JP2007527871A - 重合化合物及び関連した使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この出願は、米国特許出願第60/306,750号及び第60/373,919号(それぞれ2001年7月20日、2002年4月19日出願)の一部継続出願第10/199,960(2002年7月19日出願)である。また、この出願は、米国特許出願第60/548,314号(2004年2月27日出願)、第60/549,259号(2004年3月2日出願)の優先権を主張し、これらの全内容をここに参照として組み込む。
米国政府は、国立衛生研究所からノースウエスタンユニバーシティへの許可番号DE13030、DE12599及びDE14193ならびにNASAからノースウエスタンユニバーシティへの許可番号NCC-1-02097に準じてこの発明に対する特定の権利を有する。
より具体的な本発明は、式(I)
R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖、置換又は非置換C1-4の炭化水素からなる群から独立に選択され、
Pは、−NH2、-CO-OH、-OH、-SH、
単結合、ハロゲン原子、
保護基、実質的にポリ(アルキレンオキサイド)、
ポリ(アルキレンオキサイド)−C(=O)−C(R3)=CH2、
(ここで、R3は上記と同義、
Dは式(I)に記載されている)
から別個に独立してなる群から選択される)
のジヒドロキシフェニル(DHPD)接着化合物を含む。
の構造を有する。
の構造の実質的にポリ(アルキレンオキサイド)
の構造のものである。一般に、ポリ(アルキレンオキサイド)はエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである。
の構造のDHPDを準備し;上記構造のDHPDを、接着させる基体の一方、他方又は双方に塗布し;接着させる基体を上記構造のDHPDに接触させて互いに基体を接着し、及び任意に、基板を分離することにより互いに相対的に再位置決めを行い、上記構造のDHPDを互いに再接触させる工程を含む。
この適用の目的に対するジヒドロキシフェニル誘導体(DHPD)は、以下の構造式のジヒドロキシフェニル誘導体を意味する。
一実施例では、R1及びR2は水素であり、Pは、それ自体ジヒドロキシフェニルである。本発明の実施において、好ましいDHPDは、1-3,4ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、(一般的に)、
P1及びP2は、別個に独立して式(I)のPとして定義されており、
n及びmは独立して0〜約5であり、ただし、n又はmの少なくとも1つは1以上である。)
本発明の接着部分は、以下の好ましい構造を有するジヒドロキシフェニル誘導体(DPHD)である。
DHPD接着剤は水性環境下で機能することができる。この文脈において、水性環境は、水を含むいずれかの媒体である。これは、限定されないが、塩水及び淡水(細胞及び細菌増殖培養液、水性バッファ、他の水性溶液及び体液)を包含する水を意味する。DHPD部分は、誘導体化されたものであってもよい。当業者によって理解されるように、そのような誘導体化は、望ましい接着特性を維持によって制約される。
表面の活性作用及び他の望ましい特性を与える種々のポリマー成分は、この発明を認識する当業者にはよく知られている。望ましい表面の活性作用は、細胞及び/又はタンパク接着に対する抵抗を含む、微粒子のかたまりの減少及び抗生物接着に関するものである。例えば、ポリマー成分は水溶性であってもよく、最終的な用途アプリケーションに依存することができ、および/または、種々の他の最終使用用途によってミセルを形成することが。本発明に有用なポリマーは、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、PEO−PPO−PEOブロック共重合体、ポリフェニレンオキサイド、PEG/テトラグリム(tetraglyme)、PMEMA、ポリMPC及びパーフルオロ(perfluorunated)ポリエーテルを含む。
本発明の抗生物付着コーティングは、医療装置(例えば、脈管又は動脈ステント、ペースメーカ、心臓弁、ブドウ糖検出装置及び他のバイオセンサー、脈管帯(vascular wrap)、除細動器)、縫糸及びカテーテルを含む整形外科装置及び外科装置に塗布されるかもしれない。本発明のポリマー組成物は、医学および研究用途の装置に対して、タンパクや細胞接着を防止するコーティングとして用いることができる。これらは、限定されないが、医療インプラント用コーティング、外科装置用コーティング、血清及び他の動物/ヒト派生材料の処理装置用、医療診断用装置及びバイオセンサー用のコーティング等の用途を含む。細胞接着抵抗のためのポリマーによる生物材料の表面を改変する難題のうち、タンパク及び細胞を寄せ付けず、完全に表面を覆うコーティングを生成することができる十分に高い密度のポリマーを製造する。これは、異なる材料でできている複数の部品を含む装置に関して特に問題である。表面は、多くの方法で、本発明のポリマー組成物によって改変されるかもしれない。例えば、ポリマー組成物は、表面に吸着されるかもしれず、あるいは、ポリマー開始剤を含むDHPD部分が、表面及び表面から開始されたポリマー成長に吸着されるかもしれない。後者について、限定されないが、ラジカル重合、ラジカル重合法、イオン重合、開環重合及び光重合が開始した表面を含む多くの重合技術が可能である。
「d」は、収縮の間、単一のDOPA−PEG分子が十分に伸張した場合の圧電装置のz−置換距離である(図34C)。それは非常にわずかに変化しているが、「d」値は、多くの繰り返しサイクルを通してほぼ一定に現れる(図34A)。この小さな変化は、異なる角度で表面に結合するDOPAのためかもしれない。我々の実験の重要な特徴は、非結合シグナルが「同一の」DOPA分子を用いるepetitionsであるということである。これは、先端がランダムに1分子を拾った1分子引き抜き実験の典型的なアプローチと比較される。また、これは、DOPA接着化学が完全に可逆的であったことを証明する。この可逆性から、基体から先端(TiO2〜Si3N4)への最も弱い化学結合がTi(表面)−O(DOPA)結合であるという結論に導かれる。
図は、青いイガイ(Mytilus Edulis)がどのように金属酸化物面にくっつくかについて示す。円は、普通でないアミノ酸(DOPA)が見つかった1つのプラークを含む。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)の重合は、Si3N4先端表面においてアミン基を導入した(図示せず)。長鎖は、末端で1つの(Boc)−DOPAと結合したPEG分子を示す。5〜10:1のモル比でのmPEG−NHS(2k)及びFmoc−PEG−NHS(3.4k)の混合物を、DOPA−PEG分子を安定化するために用いる(詳細の追加のセクション参照)。
1つのカンチレバーからの4つの代表的なAFM1分子DOPA脱離信号
これらの4つの信号は連続的に発生しなかった(いずれの接着も示さない信号は削除した)。DOPA接着を検出する低い可能性(5〜10%)にもかかわらず、検出信号は、同様に「d」値を示した(図34C参照)。
TiO2表面上のチロシンの一分子の粘着力。明瞭な結合信号は、何本かのカンチレバーで避けられなかった初期の静電的相互作用以外、検出されなかった(上部の代表的な信号、700の繰り返し中n=639)。非特異的な吸着信号(下部の代表的な信号、700の中のn=61)。
DOPAの形成及び酸化の化学的経路の概略図。DOPAはチロシンヒドロキシラーゼの作用により形成され、その後pH及び酵素によってDOPAキノンに酸化される。それは、DOPAキノンのラジカル形成の傾向のために不安定で反応性がある。それは、他のDOPA分子(ジ−DOPA)と架橋することができ、同様にリジンからのアミン基と反応する。矢印は、イガイ接着タンパクでない他の種で見られた潜在的反応である。
また、本発明のポリマー組成物は、医療及び歯科での使用のための外科用接着剤として、粘膜表面への薬物デリバリーの伝達手段として用いることができる。ポリマー組成物は、組織シーラントのような医療用途のための組織接着性高分子ヒドロゲルとして、外科的な粘着(瘢痕組織形成)の防止、骨と軟骨接着剤、組織工学及び部位特異性薬物溶出のため、並びに、抗体を含むタンパク及び医薬を含む小分子分析物の固定化のような研究用の用途のためのゲルとして使用することができる。また、本発明のポリマー組成物は、界面結合剤として用いることができ、滑らかなモノマーまたはモノマー溶液が、組織表面または金属もしくは金属酸化物移植インプラント/装置表面とバルクポリマーもしくはポリマーヒドロゲルとの間のプライマーまたは結合剤として表面に適用することができる。当業者が確認することができる適当なポリマー成分を用いて、本発明のポリマー組成物を、液体状で注入又は伝達することができ、ゲルネットワークを形成するためにその場で硬化することができる。その場での硬化は、光硬化、化学的酸化、酵素反応によって、体への伝達による自然の温度上昇によって起こる。
となる。負荷対置換データを方程式(1)に代入し、弾性率を曲線適合の比例因子に基づいて算出した。表6から、約50kPaのDOPA含有ゲルに対する平均ヤング率(E)を得た。
海洋の生物付着(水面への藻類、バクテリア及びイガイの付着)の防止、工場(例えば、電子および製薬メーカー等)に対する水流のバクテリア汚染の防止、飲料水流の細菌汚染の防止、歯及び入れ歯接着剤、インジケーターを供給する水中接着剤、水質及び測定センサー用コーティング、生物付着の防止用に使用されるペンキを含むこれらコーティング及びヒドロゲルについて、種々の工業製品用途がある。
以下の非限定的な実施例及びデータは、ここで説明する合成法によってゆうようとなる有効となるように、そこに導入した1以上のDHPDを有する種々のポリマー又はコポリマー組成物の製造を含む本発明の組成物及び/又は方法に関する種々の観点及び特徴を示す。本発明の有用性がいくつかの重合または共重合システムを用いることにより例示されるが、本発明の範囲に対応するように、同等の結果が種々の他の組成物及び/又は製造方法で得ることができることは当業者によって理解されるであろう。
サクシンイミジルカーボネートPAO(SC−PAO7)の合成
PLURONIC (登録商標)F127(0.60mmol)を、30mLの乾燥ジオキサンに溶解した。10mLの乾燥アセトン中のN,N'-ジサクシンイミジルカーボネート(6.0mmol)を添加した。DMAP(6.0mmol)を10mLの乾燥アセトンに溶解し、磁気攪拌下にゆっくり添加した。活性化を室温で6時間行い、その後、SC−PAO7をエーテル中で析出させた。反応で原料が消失した後、クロロホルム−メタノール(5:1)溶液システム中で、TLCに付した。生成物をアセトン中に溶解して精製し、4回、エーテルで析出させた。生成物の収率は65%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.961.68 (br,OCHCH3CH2O), 2.80 (s,COON(CO)2(CH2)2), 3.154.01 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.40 (s,OCH2CH2OCOON(CO)2CH2CH2+).
