPA−PEG分子が十分に伸張した場合の圧電装置のz−置換距離である(図34C)。それは非常にわずかに変化しているが、「d」値は、多くの繰り返しサイクルを通してほぼ一定に現れる(図34A)。この小さな変化は、異なる角度で表面に結合するDOPAのためかもしれない。我々の実験の重要な特徴は、非結合シグナルが「同一の」DOPA分子を用いるepetitionsであるということである。これは、先端がランダムに1分子を拾った1分子引き抜き実験の典型的なアプローチと比較される。また、これは、DOPA接着化学が完全に可逆的であったことを証明する。この可逆性から、基体から先端(TiO2〜Si34)への最も弱い化学結合がTi(表面)−O(DOPA)結合であるという結論に導かれる。
その結果は、〜0.8 nNで、DOPA−TiO2相互作用が、もっとも強力な生物学における水素結合ベースの相互作用(0.1〜0.2nN)のひとつ及び共有結合(>2nN)である、アビジン−ビオチン間の力学的に中間であることを示唆した。負荷速度(単位時間にもたらされる力の量)の変化による力のデータからのエネルギー情報。負荷速度の4桁以上の変化は、4つの異なる力の分布を生じさせ、DOPA結合のエネルギーランドスケープをマップした。力対負荷速度の線形−log線プロット(図34D)は、結合エネルギーと、結合がもたらされた力方向に沿って取り除かれた後の距離を与えた。DOPAは28.1kcal/モルのエネルギー障壁を有し、活性化エネルギーの最大値に達するために必要な距離は1.27Åであった(図34E)。
DOPAの結合配向は、表面の方へ下って示される芳香環の2つの水酸基のためであると考えられている。したがって、AFMの1分子接着シグナルに関与する化学基の確認は、異なる配向による他の結合化学を除外するために重要である。2つの方法が用いられた。
第1に、エルタリ(ertary)ブチルジメチルシロキサン(TBDMS)による水酸基の共有結合の化学修正は、200のアプローチ−収縮サイクルの間、結合しなかった(図31の第1ライン)。しかし、TBDMS基の脱保護は、DOPAの結合能を再生させた(図31、下部の2本の線)。
第2に、ホウ酸塩によるイオン複合体形成による保護は、同様にDOPAの強力な接着も抑えた(図31、n=200)。これらのデータは、明らかにDOPAの2つの水酸基が、強力で可逆的な結合のための真の構造源であることを確認した。
イガイは、水中でそのような強力な結合をつくる興味深い方法、チロシン水酸化酵素によるチロシンの翻訳後修正、を創り出した。この酵素は、基体としてチロシンを用いた1つの水酸基を加える反応を引き起こし、DOPAが同様に存在するスレッドとプラークで大量が見られる。わずかの翻訳後修正(−OH)が、接着能の大きな変化を生じさせるであろうと言及することは意外である。よって、実験は、翻訳後修正及び結合能間の相互関係を示すために設計された。
チロシン連結カンチレバーをDOPAの代わりに準備し、TiO2へのチロシン接着を調査した。検出可能な力のシグナルは、低い確率での若干の非特異性の粘着以外は観察されなかった(図35A)。この実験で使われた先端がチロシン分子を有していなかったという仮説を排除するために、TiO2表面を金で置き換えた。チロシンの芳香環はπ−π電子相互作用による表面への平行配向で金の表面と結合し、それは表面の吸着化学18、19においてよく知られたメカニズムである。TiO2で使われた同じカンチレバーは、金の表面で、繰り返し比較的強い粘着を生じた(図35B)。力の分布の統計分析は、DOPA−TiO2相互作用と比較して約50%の強さである398(±98)pNのπ−π電子結合強度を示した(図35C)。チロシン−金の力のシグナルは、先のDOPA−TiO2相互作用で示したのと同じ特徴を示した。つまり、予想輪郭長を有するPEGの弾性伸張及び同様の「d」を有する反復シグナル出現である(図33C)。この実験は、チロシン水酸化酵素によって媒介される翻訳後修正がほぼ0から800pNまでのDOPAの結合能を非常に向上させたことを明確に証明した。
DOPAの生物学的役割は、酸化に対して粘着性をしのぐことである。それは、ペプチド鎖を架橋して、スレッド及びパッドに見られる固い材料をもたらすことである。架橋メカニズムは、化学的に不安定なDOPAキノン構造から開始する複数の経路を有している。アリール−アリール環結合(ジ−DOPA)が、イガイの接着プロテイン20で見出されているが、マイケル付加(キノン−アルキルアミン付加)生成物がイガイでない他の種に見出されている(図36A)。したがって、これらの構造は、同様にイガイにおける酸化の結果として起こるかもしれない。架橋の観点から明白であるが、成熟(すなわち酸化)の後の接着特性に関して議論中である。DOPAキノン構造が粘着性のための主なプレーヤでないことが証明された。DOPAキノン−PEG鎖は、DOPAキノンのさらなる反応を防止するための重要な分子構成であるメトキシ−PEG分子(5〜10モル当量)の過剰な共結合によって、空間的及び化学的に安定する。
pH(=9.7)を増加することによって引き起こされる1つのDOPAキノンの時間−分解モニタリング力信号が、これまでのところ隠されていた興味深いものを発見した。第1に、測定されたAFM信号は、力の程度に関して2つの明確な分布を示した。強い力及び弱い力である(図36B)。データの統計分析は、弱い力について175±62pN、強い力について741±110pNの2つの明確なヒストグラムを与えた(図36C)。酸化が引き起こされた後にのみ表れ、その後時間とともにより常習的となったため、キノン結合は弱い力の領域に割り当てることができる(図36D)。DOPA酸化の遅い力学的特性は、DOPA信号の初期の高周波に寄与した。これは、外的刺激で小分子の構造変更を検出することについての最初の一分子実験である。これらの結果に基づいて、高い粘着性を担うDOPAキノン構造の可能性を除外することができる。したがって、どんな理論にでも拘束されることなく、還元型(すなわち、酸化中のDOPAのジヒドロキシ基)の再生が、界面でDOPA含有材料の接着特性を維持又は変化させるために非常に重要な要件であると考えられる。
さらに、DOPAアンカーリングシステムは、他の伸長可能な生体高分子(例えば、多糖類、DNA及びタンパク)を研究するための新たなプラットホームとすることができる。実施された研究において、それはすでにPEG(Mw3400)が弾性を示し、これまでに研究された最短の鎖長であると考えられる。単に、2つの規定されたアンカー法が両端で用いられたため、これが達成できたのであろう。(1)PEGとカンチレバーとの間の共有結合、(2)PEGと基体との間のDOPAアンカリングである。この方法は、先端がカンチレバーのすべての単一運動で異なる分子を「認識する」従来の一分子実験と、非常に良好な対照となる。所定の刺激が百パーセント効果的でないならば、外的刺激への分子応答を調査することは大きいな障壁となる。DOPAベースのアンカーシステムは、最近の1分子引き寄せ実験におけるこれらの問題を解決する代替技術となり得る。
現在、なぜDOPAが「ポストイット」に類似した可逆的な接着剤のようにふるまうかの明確な答えはない。2つの分子結合モデル、単核2座(nomonuclear bidentate)(図32A、右)及び2核2座(図32A、左)が有用であるが、脱着でなく、吸着プロセスのみに研究がフォーカスされたため、双方ともDOPAの可逆的な結合を考慮していなかった。したがって、化学結合の性質は、主に吸着の後、水分子の除去に起因する要因による共有結合であるとみなされた。FTIRを用いる1つの研究は、DOPA−TiO2結合の性質は60%イオン性及び40%共有結合であるかもしれないことを示唆した。この発見に基づいて、分子吸着モデルが、複数の水素結合が水中で形成される可逆性を取り入れて修正された(図32B)。
図33 実験デザイン及び1分子DOPA接着
図は、青いイガイ(Mytilus Edulis)がどのように金属酸化物面にくっつくかについて示す。円は、普通でないアミノ酸(DOPA)が見つかった1つのプラークを含む。
(B)イガイ中のプラークで発見された2つの主なタンパク成分、Mefp−3及びMefp−5である。これらのイガイ接着剤タンパクは、DOPAを高含有率で有している。Mefp−5が27モル%、Mefp−3が21%である。太字のY(Y):DOPA、イタリックS(S):ホスホセリン、イタリックR(R):ヒドロキシアルギニン。
(C)AFM先端改変
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)の重合は、Si34先端表面においてアミン基を導入した(図示せず)。長鎖は、末端で1つの(Boc)−DOPAと結合したPEG分子を示す。5〜10:1のモル比でのmPEG−NHS(2k)及びFmoc−PEG−NHS(3.4k)の混合物を、DOPA−PEG分子を安定化するために用いる(詳細の追加のセクション参照)。
図34 1分子力測定及びTiO2表面に結合したDOPAのエネルギーランドスケープの測定
1つのカンチレバーからの4つの代表的なAFM1分子DOPA脱離信号
これらの4つの信号は連続的に発生しなかった(いずれの接着も示さない信号は削除した)。DOPA接着を検出する低い可能性(5〜10%)にもかかわらず、検出信号は、同様に「d」値を示した(図34C参照)。
(B)力分布を示すヒストグラム。平均は、負荷速度180nN/秒で、781±151pN(n=105)であった。
(C)距離、「d」、DOPA−PEG分子が十分伸張した際の圧電装置のz方向移動距離の定義
(D)結合強度(線形)対負荷速度(log)のプロット。負荷速度をカンチレバーのスプリング定数と引張速度との積とした。4つの異なる負荷速度を選択した。1500、180.7、28.4及び2nN/秒。標準偏差を伴う平均力を、各々の所定の負荷速度でプロットした。力は、846.48±157pN(1500nN/s)、781±151pN(180nN/s)、744±206pN(28.4nN/s)及び636.2±150(2nN/s)であった。
(E)DOPA結合のエネルギーランドスケープの概略図。外部力はランドスケープを傾斜し、反応座標からのエネルギー障壁を低下させた。線形回帰プロットの傾斜(=kBT/xb)は32.31であり、活性障壁(xb)への距離を1.27Åとした。負荷速度がゼロ(Eb =28.1 kcal/mol)に等しいとき、エネルギー障壁の高さは外挿によって測定した。
図35 DOPAの接着起源の分子同定
TiO2表面上のチロシンの一分子の粘着力。明瞭な結合信号は、何本かのカンチレバーで避けられなかった初期の静電的相互作用以外、検出されなかった(上部の代表的な信号、700の繰り返し中n=639)。非特異的な吸着信号(下部の代表的な信号、700の中のn=61)。
(B)先端表面上のチロシンの存在の確認。チロシンフェニル基のパイ(π)電子は、特に金のπ−電子と相互作用する。
(C)金表面に結合するチロシンの力分布。チロシンは、398±98pN(180nN/秒)の粘着力強さを示した。
図36 酸化物(DOPAキノン)へのDOPA接着力の変化
DOPAの形成及び酸化の化学的経路の概略図。DOPAはチロシンヒドロキシラーゼの作用により形成され、その後pH及び酵素によってDOPAキノンに酸化される。それは、DOPAキノンのラジカル形成の傾向のために不安定で反応性がある。それは、他のDOPA分子(ジ−DOPA)と架橋することができ、同様にリジンからのアミン基と反応する。矢印は、イガイ接着タンパクでない他の種で見られた潜在的反応である。
(B)図1C(〜50nm)で定義された同様の「d」を有する代表的な力信号(n=16)。それらを、塩基性条件(20mMのトリス−Cl、pH 9.7)での1時間のAFM実験(1800の繰り返し)で収集した。時間の進行は、グラフの上部から底部にわたる。赤の信号は、DOPA−TiO2、黒の信号は、DOPAキノン−TiO2を示す。
(C)1800F−D曲線の総合分析の後の力ヒストグラム。低力領域でのヒストグラムは、178±82pN(n=143)及び高力領域での1つは741±110pN(n=51)を示した。
(D)特定の時間ウインドウ(10分)の間のイベント数の散乱プロット。DOPA信号(サークル、左y軸)は、最初の10分間の22のイベントから、徐々に、最終時間ウインドウの間のわずか3つのイベントに減少した。しかし、キノン信号(三角形、右y軸)は、最初の時間ウインドウでの1つのイベントから最終時間ウインドウ(50〜60分間)で42のイベントに増加した。
要約すると、DOPAの成功裏に測定された1分子結合強度(〜0.8nN)が成功裏に測定され、可逆可能な結合化学を示した。DOPAキノンにとって、この強い粘着力は、翻訳後修正によってつくられたが、DOPAの酸化によって著しく減少した。
本発明の抗付着物コーティングは、接着成分中のDOPA又はDOPA−誘導分子の数に依存して、本質的に永久的、つまり、120日以上持続するか、生分解性であるかもしれない。図20は、mPEG−DOPA1-3で処理したTiO2表面における28日間の3T3線維芽細胞粘着及び拡散アッセイを示す。初期の時間点(つまり、7日未満)では、タンパク及び細胞の接着抵抗は、mPEG−DOPA < mPEG−DOPA2< mPEG−DOPA3の順序での抵抗の増加を伴い、DOPAペプチドアンカリング基の長さに良好に相関する。21日間を通して、mPEG−DOPA2及びmPEG−DOPA3で処理したTiO2基体は、細胞接着又は抵抗が減少したままである。
PEG表面密度ならびに金属、金属酸化物、半導体及びポリマー表面の抗付着性能において、DOPAペプチドアンカー長及び改変条件(pH、濃度及び時間)の影響を決定するために、ロブスト(Robust)デザイン方法論を用いた。各々の基体に利用された9つの実験を、以下の表7で説明する。ほとんど全ての表面について、XPSならびに3T3線維芽細胞の粘着及び拡散により測定されたように、DOPAペプチド長と改変バッファのpHは、吸着されたPEGの量で最も大きな変化をもたらす。4時間の細胞接着アッセイで測定されたように、表7に要約された実験は、任意の細胞粘着抵抗を種々の材料に与える改変条件の決定を可能にした。9つの実験が各々の基体上で実行された後、データをロブスト・デザイン分析に付した。1つの要因レベルでの1つのデータポイントは全てのレベルを平均化した残存要因のバリエーションを含むため、ロブスト・デザイン・データをプロットした際、大きなエラー値の存在が技術特徴となる。
本発明のポリマー組成物は、血清を含む体液を取り扱うために使われる装置及び器具の表面を被覆するためにも用いることができる。装置または器具の表面上のコーティングは、表面に結合するタンパクを阻止し、よって、使用中の装置又は機器の広範囲に及ぶ洗浄又は清浄の必要を低減又はなくす。装置は、装置に適用される体液のサンプル間の交差汚染を完全に清浄化又は防止することが必要とされる。現在、使用の間でこれらの器具及び装置をきれいにするために、腐食剤(例えば、50%の漂白剤及び/又は高温)で、広範囲な洗浄を必要とする。コーティングプロセスは、2、3時間の間、室温で装置によって1mg/mlのDHPDポリマー水溶液を循環させることによって行われるであろう。
本発明のコーティングは、多種多様な用途のために医療インプラントに用いることができる。例えば、コーティングは細菌の接着、よって移植された装置での成長を阻止するために用いることができ、移植部位での感染の可能性を低減する。コーティングは、装置へのタンパクの結合及び細胞接着を低減させることにより、装置での急性炎症の量を低減させるために用いることができる。また、本発明のコーティングは、血清中に存在するこれらの粒子の凝集を防止するためのナノ粒子として用いることもできる。
