JP2011517469A - 生物付着阻止のための方法及び組成物 - Google Patents

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Abstract

表面の生物付着を阻止する方法であって、式(I)を有する付加体又はノルアドレナリンを表面に付着させる工程を含む方法。式(I)は、式A-L-R(式中、Aは、i)C6又はC10置換アリール環、又はii)C1-C9置換若しくは無置換ヘテロアリール環であり;Lは連結基であり、Rは一級アミノ成分含有単位である)を有する化合物として定義される。
【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照)
この出願は、2008年3月24日に出願された米国仮特許出願第61/039032号の利益を主張する。当該出願は、この参照によりその全体が本明細書に援用される。
(政府の権利の記載)
この発明は、米国海軍研究事務所(United States Office of Naval Research)が授与した助成金番号N00014-05-1-0468の下、政府の支援を受けて行なわれた。
(発明の背景)
発明の分野
この発明は、一般的に汚損阻止に関する。
生物付着又は生物学的汚損は、没水構造物、特に船体上における微生物、植物、藻類、及び動物の望ましくない蓄積である。生物付着は、それがエピビオシス(epibiosis)として知られる場合、生きている海洋生物の表面上でも起こる。
人工物の表面上の生物付着の制御は、海洋環境と接する構造物にとって重要な問題である。歴史的に、生物付着防止コーティングは、該コーティングから経時的に浸出する殺生物剤を利用し、それによって、海洋生物への殺生物剤の毒性を利用して生物付着の定着を防止した。この制御方法には、それに付随するいくつかの問題があった。第1に、殺生物剤はその浸出によって枯渇するので、コーティングの生物付着抵抗性が時間とともに低減する。さらに、毒性コーティングは、造船所労働者が毒にさらされる危険を増やし、有害廃棄物処理問題を引き起こし、海洋野生動物に環境上の有害な影響を及ぼす。防汚塗料からの環境的に有害な有機スズ化合物を除去した後、生物付着の蓄積の制御が、船舶運用のために米国海軍が支出する単一の最も高価な維持問題となった。
生物付着防止方法に対する要求は米国海軍省、NAVSEAのコーテイングに対する要求において明らかであり、その要求は種々の基準、例えば環境要因(無銅又は低銅(UNDS制限審理中))、費用要因(前払い費用及び維持費(313船舶海軍))及び運用費用(12年の乾ドックへの入渠間隔及び最小限の稼働中清掃)に基づく。
北大西洋沿岸に沿っては、フジツボ及び異なる種類の藻類が特に明らかな問題である。完全に成長したフジツボは、センチメートルサイズの円錐形と灰沈着板の封入層とを特徴とする定常性甲殻類(節足動物)である。この動物の固体表面への付着の機械的強度は非常に高いので、固体表面からフジツボを機械的に除去することは困難である。この動物は自由遊泳性幼生として異なる発育段階を経て、最後の幼生段階はキプリド(cyprid)段階と呼ばれる。キプリドは神経突起である小触角の助けを借りて定着するの適した固体表面を選別する。フジツボセメントと呼ばれる「定着にかわ」が該突起の近傍にある固有腺から分泌され、それによって動物が固体表面に定着する。定着後、この動物は成体型の定常性動物への変態を受ける。
一般名カキは、大部分が海洋生息環境又は半塩水で生存するいくつかの異なる群の二枚貝軟体動物のために使用される。その殻は、軟体を囲む2つの通常高度に石灰化した殻片から成る。えらが水からプランクトンをろ過し、強い内転筋を用いて殻を閉じておく。カキは生物付着種である。ペディベリジャー(pediveliger)幼生がカキの最後の幼生段階であり、ベリジャー幼生(推進及び食糧採集において機能を果たす面盤(velum)として知られる繊毛ローブ(又は複数のローブ)を特徴とする)は足を持つようになり、基板を探してその上に定着する。定着及びセメント接着プロセスが基板の生物付着をもたらす。
本発明は、生物付着を阻止するための組成物及び方法を提供する。
本発明のさらなる利点は、以下の説明においてある程度記載され、その記載からある程度自明であり、かつ本発明の実施によって理解される。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘する要素及び組合せによって理解及び達成されるであろう。当然のことながら、前述した一般的説明と以下の詳細な説明は両方とも例示及び解説に過ぎず、請求する本発明を制限するものではない。
この明細書で援用され、かつ本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の1つ又はいくつかの実施形態を示し、その説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
一定の25mW/cm2の強度で365nmのUV光線を用いてガラス基板からポリマーをグラフトするために使用するマスクアライナーシステムを示す。この図は1つだけのサンプルの組立てを示してある。 ポリマー鎖上の-COOH又は-OH基にノルアドレナリンを結合するために使用する2つの化学を示す。A:NAをpMAAの-COOH基又はpHEMAの-OH基に結合するために使用するカルボニルジイミダゾール(CDI)化学、B:NAをpHEMAの-OH基に結合するために使用するジスクシンイミジル化学。 光重合及び共有結合を利用する固定化生物活性防汚表面の生成を示す。 接着血球の細胞骨格構造及び生存能に及ぼすNA結合ポリマー表面の効果を示す。A)対照表面上でインキュベートし、カルセインAM(Calcein-AM)及びDAPIで標識した血球の蛍光顕微鏡写真。緑色蛍光は、接着細胞が健康で生存可能であることを示す。B)F-アクチンを標識するAlexa Fluor-488ファロイジンで標識した対照表面上でインキュベートした血球の蛍光顕微鏡写真。接着血球の細胞骨格上にはいずれのストレス又は異常性の証拠もない。C)、D)それぞれF-アクチン及び核を標識するAlexa Fluor-488ファロイジン及びDAPIで標識したNA-MAAポリマー表面上でインキュベートした血球の蛍光顕微鏡写真。NA-MAAポリマーに接着している血球は、異常かつストレスを受けた細胞骨格を示す(矢頭)。崩壊細胞及びアクチンの異常な蓄積がはっきり見られる(矢印)。E) Alexa Fluor-488ファロイジン及びDAPIで標識したNA-HEMAポリマー表面上でインキュベートした血球の蛍光顕微鏡写真。明白な細胞骨格の崩壊が明らかであり;結果として接着血球は異常な形態を有する(矢印)。F) Alexa Fluor-488ファロイジン及びDAPIで標識したNA-HEMAポリマー表面上でインキュベートした血球の蛍光顕微鏡写真。崩壊した細胞骨格によって除核された血球が見える(矢印)。細胞骨格崩壊の結果として、核が血球から放出され、細胞外で核を観察することができる(矢頭)。 Annexin-Vアポトーシスアッセイを用いて血球とNA結合ポリマー表面との間の相互作用を示す。A) Alexa Fluor-488 Annexin-V及びMitoTracker Redで標識した対照表面上でインキュベートした血球。MitoTracker redに標識された血球は生存可能かつ健康な細胞であり、アポトーシスが存在しないことを示している。B)Alexa Fluor-488 Annexin-V及びMitoTracker Redで標識したNA結合ポリマー表面上でインキュベートした血球。血球がAnnexin-Vに標識されたことは、細胞のアポトーシスが進行していていることを示しており、細胞のアポトーシスが進行しているので、MitoTracker Redによるミトコンドリアの標識化は存在しない。これはNA-MAAポリマー表面から得た代表的な顕微鏡写真である。細胞は、NA-HEMAポリマー表面上で同様の標識パターンを示す。スケールバー:A、B=10μm。 血球とNA結合ポリマー表面との間の相互作用を示す。A)対照表面に接着している血球の走査型電子顕微鏡写真は、正常な形態及び損なわれていない細胞膜を示しており、基礎をなす表面が接着細胞に如何なる有害な作用をも及ぼさないことを示唆している。B-D) NA-MAAポリマー表面上でインキュベートした血球は損なわれた細胞膜を示しており、細胞の周辺で細胞の形態が崩壊しているのが見える。挿入した四角い囲み部分は、さらに拡大してDで観察される。2つの隣接細胞の崩壊した細胞膜がはっきり見える。C-E) NA-HEMAポリマー表面上でインキュベートした血球。NA-MAA表面と同様に、NA-HEMA表面に接着している血球は明白な崩壊を示す。形態が崩壊した血球が見える(矢印)。挿入囲み部分は、さらに拡大してEで観察され、血球は周辺の小フラグメント内で崩壊している。F) NA-HEMAポリマー表面に接着している隣接血球。血球の1つは崩壊しているが、隣接細胞は無傷のように見える。NA結合ポリマー表面に接着している血球では、細胞骨格の破壊が明白である。 NA結合手順の前後に原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したpHEMAポリマー層の厚さを示す。NA結合後に厚さの有意な増加が観察され、NAのポリマー鎖への共有結合を検証する。NAを加えない結合手順に供した対照基板は厚さの有意な増加を示さない。 NA結合基板のXPS特徴づけを示す。A:CDI化学群から得たサンプルのXPSスペクトル間の比較。窒素ピーク(丸で囲んだ)はNA結合表面のスペクトルだけで見られ、全ての対照表面のスペクトルには存在しない。B:DSC化学群から得たサンプルのXPSスペクトル間の比較。CDI群と同様に、窒素ピーク(丸で囲んだ)はNA結合表面のスペクトルだけで見られ、全ての対照表面のスペクトルには存在しない。 血球生存能アッセイ結果を示す。A:抗ノルアドレナリン抗体で処理したNA結合HEMA基板上でインキュベートした血球の生存能アッセイから得た代表的画像。血球はカルセインAMで標識され、DAPIで染色されず、細胞が生存可能であることを示している。B:抗ノルアドレナリン抗体のないNA+pHEMA基板に接着している血球から得た代表的画像。血球はカルセインAMで標識できず、DAPIで標識され、細胞が生存可能でなく、細胞膜が損なわれていることを示している。C:ファロイジンで標識した抗NA抗体で処理したNA-HEMA基板に接着している血球。血球はアクチンフィラメントの拡散パターン及びストレスフィラメントの非存在を示す。D:抗NA抗体処理をしないNA+pHEMA基板に接着している血球。NA+pHEMA表面に接着している血球は、ストレスを受けたアクチンフィラメント及びアクチンの異常な点状分布を示す。挿入囲みは、アポトーシス性小疱形成の徴候がある崩壊除核血球を示す。
(詳細な説明)
以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明及びその中に含まれる実施例並びに図面及びその前記説明と以下の説明を参照して、本発明をさらに容易に理解できるであろう。
本化合物、組成物、物品、装置、及び/又は方法を開示かつ記述する前に、この発明が特定の合成方法、特定のシグナル伝達分子、特定の生物付着有機体、又は特定の表面に限定されず、それら自体は当然に変化しうることを理解すべきである。本発明で使用する用語法は、特定の実施形態を記述する目的のためだけであり、限定する意図でないことをも理解すべきである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つ(a、an)」及び「その(the)」には、その文脈が明白にそうでないと指示していない限り、複数の参照対象を包含する。従って、例えば、「1の芳香族化合物」との言及は、芳香族化合物の混合物を包含し、「1の医薬担体」との言及は、2以上の該担体を包含する等である。
本明細書では、「約」ある特定値から、及び/又は「約」別の特定値までのように範囲を表すことがある。このような範囲を表した場合、別の実施形態は、ある特定値から及び/又は他の特定値までを包含する。同様に、近似値として値を表した場合、先行する「約」の使用によって、当然のことながら、特定値は別の実施形態を形成する。さらに当然のことながら、各範囲の終点は、他の終点に関して有意でもあり、他の終点とは無関係でもある。
この明細書及びその後の特許請求の範囲において、以下の意味を有するものと定義するいくつかの用語に言及する。
「任意の」又は「任意に」とは、その後に記述する事象又は状況が起こっても起こらなくてもよく、かつその記述は、前記事象又は状況が起こる場合と起こらない場合を包含する意である。
以下、その例を添付図面に示してある本発明の好ましい実施形態について詳細に言及する。
表面への生物の接着を防止する化合物、組成物及び前記組成物の使用方法が提供される。該化合物は、式Iの化合物、ノルアドレナリン(NA)、式Iの化合物のバイオミメティック及びNAのバイオミメティックを包含する。