DME−PAO7の合成
DOPAメチルエステル塩酸塩(1.25mmol)及びトリエチルアミン(2.5mmol)のスラリーを、SC−PAO7(0.16mmol)と、10mLのクロロホルム中で混合した。反応で原料が消失した後、クロロホルム−メタノール酢酸(5:3:1)溶媒システム中でTLCに付した。室温で1時間攪拌後、溶媒を蒸発除去し、DME−PAO7を3回、冷メタノールから析出させることにより精製した。DME−PAO7は、カテコールの水酸基の存在を示すアーノーテストで陽性を示した。生成物の収率は75%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.981.71 (br,OCHCH3CH2O), 2.833.06 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 3.154.02 (br,OCH2CH2O; NHCH(CH2C6H3(-OH)2COOCH3), 4.054.35 (d,OCH2CH2OCONHCHCH2C6H3(-OH)2COOCH3), 4.55 (br,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 5.30 (d,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 6.456.80 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3)
DOPA−PAO7の合成
L−DOPA(1.56mmol)をAr雰囲気下に30mLの0.1MのNa2B4O7(pH = 9.32)水溶液に添加し、その後、30分間室温で攪拌した。5mLのアセトン中のSC−PAO7(0.156mmol)を得られた混合物に加え、室温で一晩中攪拌した。溶液pHを、反応中、炭酸ナトリウムで維持した。反応により原料が消失した後、クロロホルム−メタノール−酢酸(5:3:1)溶媒システム、TLCに付した。溶液を濃塩酸でpH 2に酸性化し、次いで、ジクロロメタンで3回抽出した。合わせられたジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、ジクロロメタンを蒸発させた。生成物を、冷メタノールから析出することによってさらに精製した。DOPA−PAO7は、カテコール水酸基の存在を示すアーノーテストで陽性を示した。生成物の収率は52%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.921.70 (br,OCHCH3CH2O), 2.913.15 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH), 3.204.10 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.14.35 (d,OCH2CH2OCONHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 4.56 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 5.41 (d,NHCHCH2C6H5(OH)2COOH), 6.606.82 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOH).
サクシンイミジルカーボネートPAO8(SC−PAO8)の合成
SC−PAO7の合成及び精製のために上述したのと同様の方法を、SC−PAO8を製造するために用いた。生成物の収率は68%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.951.58 (br,OCHCH3CH2O), 2.80 (s,COON(CO)2(CH2)2), 3.104.03 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.40 (s,OCH2CH2OCOON(CO)2CH2CH2).
DME−PAO8の合成
DME−PAO7複合体の合成及び精製のために上述したのと同様の方法を、DME−PAO8を製造するために用いた。生成物の収率は76%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.981.50 (br,OCHCH3CH2O), 2.853.10 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 3.154.01 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O; NHCH(CH2C6H3(OH)2COOCH3), 4.034.26 (d,OCH2CH2OCONHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 4.55 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 5.30 (d,NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3), 6.456.77 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOCH3).
DOPA−PAO8の合成
DOPA−PAO7複合体の合成及び精製のために上述したのと同様の方法を、DOPA −PAO8を製造するために用いた。生成物の収率は49%であった。
1HNMR (500 MHz, CDCl3): δppm 0.921.50 (br,OCHCH3CH2O), 2.913.10 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 3.153.95 (br,OCH2CH2O; OCHCH3CH2O), 4.064.30 (d,OCH2CH2OCO NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 4.54 (m,NHCHCH2C6H3(OH)2COOH), 5.35 (d,NHCHCH2C6H5(OH)2COOH), 6.506.80 (1s,2d, NHCHCH2C6H3(OH)2COOH).
比色分析
DOPAメチルエステル及びDOPAのPLURONIC(登録商標) F127及びF68への結合効率を、ウェイト及びベネディクトの比色方法を用いて測定した。要約すると、サンプルを、最終容量0.9mLとなる1N HClを含む標準または未知の溶液の希釈アリコートによって三組構成で分析した。0.9mLの亜硝酸試薬(1.45Mの亜硝酸ナトリウム及び0.41Mのモリブデン酸ナトリウム二水和物)を、DOPA溶液に添加し、続いて、直ちに1.2mLの1N NaOHを添加した。吸光度の強度の時間依存変化のため、NaOHの添加と吸光度の記録の間の時間が全ての標準及びサンプルについて3分であったことを確実とすることに配慮した。吸光度を、全標準及びサンプルについて500nmで記録した。DOPAメチルエステル及びDOPA複合体の双方の標準として、DOPAを用いた。
レオロジー
ゲル化プロセスの流動学的測定を、Bohlin VOR Rheometer (Bohlin Rheologi, Cranbury, NJ)を用いて行った。直径30mmのステンレス鋼円錐及び2.5度の円錐角度のプレートジオメトリーを、全ての測定で使用した。温度を、循環水浴でコントロールした。サンプルを、装置への0.5mLの溶液の移動前に、冷蔵庫で冷やした。貯蔵率G’及び損失率G”の測定を、0.1Hz及び0.45%のひずみで、振動モードにて行った。加熱速度を、ゲル化温度近傍では0.1℃/分に低減する以外、0.5℃/分とした。粘弾性データのひずみ振幅依存を、いくつかのサンプルに対して調べ、測定を、係数がひずみ振幅から独立した線形範囲でのみ実行した。鉱油を、測定の間、脱水を防ぐためにサンプルコンパートメントの外面を囲むリングに塗布した。
示差走査熱分析(DSC)
DSC測定を、は、TA Instruments DSC-2920 (TA Instruments, New Castle, DE)熱量計で行った。スペクトルを、加熱及び冷却サイクルで各濃度の3種のサンプルに対して得た。気密封止されたアルミニウムパン中における20μl量のサンプルを用い、走査を、参照として空のパンを用いて、3℃/分の加熱及び冷却速度で記録した。
アミノ終端メトキシPEG、mPEG−NH2(2.0g、0.40mmol、Mw = 2,000または5,000、SunBio PEGShop)、N−Boc−L−DOPA ジシクロヘキシルアンモニウム塩(0.80mmol)、HOBt(1.3mmol)及びEt3N(1.3mmol)を、ジクロロメタン(DCM)及びDMFの50:50の混合液20mlに溶解した。次いで、10mLのDCM中のHBTU(0.80mmol)を添加し、反応を、30分間室温にてアルゴン下で行った。反応溶液を、飽和塩化ナトリウム溶液、5%NaHCO3、希釈HCl溶液及び蒸留水で連続して洗浄した。粗生成物を、減圧下で濃縮し、移動相としてメタノールを用いて、Sephadex LH 20において、カラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物(mPEG−DOPA)を、さらに3回、冷メタノール中で析出によって精製し、室温にて真空で乾燥し、−20℃にて窒素下で保存した。
1HNMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ6.816.60 (m, 3H, C6H3(OH)2), 6.01 (br, s, 1H, OH), 5.32 (br, s, 1H, OH), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N)-C(O)N), 3.733.38 (m, PEO), 3.07 (m, 2H, PEO-CH2-NH-C(O)), 2.73 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N)-C(O)N), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3C), 1.25 (s, 3 H, CH3CH2O).