ヒドロゲル
また、本発明のポリマー組成物は、医療及び歯科での使用のための外科用接着剤として、粘膜表面への薬物デリバリーの伝達手段として用いることができる。ポリマー組成物は、組織シーラントのような医療用途のための組織接着性高分子ヒドロゲルとして、外科的な粘着(瘢痕組織形成)の防止、骨と軟骨接着剤、組織工学及び部位特異性薬物溶出のため、並びに、抗体を含むタンパク及び医薬を含む小分子分析物の固定化のような研究用の用途のためのゲルとして使用することができる。また、本発明のポリマー組成物は、界面結合剤として用いることができ、滑らかなモノマーまたはモノマー溶液が、組織表面または金属もしくは金属酸化物移植インプラント/装置表面とバルクポリマーもしくはポリマーヒドロゲルとの間のプライマーまたは結合剤として表面に適用することができる。当業者が確認することができる適当なポリマー成分を用いて、本発明のポリマー組成物を、液体状で注入又は伝達することができ、ゲルネットワークを形成するためにその場で硬化することができる。その場での硬化は、光硬化、化学的酸化、酵素反応によって、体への伝達による自然の温度上昇によって起こる。
一つには、本発明は、また、本発明のポリマー組成物の非酸化性ゲル化方法である。そのような方法は、(1)本発明のポリマー組成物を準備し、(2)水及びポリマー組成物を混合し、(3)ポリマー組成物をゲル化するのに十分な温度に混合物の温度を上げ、そのような温度は、それらに取り込まれたポリマーまたはDOPA又はDOPA誘導部分残基を酸化することなく上げる。そのような組成物のポリマー成分の選択及び同一性に依存して、混合物濃度を増加させることにより、ゲル化に作用するために必要な温度を低下させることができる。特定のコポリマー成分の選択及び同一性に依存して、それらのより大きな親水性ブロックは、対応する組成物をゲル化するために必要な温度を上げることができる。種々の他の構造および/または物理的パラメータは、ゲル化に合わせて改変することができ、そのような改変は、本発明のより広い観点と一致する他のポリマー組成物及び/又はシステムまで拡張することができる。
市販のPLURONIC(登録商標)ブロックコポリマーは、疎水性PPOコアからなるミセルに及びPEOセグメントからなる水膨潤コロナに、濃度及び温度依存の方法で自己組織化する。高濃度で、特定のPEO−PPO−PEOブロック共重合体(例えば、PLURONIC(登録商標)F127とPLURONIC (登録商標)F68)は、高温で、低粘度溶液から透明な温度可逆性ゲルに変換する。理論に束縛されたくなければ、高温でのミセル間の相互作用がゲル相の形成を招くと一般に仮定され、それはミセルの絡み合いによって安定する。ミセル化及びゲル化プロセスは、要因(例えば、ブロック共重合体分子量、相対的なブロックサイズ、溶媒組成、ポリマー濃度及び温度)に依存する。例えば、疎水性PPOブロックと比較して親水性PEOブロック長を増大させることにより、ミセル化及びゲル化温度(Tgel)の増大を招く。
示差走査熱量測定(DSC)測定は、ミセルへのブロック共重合体の凝集を検出するために異なる濃度で、DME−PAO7及びDOPA−PAO7水溶液で実行された。PLURONIC(登録商標)F127、DME−PAO7及びDOPA−PAO7で得られたDSCプロファイルが、質的に類似していることが見出され、ミセル形成に対応する大きな吸熱転移とそれに続くTgelでの小さな吸熱によって特徴付けられた(図2)。小さなピークの転移温度は、レオメータ及びバイアル反転法で測定されたTgelと強く相関することが見出された(表4)。
Figure 2007527871
10〜30%(w/w)DOPA−PAO7共重合体及び35〜54%(w/w)DOPA−PAO8共重合体の濃度の水溶液について、冷却法を繰り返した。その場合、DOPA複合体を透明溶液が得られるまで、断続的な攪拌で約4℃にて蒸留水中で溶解した。濃縮溶液の熱ゲル化は、まず最初に、バイアル反転法を用いて評価した。この方法では、溶液がもはや流動しない温度をゲル化温度とする。
ゲル化温度は、共重合体濃度及びブロック共重合体組成(すなわち、PAO7対PAO8)に強く依存していることが見出された。例えば、DOPA−PAO7及びDME−PAO8の22重量%溶液は、約22.0±1.0℃で透明なゲルを形成することが見出され、18重量%にポリマー濃度を低下させた結果、ゲル化温度は約31.0±1.0℃となった。しかし、60℃に加熱した場合、17重量%未満の濃度のDOPA−PAO7溶液はゲルを形成しなかった。DOPA−PAO7は、未改変PLURONIC (登録商標)F127のそれ(17.0±1.0℃)よりわずかに高いゲル温度を示す。DOPA−PAO8のゲル化作用は、非常に高いポリマー濃度がゲルを形成するのに必要であるということ以外、質的に類似していることが見出された。DOPA−PAO8及びDME−PAO8の54重量%溶液は23.0±1.0℃でゲルを形成する一方、50重量%のDOPA−PAO8は33.0±1.0℃でゲル化する。しかし、60℃まで加熱した場合、35重量%未満の濃度でDOPA−PAO8溶液はゲルを形成しなかった。DOPA−PAO8は、未改変のPLURONIC (登録商標)F68のそれ(16.0±1.0℃)より非常に高いゲル温度を示す。これらのゲルは、長期間にわたって流動に抵抗することが見出された。この実験から、DOPA及び同じ市販のPLURONIC (登録商標)PAOであるDOPAメチルエステル誘導体の双方がほとんど同じゲル温度を示すことが見出され、室温でのDME−PAO8またはDOPA−PAO8のいずれかの54重量%から形成されたゲルは、DME−PAO7またはDOPA−PAO7のいずれかの22重量%から形成されたものより固い。
DOPA−改変PLURONIC(登録商標)溶液の粘弾性を、振動性レオメトリによってさらに研究した。図3は、温度の関数としての、未改変PLURONIC (登録商標)F127及びDME−PAO7水溶液の22重量%の溶液の弾性貯蔵係数(elastic storage modulus)であるG’を示す。ゲル化温度以下では、貯蔵係数G’は無視されるが、G’は、G’ の増加開始対温度プロットとして定義されたゲル化温度(Tgel)で迅速に増加した。DOPA−PAO7(図示せず)は、類似した流動学的プロファイルを示した。DME−PAO7及びDOPA−PAO7の22重量%の溶液のTgelは同一である(20.3±0.6℃)であることが見出され、それは未改変PLURONIC(登録商標) F127(15.4±0.4℃)の等しい濃度より約5度高い。DME−PAO7またはDOPA−PAO7のG’は、13kPaのプラトー値に接近し、それは未改変PLURONIC(登録商標) F127のそれに相当する。
図4は、温度の関数として、未改変PLURONIC(登録商標)F68及びDME−PAO8の50重量%の溶液の流動学的プロフィールを示す。50重量%のDME−PAO8溶液のTgelが34.1±0.6℃であることが見出され、一方、未改変PLURONIC (登録商標)F68の等しい濃度のTgelは約18℃低かった(16.2±0.8℃)。DME−PAO8及び未改変PLURONIC(登録商標)F68の50重量%の溶液のプラトー貯蔵係数は顕著に異ならず、50kPaと同じ高さのプラトー値に接近した。Tgelの濃度依存を図5に示す。それは温度の関数として、2つの異なる濃度でのDME−PAO8の流動学的プロファイルを示す。DME−PAO8の45重量%の溶液のTgelは、DME−PAO8の50重量%の溶液のそれより約12℃高いことが観察された。
DOPA及びDOPAメチルエステルの双方は親水性であると考えられるため、DOPA改変PLURONIC (登録商標)PAOで観察されたTgelの増加は、未改変PLURONIC(登録商標)PAOのそれと比較して、DOPAの末端基への結合で生じている親水性PEO部分の長さの増加のためであるようである。DOPAまたはDOPAメチルエステルのPLURONIC(登録商標)PAO末端基への結合が、PLURONIC(登録商標) F127と比較してPLURONIC(登録商標)F68のTgelに、より重要な影響を及ぼすことは、図3及び図4に示されるデータから明白である。これは、F68(およそ8,600)とF127(およそ12,600)の全分子量から合理的に説明することができる。式1で示された化学を用いて両末端基へのDOPA及びDOPAメチルエステルの付加は、それぞれ、446及び474の分子量の増加をもたらす。これは、F68の低いベース分子量のために、F127と比較してF68に対するより大きな%分子量増加を意味する。
ここに示されるデータは、未改変PLURONIC(登録商標)PAOの先の熱量測定研究と一致しており、低温でのブロードピークはミセル化のためであり、一方、濃縮溶液において観察されたのみであるが、高温での小さなピークはゲル化(ほとんど無熱プロセス)と一致することを示した。表5で見られるように、ミセル化の開始温度、最大熱容量の温度及び未改変PLURONIC(登録商標)F127のTgelがDOPA−PAO7のそれらより低く、一方、移行下面積から測定された特定のエンタルピーはほぼ同じであることが見出された。これらのエンタルピーは、ミセル化及びゲル化の双方からの寄与を含む。しかし、ゲル化の小さなエンタルピーのために、観察されたエンタルピー変化は、主にミセル化のためであると考えることができる。
Figure 2007527871
ミセル化ピークは、ゲル化開始より高い温度に及ぶことが観察され、ゲル化温度より高い温度で、付加モノマーがミセルに凝集することを示す。DOPA−PAO7及びDME−PAO7凝集の濃度依存性を、図6に示す。DSCサーモグラムは、ポリマー濃度を増加することにより、ミセル化温度及びTgelの低下を示す。ミセル化に対応するブロードな吸熱ピークは、ゲル化が起こらない濃度での溶液で観察することができ、ブロードなピークの特徴的な温度は、共重合体濃度を低下させることで線形に増加する一方、小さなピークは濃縮共重合体のゲル温度と同時に起こることが観察されるが、共重合体濃度が減少するにつれて消失する。
上記から推測することができるように、本発明の種々のポリマー組成物に対して種々のミセル化及び/又は熱ゲル化特性の特徴を提供するために設計及び製造することができる。あるいは、これらに関連して、排出可能なポリマー成分と代謝物への分解は、例えば、それぞれポリエチレングリコール及び乳酸/グリコール酸を使って達成することができる。にもかかわらず、本発明のポリマー組成物は、1以上のDHPD残基の導入によって向上した粘着力を提供し、そのような導入は、重合成分の末端モノマーのそのような残基への結合によって生じる。
本発明のポリマー組成物の非酸化性ゲル化の他の方法は、光硬化である。光硬化可能なDHPD部分含有モノマーを、光重合によって粘着性のヒドロゲルを形成するために、PEG−DA(PEG−ジアクリレート)と共重合する。光重合は、使われるモノマーによって、いずれかの可視、UV波長で達成することができる。これは、当業者によって明確に決定される。光硬化可能なモノマーは、ビニル基(例えば、間にオリゴマーのエチレンオキサイドリンカー又はフッ化エーテルリンカーを有する又は有しないメタクリレート基のような)を有する重合可能なモノマーに結合する粘着性部分からなる。
本発明の接着剤及びPEG−DAを含む光重合性モノマー及び1.5μL/mLの光重合開始剤(例えば2,2'−ジメトキシ2-フェニル−アセトンフェノン(acetonephenone)(DMPA)、カンファーキノン/4-(ジメチルアミノ)安息香酸(CQ/DMAB)等)ならびにアスコルビン酸/フルオレセインナトリウム塩(AA/FNa2)の水性混合物に、UVランプ(365nm)を使って5分以上照射した。前駆体溶液の接着剤の存在は、ラジカル重合プロセスに影響を及ぼすことが見出された。カテコール接着剤はゲル形成の程度を減少し、ゲルネットワークにおける接着性導入の割合を減じ、ゲル形成時間を延長させた。
図25に示すように、ソンドゲル(sondgel)の質量を測定することによって測定されるゲル変換は、UV照射の2分後に75重量%以上に達し、5分以上の照射によって85重量%を超えるまで増加した。PEG−DAのゲル化は、可視光開始剤を用いた場合、4分以下で生じた(CQ/DMABに対して4分、AA/FNa2に対して3分)。
1または7の(1と7の合成は、式2及び式3に示す)PEG−DAの共重合は、純粋なPEG−DAの重合と質的に類似していたが、1または7のPEG−DA前駆体溶液への追加は、DOPAモノマー濃度及び開始システムに依存するゲル変換において減少をもたらした。例えば、UV開始DMPA重合では、ゲル変換は、1または7の2.5モル%以上の存在において85重量%未満に減少した。しかし、ゲル変換の程度は、ゲル間で統計学的に異ならなかった。類似したDOPA濃度依存阻害が、可視光誘導開始剤に対して観察された。AA/FNa2及びCQ/DMAB開始混合物に対して、1の33.3モル%の追加が、ゲル化時間を8分以上に長引かせた。にもかかわらず、1及び7を含有する溶液は、DOPAの比較的高いモル%でさえ、光重合することがなおも可能であった。
Figure 2007527871
Figure 2007527871

Figure 2007527871
例えば、前駆体溶液中の1又は7の53.8モル%は、ゲル重量%を88から77に減少させ、DOPAのわずか85モル%がヒドロゲルに導入された。光硬化したヒドロゲルにおいて行なわれたウェイト及びベネディクトによって開発されていた比色定量DOPA分析は、ヒドロゲル中のカテコールのDOPAの存在を明らかにした。光硬化の後、DOPA含有ゲルを、未反応DOPAモノマーを抽出するために0.5NのHCl中で透析した。DOPA導入の程度を定量するために、透析物を、ウェイト及びベネディクトのDOPAの比色定量分析によって分析し、その結果を、ゲルネットワークに導入されたDOPA量を計算するために用いた。図26は、前駆体溶液中のでのモル%モノマー1および7の関数として、ゲルネットワークに導入されたDOPAのモル数を示す。1と7を含有するサンプル間で導入されたDOPAのモル数に顕著な差はなかった。DOPA24.9μmol/gがPEGヒドロゲルに導入された。
ゲル中のDOPAの存在に対する直接的な証拠は、亜硝酸塩試薬、続いてNaOH中に完全な透析ヒドロゲルを浸漬することにより得られた。最初に無色のゲルは亜硝酸塩試薬の添加後に淡黄色に変化し、次いで、過剰塩基の添加に伴って赤色に変化した。この色の変化は、カテコールに典型的であり、DOPAの酸化していない形態が光重合によってヒドロゲルに導入されたことを示す。また、赤色の強度は、光硬化ゲルに導入されたDOPA濃度を反映する。
接触力学的試験を、半球形状の光硬化ゲルにおいて行い、ゲルの力学的特性に関する情報を得た。弾性率(E)を、圧縮できない弾性半球及び堅い平面の間の非接着性接触の特定のケースに対するヘルツの(Hertzian)力学を前提として算出し、この場合、負荷(Ph)及び変位(displacement)(δh)のヘルツの関係は、
Figure 2007527871
(式中、Rは半球ゲルの曲率半径である。)
となる。負荷対置換データを方程式(1)に代入し、弾性率を曲線適合の比例因子に基づいて算出した。表6から、約50kPaのDOPA含有ゲルに対する平均ヤング率(E)を得た。
Figure 2007527871