ポリマーに結合したノルアドレナリンを含む組成物が提供される。この組成物では、ポリマーがメタクリル酸であってよい。この組成物では、ポリマーが2-ヒドロキシエチルメタクリラートであってよい。
(i)式Iを有する付加体と、(ii)膜形成剤とを含む無毒コーティング組成物であって、前記組成物を適用する表面上における生物付着有機体の付着を阻止するのに有効な量で前記組成物中に前記ノルアドレナリンが存在する組成物が提供される。この組成物では、式Iを有する付加体は、約30μM〜約100μMの量で存在しうる。本組成物では、式Iを有する付加体が前記膜形成剤に共有結合していてよい。
本明細書で開示する無毒コーティング組成物を含む塗料が提供される。この塗料を海洋塗料として調合することができる。無毒コーティング組成物を含むワニスをも提供される。
防汚表面は、式Iを有する付加体の有効量含み、該化合物又はその生物学的に活性なフラグメントが前記表面から放出される。
海洋環境(淡水、半塩水及び塩水環境を含む)と接触する表面は、種々タイプの微生物及び肉眼で見える生物によって汚損されることが知られている。被害を受けやすい表面として、例えば、船体、ドックの表面、循環又は通過水システムの管の内側、水培養機器及び油/ガス沖合施設、輸送管路(水道管及び下水管)、発電所取水システム、熱交換器、配管網、魚網、ケージ等が挙げられる。これらの表面に付着すると、生物は表面を横断する水流を邪魔して性能の妨げになるばかりでなく、表面自体の劣化をも引き起こしうる。
例えば、雨水にさらされた壁、シャワーの壁、屋根、排水路、プールエリア、サウナ、湿潤環境(例えば地下室又はガレージ)にさらされた床及び壁並びに道具や屋外家具のハウジングでさえ多くの他の表面が同様の生物付着を受けやすい。
生物がいずれのこれらの表面上でも定着するか又は広がるのは非常に望ましくない。多くの場合粘液層が生じ、これらが安全でないか、不健康又は非審美的な状態をもたらしうる。
この発明の組成物及び方法は、種々の表面に容易に適用され、かつ本方法及び組成物を制限するものではないが、強烈な毒活性によってではなく、表面への生物の接着(定着及びセメント接着)を防止することによってさらに機能し、前記組成物をより環境的に容認できるようにすると思われる。
(方法)
表面の生物付着を阻止する方法であって、式Iを有する付加体を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。式Iの付加体の例はノルアドレナリンである。従って、表面の生物付着を阻止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
表面の生物付着を阻止する方法であって、式Iの模倣物を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。本明細書に記載の既知構造をベースとした薬物設計法に基づいて式Iの模倣物が提供される。表面の生物付着を阻止する方法であって、ノルアドレナリンのバイオミメティックを前記表面に付着させる工程を含む方法も提供される。本明細書に記載の既知構造をベースとした薬物設計法に基づいてNAのバイオミメティックが提供される。
従って、表面の生物付着を阻止する方法であって、式Iのバイオミメティックである化合物を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに詳しくは、表面の生物付着を阻止する方法であって、NAのバイオミメティックである化合物を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
表面の生物付着を阻止するさらなる方法であって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。例えば、表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。表面の生物付着を阻止する開示方法では、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストがノルアドレナリンであってよい。
海洋生物付着有機体による基板の海洋生物付着を阻止する方法であって、前記基板に保護コーティングを適用する工程を含み、前記コーティングが、モノマーメタクリル酸(MAA;99%、Aldrich)及び2-ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA;>99%、Sigma)から成る群より選択されるポリマー骨格に結合したノルアドレナリンを含む、前記方法が提供される。
開示された方法では、GPCRのシグナル伝達分子を、該シグナル伝達分子が結合できる反応性側基を有するモノマーを用いて前記表面に付着させる。例えば反応性側基として-COOH又は-OHを有するモノマーが特に有用である。例えば、メタクリル酸及び2-ヒドロキシエチルメタクリラートから成る群より選択されるモノマーによって、前記シグナル伝達分子を前記表面に付着させることができる。従って、生物付着を阻止する方法であって、メタクリル酸及び2-ヒドロキシエチルメタクリラートから成る群より選択されるモノマーによってノルアドレナリンを前記表面に付着させる、前記方法が提供される。
モノマーを使用すると、それらが重合して、単分子層だけを使用する場合に比べて反応性側基の非常に高い表面濃度を呈する。本方法及び組成物は、単層の-OH基を用いてシグナル伝達分子を前記表面に付着させることができるが、このシステムのシグナル伝達分子の濃度は重合モノマーを用いた場合より低いと予想され、開示した生物活性ポリマー表面を用いて見られる生物学的効果の減少を示しうる。シグナル伝達分子(例えばNA)を表面に付着させる工程の2つの重要な要件は、結合強度及び接近可能性である。表面グラフト化ポリマー鎖を用いてシグナル伝達分子を付着させることによって、分子が前記表面に共有結合しているにもかかわらず、シグナル伝達分子の移動性及び接近可能性が保持される。このことが、液体環境にさらされている間にシグナル伝達分子が洗い流されるか又は細胞自体によって除去されることを防止する。
生物付着を阻止する方法では、表面は海洋環境にさらされた表面でありうる。本方法が生物付着を阻止するのに有効な海洋環境にさらされた表面の例として、船体、プロペラ、地震ストリーマー(seismic streamer)、ドック、石油掘削装置、ガス掘削装置、輸送管路、発電所取水システム、熱交換器、配管網、魚網、ケージから成る群より選択される表面が挙げられる。本方法は、分子のシグナル伝達を基礎とするので、シグナル伝達分子を付着させることができるいずれの基板上でも本方法を使用することができる。多くの異なる材料、例えば、金属、木、コンクリート、薄い織物、プラスチック等で構成される表面が、GPCRシグナル伝達分子(例えば、NA等のアゴニスト)を表面に付着させる本方法から利益を得ることが分かる。関連する考慮すべき事項は、十分な濃度のシグナル伝達分子を表面に付着させる能力である。実施例は、付着化学の実施方法及び十分な濃度のシグナル伝達分子の同定方法を教示する。
本方法及び組成物は、軟体動物による生物付着を阻止することができる。軟体動物による表面の生物付着を阻止する方法であって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のシグナル伝達分子を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。例えば、軟体動物による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。軟体動物による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法では、前記β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストがノルアドレナリンであってよい。軟体動物による生物付着を防止する方法では、前記軟体動物は、カキから成る群より選択される。生物付着を防止する開示された方法では、生物付着軟体動物は、イタヤガイ科(Pectinidae)(マゼランツキヒガイ(Placopecten magellanicus))及びイガイ科(Mytilidae)(ムラサキイガイ(Mytilus edulis))であってよい。従って、特定の例では、表面上での軟体動物の定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに特定の例では、表面上でのカキ幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、式Iの化合物(例えば、ノルアドレナリン)を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに特定の例では、表面上でのイタヤガイ科幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、式Iの化合物(例えば、ノルアドレナリン)を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに特定の例では、表面上でのイガイ科幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、式Iの化合物(例えば、ノルアドレナリン)を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
開示された生物付着阻止方法及び組成物は、カキの養殖で特に優れた適用性を有する。カキの養殖で重要な問題は、カキ幼生が他のカキの殻上に定着及び付着することである。この凝集が、カキの商業的価値を低くするように、カキ殻の形状に影響を及ぼす。本方法は、相互のカキの殻上でのカキ幼生の定着及びセメント接着を防止するので、大多数の商業的に好ましいカキを生育させて収穫することができる。
本方法及び組成物は、甲殻類による生物付着を阻止することができる。甲殻類による表面の生物付着を阻止する方法であって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のシグナル伝達分子を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。例えば、甲殻類による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。甲殻類による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法では、前記β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストがノルアドレナリンであってよい。甲殻類による生物付着を阻止する方法では、前記甲殻類は、フジツボから成る群より選択される。従って、特定の例では、表面上でのフジツボの定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに特定の例では、表面上でのフジツボキプリドの定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
本方法及び組成物は、他の海洋無脊椎動物種による生物付着を阻止することができる。
本方法及び組成物は、苔虫動物門(phylum Bryozoa)に属する動物による表面の生物付着を阻止する方法であって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のシグナル伝達分子を前記表面に付着させる工程を含む方法を提供する。例えば、コケムシ(Bryozoan)による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法を提供する。コケムシによる表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法では、前記β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストがノルアドレナリンであってよい。コケムシによる生物付着を阻止する方法では、前記コケムシは、フサコケムシ(Bugula neritina)から成る群より選択される。従って、特定の例では、表面上でのコケムシ幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに特定の例では、表面上でのフサコケムシ幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
