JP2016515999A - 防汚物質 - Google Patents

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Abstract

本明細書に記載する本発明は、ヒドロキシル化及びフッ素化化合物を基材とする新規ファミリーの防汚剤を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、概して、防汚剤及びその使用に関する。
生物付着は、生物及びその副産物が、表面を覆うプロセスである。細菌の場合、このプロセスによって、バイオフィルムと呼ばれる明瞭な細菌ネットワークが形成される。バイオフィルムは、抗生物質への暴露下で、細菌に優れた生存特性をもたらす。医療機器及びインプラント上のバイオフィルムの形成は、重篤な感染を招き、それによって患者が死亡する場合もある。
船舶及び他の海洋機器への海洋生物の付着は、フジツボや海産イガイなどの生物が、装置の表面に厚く、重い生物膜を形成することから、海洋産業の主要な課題である。この付加された重量によって、輸送の遅延及び燃料の消費増加が起こる。さらに、船体でのコロニー形成は、大気中へのガス(CO、CO、SO、及びNOx)の排出及び海洋生物生息地への侵入生物種の導入という2つの主要な環境汚染と関連している。
例えば、冷却塔及びタービンなど、その工程で水を使用する他の産業でも、生物付着の蓄積及びパイプの詰まりに絶えず苦慮している。
生物付着は、基板へのタンパク質及び多糖の吸着で開始するため、多くの防汚アプローチは、タンパク質吸着の防止又はその分解により、生物付着を回避することを目標とする。これらのアプローチは、表面の化学及び局部修飾の両方を含む。
防汚物質は、生物が表面に付着するのを防止する。このような物質を設計する上での課題は、実際の環境で機能して、表面への生物の付着を防止すると同時に、毒性分子を放出することによりその周辺環境に影響を及ぼすことがない物質の合成を可能にすることにある。塗料及び金属ナノ粒子などの防汚物質は、上記生物の基板への付着を防止するが、これらは、環境に対し毒性及び有害である。
PEGを固定化することは、タンパク質耐性を表面に付与するために最も一般的に用いられているアプローチの1つである。PEGを基材とするコーティングの防汚性は、広く知られている。通常、PEG鎖の物理的吸着又は共有結合は、結合したポリマー鎖の密度を制限する立体因子のために、一定限度よりも低くタンパク質吸着を抑えることができない。さらに、PEGは、自動酸化を受ける傾向が高い。
防汚の物理的手法は、基板のUV及び超音波処理の使用を含む。
高品質の防汚物質は、表面への生物付着過程及びバイオフィルムの形成に対して優れた溶液を提供するため、望ましい。従来の防汚物質は、これらの防汚物質の多くが、毒性(又は環境への毒性物質の放出)、不安定、非効率的である、あるいは、生物付着の防止(又は完全な低減)が限定され、コスト高であること、しかも、複雑な製造工程を経て生産されるために、時としてその製造において高価な装置を必要とすることから、複数の問題を抱えている。
本発明者らは、表面上で自然に自己組織化し、表面の汚染を有効に防止、抑制又は低減する、新規で高度に改善された一群の防汚物質を開発した。自己組織化は、配向膜の形成又は活性粒子状物質としての形成を可能にするが、これは、該物質の二官能性により可能になる。この誘導自己組織化により、該物質の表面から外側に向かって延びる高密度の防汚部分を有する配向膜又は二官能性物質の層の形成が可能になる。
本発明の一態様では、少なくとも1つの防汚部分(又は基)と少なくとも1つの表面吸着部分(又は基)とを含む化合物が提供され、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及びフッ素原子含有基から選択され、前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択される。
別の態様では、少なくとも1つの防汚部分(又は基)及び少なくとも1つの表面吸着部分(又は基)を含む二官能性化合物が提供され、
ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及びフッ素原子含有基から選択され、前記少なくとも1つの表面吸着部分は、ジヒドロキシ−アミノ酸及びジヒドロキシ−アミノ酸含有基から選択され、
前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、以下に定義するように、共有結合又はリンカー基を介して互いに結合されている。別の態様では、少なくとも1つの防汚部分(又は基)と少なくとも1部分の表面吸着部分(又は基)とを含む二官能性化合物が提供され、
ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及びフッ素原子含有基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、
前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、以下に定義するように、共有結合又はリンカー基を介して互いに結合されている。
別の態様では、少なくとも1つの防汚部分(又は基)と少なくとも1つの表面吸着分子(又は基)を含む防汚物質が提供され、
ここで、少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及びフッ素原子含有基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、
前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、以下に定義するように、共有結合又はリンカー基を介して互いに結合されている。別の態様では、一般式A−L−Fの化合物が提供され、ここで、Aは、表面吸着部分であり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、防汚部分であり、A、L及びFの各々は、非加水分解性結合を介して、前記式に記載されるように互いに結合されている。一部の実施形態では、非加水分解性結合は、共有結合である。
本発明の様々な態様のいずれかの一部の実施形態において、本発明の化合物は、表面(物品の表面)への有機及び/又はバイオ−有機物質(ポリマー)の吸着を防止又は停止することができる防汚物質である。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、表面へのタンパク質及び/又は多糖及び/又はポリリピドの吸着を防止又は停止することができる防汚物質である。
また別の実施形態では、本発明の化合物は、表面への多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の吸着を防止又は停止することができる防汚物質である。
また別の実施形態では、本発明の化合物は、以下にさらに詳述するように、表面への多細胞生物の細胞又は微生物の吸着を防止又は停止することができる防汚物質である。
DOPA又はDOPA含有部分である表面吸着部分は、汚れからの保護が要望される表面若しくは表面の領域に付着又は結合するように選択する。本発明で用いる用語「結合する」又は「付着する」は、DOPA基若しくはその任意の原子、又はDOPA含有部分若しくはその任意の原子と、表面領域との間に形成しようとする任意の物理的又は化学的相互作用を指す。結合は、ファンデルワールス力、協同的結合、共有結合、イオン結合、静電結合、双極子−双極子、又は水素結合(結合又は相互作用)であってよい。
表面吸着基の実際の性質、すなわち、それが、DOPA又はDOPA誘導体のいずれであるか、並びに会合が、単一原子若しくは原子団又は複数の原子若しくは原子団のいずれを介して起こるかとは関係なく、表面吸着部分(要素)は、以下に定義する任意の表面材料に付着することができる、及び/又は該表面材料との表面付着を維持することができる。表面付着は、水環境などの非乾燥条件下、並びにまた、高い塩濃度などのより過酷な条件下であっても維持することができる。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、1つ又は複数のDOPA若しくはDOPA含有基を含む。周知のように、DOPAは、2つのヒドロキシル(−OH)基を含む。特定の理論に拘束されるわけではないが、表面吸着は、これらヒドロキシル基の一方又は両方を介して起こると考えられる。一部の実施形態では、1つ又は複数のヒドロキシル基を含むように、DOPA基又は該DOPAを含む部分を修飾してもよい。
一部の実施形態では、表面吸着部分は、DOPA又はDOPA含有部分である。一部の実施形態では、DOPA含有部分は、アミノ酸及び脂肪族物質から選択される有機物質である。一部の実施形態では、有機物質は、アミノ酸である。別の実施形態では、上記物質は、ペプチドである。
一部の実施形態では、表面吸着部分は、本明細書に詳しく定義するように、リンカー部分Lに沿って1原子に連結、会合若しくは結合したDOPAである。
一部の実施形態では、化合物は、DOPA単位及び少なくとも1つの別のヒドロキシル化部分を含む。ヒドロキシル化部分は、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−若しくは多重ヒドロキシル化アルキル及びアリール基並びにヒドロキシル化アミノ酸から選択してよい。
表面吸着部分と防汚部分を会合させるリンカー部分Lは、両方の官能性部分が結合するか、又はこれらが会合する骨格構造を有し得る。一部の実施形態では、骨格構造は、以下に説明するように、ペンダント基によりさらに置換される。骨格構造は、炭素原子から構成されてもよく、N、O、S、及びP原子などの1個又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。
一部の態様では、2つの官能性部分が、互いに直接会合又は結合することができれば、リンカー部分は必要ないであろう。従って、一部の実施形態では、リンカー部分は、存在しないか、又は2つの官能性部分を会合させる結合(共有結合及びイオン結合から選択される結合)である。
リンカー部分が存在する一部の実施形態では、その骨格は、1個又は複数の炭素原子を含んでもよい。最も短い骨格は、1炭素鎖であってもよい。
一部の実施形態では、リンカー骨格は、単一結合だけを有する置換若しくは非置換炭素鎖(飽和又は不飽和であってよい)、1つ又は複数の二重結合、1つ又は複数の三重結合を含むか、あるいは、骨格部分のペンダント基であるか、又は分断基(骨格の一部)として存在してもよい任意の1つ又は複数の官能基を含む炭化水素から選択してよい。
一部の実施形態では、骨格は、1つ又は複数の内部鎖アリール基を含む。
一部の実施形態では、リンカー部分は、置換若しくは非置換オリゴマー(2〜11反復単位を有する)又はポリマー(少なくとも12反復単位を有する)から選択される有機骨格部分である。
一部の実施形態では、リンカー部分は、アミノ酸及びペプチドから選択される有機骨格部分である。
一部の実施形態では、骨格は、1〜40個の炭素原子若しくは炭化水素基、又は骨格に沿って(主鎖内に)位置する任意のヘテロ原子を含んでもよい。一部の実施形態では、骨格は、1〜20個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、骨格は、1〜12個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、骨格は、1〜8個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、骨格は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40個の炭素原子を含む。
一部の実施形態では、リンカー部分は、予め定めた数の反復単位から構成され、これらは、骨格に沿ってランダムに構造化されていても又はされていなくてもよい。リンカー部分は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、置換若しくは非置換シクロアルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換−NR、置換若しくは非置換−OR、置換若しくは非置換−SR、置換若しくは非置換−S(O)R、置換若しくは非置換アルキレン−COOH、及び置換若しくは非置換エステルなどの1つ又は複数の官能基によって置換してもよい。前述した基の各々は、以下に定義する通りである。
「R」で示す様々な基(R、R、R、R、Rのいずれか1つを含む)は、本明細書で定義するように、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、アルキレン−COOH、エステル、−OH、−SH、及び−NH、並びにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ又は複数の基を指す。
表示のように、前述した基の各々は、置換若しくは非置換のいずれであってもよい。また、置換は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、アルキレン−COOH、エステル、−OH、−SH、及び−NHから選択される1つ又は複数のRによるものであってよい。一部の実施形態では、R基の数は、0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は20であってよい。
一部の実施形態では、骨格鎖は、1個又は複数のヘテロ原子(例えば、N、O、S及びP)を含む。一部の実施形態では、骨格鎖は、内部細胞エステル及び/又はカルボニル及び/又はアミン基及び/又はアミド基を含む。
一部の実施形態では、骨格鎖は、一般構造:
Figure 2016515999
(各*は、連結点を示し;
nは、0〜40であり;
mは、1〜40である)
を有する。
一部の実施形態では、nは、1〜12である。一部の実施形態では、nは、1〜8である。一部の実施形態では、nは、1〜6である。
一部の実施形態では、mは、1〜20である。一部の実施形態では、mは、1〜12である。一部の実施形態では、mは、1〜8である。一部の実施形態では、mは、1〜6である。
一部の実施形態では、1つ又は複数の(CH基が置換される。一部の実施形態では、置換基は、置換又は非置換フェニルである。一部の実施形態では、置換基は、ヒドロキシル化又はフッ素化フェニルである。
一部の実施形態では、骨格鎖は、アミノ酸基を含み、従って、代表的リンカー骨格の前記一般式において、反復単位は、α又はβアミノ酸である(それぞれ、nは1であるか、又はnは2である)。
一部の実施形態では、リンカー部分Lは、アミノ酸又は2若しくは3若しくは4若しくは5若しくは6若しくは7若しくは8若しくは9若しくは10若しくは11若しくは12若しくは13若しくは14若しくは15若しくは16若しくは17若しくは18若しくは19若しくは20若しくは21若しくは22若しくは23若しくは24若しくは25若しくは26若しくは27若しくは28若しくは29若しくは30若しくは31若しくは32若しくは33若しくは34若しくは35若しくは36若しくは37若しくは38若しくは39若しくは40個のアミノ酸を含むペプチドである。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、互いにアミド結合(リンカーLを構成する)を介して互いに結合した2つのアミノ酸から構成され、ここで、本明細書に記載するように、一方のアミノ酸はDOPAであり、他方は、フッ素化アミノ酸である。一部の実施形態では、化合物は、2つのアミノ酸:DOPAとフッ素化アミノ酸から構成され、前記2つのアミノ酸は、本明細書に記載するように、リンカー部分を介して互いに会合している。一部の実施形態では、リンカー部分は、1個又は複数のアミノ酸である。
一部の実施形態では、骨格は、1つ又は複数の表面吸着部分と、1つ又は複数の防汚部分とを含む。
一部の実施形態では、骨格は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20の表面吸着部分を含む。一部の実施形態では、骨格は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20の防汚部分を含む。
一部の実施形態では、防汚部分は、骨格に一端で結合し、表面吸着部分は骨格の他端で結合している。他の実施形態では、防汚部分と表面吸着部分は、骨格に沿って交互の位置にある。他の実施形態では、防汚部分と表面吸着部分は、骨格に沿ってランダムに位置する。
一部の実施形態では、骨格は、1つ又は複数のアミノ酸単位若しくは炭化水素を含み、骨格は、複数の表面吸着部分と複数の表面吸着部分とを有し、ここで、2つの部分(表面吸着部分又は防汚部分のいずれか)同士の距離は、12単位、6単位、3単位又は1単位以下である。
一部の実施形態では、骨格は、1つ又は複数のアミノ酸を含むか、それから構成される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも1つのDOPA及び少なくともフッ素化基を有するペプチドであり、フッ素化基は、フッ素化アミノ酸であってもよいし、そうでなくてもよい。
一部の実施形態では、ペプチドは、2〜40個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2〜20個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2〜12個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2〜8個のアミノ酸を含む。別の実施形態では、ペプチドは、2〜6個、又は2〜4個、2又は3個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2、又は3、又は4、又は5、又は7、又は8又は9又は10又は11又は12個のアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、定義するように、少なくとも1つの表面吸着アミノ酸と、少なくとも1つの防汚アミノ酸とを有するペプチドである。ペプチドが、2つのアミノ酸から構成される場合、その一方は、防汚アミノ酸であり、他方は、表面吸着アミノ酸である。ペプチド中のアミノ酸の数は、2より大きく、各タイプのアミノ酸の数は、目標とする最終用途に応じて変動し得る。
当業者には周知のように、「ペプチド」は、アミノ酸、典型的には2〜40、又は2〜20、又は2〜12、又は2〜8個のアミノ酸を含み;各アミノ酸は、ペプチド(アミド)結合を介して、隣接アミノ酸に結合されている。ペプチド骨格は、1つのアミノ酸残基のN−と、隣接するアミノ酸残基のC−との結合が、還元(−CH−NH−)、窒素原子でのアルキル化(例えば、メチル化)により非天然の結合に、又はアミド結合、尿素結合、スルホアミド結合、エーテル結合(−CH−O−)、チオエーテル結合(−CH−S−)、又は−CS−NHにより置換された結合に改変されるように修飾してもよい。ペプチドは、1つ又は複数の非アミノ酸基をさらに含んでもよい。
「アミノ酸」は、任意の天然若しくは非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−若しくはβ形態であってもよいし、又はL若しくはD立体配置のいずれでもよい。本発明の化合物で用いることができるアミノ酸類似体は、C末端及び/又はN末端のいずれか又は両方で、化学的に修飾してもよいし;あるいは、側鎖官能基(例えば、α位置に位置するもの、又は他の任意のペンダント基)で化学的に修飾してもよい。
アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、例えば、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択してよい。
一部の実施形態では、アミノ酸は、芳香族アミノ酸から選択する。芳香族アミノ酸の非制限的例としては、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンがある。一部の実施形態では、アミノ酸は、フェニルアラニン又はその誘導体である。
一部の実施形態では、フェニルアラニン誘導体は、以下のものである:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−1−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び/又は3−フルオロチロシン。
本発明の一部の実施形態では、化合物は、ペプチドのC末端に集まった1つ又は複数の表面吸着アミノ酸と、ペプチドのN末端に集まった1つ又は複数の防汚アミノ酸とを有するペプチドである。別の実施形態では、表面吸着アミノ酸は、ペプチドのN末端に集まり、防汚アミノ酸は、ペプチドのN末端に集まる。
一部の実施形態では、少なくとも1つの表面吸着アミノ酸は、ペプチド末端の一方(C末端又はN末端のいずれか)に位置し、少なくとも1つの防汚アミノ酸は、ペプチド末端の他方に位置する。
一部の実施形態では、少なくとも1つの表面吸着アミノ酸は、ペプチドのC末端とペプチドのN末端との間の中間点位置に位置し、また、1つ又は複数の防汚アミノ酸は、ペプチド末端の各々に位置する。
一部の実施形態では、ペプチドは、鎖に沿って、例えば、末端機能性アミノ酸の間に位置する、ペプチドに沿ってランダムに、又は1つ又は複数の別の構造的若しくは機能的属性に影響を与えるように特定の位置に位置する、任意の1つ又は複数のアミノ酸を含んでもよい。一部の実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸は、芳香族アミノ酸であってもよいし、そうでなくてもよい。
ペプチドのC又はN末端を修飾することにより、ペプチドの1つ又は複数の特性、例えば、構造変化、疎水性/親水性、電荷、可溶性、表面付着、生物に対する毒性、生物競合性、分解全般、とりわけ酵素分解に対する耐性などに作用するか、又はこれらを調節する(増大若しくは低減、又は全体的に変更する)ようにしてもよい。要望される位置に、エステル、アミド、又は他の任意の官能基を形成することにより、ペプチドのC又はN末端を化学的に修飾して;ペプチドが、その一端(N末端)にアミンを、且つ他端にカルボキシル基(C末端)を有するようにするか、又はどちらかの末端に他の基を有するようにしてもよい。
防汚部分は、本発明の化合物に、本明細書に記載する防汚及びバイオフィルム防止特性を付与する。一部の実施形態では、本発明の化合物において、防汚部分は、フッ素原子である。一部の実施形態では、防汚部分は、フッ素化部分若しくは置換基(フッ素原子を含む基)である。一部の実施形態では、防汚部分は、C−F基を含む。
一部の実施形態では、防汚部分は、1つ又は複数のフッ素原子及び/又はフッ素化部分を含む。一部の実施形態では、防汚部分は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10個のフッ素原子及び/又はフッ素化部分を含む。