これらの係数値は、PEG−DAゲルのそれより約30%低く、ラジカル光重合でのDOPAの阻害作用を確認する。PEG−DAゲルと比較した係数の減少にもかかわらず、DOPA含有ゲルは、なおも多くの生医学的な用途に適する係数を示した。適当な係数は、500Paを超えるものである。粘着性のヒドロゲルの他の用途は、局所化された薬物送出のためである。例えば、粘着性のヒドロゲルは、口または口腔の粘膜上で形成することができる。ヒドロゲルは、抗生物質のような薬物を載せることができ、期間にわたって薬物のゆっくりした放出を容易にすることができる。それらヒドロゲルは、鎮痛薬を載せることも可能であり、鎮痛を局所に送達するために用いることもできる。また、それらヒドロゲルは、化学療法薬を載せることもでき、局所のガン治療を行うために、悪性の組織に挿入することもできる。ヒドロゲルは、細胞増殖抑制治療薬を載せることもでき、コーティングステントまたは他の脈管装置として使用することもでき、脈管装置の移植組織部位で細胞増殖をコントロールするのに用いることもできる。
生体内で架橋させることができる組織接着剤ヒドロゲルは、金属またはプラスチック縫糸を取り替えるための組織シーラントとして用いることができる。接着剤は外科的なまたは創傷した部位で周囲の組織に対して屈曲し、ポリマーが傷を閉じるために粘着性の結合を構築する。ヒドロゲルは、骨の損傷に対して、骨折及び軟骨の修復のために用いることもできる。
他の用途
海洋の生物付着(水面への藻類、バクテリア及びイガイの付着)の防止、工場(例えば、電子および製薬メーカー等)に対する水流のバクテリア汚染の防止、飲料水流の細菌汚染の防止、歯及び入れ歯接着剤、インジケーターを供給する水中接着剤、水質及び測定センサー用コーティング、生物付着の防止用に使用されるペンキを含むこれらコーティング及びヒドロゲルについて、種々の工業製品用途がある。
また、限定されることなく、歯及び義歯接着剤での使用、毛髪、皮膚および脚に対する接着剤用の化粧品での使用、アイシャドー、口紅およびマスカラのような化粧品での使用、一時的な刺青の適用での使用、バッグ及び容器に対する封じ直し可能な接着剤としての使用を含むこれらコーティング及びヒドロゲルについて、消費者製品および化粧用の多くの用途がある。
特定の合成スキーム又は製造方法に限定されることなく、本発明の適当な組成物は、限定されないが、各終端モノマー及びDOPA残基の間のウレタン部分を含むことができる。以下にさらに説明するように、そのような部分は、重合成分とDOPA残基を結合するために有効な剤/試薬の合成人工品である。本発明の広範な観点においては、末端モノマー官能基及び結合剤の選択によって、本発明を認識する当業者によって理解されるであろう、種々の他の部分が想定される。
実施例:一般説明
以下の非限定的な実施例及びデータは、ここで説明する合成法によってゆうようとなる有効となるように、そこに導入した1以上のDHPDを有する種々のポリマー又はコポリマー組成物の製造を含む本発明の組成物及び/又は方法に関する種々の観点及び特徴を示す。本発明の有用性がいくつかの重合または共重合システムを用いることにより例示されるが、本発明の範囲に対応するように、同等の結果が種々の他の組成物及び/又は製造方法で得ることができることは当業者によって理解されるであろう。
PEO100PPO65PEO100(PLURONIC (登録商標)F127、平均Mw=12,600)、PEO78PPO30PEO78(PLURONIC(登録商標) F68、平均Mw=8,400)、PEG(平均Mw=8000)、ペンタフルオロフェノール、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン、フルオレセインナトリウム(FNa2)及びアスコルビン酸(AA)は、シグマ(セントルイス、MO)から購入した。L−DOPA、塩化チオニル、塩化メタクロイロイル(methacroyloyl)、t-ブチルジメチルシリルクロライド(TBDMS-Cl)、ジ−t-ブチルジカルボナート、メタクリル酸無水物、2,2'-ジメトキシ-2-フェニル-アセトンフェノン(acetonephenone)(DMPA)、塩化アクリロイル、1,8-ジアザビシクロ [5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、4-(ジメチルアミノ)安息香酸(DMAB)、1-ビニル-2-ピロリドン(VP)、N,N-ジスクシンイミジルカーボネート、ホウ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム二水和物、亜硝酸ナトリウム、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、N-ヒドロキシスクシンイミド、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルホルムアミド及びジクロロメタンは、アルドリッチ(ミルウォーキー、WI)から購入した。カンファーキノン(CQ)は、ポリサイエンシス社(ワーリントン、PA)から得た。アセトンは4Å分子篩で乾燥し、使用前にP2O5で蒸留した。トリエチルアミンは使用前に新たに蒸留した。全ての他の化学試薬は、入手したまま用いた。
塩酸L−DOPAメチルエステルは、Patel及びPrice(J. Org. Chem., 1965, 30, 3575、参照することによりここに取り込む)の手順に従って製造した。スクシンイミジルプロピオン酸塩活性化PEG(mPEG−SPA、平均Mw = 5000)は、Shearwater Polymers, Inc. (Huntsville, AL)から得た。塩酸で飽和した酢酸エチルは、約10分間酢酸エチル(50mL)を通して、HClガスをバブリングすることによって製造した。3,4-ビス(t-ブチルジメチルシロキシル)L-フェニルアラニン(DOPA(TBDMS)2)及び3,4-ビス(t-ブチルジメチルシロキシル-N-t-ブトキシカルボニル-L-フェニルアラニン(Boc−DOPA(TBDMS)2)は、Sever及び Wilker, Tetrahedron, 2001, 57, (29), 6139-6146(参照することによりここに取り込む)の方法に従って合成した。
以下の実施例で使用したガラス製のカバーガラス(直径12mm)を5%Contrad70溶液、アレアルチン(allealtine)水性塩基(Decon Labs, Inc., BrynMawr, PA)中のアニオン及びノイオン界面活性剤のエマルジョンである洗剤中に、20分間、超音波浴において、浸漬することによって清浄化し、脱イオン(DI)水ですすぎ、DI水中で20分間超音波処理し、アセトン中ですすぎ、ヘキサン中ですすぎ、20分間ヘキサン中で超音波処理し、20分間アセトン中で超音波処理し、DI水中ですすぎ、DI水中で20分間超音波処理した。カバーガラスを、続いてHEPAろ過層流フード中で空気乾燥した。汚染されていない金の基体を作るために、きれいなカバーグラスを、2nmのCr、続いて10nmのAu(純度99.9%)で、スパッタ(Cressington 208HR)した。
酸化チタン(TiO2)表面を、シリコン(Si)ウエハ上への電子ビーム物理蒸着によって製造し、試験前にプラズマチャンバで清浄化した。Siウエハ(MEMC Electronic Materials, St.Peters, MO、表面配向(100))を10-6トル未満にて、Edwards FL400電子ビーム蒸着機により、100nmのTiで被覆した。次いで、Siウエハを8mm×8mm片に切断し、続いて以下のメディア中で超音波により清浄化した。5%のContrad70、超高純度水(超高純度水は脱イオン化し、蒸留した)、アセトン及び石油エーテル。基体を、3分間、200mトル及び100Wで酸素プラズマチャンバ(Harrick Scientific, Ossining, NY)で、さらに清浄化した。
汚染されておらず、かつ改変された金表面を、下記のように、X線光電子分光法(XPS)によって特徴づけた。XPSデータは、単色化A1Kα(1486.8eV)で構成され、300WのX線源、1.5mmの円形のスポットサイズ、反撃(counter charging)作用に対するフラッドガン及び超高真空(<10-8トル)を備えるオミクロンESCALAB(オミクロン、Taunusstein、ドイツ)で収集した。取り出し角(基体法線と検出器間の角度として定義される)を、45°で固定した。基体を、両面粘着テープによって標準的なサンプルスタッドに取り付けた。全結合エネルギーは、Au(4f7/2)金ピーク(84.0eV)又はC(ls)カーボンピーク(284.6eV)を使って調整した。分析は、C(1s)に対して、270〜300eVにて、幅広い調査走査(50.0eVパスエネルギー)及び10分間高解像度走査(22.0eVパスエネルギー)とした。ピークの解析及び原子パーセントの計算を、EIS分析ソフトウェアで実行した。
二次イオンスペクトルを、0〜2000m/zのマス範囲で、TRIFT III(商標)タイムオフフライト型二次イオンマススペクトロメータ (TOF−SIMS) (Physical Electronics, Eden Prairie, MN)で収集した。Ga+源を、15keVの光線エネルギー、100μmラスターサイズで用いた。陽及び陰双方のスペクトルを収集し、PHIソフトウェアCadenceを用いて低マスイオン一つの集合で調整した。
表面の相対的な親水性/疎水性の特性を測定するために、接触角データを、下記のように、液滴法によって収集した。加湿サンプルチャンバを備える特注の接触角ゴニオメーター(Rame-Hart, Mountain Lakes, NJからの部品)を用いて、未改変及び改変基体上で、超純水(18.2MΩcm; Barnstead, Dubuque, IA)の前進及び後退接触角の双方を測定した。各表面に対して、4つの測定を、異なる位置で行い。平均値及び標準偏差を報告した。
表面プラスモン共鳴(SPR)測定を、BIACORE 2000(Biacore International AB; Uppsala, Sweden)で、裸の金のセンサーカートリッジを用いて行った。共鳴応答を、0〜100mg/mlの NaCl溶液を用いた調整した。mPEG−DOPA、mPEG−MAPd及びmPEG−OHの希薄溶液(水中0.1mM)を、SPRフローセルに10分間注入し、その後、水流を純粋なDI水にスイッチバックした。改変基体へのタンパク吸着を測定するための別の実験において、PEG膜が予め形成されたセンサー表面を、10mMのHEPESバッファ(0.15MのNaCl、pH=7.2)中、0.1mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)溶液に、その後純粋バッファに晒した。
抗付着効果のデモンストレーションでの使用に対して、ATCC(Manassas、VA)から得たNIH 3T3−Swiss白子線維芽細胞を、10%(v/v)胎児ウシ血清(FBS)及び100U/mlのペニシリン及びストレプトマイシンの双方を含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM; Cellgro, Herndon, VA)中、37℃、10%のCO2で維持した。
RP−HPLCプレパレーションを、アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸(v/v) 水の勾配を有するVydac 218TP 逆相カラムで、Waters HPLC system (Waters, Milford, MA)を用いて行った。ESIMS分析を、LCQ LC−MS系(Finnigan、Thermoquest、CA)で行った。MALDI−TOF MS分析を、ボイジャーDE−Pro質量分析計(Perseptive Biosystem、MA)で行った。α-シアノ-4-ヒドロキシシナミック(hydroxycinnaminic)酸をマトリックスとして用いた。NiTi合金(10mm×10mm×1mm)を、Nitinol Devices&Components(フリーモント、CA)から得た。Si、SiO2(1500Å熱酸化物)及びGaAsウエハを、University Wafer (South Boston, MA)から購入した。
以下の細胞粘着力テスト及び/又は拡散アッセイに関して、改変及び未改変基体を、37℃、10%のCO2で30分の間、10%FBSを含む1.0mlのDMEMを入れた12ウェルTCPSプレートで前処理した。12〜16継代培養の繊維芽細胞を、0.25%のトリプシン−EDTAを用いて収集し、10%のFBSを含むDMEM中で再懸濁し、ヘモサイトメータを用いて計数した。セルを、懸濁液を適当な容量に希釈し、各ウェルに1mlを添加することにより、2.9×103の細胞/cm2の密度でシードした。基体を4時間37℃、10%のCO2で10%のFBSを含むDMEM中に維持し、その後、未付着の細胞を吸引した。基体に付着した細胞を、3.7%パラホルムアルデヒドで5分間固定し、その後、DMSO中の5μMの1,1−ジオクタデシル−3,3,3,3'-テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI; Molcular Probes, Eugene, OR)で、30分間、37℃で処理した。次いで、ステインを吸引し、基体を、10分間、DMSOで洗浄し(×3)、Cytoseal (Stephens Scientific, Kalamazoo, MI)を用いてスライドガラス上に載置し、蛍光発光を維持した。これらの実験を、統計目的のために三組構成で行った。電子顕微鏡検査のために、いくつかのサンプルを固定後EtOHで脱水し、臨界点乾燥し、3nmの金でスパッタした。
細胞付着を定量するために、基体をオリンパスBX 40(λEx= 549nm、λEm = 565nm)で試験し、色画像をCoolsnap CCDカメラ(Roper Scientific, Trenton, NJ)で捕えられた。5つのイメージを、3つの基体−複製の各々から取った。得られたイメージを、MetaMorph (Universal Imaging, Downington, PA)で閾値化を使って定量化した。95%信頼区間(SPSS、シカゴ、IL)での一方向ANOVA and Tukey's post-hoc試験を用いて、データの統計的有意性を測定した。測定の平均値及び標準偏差を報告した。
実施例1
サクシンイミジルカーボネートPAO(SC−PAO7)の合成
PLURONIC (登録商標)F127(0.60mmol)を、30mLの乾燥ジオキサンに溶解した。10mLの乾燥アセトン中のN,N'-ジサクシンイミジルカーボネート(6.0mmol)を添加した。DMAP(6.0mmol)を10mLの乾燥アセトンに溶解し、磁気攪拌下にゆっくり添加した。活性化を室温で6時間行い、その後、SC−PAO7をエーテル中で析出させた。反応で原料が消失した後、クロロホルム−メタノール(5:1)溶液システム中で、TLCに付した。生成物をアセトン中に溶解して精製し、4回、エーテルで析出させた。生成物の収率は65%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.961.68 (br,OCHCH3CH2O), 2.80 (s,COON(CO)2(CH2)2), 3.154.01 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.40 (s,OCH2CH2OCOON(CO)2CH2CH2+).