本方法及び組成物は、多毛環虫(polychete)による生物付着を阻止することができる。多毛環虫による表面の生物付着を阻止する方法であって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のシグナル伝達分子を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。例えば、多毛環虫による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。多毛環虫による表面の生物付着を阻止する方法であって、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを前記表面に付着させる工程を含む方法では、前記β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストがノルアドレナリンであってよい。多毛環虫による生物付着を阻止する方法では、前記多毛環虫は、カサネカンザシ(Hydroides elegans)から成る群より選択される。従って、特定の例では、表面上での多毛環虫幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。さらに特定の例では、表面上でのカサネカンザシ幼生の定着及びセメント接着を防止する方法であって、ノルアドレナリンを前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
海底表面に配置されたポリマーベースのコーティングを含む、無毒の生物付着阻止システムであって、前記コーティングが式Iの付加体を含む、無毒の生物付着阻止システムが提供される。海底表面に配置されたポリマーベースのコーティングを含み、前記コーティングがGPCRのシグナル伝達分子を含む、無毒の生物付着阻止システムのさらなる例が提供される。無毒の生物付着阻止システムの特定の例では、前記コーティングがノルアドレナリンを含む。前記コーティング中のNAの量は、コーティング表面への幼生の定着及び/又はセメント接着を減少させるのに十分な量である。
本方法は、他の防汚方法及び組成物より長く生物付着を阻止する。
(薬物設計)
いずれの分子モデリング技術の標的として開示された組成物、例えば、NAを使用しても開示された組成物の構造を同定するか又はNAの受容体と所望様式で相互作用する可能性のある分子若しくは実際の分子、例えば小分子を同定することができる。いずれの分子モデリングプログラム又はアプローチにおいても、本明細書で開示する式Iの化合物及び関連分子を標的として使用することができる。
モデリング技術で開示された組成物を使用すると、分子、例えば分子量の大きい分子が、特に望ましい性質、例えば標的分子の機能の阻害又は刺激する性質を有すると同定されることが理解される。開示された組成物、例えば式I及びNAを用いて同定及び単離された分子も開示される。従って、開示された組成物、例えば式I及びNAを含む分子モデリングアプローチを用いて製造された生成物も、本明細書において考慮されかつ開示される。
従って、選択分子を結合する分子を単離するための1つの方法は合理的設計である。これは、構造情報及びコンピュータモデリングを介して達成される。コンピュータモデリング技術は、選択分子の三次元原子構造の可視化及び該分子と相互作用するであろう新化合物の合理的設計を可能にする。三次元構築物は典型的に、選択分子のx線結晶解析又はNMR画像化からのデータによって決まる。分子動力学は力場データを必要とする。コンピュータグラフィクスシステムは、どのように新化合物が標的分子と連結するかの予測を可能とし、該化合物と標的分子の結合の特異性を完全なものとするために該化合物の構造を実験的に変えることを可能にする。一方又は両方で小さい変化が生じたときの分子-化合物相互作用がどうなるかの予測には、分子力学ソフトウェア及び計算集約型コンピュータが必要であり、このようなコンピュータは通常使いやすように、分子設計プログラムと使用者との間のメニュー形式のインタフェースと一体になっている。
分子モデリングシステムの例はCHARMm及びQUANTAプログラム(Polygen Corporation, Waltham, MA)であり、CHARMmはエネルギー最小化及び分子動力学機能を果たす。QUANTAは分子構造の構築、グラフィックモデリング及び解析を行なう。QUANTAは、分子相互の挙動の対話型構築、修飾、可視化、及び解析を可能にする。
多くの論文(例えばRotivinen, et al., 1988 Acta Pharmaceutica Fennica 97, 159-166; Ripka, New Scientist 54-57 (June 16, 1988); McKinaly and Rossmann, 1989 Annu. Rev. Pharmacol. Toxiciol. 29, 111-122; Perry and Davies, QSAR: Quantitative Structure-Activity Relationships in Drug Design pp. 189-193 (Alan R. Liss, Inc. 1989); Lewis and Dean, 1989 Proc. R. Soc. Lond. 236, 125-140 and 141-162)が特定のタンパク質と相互作用する薬物のコンピュータモデリングについて、及び核酸成分のモデル酵素についてAskew, et al., 1989 J. Am. Chem. Soc. 111, 1082-1090が概説している。化学物質をスクリーニング及び図表で描写する他のコンピュータプログラムはBioDesign, Inc.(Pasadena, CA.)、Allelix, Inc(Mississauga, Ontario, Canada)、及びHypercube, Inc.(Cambridge, Ontario)等の会社から入手可能である。これらは主に特定タンパク質に特異的な薬物に適用するために設計されているが、それらはDNA又はRNAの特異的領域と特異的に相互作用する分子の設計に(一旦、当該領域が同定されたら)適応しうる。
バイオミメティックNA設計に影響を与えるアプローチの具体例は以下のとおりである:(1)NA環構造の形状と寸法を維持するがヒドロキシル基(-OH)を修飾する;及び(2) HO-C-C-C(NH3)-C-C-OHのように見えるであろう線形炭素鎖を生成する。中央の炭素上のNH3基はポリマー骨格(表面)と共有結合するであろう。
NAのバイオミメティックを与えるためのさらなるアプローチは、受容体に基づく構造の設計に関する影響力の大きい論文(I. Kuntz, Structure-Based Strategies for Drug Design and Discovery, Science, Vol. 257: 1078-1082, 1992)に記載されており、この論文は受容体の構造に基づいて化合物を設計するための方法を開示している。この文献は、受容体の構造に基づいて薬物を設計する方法を教示するため、参照により本明細書に取り込む。例えば、設計された化合物は受容体のリガンドの模倣物でありうる。
さらなる例として、NA受容体の間隙内のNAのx線結晶解析を利用してNAの模倣物を設計することができる。例えばRasmussenら(Nature, Vol. 450; 338-388, 2007年11月15日)は、NAの受容体であるヒトβ2アドレナリン作動性の受容体(β2AR)の結晶解析構造を提供している。この文献は、この受容体の結合部位の構造を教示するため、参照により本明細書に取り込む。Jaakolaら(Science. 2008年11月21日;322(5905): 1211-7. Epub 2008年10月2日)は、結合部位にリガンドがある受容体の結晶構造を得るための技術を開示している。この文献は、受容体結合部位の結晶構造を得る方法を教示するため、参照により本明細書に取り込む。提供された受容体の構造及びそのNAの結合部位についての詳細な情報に基づいて、当業者は、該結合部位で結合してNAのシグナルを模倣する化合物を設計することができる。生物付着を阻止する方法で該化合物を使用することができる。
従って、表面の生物付着を阻止する方法であって、NAのバイオミメティックである化合物を前記表面に付着させる工程を含む方法が提供される。
幼生の定着行動を阻害できるであろう化合物の設計及び生成に関して上述したが、定着行動を変える化合物について、天然物又は合成化学物質を含めた既知化合物及びタンパク質を含めた生理学的に活性な物質のライブラリーをスクリーニングすることもできる。
(付着の化学)
本明細書に記載の表面への式Iの付加体の付着の化学を工業規模で使用することができる。さらに、本明細書に記載の表面へのGPCRシグナル伝達分子の付着の化学を工業規模で使用することができる。実際に、コーティングのための光重合技術は既に表面修飾工業で使用され、文献周知である(de Boer et al. (2000); Harris, B. P. and A. T. Metters (2006))。NAを付着させるための結合化学は非常によく知られており、市販薬物合成で多くの製薬会社によって利用されている。本発明では、GPCRシグナル伝達分子を表面に付着させるための他の方法を使用できる。
付着化学の具体例では、モノマーメタクリル酸(MAA;99%、Aldrich)及び2-ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA;>99%、Sigma)から成る群より選択されるポリマー骨格にノルアドレナリンを結合させることができる。
開示された方法及び組成物では、シグナル伝達分子が結合できる反応性側基を有するモノマーを用いて式Iの付加体を表面に付着させる。開示された方法では、GPCRのシグナル伝達分子を該シグナル伝達分子が結合できる反応性側基を有するモノマーを用いて表面に付着させる。例えば反応性側基として-COOH又は-OHを有するモノマーが特に有用である。例えば、メタクリル酸及び2-ヒドロキシエチルメタクリラートから成る群より選択されるモノマーによって、シグナル伝達分子を表面に付着させることができる。従って、生物付着を阻止する方法であって、メタクリル酸及び2-ヒドロキシエチルメタクリラートから成る群より選択されるモノマーによって、ノルアドレナリンを表面に付着させる方法が提供される。
モノマーを使用すると、単分子層だけを使用する場合に比し、モノマーが重合して非常に高い表面濃度の反応性側基を呈する。本方法及び組成物は単層の-OH基を用いてシグナル伝達分子を表面に付着させることができるが、このシステム内のシグナル伝達分子の濃度は、重合したモノマーを用いた場合より低いと予想され、本明細書で開示する生物活性ポリマー表面を用いて見られる生物学的効果の低減を示しうる。シグナル伝達分子(例えばNA)を表面に付着させる工程の2つの重要な要件は、結合力及び接近可能性である。表面グラフト化ポリマー鎖を用いてシグナル伝達分子を付着させることによって、分子が前記表面に共有結合しているにもかかわらず、シグナル伝達分子の移動性及び接近可能性が保持される。
(組成物)
本明細書では開示されたポリマーへの付着に適した生物活性付加体がかいじされ、この生物活性付加体は、カキ(軟体動物)及びフジツボ(甲殻類)による生物付着に対する妨害物として作用する。従って、開示された生物活性付加体は、表面への生物付着の阻害を実証した。この化合物は下記式を有する。
Figure 2011517469
式I
式中、Aは、
i) C6若しくはC10置換アリール環;又は
ii) C1-C9置換若しくは無置換ヘテロアリール環
であり;
Lは、連結基であり;かつ
Rは、一級アミノ成分含有単位である。
(A単位)
A単位は、本明細書で開示する1種以上の有機成分によって置換されたアリール又はヘテロアリールである。A単位の第1群は、下記式を有する置換フェニル環に関する。
Figure 2011517469
式中、R1は、フェニル環上の水素について1〜5つの置換を表し、指数mは1〜5の整数である。
一実施形態は、1又は2つのヒドロキシル基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-ヒドロキシフェニル、3- ヒドロキシフェニル、4-ヒドロキシフェニル、2,3-ジヒドロキシフェニル、2,4-ジヒドロキシフェニル、2,5-ジヒドロキシフェニル、2,6-ジヒドロキシフェニル、3,4-ジヒドロキシフェニル、及び3,5-ジヒドロキシフェニルが挙げられる。
別の実施形態は、1又は2つのアミノ基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-アミノフェニル、3-アミノフェニル、4-アミノフェニル、2,3-ジアミノフェニル、2,4-ジアミノフェニル、2,5-ジアミノフェニル、2,6-ジアミノフェニル、3,4-ジアミノフェニル、及び3,5-ジアミノフェニルが挙げられる。
さらなる実施形態は、1又は2つのチオール基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-チオフェニル、3-チオフェニル、4-チオフェニル、2,3-ジチオフェニル、2,4-ジチオフェニル、2,5-ジチオフェニル、2,6-ジチオフェニル、3,4-ジチオフェニル、及び3,5-ジチオフェニルが挙げられる。