一部の実施形態では、防汚要素は、フッ素化有機基である。一部の実施形態では、フッ素化有機基は、C−F結合を有するF置換炭素基であり、ここで、この基におけるC−F結合の数は、1つ又は複数である。一部の実施形態では、防汚部分は、1又は2又は3又は4又は5個のフッ素原子を含む。一部の実施形態では、フッ素化炭素基は、−CF、−CF、及び−CFを含むか、又はこれからなる。
一部の実施形態では、フッ素化炭素基は、置換又は非置換アルキルである。一部の実施形態では、防汚部分は、1又は2又は3又は4又は5又は6個のフッ素原子を含むアルキルである。一部の実施形態では、防汚部分は、炭素原子毎に少なくとも1個のフッ素原子を含むアルキルである。
一部の実施形態では、防汚部分は、フッ素化された置換又は非置換アリールである。一部の実施形態では、アリールは、1又は2又は3又は4又は5個のフッ素原子を含む。一部の実施形態では、アリールは、過フッ素化されている。
他の実施形態では、アリールは、フェニル基である。別の実施形態では、アリールは、ヘテロアリール基である。
一部の実施形態では、防汚部分は、1つ又は複数のフッ素化アミノ酸部分を含むか、又はこれからなる。
一部の実施形態では、フッ素化アミノ酸(ここで、アミノ酸は、本明細書に定義する通りである)は、フッ素化フェニルアラニン誘導体であり、フッ化物原子で、1つ又は複数のフェニル環位置を置換する。フェニル環での置換は、オルト、メタ及び/又はパラ位置のいずれで行ってもよい。フッ化物原子の数は、1、2、3、4、又は5であってよい。
一部の実施形態では、フッ素化フェニルアラニンは、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択される。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、2〜12個又は2〜8個のアミノ酸を含むペプチドであり、各アミノ酸は、芳香族アミノ酸から選択される。一部の実施形態では、ペプチドは、DOPAを含む。他の実施形態では、ペプチドは、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むペプチドである。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つペプチド末端の各々にm−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むペプチドである。
一部の実施形態では、本発明の化合物の防汚部分は、2つの防汚アミノ酸残基を構成し、これらは、任意選択で互いに結合されている。一部の実施形態では、防汚部分は、2つのフッ素化アミノ酸残基を構成し、これらは、任意選択で互いに結合されている。一部の実施形態では、防汚部分は、少なくとも2つのフッ素化アミノ酸残基を構成し、これらは各々、任意選択で他方に結合されている。
本明細書で述べるように、本発明の化合物は、一般に、二官能性化合物であり、これは、一部の実施形態において、中でも以下:
−表面(物品の表面)への有機及び/又はバイオ−有機物質(ポリマー)の吸着を防止又は停止又は最小化又は低減すること;
−表面へのタンパク質及び/又は多糖及び/又はポリリピドの吸着を防止又は停止又は最小化又は低減すること;
−表面への多細胞生物の細胞又は微生物からの分泌を防止又は停止又は最小化又は低減すること;
−表面への多細胞生物の細胞又は微生物の吸着を防止又は停止又は最小化又は低減すること
のうち1つ又は複数を達成するための防汚剤として使用される。
本発明の化合物は、表面領域と密接に結合することができると同時に、露出した防汚部分の緻密な層を形成して、表面領域を被覆するか、又は薄膜で覆い、これによって、保護コート、層若しくは膜を形成することができるため、化合物が結合する表面に、前述した属性を付与することができる。本発明の化合物、とりわけ、本発明のペプチドは、特定の指向性を有する配向構造への化合物の自己組織化を可能にする要素、特に芳香族基又は芳香族アミノ酸を含む。特定の理論に拘束されるわけではないが、自己組織化ペプチドの理想的立体配置により、図1に例示する膜が得られる。
このように、本発明の化合物は、以下のスキーム1に示すような任意の構造であってよい。
スキーム1に示す化合物の6つの例示的構造、一般構造A−L−Fを示すが、ここで、Aは、表面吸着部分であり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、防汚部分であり、A、L及びFの各々は、非加水分解性結合により、前記構造に示すように互いに結合されている。A、L及びFの各々は、前文に定義した通りである。
構造Iに示すように、リンカーLは、一端に表面吸着部分Aを、且つ他端に防汚部分Fを有する線状若しくはほぼ線状構造であってよく、ここで、Lは、任意選択で置換されていてもよい。Lは、長い、又は短いリンカー部分であってよい。Lは非存在であってもよい。Lが存在する場合、少なくとも1個の炭素原子を含む。
構造IIでは、リンカーLは、単一の表面吸着部分Aを2つの防汚部分Fと結合させる。一部の実施形態では、3つ以上の防汚部分が存在してもよく、その各々は、表面から外側に向かって延びている。構造IIでは、リンカーは、2つに分岐して、2つの連結点(各防汚部分に1つずつ)をもたらすが、これ以外に、複数の防汚部分の連結が、リンカーの骨格鎖に沿って存在してもよい。言い換えれば、2つの防汚部分が共通の結合原子又は基を有する必要はない。
構造IIIでは、リンカーLは、2つの表面吸着部分Aを1つの防汚部分Fと結合させる。一部の実施形態では、2つ以上の防汚部分が存在してもよい。構造IIIでは、リンカーは、2つに分岐して、2つの連結点(各表面吸着部分に1つずつ)をもたらすが、これ以外に、複数の表面吸着部分の連結が、リンカーの骨格鎖に沿って存在してもよい。言い換えれば、2つの表面吸着部分が共通の結合原子又は基を有する必要はない。
構造Vでは、表面吸着部分Aは、リンカーLの骨格上のほぼ真ん中に位置し、そこから2つのリンカーアームが延びており、その終点に、防汚部分が提供される。同様に、構造VIでは、2つの表面吸着部分が、単一の防汚部分と連結するように提供される。
本発明の化合物は、表面領域をより緻密に被覆するように、骨格に沿って位置する複数の表面吸着部分及び防汚部分を備える、より長いリンカー骨格を有するように構成してもよい。本発明の化合物のこのような例示的実施形態の1つをスキーム1の構造IVに示す。
一部の実施形態では、スキーム1の構造に示す化合物は、各々、1つ又は複数の防汚(F)及び表面吸着(A)部分を有する脂肪族化合物(Lは、脂肪族骨格である)である。
一部の実施形態では、リンカー骨格は、ペプチドである。
Figure 2016515999
本発明の化合物の例示的、非制限的例は、本明細書でペプチド1〜18と称するペプチドである。
群Iのペプチドを、ペプチド1〜4と称する本発明の非制限的化合物において例示する。
Figure 2016515999
過フッ素化誘導体をペプチド5と称する。
ジペプチド誘導体をペプチド6と称する。
Figure 2016515999
ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
Figure 2016515999
群IIのペプチドを、ペプチド7〜10と称する本発明の化合物の非制限的例において例示する。
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
群IIIのペプチドも同様に本発明に包含される。例示的化合物をペプチド11〜14と称する。
Figure 2016515999
ペプチド11:(1S,2S,3S)
ペプチド12:(1S,2S,3R)
ペプチド13:(1S,2R,3S)
ペプチド14:(1S,2R,3R)
上に示したペプチド1〜14と同様に、本発明の他のペプチドは、防汚アミノ酸、例えば、フッ素化アミノ酸の数と比較して、大きな数(量)の表面結合アミノ酸を含んでもよく;このような化合物は、ペプチド群IV及びVについて以下に示す構造を有する:
Figure 2016515999
Figure 2016515999
本発明に従う別の非制限的ペプチドとしては、以下のものが挙げられる:
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17。
前文で用いたように、「(4−F)」という名称は、パラ−フルオロ誘導体を指す。
前文で用いたように、本発明の化合物は、1つ又は複数の置換基若しくはその原子のいずれかを有してもよい。定義した化合物において:
−「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」炭素鎖は、指定のない限り、各々が1〜20個の炭素、又は1若しくは2〜16個の炭素を含有する炭素鎖を指し、これらは、直鎖又は分岐状である。このような基の各々は、置換されていてもよい。一部の実施形態では、炭素鎖は、1〜10個の炭素原子を含有する。一部の実施形態では、炭素鎖は、1〜6個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、炭素鎖は、2〜6個の炭素原子を含む。アルケニル炭素鎖は、2〜20個の炭素、又は2〜18個の炭素、又は2〜16個の炭素、又は2〜14個の炭素、又は2〜12個の炭素、又は2〜10個の炭素、又は2〜8個の炭素、又は2〜6個の炭素、又は2〜4個の炭素を含む。同様に、アルケニル炭素鎖は、1〜8個の二重結合、又は1〜7個の二重結合、又は1〜6個の二重結合、又は1〜5個の二重結合、又は1〜4個の二重結合、又は1〜3個の二重結合、又は1個の二重結合、又は2個の二重結合を含んでよい。アルキニル炭素鎖は、2〜20個の炭素、又は2〜18個の炭素、又は2〜16個の炭素、又は2〜14個の炭素、又は2〜12個の炭素、又は2〜10個の炭素、又は2〜8個の炭素、又は2〜6個の炭素、又は2〜4個の炭素を含んでよい。同様に、アルキニル炭素鎖は、1〜8個の三重結合、又は1〜7個の三重結合、又は1〜6個の三重結合、又は1〜5個の三重結合、又は1〜4個の三重結合、又は1〜3個の三重結合、又は1個の三重結合、又は2個の三重結合を含んでよい。例示的アルキル、アルケニル及びアルキニル基として、限定はしないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソヘキシル、アリル(プロペニル)及びプロパルギル(プロピニル)が挙げられる。
−「シクロアルキル」は、飽和単環又は多環環系を指し、特定の実施形態では、3〜10個の炭素原子、他の実施形態では、3〜6個の炭素原子からなる;シクロアルケニル及びシクロアルキニルは、それぞれ、少なくとも1つの二重結合と、少なくとも1つの三重結合を含む単環又は多環環系を指す。シクロアルケニル及びシクロアルキニル基は、一部の実施形態では、3〜10個の炭素原子、別の実施形態では、4〜7個の炭素原子を含み、また、シクロアルキニル基は、さらに別の実施形態において、8〜10個の炭素原子を含む。シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル基の環系は、1つの環又は2つ以上の環から構成されるものでよく、これらは、融合、架橋若しくはスピロ結合により互いに結合されていてもよい。
−「アリール」は、6〜10個の炭素原子を含む芳香族単環又は多環基を指す。アリール基として、限定はしないが、非置換又は置換フルオレニル、非置換又は置換フェニル、及び非置換又は置換ナフチルなどの基が挙げられる。
−「ヘテロアリール」は、単環又は多環芳香族環系を指し、特定の実施形態では、約5〜約15員からなり、ここで、環系の原子の1個又は複数、一部の実施形態では、1〜3個は、ヘテロ原子、すなわち、例えば、窒素、酸素又はイオウなどの炭素以外の元素である。ヘテロアリール基は、任意選択でベンゼン環と融合させてもよい。ヘテロアリール基として、限定はしないが、フリル、イミダゾリル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、キノリル及びイソキノリニルなどが挙げられる。
−「ヘテロシクリル」は、一実施形態では、3〜10員の、別の実施形態では、4〜7員の、さらに別の実施形態では、5〜6員の飽和一若しくは多環環系を指し、ここで、環系の原子の1個又は複数、特定の実施形態では、1〜3個は、ヘテロ原子、すなわち、限定はしないが、窒素、酸素若しくはイオウなどの炭素以外の元素である。ヘテロ原子が窒素である実施形態において、窒素を、任意選択で、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アシル、グアニジンで置換するか、又は窒素を四級化して、置換基が、前述のように選択されるアンモニウム基を形成してもよい。
−「NR」は、アミン基を指し、ここで、R及びRは、水素、アルキル、アルケニル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、エステル及びカルボニルから独立に選択され、これらは、各々、本明細書に記載されているか、あるいは、当分野において周知の通りである。
−「OR」は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基若しくは誘導体を指し、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、スルフィニル、エステル及びカルボニルから選択される。
−「SR」は、チオール基又はチオエーテル基若しくは誘導体を指し、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、スルフィニル、エステル及びカルボニルから選択される。
−「S(O)R」は、スルフィニル基を指し、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、スルフィニル、エステル及びカルボニルから選択される。
−「エステル」は、−C(O)ORを指し、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、−NR、スルフィニル、カルボニル、−OR、SR、−S(O)R−OH、−SH及び−NHから選択される。
「置換(された)」という用語は、1つ又は複数の置換基を有する(さらに置換された)、本明細書に定義する通りの任意の基又は任意のリガンドを指し、前記置換基は、本明細書にすでに定義したようにリガンドである。一部の実施形態では、置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、アルキレン−COOH、エステル、−OH、−SH、及び−NHから選択される。一部の実施形態では、特定のリガンドの置換基の数は、0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は20の置換基である。
本発明の化合物(例えば、ペプチド)は、当分野において公知の方法に従い製造されている。一部の実施形態では、化合物は、固相又は液相合成を用いて、合成されている。
本発明の防汚化合物は、すぐに使用できる製品として、又は濃縮物として製剤化してよい。すぐ使用できる製品は、粉末、油性調製物(若しくは分散液)、エマルジョン又はエーロゾル製剤の形態であってよい。1つ又は複数の本発明の化合物、特に本発明のペプチドを含む製剤は、固定液、共溶媒、可塑剤、染色剤、着色顔料、腐食防止剤、化学安定剤又は他の任意の添加剤などの追加成分を含んでもよい。
製剤及び/又は化合物は、刷毛塗り、噴霧、ロールコーティング、浸漬、スピンコーティング、分散、印刷、インクジェット印刷、スタンピング、ドロップキャスティング、及びこれらの任意の組み合わせなど、当分野では公知の任意の方法により適用してよい。
別の態様では、本発明は、本発明の化合物を含む膜を提供する。
一部の態様では、上記の膜は、本明細書で述べるように、表面への化合物の自己組織化により取得可能である。
一部の態様では、上記膜は、本発明のペプチドを含む。
一部の態様では、上記膜は、防汚及び/又はバイオフィルム形成阻害剤である。
前記膜は、連続した膜であってもよいし、又は個別の領域若しくはドメインを含んでもよい。膜中の異なる防汚化合物の数は、中でも、要望される面積に用いることができる物質の数の物理的限界、化合物の化学的又は物理的性質などにより決定することができる。
別の態様では、本発明は、本発明の膜を形成するための少なくとも1つの本発明の化合物の使用も提供する。
本発明はさらに、少なくとも1領域が、本発明の防汚膜で被覆されている表面又は物品(若しくは装置)も提供する。
物品又は装置は、防汚性が要望されるあらゆる物品であってよい。典型的に、この物品は、湿気又は水環境を被る物品である。物品又は装置は、海洋船舶及び/又は船舶の船体及び/又は医療機器及び/又はコンタクトレンズ及び/又は食品処理装置及び/又は飲料水供給装置及び/又はパイプライン及び/又はケーブル及び/又は漁網及び/又は橋梁及び/又は浸水物品の表面領域及び/又はその他のあらゆる表面領域であってよい。
本発明の化合物の吸着性は、極めて向上しているため、その膜は、あらゆる表面材料に形成され得る。基板は、柔軟性又は硬質基板であってもよく、実質的に2次元(薄く平板な物品)又は3次元のいずれでもよい。物品の表面は、どんな平滑度のものでもよい。
表面は、限定するものではないが、屋外用の木工品、セントラル空調システム、浴室壁、海洋船舶の船体又はあらゆる沖合施設の外側表面、食品製造/包装施設における表面、あらゆる産業施設における表面、あらゆる医療施設における表面、あらゆる給水施設における表面などから選択することができる。表面材料(物品の)は、木材、ガラス、マイカ、プラスチック、セラミック、セメント、金属、半導体、シリコン表面(例えば、シリコンウエハー、100nmチタン層を含むシリコンウエハー)、カーボン、ハイブリッド材料(例えば、400メッシュCopper−formvar(登録商標)/カーボングリッド)、ステンレス鋼、金属酸化物、アルミナなどから選択される任意の材料であってよい。
本発明の化合物によって付与される防汚性は、様々な表面上での生物又は生物の分泌物の蓄積の防止の観測によって最もよく評価される。高湿度、塩水及び新鮮な水環境における表面の汚れに参加する生物として、例えば、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボが挙げられる。従って、本発明の化合物は、ミクロ及びマクロ汚れを防止する、例えば、細菌及びウイルスの付着、並びにより大きな生物、又は多細胞生物の身体から放出された細胞の付着を防止することができる。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、透析装置表面への多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の吸着を防止又は停止することによって、該装置により治療中の患者からの血液細胞又は血液細胞から分泌されるタンパク質の付着を防止することができる防汚剤である。
一部の実施形態では、生物は細菌である。一部の実施形態では、細菌は、一部の実施形態において、以下:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)から選択される。
一部の実施形態では、細菌は、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)である。一部の実施形態では、細菌は、緑膿菌(P.aeruginosa)である。
本明細書で用いるように、「防止」という用語は、生物及び/若しくは生物の分泌物並びに/又は有機及び/若しくはバイオ−有機物質(例えば、タンパク質及び/又は多糖及び/又はポリリピド)の表面への沈積、付着、蓄積及び分散を停止、制限又は全体的に抑制すること、バイオフィルム形成の防止、並びにその完全性(例えば、分解する)及びそれ以上の成長に作用することを指す。当業者には理解されるように、本発明の化合物及び/又は膜は、汚れの放出により、汚れの付着を最小化、低減又は停止することによって、表面の汚れを防止し、抑制することができる。従って、本発明の化合物及び/又は膜は、同様に、抗菌、抗ウイルス、抗真菌及び細胞増殖抑制物質と考えることもできる。
本発明の別の態様では、生物及び/若しくは生物の分泌物並びに/又は有機及び/若しくはバイオ−有機物質(例えば、タンパク質及び/若しくは多糖及び/若しくはポリリピド)の表面へ沈積、付着、蓄積及び分散を阻害する方法が提供され、この方法は、本発明の化合物(例えば、ペプチド)を含む有効量の製剤と、前記表面を接触させるステップを含む。
本発明は、生物及び/若しくは生物の分泌物並びに/又は有機及び/若しくはバイオ−有機物質(例えば、タンパク質及び/又は多糖及び/又はポリリピド)の表面への沈積、付着、蓄積及び分散を阻害する別の方法を提供し、この方法は、本発明の化合物の膜又はコート又は層を前記表面上に形成するステップを含む。
本発明は、本発明の化合物と、前記化合物を送達可能な形態に溶解若しくは製剤化するための少なくとも1種の溶媒と、取扱い説明書とを含むキットをさらに提供する。
本明細書に開示する主題を理解しやすくすると共に、実際にどのように実施することができるかを例示するために、添付の図面を参照しながら、あくまでも非制限的例として、これから実施形態を説明することにする。