実施例2
DME−PAO7の合成
DOPAメチルエステル塩酸塩(1.25mmol)及びトリエチルアミン(2.5mmol)のスラリーを、SC−PAO7(0.16mmol)と、10mLのクロロホルム中で混合した。反応で原料が消失した後、クロロホルム−メタノール酢酸(5:3:1)溶媒システム中でTLCに付した。室温で1時間攪拌後、溶媒を蒸発除去し、DME−PAO7を3回、冷メタノールから析出させることにより精製した。DME−PAO7は、カテコールの水酸基の存在を示すアーノーテストで陽性を示した。生成物の収率は75%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.981.71 (br,OCHCH3CH2O), 2.833.06 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 3.154.02 (br,OCH2CH2O; NHCH(CH2C6H3(-OH)2COOCH3), 4.054.35 (d,OCH2CH2OCONHCHCH2C6H3(-OH)2COOCH3), 4.55 (br,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 5.30 (d,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 6.456.80 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3)
実施例3
DOPA−PAO7の合成
L−DOPA(1.56mmol)をAr雰囲気下に30mLの0.1MのNa2B4O7(pH = 9.32)水溶液に添加し、その後、30分間室温で攪拌した。5mLのアセトン中のSC−PAO7(0.156mmol)を得られた混合物に加え、室温で一晩中攪拌した。溶液pHを、反応中、炭酸ナトリウムで維持した。反応により原料が消失した後、クロロホルム−メタノール−酢酸(5:3:1)溶媒システム、TLCに付した。溶液を濃塩酸でpH 2に酸性化し、次いで、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせられたジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ジクロロメタンを蒸発させた。生成物を、冷メタノールから析出することによってさらに精製した。DOPA−PAO7は、カテコール水酸基の存在を示すアーノーテストで陽性を示した。生成物の収率は52%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.921.70 (br,OCHCH3CH2O), 2.913.15 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH), 3.204.10 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.14.35 (d,OCH2CH2OCONHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 4.56 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 5.41 (d,NHCHCH2C6H5(OH)2COOH), 6.606.82 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOH).
実施例4
サクシンイミジルカーボネートPAO8(SC−PAO8)の合成
SC−PAO7の合成及び精製のために上述したのと同様の方法を、SC−PAO8を製造するために用いた。生成物の収率は68%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.951.58 (br,OCHCH3CH2O), 2.80 (s,COON(CO)2(CH2)2), 3.104.03 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.40 (s,OCH2CH2OCOON(CO)2CH2CH2).
実施例5
DME−PAO8の合成
DME−PAO7複合体の合成及び精製のために上述したのと同様の方法を、DME−PAO8を製造するために用いた。生成物の収率は76%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.981.50 (br,OCHCH3CH2O), 2.853.10 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 3.154.01 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O; NHCH(CH2C6H3(OH)2COOCH3), 4.034.26 (d,OCH2CH2OCONHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 4.55 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 5.30 (d,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 6.456.77 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3).
実施例6
DOPA−PAO8の合成
DOPA−PAO7複合体の合成及び精製のために上述したのと同様の方法を、DOPA −PAO8を製造するために用いた。生成物の収率は49%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.921.50 (br,OCHCH3CH2O), 2.913.10 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 3.153.95 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.064.30 (d,OCH2CH2OCO NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 4.54 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 5.35 (d,NHCHCH2C6H5(OH)2COOH), 6.506.80 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOH).
実施例7
比色分析
DOPAメチルエステル及びDOPAのPLURONIC(登録商標) F127及びF68への結合効率を、ウェイト及びベネディクトの比色方法を用いて測定した。要約すると、サンプルを、最終容量0.9mLとなる1N HClを含む標準または未知の溶液の希釈アリコートによって三組構成で分析した。0.9mLの亜硝酸試薬(1.45Mの亜硝酸ナトリウム及び0.41Mのモリブデン酸ナトリウム二水和物)を、DOPA溶液に添加し、続いて、直ちに1.2mLの1N NaOHを添加した。吸光度の強度の時間依存変化のため、NaOHの添加と吸光度の記録の間の時間が全ての標準及びサンプルについて3分であったことを確実とすることに配慮した。吸光度を、全標準及びサンプルについて500nmで記録した。DOPAメチルエステル及びDOPA複合体の双方の標準として、DOPAを用いた。
実施例8
レオロジー
ゲル化プロセスの流動学的測定を、Bohlin VOR Rheometer (Bohlin Rheologi, Cranbury, NJ)を用いて行った。直径30mmのステンレス鋼円錐及び2.5度の円錐角度のプレートジオメトリーを、全ての測定で使用した。温度を、循環水浴でコントロールした。サンプルを、装置への0.5mLの溶液の移動前に、冷蔵庫で冷やした。貯蔵率G’及び損失率G”の測定を、0.1Hz及び0.45%のひずみで、振動モードにて行った。加熱速度を、ゲル化温度近傍では0.1℃/分に低減する以外、0.5℃/分とした。粘弾性データのひずみ振幅依存を、いくつかのサンプルに対して調べ、測定を、係数がひずみ振幅から独立した線形範囲でのみ実行した。鉱油を、測定の間、脱水を防ぐためにサンプルコンパートメントの外面を囲むリングに塗布した。
実施例9
示差走査熱分析(DSC)
DSC測定を、は、TA Instruments DSC-2920 (TA Instruments, New Castle, DE)熱量計で行った。スペクトルを、加熱及び冷却サイクルで各濃度の3種のサンプルに対して得た。気密封止されたアルミニウムパン中における20μl量のサンプルを用い、走査を、参照として空のパンを用いて、3℃/分の加熱及び冷却速度で記録した。
実施例10a
アミノ終端メトキシPEG、mPEG−NH2(2.0g、0.40mmol、Mw = 2,000または5,000、SunBio PEGShop)、N−Boc−L−DOPA ジシクロヘキシルアンモニウム塩(0.80mmol)、HOBt(1.3mmol)及びEt3N(1.3mmol)を、ジクロロメタン(DCM)及びDMFの50:50の混合液20mlに溶解した。次いで、10mLのDCM中のHBTU(0.80mmol)を添加し、反応を、30分間室温にてアルゴン下で行った。反応溶液を、飽和塩化ナトリウム溶液、5%NaHCO3、希釈HCl溶液及び蒸留水で連続して洗浄した。粗生成物を、減圧下で濃縮し、移動相としてメタノールを用いて、Sephadex LH 20において、カラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(mPEG−DOPA)を、さらに3回、冷メタノール中で析出によって精製し、室温にて真空で乾燥し、−20℃にて窒素下で保存した。
1HNMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ6.816.60 (m, 3H, C6H3(OH)2), 6.01 (br, s, 1H, OH), 5.32 (br, s, 1H, OH), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N)-C(O)N), 3.733.38 (m, PEO), 3.07 (m, 2H, PEO-CH2-NH-C(O)), 2.73 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N)-C(O)N), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3C), 1.25 (s, 3 H, CH3CH2O).
Figure 2007527871
実施例10b
起源が天然又は合成のいずれにしても、他のDOPA含有ペプチド及びオリゴペプチドを使用して、類推から、前述の実施例の合成及び関連手順を拡張することができる。特定の合成シーケンスによって、N末端保護基の使用は、任意とすることができる。上記で言及したように、種々の他のDOPA様接着剤成分を利用することもでき、本発明を認識する当業者に周知であろう。例えば、B−アミノ酸及びN置換グリシンDOPA類似物を用いることができる。
特定のDHPD接着剤成分にかかわらず、種々の重合成分を、上述の合成技術と手順に従って用いることができる。重合成分は、対応する可溶性の問題のみに制限される分子量で変化させることができる。上記のように、種々の他のポリマーを、表面抗付着及び/又は粒子安定化(そのようなポリマーは限定されないが、ヒアルロン酸、デキストランなどを含む)に使用することができる。溶解性の要求、所望の表面作用によって、ポリマー成分は、分岐、超分岐またはデンドリマ化していてもよく、そのような成分は、市販または周知の合成技術によって入手可能である。
実施例10aの組成物は、言及された原料のアミド化生成物であるが、同等のポリマー−DHPD複合体は、DHPD成分のN末端を、上述したものを含む適当に官能化された天然又は合成ポリマーの末端基、骨格又は側鎖に結合することによって製造することができることを理解すべきである。例えば、限定されることなく、上で例示されるように、カーボネート官能基で終端する適当なポリマー成分を、所望のDHPD成分のN末端に反応させることによって所望の複合体を得るために用いることができる。
実施例11a
青イガイMytilus edulisのフットタンパク1(Mefp1)のデカペプチドの繰り返しコンセンサス配列(イガイ接着タンパクデカペプチド、MAPd、NH2-Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Thr-DOPA-Lys-CO2H)を、活性化剤としてFmoc保護アミノ酸、BOP、HOBt及びDIEA、並びに溶媒としてNMPを用いて、リンクレジン(Rink resin)(0.6 mMol/g)での固相ペプチド合成によって合成した。Fmocの脱保護を、20分間NMP中の25%のピペリジン溶液を用いて行った。アミノ酸のカップリングを、Fmoc−アミノ酸:BOP:HOBt:DIEA(1:1:1:1)の比率の2当量を用いて、20分間行った(最初の10分間は、前活性化工程)。デカペプチドが達成したときに、デカペプチドのフリーアミン末端を、カルボジイミド化学を用いて活性化メトキシPEG−CO2H(mPEG−SPA、Mw=2k又は5k Mwまたは5k、ミズナギドリ・ポリマー(Shearwater Polymers))に結合させた。PEG−デカペプチド複合体(mPEG−MAPd、2k又は5k)を、2時間、0℃にて、EDT、チオアニソール及びm−クレゾールとともに、TFA中の1MのTMSBrを用いて、開裂させた。粗mPEG−MAPd生成物を、0℃にて、エーテルで析出させ、Vydac 218TP逆層カラム(220×22mm×10μm)を用いた予備HPLCによって精製した。生成物の純度は、分析HPLCを用いて90%より大であることが測定され、構造をPerSeptive Biosystem MALDI TOF MSを用いて確認した。
実施例11b
実施例11aの合成及び手順は、実施例10bに示されているバリエーションに類似又は一致して拡張することができる。さらに、他の複合体を、その中のチロシン残基の酵素転換によって準備されるDOPA含有ポリマーを用いて調製することができる。ペプチド合成の分野におけるよく知られた他の技術を、他の所望のタンパク配列、ペプチド複合体及び結果として生じる接着性/抗付着作用を提供するために、良好な作用で用いることができる。
実施例12a
金表面を、DCMまたはリン酸−バッファーサリン(PBS、pH=3、7.4及び11)中、ポリマー濃度が0.1から75mg/mlの範囲での溶液からmPEG−DOPA又はmPEG−MAPd(2k、5k)の吸着によって改変した。基体をバイアル中に入れ、振動することなく最高24時間、mPEG−DOPA又はmPEG−MAPd溶液に浸漬した。溶液から取り出し、基体を適当な溶媒(DCM又は脱イオン水)で、未結合ポリマーを除去するためにすすぎ、真空中で乾燥した。比較のために、同一表面を、PEG−モノメチルエーテルを用いて改変した(mPEG−OH、平均Mw=5000)。あるいは、mPEG−DOPAまたはmPEG−MAPd(PBS中10mMPEGの分子量=2000)を含有する溶液の滴を、37℃で30分間、Au被覆カバーガラス(Au厚〜10nm)上でインキュベートし、その後、カバーグラス表面をPBSですすいだ(3×)。改変表面を、mPEG−DOPAまたはmPEG−MAPdの化学吸着層の形成を示す前進/後退接触角と、XPSと、TOF−SIMSとによって分析した。
図7A〜Cは、未改変、mPEG−OH改変及びmPEG−DOPA改変表面に対するXPSスペクトルを示す。予想通り、286.5eVのエーテルピークはmPEG−OHでの処理したもののみでわずかに増加し、一方、mPEG−DOPAの吸着後において劇的な増加が観察され、エーテルカーボンの大量の存在を示す。同じ結合エネルギーを有する純粋なPEGからのエーテルピークが文献に報告されている。図7の285.0eVのより小さなピークは、PEG及びDOPA頭部基並びに製造/排気プロセスから生じる若干の炭化水素不純物における脂肪族及び芳香族の炭素のものであると考えられる。
タイムオブフライト型のSIMSデータは、XPS調査結果を補強した。TOF−SIMS分析を、未改変及びmPEG−DOPA改変Au基板、ならびにmPEG−OHにさらされたmPEG−DOPA粉末及び金基体で行った。データを、約4分間、各々の基体から集めた。
未改変Auの陽イオンスペクトルは、(CnH2n+l)+及び(CnH2n1)+のピークを示し、炭化水素不純物(データは示していない)について典型的である。さらなるマイナーな不純物が存在し、それは、NH4 +、Na+及び比較的少量のCaHbOc +種を含む。Au膜を堆積するために用いられるプロセスのため、m/z〜196.9のAuピークに加えて、Crのピークが、m/z〜52に見られた。金表面をmPEG−OHにさらすことは、CaHbOc +PEG断片を示すピークの適度の増加のみを招き、それは汚染またはmPEG−OHの非特異的な吸収に起因しているようである。これは、mPEG−DOPAで改変された基体と比較した場合、劇的な増加を示さなかったm/z〜225(AuOC+)のピーク及び254(AuOCCO+)のピークによって示される(図8A〜C)。