起源が天然又は合成のいずれにしても、他のDOPA含有ペプチド及びオリゴペプチドを使用して、類推から、前述の実施例の合成及び関連手順を拡張することができる。特定の合成シーケンスによって、N末端保護基の使用は、任意とすることができる。上記で言及したように、種々の他のDOPA様接着剤成分を利用することもでき、本発明を認識する当業者に周知であろう。例えば、B−アミノ酸及びN置換グリシンDOPA類似物を用いることができる。
青イガイMytilus edulisのフットタンパク1(Mefp1)のデカペプチドの繰り返しコンセンサス配列(イガイ接着タンパクデカペプチド、MAPd、NH2-Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Thr-DOPA-Lys-CO2H)を、活性化剤としてFmoc保護アミノ酸、BOP、HOBt及びDIEA、並びに溶媒としてNMPを用いて、リンクレジン(Rink resin)(0.6 mMol/g)での固相ペプチド合成によって合成した。Fmocの脱保護を、20分間NMP中の25%のピペリジン溶液を用いて行った。アミノ酸のカップリングを、Fmoc−アミノ酸:BOP:HOBt:DIEA(1:1:1:1)の比率の2当量を用いて、20分間行った(最初の10分間は、前活性化工程)。デカペプチドが達成したときに、デカペプチドのフリーアミン末端を、カルボジイミド化学を用いて活性化メトキシPEG−CO2H(mPEG−SPA、Mw=2k又は5k Mwまたは5k、ミズナギドリ・ポリマー(Shearwater Polymers))に結合させた。PEG−デカペプチド複合体(mPEG−MAPd、2k又は5k)を、2時間、0℃にて、EDT、チオアニソール及びm−クレゾールとともに、TFA中の1MのTMSBrを用いて、開裂させた。粗mPEG−MAPd生成物を、0℃にて、エーテルで析出させ、Vydac 218TP逆層カラム(220×22mm×10μm)を用いた予備HPLCによって精製した。生成物の純度は、分析HPLCを用いて90%より大であることが測定され、構造をPerSeptive Biosystem MALDI TOF MSを用いて確認した。
実施例11aの合成及び手順は、実施例10bに示されているバリエーションに類似又は一致して拡張することができる。さらに、他の複合体を、その中のチロシン残基の酵素転換によって準備されるDOPA含有ポリマーを用いて調製することができる。ペプチド合成の分野におけるよく知られた他の技術を、他の所望のタンパク配列、ペプチド複合体及び結果として生じる接着性/抗付着作用を提供するために、良好な作用で用いることができる。
金表面を、DCMまたはリン酸−バッファーサリン(PBS、pH=3、7.4及び11)中、ポリマー濃度が0.1から75mg/mlの範囲での溶液からmPEG−DOPA又はmPEG−MAPd(2k、5k)の吸着によって改変した。基体をバイアル中に入れ、振動することなく最高24時間、mPEG−DOPA又はmPEG−MAPd溶液に浸漬した。溶液から取り出し、基体を適当な溶媒(DCM又は脱イオン水)で、未結合ポリマーを除去するためにすすぎ、真空中で乾燥した。比較のために、同一表面を、PEG−モノメチルエーテルを用いて改変した(mPEG−OH、平均Mw=5000)。あるいは、mPEG−DOPAまたはmPEG−MAPd(PBS中10mMPEGの分子量=2000)を含有する溶液の滴を、37℃で30分間、Au被覆カバーガラス(Au厚〜10nm)上でインキュベートし、その後、カバーグラス表面をPBSですすいだ(3×)。改変表面を、mPEG−DOPAまたはmPEG−MAPdの化学吸着層の形成を示す前進/後退接触角と、XPSと、TOF−SIMSとによって分析した。
無処理及び処理カバーガラス上へのタンパク吸着ならびに細胞の付着/拡散を以下のように評価した。表面プラスモン共鳴(SPR)実験は、DOPA含有ポリマーが金表面に迅速に結合し、得られた改変表面はタンパクの吸着に対する抵抗が強化していることを示した(図11)。mPEG−MAPd(5k)改変金上におけるタンパク吸着は、未改変金の表面により約70%少なかった。改変基体上で培養された線維芽細胞の分析は、PEG改変基板の製造の間に用いられたmPEG−DOPA濃度(図12)、吸着溶媒及び改変時間に、細胞接着が強く依存することを示した。>25mg/mlのmPEG−DOPAまたはmPEG−MAPdでの24時間の改変表面は、細胞接着及び拡散において統計学的に有意な減少を示した(図12から14)。mPEG−MAPd(5k)改変金の表面は、全設計細胞面積における97%の縮小及び表面に接着した細胞密度の91%の縮小を示した。
実施例12aに示された改変、任意に実施例10b及び11bで示されたような変更は、他の貴金属、限定されないが、銀、プラチナ表面にまで拡張することができる。ここに説明するように、そのような適用は、いずれかのバルク金属又は保護表面又は酸化物表面を有する金属合金の表面改変を含んで拡張することもできる。例えば、バルク金属酸化物及び関連するセラミック表面を、ここで説明したように改変することができる。そのような技術は、また、ナノ粒子安定化に照らして、集積回路及びMEMS装置の製造に用いられるものなど、半導体表面にまで拡張することができる。
シリケートガラス表面(カバーグラス)を、実施例12aで説明した方法を用いて、10mMのmPEG−MAPd(2k)の水溶液からの吸着によって改変した。改変及び未改変ガラス表面に接着したNIH 3T3細胞の細胞密度を、上述したように、評価した。mPEG−MAPdで24時間改変したガラス表面を、未改変ガラス表面と比較して43%の細胞密度の低減を示した(細胞密度(細胞/mm2):未改変ガラス上75.5+/-6.5;mPEG−MAPd改変ガラス上42.7+/-9.8)。
金属酸化物、特に、金属酸化物ナノ粒子の安定化を示すために、50mgのmPEG−DOPA(5k)を、水(18 MΩcm、ミリポア)に溶解し、1mgの磁鉄鉱(Fe3O4)粉と混合した。対照としてmPEG−NH2(5k)(Fluka)及びmPEG−OH(2k)(シグマ)を使って、同様の準備を行った。これらの水溶液の各々を、1時間、ブランソン超音波450 プローブソニケーターを使って、25℃の水浴に浸漬させながら、超音波処理した。プローブは、20kHzの周波数、160mmの長さ及び4.5mmの先端直径を有していた。次いで、サンプルを取り出し、いずれかの未改変磁鉄鉱を溶液から析出させるために一晩室温で放置した。対照ポリマー(mPEG−NH2及びmPEG−OH)を用いて調製した懸濁液を直ちに析出させ、茶色の固体及び透明、無色の上澄みを得た。PEG−DOPA安定化ナノ粒子を用いて調製したサンプルでは、サンプルは透明の茶色であった。透明な茶色の上澄みを分離し、Spectra/Por(登録商標)膜管(MWCO:15,000)を用いて水中で、3日間透析した。透析後、使用まで、サンプルを凍結乾燥し、室温にて真空下に保存した。
mPEG−DOPA安定化ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡検査(TEM)、熱重量分析(TGA)、フーリエ変換赤外線分光学(FTIR)及びUV/可視分光法によって特徴づけた。TEM結果は、大部分のナノ粒子が直径が5〜20nm(データは示していない)であることを示した。0.4mgのmPEG−DOPA安定化磁鉄鉱のTGA分析では、粒子が17重量%のmPEG−DOPA(データは示していない)を含有することを示した。未処理の磁鉄鉱について行われたFTIRは、4000〜400cm-1からの波長範囲で比較的小さい吸収を示したのに対し、mPEG−DOPA処理ナノ粒子は、800〜1600cm-1及び2600〜3200cm-1での吸収帯を示し、mPEG−DOPAの存在を確認した。
乾燥PEG−DOPA安定化磁鉄鉱ナノ粒子を、ただちに水溶液及び極性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)に分散させ、目立つ沈殿物の形成なしに何ヶ月も安定していた透明茶色懸濁液を得た。種々の溶媒中でのmPEG−DOPA安定化ナノ粒子の懸濁液を、1mlの水(18 MΩcm Millex(登録商標)AP 0.22μmフィルタ(ミリポア)を使用して濾過したもの)、DCMまたはトルエン中の1mgのmPEG−DOPA処理磁鉄鉱を分散させることによって調製した。懸濁液を、10分間、浴ソニケーターに載置し、ナノ粒子を分散した。全3つの溶液は少なくとも6ヵ月間、室温で安定していたが、未改変磁鉄鉱及びmPEG−OHまたはmPEG−NH2によって安定化された磁鉄鉱の対照懸濁液は、各溶媒中にて24時間未満で沈殿物が析出した。
また、mPEG−DOPA安定化ナノ粒子の懸濁液は、生理学的塩濃度下で安定することが見出された。mPEG−DOPAが、塩誘発ナノ粒子凝集を抑制し得るかどうかを測定するために、0.3mgのmPEG−DOPA処理磁鉄鉱を、石英製キュベット中に入れ、0.7mlの水(0.25μフィルタを使用してろ過した、18 MΩcm)と混合した。UV/可視スペクトルをとる(図15)前に、飽和NaCl溶液(5μl、10μl、20μl、50μl、100μl)のアリコートを順次キュベットに加え、10分間放置した。増加するNaCl濃度を含む溶液中に懸濁したmPEG−DOPA安定化ナノ粒子の吸収スペックトルはほとんど同一であり、mPEG−DOPAがナノ粒子を安定させ、凝集を防止するのに有効であることを証明した。280nmに集中しているピークは、DOPAのカテコール側鎖を示す。
実施例14a〜14dで示された手順及び技術は、本発明を認識する当業者によって理解されるように、種々の他の金属酸化物またはセラミックナノ粒子まで広げることができる。同様に、本発明のそのような適用は、さらに、実施例10b及び11bで記述されたそれら組成物及びそれらのバリエーションと類似するならびに一致する広範囲にわたるポリマー−DHPD複合体の用途を含むことができる。半導体組成物の調製において、以下に例示されるように、金属酸化物またはセラミックナノ粒子は、本発明のポリマー−DHPD複合体の存在下での形成と同時に、その場で安定化させることができる。
金属ナノ粒子の安定化を示すために、市販の金コロイド懸濁液(シグマ、粒径5または10nm)を、透析管内(5nmに対して8000のMwカットオフ、10nmに対して15000のカットオフ)に入れ、市販の製剤において存在するアジ化ナトリウムを除去するために、2〜3日間、超高純度水中で透析した。次いで、透析した懸濁液を、小ガラスのバイアルに入れ、mPEG−DOPAを添加(10mg/ml)した。サンプルを、約2日間、室温で放置し、その後、サンプルから過剰なmPEG−DOPAを除去するために再度透析した。未処理の10nmのAuナノ粒子は、NaClの存在下では不安定で、凝集し(図16)、一方、処理Auナノ粒子は、NaCl水溶液の存在下で安定して懸濁されたままであった(図17)。