図1は、本発明の膜の構成を示し、この膜は、本発明の化合物又はペプチドを含み、ここで、吸着要素が膜の片面にあり、汚染を阻止する要素(防汚要素)が、膜の他方の面にある。 図2は、浸漬被覆による基板上のコーティングの形成のための一般的スキームを示す。例示的ペプチドを分子構造として示す。 図3は、メタノール(a)、エタノール(b)、イソプロパノール(c)、アセトン(d)、ジメチルスルホキシド(DMSO)(e)及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)(f)中のTi表面に被覆されたペプチド1の接触角測定を示す。用いた濃度は、0.5mg/mLであり、インキュベーション時間は、10時間であった。 図4は、アセトン(下の線)、エタノール(中央の線)及びイソプロパノール(上の線)に溶解させたペプチド1のATR−FTIRスペクトルを表示する。 図5は、(a、b)チタン、(c、d)金、(e、f)シリコン及び(g、h)ステンレス鋼のベア及びペプチド1で被覆した表面の接触角を示す。ペプチド濃度は、0.5mg/mLで、メタノールに溶解させ、インキュベーション時間は、10時間であった。 図6は、様々なペプチド:(a)ペプチド2、(b)ペプチド3、(c)ペプチド4、(d)ペプチド5及び(e)ペプチド6で被覆したチタン表面の接触角測定値を示す。ペプチド濃度は、0.5mg/mLで、メタノールに溶解させ、インキュベーション時間は、10時間であった。 図7は、ペプチドの濃度に影響される疎水性増強を示す:(a)ベアTi表面、(b)0.5mg/mLのペプチド1で被覆したTi表面及び(c)1.0mg/mLのペプチド1で被覆したTi表面。インキュベーション時間:10時間、溶媒:メタノール。 図8は、(a)ベアマイカ、並びに(b)ペプチド1、(c)ペプチド2、(d)ペプチド3、(e)ペプチド4、(f)ペプチド5及び(g)ペプチド6で修飾したマイカ基板のAFMトポグラフィー画像を示す。 図9は、(a)ベアTi表面及び(b)ペプチド1で被覆したTi表面の原子間力顕微鏡(AFM)画像を示す。 図10は、(a)ベアTi表面及び(b)ペプチド1で被覆したTi表面のATR−FTIRスペクトルを示す。 図11は、ペプチド2(a)、3(b)、4(c)及び5(d)で被覆したチタン基板のATR−FTIRスペクトルを示す。 図12は、ペプチド6で被覆したチタン基板のATR−FTIRスペクトルを示す。 図13は、ペプチド1のリアルタイムQCM−D測定を示す。周波数(F)及び消散(D)は、ペプチド1のTiセンサーへの吸着時に変化する。矢印は、ペプチド添加(a)及び洗浄(b)を示す。 図14は、リアルタイムQCM−D測定を示す。周波数(青)及び消散(オレンジ)は、ペプチド(a)2、(b)3、(c)4、(d)5及び(e)6の吸着時に変化する。 図15は、ベアTi基板のXPS分析、及びペプチド1〜4で被覆した基板を示す。 図16は、ベアTi基板のXPS分析、及びペプチド5〜6で被覆した基板を示す。 図17は、Ti基板びペプチド被覆Ti基板(シグナルが非常に低いため、SDしか表示することができない)上のBSA、及びリゾチームの吸着量を示す。標準偏差は、3つの異なる実験に基づく。 図18は、対照Ti(a)及びペプチド被覆Ti(b)上のクリスタルバイオレットで染色した緑膿菌(P.aeruginosa)バイオフィルムの顕微鏡写真を示す。(c〜d)は、ペプチド被覆によるバイオフィルム形成の抑制を示す。 図19は、以下の画像:左側は、TEM銅グリッド上に自己組織化された膜のTEM画像である。右側は、シリコン基板上に形成された膜のSEM画像である。
バイオフィルムは、生物及びその副産物が表面を覆うプロセスである。これは、医療機器への病原菌の吸着が院内感染を引き起こすことから、今日、医療システムにおける主要な問題の1つとなっている。さらに、これは、船体への海洋生物の吸着は、燃料消費の増加及び輸送の遅延を招くため、海洋産業においても重要な問題である。生物付着を防止する多くの手法が提案されてきたが、これらは、周辺への毒性物質の放出、長期適用を制限する低安定性、又は複雑且つ高価な合成などの欠点を抱えている。
本明細書に開示する本発明は、ペプチドなどの化合物の自己組織化により自然に形成される本発明者らの防汚コーティングの開発に基づく。提示された結果は、上記のコーティングが、生物付着の第1段階を完全に防止し、基板へのタンパク質の吸着を根絶したことをはっきりと示している。さらに、このコーティングは、基板上の細菌の量を有意に低減させた。
本発明は、少なくとも2つのアミノ酸を含むペプチドを提供し、前記アミノ酸の少なくとも1つは、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)であり、前記アミノ酸の少なくとももう1つは、フッ素化されている。
一部の実施形態では、前記ペプチドは、防汚性である。
一部の実施形態では、前記フッ素化アミノ酸は、前記少なくとも1つのDOPAに結合している。
一部の実施形態では、ペプチドは、3〜8つのアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2〜8つのアミノ酸、3〜6つのアミノ酸、又は3〜5つのアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、各アミノ酸は、ペプチド結合を介して前記もう1つのアミノ酸と結合している。一部の実施形態では、前記アミノ酸の少なくとも2つは、共有結合リンカーにより互いに結合されている。一部の実施形態では、本発明のペプチドは、一般式A−L−Fを有し、ここで、Aは、DOPAであり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、フッ素化アミノ酸部分である。
一部の実施形態では、AとL、又はLとFを結合する前記結合又はリンカーは、非加水分解性結合である。一部の実施形態では、リンカーは、置換又は非置換炭素鎖から選択される。一部の実施形態では、リンカーは、2つ以上のアミノ酸から構成される。一部の実施形態では、リンカーは、1〜40個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、リンカーは、一般構造:
Figure 2016515999
(各*は、連結点を示し;
nは、0〜40であり;
mは、1〜40である)
を有する。
一部の実施形態では、2つ以上の部分は、DOPA部分である。一部の実施形態では、ペプチドは、2つ以上のフッ素化アミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2つ以上のDOPAと2つ以上のフッ素化アミノ酸部分を含む。
一部の実施形態では、ペプチドは、1つ又は複数のDOPA部分と、2つ以上のフッ素化アミノ酸部分を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2つ以上のDOPA部分と、1つ又は複数のフッ素化アミノ酸部分を含む。一部の実施形態では、フッ素化されている前記アミノ酸は、天然若しくは非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−若しくはβ形態、及びL若しくはDアミノ酸から選択される。一部の実施形態では、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択してよい。
一部の実施形態では、アミノ酸は、芳香族アミノ酸から選択する。一部の実施形態では、芳香族アミノ酸は、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンから選択される。一部の実施形態では、アミノ酸は、フェニルアラニン及び/又はその誘導体から選択される。
一部の実施形態では、フェニルアラニン誘導体は、以下から選択される:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−l−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び3−フルオロチロシン。
一部の実施形態では、前記フッ素化アミノ酸は、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択される。
一部の実施形態では、ペプチドは、2〜12個のアミノ酸を含み、各アミノ酸は、芳香族アミノ酸から選択される。一部の実施形態では、ペプチドは、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つペプチド末端の各々に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。
一部の実施形態では、ペプチドは、防汚剤として、例えば、以下:
(a)表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着;
(b)表面へのタンパク質並びに/又は多糖及びポリリピドの吸着;
(c)表面への多細胞生物の細胞又は微生物からの分泌;
(d)表面への多細胞生物の細胞又は微生物の吸着
の1つ又は複数を防止又は停止又は最小化又は低減するために使用する。
本発明の特定の化合物は、以下のものから選択される:
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
Figure 2016515999
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
Figure 2016515999
Figure 2016515999
Figure 2016515999
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17。
本発明はまた、本明細書に記載するペプチド化合物を含む製剤も考慮する。この製剤は、すぐに使用できる防汚製剤であってよい。
本発明はまた、本発明の少なくとも1つのペプチドを含む膜又はコートも提供する。この膜は、好ましくは防汚及び/又はバイオフィルム抑制性である。
上記の膜は、本発明の膜で被覆された少なくとも1つの表面領域を含む物品又は装置の一部であってもよい。物品又は装置は、海洋船舶、船舶の船体、医療機器、コンタクトレンズ、食品処理装置、飲料水供給装置、パイプライン、ケーブル、漁網、橋梁及び浸水物品の表面領域から選択することができる。
こうした装置又は物品における膜は、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択される生物によって引き起こされる生物付着を防止することを目的とする。一部の実施形態では、上記生物は、細菌である。一部の実施形態では、上記細菌は、以下から選択される:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)。
一部の実施形態では、細菌は、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)である。一部の実施形態では、細菌は、緑膿菌(P.aeruginosa)である。
本発明はまた、多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の透析装置表面への吸着を防止又は停止することによって、該装置により治療中の患者からの血液細胞又は血液細胞から分泌されるタンパク質の付着を防止することを目的とする、本発明のペプチドの使用も提供する。
本発明はさらに、表面への生物、生物からの有機及び/若しくはバイオ−有機物質の分泌物の沈積、付着、蓄積及び分散を阻害する方法も提供し、この方法は、本発明のペプチドを含む有効量の製剤と、前記表面を接触させるステップを含む。
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを有する化合物を含む膜又はコートを提供し、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択される。一部の実施形態では、膜又はコートは、装置又は物品の表面領域上に形成される。
本発明さらに、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分(又は基)とを含む二官能性化合物を含む膜又はコートも提供し、ここで、少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分は、ジヒドロキシ−アミノ酸及びジヒドロキシ−アミノ酸含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されている。膜又はコートは、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを含み、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されている。
一部の実施形態では、前記化合物は、一般式A−L−Fを有し、ここで、Aは、表面吸着部分であり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、防汚部分であり、A、L及びFの各々は、非加水分解性結合を介して、互いに結合されている。
膜又はコートは、前記表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着を防止又は停止することを目的とする、あるいは、表面への多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の吸着を防止又は停止することを目的とする防汚物質である。
一部の実施形態では、表面吸着部分は、前記リンカー部分上の原子と連結、会合又は結合したDOPAである。一部の実施形態では、前記リンカー部分は、1炭素鎖である。一部の実施形態では、前記リンカー部分は、置換又は非置換炭素鎖から選択される。一部の実施形態では、リンカー部分は、アミノ酸及びペプチドから選択される。一部の実施形態では、リンカー部分は、1〜40個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、リンカー部分は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、置換若しくは非置換シクロアルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換−NR、置換若しくは非置換−OR、置換若しくは非置換−SR、置換若しくは非置換−S(O)R、置換若しくは非置換アルキレン−COOH、及び置換若しくは非置換エステルから選択される1つ又は複数の官能基によって置換される。
一部の実施形態では、リンカー部分は、一般構造:
Figure 2016515999
(各*は、連結点を示し;
nは、0〜40であり;
mは、1〜40である)
を有する。
一部の実施形態では、nは、1〜12である。一部の実施形態では、nは、1〜8である。一部の実施形態では、nは、1〜6である。一部の実施形態では、mは、1〜20である。一部の実施形態では、mは、1〜12である。一部の実施形態では、mは、1〜8である。一部の実施形態では、mは、1〜6である。
一部の実施形態では、1つ又は複数の(CH基が置換される。
一部の実施形態では、リンカー部分は、アミノ酸であり、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40個のアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、本化合物は、アミド結合を介して互いに結合した2つのアミノ酸から構成され、ここで、一方のアミノ酸はDOPAであり、他方は、フッ素化アミノ酸である。一部の実施形態では、防汚部分は、一端でリンカーに結合し、表面吸着部分はリンカー部分の他端に結合している。一部の実施形態では、防汚部分と表面吸着部分は、リンカー部分に沿って交互の位置にある。
一部の実施形態では、リンカー部分は、2つ以上のアミノ酸のペプチドを含むか、又はこれから構成される。
一部の実施形態では、化合物は、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも1つのDOPA及び少なくともフッ素化基(フッ素化アミノ酸であっても、そうでなくてもよい)を有するペプチドである。一部の実施形態では、ペプチドは、2〜40個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8又は9又は10又は11又は12個のアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、前記防汚部分は、天然又は非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−又はβ形態、及びL又はDアミノ酸から選択されるフッ素化アミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択される。
一部の実施形態では、アミノ酸は、芳香族アミノ酸から選択する。一部の実施形態では、前記芳香族アミノ酸は、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンから選択される。
一部の実施形態では、アミノ酸は、フェニルアラニン及びその誘導体から選択される。一部の実施形態では、フェニルアラニン誘導体は、以下から選択される:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−l−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び3−フルオロチロシン。
一部の実施形態では、前記フッ素化アミノ酸は、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択される。
一部の実施形態では、化合物は、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。
一部の実施形態では、化合物は、ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つペプチド末端の各々に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。
一部の実施形態では、例えば、以下:
(b)表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着;
(b)表面へのタンパク質並びに/又は多糖及びポリリピドの吸着;
(c)表面への多細胞生物の細胞又は微生物からの分泌;
(d)表面への多細胞生物の細胞又は微生物の吸着
の1つ又は複数を防止又は停止又は最小化又は低減するための膜又はコートが提供される。
一部の実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
Figure 2016515999
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
Figure 2016515999
Figure 2016515999
Figure 2016515999
一部の実施形態では、化合物は、以下:
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17
から選択される。
本発明はまた、本発明の膜又はコートで被覆した少なくとも1つの表面領域を含む物品又は装置も提供する。一部の実施形態では、物品又は装置は、海洋船舶、船体、医療機器、コンタクトレンズ、食品処理装置、飲料水供給装置、パイプライン、ケーブル、漁網、橋梁及び浸水物品の表面領域から選択される。
一部の実施形態では、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択される生物によって引き起こされる生物付着を防止するための膜又はコートが提供される。
一部の実施形態では、上記生物は細菌である。一部の実施形態では、細菌は、以下から選択される:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)。
一部の実施形態では、細菌は、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)である。一部の実施形態では、細菌は、緑膿菌(P.aeruginosa)である。
また本発明は、装置又は物品の表面領域上に、自己組織化防汚膜又はコートを形成するのに使用するための、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを有する化合物を含む組成物も提供し、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する基から選択され、前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択される。
本発明さらに、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分(又は基)とを含む二官能性化合物を含む組成物も提供し、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、前記少なくとも1つの表面吸着部分は、ジヒドロキシ−アミノ酸及びジヒドロキシ−アミノ酸含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されている。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを含み、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されている。
一部の実施形態では、前記化合物は、一般式A−L−Fを有し、ここで、Aは、表面吸着部分であり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、防汚部分であり、A、L及びFの各々は、非加水分解性結合を介して、互いに結合されている。
組成物は、前記表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着を防止又は停止するために、あるいは、表面への多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の吸着を防止又は停止するために、防汚性である。
一部の実施形態では、表面吸着部分は、前記リンカー部分上の1原子と連結、会合又は結合したDOPAである。一部の実施形態では、前記リンカー部分は、1炭素鎖である。一部の実施形態では、リンカー部分は、置換又は非置換炭素鎖から選択される。一部の実施形態では、リンカー部分は、アミノ酸及びペプチドから選択される。一部の実施形態では、リンカー部分は、1〜40個の炭素原子である。一部の実施形態では、リンカー部分は、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、置換若しくは非置換シクロアルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換−NR、置換若しくは非置換−OR、置換若しくは非置換−SR、置換若しくは非置換−S(O)R、置換若しくは非置換アルキレン−COOH、及び置換若しくは非置換エステルから選択される1つ又は複数の官能基によって置換される。
一部の実施形態では、リンカー部分は、一般構造:
Figure 2016515999
(各*は、連結点を示し;
nは、0〜40であり;
mは、1〜40である)
を有する。
一部の実施形態では、nは、1〜12である。一部の実施形態では、nは、1〜8である。一部の実施形態では、nは、1〜6である。一部の実施形態では、mは、1〜20である。一部の実施形態では、mは、1〜12である。一部の実施形態では、mは、1〜8である。一部の実施形態では、mは、1〜6である。
一部の実施形態では、1つ又は複数の(CH基が置換される。
一部の実施形態では、リンカー部分は、アミノ酸であり、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40個のアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、本化合物は、アミド結合を介して互いに結合した2つのアミノ酸から構成され、ここで、一方のアミノ酸はDOPAであり、他方は、フッ素化アミノ酸である。一部の実施形態では、防汚部分は、一端でリンカーに結合し、表面吸着部分はリンカー部分の他端に結合している。一部の実施形態では、防汚部分と表面吸着部分は、リンカー部分に沿って交互の位置にある。