なおさらなる実施形態は、1又は2つの、ヒドロキシル基とアルコキシ基の混合物である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル、2-メトキシ-3-ヒドロキシフェニル、2-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル、2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル、2-ヒドロキシ-6-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル、及び3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニルが挙げられる。
なおさらなる実施形態は、1又は2つの、ヒドロキシル基とアルキル基の混合物である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-ヒドロキシ-3-メチルフェニル、2-メチル-3-ヒドロキシフェニル、2-メチル-4-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル、2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル、2-ヒドロキシ-6-メチルフェニル、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル、及び3-ヒドロキシ-4-メチルフェニルが挙げられる。
さらになおさらなる実施形態は、1又は2つの、ヒドロキシル基とアミノ基の混合物である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-ヒドロキシ-3-アミノフェニル、2-アミノ-3-ヒドロキシフェニル、2-アミノ-4-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシ-4-アミノフェニル、2-ヒドロキシ-5-アミノフェニル、2-ヒドロキシ-6-アミノフェニル、3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル、及び3-ヒドロキシ-4-アミノフェニルが挙げられる。
別のさらになおさらなる実施形態は、1又は2つの、チオール基とアミノ基の混合である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-チオ-3-アミノフェニル、2-アミノ-3-チオフェニル、2-アミノ-4-チオフェニル、2-チオ-4-アミノフェニル、2-チオ-5-アミノフェニル、2-チオ-6-アミノフェニル、3-アミノ-4-チオフェニル、及び3-チオ-4-アミノフェニルが挙げられる。
A単位の別の群は、下記式を有する置換フェニル環に関する。
Figure 2011517469
式中、R1は、フェニル環上の水素について1〜5つの置換基を表し、このとき少なくとも1つの置換基はハロゲンである。
この群の一実施形態は、1又は2つのハロゲン原子である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-フルオロフェニル、3-フルオロフェニル、4-フルオロフェニル、2,3-ジフルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、2,5-ジフルオロフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、2,3-ジクロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,5-ジクロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、3,4-ジクロロフェニル、及び3,5-ジクロロフェニルが挙げられる。
この群の別の実施形態は、1又は2つの、ハロゲン原子とヒドロキシル基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル、2-フルオロ-3-ヒドロキシフェニル、2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシ-4-フルオロフェニル、2-ヒドロキシ-5-フルオロフェニル、2-ヒドロキシ-6- フルオロフェニル、3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル、3-ヒドロキシ-4-フルオロフェニル、2-ヒドロキシ-3-クロロフェニル、2-クロロ-3-ヒドロキシフェニル、2-クロロ-4-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシ-4-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-5-クロロフェニル、2-ヒドロキシ-6-クロロフェニル、3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル、及び3-ヒドロキシ-4-クロロフェニルが挙げられる。
この群の別の実施形態は、1又は2つの、ハロゲン原子とアミノ基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-アミノ-3-フルオロフェニル、2-フルオロ-3-アミノフェニル、2-フルオロ-4-アミノフェニル、2-アミノ-4-フルオロフェニル、2-アミノ-5-フルオロフェニル、2-アミノ-6-フルオロフェニル、3-フルオロ-4-アミノフェニル、3-アミノ-4-フルオロフェニル、2-アミノ-3-クロロフェニル、2-クロロ-3- アミノフェニル、2-クロロ-4-アミノフェニル、2-アミノ-4-クロロフェニル、2-アミノ-5-クロロフェニル、2-アミノ-6-クロロフェニル、3-クロロ-4-アミノフェニル、及び3-アミノ-4-クロロフェニルが挙げられる。
この群のさらなる実施形態は、1又は2つの、ハロゲン原子とチオール基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-チオ-3-フルオロフェニル、2-フルオロ-3-チオフェニル、2-フルオロ-4-チオフェニル、2-チオ-4-フルオロフェニル、2-チオ-5-フルオロフェニル、2-チオ-6-フルオロフェニル、3-フルオロ-4-チオフェニル、3-チオ-4-フルオロフェニル、2-チオ-3-クロロフェニル、2-クロロ-3-チオフェニル、2-クロロ-4-チオフェニル、2-チオ-4-クロロフェニル、2-チオ-5-クロロフェニル、2-チオ-6-クロロフェニル、3-クロロ-4-チオフェニル、及び3-チオ-4-クロロフェニルが挙げられる。
この群のなおさらなる実施形態は、1又は2つの、ハロゲン原子とメチル基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-メチル-3-フルオロフェニル、2-フルオロ-3-メチルフェニル、2-フルオロ-4-メチルフェニル、2-メチル-4-フルオロフェニル、2-メチル-5-フルオロフェニル、2-メチル-6-フルオロフェニル、3-フルオロ-4-メチルフェニル、3-メチル-4-フルオロフェニル、2-メチル-3-クロロフェニル、2-クロロ-3-メチルフェニル、2-クロロ-4-メチルフェニル、2-メチル-4-クロロフェニル、2-メチル-5-クロロフェニル、2-メチル-6-クロロフェニル、3-クロロ-4-メチルフェニル、及び3-メチル-4-クロロフェニルが挙げられる。
この群のなおさらなる実施形態は、1又は2つの、ハロゲン原子とメトキシ基である環置換基を有するA単位に関する。この実施形態のA単位の例として、2-メトキシ-3-フルオロフェニル、2-フルオロ-3-メトキシフェニル、2-フルオロ-4- メトキシフェニル、2-メトキシ-4-フルオロフェニル、2-メトキシ-5-フルオロフェニル、2-メトキシ-6-フルオロフェニル、3-フルオロ-4-メトキシフェニル、3-メトキシ-4-フルオロフェニル、2-メトキシ-3-クロロフェニル、2-クロロ-3-メトキシフェニル、2-クロロ-4-メトキシフェニル、2-メトキシ-4-クロロフェニル、2-メトキシ-5-クロロフェニル、2-メトキシ-6-クロロフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、及び3-メトキシ-4-クロロフェニルが挙げられる。
A単位の別の群は、置換又は無置換C1-C9ヘテロアリール単位に関する。ヘテロアリールA単位は、式中、Aが置換又は無置換C2、C3、若しくはC4ヘテロアリール又は下記環から選択されるヘテロ環式5員環である化合物に関する。
i)下記式を有するピロリジニル環:
Figure 2011517469
ii)下記式を有するピロリル環:
Figure 2011517469
iii)下記式を有する4,5-ジヒドロイミダゾリル環:
Figure 2011517469
iv)下記式を有するピラゾリル環:
Figure 2011517469
v)下記式を有するイミダゾリル環:
Figure 2011517469
vi)下記式を有する[1,2,3]トリアゾリル環:
Figure 2011517469
vii)下記式を有する[1,2,4]トリアゾリル環:
Figure 2011517469
viii)下記式を有するテトラゾリル環:
Figure 2011517469
ix)下記式を有する[1,3,4]又は[1,2,4]オキサジアゾリル環:
Figure 2011517469
x)下記式を有するピロリジノニル環:
Figure 2011517469
xi)下記式を有するイミダゾリジノニル環:
Figure 2011517469
xii)下記式を有するイミダゾール-2-オニル環:
Figure 2011517469
xiii)下記式を有するオキサゾリル環:
Figure 2011517469
xiv)下記式を有するイソオキサゾリル環:
Figure 2011517469
xv)下記式を有するジヒドロチアゾリル環:
Figure 2011517469
xvi)下記式を有するフラニル環:
Figure 2011517469
xvii)下記式を有するチオフェニル:
Figure 2011517469
C2、C3、若しくはC4ヘテロアリール又はヘテロ環式5員環の1個以上の水素環原子の置換に好適な単位の非限定例は、下記基:
i)ヒドロキシル;
ii)アミノ;
iii)チオール;
iv)フェニル;
v)C1-C4直鎖若しくは分岐鎖アルキル;又は
vi)C1-C4直鎖若しくは分岐鎖アルコキシ
から独立に選択される。
置換C2、C3、若しくはC4ヘテロアリール又はヘテロ環式5員環の非限定例として、以下のものが挙げられる。
i)下記式を有する3-メチルイソオキサゾール-5-イル及び5-メチルイソオキサゾール-3-イル:
Figure 2011517469
ii)下記式を有する3-メチル-5-フェニルイソオキサゾール-4-イル及び3-フェニル-5-メチルイソオキサゾール-4-イル:
Figure 2011517469
iii)下記式を有する3,5-ジメチルピラゾール-1-イル:
Figure 2011517469
iv)下記式を有する2-メチルピロール-1-イル及び3-メチルピロール-1-イル:
Figure 2011517469
この群のA単位の別の実施形態は、置換又は無置換C3、C4若しくはC5ヘテロアリール6員環に関し、その非限定例は下記環から選択される。
i)下記式を有するピリジニル環:
Figure 2011517469
ii)下記式を有するピリミジニル環:
Figure 2011517469
iii)下記式を有するトリアジニル環:
Figure 2011517469
C2、C3、若しくはC4ヘテロアリール6員環の1個以上の水素環原子の置換に好適な単位の非限定例は、下記基:
i)ヒドロキシル;
ii)アミノ;
iii)チオール;
iv)フェニル;
v)C1-C4直鎖若しくは分岐鎖アルキル;又は
vi)C1-C4直鎖若しくは分岐鎖アルコキシ
から独立に選択される。
置換C3、C4、若しくはC5ヘテロアリール又はヘテロ環式6員環の非限定例として、以下のものが挙げられる。
下記式を有する4,6-ジメチルピリミジン-2-イル及び4-ヒドロキシ-6-メチルピリミジン-2-イル:
Figure 2011517469
この群のA単位のさらなる実施形態は、置換又は無置換C7、C8若しくはC9ヘテロアリール縮合環に関し、その非限定例は下記環から選択される。
i)下記式を有するベンゾイミダゾリル環:
Figure 2011517469
ii)下記式を有するベンゾチアゾリル環:
Figure 2011517469
iii)下記式を有するベンゾオキサゾリル環:
Figure 2011517469
iv)下記式を有するキナゾリニル環:
Figure 2011517469
v)下記式を有する2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル環:
Figure 2011517469
vi)下記式を有するテトラヒドロキノリニル環:
Figure 2011517469