限定されないが、銀、プラチナなどを含む種々の他の金属ナノ粒子を、先の実施例で説明したように、安定化することができる。本発明の代表的な複合体組成物を用いて、安定化を示すことができ、種々の他の組成物を、実施例10b及び11bで記述された代替の実施形態と類似してならびに一致して調製することができる。相当する結果を、本発明の適当な、粘着性複合体ポリマーの存在下、対応する金属前駆体から合成される安定化ナノ粒子のその場での形成によって得ることができる。
この実施例のデータは、半導体ナノ粒子の安定化を示す。CdSナノ粒子(量子ドット)を、希薄なCd(NO3)2及びNa2S溶液をゆっくり混合することに基づく標準的な方法によって調製した。Cd(NO3)2及びNa2Sの新しい貯蔵液(2mM)を、ナノピュアな水で調製した。Na2S溶液をゆっくり20μl s-1の速度で気密シリンジを用いて、50mlのCd(NO3)2溶液に注入した。溶液は、Na2Sの添加によって黄色に変化し、2mLのNa2Sが注入された後、黄色の沈殿物が、CdSナノ粒子の凝集のために現われた。CdS沈殿物を単離し、さらなる使用のため乾燥した。磁鉄鉱に対して上述の方法を使用して、乾燥CdS粉末を、超音波処理によってmPEG−DOPA溶液に分散し、透明な黄色の溶液を得た。黄色の水性懸濁液は、認識できる沈殿物の形成なく、室温で数カ月の間、暗所で保存した。対照実験を、ポリマーの不存在下、mPEG−OHまたはmPEG−NH2存在下で行い、黄色の沈殿物及び透明、無色の上澄みを得た。mPEG−DOPA安定化CdSナノ粒子は、NaCl水溶液の存在下で安定に懸濁したままであった(図18)。
この実施例の結果は、安定化半導体ナノ粒子のその場での形成を例示する。CdSナノ粒子(量子ドット)を、希薄なCd(NO3)2及びNa2Sのメタノール溶液にゆっくり混合することによって、mPEG−DOPAの存在下で形成した。Cd(NO3)2及びNa2Sの新しい貯蔵液(2mM)を、メタノールで調製した。25mgのmPEG−DOPA(PEG分子量=2000)を、メタノール中、5mlの2mMのCd(NO3)2に溶解し、次いで、Na2Sの2mMの溶液5mlを、ゆっくり20μl s-1の速度で添加した。溶液は、添加の間、徐々に黄色に変化した。黄色沈殿物は見られず、ダイナミック光散乱は2.5nmの平均直径の粒子を表わした。対照実験を、ポリマー非存在下又はmPEG−OH存在下で行い、黄色沈殿物及び透明、無色の上澄みを得た。当業者によって理解されるように、材料の選択、対応するイオン性置換物又は交換反応によって、ここに記述した種類の粘着組成の存在下で行われるように、種々の他の無機微粒子の基体を製造することができる。
また、本発明のポリマー複合体組成物は、種々の他の半導体材料を安定化させるために用いられることができる。例えば、コア−シェルナノ粒子を、これに従って安定化した表面とすることができる。
実施例17〜20の最適化実験を、mPEG−DOPA−5Kで行った。いくつかのパラメータを、溶媒のタイプ及びpH、吸着時間及びmPEG−DOPA溶液濃度を含む溶液からの金上へのmPEG−DOPA吸着を最適化するために試験した。細胞接着及び拡散は、用いた吸着溶媒で大きく異ならなかった。基体上の細胞の数及びそれらの設計面積は、DCM及び3つの異なる水溶液の間で大きく異ならなかった。中性、塩基性及び有機mPEG−DOPA溶液中で吸着された基体は、未改変基体(p<0.01)と比較して、すべて、顕著に向上した抗付着特性を有していた。溶液間での細胞接着及び拡散において、差異は認められなかったが、接触角データは、カテコールの酸化を減少させる手段として、最適な改変プロトコルで有機溶媒の使用を支持するであろう。さらに、DCMで改変された表面のみが、表面での細胞が顕著に少なく、合計設計細胞領域が低いことを示した。
細胞接着及び拡散は、mPEG−DOPAの溶液濃度に強い依存を示した(図12)。25mg/mlを超えるmPEG−DOPAで、原始の金表面(p<0.001)及び10mg/ml溶液(p<0.05)で改変した表面よりも、かなり少ない細胞が付着し、拡散した。10mg/ml以下では、未改変基体に比較して、細胞接着及び拡散に違いがなかった。25〜75mg/mlの範囲のmPEG−DOPA溶液で改変した表面間で互いに比較した場合には、観察された細胞接着及び拡散において、違いはなかった。
同様に、mPEG−DOPA吸着の期間を長期化するのに伴い、線維芽細胞の粘着及び拡散がより少なくなることが観察された。細胞接着及び拡散は、わずか5分間の基体の改変で減少するようであったが、24時間の吸着時間は、未改変基体(p<0.001)及びより短い期間で処理した基体(p<0.05)よりも、PEG化基体において、かなり少ない細胞接着及び拡散をもたらした。
未改変及びPEG−改変表面上の双方で培養された線維芽細胞のモノロジーを、電子顕微鏡(日立3500 SEM)で試験した。未改変Au及びmPEG−DOPA改変Au上で培養された線維芽細胞は、通常、平坦で、良好に拡散したが、mPEG−DOPA改変Auで培養したものは、はるかに少ない拡散であった(図14A〜C)。mPEG−DOPA面において、他(インテグリン及び焦点性癒着を通して細胞粘着に関与する構造)でのものより少ない数の細胞プロセスが観察されたことに注意しなければならない。図13は、最適条件下(24時間、50mg/ml)、裸のAu、mPEG−OH処理Au及びmPEG−DOPA 5K、mPEG−MAPd 2K又はmPEG−MAPd 5Kで改変したAuにおいて、線維芽細胞の接着及び付着による差を示す。DOPA含有複合体で改変された表面は、他の2つの表面と比較よりも、細胞接着及び拡散が極めて弱い。mPEG−MAPd 5K改変は、合計設計細胞面積において97%の減少、表面における細胞の密度において91%の減少を示すが、mPEG−DOPA2Kによって達成されたものよりもはるかに顕著な減少である。
Boc−DOPA(TBDMS)2−OSuの合成
N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(0.110g、0.95mmol)を、乾燥ジクロロメタン(DCM)(8.0mL)中のBoc−DOPA(TBDMS)2(0.500g、0.95mmol)の溶液に添加した。その溶液を、氷浴で攪拌し、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.197g、0.95mmol)を、窒素雰囲気下に加えた。反応物を、0℃にて、20分間攪拌し、次いで、室温に暖め、さらに4時間攪拌した。反応混合物を、尿素副産物を取り除くために濾過し、続いて、その最初の容量の1/5にまで蒸発させた。溶液を、4℃まで冷却し、残存した尿素副産物を沈殿させるために2時間放置し、濾過し、蒸発させ、白色泡様のBoc−DOPA(TBDMS)2−OSuを得た(0.567g、収率96%)。
Boc−DOPA2(TBDMS)4の合成
Boc−DOPA(TBDMS)2−OSu(0.567g、0.91mmol)を、乾燥ジクロロホルムアルデヒド(DMF)(2.5mL)に溶解し、DOPA(TBDMS)2(0.405g、0.95mmol)を、窒素雰囲気下、一度に添加した。混合物を氷浴で攪拌し、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(158μL、0.91mmol)をシリンジによって滴下した。20分後、反応物を室温まで暖め、さらに17時間攪拌し、ろ過し(必要に応じて)、酢酸エチル(EtOAc)(40mL)で希釈し、分液漏斗に移し、5%の水性HClで洗浄した。水層を、EtOAcで抽出(extracted back)した。有機層を合わせて、5%水性HCl(3x)、水(1x)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させて、Boc−DOPA2(TBDMS)4を白色泡様(0.83g、収率98%)で得た。
Boc−DOPA2(TBDMS)4−OSuの合成
実施例21の手順をBoc−DOPA2(TBDMS)4を用いて繰り返し、Boc−DOPA2(TBDMS)4−OSuを得た。
Boc−DOPA3(TBDMS)6の合成
実施例22の手順をBoc−DOPA2(TBDMS)4−OSuを用いて繰り返し、Boc−DOPA3(TBDMS)6を得た。
DOPA2の合成
Boc−DOPA2(TBDMS)4 (0.5 g, 0.54 mmol)を、飽和HCl/EtOAc (3 mL)に溶解し、その溶液を窒素雰囲気下で攪拌した。5時間後、さらなるHClガスを、25分間、溶液を通して徐々にバブリングした。反応物を一晩放置し、続いて、最初の容量の1/2に濃縮した。得られた沈殿物を遠心分離によって収集し、冷EtOAc(3x)で洗浄し、乾燥し、白色粉末(0.15g、収率74%)として、DOPA2を得た。生成物をさらに、RP−HPLCによって精製し、ESIMSによって特徴づけた。
DOPA3の合成
Boc−DOPA3(TBDMS)6 (1.06 g, 0.79 mmol)を、飽和HCl/EtOAc (3 mL)に溶解し、その溶液を窒素雰囲気下で攪拌した。12時間後、さらなるHClガスを、30分間、溶液を通して徐々にバブリングした。反応物を40時間置いた。さらにHClガスを、30分間、溶液を通して徐々にバブリングし、攪拌を止めた。得られた沈殿物を遠心分離によって収集し、冷EtOAc(3x)で洗浄し、乾燥し、白色粉末(0.424 g、収率96%)として、DOPA3を得た。生成物をさらに、RP−HPLCによって精製し、ESIMSによって特徴づけた。
mPEG−DOPA1-3の合成
0.1Mのホウ酸バッファ溶液(50mL、pH 8.5)を、20分間アルゴンで脱気し、L−DOPA(0.197g、1.0mmol)を添加した。溶液を15分間攪拌した後、メトキシ終端PEG−SPA(mPEG−SPA)5K(0.5g、0.1mmol)をポーションに添加し、反応物を3時間攪拌した。次いで、得られた透明溶液を、塩酸水溶液でpH1〜2に酸性化し、DCM(3x)で抽出した。合わした有機層を0.1MのHClで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。残りの残渣をDCMに溶解し、エチルエーテルで3回沈殿させ、白色粉末として、mPEG−DOPAを得た(0.420g、収率84%)。生成物をMALDI−MS及び1HNMR分光法で特徴づけた。