一部の実施形態では、リンカー部分は、2つ以上のアミノ酸のペプチドを含むか、又はそれから構成される。
一部の実施形態では、化合物は、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも1つのDOPA及び少なくともフッ素化基(フッ素化アミノ酸であっても、そうでなくてもよい)を有するペプチドである。一部の実施形態では、ペプチドは、2〜40個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、ペプチドは、2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8又は9又は10又は11又は12個のアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、前記防汚部分は、天然又は非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−又はβ形態、及びL−又はDアミノ酸から選択されるフッ素化アミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸は、以下:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択される。
一部の実施形態では、アミノ酸は、芳香族アミノ酸から選択する。一部の実施形態では、前記芳香族アミノ酸は、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンから選択される。
一部の実施形態では、アミノ酸は、フェニルアラニン及びその誘導体から選択される。一部の実施形態では、フェニルアラニン誘導体は、以下から選択される:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−l−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び3−フルオロチロシン。
一部の実施形態では、前記フッ素化アミノ酸は、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択される。
一部の実施形態では、化合物は、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。
一部の実施形態では、化合物は、ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つペプチド末端の各々に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含む。
一部の実施形態では、以下:
(c)表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着;
(b)表面へのタンパク質並びに/又は多糖及びポリリピドの吸着;
(c)表面への多細胞生物の細胞又は微生物からの分泌;
(d)表面への多細胞生物の細胞又は微生物の吸着
のうち1つ又は複数を防止又は停止又は最小化又は低減するための膜又はコートが提供される。
一部の実施形態では、化合物は、以下の構造を有する:
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
Figure 2016515999
Figure 2016515999
Figure 2016515999
ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
Figure 2016515999
Figure 2016515999
Figure 2016515999
一部の実施形態では、化合物は、以下:
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17
から選択される。
一部の実施形態では、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択される生物によって引き起こされる生物付着を防止するための組成物が提供される。
一部の実施形態では、上記生物は細菌である。一部の実施形態では、細菌は、以下から選択される:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)。
一部の実施形態では、細菌は、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)である。一部の実施形態では、細菌は、緑膿菌(P.aeruginosa)である。
本発明はさらに、本発明の組成物を含む防汚製剤も提供する。また、本発明の組成物を含む抗微生物製剤も提供される。さらに、本発明の組成物を含む抗菌製剤も提供される。
本発明は、本発明の組成物と、取扱い説明書とを含むキットをさらに提供する。
本発明はまた、防汚製剤又は抗微生物製剤又は抗菌製剤を製造することを目的とする、本発明の組成物の使用も提供する。
さらに、本発明は、各々が、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを有する複数の化合物の膜又はコートを表面領域上に形成する方法も提供し、ここで、少なくとも1つの防汚部分は、フッ素(−F)及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、この方法は、前記表面領域を前記化合物と接触させるステップ、及び前記表面領域上でのその自己組織化を可能にするステップを含む。
一部の実施形態では、前記表面領域は、装置又は物品のものである。一部の実施形態では、化合物は製剤として提供される。一部の実施形態では、前記膜又はコートは、防汚、抗微生物及び抗菌性から選択される特性を有する。
材料及び方法
化学薬品、溶媒、タンパク質及び細菌は全て、市販している会社から購入し、別に記載されていない限り、納品されたまま使用した。Fmoc−DOPA(ac)−COOHは、Novabiochem/EMD chemicals(San−Diego,USA)から入手した。L及びD−4−フルオロフェニルアラニン、Boc−ペンタフルオロphe−COOHは、chem−impex Inc.(Wood Dale,USA)から購入した。溶媒及びTFAは、Bio−lab(Jerusalem,Israel)から購入した。NMR溶媒(CDCl及びDMSO−d)は、Sigma−Aldrich(Jerusalem,Israel)から購入した。Fmoc基の脱保護のためのピペリジンは、Alfa−Aesar(UK)から入手した。タンパク質BSA、フィブリノーゲン及びリゾチームは、それぞれ、Sigma−Aldrich(Jerusalem,Israel)、Chem impex INC.(Wood Dale,USA)及びMerck(Darmstadt,Germany)から入手した。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC27853)及び大腸菌(Escherichia coli)(ATCC1655)は、ATCC(Virginia,USA)から購入した。クリスタルバイオレットは、Merck(ドイツ)から入手した。
ペプチド合成
NMRスペクトルは、Bruker DRX400分光計を用いて、400.13MHz(H)で取得した。ペプチドの質量は、Applied Biosystem Voyager−DE pro MALDI TOF質量分析計を用いて測定した。ペプチドは、非ラセミ化(recemization free)戦略を用いて、従来の溶液相法により合成した。N末端保護のためにBoc基及びFmoc基を用い、また、C末端はメチルエステルとして保護した。カップリングは、ジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBt)により媒介した。中間化合物をHNMR及びMALDI−TOF質量分析計により特性決定した後、最終ペプチドをHNMR、13CNMR、19FNMR、MALDI−TOFにより十全に特性決定した。
Figure 2016515999
スキーム2:反応及び条件:(i)DCC、HOBT、乾燥DCM(ii)DCM中の20%TFA、(iii)Fmoc−DOPA(ac)−COOH、DCC、HOBT、乾燥DCM(iv)DMF中の20%ピペリジン(V)DCM中の95%TFA/H
A.ペプチド1の合成
1.Boc−L−(4F)Phe−COOH 7a:ジオキサン(20mL)、水(20mL)及び1M NaOH(10mL)の混合物中のL−4F−Phe−COOH1.97g(10mモル)の溶液を撹拌し、氷水浴中で冷却した。ピロ炭酸ジ−tert−ブチル2.4g(11mモル)を添加し、撹拌を室温で6時間継続した。次に、溶液を真空下で約15〜20mLまで濃縮し、氷水浴中で冷却し、酢酸エチル(約30mL)の層で被覆した後、KHSOの希薄溶液を酸化することにより、酸性化(pH2〜3)した。水相を酢酸エチルで抽出し、この操作を3回実施した。酢酸エチル抽出物を回収し、無水NaSOで乾燥させてから、真空下で蒸発させた。ろう状の固体として純粋な物質を取得した。
収率:2.115g(7.25mmol,72.5%)。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):12.60[s,1H COOH],7.29−7.25&7.11−7.07[m,4H,芳香族プロトン],4.10−3.00[m,1H,CαH 4F Phe],3.03−2.77[m,2H,CβH 4F Phe],1.33[s,9H,Boc]。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]+284.12(計算値)、284.29(実測値)、[M+Na]+306.11(計算値)、306.25(実測値)。
2.Boc−L−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOHMe 8a:500mg(1.766mモル)のBoc−L−(4F)Phe−OHを氷水浴中の25mL乾燥DCMに溶解させた。NH−L−(4F)Phe−OMe697.13mg(3.532mモル)を、対応するメチルエステル塩酸塩から、中和、続いて酢酸エチルによる抽出、そして溶媒蒸発により単離した。次に、これを反応混合物に添加後すぐに、365mg(1.766mモル)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)と239mg(1.766mモル)のHOBtを添加した。反応混合物を室温に到らせ、48時間撹拌した。DCMを蒸発させ、残渣を酢酸エチル(60mL)中に溶解させた後、ジシクロヘキシル尿素(DCU)を濾過により除去した。有機層を2M HCl(3×30mL)、塩水(2×30mL)、1M炭酸ナトリウム(3×30mL)及び塩水(2×30mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ;真空下で蒸発させることにより、白色の固体として化合物8aを得た。生成物は、溶出液としてnヘキサン−酢酸エチル(4:1)を用いるシリカゲル(100〜200メッシュ)により精製した。
収率:616.6mg(1.334mmol,75.5%)。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.16−7.12&6.99−6.90[m,8H,芳香族プロトン],6.27−6.25[d,1H,NH 4F Phe(3)],4.93[b,1H,NH 4F Phe(2)],4.77−4.72[m,1H,CαH 4F Phe(3)],4.28−4.27[m,1H,CαH 4F Phe(2)],3.67[s,3H,OMe],3.08−2.98[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)],1.41[s,9H,Boc]。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]485.18(計算値),485.45(実測値),[M+K]501.16(計算値),501.32(実測値)。
3.NH−L−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOHMe 9a:600mg(1.298mモル)の化合物8aを氷水浴中の16mLのDCMに溶解させた。次に、4mlのTFAを添加してから、2時間撹拌した。反応の過程をTLC(薄層クロマトグラフィー)によりモニターした。反応の完了後に、回転蒸発器で全ての溶媒を蒸発させた。生成物を水に溶解させ、NaHCO溶液で中和した後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、回転蒸発器で蒸発させることにより、油状の生成物9aを得た。
収率:435.3mg(1.202mmol,92.6%)。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):9.06−9.05[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.32−7.26&7.17−7.04[m,8H,芳香族プロトン],4.57−4.51[m,1H,CαH 4F Phe(3)],4.04−3.96[m,1H,CαH 4F Phe(2)],3.61[s,3H,OMe],3.18−2.91[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)]。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+2H]364.14(計算値),364.34(実測値),[M+HO]480.15(計算値),480.35(計算値)。
4.Fmoc−L−DOPA(ac)−L−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOHMe 10a:430mg(1.187mモル)の化合物9aを氷水浴中の25mL乾燥DCMに溶解させ、652.37mg(1.42mモル)のFmoc−L−DOPA(ac)−COOHを添加した。次に、245mg(1.187mモル)のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)と161mg(1.187mモル)のHOBtを反応混合物に添加した。反応混合物を室温に到らせ、48時間撹拌した。DCMを蒸発させ、残渣を酢酸エチル(60mL)中に溶解させた後、ジシクロヘキシル尿素(DCU)を濾過により除去した。有機層を水で洗浄し、抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから、真空下で蒸発させることにより、白色の固体として化合物10aを得た。生成物は、溶出液としてnヘキサン−酢酸エチル(4:1)を用いるシリカゲル(100〜200メッシュ)により精製した。
収率:594.8mg(0.74mmol,62.4%)。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.77−7.75,7.54−7.50,7.42−7.38,7.33−7.29[d&m,8H,Fmoc 芳香族プロトン],7.05−6.86[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.62−6.55[s&m,3H,DOPA 芳香族プロトン],6.50[b,1H,NH 4F Phe(2)],6.19[b,1H,NH 4F Phe(3)],5.17[b,1H,NH DOPA],4.68−4.66[m,1H,CαH DOPA],4.54−4.52[m,1H,,CαH 4F Phe(2)],4.47−4.42[m,1H,,CαH 4F Phe(3)],4.31(b,2H,CβH Fmoc],4.20−4.17[m,1H,CαH Fmoc],3.65[s,3H,OMe],2.98−2.92[m,6H,CβH 4F Phe(2)4F Phe(3)&DOPA],1.62[s,6H,2×COCH]。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]804.31(計算値),804.70(実測値),[M+Na+2H]828.30(計算値),828.07(実測値),[M+K+H]843.27(計算値),843.60(実測値)。
5.NH−L−DOPA(ac)−L−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOMe 11a:580mg(0.721mmol)の化合物10aを、20%ピペリジン含有の15mL溶液で処理した後、室温で3時間撹拌した。反応の完了をTLCによりモニターした。次に、溶液を凍結乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製することにより、純粋な粘着性化合物11aを得た。
収率:275.6mg(0.474mmol,65.8%)。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.53[b,1H,NH 4F Phe(2)],7.96[b,1H,NH 4F Phe(3)],7.24−7.23,7.10−7.04[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.69−6.65,6.55−6.53[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.56[m,1H,CαH DOPA],4.56[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.47[m,1H,4F Phe(3)],3.61[s,3H,OMe],3.12−2.73[m,6H,CβH 4F Phe(2)4F Phe(3)&DOPA],1.61−1.58[d,6H,2×COCH]。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]582.23(計算値),582.25(実測値),[M+Na]604.22(計算値),604.37(実測値),[M+K]620.20(計算値),620.19(実測値)。
6.NH−L−DOPA−L−(4F)−Phe(2)−L(4F)Phe(3)−COOMe 1:260mg(0.447mmol)の化合物11aを水中の95%TFA10mLにおいて6時間撹拌した。反応の過程をTLCによりモニターした。反応の完了後、溶媒を回転蒸発器で蒸発させた。生成物をヘキサン、低温エーテル及び水で各々3回洗浄することにより、最終ペプチド1を得た。
収率:139.1mg(0.257mmol,57.5%)。
H NMR(DMSO−d,500MHz,δppm):8.72−8.70[d,1H,NH 4F Phe(2)],8.66−8.64[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.88[b,2H,OH DOPA],7.29−7.23,7.12−7.05[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.7−6.64,6.5−6.47[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],4.60−4.58[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.53−4.52[m,1H,CαH 4F Phe(3)],3.83[m,1H,CαH DOPA],3.58[s,3H,OMe],3.08−2.75[m,6H,CβH 4F Phe(2)4F Phe(3)&DOPA]。13C NMR(DMSO−d,125MHz,δppm):171.9,170.1,168.5,158.9,158.54,145.2,144.5,131.5,125.2,117.4,115.5,115.4,115.3,11.2,114.5,53.9,52.3,47.5,36.2,33.8,25.8,24.9。19F NMR(DMSO−d6,470MHz,δppm):−116.42,−116.71。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]542.20(計算値),542.57(実測値),[M+Na]564.19(計算値),564.46(実測値),[M+K]580.16(計算値),580.32(実測値)。
B.ペプチド2の合成
1.Boc−L−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe 8b:この化合物は、化合物8aと同じ手順で合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.13−7.10&6.98−6.91[m,8H,芳香族プロトン],6.51[b,1H,NH 4F Phe(3)],4.91−4.89[d,1H,NH 4F Phe(2)],4.82−4.77[m,1H,CαH 4F Phe(3)],4.33[m,1H,CαH 4F Phe(1)],3.68[s,3H,OMe],3.09−2.93[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)],1.38[s,9H,Boc]。
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+2H]464.21(計算値),464.15(実測値),[M+Na+2H]586.18(計算値),586.37,[M+K+H]502.16(計算値),502.25(実測値)。
2.NH−L−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe 9b:この化合物は、化合物9aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.34[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.23−7.19&7.12−7.01[m,8H,芳香族プロトン],4.61−4.51[m,1H,CαH 4F Phe(3)],3.62[s,3H,OMe],3.44−3.41[m,1H,CαH 4F Phe(2)],3.03−2.74[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)].2.35(b,2H,フリーNH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+2H]364.14(計算値),364.41(実測値).