mPEG−DOPAで改変されたAu表面の陽イオンスペクトルは、吸着分子を示すCaHbOc +ピークの存在が目立った。図9で示されるように、相対的に豊富なC2H3O+及びC2H5O+は、未改変及びmPEG−OH改変表面に対して増加した。また、比較的豊富なC3H7 +(m/z〜43)及びC4H5 +(m/z〜53)も、劇的に増加し、同様に、それは炭化水素汚染またはBoc保護基におけるt−ブチルのフラグメントに起因すると考えることができる。
おそらく、PEG化Au基板の陽イオンスペクトルで最も顕著な特徴は、高質量範囲におけるパターン化された三重項の繰り返しであった(図10)。これらの三重項の集団の各々は、Au−DOPA−(CH2CH2O)nフラグメントと一致する。さらに分解すると、これらのピークの各々が約14−16amu離れ、三重項内の各々のサブ集団は、CH2、CH2CH2又はCH2CH2Oの付加を示す。この繰り返しパターンは、n=0〜15で確認可能であり、その範囲を超えると、信号は検出限界以下であった。
原初のAu表面についての陰イオンスペクトルでは、n=1〜3(データは示していない)について、O-、HO-及びAun -の強い定義可能なピークを除いてなんら観察されなかった。m/z 〜 13(CH-)、24(C2H2 -)及び37(C3H-)に存在する少量の炭化水素不純物があった。PEG化Au表面の陰イオンスペクトルは、m/z 〜 126.893で、C7H11O2 +についてのピークが優性であった。mPEG−OH改変Auのスペクトルにおける適当な強度のこのピークの存在は、それがより大きなエチレングリコール断片を示すことを示唆する。最も興味深いピークが高質量の範囲(>200m/z)に存在し、Auへのカテコールの酸素の結合を意味する。そのスペクトルは、1つのAu原子が最高6つの酸素原子を結合することができることを意味し、これは3つのDOPAに対応する。
接触角データは、膜が、mPEG−DOPA(データは示していない)を有する金のフィルムを改変する際に用いられた吸着溶媒の特性に依存することを示した。DCMでの改変表面は、未改変表面(p<0.001)及び全ての水溶液で改変された表面(p<0.05)よりも、かなり低いθaを示した。一般に、水溶液のpHが増大するにつれて、処理された表面の親水性は減少し、表面をPEG化する能力を低減させることを示し、おそらく、高いpHで接着性が弱いキノン形に酸化するDOPAの性質のためであり、先の研究によって支持される解釈は、DOPAの未酸化状態のカテコール形が、主な粘着力の原因であることを示す。
実施例12b
無処理及び処理カバーガラス上へのタンパク吸着ならびに細胞の付着/拡散を以下のように評価した。表面プラスモン共鳴(SPR)実験は、DOPA含有ポリマーが金表面に迅速に結合し、得られた改変表面はタンパクの吸着に対する抵抗が強化していることを示した(図11)。mPEG−MAPd(5k)改変金上におけるタンパク吸着は、未改変金の表面により約70%少なかった。改変基体上で培養された線維芽細胞の分析は、PEG改変基板の製造の間に用いられたmPEG−DOPA濃度(図12)、吸着溶媒及び改変時間に、細胞接着が強く依存することを示した。>25mg/mlのmPEG−DOPAまたはmPEG−MAPdでの24時間の改変表面は、細胞接着及び拡散において統計学的に有意な減少を示した(図12から14)。mPEG−MAPd(5k)改変金の表面は、全設計細胞面積における97%の縮小及び表面に接着した細胞密度の91%の縮小を示した。
実施例12c
実施例12aに示された改変、任意に実施例10b及び11bで示されたような変更は、他の貴金属、限定されないが、銀、プラチナ表面にまで拡張することができる。ここに説明するように、そのような適用は、いずれかのバルク金属又は保護表面又は酸化物表面を有する金属合金の表面改変を含んで拡張することもできる。例えば、バルク金属酸化物及び関連するセラミック表面を、ここで説明したように改変することができる。そのような技術は、また、ナノ粒子安定化に照らして、集積回路及びMEMS装置の製造に用いられるものなど、半導体表面にまで拡張することができる。
実施例13
シリケートガラス表面(カバーグラス)を、実施例12aで説明した方法を用いて、10mMのmPEG−MAPd(2k)の水溶液からの吸着によって改変した。改変及び未改変ガラス表面に接着したNIH 3T3細胞の細胞密度を、上述したように、評価した。mPEG−MAPdで24時間改変したガラス表面を、未改変ガラス表面と比較して43%の細胞密度の低減を示した(細胞密度(細胞/mm2):未改変ガラス上75.5+/-6.5;mPEG−MAPd改変ガラス上42.7+/-9.8)。
実施例14a
金属酸化物、特に、金属酸化物ナノ粒子の安定化を示すために、50mgのmPEG−DOPA(5k)を、水(18 MΩcm、ミリポア)に溶解し、1mgの磁鉄鉱(Fe3O4)粉と混合した。対照としてmPEG−NH2(5k)(Fluka)及びmPEG−OH(2k)(シグマ)を使って、同様の準備を行った。これらの水溶液の各々を、1時間、ブランソン超音波450 プローブソニケーターを使って、25℃の水浴に浸漬させながら、超音波処理した。プローブは、20kHzの周波数、160mmの長さ及び4.5mmの先端直径を有していた。次いで、サンプルを取り出し、いずれかの未改変磁鉄鉱を溶液から析出させるために一晩室温で放置した。対照ポリマー(mPEG−NH2及びmPEG−OH)を用いて調製した懸濁液を直ちに析出させ、茶色の固体及び透明、無色の上澄みを得た。PEG−DOPA安定化ナノ粒子を用いて調製したサンプルでは、サンプルは透明の茶色であった。透明な茶色の上澄みを分離し、Spectra/Por(登録商標)膜管(MWCO:15,000)を用いて水中で、3日間透析した。透析後、使用まで、サンプルを凍結乾燥し、室温にて真空下に保存した。
実施例14b
mPEG−DOPA安定化ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡検査(TEM)、熱重量分析(TGA)、フーリエ変換赤外線分光学(FTIR)及びUV/可視分光法によって特徴づけた。TEM結果は、大部分のナノ粒子が直径が5〜20nm(データは示していない)であることを示した。0.4mgのmPEG−DOPA安定化磁鉄鉱のTGA分析では、粒子が17重量%のmPEG−DOPA(データは示していない)を含有することを示した。未処理の磁鉄鉱について行われたFTIRは、4000〜400cm-1からの波長範囲で比較的小さい吸収を示したのに対し、mPEG−DOPA処理ナノ粒子は、800〜1600cm-1及び2600〜3200cm-1での吸収帯を示し、mPEG−DOPAの存在を確認した。
実施例14c
乾燥PEG−DOPA安定化磁鉄鉱ナノ粒子を、ただちに水溶液及び極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)に分散させ、目立つ沈殿物の形成なしに何ヶ月も安定していた透明茶色懸濁液を得た。種々の溶媒中でのmPEG−DOPA安定化ナノ粒子の懸濁液を、1mlの水(18 MΩcm Millex(登録商標)AP 0.22μmフィルタ(ミリポア)を使用して濾過したもの)、DCMまたはトルエン中の1mgのmPEG−DOPA処理磁鉄鉱を分散させることによって調製した。懸濁液を、10分間、浴ソニケーターに載置し、ナノ粒子を分散した。全3つの溶液は少なくとも6ヵ月間、室温で安定していたが、未改変磁鉄鉱及びmPEG−OHまたはmPEG−NH2によって安定化された磁鉄鉱の対照懸濁液は、各溶媒中にて24時間未満で沈殿物が析出した。
実施例14d
また、mPEG−DOPA安定化ナノ粒子の懸濁液は、生理学的塩濃度下で安定することが見出された。mPEG−DOPAが、塩誘発ナノ粒子凝集を抑制し得るかどうかを測定するために、0.3mgのmPEG−DOPA処理磁鉄鉱を、石英製キュベット中に入れ、0.7mlの水(0.25μフィルタを使用してろ過した、18 MΩcm)と混合した。UV/可視スペクトルをとる(図15)前に、飽和NaCl溶液(5μl、10μl、20μl、50μl、100μl)のアリコートを順次キュベットに加え、10分間放置した。増加するNaCl濃度を含む溶液中に懸濁したmPEG−DOPA安定化ナノ粒子の吸収スペックトルはほとんど同一であり、mPEG−DOPAがナノ粒子を安定させ、凝集を防止するのに有効であることを証明した。280nmに集中しているピークは、DOPAのカテコール側鎖を示す。
実施例14e
実施例14a〜14dで示された手順及び技術は、本発明を認識する当業者によって理解されるように、種々の他の金属酸化物またはセラミックナノ粒子まで広げることができる。同様に、本発明のそのような適用は、さらに、実施例10b及び11bで記述されたそれら組成物及びそれらのバリエーションと類似するならびに一致する広範囲にわたるポリマー−DHPD複合体の用途を含むことができる。半導体組成物の調製において、以下に例示されるように、金属酸化物またはセラミックナノ粒子は、本発明のポリマー−DHPD複合体の存在下での形成と同時に、その場で安定化させることができる。
実施例15a
金属ナノ粒子の安定化を示すために、市販の金コロイド懸濁液(シグマ、粒径5または10nm)を、透析管内(5nmに対して8000のMwカットオフ、10nmに対して15000のカットオフ)に入れ、市販の製剤において存在するアジ化ナトリウムを除去するために、2〜3日間、超高純度水中で透析した。次いで、透析した懸濁液を、小ガラスのバイアルに入れ、mPEG−DOPAを添加(10mg/ml)した。サンプルを、約2日間、室温で放置し、その後、サンプルから過剰なmPEG−DOPAを除去するために再度透析した。未処理の10nmのAuナノ粒子は、NaClの存在下では不安定で、凝集し(図16)、一方、処理Auナノ粒子は、NaCl水溶液の存在下で安定して懸濁されたままであった(図17)。
実施例15b
限定されないが、銀、プラチナなどを含む種々の他の金属ナノ粒子を、先の実施例で説明したように、安定化することができる。本発明の代表的な複合体組成物を用いて、安定化を示すことができ、種々の他の組成物を、実施例10b及び11bで記述された代替の実施形態と類似してならびに一致して調製することができる。相当する結果を、本発明の適当な、粘着性複合体ポリマーの存在下、対応する金属前駆体から合成される安定化ナノ粒子のその場での形成によって得ることができる。
実施例16a
この実施例のデータは、半導体ナノ粒子の安定化を示す。CdSナノ粒子(量子ドット)を、希薄なCd(NO3)2及びNa2S溶液をゆっくり混合することに基づく標準的な方法によって調製した。Cd(NO3)2及びNa2Sの新しい貯蔵液(2mM)を、ナノピュアな水で調製した。Na2S溶液をゆっくり20μl s-1の速度で気密シリンジを用いて、50mlのCd(NO3)2溶液に注入した。溶液は、Na2Sの添加によって黄色に変化し、2mLのNa2Sが注入された後、黄色の沈殿物が、CdSナノ粒子の凝集のために現われた。CdS沈殿物を単離し、さらなる使用のため乾燥した。磁鉄鉱に対して上述の方法を使用して、乾燥CdS粉末を、超音波処理によってmPEG−DOPA溶液に分散し、透明な黄色の溶液を得た。黄色の水性懸濁液は、認識できる沈殿物の形成なく、室温で数カ月の間、暗所で保存した。対照実験を、ポリマーの不存在下、mPEG−OHまたはmPEG−NH2存在下で行い、黄色の沈殿物及び透明、無色の上澄みを得た。mPEG−DOPA安定化CdSナノ粒子は、NaCl水溶液の存在下で安定に懸濁したままであった(図18)。
実施例16b
この実施例の結果は、安定化半導体ナノ粒子のその場での形成を例示する。CdSナノ粒子(量子ドット)を、希薄なCd(NO3)2及びNa2Sのメタノール溶液にゆっくり混合することによって、mPEG−DOPAの存在下で形成した。Cd(NO3)2及びNa2Sの新しい貯蔵液(2mM)を、メタノールで調製した。25mgのmPEG−DOPA(PEG分子量=2000)を、メタノール中、5mlの2mMのCd(NO3)2に溶解し、次いで、Na2Sの2mMの溶液5mlを、ゆっくり20μl s-1の速度で添加した。溶液は、添加の間、徐々に黄色に変化した。黄色沈殿物は見られず、ダイナミック光散乱は2.5nmの平均直径の粒子を表わした。対照実験を、ポリマー非存在下又はmPEG−OH存在下で行い、黄色沈殿物及び透明、無色の上澄みを得た。当業者によって理解されるように、材料の選択、対応するイオン性置換物又は交換反応によって、ここに記述した種類の粘着組成の存在下で行われるように、種々の他の無機微粒子の基体を製造することができる。
実施例16c
また、本発明のポリマー複合体組成物は、種々の他の半導体材料を安定化させるために用いられることができる。例えば、コア−シェルナノ粒子を、これに従って安定化した表面とすることができる。
実施例17
実施例17〜20の最適化実験を、mPEG−DOPA−5Kで行った。いくつかのパラメータを、溶媒のタイプ及びpH、吸着時間及びmPEG−DOPA溶液濃度を含む溶液からの金上へのmPEG−DOPA吸着を最適化するために試験した。細胞接着及び拡散は、用いた吸着溶媒で大きく異ならなかった。基体上の細胞の数及びそれらの設計面積は、DCM及び3つの異なる水溶液の間で大きく異ならなかった。中性、塩基性及び有機mPEG−DOPA溶液中で吸着された基体は、未改変基体(p<0.01)と比較して、すべて、顕著に向上した抗付着特性を有していた。溶液間での細胞接着及び拡散において、差異は認められなかったが、接触角データは、カテコールの酸化を減少させる手段として、最適な改変プロトコルで有機溶媒の使用を支持するであろう。さらに、DCMで改変された表面のみが、表面での細胞が顕著に少なく、合計設計細胞領域が低いことを示した。
実施例18
細胞接着及び拡散は、mPEG−DOPAの溶液濃度に強い依存を示した(図12)。25mg/mlを超えるmPEG−DOPAで、原始の金表面(p<0.001)及び10mg/ml溶液(p<0.05)で改変した表面よりも、かなり少ない細胞が付着し、拡散した。10mg/ml以下では、未改変基体に比較して、細胞接着及び拡散に違いがなかった。25〜75mg/mlの範囲のmPEG−DOPA溶液で改変した表面間で互いに比較した場合には、観察された細胞接着及び拡散において、違いはなかった。
実施例19
同様に、mPEG−DOPA吸着の期間を長期化するのに伴い、線維芽細胞の粘着及び拡散がより少なくなることが観察された。細胞接着及び拡散は、わずか5分間の基体の改変で減少するようであったが、24時間の吸着時間は、未改変基体(p<0.001)及びより短い期間で処理した基体(p<0.05)よりも、PEG化基体において、かなり少ない細胞接着及び拡散をもたらした。
実施例20
未改変及びPEG−改変表面上の双方で培養された線維芽細胞のモノロジーを、電子顕微鏡(日立3500 SEM)で試験した。未改変Au及びmPEG−DOPA改変Au上で培養された線維芽細胞は、通常、平坦で、良好に拡散したが、mPEG−DOPA改変Auで培養したものは、はるかに少ない拡散であった(図14A〜C)。mPEG−DOPA面において、他(インテグリン及び焦点性癒着を通して細胞粘着に関与する構造)でのものより少ない数の細胞プロセスが観察されたことに注意しなければならない。図13は、最適条件下(24時間、50mg/ml)、裸のAu、mPEG−OH処理Au及びmPEG−DOPA 5K、mPEG−MAPd 2K又はmPEG−MAPd 5Kで改変したAuにおいて、線維芽細胞の接着及び付着による差を示す。DOPA含有複合体で改変された表面は、他の2つの表面と比較よりも、細胞接着及び拡散が極めて弱い。mPEG−MAPd 5K改変は、合計設計細胞面積において97%の減少、表面における細胞の密度において91%の減少を示すが、mPEG−DOPA2Kによって達成されたものよりもはるかに顕著な減少である。
図13におけるDOPA−及びMAPd−複合PEGで改変された表面間での細胞接着及び拡散における差異は、関連するPEGアド層(adlayer)の物理的特性によるものであると考えることができる。SPRの分析結果は、MAPd−PEGが、等しい分子量のDOPA−アンカーPEGがそうであるよりも、単位面積あたりのより高いPEG濃度を伴って、厚く、より強固なアド層を形成することを示す。MAPd媒介PEG化から生じた厚いアド層は、タンパク吸着、同様に細胞接着を阻害することに、より有効となる。
実施例21
Boc−DOPA(TBDMS)2−OSuの合成
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(0.110g、0.95mmol)を、乾燥ジクロロメタン(DCM)(8.0mL)中のBoc−DOPA(TBDMS)2(0.500g、0.95mmol)の溶液に添加した。その溶液を、氷浴で攪拌し、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.197g、0.95mmol)を、窒素雰囲気下に加えた。反応物を、0℃にて、20分間攪拌し、次いで、室温に暖め、さらに4時間攪拌した。反応混合物を、尿素副産物を取り除くために濾過し、続いて、その最初の容量の1/5にまで蒸発させた。溶液を、4℃まで冷却し、残存した尿素副産物を沈殿させるために2時間放置し、濾過し、蒸発させ、白色泡様のBoc−DOPA(TBDMS)2−OSuを得た(0.567g、収率96%)。
実施例22
Boc−DOPA2(TBDMS)4の合成
Boc−DOPA(TBDMS)2−OSu(0.567g、0.91mmol)を、乾燥ジクロロホルムアルデヒド(DMF)(2.5mL)に溶解し、DOPA(TBDMS)2(0.405g、0.95mmol)を、窒素雰囲気下、一度に添加した。混合物を氷浴で攪拌し、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(158μL、0.91mmol)をシリンジによって滴下した。20分後、反応物を室温まで暖め、さらに17時間攪拌し、ろ過し(必要に応じて)、酢酸エチル(EtOAc)(40mL)で希釈し、分液漏斗に移し、5%の水性HClで洗浄した。水層を、EtOAcで抽出(extracted back)した。有機層を合わせて、5%水性HCl(3x)、水(1x)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させて、Boc−DOPA2(TBDMS)4を白色泡様(0.83g、収率98%)で得た。