表面改変
固体金属基体(Al、316Lのステンレス鋼及びNiTi)を、最後に、0.04mのコロイダルシリカ(Syton、デュポン)で下塗りし、磨いた。Siウエハに、<10-6トルで、エドワーズFL400電子ビーム蒸発器を用いて、20nmのTiO2又は10nmのTiO2/40nmのAuのいずれかを蒸着し、続いて、8mm×8mmの片にダイシングした。全ての基体を以下のそれぞれで20分間超音波洗浄した:5%のContrad70(Fisher Scientific)、超高純水、アセトン及び石油エーテル。その後、表面を、5分間、150ミリトルにて、100WのO2プラズマ(Harrick Scientific)へ暴露することによって、さらに洗浄した。金酸化物(Au2O3)層の形成を防ぐために、いくつかのAu基体をO2プラズマにさらさなかった。生物高分子類似表面を形成するために、ガラスのカバーグラス(Fisher Scientific)を、先に述べたように洗浄し、5分間、ポリL−リジン(シグマ)の0.01%溶液に浸漬し、超高純水ですすぎ、窒素雰囲気下で乾燥した。
TiO2基体
TiO2基体を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
316L ステンレス鋼(Goodfellow, Devon PA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
Al2O3 (Goodfellow, Devon PA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
SiO2(1500A 熱酸化物、University Wafer, South Boston, MA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
NiTi合金(10mm×10mm×1mm)を、Nitinol Devices & Components (Fremont, CA)から入手し、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
Au (electron beam evaporated onto Si Wafer from University Wafer) を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
Au2O3 (実施例28fで記載されたAuサンプルを酸素プラズマにさらし、Au2O3を形成した)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
GaAs (University Wafer, South Boston, MA)を、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、その後、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
ガラスのカバーガラス(Fisher Scientific)を5分間、ポリ−L−リジン(p−L−Lys、シグマ)の0.01%溶液に浸漬し、超高純水で洗浄し、窒素下で乾燥することによりp−L−Lys表面を作った。次いで、それらを、50℃にて24時間、0.1MのN−モルホリノプロパンスルフォン酸(MOPS)で緩衝した0.6MのK2SO4中のmPEG−DOPA1-3溶液に浸漬することによって、雲点条件下で改変した。改変した基体を、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥した。
細胞接着
12〜16継代培養の3T3 スイス・アルビノ線維芽細胞(ATCC, Manassas、VA)を、37℃にて、10%の胎児のウシ血清(FBS)(Cellgro, Herndon, VA)、100g/mLのペニシリン及び100U/mL ストレプトマイシンが添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Cellgro, Herndon, VA)中で、5%CO2にて、培養した。細胞接着分析評価の前に、線維芽細胞を、0.25%のトリプシン−EDTAを使って収集し、成長培地で再懸濁し、ハーマサイトメーター(hermacytometer)で計数した。
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
TiO2基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
TiO2基体(長期研究)
TiO2の長期研究のために、基体を、4時間の分析用と同じ密度で、週に二回再シーディングした。周期的間隔で、非接着細胞を、各ウェルにおける培地を吸引することにより取り出した。
316L ステンレス鋼基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
Al2O3基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
SiO2基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
NiTi基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
Au基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
Au2O3基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
GaAs基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
p−L−Lys基体(4時間分析)
試験基体を、37℃にて、5%CO2で30分間、FBSが補填された1.0mLのDMEMで12ウェル組織培養ポリスチレンプレートに準備した。細胞を、2.9x103セル/cm2の密度で基体上へシーディングし、4時間、37℃にて、5%CO2で、10%FBSが補填されたDMEM中で維持した。4時間細胞接着分析のために、接着細胞を、5分間、3.7%のパラホルムアルデヒドで固定し、続いて37℃にて45分間、DMSO中の5μM 1,1'−ジオクタデシル−3,3,3',3'−テトラメチルインドカルボシアニン過塩素酸塩(DiI) (Molcular Probes, Eugene, OR)で染色した。
基体の24時間改変及び4時間分析
各気体を、図24に示したpH値で、50℃にて、1.0mgの/mLのmPEG−DOPA3(または対照としてmPEG−OH)の溶液中で、24時間改変した。4時間の細胞粘着及び拡散分析評価を、上述した実施例9で述べたように実行した。結果を図24に示す。細胞粘着抵抗が、mPEG−DOPA3で処理された全ての基体に与えられた。mPEG−OHで処理した基体への細胞粘着及び拡散は、未改変表面とは異ならなかった(データは示していない)。
表面及び表面準備
シリコンウエハ(WaferNet社、ドイツ)を、反応性マグネトロンスパッタリング(PSI, Villigen, Switzerland)を用いた物理的蒸着法により、TiO2(20nm)で被覆した。金属酸化物被覆ウェハを、実験施設内(ex-situ)エリプソメトリ測定のために、1cm×1cm片にダイシングした。OWLS測定用光学導波チップを、Microvacuum社(ブダペスト、ハンガリー)から購入した。それは、AF45ガラス基板(8×12×0.5mm)及び200nm厚のSi0.25Ti0.75O2導波表面層からなる。8nmのTiO2層を、シリコンウエハに対して上述したのと同じ条件下、導波層の上部に堆積した。ポリマー改変の前に、TiO2被覆シリコンウエハ及び導波チップを、10分間、2−プロパノールで超音波処理し、超高純水で洗浄し、窒素流下で乾燥し、続いて、O2プラズマ(Harrick Scientific、オッシニング、USA)へ3分間さらし、表面から全ての有機成分を除去した。OWLS測定の後、導波管を洗浄液(300 mM HCl、1% 洗剤、Roche Diagnostics, Switzerland)で超音波処理(10分間)によって、再利用のために再生し、超高純水ですすいで、吸着物質を除去した。
表面を、雲点バッファ(CPバッファ:0.1 M MOPS で、0.6 MのK2SO4 でpH = 6.0に緩衝)を使用して1.0mg/mlのポリマー濃度で、24時間、25℃から50℃の温度範囲にて、実施例27に従って製造したmPEG−DOPA1-3によって改変した。改変後、基体を水で洗浄し、窒素流で乾燥し、下記に記載したように直ちに分析した。
調査及び高解像度スペクトルを、325W(13kV、25mA)及び0°のテイクオフ角(光電子検出器及び表面法線間の角度と定義した)で動作する標準(非単色化(monochromatized))AlKαX線源を用いたSAGE 100(SPECS、ベルリン、ドイツ)で収集した。50eV及び14eVのパスエネルギーを、それぞれ調査及び高解像度スペクトルのために用いた。分析チャンバの圧力を、データ収集の間、2×10-8Pa以下に維持した。全てのXPSスペクトルは、284.7eVでのC1s信号の脂肪族炭化水素成分を基準とした。曲線適合を、シャーリー・バックグラウンド減法及び90%のガウス及び10%のLorentzian関数の合計を用いたCasaXPSソフトウェアで行った。測定した強度(ピーク面積)を、原子感度要因によって標準化した強度に換算し、それから表面の原子組成を計算した。3つの基体の複製から得た平均値を、表7及び8に示す。標準偏差は一般に平均の<10%であり、明瞭さのために省略した。
ELM測定について、TiO2−スパッタSi基体を、25℃から50℃で改変溶液の温度を変化させながら、上述したようにex-situで改変した。改変後、基体を水ですすぎ、48時間、10mMのHEPESバッファ(pH = 7.4)中にて、室温でインキュベートし、再度水ですすぎ、窒素で乾燥した。タンパク抵抗を調べるために、未改変基体を15分間、純粋なヒト血清にさらし、水ですすぎ、窒素流で乾燥した。ELM測定を、修正前及び直後に、HEPESインキュベーション後及び血清にさらした後に、193から1000nmの波長を用いて、65°、70°及び75°でM-2000D分光偏光解析装置(J. A. Woollam Co., Inc., Lincoln, USA)で行った。ELMスペクトルを、汎用(generalized)コーシー(Cauchy)ポリマー層(An = 1.45, Bn = 0.01. Cn = 0)の光学特性を用いたWVASE32分析ソフトウェアで、多層モデルに適合させ、吸着PEG及び血清アド層の「乾燥」膜厚を得た(「乾燥」または無水膜厚は、窒素で乾燥した後、周囲雰囲気下で測定されたものである)。3つの基体の複製から得た平均膜厚を、表9及び10に示す。