3.Fmoc−L−DOPA(ac)−L−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOHMe 10b:この化合物は、化合物10aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.68−8.55[d,1H,NH Phe(2)],8.15−7.92[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.88−7.86,7.61−6.96[d&m,16H,Fmoc 芳香族プロトン,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.75&6.64[s,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.83[d,1H,NH DOPA],4.62−4.53[m,2H,CαH 4F Phe(2)及びPhe(3)],4.14−4.02[m,3H,CαH DOPA & CβH Fmoc],3.63[s,3H,OMe],2.76−2.57[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)& DOPA],1.55[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]826.29(計算値),826.15(実測値),[M+K]842.27(計算値),814.27(実測値).
4.NH−L−DOPA(ac)−L−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe 11b:この化合物は、化合物11aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.66−8.64[b,1H,NH 4F Phe(2)],7.95[b,1H,NH 4F Phe(3)],7.30−6.80[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.68−6.64,6.56−6.53[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.57−5.55[ m,1H,CαH DOPA],4.56[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.47[m,1H,4F Phe(3)],3.63[s,3H,OMe],3.05−2.67[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)&DOPA].1.59−1.57[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]604.22(計算値),604.06(実測値),[M+K]620.20(計算値),619.88(実測値).
5.NH−L−DOPA−L−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe2:ペプチド1と同じ手順で、ペプチド2を合成した。
H NMR(DMSO−d,500MHz,δppm):8.77−8.75[d,1H,NH 4F Phe(2)],8.66−8.64[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.80[b,2H,OH DOPA],7.27−7.24,7.11−7.00[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.71−6.60[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.15[b,2H,NH2],4.62−4.60[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.52−4.49[m,1H,CαH 4F Phe(3)],3.83[m,1H,CαH DOPA],3.65[s,3H,OMe],3.10−2.73[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)& DOPA].13C NMR(DMSO−d6,125MHz,δppm):117.43,170.42,147.86,146.63,143.75,143.69,141.30,135.47,128.64,127.75,127.23,127.13,125.054,121.81,120.02,118.04,109.44,108.25,67.20,53.02,52.33,47.09,37.91,31.94,29.71,25.89.
19F NMR(DMSO−d6,470MHz,δppm):−116.43,−116.91.
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]542.20(計算値),542.65(実測値),[M+Na]564.19(計算値),564.55(実測値),[M+K]580.16(計算値),580.57(実測値).
C.ペプチド3の合成
1.Boc−D−(4F)Phe−COOH 7b:化合物7aと同じ手順で、化合物7bを合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):12.59[s,1H COOH],7.29−7.26&7.12−7.08[m,4H,芳香族プロトン],4.10−3.57[m,1H,CαH 4F Phe],3.03−2.77[m,2H,CβH 4F Phe],1.32[s,9H,Boc].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]284.12(計算値),284.36(実測値),[M+Na]306.11(計算値),306.28(実測値).
2.Boc−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOMe 8c:この化合物は、化合物8aと同じ手順で合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.14−7.09&6.99−6.93[m,8H,芳香族プロトン],6.50[b,1H,NH 4F Phe(3)],4.88[b,1H,NH 4F Phe(2)],4.82−4.77[m,1H,CαH 4F Phe(3)],4.33[m,1H,CαH 4F Phe(2)],3.68[s,3H,OMe],3.09−2.91[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)],1.38[s,9H,Boc].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]485.18(計算値),485.88(実測値),[M+K]501.16(計算値),501.75(observed).
3.NH−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOMe 9c:この化合物は、化合物9aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.71−8.67[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.25−7.21&7.12−7.03[m,8H,芳香族プロトン],5.49[b,2H,NH],4.56−4.54[m,1H,CαH 4F Phe(2)],3.77−3.70[m,1H,CαH 4F Phe(3)],3.64[s,3H,OMe],3.07−2.57[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+2H]364.14(計算値),364.26(実測値).
4.Fmoc−L−DOPA(ac)−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOHMe 10c:この化合物は、化合物10aと同じ手順で合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.79−7.72,7.51−7.47,7.42−7.38,7.33−7.29[d&m,8H,Fmoc 芳香族プロトン]6.94−6.88「m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.76−6.61[s&m,3H,DOPA 芳香族プロトン],6.54[b,1H,NH 4F Phe(2)],6.18[b,1H,NH 4F Phe(3)],5.20[b,1H,NH DOPA],4.76−4.68[m,1H,CαH DOPA],4.67−4.57[m,1H,,CαH 4F Phe(2)],4.43−4.35[m,1H,CαH 4F Phe(3)],],4.30−4.21[m,1H,CαH Fmoc],4.19−4.01(b,2H,CβH Fmoc],3.62[s,3H,OMe],3.09−2.75[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)&DOPA],1.63[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]804.31(計算値),804.74(実測値),[M+Na+H]827.30(計算値),827.32(実測値),[M+K+H]843.27(計算値),843.62(実測値).
5.NH−L−DOPA(ac)−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOMe 11c:この化合物は、化合物11aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.66−8.64[b,1H,NH 4F Phe(2)],7.95[b,1H,NH 4F Phe(3)],7.29−6.81[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.68−6.64,6.54−6.53[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.57−5.55[ m,1H,CαH DOPA],4.60[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.48[m,1H,4F Phe(3)],3.63[s,3H,OMe],2.88−2.73[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)&DOPA].1.59−1.56[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]582.23(計算値),581.93(実測値),[M+Na]604.22(計算値),604.01(実測値),[M+K]620.20(計算値),619.85(実測値).
6.NH−L−DOPA−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOMe 3:ペプチド1と同じ手順で、ペプチド3を合成した。
H NMR(DMSO−d,500MHz,δppm):8.72−8.71[d,1H,NH 4F Phe(2)],8.65−8.64[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.89[b,2H,OH DOPA],7.28−7.23,7.12−7.06[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.67−6.64,6.49−6.47[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],4.61−4.50[m,1H,CαH 4F Phe(2)&Phe(3)],3.85−3.80[m,1H,CαH DOPA],3.58[s,3H,OMe],3.05−2.72[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)&DOPA].13C NMR(DMSO−d6,125MHz,δppm):171.9,170.9,168.6,162.5,160.6,158.5,158.23,145.7,145.1,133.8,133.7,133.5,131.5,125.8,120.7,117.3,116.1,115.5,115.4,115.3,115.2,54.3,53.9,52.4,46.2,37.3,37.0,36.2,26.7,25.3,24.7.
19F NMR(DMSO−d6,470MHz,δppm):−116.31,−116.53.
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]542.20(計算値),542.51(実測値),[M+Na]564.19(計算値),564.53(実測値),[M+K]580.16(計算値),580.43(実測値).
D.ペプチド4の合成
1.Boc−D−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe 8d:この化合物は、化合物8aと同じ手順で合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.18−7.15&7.01−6.925[m,8H,芳香族プロトン],6.25[d,1H,NH 4F Phe(3)],4.93[b,1H,NH 4F Phe(2)],4.77−4.76[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.30−4.28[m,1H,CαH 4F Phe(3)],3.7[s,3H,OMe],3.10−3.00[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)],1.40[s,9H,Boc].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na+H]486.18(計算値),485.93(実測値),[M+K+H]502.16(計算値),502.00(実測値).
2.NH−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOMe 9d:この化合物は、化合物9aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.36−8.34[d,1H,NH 4F Phe(3)],8.02[b,1H,NH 4F Phe(2)],7.22−7.17&7.11−7.01[m,8H,芳香族プロトン],4.55−4.50[m,1H,CαH 4F Phe(3)],4.08−3.92[m,1H,CαH 4F Phe(2)],3.60[s,3H,OMe],3.04−2.84[m,4H,CβH 4F Phe(2)及び4F Phe(3)].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+2H]364.14(計算値),364.29(実測値),[M+Na+H]486.13(計算値),486.33(実測値).
3.Fmoc−L−DOPA(ac)−D−(4F)Phe(2)−L−(4F)Phe(3)−COOHMe 10d:この化合物は、化合物10aと同じ手順で合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.77−7.75,7.55−7.43,7.42−7.40[d&m,8H,Fmoc 芳香族プロトン],694−6.55「m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.71−6.52[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],6.52−6.45[b,1H,NH 4F Phe(2)],6.15[b,1H,NH 4F Phe(3)],5.31[b,1H,NH DOPA],4.73−4.65[m,1H,CαH DOPA],4.64−4.56[m,CαH 4F Phe(2)],4.51−4.42[m,1H,CαH 4F Phe(3)],4.24−4.11[m,1H,CαH Fmoc],4.19(b,2H,CβH Fmoc],3.61[s,3H,OMe],3.08−2.72[m,6H,CβH 4F Phe(2)4F Phe(3)&DOPA],1.62[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na+2H]828.30(計算値),828.03(実測値),[M+K+2H]844.27(計算値),844.12(実測値).
4.NH−L−DOPA(ac)−D−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe 11d:この化合物は、化合物11aと同じ手順で合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.58−8.53[d,1H,NH 4F Phe(2)],8.12[d,1H,NH 4F Phe(3)],7.31−7.09[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.69−6.68,6.61−6.60[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.63−5.61[ m,1H,CαH DOPA],4.61[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.52[m,1H,4F Phe(3)],3.64[s,3H,OMe],3.15−2.65[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)&DOPA].1.54[d,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]604.22(計算値),604.23(実測値),[M+K]620.20(計算値),620.12(実測値).
5.NH−L−DOPA−D−(4F)Phe(2)−D−(4F)Phe(3)−COOMe 4:ペプチド1と同じ手順で、ペプチド4を合成した。
H NMR(DMSO−d,500MHz,δppm):8.80−8.77[d,1H,NH 4F Phe(2)],7.95[b,2H,OH DOPA],7.31−7.20,7.12−7.03[m,8H,4F Phe(2)及び4F Phe(3)芳香族プロトン],6.59−6.57,6.22−6.20[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.58[b,2H,フリーNH2)],4.75−4.62[m,1H,CαH 4F Phe(2)],4.51−4.45[m,1H,CαH 4F Phe(3)],3.91−3.82[m,1H,CαH DOPA],3.62[s,3H,OMe],3.08−2.62[m,6H,CβH 4F Phe(2),4F Phe(3)&DOPA].13C NMR(DMSO−d,125MHz,δppm):172.01,171.20,168.27,162.77,158.59,158.27,157.09,145.65,145.02,133.58,133.71,131.46,131.45,131.37,125.74,120.65,117.37,115.95,115.63,115.42,115.31,115.09,54.14,52.44,52.44,47.97,33.80,25.78,24.92.19F NMR(DMSO−d,470MHz,δppm):−116.08,−116.42.
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]542.20(計算値),542.85(実測値),[M+Na]564.19(計算値),564.55(実測値),[M+K]580.16(計算値),580.40(実測値).
E.ペプチド5の合成
1.Boc−L−(F5)Phe(2)−L−(F5)Phe(3)−COOMe 8e.
Boc−L−(F5)Phe−COOHは購入した。最初に、TFA/DCMの処理によりBoc基を脱保護してから、全ての溶媒を蒸発させた後、塩化チオニル及びメタノールで処理することにより、NH−Phe(F5)−COOHのエステル化を行った。次に、化合物8aについて記載したように、Boc−L−(F5)Phe−COOHとNH−L−(F5)Phe(3)−COOMeとのカップリングにより、化合物8eを合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):6.52[b,1H,NH Phe(3)],4.93[b,1H,NH Phe(2)],4.92−4.85[m,1H,CαH Phe(3)],4.42−4.29[m,1H,CαH Phe(2)],3.81[s,3H,OMe],3.42−2.95[m,4H,CβH Phe(2)及びPhe(3)],1.44[s,9H,Boc].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na+H]630.11(計算値),630.08(実測値),[M+K+H]646.08(計算値),646.13(実測値).
2.NH−D−(F5)Phe(2)−L−(F5)Phe(3)−COOMe 9e.
化合物9aと同じ手順で化合物9eを合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.93−8.90[d,1H,NH Phe(3)],8.40[b,1H,フリーNH],4.72−4.70[m,1H,CαH Phe(3)],3.90[m,1H,CαH Phe(2)],3.61[s,3H,OMe],3.17−2.99[m,4H,CβH Phe(2)及びPhe(3)].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na+H]530.05(計算値),530.16(実測値),[M+K+H]546.03(計算値),646.53(実測値).
3.Fmoc−DOPA(ac)−L−(F5)Phe(2)−L−(F5)Phe(3)−COOHMe 10e.
化合物10aと同じ手順で化合物10eを合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.75−8.72[d,1H,NH Phe(2)],8.36−8.34[b,1H,NH Phe(3)],788−7.26[m,8H,Fmoc 芳香族プロトン],6.79−6.67[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.57−5.55[b,1H,NH DOPA],4.66−4.63[m,2H,CβH Fmoc],4.14−4.09[m,3H,CαH DOPA,CαH Phe(2),CαH Phe(3)],3.62[s,3H,OMe],3.05−2.90[m,6H,CβHPhe(2),Phe(3)&DOPA],1.56[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]970.21(計算値),970.22(実測値),[M+K]986.19(計算値),986.04(実測値).
4.NH−DOPA(ac)−L−(F5)Phe(2)−L−(F5)Phe(3)−COOMe 11e
化合物11aについて記載したように、化合物11eを調製した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.73−8.71[d,1H,NH Phe(2)],6.69−6.55[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],5.57−5.55[d,1H,NH Phe(3)],4.64−6.63[m,1H,CαH DOPA],4.54[m,1H,CαH Phe(2)],4.13−4.08[m,1H,CαH Phe(3)],3.61[s,3H,OMe],3.15−2.67[m,6H,CβH Phe(2),Phe(3)&DOPA].1.60[s,6H,2×COCH].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]748.15(計算値),748.23(実測値),[M+K]764.12(計算値),764.06(実測値).
5.NH−DOPA−L−(F5)Phe(2)−L−(F5)Phe(3)−COOMe 5
化合物1について記載したように、化合物5を調製した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):9.46[b,1H,NH Phe(2)],9.25[b,1H,NH Phe(2)],6.68−6.54[m,3H,DOPA 芳香族プロトン],4.69−4.65[m,2H,CαH Phe(1)&Phe(2)],4.55[m,1H,CαH DOPA],3.61[s,3H,OMe],3.01−2.95 67[m,6H,CβH Phe(2)Phe(2)&DOPA].13C NMR(DMSO−d,100 MHz,δppm):193.6,158.5,158.2,144.3,140.8,139.5,133.7,129.9,128.5,127.8,124.4,53.8,44.2,33.8,30.5,29.4,22.6,17.6.19F(DMSO−d,470MHz,δppm):−141.7,−142.4,−157.6,−163.1,−163.4.
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]748.15(計算値),748.23(実測値),[M+K]764.12(計算値),764.06(実測値).
F.ペプチド6の合成
1.Boc−L−DOPA−COOH:
この化合物は、化合物7aと同様に合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):9.13[b,2H 2×OH],7.35−7.33[d,1H,NH DOPA],7.03−6.88[m,3H,DOPA,芳香族プロトン],4.45−4.37[m,1H,CαH DOPA],3.22−2.92[m,1H,CβH DOPA],1.75[s,9H,OMe].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na]320.11(計算値),320.51(実測値),[M+K]336.08(計算値),336.29(実測値).