C7、C8、若しくはC9ヘテロアリール又はヘテロ環式縮合環の1個以上の水素環原子の置換に好適な単位の非限定例は、下記基:
i)ヒドロキシル;
ii)アミノ;
iii)チオール;
iv)フェニル;
v)C1-C4直鎖若しくは分岐鎖アルキル;又は
vi)C1-C4直鎖若しくは分岐鎖アルコキシ
から独立に選択される。
置換C7、C8、若しくはC9ヘテロアリール又はヘテロ環式縮合環の非限定例として、以下のものが挙げられる。
下記式を有する2-メチルキナゾリン-4-イル及び2-メチルキナゾリノン-3-イル:
Figure 2011517469
(R単位)
R単位は、一級アミノ成分含有単位、例えば、-NH2のみを含め、-NH2アミノ成分を含むいずれの有機単位もR単位として適している。
(L単位)
L単位は、R単位とA単位を結びつける連結単位である。しかし、前記R単位を構成するアミノ成分に加えて、L単位がアミノ成分を含むことができる。
連結単位L、L1、L2、L3、及びL4は、それぞれ独立に下記基:
i) -(CR2aR2b)x-;又は
ii) -(CR3aR3b)w[O(CR4aR4b)y]z-
から選択され;
このときR2a、R2b、R3a、R3b、R4a、及びR4bは、それぞれ独立に下記基:
i) -H;
ii) -(CR5aR5b)pOH;
iii) -(CR5aR5b)pNH2;及び
iv) -(CR5aR5b)pCH3
から選択され;
このときR5a、及びR5bは、それぞれ独立に水素又はメチルであり;指数pは0〜5の整数であり;指数wは2〜6の整数であり;指数xは1〜10の整数であり;指数yは2〜6の整数であり;指数zは1〜5の整数である。
第1群のL連結単位は、下記式:
-(CH2)x-
(式中、R2a及びR2bはそれぞれ水素であり;指数mは1〜10の整数である)
のアルキレン単位に関する。この群の非限定例として以下の基が挙げられる。
i) -CH2-;
ii) -CH2CH2-;
iii) -CH2CH2CH2-;
iv) -CH2CH2CH2CH2-;
v) -CH2CH2CH2CH2CH2-;
vi) -CH2CH2CH2CH2CH2CH2-;
vii) -CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-;
viii) -CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-;
ix) -CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-;及び
x) -CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-。
この群の一実施形態は、下記式を有するL単位に関する。
i) -CH2CH2-;
ii) -CH2CH2CH2-;又は
iii) -CH2CH2CH2CH2-。
別の群のL連結単位は、下記式:
-[CH2CH(CH3)]x-又は-[CH(CH3)CH2]x-
(式中、R2a及びR2bはそれぞれ水素又はメチルであり;指数mは1〜10の整数である)
のアルキレン単位に関する。この群の非限定例として以下の基が挙げられる。
i) -CH2CH(CH3)-;
ii) -CH(CH3)CH2-;
iii) -CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)-;
iv) -CH2CH(CH3)CH2CH(CH3)-;
v) -CH(CH3)CH2CH(CH3)CH2-;
vi) -CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2-;
vii) -CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)CH2CH(CH3)-;
viii) -CH2CH(CH3)CH2CH(CH3)CH2CH(CH3)-;
ix) -CH(CH3)CH2CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)-;
x) -CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)-;
xi) -CH(CH3)CH2CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2-;
xii) -CH2CH(CH3)CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2-;
xiii) -CH(CH3)CH2CH(CH3)CH2CH(CH3)CH2-;及び
xiv) -CH2CH(CH3)CH(CH3)CH2CH(CH3)CH2-。
別の群のL連結単位は、R2a又はR2b単位(-NH3又は-OHである)を含むアルキレン単位に関し、その非限定例として下記基が挙げられる。
i) -CH2CH(OH)-;
ii) -CH(OH)CH2-;
iii) -CH2CH(NH2)-;
iv) -CH(NH2)CH2-;
v) -CH2CH2CH(OH)-;
vi) -CH2CH(OH)CH2-;
vii) -CH(OH)CH2CH2-;
viii) -CH2CH2CH(NH2)-;
ix) -CH2CH(NH2)CH2-;及び
x) -CH(NH2)CH2CH2-。
下記物質は、Gタンパク質共役受容体のリガンドとして好適な基質の非限定例である。
Figure 2011517469
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いずれの反応性成分、例えば、ヒドロキシル又はアミノ基によってもポリマーに開示された基板を付着させることができる。下記スキームは、触媒としてカルボニルジイミダゾールを用いてノルアドレナリンをカルボキシラート含有ポリマーと反応させたときに形成される可能性のある付加体の概要を示す。
Figure 2011517469
海洋/水性表面に付着した式Iの付加体を含む組成物が開示される。海洋/水性表面に結合した、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のシグナル伝達分子を含む組成物が開示される。例えば、表面の生物付着を阻止するための組成物であって、海洋/水性表面に結合した、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを含む組成物が提供される。
ポリマーに結合した式Iの付加体を含む組成物が開示される。ポリマーに結合した、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のシグナル伝達分子を含む組成物が開示される。例えば、表面の生物付着を阻止するための組成物であって、ポリマーに結合した、β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストを含む組成物が提供される。
本組成物の具体例では、前記ポリマーがメタクリル酸である。代案として、前記ポリマーが2-ヒドロキシエチルメタクリラートであってよい。
また、(i)式Iの付加体と、(ii)膜形成剤とを含む無毒コーティング組成物であって、前記式Iの付加体が、該組成物を適用する表面上における生物付着有機体の付着を阻害するのに有効な量で該組成物中に存在する、無毒コーティング組成物も提供される。無毒コーティング組成物の具体例では、前記付加体がノルアドレナリンであり、このノルアドレナリンは、該組成物を適用する表面上における生物付着有機体の付着を阻害するのに有効な量で該組成物中に存在する。また、(i)GPCRのシグナル伝達分子と、(ii)膜形成剤とを含む無毒コーティング組成物であって、前記GPCRのシグナル伝達分子が、該組成物を適用する表面上における生物付着有機体の付着を阻害するのに有効な量で該組成物中に存在する、無毒コーティング組成物も提供される。
「コーティング」は、いずれの一時的、半永久的又は永久的な層又は被覆をも表す。コーティングはガス、蒸気、液体、ペースト、半固体又は固体であってよい。さらに、コーティング液体として適用し、硬いコーティングに凝固させることができる。コーティングの例として、光沢剤、表面洗浄剤、コーキング剤(caulk)、接着剤、仕上げ剤、塗料、ワックス、重合可能組成物(フェノール樹脂、シリコーンポリマー、塩化ゴム、コールタール及びエポキシ配合物、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、エラストマー、アクリラートポリマー、フルオロポリマー、ポリエステル及びポリウレタン、ラテックス等)が挙げられる。シリコーン樹脂、シリコーンポリマー(例えばPTVポリマー)及びシリコーン熱硬化ゴムが本発明で使うのに好適なコーティングであり、例えばEncyclopedia of Polymer Science and Engineering (1989) 15: 204以下に記載されている。コーティングは融除できるか又は溶解できるので、マトリックスの溶解速度が、防汚剤が表面に送達される速度を制御する。コーティングを融除できないこともあり、防汚剤を表面に送達するための拡散原理に依存する。融除できないコーティングは多孔性又は非多孔性であってよい。ポリマー結合剤中に自由に分散した生物付着阻止剤を含むコーティングを「一体化(monolithic)」コーティングと称する。コーティングに弾力性を確保させて、コーティングすべき表面の柔軟性、例えば膨張又は収縮に適応させることができる。
組成物の膜形成成分は、表面が浸水しているとき、保護すべき表面に容易に適用でき、かつ接着するいずれの成分又は成分配合物でもよい。特定用途に合わせて選択すべき特定の膜形成成分は、保護すべき物品の材料と構造及びその性能要件によって変わるだろう。この発明の保護コーティングを表面に供給した後、コーティング中に存在する活性成分(例えば、式Iの付加体)が生物付着有機体と接触し、それによってそれらの付着(例えば、定着及び/又はセメント接着)を阻止する。この目的のために種々の合成ポリマーが有用である。好適なポリマー樹脂の例として、不飽和ポリマー樹脂、ビニルエステル、酢酸ビニル、及び塩化ビニル系樹脂並びにウレタン系樹脂が挙げられる。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和酸と酸無水物、飽和酸と酸無水物、グリコール、及びグリコールモノマーから形成される。好ましい膜形成成分は、天然ロイシンと塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマーの混合物である。この発明の実施に好適な市販の海洋塗料ビヒクルはAmerlock 698(Ameron International, Pasadena, Califの製品)である。同等の海洋塗料ビヒクルは、Jotan, AS, Sandefjord, Norwayからも入手可能である。
特定の化合物は、高い安定性及び標準的コーティングで使用する化学物質との適合性を示す。他の好ましい化合物は一定の持続放出をもたらす。さらに他の化合物は、放出後に相対的に短い半減期を有し、それらを広範な環境問題にとって特に安全なものにする。
「放出速度」又は「流束」は、化合物(例えば、GPCRシグナル伝達分子)の表面へのかつ究極的には表面からの送達又は拡散の速度を表す。放出速度は一定であるか又は経時的に持続性であってよく、或いは可変であってよい。しかし、一定の制御又は持続放出速度が一般的に好ましい。定常状態又は持続放出は、リザーバー(reservoir)膜(すなわち、一方の層が活性剤(例えば、GPCRシグナル伝達分子)を含み、他方の層が該活性剤を放出できる膜を生成する二層コーティング)の使用によって実現されうる。これとは別に、持続放出用の種々のマトリックスのいずれか内に活性剤をマイクロカプセル化することができる。少なくとも約100、150、200又は300μg/cm-2-1の放出速度が一時的使用又は再適用を要する使用に有用であろう。さらに持続放出用途では、約100μg/cm-2-1未満の放出速度が好ましく、約75未満、約50未満、約25未満、約10未満又は約5未満がさらに好ましい。