TiO2被覆導波管を、上述したように、2−プロパノール及び酸素プラズマで清浄化した。清浄化した導波管を、OWLS110(Microvacuum社)の測定ヘッドに搭載し、雲点バッファ (CPバッファ: 0.1 M MOPSでpH = 6.0に緩衝した0.6 M K2SO4) 中、室温で少なくとも48時間安定化した。安定化期間で、TiO2表面のイオン交換が平衡し、安定したベースラインを得ることを可能にした。ポリマー吸着をモニターするために、CPバッファ中のmPEG−DOPAを、ストップ−フローモードで注入し、続いてCPバッファで未結合PEGを除去し、その後、信号を安定化させた。結合(incoupling)角(αTM及びαTE)を記録し、メーカー供給のソフトウェアによって屈折係数(NTM、NTE)に換算した。センサーの実効屈折率のリアルタイム変化を、de Feijter'sの公式を用いた吸着質量に換算した。取り込むのための参照文献の詳細が必要 [de Feijter, 1978 #14]。各mPEG−DOPAポリマーのための屈折率増分dn/dcを、純粋なPEGに対する0.13 cm3/g及び純粋なポリ(アミノ酸)に対する0.18cm3/gの間の線形内挿法によって計算した。タンパク吸着実験のために、信号が安定するまで、測定ヘッドの温度を37℃で平衡させ、その後、血清を15分間、続いてバッファを注入した。吸着質量の実質的な差異は、血清にさらした時間においては増加が観察されなかった。
N−メタクロイル3,4−ジヒドロキシ−l−フェニルアラニンの合成
Na2B4O7の1.15g(5.69mmol)を、30mlの水に溶解した。溶液を、30分間Arで脱気し、その後、L−DOPAの0.592g(3.0mmol)を添加し、15分間攪拌した。次いで、Na2CO3の0.317g(3.0mmol)を添加し、溶液を0℃に冷却し、塩化メタクロイル0.3ml(3.0mmol)をゆっくり攪拌しながら添加した。溶液のpHを、反応の間、Na2CO3で9より上に維持した。室温で1時間攪拌した後、溶液を濃塩酸でpH2に酸性化した。混合物を3回酢酸エチルで抽出した。0.1N HClで洗浄し、無水MgSO4で乾燥した後、溶媒を真空中で除去し、淡茶色の粗固体を得た。生成物をジクロロメタン(DCM)及びメタノール(95:5)でシリカゲルカラムから溶出によってさらに精製し、溶媒を蒸発させた後、白色粘稠固体を、収率35%で得た。
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6): y 7.1 d (1H,-NH-); 6.6-6.8 (3H, C6H3(OH)2-); 5.68 s (1H, CHH=); 5.632 s (未知ピーク); 5.33 s (1H, CHH=); 4.67 m (1H, -CH-); 2.93-3.1 m (2H, CH2-); 1.877 s (3 H, -CH3).
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラニンの合成
TBDMS-Clの3.60g(24.0mmol)を、18mlの無水アセトニトリルに溶解した。L−DOPAの1.60g(8.0mmol)を溶液に添加し、懸濁液を攪拌し、0℃に冷却し、3.6mlのDBU(24.0mmol)を添加した、次いで、反応混合物を、室温にて24時間攪拌した。反応溶液に冷アセトニトリルを添加することにより、無色沈殿物を得た。沈殿物を濾過し、冷アセトニトリルで複数回洗浄し、真空中で乾燥した。白色粉末を収率78%で得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d); y 6.7-6.9 (e H, C6H3(O-Si-)2-); 3.72 (m, 1 H, -CH-); 2.82-3.2 (m, 2 H, -CH2-); 1.0 (d, 18 H, -C(CH3)); 0.2 (d, 12 H, Si-CH3).
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニン
1.60 g (3.77 mmol) の3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラニンを、NaHCO3の0.34g(4.05mmol)を含有する10mlの水に添加した。10mlのテトラヒドロフラン中のジt-ブチルジカーボネート0.96g(4.30mmol)を添加し、反応混合物を24時間室温で攪拌した。テトラヒドロフランの蒸発後、10mlの水を、残渣に添加した。溶液を希釈塩酸でpH5に酸性化し、酢酸エチルで3回抽出した。無水MgSO4で乾燥した後、溶媒を真空中で除去した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:溶出液DCMの10%メタノール)によって、精製した。溶媒を蒸発させた後、白色固体を、収率70%で得た。
1H NMR (500 MHz, メタノール-d); y 6.68-6.81(3 H, C6H3(O-Si-)2-); 4.28 (m, 1 H, -CH-); 2.78-3.08 (m, 2 H, -CH3-); 1.4 (s, 9 H, -O-C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, -Si-C(CH3)3); 0.2 (d, 12 H, Si-(CH3)2).
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニン ペンタフルオロフェニルエステル
3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニンの1g(1.90mmol)、ペンタフルオロフェノールの0.351g(1.90mmol)を、24mlのジオキサン及び1mlのDMFの溶媒混合物中に溶解し、DCCの0.432g(2.10mmol)を、0℃で添加した。溶液を1時間0℃で攪拌し、1時間室温で攪拌し、その後、溶液をろ過し、ジシクロヘキシル尿素を除去すし、真空中で蒸発させた。生成物4をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離剤;ヘキサン/酢酸=11.2)で生成した。溶離液を除去した後、純粋な白色粘稠固体を収率55%で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3); y 6.65-6.81(3 H, C6H3(O-Si-)2-); 4.85 (m, 1 H, -CH-); 3.05-3.2 (m, 2 H, -CH3-); 1.41 (s, 9 H, -O-C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, -Si-C(CH3)3); 0.2 (d, 12 H, Si-(CH3)2).
N-(13'-アミノ-4',7',10'-トリオキサトリデカニル)-t-ブチルオキシカルボニル-3' ,4'-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-L-フェニルアラナミド の合成
10mlのDCM 中の3,4-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-N-t-ブチルオキシカルボニル-L-フェニルアラニンペンタフルオロフェニルエステルの0.869 g (1.26 mmol)を、1mlのDMF 中の4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミンの2.07ml(9.44mmol)及びEt3Nの1.32ml(9.44mmol)の混合物中に、0℃で30分間に渡り滴下した。溶液を室温で2時間攪拌し、次いで、溶媒を真空下で除去した。粗生成物をシリカゲルに付し、DCM、DCM中の5%のメタノール、DCM中の10%のメタノール及びDCM中の15%のメタノールで溶出した。溶媒を真空下で除去し、白色固体5を得た。収率は63%であった。
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6); y 7.38 (m, 1 H, -CONH-); 6.60-6.80 (3 H, C6H3(O-Si-)2-); 5.26 (m, 1 H, -CONH-); 4.30 (m, 1 H, -CH-); 3.4-3.8 (m, 12 H, -CH2O-; 3.03-3.4 (m, 4 H, -CH2-NH-, CH2-NH2); 2.78-3.02(m, 2 H, CH2-); 2.0 (m, 2 H, CH2-); 1.7 (m, 2 H, CH2-); 1.39 (s, 9 H, O C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, Si-C(CH3)3); 0.2 (d, 12 H, Si-C(CH3)2).
N-(13-(N'-t-ブチルオキシカルボニル- L-アミノ-3',4'-ビス(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-4,7,10-トリオキサトリデカニル)-メタクリルアミドの合成
1H NMR (500 MHz, CDCl3); y 6.60-6.80 (3 H, C6H3(O-Si-)2-); 6.40 (m, 1 H, -CONH-); 5.71 s (1H, CHH=); 5.30 s (1H, CHH=); 5.096 (m, 1 H, -CONH-); 4.21 (m, 1 H, -C H-); 3.2-3.65 (m, 16 H, -CH2O, CH2-NH-CH2-NH2); 2.80-2.99 (m, 2 H, CH2-); 1.96 s (3 H, CH3); 1.81 (m, 2 H, CH2-); 1.68 (m, 2 H, CH2-); 1.40 (s, 9 H, -O-C(CH3)3); 1.0 (d, 18 H, Si-C(CH3) 3); 0.2 (d, 12 H, Si-C(CH3)2).