2.Boc−L−DOPA−L−(4F)Phe−COOMe:
この化合物は、化合物8aと同様に合成した。
H NMR(CDCl,400MHz,δppm):7.26−7.24[d,1H,NH Phe],6.90−6.50[m,7H,芳香族プロトン],5.24[b,1H,NH DOPA],4.82−4.77[m,1H,CαH DOPA],4.36[b,1H,CαH Phe],3.64[s,3H,OMe],2.99−2.87[m,4H,CβH DOPA&Phe],1.42[s,9H,Boc].
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+Na+H]500.18(計算値),500.02(実測値),[M+K+H]516.16(計算値),516.24(実測値).
3.NH−L−DOPA−L−(4F)Phe−COOMe 6:
この化合物は、化合物9aについて記載したように合成した。
H NMR(DMSO−d,400MHz,δppm):8.92&8.81[s,2H,2×OH],8.02[b,2H,フリーNH],7.27−7.09[m,4H,aromatic proton phe],6.67−6.48[m,3H,芳香族プロトン DOPA],4.58−4.52[m,1H,CαH DOPA],3.90−3.86[b,1H,CαH Phe],3.61[s,3H,OMe],3.08−2.67[m,4H,CβH DOPA&Phe].13C NMR(DMSO−d,100MHz,δppm):171.4,168.7,162.7,160.4,158.5,145.6,145.0,133.3,133.2,131.4,125.6,120.6,117.2,115.9,115.5,115.3,54.1,53.9,52.4,41.0,36.8,36.2,23.6.].19FNMR(DMSO−d,470MHz,δppm):−(116.25−116.29).
MALDI−TOF(マトリックス:α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)):m/z=[M+H]377.15(計算値),377.25(実測値),[M+Na]399.24(計算値),399.13(実測値).
固相又は溶液相合成を用いて、さらに2つの例示的ペプチド誘導体を合成した。ペプチドの純度及び同定を、HPLC及びMS分光計を用いて決定した。
Figure 2016515999
Figure 2016515999
基板
研究の過程で、下記の基板をペプチドで被覆した:シリコンウエハー、100nmチタン層を有するシリコンウエハー、400メッシュCopper−formvar(登録商標)/カーボングリッド。
表面修飾
10×10mmTi表面をエタノール中で5分音波処理し、TDWで洗浄した後、窒素下で乾燥させた。清浄な表面をペプチド溶液(メタノール中0.5mg/mL)中に浸漬し、室温で一晩放置した。次に、これらをメタノールで十分にすすいだ後、窒素下で乾燥させた。
目的の基板を1cmの正方形に切断し、音波処理により清浄にした(アセトン中で5分及びイソプロパノール中で5分)。次いで、濃度0.1mg/mlのペプチド溶液に基板を浸漬し、室温で一晩インキュベートした。
インキュベーション後、基板を水中の浸漬によりすすいでから、乾燥させた後、使用まで解剖器具(dissector)内に保存した。
接触角測定
Theta Lite光学張力計(Attemsion,Finland)を用いて接触角測定を実施した。各実験測定は、3回の反復からなり、記録した角度を平均した。
AFM分析
新しく切断したマイカ表面を、メタノール中濃度0.5mg/mLの様々なペプチド溶液中に一晩浸漬した。次に、新しいメタノールで表面を洗浄した後、N下で乾燥させた。JPK装置(Nino Wizard3)において、ばね定数3N/mのSiチップを用い、ACモードでAFM画像を撮影した。
ATR−FTIR
Ge−ATR装置(Harrick Scientific’s VariGATR)を備えたFT−IR(Thermo scientific,Model Nicolet 6700)を用いて、ATRスペクトルを記録した。全ての表面について、350Nの力を加え、3000スキャン平均信号及び入射角65℃を用いた4cm−1解像能で、スペクトルを収集した。
QCM−D
Ti表面へのペプチド付着の試験には、QCM−D(Q−sense,Biolin Scientific)を使用した。フローモジュールE1システムで測定を実施した。また、5MHzの基本共振周波数を有するTiセンサーもQ−senseから購入し、納品されたまま使用した。各実験の前に、TiセンサーをOxygen/Plasma(Atto,Diener Electronic)で洗浄した後、2%SDS及びTDWですすぎ、最後にN下で乾燥させた。全てのQCM−D実験は、プッシングモードで作動するデジタルペリスタルティックポンプ(IsmaTec Peristaltic Pump,IDEX)を用いて、フロースルー条件下で実施した。試験する溶液は、0.1mL/分の速度でセンサークリスタルチャンバーに注入した。有機溶媒適合性チューブ及びOリングをフローシステムに使用した。MeOHに、濃度0.5mg/mLでペプチドを溶解させた。
ソルベリー(Sauerbrey)モデルを用いて、データをあてはめた。このモデルに従い、付着層の質量を以下のように計算する:
Figure 2016515999
(式中、5MHz水晶の場合、C=17.7ng Hz−1であり、n=1,3,5,7,9,11,13オーバートーン次数である)。
X線光電子分光法(XPS)
Kratos AXIS UltraX線光電子分光計(Kratos Analytical Ltd.,Manchester,UK)を用いて、X線光電子分光法(XPS)測定を実施した。単色X線源(1,486.7 eV)を用いて、スペクトルを取得した。サンプル射出角は90°(すなわち、分析装置に対して直角)であった。分析チャンバー内の真空圧は2・10−9Torrに維持した。パスエネルギー20eV及び0.1eVステップサイズを用いて、F 1s、O 1s、C 1s及びTi 2ピークについて高解像能XPSスペクトルを収集した。Kratos Visionデータ整理処理ソフトウエア(Kratos Analytical Ltd.)及びCasa XPS(Casa Software Ltd.)を用いてデータ分析を実施した。
XPSによる層厚の評価
XPS測定を用いて、組織化層の厚さを計算することができる。本発明者らは、様々なサンプル深度から放出する光電子の標準的距離減衰式を用いて、これを実施した。厚さの計算は、Briggs et al.方法及びその他に基づく。Au基板の場合、被覆層厚さd(nm)は、下記式として表される:
Figure 2016515999
(式中、I及びIは、それぞれ基板及び被覆層からのピークの強度であり、基板は、Ti 2p信号であり、層は、C 1s、O 1s、N 1s及びF 1sピークの強度の和であり、θは、射出角(本発明の場合、sinθ=1)であり、N及びNは、体積密度である)。基板(λ)及び被覆層(λ)についての非弾性平均自由行程(IMFP)パラメータは、それぞれ2.18nm及び3.3nmと想定された。S.Tougard QUASES−IMFP−TPP2Mソフトウエア(http://www.quases.com)を用いて計算した。非弾性電子平均自由行程は、Tanuma,Powell and Pennアルゴリズム[Penn,1994]から計算した。
エリプソメトリ
ペプチドベースのコーティングの厚さは、α−SE分光エリプソメータ(J.A.Woollam,Lincoln,Nebraska,USA)を用いて測定した。測定は、波長380〜900nm、入射角70°で実施した。50nmTiと共に標準的Siを用いて、基板の光学的特性をあてはめた。コーシー(Cauchy)モデルに従って層の厚さ及び屈折率をあてはめた。初めにコーシー(Cauchy)式の係数を有機層(A=1.45,B=0.01及びC=0)について決定し、角度オフセットを可能にした。次に、より正確な値を決定するように、パラメータのあてはめを実施した。
タンパク質吸着
BSA、リゾチーム及びフィブリノーゲン(PBS中150μM)の50μLの単一タンパク質溶液をペトリ皿内の基板上にピペットで載せた。プレートを37℃の加湿インキュベータ内に2時間配置した。次に、基板をPBS(pH=7.43、10mM Nacl、150mM)で3回すすいだ後、1mLの2%(w/w)SDSの入ったエッペンドルフチューブに移した。サンプルを60分振盪し、室温で20分音波処理することにより、吸着したタンパク質を脱離させた。非干渉タンパク質アッセイ(Calbiochem,USA)を製造業者の指示に従い使用し、マイクロプレートリーダ(Synergy 2,BioTek)を480nmで用いて、SDS溶液中のタンパク質濃度を決定した。測定は全て3回反復し、平均した。
被覆された表面が、タンパク質吸着を防止するかどうかを決定するために、試験基板の各々を蛍光標識タンパク質(FITC−BSA)と一緒に1時間インキュベートした。インキュベーション後、基板を十分にすすいで、進入(access)タンパク質を洗い流し、蛍光顕微鏡を用いて、蛍光シグナルを記録した。
バイオフィルム成長
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)及び大腸菌(Escherichia coli)を、それぞれ、ゆるく蓋をしたチューブ中のTSB培地(Fluka)及びLB培地(BD Difco)において、撹拌しながら(120rpm)37℃で一晩定常相まで増殖させた。次に、TSBで培養物を10CFU/mLまで希釈し、各培養物の3mLをペトリ皿に移した。基板をプレート内に水平に配置し、37℃で、緑膿菌(P.aeruginosa)によるバイオフィルムの形成のために9時間、また大腸菌(E.coli)によるバイオフィルムの形成のために96時間インキュベートした。十分な栄養素の供給を確実にするために、4.5時間毎に培地を新鮮なものと交換した。
BL21大腸菌(E.coli)株をLBブロスにおいて定常状態まで増殖させた。試験表面を細菌増殖培養物中に浸漬した。1時間のインキュベーション後、非付着細胞を除去するために、滅菌PBSバッファー(表面1cm当たり、少なくとも20ml)で十分にすすいだ後、清浄なバッファーの入った試験管に導入した。基板上に吸着した細菌の数を決定するために、試験管を超音波浴に5分配置した。次に、バッファーを×10及び×100希釈し、LB寒天プレート上に広げてから、37℃で一晩インキュベートした。細胞形成単位(CFU)/コロニーの数を計数した。
クリスタルバイオレットアッセイ
インキュベーション後、基板を脱イオン水で3回穏やかにすすいだ後、0.2%クリスタルバイオレットで15分染色した。染色したサンプルを流水で洗浄し、空気乾燥させた。最後に、結合した色素を30%酢酸で溶離した。マイクロプレートリーダ(Synergy 2,BioTek)により590nmで吸光度の値を記録した。測定は全て3回反復し、平均した。
結果
試験ペプチド1〜6の分子構造を以下に示す。本発明者らは、次の2種類のペプチドを調べることを選択した:1つは、ベンゼン環の各々にただ1個のフッ素原子を含み、もう1つは、5個含む。さらに、Lアミノ酸は、天然系において、より豊富であり、またDアミノ酸は、一般的プロテアーゼに耐性であり、更なる安定性を付与し得ることから、L又はDアミノ酸のいずれかを有するペプチドを試験した。ペプチドの第3のアミノ酸は、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)である(図2)。
基板(例えば、金、ケイ素、チタン、ガラス又はポリスチレン)をペプチドで被覆するために、ベア基板(1×1cm)をエタノール中の音波処理により清浄化し、水で洗浄した後、窒素下で乾燥させた。メタノール中0.5mg/mLペプチド中に基板を数時間(3〜10時間)インキュベートした。このペプチド濃度を選択したのは、これが、様々な特性決定法において良好なシグナルをもたらす実質的なコーティングを形成したためである。インキュベーション後、基板をメタノールで十分に洗浄し、窒素下で乾燥させた。ペプチドの疎水性部分により、水は、その高い極性にもかかわらず、溶媒として用いることができなかった。ペプチドを完全に溶解させると同時に、ペプチドが基板に付着するのを可能にしたことから、メタノールを溶媒として使用した。メタノールは、毒性溶媒であることから、異なる極性を有する他の溶媒も試験した。メタノールの極性に近い極性を有する、アセトン、エタノール及びイソプロパノールなどの溶媒を用いたところ、ペプチドベースのコーティングは、メタノール溶媒系と同様に自己組織化した(図3及び4)。しかし、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)などの高い極性を有する溶媒では、ペプチドは溶解したが、基板に付着しなかった(図3)。
ペプチドが、基板上に「テフロン様」層を実際に生成し、その疎水性を増大するかどうかを決定するために、その接触角を測定した。想定した通り、修飾表面(すなわち、金、ケイ素、チタン及びステンレス鋼)は、接触角の増加を呈示し、これは、基板の疎水性増大を示している(図5)。ペプチド1で被覆したチタン基板の接触角は、43.2°から68.1°に増加した。同様に、ペプチド2、3、4、5及び6は、同じ傾向であった(図6)。本発明者らはまた、ペプチド濃度が増加するにつれ、接触角も大きくなるため、角度の大きさとペプチド溶液の濃度との相関もみいだした(図7)。
修飾した表面の形態を特性決定するために、様々なペプチドで被覆したマイカ及びTi表面に対してAFMトポグラフィーアッセイを実施した(図8)。被覆したマイカ基板のAFM分析によって、ペプチドが、表面を修飾したことがわかった。高さが約0.25〜0.50nm(ペプチド1)、約0.20〜0.48nm(ペプチド2)、約0.20〜2.30nm(ペプチド3)、約0.32〜0.65nm(ペプチド4)、約1.00〜5.00nm(ペプチド5)及び約1.02〜3.65nm(ペプチド6)の球状の凝集体が、被覆した基板上に出現した。チタン表面の粗さ(Rq約0.866nm)のために、表面上の形態学的変化を全く検出することができなかった(図9)。
また、ATR−FTIR分光法を用いて、ペプチドが、基板上に本当に存在するかどうかについても調べた。情報価値のあるIR周波数は、N−H伸縮振動に対応するため、3500〜3200cm−1の範囲であり、これは、基板のペプチド膜の形成を示し得る。ペプチド1で修飾したチタンの場合、N−H伸縮周波数は、3330cm−1で起こった。このIR周波数は、基板とペプチドの結合を示している(図10)。同様に、別の試験ペプチドで修飾した表面の場合、N−H伸縮バンドは、3305cm−1〜3322cm−1で起こった(図11及び12)。もう1つの情報価値のある領域は、C−F伸縮バンドに特有である。ペプチド1は、1315cm−1、1245cm−1及び1093cm−1でピークを示したのに対し、他のペプチドのスペクトルは、1310〜1000cm−1でピークを有した(図11及び12)。
1800cm−1〜1500cm−1のIR領域は、アミドIの伸縮バンドに関連し、ペプチドの二次構造を示し得る。ペプチド1で被覆した基板のATR−FTIRスペクトルは、1685cm−1及び1629cm−1で出現し、逆平行βシート二次構造を示している。ペプチド2、3、4及び5については、アミドIピークは、それぞれ、(1687cm−1、1616cm−1)、(1687cm−1、1612cm−1)、(1686cm−1、1619cm−1)及び(1679cm−1、1605cm−1)に出現し、これは、基板上の同じタイプのペプチド二次構造を示している(図11)。ペプチド6のIRスペクトルは、1620cm−1にピークを有した(図12)が、より高いピークが1696cm−1にシフトし、1655cm−1に別のピークが出現しており、これは、αへリックス構造を示している。これらは、基板上のペプチド6の低組織化集合体を示唆すると考えられる。これは、ピークの強度、及びスペクトルのSN比によって支持され得る。他のスペクトルと比較すると、スペクトルは異なっており、チタンピークの一部が出現していると思われる。
消散モード付水晶振動子マイクロバランス(QCM−D)を用いて、チタン基板へのペプチドのリアルタイム付着を試験した。MeOHに溶解させたペプチドの各々を、Ti被覆センサーを含むフローセルに注入した。ペプチド1の注入により、周波数(f)と消散(D)の両方に変化が起こったが、これは、チタン基板とペプチドの結合を示している。MeOHでの洗浄後、周波数及び消散にわずかな変化しか観測されなかったが、これは、表面上の安定な膜の形成を示している(図13)。ペプチド2、3及び4は、同じ傾向を呈示したが、ペプチド5〜6のセンサーへの付着によって生じたのシフトは低かった(図14)。これらの差は、付着過程が、フッ素原子の存在に影響されることを示唆している。周波数の変化は、質量依存的であるため、ペプチド6の場合には変化がより小さい。
Figure 2016515999
QCM−D実験が40分間継続し、そのため、被覆過程の開始しか測定しなかったことに留意すべきである。X線光電子分光学分析を用いて、Ti基板の完全な修飾を確実にするためにペプチドとの長時間のインキュベーションを経た表面を特性決定することができた。ベアTiと比較して、修飾基板から生じたシグナルは、炭素、窒素及びフッ素の存在を示した(図15及び16)。これらのシグナルは、表面上のペプチドの付着を示している。XPSにより評価したペプチド層の平均厚さは、ペプチド1〜6について、それぞれ3.9±0.1nm、4.3±0.1nm、3.9±0.1nm、4.41±0.03nm、4.2±0.1nm、及び3.82±0.04nmであった。
また、エリプソメトリを用いたコーティングの厚さも決定した。有機コーティングに好適なコーシー(Cauchy)膜モデルに測定値をあてはめることによって、ペプチド1〜6について、それぞれ3.41±0.05nm、3.46±0.04nm、3.48±0.03nm、3.36±0.05nm、5.2±0.1nm及び3.66±0.04nmの厚さを決定した。これらの観測結果は、XPS分析によって得られた結果と一致する。
生物付着の過程は、多糖又はタンパク質の形態をしたバイオ−有機分子の、基板への吸着により開始する。これらのバイオ−有機分子は、続いて起こる生物の付着を媒介する。従って、本発明者らは、タンパク質吸着に対するペプチドベースのコーティングの耐性を調べた。ベアTi表面と、被覆したTi基板を濃度150μMのタンパク質(ウシ血清アルブミン(BSA)、又はリゾチームのいずれか)溶液中に37℃で2時間インキュベートした。基板上のタンパク質の吸着量を決定するために、非干渉タンパク質アッセイ(商標)キットを使用した。ペプチド被覆基板上のBSA及びリゾチームの吸着量は、無視できるものであり、キットの検出限界を下回った(図17)。
表面への細菌付着を評価するために、ベア及びペプチド被覆基板を、緑膿菌(P.aeruginosa)及び大腸菌(E.coli)の接種材料にそれぞれ9及び96時間インキュベートした。これらのインキュベーション時間は、異なる菌株によるバイオフィルムの形成を可能にするものであった。インキュベーション後、基板を洗浄し、乾燥させた後、2%(w/w)クリスタルバイオレットで染色した。クリスタルバイオレット色素は、細菌のグラム染色の一部であり、細菌を紫色に染色する。光学顕微鏡を用いて、ベアチタン表面上に厚く、しかも濃い紫色の層を観察したが、これは、基板の細菌による厚い被覆を示すものであった。これに対し、被覆チタン上にはまばらな細菌しか検出されなかった(図18)。この結果を定量するために、30%酢酸を用いて細菌からクリスタルバイオレット色素を抽出し、その吸光度を測定した。クリスタルバイオレットの吸光度は、表面に付着した細菌の数と比例する。緑膿菌(P.aeruginosa)を接種した表面の場合、ベア基板と比較して、被覆基板上でクリスタルバイオレット量の93%減少を観測した(図18)。大腸菌(E.coli)を接種した表面については、クリスタルバイオレット量の72%の減少が認められた(図18)。
被覆基板の形態学的特性決定
浸漬被覆により、ペプチド膜を調製した。別に注記のない限り、実験は全て、0.01mg/mLのペプチド濃度で実施した。シリコンウエハー、100nmのチタン層で被覆したシリコンウエハー、又は400メッシュCopper−formvar(登録商標)/カーボングリッドのいずれかに膜を付着させた。電子顕微鏡を用いて、基板上の膜の形成を示す、膜中のひだ及び欠損を確認した。
ペプチド被覆表面へのタンパク質吸着
ペプチドベースのコーティングが、本当にタンパク質吸着を阻止したかどうかを決定するために、修飾した表面をFITC−BSA(蛍光標識タンパク質)とインキュベートした。入念な洗浄の後、蛍光顕微鏡検査により、表面に吸着したタンパク質の存在を分析した。この実験からの結果は、修飾した表面からの弱いシグナルと比較して、ベアシリコン基板上に広範なタンパク質吸着を示す強い蛍光シグナルをはっきりと示した。
ペプチド被覆表面の防汚活性
ペプチドの防汚活性を決定するために、修飾したシリコン表面をBL21大腸菌(E.coli)培養物中に配置した。次に、表面をすすぎ、バッファー中で音波処理した後、バッファーを寒天プレートに塗布して、培養した。コロニーを計数し、コロニー形成単位(CFU)の数を計算した。
表1に示すように、修飾した表面上のCFUの数は、ベアシリコン表面と比較して、2桁低かった。
Figure 2016515999
表面被覆
ペプチドが基板を被覆する能力を確認するために、アミン基が、DOPAの非隣接位置に配置されるような融合物に、ペプチド8を合成した。次に、ペプチドをそのアミン末端を介してフルオレセインと結合させ、浸漬被覆によりチタン基板上に付着させた。結果は、ベアチタン基板からの蛍光シグナルの非存在、及び修飾した表面からの強いシグナルを示した。このとから、ペプチドが基板を実際に被覆することがわかった。

Claims (180)

  1. 少なくとも2つのアミノ酸を含み、前記アミノ酸の少なくとも1つが、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)であり、前記アミノ酸の少なくとももう1つが、フッ素化されていることを特徴とするペプチド。
  2. 請求項1に記載のペプチドにおいて、防汚性であることを特徴とするペプチド。
  3. 請求項1に記載のペプチドにおいて、前記フッ素化アミノ酸が、前記少なくとも1つのDOPAと結合していることを特徴とするペプチド。
  4. 請求項1に記載のペプチドにおいて、少なくとも3〜8個のアミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  5. 請求項1に記載のペプチドにおいて、少なくとも2〜8個のアミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  6. 請求項1に記載のペプチドにおいて、少なくとも3〜6個のアミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  7. 請求項1に記載のペプチドにおいて、少なくとも3〜5個のアミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチドにおいて、各アミノ酸が、ペプチド結合を介して互いに結合していることを特徴とするペプチド。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチドにおいて、前記アミノ酸の少なくとも2つが、共有結合を介して互いに結合していることを特徴とするペプチド。
  10. 請求項1に記載のペプチドにおいて、一般式A−L−Fを有し、ここで、Aは、DOPAであり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、フッ素化アミノ酸部分であることを特徴とするペプチド。