実施例23
Boc−DOPA2(TBDMS)4−OSuの合成
実施例21の手順をBoc−DOPA2(TBDMS)4を用いて繰り返し、Boc−DOPA2(TBDMS)4−OSuを得た。
実施例24
Boc−DOPA3(TBDMS)6の合成
実施例22の手順をBoc−DOPA2(TBDMS)4−OSuを用いて繰り返し、Boc−DOPA3(TBDMS)6を得た。
実施例25
DOPA2の合成
Boc−DOPA2(TBDMS)4 (0.5 g, 0.54 mmol)を、飽和HCl/EtOAc (3 mL)に溶解し、その溶液を窒素雰囲気下で攪拌した。5時間後、さらなるHClガスを、25分間、溶液を通して徐々にバブリングした。反応物を一晩放置し、続いて、最初の容量の1/2に濃縮した。得られた沈殿物を遠心分離によって収集し、冷EtOAc(3x)で洗浄し、乾燥し、白色粉末(0.15g、収率74%)として、DOPA2を得た。生成物をさらに、RP−HPLCによって精製し、ESIMSによって特徴づけた。
実施例26
DOPA3の合成
Boc−DOPA3(TBDMS)6 (1.06 g, 0.79 mmol)を、飽和HCl/EtOAc (3 mL)に溶解し、その溶液を窒素雰囲気下で攪拌した。12時間後、さらなるHClガスを、30分間、溶液を通して徐々にバブリングした。反応物を40時間置いた。さらにHClガスを、30分間、溶液を通して徐々にバブリングし、攪拌を止めた。得られた沈殿物を遠心分離によって収集し、冷EtOAc(3x)で洗浄し、乾燥し、白色粉末(0.424 g、収率96%)として、DOPA3を得た。生成物をさらに、RP−HPLCによって精製し、ESIMSによって特徴づけた。
実施例27
mPEG−DOPA1-3の合成
0.1Mのホウ酸バッファ溶液(50mL、pH 8.5)を、20分間アルゴンで脱気し、L−DOPA(0.197g、1.0mmol)を添加した。溶液を15分間攪拌した後、メトキシ終端PEG−SPA(mPEG−SPA)5K(0.5g、0.1mmol)をポーションに添加し、反応物を3時間攪拌した。次いで、得られた透明溶液を、塩酸水溶液でpH1〜2に酸性化し、DCM(3x)で抽出した。合わした有機層を0.1MのHClで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。残りの残渣をDCMに溶解し、エチルエーテルで3回沈殿させ、白色粉末として、mPEG−DOPAを得た(0.420g、収率84%)。生成物をMALDI−MS及び1HNMR分光法で特徴づけた。
実施例28
表面改変
固体金属基体(Al、316Lのステンレス鋼及びNiTi)を、最後に、0.04mのコロイダルシリカ(Syton、デュポン)で下塗りし、磨いた。Siウエハに、<10-6トルで、エドワーズFL400電子ビーム蒸発器を用いて、20nmのTiO2又は10nmのTiO2/40nmのAuのいずれかを蒸着し、続いて、8mm×8mmの片にダイシングした。全ての基体を以下のそれぞれで20分間超音波洗浄した:5%のContrad70(Fisher Scientific)、超高純水、アセトン及び石油エーテル。その後、表面を、5分間、150ミリトルにて、100WのO2プラズマ(Harrick Scientific)へ暴露することによって、さらに洗浄した。金酸化物(Au2O3)層の形成を防ぐために、いくつかのAu基体をO2プラズマにさらさなかった。生物高分子類似表面を形成するために、ガラスのカバーグラス(Fisher Scientific)を、先に述べたように洗浄し、5分間、ポリL−リジン(シグマ)の0.01%溶液に浸漬し、超高純水ですすぎ、窒素雰囲気下で乾燥した。
最小限の数のサンプルで、種々の改変条件を調査するために、9要素Robust Designアプローチを用いた。基体を、50℃にて、0.1MのMOPSで緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。緩衝pH、改変時間及びmPEG−DOPA濃度を、表1に示すように変更した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
Figure 2007527871
実施例28a
TiO2基体
TiO2基体を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28b
316L ステンレス鋼(Goodfellow, Devon PA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28c
Al2O3 (Goodfellow, Devon PA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28d
SiO2(1500A 熱酸化物、University Wafer, South Boston, MA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28e
NiTi合金(10mm×10mm×1mm)を、Nitinol Devices & Components (Fremont, CA)から入手し、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28f
Au (electron beam evaporated onto Si Wafer from University Wafer) を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28g
Au2O3 (実施例28fで記載されたAuサンプルを酸素プラズマにさらし、Au2O3を形成した)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28h
GaAs (University Wafer, South Boston, MA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例28i
ガラスのカバーガラス(Fisher Scientific)を5分間、ポリ−L−リジン(p−L−Lys、シグマ)の0.01%溶液に浸漬し、超高純水で洗浄し、窒素下で乾燥することによりp−L−Lys表面を作った。次いで、それらを、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
実施例29
細胞接着
12〜16継代培養の3T3 スイス・アルビノ線維芽細胞(ATCC, Manassas、VA)を、37℃にて、10%の胎児のウシ血清(FBS)(Cellgro, Herndon, VA)、100g/mLのペニシリン及び100U/mL ストレプトマイシンが添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Cellgro, Herndon, VA)中で、5%CO2にて、培養した。細胞接着分析評価の前に、線維芽細胞を、0.25%のトリプシン−EDTAを使って収集し、成長培地で再懸濁し、ハーマサイトメーター(hermacytometer)で計数した。
4時間分析の一般的な手順
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29a
TiO2基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29b
TiO2基体(長期研究)
TiO2の長期研究のために、基体を、4時間の分析用と同じ密度で、週に二回再シーディングした。周期的間隔で、非接着細胞を、各ウェルにおける培地を吸引することにより取り出した。
実施例29c
316L ステンレス鋼基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29d
Al23基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29e
SiO2基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29f
NiTi基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29g
Au基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29h
Au23基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29i
GaAs基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例29j
p−L−Lys基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
定量的な細胞接着のデータを、SPOT RTデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Sterling Heights, MI)を備えたライカ・エピフルオレッセント顕微鏡を用いて、各基体上のランダムな位置から、基体サイズによって9〜16のイメージを取得することにより得た。得られたイメージを、MetaMorph(Universal Imaging Corporationtm, a subsidiary of Molcular Devices Corporation, Downington, PA)で閾値化を使って合計設計細胞面積について定量化した。測定の平均及び標準偏差を報告する。
実施例30
基体の24時間改変及び4時間分析
各気体を、図24に示したpH値で、50℃にて、1.0mgの/mLのmPEG−DOPA3(または対照としてmPEG−OH)の溶液中で、24時間改変した。4時間の細胞粘着及び拡散分析評価を、上述した実施例9で述べたように実行した。結果を図24に示す。細胞粘着抵抗が、mPEG−DOPA3で処理された全ての基体に与えられた。mPEG−OHで処理した基体への細胞粘着及び拡散は、未改変表面とは異ならなかった(データは示していない)。
実施例31
表面及び表面準備
シリコンウエハ(WaferNet社、ドイツ)を、反応性マグネトロンスパッタリング(PSI, Villigen, Switzerland)を用いた物理的蒸着法により、TiO2(20nm)で被覆した。金属酸化物被覆ウェハを、実験施設内(ex-situ)エリプソメトリ測定のために、1cm×1cm片にダイシングした。OWLS測定用光学導波チップを、Microvacuum社(ブダペスト、ハンガリー)から購入した。それは、AF45ガラス基板(8×12×0.5mm)及び200nm厚のSi0.25Ti0.752導波表面層からなる。8nmのTiO2層を、シリコンウエハに対して上述したのと同じ条件下、導波層の上部に堆積した。ポリマー改変の前に、TiO2被覆シリコンウエハ及び導波チップを、10分間、2−プロパノールで超音波処理し、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥し、続いて、O2プラズマ(Harrick Scientific、オッシニング、USA)へ3分間さらし、表面から全ての有機成分を除去した。OWLS測定の後、導波管を洗浄液(300 mM HCl、1% 洗剤、Roche Diagnostics, Switzerland)で超音波処理(10分間)によって、再利用のために再生し、超高純水ですすいで、吸着物質を除去した。
表面改変
表面を、雲点バッファ(CPバッファ:0.1 M MOPS で、0.6 MのK2SO4 でpH = 6.0に緩衝)を使用して1.0mg/mlのポリマー濃度で、24時間、25℃から50℃の温度範囲にて、実施例27に従って製造したmPEG−DOPA1-3によって改変した。改変後、基体を水で洗浄し、窒素流で乾燥し、下記に記載したように直ちに分析した。
X線電子分光法(XPS)測定
調査及び高解像度スペクトルを、325W(13kV、25mA)及び0°のテイクオフ角(光電子検出器及び表面法線間の角度と定義した)で動作する標準(非単色化(monochromatized))AlKαX線源を用いたSAGE 100(SPECS、ベルリン、ドイツ)で収集した。50eV及び14eVのパスエネルギーを、それぞれ調査及び高解像度スペクトルのために用いた。分析チャンバの圧力を、データ収集の間、2×10-8Pa以下に維持した。全てのXPSスペクトルは、284.7eVでのC1s信号の脂肪族炭化水素成分を基準とした。曲線適合を、シャーリー・バックグラウンド減法及び90%のガウス及び10%のLorentzian関数の合計を用いたCasaXPSソフトウェアで行った。測定した強度(ピーク面積)を、原子感度要因によって標準化した強度に換算し、それから表面の原子組成を計算した。3つの基体の複製から得た平均値を、表7及び8に示す。標準偏差は一般に平均の<10%であり、明瞭さのために省略した。
Figure 2007527871
Figure 2007527871
分光偏光解析法
ELM測定について、TiO2−スパッタSi基体を、25℃から50℃で改変溶液の温度を変化させながら、上述したようにex-situで改変した。改変後、基体を水ですすぎ、48時間、10mMのHEPESバッファ(pH = 7.4)中にて、室温でインキュベートし、再度水ですすぎ、窒素で乾燥した。タンパク抵抗を調べるために、未改変基体を15分間、純粋なヒト血清にさらし、水ですすぎ、窒素流で乾燥した。ELM測定を、修正前及び直後に、HEPESインキュベーション後及び血清にさらした後に、193から1000nmの波長を用いて、65°、70°及び75°でM-2000D分光偏光解析装置(J. A. Woollam Co., Inc., Lincoln, USA)で行った。ELMスペクトルを、汎用(generalized)コーシー(Cauchy)ポリマー層(An = 1.45, Bn = 0.01. Cn = 0)の光学特性を用いたWVASE32分析ソフトウェアで、多層モデルに適合させ、吸着PEG及び血清アド層の「乾燥」膜厚を得た(「乾燥」または無水膜厚は、窒素で乾燥した後、周囲雰囲気下で測定されたものである)。3つの基体の複製から得た平均膜厚を、表9及び10に示す。
Figure 2007527871
Figure 2007527871
光学的導波光モードスペクトル法(Optical Waveguide Lightmode Spectroscopy (OWLS))
TiO2被覆導波管を、上述したように、2−プロパノール及び酸素プラズマで清浄化した。清浄化した導波管を、OWLS110(Microvacuum社)の測定ヘッドに搭載し、雲点バッファ (CPバッファ: 0.1 M MOPSでpH = 6.0に緩衝した0.6 M K2SO4) 中、室温で少なくとも48時間安定化した。安定化期間で、TiO2表面のイオン交換が平衡し、安定したベースラインを得ることを可能にした。ポリマー吸着をモニターするために、CPバッファ中のmPEG−DOPAを、ストップ−フローモードで注入し、続いてCPバッファで未結合PEGを除去し、その後、信号を安定化させた。結合(incoupling)角(αTM及びαTE)を記録し、メーカー供給のソフトウェアによって屈折係数(NTM、NTE)に換算した。センサーの実効屈折率のリアルタイム変化を、de Feijter'sの公式を用いた吸着質量に換算した。取り込むのための参照文献の詳細が必要 [de Feijter, 1978 #14]。各mPEG−DOPAポリマーのための屈折率増分dn/dcを、純粋なPEGに対する0.13 cm3/g及び純粋なポリ(アミノ酸)に対する0.18cm3/gの間の線形内挿法によって計算した。タンパク吸着実験のために、信号が安定するまで、測定ヘッドの温度を37℃で平衡させ、その後、血清を15分間、続いてバッファを注入した。吸着質量の実質的な差異は、血清にさらした時間においては増加が観察されなかった。
実施例32
N−メタクロイル3,4−ジヒドロキシ−l−フェニルアラニンの合成
Na2B4O7の1.15g(5.69mmol)を、30mlの水に溶解した。溶液を、30分間Arで脱気し、その後、L−DOPAの0.592g(3.0mmol)を添加し、15分間攪拌した。次いで、Na2CO3の0.317g(3.0mmol)を添加し、溶液を0℃に冷却し、塩化メタクロイル0.3ml(3.0mmol)をゆっくり攪拌しながら添加した。溶液のpHを、反応の間、Na2CO3で9より上に維持した。室温で1時間攪拌した後、溶液を濃塩酸でpH2に酸性化した。混合物を3回酢酸エチルで抽出した。0.1N HClで洗浄し、無水MgSO4で乾燥した後、溶媒を真空中で除去し、淡茶色の粗固体を得た。生成物をジクロロメタン(DCM)及びメタノール(95:5)でシリカゲルカラムから溶出によってさらに精製し、溶媒を蒸発させた後、白色粘稠固体を、収率35%で得た。
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6): y 7.1 d (1H,-NH-); 6.6-6.8 (3H, C6H3(OH)2-); 5.68 s (1H, CHH=); 5.632 s (未知ピーク); 5.33 s (1H, CHH=); 4.67 m (1H, -CH-); 2.93-3.1 m (2H, CH2-); 1.877 s (3 H, -CH3).