N-(13-(N'-t-Boc-L-3',4'ジヒドロキシフェニルアラニンアミド)-4,7,10-トリオキサトリデカニル)-メタクリルアミドの合成
1H NMR (500 MHz, アセトン-d6); y 7.90 (m, 1 H, -CONH-); 7.23-7.40 (d 2 H, C6HH2(OH)2-); 6.56-6.76 (3 H, C6HH2(OH)2-; 5.930 (m, 1 H, -CONH-); 5.71 s (1H, CHH=); 5.30 s (1H, CHH=); 4.20 (m, 1 H, -CH-); 3.1-3.60 (m, 16 H, -CH2O, CH2-NH-,CH2-NH2); 2.70-2.95 (m, 2 H, CH2-); 1.96 s (3 H, CH3); 1.78 (m, 2 H, CH2-); 1.65 (m, 2 H, CH2-); 1.39 (s, 9 H, -O-C(CH3)3).
PEG−ジアクリレート(PEG−DA)の合成
40 g (5 mmol) のPEGをベンゼン中の 共沸蒸発によって乾燥し、次いで、150 mLのDCMに溶解した。 4.18 mL (30 mmol) のEt3N及び3.6 mL (40 mmol)の塩化アクリロイルをポリマー溶液に添加した。混合物を5時間攪拌しながら還流し、一晩で室温に冷却した。エーテルを混合物に添加し、淡黄色沈殿物を得た。次いで、粗生成物を、 飽和塩化ナトリウム溶液に溶解し、60℃に加熱し、2層に分離した。DCMを上層に添加し、MgSO4を添加して水分を除去した。MgSO4をろ過した後、溶媒の容量を真空下で減少させ、サンプルをエーテル中で沈殿させた。最終生成物を乾燥し、−15℃で保存した。収率は75%であった。
1H NMR (500 MHz, D2O): δ 6.47 (d, 1 H, CHH=C-); 6.23 (m, 1 H, C=CH-C(=O)-O-); 6.02 (d, 1 H, CHH=C-); 4.35 (m, 2 H, -CH2-O-C(=O)-C=C); 3.23-3.86 (PEG CH2)
PEG−DAの重合
PEG−DAの前駆体溶液、1、7及び光開始剤を準備し、光重合の直前に混合した。PEG−DA (200 mg/mL) 及び1 (40 mg/mL)の保存溶液を窒素パージリン酸緩衝サリン (PBS, pH 7.4)に溶解し、7 (60 mg/mL) を、事前に窒素でパージした50:50 PBS/95%エタノール中に溶解した。最終重合混合物を調製するために、1又は7の溶液をPEG−DAに混合し、150 mg/mLのPEGDA及びDHPD誘導体の最終濃度を得た。次いで、100 μLの混合物を、ディスク型モールド(100 μL、直径= 9 mm、深さ= 2.3 mm、Secure Seal(登録商標)SA8R2.0, Grace Bio Lab, Inc., OR)に加え、続いて、UVラン プ (Black Ray(登録商標)、365 nm、 Model UVL56, UVP, CA) 又は青色光ランプ (VIP(登録商標)、400500 nm、BISCO Inc., IL)のいずれかで20分間照射した。UV開始光硬化のために、DMPA (VP中600 mg/mL)をポリマー溶液に添加し、34 mMの最終濃度を得た。可視光−誘導硬化を、光開始剤として、DMAB(VP中30 mg/mL、最終濃度= 151 mM)を有するCQ (VP中100 mg/mL、最終濃度= 150 mM)又はAA (PBS 中100 mg/mL、最終濃度= 17 mM)を有するFNa2(PBS 中188 mg/mL、最終濃度= 2 mM) のいずれかを用いて行った。最終的なVP濃度を、135から300mMとなるように調節した。
DOPA組み込み測定
光重合ゲルに取り込まれたDOPAの量を、ウェイト及びベネディクト(Waite and Benedict)によって開発された比色DOPA分析法の修正を用いて測定した。光架橋結合したゲルを、3mLの0.5N HCI中で攪拌し、ゲルネットワークに取り込まれなかったDOPAモノマーを抽出した。0.9 mLの亜硝酸試薬(1.45Mの亜硝酸ナトリウム及び0.41Mのモリブデン酸ナトリウム二水和物)及び1.2mLの1MNaOHを、0.9mLの抽出物溶液に添加し、混合物の吸光度(500nm)を、NaOH添加を2〜4分間行いながら、日立U2010 UV−Vis分光光度計を用いて記録した。標準曲線を既知の1〜7の濃度を用いて作図した。
力学的検査
ヒドロゲルを、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリクロロシランで処理したガラススライド上に25μLのポリマー混合物を垂らして半球状に成形した。ゲルを10分間照射し、少なくとも24時間0.15MのHClで透析し、結合していないDOPAモノマーを抽出し、次いで、試験前15分間以上PBS中で平衡させた。ゲル率を測定するために、半球状のゲルキャップを、瞬間接着剤を使って、スチールのシリンダー(直径=6mm、長さ=30mm)の一端に付けた。シリンダーの反対側に、約0.1mNの解像度で50gの負荷変換器(FTD G 50、Schaevitz Sensors、VA)と直列に整列する圧電ステッピングモーター(IW 701 00、Burleigh Instruments、NY)に付けた。光ファイバー置換センサー(RC100 GM2OV、Philtec, Inc., MD)で、スチールロッドの軸方向移動を測った。TiO2被覆Siウエハをヒドロゲル下に載置し、TiO2表面に、ゲル水和を維持するためにPBSを注いだ。4mNの最大圧縮負荷を測定するまで、インデンターを5μm/sで前進させた。
PEG-DOPAのヒドロゲルへの化学的酸化
4−armPEG-アミン(PEG-(NH2)4、Mw= 10,000)をSunBio社(ウォルナッツクリーク、CAv)から購入し、一方、線形PEG−ビスアミン(PEG-(NH2)2、Mw=3,400)及びメトキシ−PEG−アミン(mPEG-NH2、Mw= 5,000)をShearwater Polymers社(ハンツヴィル、AL)から購入した。Sephadex(登録商標) LH-20を、Fluka(ミルウォーキー、WI)から得た。N-Boc-L-DOPAジシクロヘキシルアンモニウム塩、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、マッシュルームチロシナーゼ(MT、EC 1.14.18.1)及びセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP、EC 1.11.1.17)を、Sigma Chemical社(セントルイス、MO)から得た。トリエチルアミン(Et3N)、過酸化水素(30wt%、H2O2)、モリブデン酸ナトリウム二水和物及び亜硝酸ナトリウムを、Aldrich Chemical Company (Milwaukee, WI)から購入した。L−DOPAを、Lancaster (Windham, NH)から購入した。1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)をNovabiochem Corp. (La Jolla, CA)及びO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)−N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート (HBTU)をAdvanced ChemTech (Louisville, KY)から得た。
最高4つのDOPA末端基を有する線形及び分岐DOPA−改変PEGを、以下に示す標準カルボジイミド結合化学を用いて合成した。4つのDOPA−改変PEG構造を、図1に示す。
PEG-(NH2)4(6.0g、0.60mmol)を、60mLのジクロロメタン(DCM)及びジメチルホルムアミド(DMF)の50:50の混合物中の、N-Boc-L-DOPA ジシクロヘキシルアンモニウム塩(4.8mmol)、HOBt(8.0mmol)及びEt3N(8.0mmol)と反応させた。次いで、30mLのDCM中のHBTU(4.8mmol)を、添加し、カップリング反応を1時間、室温にてアルゴン下で行った。溶液を、飽和塩化ナトリウム溶液、5%のNaHCO3、希釈HCl溶液及び蒸留水で連続して洗浄した。粗生成物を減圧下で濃縮し、移動相としてメタノールを用いてSephadex(登録商標) LH-20でカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物をさらに3回、冷メタノールで析出させて精製し、室温にて真空下で乾燥し、−20℃の窒素雰囲気下で保存した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ 6.81-6.77 (m, 2H, C6HH2(OH)2-), 6.6 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.05 (br, s, 1H), 5.33 (br, s, 1H), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.73-3.41 (m, PEO), 3.06 (m, 2H, PEO-CH2-N-C(O)-), 2.73 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH-), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3C-).
GPC-MALLS: Mw = 11,900、Mw/Mn = 1.01
Iの3.0g(0.25 mmol)を、室温でDCMの15mL中に溶解した。15mL のTFAを混合物に添加し、アルゴン下で30分間反応させた。溶媒をロータリーエバポレータで蒸発させた後、生成物を3回、冷メタノールで析出させ、室温にて真空下で乾燥し、−20℃の窒素雰囲気下で保存した。
1H NMR (500 MHz, D2O): δ 6.79 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.66 (s, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.59 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 4.00 (t, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.70-3.34 (M, PEO), 3.24 (m, 2H, PEG-CH2-N-C(O)-), 3.01-2.88 (m, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-).
GPC-MALLS: Mw = 11,400、Mw/Mn= 1.02
PEG-(NH2)2(5.0g、1.5mmol)、N-Boc-L-DOPAジクロロヘキシルアンモニウム塩(5.9mmol)、HOBt(9.8mmol)及びEt3N(9.8mmol)を50mLのDCM及びDMFの50:50の混合物中に溶解した。次いで、25mLのDCM中のHBTU(5.9mmol)を添加し、反応を30分間、室温にてアルゴン下で行った。生成物の回収及び生成を、上記Iと同様に行った。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ 6.81-6.77 (m, 2H, C6HH2(OH)2-), 6.59 (d, 1H, C6H2H(OH)2-), 6.05 (br, s, 1H), 5.33 (br, s, 1H), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.73-3.42 (M, PEO), 3.06 (m, 2H, PEO-CH2-N-C(O)-), 2.74 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3CO-).