  11. 請求項10に記載のペプチドにおいて、AとL、又はLとFを結合する前記結合又はリンカーが、非加水分解性結合又はリンカー基であることを特徴とするペプチド。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のペプチドにおいて、前記リンカーが、置換又は非置換炭素鎖から選択されることを特徴とするペプチド。
  13. 請求項12に記載のペプチドにおいて、前記リンカーが、2つ以上のアミノ酸から構成されることを特徴とするペプチド。
  14. 請求項12に記載のペプチドにおいて、前記リンカーが、1〜40個の炭素原子を含むことを特徴とするペプチド。
  15. 請求項13に記載のペプチドにおいて、前記リンカーが、一般構造:
    Figure 2016515999
    (各*は、連結点を示し;
    nは、0〜40であり;
    mは、1〜40である)
    を有することを特徴とするペプチド。
  16. 請求項1に記載のペプチドにおいて、2つ以上のDOPA部分を含むことを特徴とするペプチド。
  17. 請求項1に記載のペプチドにおいて、2つ以上のフッ素化アミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  18. 請求項1に記載のペプチドにおいて、2つ以上のDOPA及び2つ以上のフッ素化アミノ酸部分を含むことを特徴とするペプチド。
  19. 請求項1に記載のペプチドにおいて、1つ又は複数のDOPA及び2つ以上のフッ素化アミノ酸部分を含むことを特徴とするペプチド。
  20. 請求項1に記載のペプチドにおいて、2つ以上のDOPA及び1つ又は複数のフッ素化アミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載のペプチドにおいて、フッ素化されている前記アミノ酸が、天然若しくは非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−若しくはβ形態、及びL−若しくはDアミノ酸から選択されることを特徴とするペプチド。
  22. 請求項21に記載のペプチドにおいて、前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択されることを特徴とするペプチド。
  23. 請求項21に記載のペプチドにおいて、前記アミノ酸が、芳香族アミノ酸から選択されることを特徴とするペプチド。
  24. 請求項23に記載のペプチドにおいて、前記芳香族アミノ酸が、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンから選択されることを特徴とするペプチド。
  25. 請求項24に記載のペプチドにおいて、前記アミノ酸が、フェニルアラニン及び/又はその誘導体から選択されることを特徴とするペプチド。
  26. 請求項25に記載のペプチドにおいて、前記フェニルアラニン誘導体が、以下:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−l−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び3−フルオロチロシンから選択されることを特徴とするペプチド。
  27. 請求項1に記載のペプチドにおいて、前記フッ素化アミノ酸が、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されることを特徴とするペプチド。
  28. 請求項1に記載のペプチドにおいて、2〜12個のアミノ酸を含み、各アミノ酸が、芳香族アミノ酸から選択されることを特徴とするペプチド。
  29. 請求項28に記載のペプチドにおいて、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  30. 請求項28に記載のペプチドにおいて、ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つペプチド末端の各々に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むことを特徴とするペプチド。
  31. 請求項1〜30のいずれか一項に記載のペプチドにおいて、防汚剤としての使用を目的とすることを特徴とするペプチド。
  32. 請求項31に記載のペプチドにおいて、以下:
    (d)表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着;
    (b)表面へのタンパク質並びに/又は多糖及びポリリピドの吸着;
    (c)表面への多細胞生物又は微生物の細胞からの分泌;
    (d)表面への多細胞生物又は微生物の細胞の吸着
    の1つ又は複数の防止又は停止又は最小化又は低減を目的とすることを特徴とするペプチド。
  33. 以下:
    Figure 2016515999
    であることを特徴とするペプチド。
  34. ペプチド1、2、3、4及び5:
    Figure 2016515999
    ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
    から選択されることを特徴とするペプチド。
  35. 以下:
    Figure 2016515999
    であることを特徴とするペプチド。
  36. 以下:
    Figure 2016515999
    であることを特徴とするペプチド。
  37. ペプチド7、8、9及び10:
    Figure 2016515999
    ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
    から選択されることを特徴とするペプチド。
  38. 以下:
    Figure 2016515999
    であることを特徴とするペプチド。
  39. 以下:
    Figure 2016515999
    であることを特徴とするペプチド。
  40. 以下:
    Figure 2016515999
    であることを特徴とするペプチド。
  41. 以下:
    NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
    NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
    NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17
    から選択されることを特徴とするペプチド。
  42. 請求項1〜41のいずれか一項に記載のペプチドを含むことを特徴とする製剤。
  43. 請求項42に記載の製剤において、すぐに使用できる防汚製剤であることを特徴とする製剤。
  44. 請求項1〜41のいずれか一項に記載の少なくとも1つのペプチドを含むことを特徴とする膜。
  45. 請求項44に記載の膜において、防汚及び/又はバイオフィルム抑制性であることを特徴とする膜。
  46. 請求項44又は45に記載の膜で被覆された少なくとも1つの表面領域を含むことを特徴とする物品又は装置。
  47. 請求項46に記載の物品又は装置において、海洋船舶、船舶の船体、医療機器、コンタクトレンズ、食品処理装置、飲料水供給装置、パイプライン、ケーブル、漁網、橋梁及び浸水物品の表面領域から選択されることを特徴とする物品又は装置。
  48. 請求項45に記載の膜において、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択される生物によって引き起こされる生物付着の防止を目的とすることを特徴とする膜。
  49. 請求項48に記載の膜において、前記生物が、細菌であることを特徴とする膜。
  50. 請求項49に記載の膜において、前記細菌が、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)から選択されることを特徴とする膜。
  51. 請求項50に記載の膜において、前記細菌が、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)であることを特徴とする膜。
  52. 請求項50に記載の膜において、前記細菌が、緑膿菌(P.aeruginosa)であることを特徴とする膜。
  53. 請求項1〜41のいずれか一項に記載のペプチドの使用において、多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の透析装置表面への吸着を防止又は停止することにより、前記装置により治療中の患者からの血液細胞又は血液細胞から分泌されるタンパク質の付着を防止することを目的とすることを特徴とする使用。
  54. 表面への生物、生物からの有機及び/若しくはバイオ−有機物質の分泌物の沈積、付着、蓄積及び分散を阻害する方法において、請求項1〜41のいずれか一項に記載のペプチドを含む有効量の製剤と、前記表面を接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
  55. 少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを有する化合物を含む膜又はコートにおいて、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択されることを特徴とする膜。
  56. 請求項55に記載の膜又はコートにおいて、装置又は物品の表面領域上に形成されることを特徴とする膜。
  57. 少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分(又は基)とを含む二官能性化合物を含む膜又はコートにおいて、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、ジヒドロキシ−アミノ酸及びジヒドロキシ−アミノ酸含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されていることを特徴とする膜又はコート。
  58. 少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを含む、請求項55〜57のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分は、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されていることを特徴とする膜又はコート。
  59. 請求項55〜58のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、一般式A−L−Fを有し、ここで、Aは、表面吸着部分であり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、防汚部分であり、A、L及びFの各々は、非加水分解性結合を介して、互いに結合されていることを特徴とする膜又はコート。
  60. 請求項55〜59のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着を防止又は停止するために防汚性であることを特徴とする膜又はコート。
  61. 請求項55〜60のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、表面への多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の吸着を防止又は停止するために防汚性であることを特徴とする膜又はコート。
  62. 請求項57〜61のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記表面吸着部分が、前記リンカー部分上の原子と連結、会合又は結合したDOPAであることを特徴とする膜又はコート。
  63. 請求項57〜62のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、1炭素鎖であることを特徴とする膜又はコート。
  64. 請求項57〜63のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、置換又は非置換炭素鎖から選択されることを特徴とする膜又はコート。
  65. 請求項57〜64のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、アミノ酸及びペプチドから選択されることを特徴とする膜又はコート。
  66. 請求項57〜65のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、1〜40個の炭素原子を含むことを特徴とする膜又はコート。
  67. 請求項57〜66のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、置換若しくは非置換シクロアルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換−NR、置換若しくは非置換−OR、置換若しくは非置換−SR、置換若しくは非置換−S(O)R、置換若しくは非置換アルキレン−COOH、及び置換若しくは非置換エステルから選択される1つ又は複数の官能基によって置換されることを特徴とする膜又はコート。
  68. 請求項57〜67のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、一般構造:
    Figure 2016515999
    (各*は、連結点を示し;
    nは、0〜40であり;
    mは、1〜40である)
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  69. 請求項68に記載の膜又はコートにおいて、nが、1〜12であることを特徴とする膜又はコート。
  70. 請求項69に記載の膜又はコートにおいて、nが、1〜8であることを特徴とする膜又はコート。
  71. 請求項70に記載の膜又はコートにおいて、nが、1〜6であることを特徴とする膜又はコート。
  72. 請求項68〜71のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、mが、1〜20であることを特徴とする膜又はコート。
  73. 請求項72に記載の膜又はコートにおいて、mが、1〜12であることを特徴とする膜又はコート。
  74. 請求項73に記載の膜又はコートにおいて、mが、1〜8であることを特徴とする膜又はコート。
  75. 請求項74に記載の膜又はコートにおいて、mが、1〜6であることを特徴とする膜又はコート。
  76. 請求項68〜75のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、1つ又は複数の(CH基が置換されることを特徴とする膜又はコート。
  77. 請求項57〜76のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、アミノ酸であり、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40個のアミノ酸を含むことを特徴とする膜又はコート。
  78. 請求項55〜77のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、アミド結合を介して互いに結合した2つのアミノ酸から構成され、ここで、一方のアミノ酸はDOPAであり、他方は、フッ素化アミノ酸であることを特徴とする膜又はコート。
  79. 請求項57〜78のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記防汚部分が、一端で前記リンカーに結合し、前記表面吸着部分は、前記リンカー部分の他端に結合していることを特徴とする膜又はコート。
  80. 請求項57〜78のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記防汚部分と前記表面吸着部分が、前記リンカー部分に沿って交互の位置にあることを特徴とする膜又はコート。
  81. 請求項57〜80のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記リンカー部分が、2つ以上のアミノ酸のペプチドを含むか、又はそれから構成されることを特徴とする膜又はコート。
  82. 請求項55〜81のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも1つのDOPA及び少なくともフッ素化基(フッ素化アミノ酸であっても、そうでなくてもよい)を有するペプチドであることを特徴とする膜又はコート。
  83. 請求項82に記載の膜又はコートにおいて、前記ペプチドが、2〜40個のアミノ酸を含むことを特徴とする膜又はコート。
  84. 請求項83に記載の膜又はコートにおいて、前記ペプチドが、2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8又は9又は10又は11又は12個のアミノ酸を含むことを特徴とする膜又はコート。
  85. 請求項55〜84のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記防汚部分が、天然又は非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−又はβ形態、及びL−又はDアミノ酸から選択されるフッ素化アミノ酸であることを特徴とする膜又はコート。
  86. 請求項85に記載の膜又はコートにおいて、前記アミノ酸が、以下:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択されることを特徴とする膜又はコート。
  87. 請求項85に記載の膜又はコートにおいて、前記アミノ酸が、芳香族アミノ酸から選択されることを特徴とする膜又はコート。
  88. 請求項87に記載の膜又はコートにおいて、前記芳香族アミノ酸が、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンから選択されることを特徴とする膜又はコート。
  89. 請求項88に記載の膜又はコートにおいて、前記アミノ酸が、フェニルアラニン及びその誘導体から選択されることを特徴とする膜又はコート。
  90. 請求項89に記載の膜又はコートにおいて、前記フェニルアラニン誘導体が、以下:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−l−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び3−フルオロチロシンから選択されることを特徴とする膜又はコート。
  91. 請求項85に記載の膜又はコートにおいて、前記フッ素化アミノ酸が、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されることを特徴とする膜又はコート。
  92. 請求項85に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むことを特徴とする膜又はコート。
  93. 請求項85に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、前記ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つ前記ペプチド末端の各々に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むことを特徴とする膜又はコート。
  94. 請求項55〜93のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、以下:
    (e)表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着;
    (b)表面へのタンパク質並びに/又は多糖及びポリリピドの吸着;
    (c)表面への多細胞生物又は微生物の細胞からの分泌;
    (d)表面への多細胞生物又は微生物の細胞の吸着
    のうち1つ又は複数の防止又は停止又は最小化又は低減を目的とすることを特徴とする膜又はコート。
  95. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、以下の構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  96. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、ペプチド1、2、3、4及び5:
    Figure 2016515999
    ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
    から選択されることを特徴とする膜又はコート。
  97. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  98. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  99. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、ペプチド7、8、9及び10:
    Figure 2016515999
    ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
    から選択されることを特徴とする膜又はコート。
  100. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  101. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  102. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする膜又はコート。
  103. 請求項55〜94のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、前記化合物が、以下:
    NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
    NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
    NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17
    から選択されるペプチドであることを特徴とする膜又はコート。
  104. 請求項55〜103のいずれか一項に記載の膜又はコートで被覆された少なくとも1つの表面領域を含むことを特徴とする物品又は装置。
  105. 請求項104に記載の物品又は装置において、海洋船舶、船舶の船体、医療機器、コンタクトレンズ、食品処理装置、飲料水供給装置、パイプライン、ケーブル、漁網、橋梁及び浸水物品の表面領域から選択されることを特徴とする物品又は装置。
  106. 請求項55〜103のいずれか一項に記載の膜又はコートにおいて、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択される生物によって引き起こされる生物付着の防止を目的とすることを特徴とする膜又はコート。
  107. 請求項106に記載の膜又はコートにおいて、前記生物が、細菌であることを特徴とする膜又はコート。