「持続放出」又は「制御放出」は、本発明の化合物の表面からの相対的に一定した又は長期にわたる放出を表す。これは、例えば本発明の化合物のコアを多孔性膜若しくは層で取り囲むリザーバー装置、また本化合物を不活性マトリックス全体に分布させるマトリックス装置などの拡散システムの使用を通じて達成することができる。リザーバー又はマトリックスを形成するために使用しうる材料として、シリコーン、アクリラート、メタクリラート、ビニル化合物、例えばポリ塩化ビニル、オレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、フルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、及びポリエステル、例えば、テレフタラートが挙げられる。拡散システムを膜又は他の層材料に形成してから、水面下用途を意図した構造と付着性接触させて置くことができる。或いは、本発明の化合物を樹脂、例えばポリ塩化ビニルと混合してから、本化合物を一体的に組み入れて、周囲環境への本化合物、又はその機能性部分の拡散を可能にする多孔性マトリックスを有する構造を形成する成形品の形にすることができる。マイクロカプセル化技術を用いて、本発明の化合物の持続性限局的放出を維持することもできる。安定性を高めるためにマイクロカプセル化技術を利用してもよい。カプセル化製品は、例えば、球形、又は連続した壁材内に包埋されたコア材の凝集体、又はキャピラリーデザインの形態を取りうる。本発明の化合物を含むマイクロカプセルのコア材は、液液、エマルション、固体の懸濁液、固体粒子、又は結晶の形態であってよい。当業者は、マイクロカプセルコーティング材として使うの適した多くの材料を知っており、限定するものではないが、有機ポリマー、親水コロイド、脂質、脂肪、炭水化物、ワックス、金属、及び無機酸化物が挙げられる。シリコーンポリマーは、最も好ましい表面処理用マイクロカプセルコーティング材料である。マイクロカプセル化技術は当該技術分野で周知であり、参照により本明細書に援用されるEncyclopedia of Polymer Science and Engineering, Vol. 9, 724ページ以下(1989)に記載されている。
「有効量」という表現は、規定表面に付着する有機体の数(細胞/mm2)を未処理表面に付着する数に比べて有意に減少させる開示された防汚化合物の量を表す。少なくとも2の係数で、表面に付着する有機体の数を減少させる量が特に好ましい。なおさらに好ましくは4の係数、さらに好ましくは6、8、10、15、20以上の係数で表面に付着する有機体の数を減少させる量である。本明細書で開示する組成物の具体例では、ノルアドレナリンがポリマー表面上に約30μM〜約100μMの量で存在する。表面上の式Iの付加体又はNAの濃度を測定できる方法がある。例えば、分析的表面分析技術、例えばX線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy)(XPS)及び静的二次イオン質量分析法(Static secondary ion mass spectroscopy)(SIMS)を用いて表面上に存在するNAの量を測定して、NA結合ポリマーを特徴づけることができる。
開示された生物付着阻止組成物では、ノルアドレナリンが膜形成剤に共有結合していてよい。
生物付着阻止組成物を含む塗料が提供される。一例では、本塗料を海洋塗料として調合する。例えば、Burgessら(2003);及びYebraら(2004)を参照されたい。
生物付着阻止組成物を含むワニスが提供される。一例では、ワニスを海洋ワニスとして調合する。
有効量のGPCRシグナル伝達分子を含む防汚表面であって、前記シグナル伝達分子又はその生物学的に活性なフラグメントが前記表面から放出される防汚性表面が提供される。開示された防汚性表面では、GPCRシグナル伝達分子がβ-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストでありうる。防汚性表面のさらに特有の例では、前記β-アドレナリン作動性の受容体のアゴニストがノルアドレナリンである。
防汚性表面のさらなる例では、化合物の放出が持続放出である。防汚性表面の別の例では、化合物の放出が一定速度である。
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された化合物、組成物、物品、装置をどうやって作り、評価するか、及び/又は特許請求の範囲に記載された方法をどうやって行ない、評価するかの完全な開示及び説明を当業者に与えるために提示するものであり、発明者らが自分たちの発明とみなすものの範囲を限定する意図ではない。数値(例えば、量、温度など)について正確さを確保するため努力したが、いくらかのエラー及び偏差を計上しなければならない。特に断らない限り、部は質量部であり、温度は℃又は周囲温度であり、圧力は大気圧又は大気圧に近い。
(実施例1)
表面固定化ノルアドレナリン分子の、イースタン・オイスター(Eastern Oyster)クラッソストレア・ヴァージニカ種(Crassostrea virginica)の接着血球に及ぼす効果
(材料と方法)
材料:イニファーター(iniferter)N,N-(ジメチルアミノ)ジチオカルバモイルベンジル(トリメトキシ)シラン(SBDC)を合成し、前述のように精製した(de Boer, Simon et al. 2000; Rahane, Kilbey et al. 2005)。モノマーメタクリル酸(MAA;99%,Aldrich)と2-ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA;>99%,Sigma)を活性化中性酸化アルミニウム(Brockmann I, Acros)を含むカラムに通すことによって脱抑制し、きれいな乾燥シンチレーションバイアルに収集した。脱抑制モノマーを直ちに重合に用いた。1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI;97%,Acros)、DL-ノルアドレナリン(NA;Sigma)、ホウ酸(>99.5%、Fisher)、四ホウ酸ナトリウム(99.5〜105.0%、Fisher)、リン酸水素二ナトリウム(sodium phosphate dibasic)(>99%,Riedel-de Haen)、無水ジメチルスルホキシド(DMSO;>99.7%,Acros)、無水ジメチルホルムアミド(DMF;>99.8%,Fluka)、エタノール(>99.5%,Fisher)及びアセトン(>99.5%,Fisher)は、受け取ったまま使用した。
まず、前述のように、透明の顕微鏡スライドからカットした1cm×1cmのガラス基板上にイニファーターSBCDの自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer)(SAM)を沈着させた(Rahane, Kilbey et al. 2005; Harris and Metters 2006)。重合のため、MAA又はHEMAのどちらかを純粋形態で又は脱イオン水中75%の溶液として使用した。モノマーとしてMAA及びHEMAを選択したのは、それらは表面からのグラフト化が非常にやりやすく、かつ本実験条件下で架橋ゲルを形成しないからである。さらに、MAA及びHEMAは両方とも、ポリマー鎖長全体にそれぞれ反応性-COOH及び-OH側基を備えるので、それを利用して、生物分子を結合することができる。
光重合:酸素はフリーラジカル重合の既知阻害因子なので、モノマー溶液をSchlenkフラスコ内で凍結-真空-解凍周期によって脱気して全ての溶解酸素を溶液から除去した。
マスクアライナーシステム(mask aligner system)(Hybralign Series,OAI)で光重合を行なった。365nmのUV光線を25mW/cm2の一定強度で維持した。1つのSAM基板を特別に製作されたTeflon曝露セル内に置き、その基板の回りにViton o-リングを置いた(図1参照)。曝露セルをマスクアライナー上に置いた。透明ガラス窓のあるフードで上端を閉じて重合チャンバーを形成し、連続的にN2でパージした。フードを開け、ガラス注射器を用いて各基板上に約10滴(約100μl)の脱気モノマー溶液を置いた。フードを閉じ、プラットホームを垂直に上げて、o-リングがガラスに触れて気密シールを形成するようにした(図1参照)。基板全体がモノマー溶液で覆われ、基板表面上に気泡が形成されないように注意した。UV光線のスイッチを入れて要件に応じて10〜60分間作動させた。曝露後、基板をエタノールですすぎ、エタノール中で40〜60分間超音波処理して如何なる未反応モノマー及び未グラフト化ポリマーデブリをも除去した。基板をエタノールですすぎ、N2ガス流下で乾燥させ、きれいな乾燥試験管内で貯蔵した。
ポリマーグラフト化表面の特徴づけ:原子間力顕微鏡(AFM)を利用してガラス基板上のグラフト化ポリマーの存在と厚さを測定した。重合後、基板の2つの反対縁間の狭いストリップ(約200μm幅)に沿ってアルミニウム片を用いてポリマーを機械的に除去した。基板をエタノール中で超音波処理してポリマーデブリを除去し、N2ガスで乾燥させ、原子間力顕微鏡を用いて走査した。Veeco Dimension 3100 AFMでDNPカンチレバーを用いて下記走査パラメーターで走査を行なった:走査サイズ:60〜80μm;アスペクト比:16:1;走査速度:1Hz;ライン数/走査:512。ポリマーとガラス基板との間の高さの差異を用いてポリマー層の厚さを計算した。
MAA及びHEMAグラフト化を有するそれぞれ少なくとも3つのサンプルは、細胞培養で対照として使うためにいずれもさらに修飾せずに別にして取っておいた。残りのMAA及びHEMAグラフト化基板(それぞれ15〜20)を後述するようにNAの結合のために使用した。
DL-ノルアドレナリンの結合:カルボニルジイミダゾール化学を利用して、MAAのカルボキシル-COOH基及びHEMAのヒドロキシル-OH基へのNAの共有結合を行なった(図2A参照)。シンチレーションバイアルを使用前に真空オーブン内で100℃にて1時間乾燥させて活性化工程中の水分の存在を減少させた。MAA及びHEMAグラフト化基板を個々のシンチレーションバイアル内に置き、シリコーンセプタムねじ蓋で封止し、少なくとも15分間N2ガスでパージした。無水DMSO中30mg/mlのCDI溶液3ミリリットルを各バイアルに添加し、オービタル振とう機で24時間反応させた。次に基板をアセトンですすぎ、無水DMSO中で15分間超音波処理して反応生成物(図2A参照)及びいずれの未反応CDIをも除去した。サンプルをN2で乾燥させ、シリコーンセプタムねじ蓋を備えた個々のきれいな乾燥シンチレーションバイアルに入れてN2ガスでパージした。pH8.0のホウ酸緩衝液中1mg/mlのノルアドレナリン溶液(NA)3ミリリットルを各バイアルに添加した。pH8.0の緩衝液中で基板をすすぎ、15分間超音波処理して反応生成物を除去した(図2参照)。サンプルをN2で乾燥させ、シリコーンのセプタムねじ蓋付の個々のきれいな乾燥シンチレーションバイアル内に置き、N2でパージした。pH8.0のボレート緩衝液中の1mg/mlノルアドレナリン溶液(NA)の3ミリリットルを各バイアルに加えた。結合反応を、緩やかに撹拌しながら暗所で24時間継続した。基板をpH8.0の緩衝液中ですすぎ、15分間超音波処理して反応生成物を除去した(図2参照)。反応生成物をN2で乾燥させ、きれいな乾燥試験管内で-4℃にて貯蔵した。基板を3日以内のNA結合の細胞培養のために使用した。
このガラス基板から最終的な共有結合によって固定化したNAを有する生物活性基板への光重合からのプロセス全体を図3に示す。小さい赤線は、上記CDI化学を利用してNAが結合する、MAA及びHEMAのそれぞれ-COOH及び-OH反応性側基を示す。
(カキ培養)
Pemaquid Oyster Company Inc.(Waldoboro, Maine)から成体イースタン・オイスター・クラッソストレア・ヴァージニカ種を購入した。受け取った後、180ガロン(681リットル)のタンク内で18℃にて、塩分31%、飽和レベルの溶解酸素のある人口海水中でカキを維持した。1週間に2回、Shellfish Diet 1800(登録商標)(Reed Mariculture Inc. Campbell, CA)をカキに与えた。カキ血球を得るため、セメントのこぎりでカキの殻に切込みを入れて、内転筋からの血リンパ抽出を可能にした。使い捨て注射器に取り付けられた22ゲージ針を内転筋に挿入し、約1mlの血リンパを取り出した(Lacoste, Cueff et al. 2002)。
(対照表面の定義)
接着血球に対するNA結合ポリマー表面の効果を評価するため、NA結合ポリマーと並行して種々の対照表面を試験した。対照表面にはガラスカバースリップ、NAが結合していないMAA及びHEMAポリマーグラフト化表面が含まれ、以後、それらを対照表面と称する。全ての対照表面に対して血球反応が同様だったので、ここで提示するデータは上記対照表面から得た代表的な画像である。
(カルセインAM(Calcein-AM)染色で評価した血球の生存能)
前述したようにカキ血球を得;約500μlの血リンパを対照表面、NA-HEMA及びNA-MAAポリマー表面上に播種した。血球を基板上に18℃で45分間接着させ、定着させた。次に基板を2回それぞれ軟体動物PBS(PBSオスモル濃度が血リンパと調和した)で3分間洗浄して血リンパと未接着細胞を除去した。次に、各基板を軟体動物PBSを含む60×15mmのペトリ皿(Fisher Scientific)に18℃で入れた。カルセインAMは、アセト-メトキシ-エステルと結合したフルオロフォアである。エステラーゼを有する生細胞は、この色素を取り込み、該色素のAM成分を切断し、それを蛍光性にする。基板に、軟体動物PBS中10μMのカルセインAM溶液(Invitrogen)を加えて暗所で20分間インキュベートした。次に基板を2回それぞれ軟体動物PBSで5分間洗浄してカルセインAM色素を除去した。4',6-ジイミダゾ-2-フェニルインドール二塩酸塩又はDAPIの30OnM溶液(Invitrogen cat#1306)で5分間血球を逆染色した。基板を2回それぞれ軟体動物PBSで5分間洗浄して過剰のDAPIを除去した。カルセインAM及びDAPIに適したフィルターセットを備えたCarl Zeiss Axiovert-135倒立顕微鏡(Carl Zeiss Inc.)で4O倍の油浸レンズを用いて蛍光顕微鏡検査を行なった。Zeiss Axiocam MRC-5カメラを用いてデジタル画像を記録した。