GPC-MALLS: Mw= 4,600、Mw/Mn= 1.02
mPEG-NH2(2.0 g, 0.40 mmol)、N-Boc-L-DOPAジクロロヘキシルアンモニウム塩(0.8mmol)、HOBt(1.3mmol)及びEt3N(1.3mmol)を20mLのDCM及びDMFの50:50の混合物中に溶解した。次いで、10mLのDCM中のHBTU(0.80mmol)を添加し、反応を30分間、室温にてアルゴン下で行った。生成物の回収及び生成を、上記Iと同様に行った。
1H NMR (500 MHz, CDCl3/TMS): δ 6.81-6.60 (m, 3H, C6H3(OH)2-), 6.01 (br, s, 1H, OH), 5.32 (br, s, 1H, OH), 4.22 (br, s, 1H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 3.73-3.38 (m, PEO), 3.07 (m, 2H, PEO-CH2-NH-C(O)-), 2.73 (t, 2H, C6H3(OH)2-CH2-CH(N-)-C(O)N-), 1.44 (s, 9 H, (CH3)3C-), 1.25 (s, 3 H, CH3CH2O-).
GPC-MALLS: Mw = 6,100、Mw/Mn= 1.02
DOPA−改変PEGのDOPA含量を、1HNMRスペクトルの関連ピークの集積、比色DOPA分析によって測定した。NMR法では、DOPA含量は、δ=1.44のBoc メチレンプロトンからδ=3.73〜3.38のPEGメチレンプロトンの整数値を比較することで測定した。DOPA分析は、ウェイト及びベネディクトの前に述べた方法に基づいた。要約すると、PEG−DOPA水溶液を、亜硝酸試薬(1.45Mの亜硝酸ナトリウム及び0.41Mのモリブデン酸ナトリウム二水和物)で処理し、続いて過剰なNaOH溶液を添加した。混合物の吸光度(500nm)を、NaOH添加を2〜4分間行いながら日立U2010 UV−Vis分光光度計を用いて記録した。標準曲線を既知のDOPA濃度の溶液を用いて作図した。
PEG−DOPAヒドロゲルを形成するために、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及び過酸化水素(HRP/H2O2)又はマッシュルームチロシナーゼ及び酸素(MT/O2)を、リン酸バッファードサリン(PBS、pH 7.4)中のPEG-DOPA(200mg/mL)溶液に添加した。MTによってゲル化を誘導するために、PBSを、MTを加える前に、20分間空気でスパージした。ゲル化時間を、流体を含有するバイアルを逆転させて測定されることで、混合物が流れなくなった時として、定性的に測定した。
振動流体測定法を、ゲル化のプロセスをモニターし、ヒドロゲルの力学的特性を測定するために用いた。架橋剤を、PEG-DOPAの水溶液に添加し、よく混合した溶液をボーリンVORレオメータに付した。0.1Hzの周波数、1%のストレイン、30mmの直径円錐及び2.5°の円錐角で固定したプレート取付け具で分析した。
DOPA−改変PEGを、10mMのPBS溶液(HRP/H2O2及びNaIO4に対してアルゴン、MT実験に対して空気でバブリングした)に溶解した。酸化試薬を加えた後、溶液の時間依存UV/可視スペクトルを、800nm/分の走査速度で、200から700nmまでの波長でモニターした。全てのサンプルを、日立U-2010のUV/力分光光度計を用いて、最初にPBSバッファに対してブランク化し、室温で記録した。
分子量を、水性移動相(50 mM PBS, 0.1 M NaCl, 0.05% NaN3; pH = 6.0)中のShodex-OH Pakカラム及びOptilab DSP(ワイアット・テクノロジー)屈折率検出器を用いたDAWN EOS(ワイアットテクノロジー)で、GPC-MALLSによって測定した。分子量計算のために、IV(0.136)の実験的に測定したdn/dc値を用いた。
原料及び方法
チップ改変
窒化ケイ素(Si3N4)チップの表面改変の前に、酸素プラズマ(機械の名前)を用いて、3分間清浄化手順を行い、続いてそれらを30分間、ピラニア溶液(8:2の硫酸:H2O2)に移動させた。それらを、H2Oですすいだ後、トルエン中の20%(v/v)の3-アミノプロピルトリメトキシシランに移動させて、30から60分間アミンで官能化した。2種のポリエチレングリコール(PEG)誘導体を、AFMチップ上にPEG化するために選択した:mPEG-N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(Mw 2000)及びFmoc-PEG-NHS(Mw 3400)(Nektar社)。PEGの混合物(Fmoc-PEG-NHS:mPEGNHS = 1:5から10、5mM)を、50mMのリン酸ナトリウムバッファ、0.6MのK2SO4、pH 7.8及びクロロホルムで調製した。PEG化反応を、はじめに40℃のリン酸ナトリウムバッファ、その後クロロホルム中で、各ステップ3時間で行った。TiO2上での複数のDOPA結合を防止するためにPEG混合物を用いた。Fmoc-PEG-NHSは、Fmoc開裂の後、Boc-DOPA複合体にアミンを供給した。ピペリジン(NMP中20 v/v %)を、5分間Fmocを脱保護するために用い、その後、カンチレバーを、10μLの DIPEAを有するBOP/HOBt/DOPA(1:1:1のモル比、NMP中最終8mM)溶液に移した。同じ手順を、チロシン改変に用いた。
全てのデータを、反転ニコン顕微鏡の上部のAFM装置(Asylum Research, Santa Barbara, CA)に集めた。個々のカンチレバーのバネ定数(製造者情報で約45、100及び300pN/nm)を、熱雑音スペクトル(S1)に対して等分配定理を適用することによって換算した。1滴の水を、予め清浄化した(有機溶媒及びO2プラズマの超音波処理)TiO2表面に塗布した。PEG弾性力及び等高長を含む力−距離曲線を、さらなる統計分析のために選択した。DOPAキノン実験について、全ての実験を、20mMのトリス(pH 9.8)で行った。
負荷速度依存力測定は、DOPA結合のエネルギーランドスケープを示す(17)。線形プロット(力対ln(負荷速度))の傾斜(=kBT/xb)は、適用された力の軸に沿ってエネルギー障壁xbの距離を決定する。結合エネルギー障壁は、傾斜からの牽引速度変化及びxbによって起こる力遷移からゼロ負荷速度での対数関数的阻止力によって算出される。窒化珪素AFMカンチレバー(Bio-Levers, Olympus, Japan)を、ストリング定数(〜5 pN/nm及び〜28 pN/nm)が小さいために用いた。我々の研究において、2nN/秒の最も低い負荷速度を、400nm/秒の牽引速度及びカンチレバー(〜5 pN/nm)を用いて達成した。最高負荷速度(1500nN/秒)は、圧電装置の5m/sec操作及び固いカンチレバー(300pN/nm、Veeco)の使用によって生成した。
表面を、単色化AlKα(1486.8 eV) 300 W X-線源及びチャージビルドアップを消失させるための電子銃を備えたX線光電子顕微鏡法(XPS)(Omicron, Taunusstein Germany)によって分析した。高温チャンバで製造した窒化珪素表面(0.7×0.7cm2)を、清浄化し、AFMチップ改変で述べたのと同様の手順で改変した。炭素1sの電子軌道からの光電子信号は、カーボンからの1sの電子軌道がSi3N4表面におけるSi、O及びNの全ての豊富な種を考慮する表面改変の主な指標であった。
Claims (25)
- 式(I)
R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、飽和又は不飽和、分岐又は直鎖、置換又は非置換C1-4の炭化水素からなる群から独立に選択され、
Pは、−NH2, -CO-OH, -OH, -SH,
単結合、ハロゲン原子、
保護基、
実質的にポリ(アルキレンオキサイド)、
ポリ(アルキレンオキサイド)−C(=O)−C(R3)=CH2、
(ここで、R3は上記と同義)
Dは式(I)に記載されている)、
からなる群から別個に独立して選択される)
の式のジヒドロキシフェニル(DHPD)接着化合物。 - ポリ(アルキレンオキサイド)は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである請求項5のDHPD。
- R1及びR2は水素原子である請求項7の方法。
- 接着剤は、水性環境中で接着する請求項11の接着剤。
- 式(II)の化合物がDOPAである請求項11の接着剤。
- R1及びR2は水素原子である請求項14の方法。
- P1又はP2の少なくとも1つは、実質的にポリ(アルキレンオキサイド)である請求項14の組成物。
- P1又はP2の少なくとも1つは、少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を含む請求項14の組成物。
- P1又はP2の少なくとも1つは、PEGを含む請求項14の組成物。
- (1a)の少なくとも1つがトリ−DOPAであり、PがPEGである請求項14の組成物。
- P1及びP2は互いに結合してなる請求項14の組成物。
- デバイス、及び
請求項14の組成物を含むコーティングを含む被覆医療用デバイス。 - デバイスは、ステント及びペースメーカからなる群から選択される請求項20の被覆医療用デバイス。
- コーティングが生分解性である請求項14の被覆医療用デバイス。
- 細胞又はタンパクが外科的切開部分に接着することを防止する方法であって、請求項14の組成物で部分を被覆する工程を含む方法。
- 水素結合と共有結合との間の中間強度である相互作用であって、実質的に、可逆的に形成可能で、破壊可能で、修復可能である相互作用。
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