  108. 請求項107に記載の膜又はコートにおいて、前記細菌が、以下:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus Pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)から選択されることを特徴とする膜又はコート。
  109. 請求項108に記載の膜又はコートにおいて、前記細菌が、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)であることを特徴とする膜又はコート。
  110. 請求項108に記載の膜又はコートにおいて、前記細菌が、緑膿菌(P.aeruginosa)であることを特徴とする膜又はコート。
  111. 装置又は物品の表面領域上に自己組織化防汚膜若しくはコートを形成することに使用するための、少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを含む化合物を含む組成物において、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択されることを特徴とする組成物。
  112. 少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分(又は基)とを有する二官能性化合物を含む請求項111に記載の組成物において、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、ジヒドロキシ−アミノ酸及びジヒドロキシ−アミノ酸含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分が、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されていることを特徴とする組成物。
  113. 少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを有する請求項111〜112のいずれか一項に記載の組成物において、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及びフッ素原子を含有する少なくとも1つの基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、前記少なくとも1つの防汚部分と前記少なくとも1つの表面吸着部分が、共有結合又はリンカー部分を介して互いに結合されていることを特徴とする組成物。
  114. 請求項111〜113のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、一般式A−L−Fを有し、ここで、Aは、表面吸着部分であり、Lは、AとFを連結する共有結合又はリンカー部分であり、Fは、防汚部分であり、A、L及びFの各々は、非加水分解性結合を介して、互いに結合されていることを特徴とする組成物。
  115. 請求項111〜114のいずれか一項に記載の組成物において、前記表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着を防止又は停止するために防汚性であることを特徴とする組成物。
  116. 請求項111〜114のいずれか一項に記載の組成物において、表面への多細胞生物の細胞又は微生物の分泌物の吸着を防止又は停止するために防汚性であることを特徴とする組成物。
  117. 請求項113に記載の組成物において、前記表面吸着部分が、前記リンカー部分上の原子と連結、会合又は結合したDOPAであることを特徴とする組成物。
  118. 請求項117に記載の組成物において、前記リンカー部分が、1炭素鎖であることを特徴とする組成物。
  119. 請求項117に記載の組成物において、前記リンカー部分が、置換又は非置換炭素鎖から選択されることを特徴とする組成物。
  120. 請求項117に記載の組成物において、前記リンカー部分が、アミノ酸及びペプチドから選択されることを特徴とする組成物。
  121. 請求項113〜120のいずれか一項に記載の組成物において、前記リンカー部分が、1〜40個の炭素原子を含むことを特徴とする組成物。
  122. 請求項113〜121のいずれか一項に記載の組成物において、前記リンカー部分が、以下:置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、置換若しくは非置換シクロアルキル、置換若しくは非置換シクロアルケニル、置換若しくは非置換シクロアルキニル、置換若しくは非置換アリール、置換若しくは非置換ヘテロアリール、置換若しくは非置換ヘテロシクリル、置換若しくは非置換−NR、置換若しくは非置換−OR、置換若しくは非置換−SR、置換若しくは非置換−S(O)R、置換若しくは非置換アルキレン−COOH、及び置換若しくは非置換エステルから選択される1つ又は複数の官能基によって置換されることを特徴とする組成物。
  123. 請求項113〜122のいずれか一項に記載の組成物において、前記リンカー部分が、一般構造:
    Figure 2016515999
    (各*は、連結点を示し;
    nは、0〜40であり;
    mは、1〜40である)
    を有することを特徴とする組成物。
  124. 請求項123に記載の組成物において、nが、1〜12であることを特徴とする組成物。
  125. 請求項123に記載の組成物において、nが、1〜8であることを特徴とする組成物。
  126. 請求項123に記載の組成物において、nが、1〜6であることを特徴とする組成物。
  127. 請求項123に記載の組成物において、mが、1〜20であることを特徴とする組成物。
  128. 請求項123に記載の組成物において、mが、1〜12であることを特徴とする組成物。
  129. 請求項123に記載の組成物において、mが、1〜8であることを特徴とする組成物。
  130. 請求項123に記載の組成物において、mが、1〜6であることを特徴とする組成物。
  131. 請求項125に記載の組成物において、1つ又は複数の(CH基が置換されることを特徴とする組成物。
  132. 請求項123に記載の組成物において、前記リンカー部分が、アミノ酸であり、2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40個のアミノ酸を含むことを特徴とする組成物。
  133. 請求項112〜132のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、アミド結合を介して互いに結合した2つのアミノ酸から構成され、ここで、一方のアミノ酸はDOPAであり、他方は、フッ素化アミノ酸であることを特徴とする組成物。
  134. 請求項112〜132のいずれか一項に記載の組成物において、前記防汚部分が、一端で前記リンカーに結合し、前記表面吸着部分は前記リンカーの他端に結合していることを特徴とする組成物。
  135. 請求項112〜132のいずれか一項に記載の組成物において、前記防汚部分と前記表面吸着部分が、前記リンカーに沿って交互の位置にあることを特徴とする組成物。
  136. 請求項112〜132のいずれか一項に記載の組成物において、前記リンカーが、2つ以上のアミノ酸のペプチドを含むか、又はそれから構成されることを特徴とする組成物。
  137. 請求項112〜132のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、少なくとも2つのアミノ酸、少なくとも1つのDOPA及び少なくともフッ素化基(フッ素化アミノ酸であっても、そうでなくてもよい)を有するペプチドであることを特徴とする組成物。
  138. 請求項137に記載の組成物において、前記ペプチドが、2〜40個のアミノ酸を含むことを特徴とする組成物。
  139. 請求項138に記載の組成物において、前記ペプチドが、2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8又は9又は10又は11又は12個のアミノ酸を含むことを特徴とする組成物。
  140. 請求項112〜139のいずれか一項に記載の組成物において、前記防汚部分が、天然又は非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、α−又はβ形態、及びL−又はDアミノ酸から選択されるフッ素化アミノ酸であることを特徴とする組成物。
  141. 請求項140に記載の組成物において、前記アミノ酸が、以下:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ピロリシン及びセレノシステイン;並びにホモアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、デヒドロアミノ酸、芳香族アミノ酸及びα,α−二置換アミノ酸などのアミノ酸類似体、システイン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、a−アミノアジピン酸、a−アミノ−n−酪酸、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α−メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸、オルト、メタ若しくはパラ−アミノ安息香酸、シトルリン、カナバニン、ノルロイシン、d−グルタミン酸、アミノ酪酸、L−フルオレニルアラニン、L−3−ベンゾチエニルアラニン及びチロキシンから選択されることを特徴とする組成物。
  142. 請求項112〜139のいずれか一項に記載の組成物において、前記アミノ酸が、芳香族アミノ酸から選択されることを特徴とする組成物。
  143. 請求項142に記載の組成物において、前記芳香族アミノ酸が、トリプトファン、チロシン、ナフチルアラニン、及びフェニルアラニンから選択されることを特徴とする組成物。
  144. 請求項143に記載の組成物において、前記アミノ酸が、フェニルアラニン及びその誘導体から選択されることを特徴とする組成物。
  145. 請求項144に記載の組成物において、前記フェニルアラニン誘導体が、以下:4−メトキシ−フェニルアラニン、4−カルバムイミドイル−l−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、3−シアノ−フェニルアラニン、4−ブロモ−フェニルアラニン、4−シアノ−フェニルアラニン、4−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、1−ナフチル−アラニン、3−(9−アントリル)−アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、m−アミジノフェニル−3−アラニン、フェニルセリン、ベンジルシステイン、4,4−ビフェニルアラニン、2−シアノ−フェニルアラニン、2,4−ジクロロ−フェニルアラニン、3,4−ジクロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3,4−ジヒドロキシ−フェニルアラニン、3,5−ジブロモチロシン、3,3−ジフェニルアラニン、3−エチル−フェニルアラニン、3,4−ジフルオロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−アミノ−L−フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、3−(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)−l−アラニン、3−ヨード−チロシン、キヌレニン、3,4−ジメチル−フェニルアラニン、2−メチル−フェニルアラニン、m−チロシン、2−ナフチル−アラニン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、メタ−ニトロ−チロシン、(β)−β−ヒドロキシ−l−チロシン、(β)−3−クロロ−β−ヒドロキシ−l−チロシン、o−チロシン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、3−(2−ピリジル)−アラニン、3−(3−ピリジル)−アラニン、3−(4−ピリジル)−アラニン、3−(2−キノリル)−アラニン、3−(3−キノリル)−アラニン、3−(4−キノリル)−アラニン、3−(5−キノリル)−アラニン、3−(6−キノリル)−アラニン、3−(2−キノキサリル)−アラニン、スチリルアラニン、ペンタフルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、フェニルアラニン、4−ヨード−フェニルアラニン、4−ニトロ−フェニルアラニン、ホスホチロシン、4−tert−ブチル−フェニルアラニン、2−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、4−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン、3−アミノ−L−チロシン、3,5−ジヨードチロシン、3−アミノ−6−ヒドロキシ−チロシン、チロシン、3,5−ジフルオロ−フェニルアラニン及び3−フルオロチロシンから選択されることを特徴とする組成物。
  146. 請求項111〜145のいずれか一項に記載の組成物において、前記フッ素化アミノ酸が、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されることを特徴とする組成物。
  147. 請求項147に記載の組成物において、前記化合物が、一端にDOPAを、且つ他端に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むことを特徴とする組成物。
  148. 請求項112〜148のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、前記ペプチドに沿って中間点のアミノ酸にDOPAを、且つ前記ペプチド末端の各々に、o−フルオロフェニルアラニン、m−フルオロフェニルアラニン及びp−フルオロフェニルアラニンから選択されるフッ素化芳香族アミノ酸を含むことを特徴とする組成物。
  149. 請求項111〜148のいずれか一項に記載の組成物において、以下:
    (f)表面への有機及び/又はバイオ−有機物質の吸着;
    (b)表面へのタンパク質及び/又は多糖及びポリリピドの吸着;
    (c)表面への多細胞生物又は微生物の細胞からの分泌;
    (d)表面への多細胞生物又は微生物の細胞の吸着
    のうち1つ又は複数を防止又は停止又は最小化又は低減することを目的とすることを特徴とする組成物。
  150. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、以下の構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする組成物。
  151. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、ペプチド1、2、3、4及び5:
    Figure 2016515999
    ペプチド1:(1S,2S,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド2:(1S,2S,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド3:(1S,2R,3S)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド4:(1S,2R,3R)A=B=D=E=−H,C=−F
    ペプチド5:(1S,2S,3S)A=B=C=D=E=−F
    から選択されることを特徴とする組成物。
  152. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする組成物。
  153. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする組成物。
  154. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、ペプチド7、8、9及び10:
    Figure 2016515999
    ペプチド7:(1S,2S,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド8:(1S,2S,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド9:(1S,2R,3S)A=B=C=D=−H,E=−F
    ペプチド10:(1S,2R,3R)A=B=C=D=−H,E=−F
    から選択されることを特徴とする組成物。
  155. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする組成物。
  156. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする組成物。
  157. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、構造:
    Figure 2016515999
    を有することを特徴とする組成物。
  158. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、前記化合物が、以下:
    NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−COOH ペプチド15
    NH−L−DOPA−D−(4−F)−Phe−COOH ペプチド16
    NH−L−DOPA−L−(4−F)−Phe−L−(4−F)−Phe−COOMe ペプチド17
    から選択されるペプチドであることを特徴とする組成物。
  159. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物で被覆された少なくとも1つの表面領域を含むことを特徴とする物品又は装置。
  160. 請求項159に記載の物品又は装置において、海洋船舶、船舶の船体、医療機器、コンタクトレンズ、食品処理装置、飲料水供給装置、パイプライン、ケーブル、漁網、橋梁及び浸水物品の表面領域から選択されることを特徴とする物品又は装置。
  161. 請求項111〜149のいずれか一項に記載の組成物において、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択される生物によって引き起こされる生物付着の防止を目的とすることを特徴とする組成物。
  162. 請求項161に記載の組成物において、前記生物が、細菌であることを特徴とする組成物。
  163. 請求項162に記載の組成物において、前記細菌が、以下:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)から選択されることを特徴とする組成物。
  164. 請求項163に記載の組成物において、前記細菌が、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)であることを特徴とする組成物。
  165. 請求項163に記載の組成物において、前記細菌が、緑膿菌(P.aeruginosa)であることを特徴とする組成物。
  166. 請求項111〜165のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする防汚製剤。
  167. 請求項111〜165のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする抗微生物製剤。
  168. 請求項111〜165のいずれか一項に記載の組成物を含むことを特徴とする抗菌製剤。
  169. 請求項1〜168のいずれか一項に記載の組成物と使用説明書とを含むことを特徴とするキット。
  170. 請求項111〜165のいずれか一項に記載の組成物の使用において、防汚製剤又は抗微生物製剤又は抗菌製剤の製造を目的とすることを特徴とする使用。
  171. 複数の化合物の膜又はコートを表面領域上に形成する方法において、前記化合物は、各々少なくとも1つの防汚部分と少なくとも1つの表面吸着部分とを含み、ここで、前記少なくとも1つの防汚部分が、フッ素(−F)及び少なくとも1個のフッ素原子を含有する基から選択され、且つ前記少なくとも1つの表面吸着部分が、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(DOPA)及びDOPA含有基から選択され、前記方法が、前記表面領域を前記化合物と接触させるステップ、及び前記表面領域上でのその自己組織化を可能にするステップを含むことを特徴とする方法。
  172. 請求項171に記載の方法において、前記表面領域が、装置又は物品のものであることを特徴とする方法。
  173. 請求項171に記載の方法において、前記化合物が、製剤として提供されることを特徴とする方法。
  174. 請求項171に記載の方法において、前記膜又はコートが、防汚、抗微生物及び抗菌性から選択される特性を有することを特徴とする方法。
  175. 少なくとも1種の微生物を死滅させる方法において、前記微生物又は微生物の環境を請求項1に記載の少なくとも1つの化合物又は請求項111に記載の少なくとも1つの組成物と接触させることを特徴とする方法。
  176. 請求項175に記載の方法において、前記微生物が、細菌、珪藻、ヒドロイド、藻類、コケムシ、原生動物、マボヤ、チューブワーム、タイワンシジミ、ゼブラ貝及びフジツボから選択されることを特徴とする方法。
  177. 請求項176に記載の方法において、前記生物が、細菌であることを特徴とする方法。
  178. 請求項177に記載の方法において、前記細菌が、以下:百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumonia)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)、毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)(ETEC)、腸管病原性大腸菌(Enteropathogenic E.coli)、野兎病菌(Francisella tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、らい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、赤痢菌(Shigella sonnei)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)、肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumonia)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、梅毒トレポネマ(Treponema pallidum)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)及びペスト菌(Yersinia pestis)から選択されることを特徴とする方法。
  179. 請求項178に記載の方法において、前記細菌が、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)であることを特徴とする方法。
  180. 請求項178に記載の方法において、前記細菌が、緑膿菌(P.aeruginosa)であることを特徴とする方法。
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