(血球細胞骨格に及ぼすNA結合ポリマー表面の効果)
前述したようにカキ血球を得、対照、NA-MAA及びNA-HEMA表面上でインキュベートした。表面上で血球を18℃で45分間接着させ、定着させた。次に基板を2回それぞれ軟他動物PBSで3分間洗浄した。次に、PBS中で作り上げた4%のパラホルムアルデヒドを用いて細胞を基板上で30分間固定した後、それぞれ5分間PBSで3回洗浄した。細胞を浸透させるため、基板をTriton-X 100の0.1%溶液と5分間インキュベートした後、それぞれ3分間2回洗浄した。次にFITC-ファロイジン(Phalloidin)の50μM溶液(Sigma-Aldrich)内で基板を30分間インキュベートした後、それぞれ5分間2回洗浄して過剰のファロイジンを除去した。血球を保有する基板を次にDAPIで逆染色し、前述したように蛍光顕微鏡検査を行なった。
(NA結合ポリマー表面が接着血球にアポトーシスを誘発する能力の評価)
前述したように血球を得、対照、NA-MAA及びNA-HEMA表面上でインキュベートした。細胞を保有する基板をVybrant Apoptosis Assay Kit #11(Invitrogen)を用いて解析した。このアッセイは、ホスファチジルセリンの、細胞膜の内膜(inner leaflet)から外膜(outer leaflet)への転位置を検出する。キットに付随するプロトコルに従ってアッセイを行なった。ここでは簡単に要約する。インキュベーション後、血球を保有する基板をミトコンドリア色素MitoTracker Red(キットと共に供給された)とインキュベートし、簡単に洗浄後、基板をアネキシン結合緩衝液及びAlexa Fluor 488 Annexin-V(キットと共に供給された)と30分間インキュベートし、前述したように蛍光顕微鏡検査を行なった。
(血球とNA結合ポリマー表面との間の相互作用を走査型電子顕微鏡を用いて可視化)
前述したように、血球を対照、NA-MAA及びNA-HEMAポリマー表面上でインキュベートした。次に、10OmMのカコジル酸ナトリウム緩衝液(EMS)中で作り上げた2.5%のグルタルアルデヒドと2%のパラホルムアルデヒドの混合物(Electron Microscopy Sciences EMS, Hatfield, PA)を用いて血球を基板上で30分間4℃で固定した。次に基板を3回それぞれ10分間洗浄した。次に、カコジル酸ナトリウム緩衝液中で作り上げた四酸化オスミウムの1%溶液(EMS)を用いて20分間細胞を後固定した。後固定に続いて、細胞保有基板を脱イオン水で3回それぞれ10分間洗浄した。細胞を脱水するため、25%、50%、75%、80%、90%、100%のエタノール段階系列に基板を通した。段階系列では、50%〜100%のエタノールで脱水を0℃で行なって抽出を最小限にした。サンプルをエタノール中で臨界点乾燥器(critical point dryer)(CPD)のチャンバーに移した。液体CO2で3回それぞれ5分間基板を洗浄してサンプルからエタノールを除去した。31℃で1072psi(7.39×106Pa)にて臨界点乾燥を行なった。CPD後、両面カーボンテープを用いて基板をアルミニウムスタブ上に取り付け、金-パラジウム標的を備えたDentonスパッターコーターを用いてスパッターコーティングした。Hitachi Field Emission-S4800及びHitachi-S3400走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて基板を画像化した。
結果:
(NA結合ポリマー表面は接着血球の細胞骨格に悪影響を及ぼす)
対照表面に接着している血球はカルセインAMに標識される。対照表面に接着している細胞は、明るいカルセインAM標識を示し、DAPIに標識されず(図4A)、ポリマー表面のみでは接着細胞にいかなる有害効果をも与えないことを示している。NA-MAA又はNA-HEMA表面に接着している血球は、カルセインAM標識からの蛍光を全く示さず、DAPIに標識され、これらの表面に接着すると細胞の生存能が損なわれることを示している。
ポリマー表面は接着細胞の細胞骨格構造に作用を及ぼすことが知られている(Shunji Nagahara 1996; Masayuki Yamato 1999; Shin-Ichi Sawada 2006)。接着血球のアクチンフィラメントを標識することによって、NA結合ポリマー表面の効果を評価した。対照表面に接着している細胞は、アクチンフィラメントの拡散パターン及びストレスフィラメントが存在しないことを示す(図4B)。NA-MAA表面に接着している血球は、ストレスを受けたアクチンフィラメントを示す(図4C-D)。接着血球では、アクチンの異常な局在化及び崩壊細胞膜も見られる(図4C-D矢印)。NA-HEMA表面も接着血球のアクチンフィラメントに同様の作用を及ぼす。NA-HEMA表面に接着している細胞は、進行型崩壊を受けたように見えることがある(図4E-F)。細胞骨格の分解が接着血球からの核の損失をもたらしたようである。図4Fには細胞外核で被包された血球が見える。総合すれば、このデータは、MAA及びHEMA表面のみでは接着細胞の細胞骨格に如何なる有害な作用をも及ぼさないことを示している。NA結合HEMA/MAAポリマー表面は、接着血球における細胞骨格の分解を誘発する。
NA結合ポリマー表面が細胞の生存能に及ぼす効果を評価するため、対照表面及びNA結合ポリマー表面上に接着している細胞をAnnexin-Vアポトーシスアッセイで解析した。対照表面上でインキュベートした血球は、MitoTracker Redによる強い染色を示し、細胞が生存可能かつ健康であることを示している。これらの細胞はAnnexin-Vでは標識されず、アポトーシスが存在しないことを示している(図5A)。NA-MAA及びNA-HEMAポリマー表面上でインキュベートした血球は、MitoTracker Redでは標識されないが、Annexin-Vで標識され、NA結合ポリマー表面との相互作用の結果として細胞のアポトーシスが進行していることを示している(図5B)。
NA-MAA表面上でインキュベートした血球は異常な形態を示し、細胞膜が崩壊しているか又は細胞の周縁に向けて小疱形成しているように見えることがあり、おそらくアポトーシスの最終段階の指標であろう(Lacoste, Cueff et al. 2002)(図6B-D)。NA-HEMA上でインキュベートした細胞は、NA-MAA表面上でインキュベートした当該細胞と同様の効果を示す。アポトーシス体に似た崩壊細胞膜がはっきり見える(図6C-E)。NA結合表面が接着細胞内でアポトーシスを誘発することの指標であり、NA-MAA表面に接着している2つの隣接血球では、一方の細胞が崩壊しているが他方の細胞は無傷のままに見えることがある(図6F)。以前の結果を踏まえたこれらの結果は、NA結合ポリマー表面が接着分子内でアポトーシスを誘発することを示しており、その結果、膜が崩壊している細胞が表面上に見える。
(マイクロモル濃度のノルアドレナリンを用いたカキ幼生の処理効果)
幼生の処理は、定着行動及びセメント接着の完全な破壊をもたらす。カキ幼生は、セメント接着せずに成体カキに変態する。これらのカキは生存可能であり、正常に成体に発育する。
(実施例2)
NAによるフジツボ(タテジマフジツボ(Balanus amphitrite))のキプリド幼生の定着阻害
方法:
フジツボキプリドを30〜100マイクロモル範囲のノルアドレナリンで攻撃した。フジツボキプリドを120時間(5日)にわたってモニター及びアッセイした。キプリド変態を24、48、96、120時間間隔で画像化した。各間隔で画像を取り、サンプルをSEM解析用に保存した。実験の最終日に、変態したフジツボを生存能についてアッセイした。実験毎に3通り4回実験を繰り返した。
結果:
ノルアドレナリンによるキプリドの処理は、それらが表面に定着又は付着するのを防止した。この処理は、キプリドの生存能には影響を与えず、被処理キプリドは変態して成体になった。
NAを含むASW内でフラッシュ誘発によるか又はキプリドをインキュベートすることによるキプリドの後処理。キプリドは泳ぎを止めてペトリ皿の底に沈み、胸肢及び小触角が瞬間動いた。この観察は、Coon, Bonar et al 1986(この論文では、NA処理したカキ幼生が泳ぎを止めてペトリ皿の底に沈んだ)と類似する。キプリドの著明な「探索行動」(Hisashi Yamamoto 1999)もNA処理後に失われ、キプリドは基層に付着又はセメント接着しなかった。NA処理24時間後、キプリドは脱皮のいずれの徴候をも示さなかった。脱皮の開始は、NA処理後24〜48時間で観察された。変態する幼年フジツボが二枚貝のキプリド甲皮内に包まれて見えた。毛状突起の拍動と同様の胸部のポンプ作用も観察された(Glenner and Hoeg 1993)。NA処理72時間後、変態するフジツボが基底板と鰓蓋板(opercular plate)との間の該分界を認識しうる特徴を示した。脱皮するフジツボの一部は未だにキプリド甲皮内に包まれていたが、他のフジツボは二枚貝の甲皮を脱いだ。甲皮を脱いだキプリドは、未処理の付着キプリドで観察されるように自発的に甲皮を脱いだのとは対照的に、成長して「甲皮が小さくなった」と推定された(Glenner and Hoeg 1993)。基底板からの境界が明瞭な鰓蓋が幼年フジツボで観察された。NA処理96時間後、背板と鱗甲板のある鰓蓋が壁板からの境界を十分に画定している。対照的に、対照フジツボは、定着約24〜48時間後、よく認識できる壁と鰓蓋殻板で完全に石灰化したことが分かる。従って、NA処理キプリドは完全に変態及び石灰化するのに96時間かかったが、基層には付着もセメント接着もしないままだった。
(実施例3)
ポリマーへのNA結合の特徴づけ及びイースタン・オイスター・クラッソストレア・ヴァージニカ種の接着血球に及ぼす抗体遮断表面結合ノルアドレナリン分子の効果の理解
(DSC化学を用いてNA分子をHEMA表面に結合する方法)
以下の実験では、DSC化学を用いてNAをpHEMAの-OH基に結合した(図2B)。使用前に真空オーブン内で100℃にて1時間シンチレーションバイアルを乾燥させて、活性化工程中の水分の存在を減少させた。この乾燥バイアルにpHEMAグラフト化サンプルを個別に入れた。無水ジメチルホルムアミド(aDMF)に4mg/mlの炭酸ジスクシンイミジル(DSC)を溶解させた後、等モル量のジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加することによって活性化溶液を調製した。このDSC+DMAP溶液3mlを各バイアルに添加し、蓋を閉めた。オービタル振とう機で6時間活性化後、DSC+DMAP溶液をバイアルから除去し、3mlの新鮮なaDMFを加えた。サンプルを振とう機上でlO分間洗浄して未反応成分と反応副生物を除去した。次にサンプルを脱イオン水ですすいでDMFを洗い流した。即座に、それぞれpH8.0のリン酸緩衝液中lmg/mlのノルアドレナリン(NA)溶液3mlを含むきれいなシンチレーションバイアルにサンプルを入れた。NAの結合はオービタル振とう機上一晩で起こった。サンプルを緩衝液ですすぎ、15分間超音波処理して未反応NA及び反応副生物を除去した(図2B)。最後にサンプルを脱イオン水ですすぎ、N2ガス流下で乾燥させ、封止試験管内で貯蔵した。
(AFMを用いたNA結合HEMA表面の特徴づけ)
結合手順を開始する前に原子間力顕微鏡(AFM)を用いてpHEMAポリマー層の厚さを測定した。NA結合HEMA基板及びDSCで処理したがNAのない対照基板についてAFM測定走査を繰り返した。結合前後の厚さを比較した。表面グラフト化ポリマーブラシへのいずれの分子の結合も、局所的な立体障害を増やし、ポリマー鎖を伸長させ、それが測定ポリマー層厚の増加につながる。
(XPSを用いたNA結合HEMA表面の特徴づけ)
15kV及び15mAで動作するアルミニウムKα源を備えたKratos Axis 165システムを用いてX線光電子分光法(XPS)を行なった。検査スキャンで運転する半球型分析器で8OeVの通過エネルギーを使用し、高分解能スキャンでは2OeVの通過エネルギーを使用した。XPS特徴づけでは、NAをHEMAに結合させた2つのサンプル群を用いた。2つのサンプル群は以下のとおりである。A) i) NA+HEMA表面、NAのないDSC結合を通じて得たHEMA対照表面、及びiii)非修飾HEMA表面を含む、DSC化学を利用するNA結合。B) i) NA+HEMA表面、NAのないCDI結合を通じて得たHEMA対照表面、及びiii) 非修飾HEMA表面を含む、CDI化学(実施例1に記載)を利用するNA結合。