実施例33
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラニンの合成
TBDMS-Clの3.60g(24.0mmol)を、18mlの無水アセトニトリルに溶解した。L−DOPAの1.60g(8.0mmol)を溶液に添加し、懸濁液を攪拌し、0℃に冷却し、3.6mlのDBU(24.0mmol)を添加した、次いで、反応混合物を、室温にて24時間攪拌した。反応溶液に冷アセトニトリルを添加することにより、無色沈殿物を得た。沈殿物を濾過し、冷アセトニトリルで複数回洗浄し、真空中で乾燥した。白色粉末を収率78%で得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d); y 6.7-6.9 (e H, C6H3(O-Si-)2-); 3.72 (m, 1 H, -CH-); 2.82-3.2 (m, 2 H, -CH2-); 1.0 (d, 18 H, -C(CH3)); 0.2 (d, 12 H, Si-CH3).
実施例34
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニン
1.60 g (3.77 mmol) の3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラニンを、NaHCO3の0.34g(4.05mmol)を含有する10mlの水に添加した。10mlのテトラヒドロフラン中のジt-ブチルジカーボネート0.96g(4.30mmol)を添加し、反応混合物を24時間室温で攪拌した。テトラヒドロフランの蒸発後、10mlの水を、残渣に添加した。溶液を希釈塩酸でpH5に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出した。無水MgSO4で乾燥した後、溶媒を真空中で除去した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:溶出液DCMの10%メタノール)によって、精製した。溶媒を蒸発させた後、白色固体を、収率70%で得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d); y 6.68-6.81(3 H, C6H3(O-Si-)2-); 4.28 (m, 1 H, -CH-); 2.78-3.08 (m, 2 H, -CH3-); 1.4 (s, 9 H, -O-C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, -Si-C(CH3)3); 0.2 (d, 12 H, Si-(CH3)2).
実施例35
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニン ペンタフルオロフェニルエステル
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニンの1g(1.90mmol)、ペンタフルオロフェノールの0.351g(1.90mmol)を、24mlのジオキサン及び1mlのDMFの溶媒混合物中に溶解し、DCCの0.432g(2.10mmol)を、0℃で添加した。溶液を1時間0℃で攪拌し、1時間室温で攪拌し、その後、溶液をろ過し、ジシクロヘキシル尿素を除去すし、真空中で蒸発させた。生成物4をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離剤;ヘキサン/酢酸=11.2)で生成した。溶離液を除去した後、純粋な白色粘稠固体を収率55%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3); y 6.65-6.81(3 H, C6H3(O-Si-)2-); 4.85 (m, 1 H, -CH-); 3.05-3.2 (m, 2 H, -CH3-); 1.41 (s, 9 H, -O-C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, -Si-C(CH3)3); 0.2 (d, 12 H, Si-(CH3)2).
実施例36
N-(13'-アミノ-4',7',10'-トリオキサトリデカニル)-t-ブチルオキシカルボニル-3' ,4'-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラナミド の合成
10mlのDCM 中の3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニンペンタフルオロフェニルエステルの0.869 g (1.26 mmol)を、1mlのDMF 中の4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミンの2.07ml(9.44mmol)及びEt3Nの1.32ml(9.44mmol)の混合物中に、0℃で30分間に渡り滴下した。溶液を室温で2時間攪拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。粗生成物をシリカゲルに付し、DCM、DCM中の5%のメタノール、DCM中の10%のメタノール及びDCM中の15%のメタノールで溶出した。溶媒を真空下で除去し、白色固体5を得た。収率は63%であった。
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6); y 7.38 (m, 1 H, -CONH-); 6.60-6.80 (3 H, C6H3(O-Si-)2-); 5.26 (m, 1 H, -CONH-); 4.30 (m, 1 H, -CH-); 3.4-3.8 (m, 12 H, -CH2O-; 3.03-3.4 (m, 4 H, -CH2-NH-, CH2-NH2); 2.78-3.02(m, 2 H, CH2-); 2.0 (m, 2 H, CH2-); 1.7 (m, 2 H, CH2-); 1.39 (s, 9 H, O C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, Si-C(CH3)3); 0.2 (d, 12 H, Si-C(CH3)2).
実施例37
N-(13-(N'-t-ブチルオキシカルボニル- L-アミノ-3',4'-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-4,7,10-トリオキサトリデカニル)-メタクリルアミドの合成
0.57 g (0.79 mmol) の N-(13'-アミノ-4',7',10'-トリオキサトリデカニル)-t-ブチルオキシカルボニル-3' ,4'-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラナミド及び0.166 ml (1.18 mmol) のEt3Nを、5 mlの無水クロロホルム中に溶解し、0.176 ml (1.18 mmol) のメタクリル酸無水物に添加した。溶液を室温で3時間攪拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。純粋物6を白色粘稠固体として、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液;酢酸エチル)によって、収率61%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3); y 6.60-6.80 (3 H, C6H3(O-Si-)2-); 6.40 (m, 1 H, -CONH-); 5.71 s (1H, CHH=); 5.30 s (1H, CHH=); 5.096 (m, 1 H, -CONH-); 4.21 (m, 1 H, -C H-); 3.2-3.65 (m, 16 H, -CH2O, CH2-NH-CH2-NH2); 2.80-2.99 (m, 2 H, CH2-); 1.96 s (3 H, CH3); 1.81 (m, 2 H, CH2-); 1.68 (m, 2 H, CH2-); 1.40 (s, 9 H, -O-C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, Si-C(CH3) 3); 0.2 (d, 12 H, Si-C(CH3)2).
実施例38
N-(13-(N'-t-Boc-L-3',4'ジヒドロキシフェニルアラニンアミド)-4,7,10-トリオキサトリデカニル)-メタクリルアミドの合成
10 mlの丸底フラスコに、0.344 g (0.433 mmol) のN-(13-(N'-t-ブチルオキシカルボニル-L-アミノ-3',4'-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-4,7,10-トリオキサトリデカニル)-メタクリルアミド、3 mLのTHF及び0.137 g (0.433 mmol) のTBAFを添加した。溶液を5分間室温で攪拌し、次いで、3 mlの0.1 N HCI を添加した。その溶液をDCMで3回抽出し、その後溶媒を真空下で除去した。白色固体7をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離液;DCM中7%のメタノール)で、収率63%で、得た。
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6); y 7.90 (m, 1 H, -CONH-); 7.23-7.40 (d 2 H, C6HH2(OH)2-); 6.56-6.76 (3 H, C6HH2(OH)2-; 5.930 (m, 1 H, -CONH-); 5.71 s (1H, CHH=); 5.30 s (1H, CHH=); 4.20 (m, 1 H, -CH-); 3.1-3.60 (m, 16 H, -CH2O, CH2-NH-,CH2-NH2); 2.70-2.95 (m, 2 H, CH2-); 1.96 s (3 H, CH3); 1.78 (m, 2 H, CH2-); 1.65 (m, 2 H, CH2-); 1.39 (s, 9 H, -O-C(CH3)3).
実施例39
PEG−ジアクリレート(PEG−DA)の合成
40 g (5 mmol) のPEGをベンゼン中の 共沸蒸発によって乾燥し、次いで、150 mLのDCMに溶解した。 4.18 mL (30 mmol) のEt3N及び3.6 mL (40 mmol)の塩化アクリロイルをポリマー溶液に添加した。混合物を5時間攪拌しながら還流し、一晩で室温に冷却した。エーテルを混合物に添加し、淡黄色沈殿物を得た。次いで、粗生成物を、 飽和塩化ナトリウム溶液に溶解し、60℃に加熱し、2層に分離した。DCMを上層に添加し、MgSO4を添加して水分を除去した。MgSO4をろ過した後、溶媒の容量を真空下で減少させ、サンプルをエーテル中で沈殿させた。最終生成物を乾燥し、−15℃で保存した。収率は75%であった。
1H NMR (500 MHz, D2O): δ 6.47 (d, 1 H, CHH=C-); 6.23 (m, 1 H, C=CH-C(=O)-O-); 6.02 (d, 1 H, CHH=C-); 4.35 (m, 2 H, -CH2-O-C(=O)-C=C); 3.23-3.86 (PEG CH2)
実施例40
PEG−DAの重合
PEG−DAの前駆体溶液、1、7及び光開始剤を準備し、光重合の直前に混合した。PEG−DA (200 mg/mL) 及び1 (40 mg/mL)の保存溶液を窒素パージリン酸緩衝サリン (PBS, pH 7.4)に溶解し、7 (60 mg/mL) を、事前に窒素でパージした50:50 PBS/95%エタノール中に溶解した。最終重合混合物を調製するために、1又は7の溶液をPEG−DAに混合し、150 mg/mLのPEGDA及びDHPD誘導体の最終濃度を得た。次いで、100 μLの混合物を、ディスク型モールド(100 μL、直径= 9 mm、深さ= 2.3 mm、Secure Seal(登録商標)SA8R2.0, Grace Bio Lab, Inc., OR)に加え、続いて、UVラン プ (Black Ray(登録商標)、365 nm、 Model UVL56, UVP, CA) 又は青色光ランプ (VIP(登録商標)、400500 nm、BISCO Inc., IL)のいずれかで20分間照射した。UV開始光硬化のために、DMPA (VP中600 mg/mL)をポリマー溶液に添加し、34 mMの最終濃度を得た。可視光−誘導硬化を、光開始剤として、DMAB(VP中30 mg/mL、最終濃度= 151 mM)を有するCQ (VP中100 mg/mL、最終濃度= 150 mM)又はAA (PBS 中100 mg/mL、最終濃度= 17 mM)を有するFNa2(PBS 中188 mg/mL、最終濃度= 2 mM) のいずれかを用いて行った。最終的なVP濃度を、135から300mMとなるように調節した。
照射の後、ゲルをろ紙で吸い取り、液体表面層を除去し、秤量した。次いで、ゲル変換パーセントを、ゲル重量を前駆体溶液の100μLの重量で除算して決定した。
実施例41
DOPA組み込み測定
光重合ゲルに取り込まれたDOPAの量を、ウェイト及びベネディクト(Waite and Benedict)によって開発された比色DOPA分析法の修正を用いて測定した。光架橋結合したゲルを、3mLの0.5N HCI中で攪拌し、ゲルネットワークに取り込まれなかったDOPAモノマーを抽出した。0.9 mLの亜硝酸試薬(1.45Mの亜硝酸ナトリウム及び0.41Mのモリブデン酸ナトリウム二水和物)及び1.2mLの1MNaOHを、0.9mLの抽出物溶液に添加し、混合物の吸光度(500nm)を、NaOH添加を2〜4分間行いながら、日立U2010 UV−Vis分光光度計を用いて記録した。標準曲線を既知の1〜7の濃度を用いて作図した。
実施例42
力学的検査
ヒドロゲルを、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリクロロシランで処理したガラススライド上に25μLのポリマー混合物を垂らして半球状に成形した。ゲルを10分間照射し、少なくとも24時間0.15MのHClで透析し、結合していないDOPAモノマーを抽出し、次いで、試験前15分間以上PBS中で平衡させた。ゲル率を測定するために、半球状のゲルキャップを、瞬間接着剤を使って、スチールのシリンダー(直径=6mm、長さ=30mm)の一端に付けた。シリンダーの反対側に、約0.1mNの解像度で50gの負荷変換器(FTD G 50、Schaevitz Sensors、VA)と直列に整列する圧電ステッピングモーター(IW 701 00、Burleigh Instruments、NY)に付けた。光ファイバー置換センサー(RC100 GM2OV、Philtec, Inc., MD)で、スチールロッドの軸方向移動を測った。TiO2被覆Siウエハをヒドロゲル下に載置し、TiO2表面に、ゲル水和を維持するためにPBSを注いだ。4mNの最大圧縮負荷を測定するまで、インデンターを5μm/sで前進させた。
弾性率を、非圧縮性弾性半球と堅い平面との非接着性接触の特定の場合に対するヘルツの力学を想定して算出し、その場合、負荷(Ph)と変位(displacement (δh))とがヘルツの関係になる。
Figure 2007527871
(式中、R及びEは、それぞれ、半球状ゲルの曲率半径及び弾性率である)。ゲルの曲率半径は、ゲルの写真から得られる高さと幅から測定した。
実施例43
PEG-DOPAのヒドロゲルへの化学的酸化
4−armPEG-アミン(PEG-(NH2)4、Mw= 10,000)をSunBio社(ウォルナッツクリーク、CAv)から購入し、一方、線形PEG−ビスアミン(PEG-(NH2)2、Mw=3,400)及びメトキシ−PEG−アミン(mPEG-NH2、Mw= 5,000)をShearwater Polymers社(ハンツヴィル、AL)から購入した。Sephadex(登録商標) LH-20を、Fluka(ミルウォーキー、WI)から得た。N-Boc-L-DOPAジシクロヘキシルアンモニウム塩、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、マッシュルームチロシナーゼ(MT、EC 1.14.18.1)及びセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP、EC 1.11.1.17)を、Sigma Chemical社(セントルイス、MO)から得た。トリエチルアミン(Et3N)、過酸化水素(30wt%、H2O2)、モリブデン酸ナトリウム二水和物及び亜硝酸ナトリウムを、Aldrich Chemical Company (Milwaukee, WI)から購入した。L−DOPAを、Lancaster (Windham, NH)から購入した。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)をNovabiochem Corp. (La Jolla, CA)及びO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)−N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート (HBTU)をAdvanced ChemTech (Louisville, KY)から得た。
DOPA−改変PEGの合成
最高4つのDOPA末端基を有する線形及び分岐DOPA−改変PEGを、以下に示す標準カルボジイミド結合化学を用いて合成した。4つのDOPA−改変PEG構造を、図1に示す。
PEG-(N-Boc-DOPA)4の合成I
PEG-(NH24(6.0g、0.60mmol)を、60mLのジクロロメタン(DCM)及びジメチルホルムアミド(DMF)の50:50の混合物中の、N-Boc-L-DOPA ジシクロヘキシルアンモニウム塩(4.8mmol)、HOBt(8.0mmol)及びEt3N(8.0mmol)と反応させた。次いで、30mLのDCM中のHBTU(4.8mmol)を、添加し、カップリング反応を1時間、室温にてアルゴン下で行った。溶液を、飽和塩化ナトリウム溶液、5%のNaHCO3、希釈HCl溶液及び蒸留水で連続して洗浄した。粗生成物を減圧下で濃縮し、移動相としてメタノールを用いてSephadex(登録商標) LH-20でカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物をさらに3回、冷メタノールで析出させて精製し、室温にて真空下で乾燥し、−20℃の窒素雰囲気下で保存した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ 6.81-6.77 (m, 2H, C6HH2(OH)2-), 6.6 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.05 (br, s, 1H), 5.33 (br, s, 1H), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.73-3.41 (m, PEO), 3.06 (m, 2H, PEO-CH2-N-C(O)-), 2.73 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH-), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3C-).
GPC-MALLS: Mw = 11,900、Mw/Mn = 1.01
PEG-(DOPA)4の合成II
Iの3.0g(0.25 mmol)を、室温でDCMの15mL中に溶解した。15mL のTFAを混合物に添加し、アルゴン下で30分間反応させた。溶媒をロータリーエバポレータで蒸発させた後、生成物を3回、冷メタノールで析出させ、室温にて真空下で乾燥し、−20℃の窒素雰囲気下で保存した。
1H NMR (500 MHz, D2O): δ 6.79 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.66 (s, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.59 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 4.00 (t, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.70-3.34 (M, PEO), 3.24 (m, 2H, PEG-CH2-N-C(O)-), 3.01-2.88 (m, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-).
GPC-MALLS: Mw = 11,400、Mw/Mn= 1.02
PEG-(N-Boc-DOPA)2の合成III
PEG-(NH2)2(5.0g、1.5mmol)、N-Boc-L-DOPAジクロロヘキシルアンモニウム塩(5.9mmol)、HOBt(9.8mmol)及びEt3N(9.8mmol)を50mLのDCM及びDMFの50:50の混合物中に溶解した。次いで、25mLのDCM中のHBTU(5.9mmol)を添加し、反応を30分間、室温にてアルゴン下で行った。生成物の回収及び生成を、上記Iと同様に行った。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ 6.81-6.77 (m, 2H, C6HH2(OH)2-), 6.59 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.05 (br, s, 1H), 5.33 (br, s, 1H), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.73-3.42 (M, PEO), 3.06 (m, 2H, PEO-CH2-N-C(O)-), 2.74 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3CO-).
GPC-MALLS: Mw= 4,600、Mw/Mn= 1.02
メトキシPEG-(N-Boc-DOPA)の合成IV
mPEG-NH2(2.0 g, 0.40 mmol)、N-Boc-L-DOPAジクロロヘキシルアンモニウム塩(0.8mmol)、HOBt(1.3mmol)及びEt3N(1.3mmol)を20mLのDCM及びDMFの50:50の混合物中に溶解した。次いで、10mLのDCM中のHBTU(0.80mmol)を添加し、反応を30分間、室温にてアルゴン下で行った。生成物の回収及び生成を、上記Iと同様に行った。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ 6.81-6.60 (m, 3H, C6H3(OH)2-), 6.01 (br, s, 1H, OH), 5.32 (br, s, 1H, OH), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.73-3.38 (m, PEO), 3.07 (m, 2H, PEO-CH2-NH-C(O)-), 2.73 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3C-), 1.25 (s, 3 H, CH3CH2O-).
GPC-MALLS: Mw = 6,100、Mw/Mn= 1.02
DOPA含量の測定
DOPA−改変PEGのDOPA含量を、1HNMRスペクトルの関連ピークの集積、比色DOPA分析によって測定した。NMR法では、DOPA含量は、δ=1.44のBoc メチレンプロトンからδ=3.73〜3.38のPEGメチレンプロトンの整数値を比較することで測定した。DOPA分析は、ウェイト及びベネディクトの前に述べた方法に基づいた。要約すると、PEG−DOPA水溶液を、亜硝酸試薬(1.45Mの亜硝酸ナトリウム及び0.41Mのモリブデン酸ナトリウム二水和物)で処理し、続いて過剰なNaOH溶液を添加した。混合物の吸光度(500nm)を、NaOH添加を2〜4分間行いながら日立U2010 UV−Vis分光光度計を用いて記録した。標準曲線を既知のDOPA濃度の溶液を用いて作図した。
PEG−DOPAヒドロゲルの形成
PEG−DOPAヒドロゲルを形成するために、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及び過酸化水素(HRP/H2O2)又はマッシュルームチロシナーゼ及び酸素(MT/O2)を、リン酸バッファードサリン(PBS、pH 7.4)中のPEG-DOPA(200mg/mL)溶液に添加した。MTによってゲル化を誘導するために、PBSを、MTを加える前に、20分間空気でスパージした。ゲル化時間を、流体を含有するバイアルを逆転させて測定されることで、混合物が流れなくなった時として、定性的に測定した。
振動流体測定法
振動流体測定法を、ゲル化のプロセスをモニターし、ヒドロゲルの力学的特性を測定するために用いた。架橋剤を、PEG-DOPAの水溶液に添加し、よく混合した溶液をボーリンVORレオメータに付した。0.1Hzの周波数、1%のストレイン、30mmの直径円錐及び2.5°の円錐角で固定したプレート取付け具で分析した。
DOPA酸化の分光器評価
DOPA−改変PEGを、10mMのPBS溶液(HRP/H2O2及びNaIO4に対してアルゴン、MT実験に対して空気でバブリングした)に溶解した。酸化試薬を加えた後、溶液の時間依存UV/可視スペクトルを、800nm/分の走査速度で、200から700nmまでの波長でモニターした。全てのサンプルを、日立U-2010のUV/力分光光度計を用いて、最初にPBSバッファに対してブランク化し、室温で記録した。
分子量分析
分子量を、水性移動相(50 mM PBS, 0.1 M NaCl, 0.05% NaN3; pH = 6.0)中のShodex-OH Pakカラム及びOptilab DSP(ワイアット・テクノロジー)屈折率検出器を用いたDAWN EOS(ワイアットテクノロジー)で、GPC-MALLSによって測定した。分子量計算のために、IV(0.136)の実験的に測定したdn/dc値を用いた。
Figure 2007527871
実施例44
原料及び方法
チップ改変
窒化ケイ素(Si34)チップの表面改変の前に、酸素プラズマ(機械の名前)を用いて、3分間清浄化手順を行い、続いてそれらを30分間、ピラニア溶液(8:2の硫酸:H2O2)に移動させた。それらを、H2Oですすいだ後、トルエン中の20%(v/v)の3-アミノプロピルトリメトキシシランに移動させて、30から60分間アミンで官能化した。2種のポリエチレングリコール(PEG)誘導体を、AFMチップ上にPEG化するために選択した:mPEG-N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(Mw 2000)及びFmoc-PEG-NHS(Mw 3400)(Nektar社)。PEGの混合物(Fmoc-PEG-NHS:mPEGNHS = 1:5から10、5mM)を、50mMのリン酸ナトリウムバッファ、0.6MのK2SO4、pH 7.8及びクロロホルムで調製した。PEG化反応を、はじめに40℃のリン酸ナトリウムバッファ、その後クロロホルム中で、各ステップ3時間で行った。TiO2上での複数のDOPA結合を防止するためにPEG混合物を用いた。Fmoc-PEG-NHSは、Fmoc開裂の後、Boc-DOPA複合体にアミンを供給した。ピペリジン(NMP中20 v/v %)を、5分間Fmocを脱保護するために用い、その後、カンチレバーを、10μLの DIPEAを有するBOP/HOBt/DOPA(1:1:1のモル比、NMP中最終8mM)溶液に移した。同じ手順を、チロシン改変に用いた。
AFM実験
全てのデータを、反転ニコン顕微鏡の上部のAFM装置(Asylum Research, Santa Barbara, CA)に集めた。個々のカンチレバーのバネ定数(製造者情報で約45、100及び300pN/nm)を、熱雑音スペクトル(S1)に対して等分配定理を適用することによって換算した。1滴の水を、予め清浄化した(有機溶媒及びO2プラズマの超音波処理)TiO2表面に塗布した。PEG弾性力及び等高長を含む力−距離曲線を、さらなる統計分析のために選択した。DOPAキノン実験について、全ての実験を、20mMのトリス(pH 9.8)で行った。
動態作用(Dynamic force)実験
負荷速度依存力測定は、DOPA結合のエネルギーランドスケープを示す(17)。線形プロット(力対ln(負荷速度))の傾斜(=kBT/xb)は、適用された力の軸に沿ってエネルギー障壁xbの距離を決定する。結合エネルギー障壁は、傾斜からの牽引速度変化及びxbによって起こる力遷移からゼロ負荷速度での対数関数的阻止力によって算出される。窒化珪素AFMカンチレバー(Bio-Levers, Olympus, Japan)を、ストリング定数(〜5 pN/nm及び〜28 pN/nm)が小さいために用いた。我々の研究において、2nN/秒の最も低い負荷速度を、400nm/秒の牽引速度及びカンチレバー(〜5 pN/nm)を用いて達成した。最高負荷速度(1500nN/秒)は、圧電装置の5m/sec操作及び固いカンチレバー(300pN/nm、Veeco)の使用によって生成した。
表面特性
表面を、単色化AlKα(1486.8 eV) 300 W X-線源及びチャージビルドアップを消失させるための電子銃を備えたX線光電子顕微鏡法(XPS)(Omicron, Taunusstein Germany)によって分析した。高温チャンバで製造した窒化珪素表面(0.7×0.7cm2)を、清浄化し、AFMチップ改変で述べたのと同様の手順で改変した。炭素1sの電子軌道からの光電子信号は、カーボンからの1sの電子軌道がSi3N4表面におけるSi、O及びNの全ての豊富な種を考慮する表面改変の主な指標であった。
本発明の原則が特定の具体化と関連して記述され、これらの説明が実施例としてのみ加えられて、どんな形であれ、本発明の範囲を制限することを目的としないことは、明らかによく理解されていなければならない。例えば、ヒドロゲル化ができるのであるにせよ、本発明は多種多様なポリマー組成物の接着性を強化することができる。同様に、本発明は、対応するDOPA複合体のその後の結合と準備のために機能的に特定の重合構成要素を修正するためによく当業者に知られているいろいろな他の合成技術で使うことができる。他の利点、特徴及び利益は、請求の範囲で明らかになり、それらの合理的な均等ぶるによって決定される範囲は、当業者によって理解されるであろう。

Claims (25)

  1. 式(I)
    Figure 2007527871
    (式中、
    R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖、置換又は非置換C1-4の炭化水素からなる群から独立に選択され、
    Pは、−NH2, -CO-OH, -OH, -SH,
    Figure 2007527871
    (ここで、R1及びR2は上記と同義)、
    単結合、ハロゲン原子、
    Figure 2007527871
    (ここで、A1及びA2は、別個に独立して、水素原子、単結合からなる群から選択され)、
    保護基、
    実質的にポリ(アルキレンオキサイド)、
    Figure 2007527871
    (ここで、nは1〜約3、A3
    Figure 2007527871
    (ここで、R4は水素原子、C1-6の低級アルキル又は
    ポリ(アルキレンオキサイド)−C(=O)−C(R3)=CH2
    (ここで、R3は上記と同義)
    Dは式(I)に記載されている)、
    からなる群から別個に独立して選択される)
    の式のジヒドロキシフェニル(DHPD)接着化合物。
  2. ポリ(アルキレンオキサイド)は、
    Figure 2007527871
    (式中、R3及びR4は、別個に独立して水素原子又はCH3及びmは1〜約250の範囲の数値、A4は、NH2、CO−OH、−OH、−SH、−H、DHPD又は保護基である)
    である請求項1の化合物。
  3. DHPDは、
    Figure 2007527871
    の構造である請求項1の化合物。
  4. DHPDは、
    Figure 2007527871
    である請求項1の化合物。
  5. DHPDは、
    Figure 2007527871
    (式中、A2は、−OH及びA1は、実質的に
    Figure 2007527871
    (ここで、R3、R4及びmは請求項2と同義である)
    の構造のポリ(アルキレンオキサイド)である)
    の構造である請求項1の化合物。
  6. ポリ(アルキレンオキサイド)は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである請求項5のDHPD。
  7. Figure 2007527871
    (式中、R1及びR2は上記と同義である)
    の構造のDHPDを準備し、
    上記構造のDHPDを、接着させる基体の一方、他方又は双方に塗布し、
    接着させる基体を上記構造のDHPDに接触させて互いに基板を接着し、及び
    任意に、基体を分離することにより互いに相対的に再位置決めを行い、上記構造のDHPDを互いに再接触させる工程を含む互いに基板を接着させることを含む方法。
  8. 1及びR2は水素原子である請求項7の方法。
  9. DHPD部分の一方又は他方が、
    Figure 2007527871
    の構造である請求項7の方法。
  10. DHPD部分の双方が、
    Figure 2007527871
    の構造である請求項7の方法。
  11. 式(II)
    Figure 2007527871
    (式中、R1、R2及びPは請求項1と同義である)
    の化合物を含む接着剤。
  12. 接着剤は、水性環境中で接着する請求項11の接着剤。
  13. 式(II)の化合物がDOPAである請求項11の接着剤。
  14. 式(III)
    Figure 2007527871
    (式中、式(1a)の各化合物に対して、R1及びR2は別個に独立して請求項1と同義であり、
    式(1a)の各化合物に対して、P1及びP2は別個に独立して請求項1のPと同義であり、n及びmは独立して0〜約5の範囲であり、ただし、m又はnの1つは少なくとも1である。)
    の化合物を含む組成物。
  15. 1及びR2は水素原子である請求項14の方法。
  16. 1又はP2の少なくとも1つは、実質的にポリ(アルキレンオキサイド)である請求項14の組成物。
  17. 1又はP2の少なくとも1つは、少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を含む請求項14の組成物。
  18. 1又はP2の少なくとも1つは、PEGを含む請求項14の組成物。
  19. (1a)の少なくとも1つがトリ−DOPAであり、PがPEGである請求項14の組成物。
  20. 1及びP2は互いに結合してなる請求項14の組成物。
  21. デバイス、及び
    請求項14の組成物を含むコーティングを含む被覆医療用デバイス。
  22. デバイスは、ステント及びペースメーカからなる群から選択される請求項20の被覆医療用デバイス。
  23. コーティングが生分解性である請求項14の被覆医療用デバイス。
  24. 細胞又はタンパクが外科的切開部分に接着することを防止する方法であって、請求項14の組成物で部分を被覆する工程を含む方法。
  25. 水素結合と共有結合との間の中間強度である相互作用であって、実質的に、可逆的に形成可能で、破壊可能で、修復可能である相互作用。
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