(抗ノルアドレナリン抗体で処理したNA+pHEMA表面)
共有結合したNA分子が実際に接着血球においてアポトーシスを誘発する原因であるかを決定するため、pHEMA基板に結合したNAを抗アドレナリン抗体で遮断した(Advanced targeting systems)。NA+pHEMA基板を振とう機上で一晩PBS中1:500希釈の抗NA抗体とインキュベートした。対照目的のため、NA+pHEMAポリマー基板を抗アドレナリン抗体なしで振とう機上PBS中でインキュベートした。インキュベーション後、表面を3回それぞれ5分間洗浄した。
実施例1で述べたようにカキ血球を得た。約500μlの血リンパをNA+pHEMA基板上に等分した。血球を18℃で45分間インキュベートした。未付着細胞を除去するため、基板を2回それぞれ3分間軟体動物リン酸緩衝食塩水(PBS)(PBSオスモル濃度が該血リンパと調和した)で洗浄した。次に、18℃で軟体動物PBSを含む60mm×15mmのペトリ皿(Fisher Scientific)に各基板を入れた。軟体動物PBS中マイクロモル濃度のカルセインAM溶液(Invitrogen, Carlsbad, CA, cat#C3099)を基板に添加し、暗所で20分間インキュベートした。次に基板を2回それぞれ5分間軟他動物PBSで洗浄して過剰色素を除去した。カルセインAMはアセトキシ-メチルエステルと結合したフルオロフォアである。エステラーゼ酵素を有する生細胞は、この色素を取り込み、該色素のAM成分を切断し、それを蛍光性にする。4',6-ジイミダゾ-2-フェニルインドール二塩酸塩又はDAPIの30OnM溶液(Invitrogen)で5分間血球を逆染色した。基板を2回それぞれ軟体動物PBSで5分間洗浄して過剰のDAPIを除去した。DAPI及びカルセインAMに適したフィルターセットを備えたNikon-TiE顕微鏡で観察を行なった。生存能アッセイ後、実施例1で述べたように同一サンプルを細胞骨格アッセイのために加工した。
非修飾HEMA基板、並びにNAを全く添加しないCDI及びDSCの両結合反応を通じて得たHEMA基板を用いて対照実験を行なった。
(結果)
(NA+pHEMA表面のAFM特徴づけ)
NAをpHEMA鎖に結合した場合、ポリマー層厚の有意な増加が観察された(図7)。結合手順中にNAを添加していないpHEMAサンプルに同手順を繰り返した場合、このような有意な増加は観察されなかった(図7)。これは明らかに、DSC化学を用いてNAがpHEMA鎖にうまく結合したことを示唆している。全てのサンプルをNA結合後に超音波処理に供したので、吸着NAによる高さの変化は完全に排除された。
(NA+pHEMA表面のXPS特徴づけ)
CDI及びDSC化学を用いたいずれの場合にも、NA結合HEMA表面のXPSスペクトルに窒素ピークが観察された(図8)。CDI及びDSCの両サンプル群から得た対照表面のXPSスペクトルは窒素ピークを示さなかった(図8)。HEMA鎖は如何なる窒素をも持たないので、窒素ピークの出現は、NA分子上の一級アミン(-NH2)とHEMAポリマー鎖上のヒドロキシル基(-OH)との間のアミド結合の形成を裏付ける。全てのサンプルをNA結合後に超音波処理に供したので、吸着NAの存在は完全に排除された。
(NA+pHEMA表面の作用機序の理解)
抗NA抗体で処理したNA+pHEMAポリマー基板に接着している血球は、カルセインAM染色を示し、DAPI染色を示さず(図9A)、無傷の細胞膜を有して生存可能であること示している。抗NA抗体のないNA+pHEMA基板に接着している血球は、カルセインAMで標識されず、DAPIで標識され(図9B)、細胞が生存不能であり、損なわれた細胞膜を有することを示している。抗NA抗体で処理したNA+pHEMA基板に接着している血球は、細胞骨格アッセイで実証されるように、ストレスを受けた細胞骨格を示さなかった(図9C)。NA+pHEMA基板に接着している血球は、ストレスを受けたF-アクチンフィラメント、膜の崩壊及び小疱形成を示した(図9D及び挿入図)。対照表面では、結果は抗NA抗体で処理したサンプルと同様だった。対照基板は図9A及び9Cに示す結果と同様に、細胞の生存能にいずれの効果をも与えす、細胞の細胞骨格に有害な作用を及ぼさなかった。
(実施例4)
フジツボの定着行動に及ぼすノルアドレナリンの効果
無脊椎動物の幼生による表面の探索は、付着及び幼年への変態につながる重要なステップである。カキの有足ベリジャー幼生及びフジツボのキプリド幼生は、ずらりと並んだ感覚細胞を有する探索構造を用いて表面を調査する。フジツボ(タテジマフジツボ)のキプリドについて、神経伝達物質ノルアドレナリン(NA)の効果を調べた。1日齢のキプリドを30〜100mMの範囲のマイクロモル濃度のNAで攻撃して5日にわたってアッセイした。Zeiss discovery V12及びNikon AZlOO立体鏡を用いて多次元画像処理を行ない、24時間間隔でサンプルをSEM解析用に保存した。NA攻撃後にキプリドの「探索行動」が損なわれ、キプリドは基層にセメント接着できなかった。キプリド-成体脱皮のかなりの遅れが注目された。変態した若年型には小触角などのキプリド器官の残遺物がはっきり見える。若年フジツボは、対照と比較した場合、正常のように見えた。キプリドをカキ幼生と比較して、幼生の定着に関与するシグナル伝達カスケードに及ぼすNAの効果を理解し、天然の防汚剤としてのNAの可能性を探究した。
(材料と方法)
タテジマフジツボの1日齢キプリド幼生を30μm範囲のノルアドレナリンで攻撃した。キプリドを2つの異なる方法で攻撃した。1群は、3時間フラッシュ攻撃してから人工海水(ASW)で洗浄し、実験の残りの持続時間、NAのないASW中でインキュベートした。第2群は、NAと24時間インキュベートしてからASWで洗浄し、実験の残りの持続時間、ASW中でインキュベートした。120時間(5日)にわたってフジツボキプリドをモニター及びアッセイした。
キプリド変態を24、48、96、120時間間隔で画像化した。各間隔で画像を取り、サンプルをSEM解析用に保存した。Zeiss discovery V 12立体顕微鏡、Nikon AZ 100立体顕微鏡及びHitachi-4800電界放射型走査電子顕微鏡(field emission scanning electron microscope)を用いてキプリド幼生を画像化した。
実験の最終日に、変態したフジツボを生存能についてアッセイした。毛状突起の動き及び変態したフジツボが正常に摂食する能力を観察することによって、生存能を確認した。
実験毎に3通り4回実験を繰り返した。
(結論)
NAは、キプリド幼生の「探索行動」を阻害する。NA処理したキプリドは、基層に定着又はセメント接着しない。NA処理はキプリド幼生に毒性ではない。NA処理は、キプリド-成体脱皮をかなり遅らせる。キプリド器官の残遺物が脱皮フジツボ上で同定可能である。30〜100μM濃度のNAの効果は、ほとんど変化なく同様である。NAは、フラッシュ攻撃キプリド及び長期曝露キプリドに同様の効果を発揮する。NA刺激は、カキ有足ベリジャー幼生に作用するのと全く同様にフジツボキプリドに作用し、軟体動物門(カキ)及び節足動物門(フジツボ)におけるカテコラミンの受容体の高度の保存を示している。
NAがカキ及びフジツボの両幼生に発揮する同様の作用を鑑みると、これらの作用を媒介する受容体のレパートリーがこれら2つの種で同様であると考えられる。定着行動を防止してもなお正常な発育を許すNAの能力は、発育に関与するシグナル伝達とは無関係に、定着に関与するシグナル伝達を阻止する機会を提供する。さらなる二枚貝ファミリー、例えばイタヤガイ科(Pectinidae)(マゼランツキヒガイ(Placopecten magellanicus))及びイガイ科(Mytilidae)(ムラサキイガイ(Mytilus edulis))の有足ベリジャー幼生は、幼生足内にカテコラミン含有細胞をも有する。これらの感覚細胞は、定着中に表面の手がかりを知覚するときに用いられる。それらはNAの受容体を有しうるので、本発明の生物付着阻止方法及び組成物の標的である。
当業者には、本発明の範囲及び本質を逸脱することなく、種々の修正及び変更を本発明において行なえることが明白であろう。本明細書で開示した本発明の明細及び実施の考察から、当業者には本発明の他の実施形態が明白であろう。明細及び実施例は例としてのみ考慮され、本発明の真の範囲及び本質は、以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。
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この出願全体を通じて、種々の出版物を参照している。これらの出版物の開示はその全体が、この発明が属する最新技術をさらに完全に説明するため、この出願に参照により援用される。

Claims (29)

  1. 表面の生物付着を阻止する方法であって、ノルアドレナリン式Iを有する付加体を前記表面に付着させる工程を含む方法。
  2. メタクリル酸及び2-ヒドロキシエチルメタクリラートから成る群より選択されるモノマーによって前記式Iを有する付加体を前記表面に付着させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記表面が、海洋環境にさらされた表面である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記表面が、船体、プロペラ、地震ストリーマー、ドック、石油掘削装置、ガス掘削装置、輸送管路、発電所取水システム、熱交換器、配管網、魚網及びケージから成る群より選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 表面上での軟体動物の定着及びセメント接着を防止する方法であって、式Iを有する付加体を前記表面に付着させる工程を含む方法。
  6. 前記軟体動物が、カキから成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 表面上での甲殻類の定着及びセメント接着を防止する方法であって、式Iを有する付加体を前記表面に付着させる工程を含む方法。
  8. 前記甲殻類が、フジツボから成る群より選択される、請求項4に記載の方法。
  9. 海洋表面に配置されたポリマーベースコーティングを含む無毒の生物付着阻止システムであって、前記コーティングが、式Iを有する付加体を含むシステム。
  10. ポリマーに結合したノルアドレナリンを含む組成物。
  11. 前記ポリマーがメタクリル酸である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記ポリマーが2-ヒドロキシエチルメタクリラートである、請求項10に記載の組成物。
  13. (i)式Iを有する付加体と、(ii)膜形成剤とを含む無毒コーティング組成物であって、前記ノルアドレナリンが、前記組成物を適用する表面上での生物付着有機体の付着を阻害するのに有効な量で前記組成物中に存在する、組成物。
  14. 前記式Iを有する付加体が、約30μM〜約100μMの量で存在する、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記式Iを有する付加体が、前記膜形成剤に共有結合している、請求項13に記載の組成物。
  16. 請求項13に記載の組成物を含む塗料。
  17. 海洋塗料として調合されている、請求項16に記載の塗料。
  18. 請求項13に記載の組成物を含むワニス。
  19. 有効量の、式Iを有する付加体を含む防汚表面であって、該化合物又はその生物学的に活性なフラグメントが前記表面から放出される、防汚表面。
  20. 前記化合物の放出が持続放出である、請求項19に記載の防汚表面。
  21. 前記化合物の放出が一定速度である、請求項19に記載の防汚表面。
  22. 前記式Iの付加体がノルアドレナリンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記式Iの付加体がノルアドレナリンである、請求項9に記載のシステム。
  24. 前記式Iの付加体がノルアドレナリンである、請求項10〜21のいずれか1項に記載の組成物。
  25. 防汚表面を調製する方法であって、式Iを有する付加体を前記表面に付着させる工程を含む方法。
  26. 前記式Iの付加体がポリマーに結合している、請求項25に記載の方法。
  27. 前記ポリマーがメタクリル酸である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記ポリマーが2-ヒドロキシエチルメタクリラートである、請求項26に記載の方法。
  29. 前記式Iの付加体がノルアドレナリンである、請求項25に記載の方法。
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