JP2007518065A - 吸着又は結合生体分子を有するゲル−シェルビード - Google Patents

吸着又は結合生体分子を有するゲル−シェルビード Download PDF

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Abstract

【課題】
【解決手段】
ゲル被覆ビード(登録商標ハイドロゲル被覆ビードを含む)が開示されており、これは、ゲルコーティング表面又は内部でタンパク質及び他の生体分子を吸着、吸着することが出来る。吸着又は吸着生体分子を有するゲル被覆ビードは、分析、精製又は他の目的での使用に好適である。ビードはゲル−シェルで被覆されたラテックスを含む多くの物質のいずれかから作られるコアを有する。生体分子は、吸着後、共有結合によって、又はそれらが更に反応することなく保持されるように周囲pH及び/又はイオン強度の条件を選択することによってゲル内に保持することが出来る。従って、吸着タンパク質は、個々のリガンドに結合する能力を維持する。
【選択図】図1

Description

関連出願
この出願は、2003年10月28日に出願された米国暫定出願第60/515,079号に対して優先権を主張する。
技術分野
本発明は、ゲルで被覆されたビードに関する。
背景
マイクロアレイは、タンパク質−タンパク質及びオリゴヌクレオチド−オリゴヌクレオチド相互作用を含む、生体分子相互作用の総合的分析用の強力なツールである。そのような分析は、分子キャラクタリゼーション及び生理状態又は病状の診断に有用であり、広範な可能性を有する。総てのマイクロアレイにおいて、相互作用はスライドガラス上の配列フォーマットで一連の生体分子をまず固定することによって分析される。次いで、このスライドガラスは、一連の蛍光標識相補リガンドで精査され、どのような結合も観察される。
DNAマイクロアレイと比較して、有用なタンパク質マイクロアレイの製造は、一般的により困難であり、技術的には挑戦である。これは、タンパク質が低温及び高温の双方の温度、極端なpH、疎水性表面の存在、高剪断にさらすこと、及び水の除去に対して敏感である本質的に壊れやすい分子であるからである。従って、タンパク質マイクロアレイの準備、貯蔵及び取り扱いの間、そのような条件を避けることが必須である。
これらの問題の多くに対する好ましい解決策は、ポリマー樹脂で出来たエンコードされた粒子を含むタンパク質を、エンコードされたマイクロビード粒子に付着することである。(2002年8月23日に出願された米国出願第10/204,799号;WO01/98765「Multianalyte Molecular Analysis Using Application−Specific Random Particle Arrays」必要ならば参照されたい)次いで、エンコードされたキャプチャータンパク質被覆粒子は2D配列フォーマットにアセンブルされ、ターゲットタンパク質を含むように前処理されたサンプルに接触する。次に、キャプチャータンパク質とターゲットタンパク質との間のあらゆる結合が、蛍光配列シグナルの存在によって決定される。正配列シグナルを生成する特定のキャプチャータンパク質は、配列をデコードすることによって決定される。微粒子上にタンパク質を固定する幾つかの既知の及び市販の方法がある。(Bangs Laboratories Inc.,TechNote # 205 Covalent Coupling、2002及びTechNote # 204、Adsorption to Microsphere、1999)最も普通に使用されているアプローチは、ランダムな共有結合又は微粒子表面上へのタンパク質の付着させ、それはしばしば結合に参加することの出来ない誤った配向分子をもたらす。加えて、本質的に不適切な化学反応の使用は、化学的に修飾し、それ故にタンパク質分子を変性させることがある。
サイト選択化学を使用して表面にタンパク質を結合することは、これらの問題の幾つかを回避する。原理上、そのような配向性吸着は、タンパク質の活性サイトをアクセス可能にしておき、また、それらの安定性(Peluso, P.他、Analytical Biochemistry 312(2003) 113−124)を改善する。しかし、そのような技術は、使用が限定されている。というのも、それらは、追加のタンパク質修飾、精製及び濃縮ステップが必要であるからであり、多数の固有分子と共に使用するには実用的ではない。従って、様々な型のタンパク質を固定し、しかもそれらの二次構造、従ってそれらの生物学的活性を維持する表面化学及び表面トポロジーの選択が必要とされる。
ハイドロゲルは、多量の水を吸収することが出来る3次元親水性ポリマーネットワークである。これらの高含水量は、「タンパク質フレンドリー」環境を提供し、これらは、マイクロアレイに基板としての使用可能性があるため、注目を集めてきた。(www.perkilelmer.com/proteomics:HydroGel Application Note)Arenkov他(Arenkov, P.他 Analytical Biochemistry,278,123−131(2000))は、スライドガラス表面に順番に付着されたゲルパッド(100μm×100μm×20μm)にタンパク質を固定することによって製造された配列の製造を報告した。3次元マトリックス構造により、タンパク質固定は、非常に効率的であると報告されている。水性の環境は、タンパク質をその天然型で保持するのに役立ち、配列結合反応を自由に利用できた。この方法の主要な不都合は、複雑な製造方法であることと輸送が限定されることに起因して、ゲルパッドからの非結合タンパク質の除去が困難なことである。
従って、これらのアプローチはいずれも、タンパク質構造及び機能の膨大な多様性に対応し、二次及び三次タンパク質構造の維持を許容する多重化タンパク質リガンド相互作用分析の広範なプラットフォームを提供するのに十分ではない。
要約
ゲル被覆ビード(登録商標ハイドロゲル被覆ビードを含む)が開示されており、これは、ゲルコーティングの表面又は内部でタンパク質及び他の生体分子を吸着、吸収することが出来、分析、精製又は他の目的での使用に好適である。生体分子はゲル中に吸着されるか吸収されることが出来、各ケースでの吸収は、異なる機構によって駆動されるであろうが、現実には、各ケースにおける結果は、配位結合に使用可能である結合サイトを有する生体分子負荷ゲルである。リガンドの結合時に発生する分析シグナルは、結合サイトが、ゲルへの吸着/吸収に利用できる状態にしておく(そのようなプロセスを、以下で便宜上「吸着」と総称する)傾向があるので、生体分子が他の方法によってビードに結合されるならばより大きいであろう。ビードは、コア−シェルビード(又はコア−シェル粒子)と称してもよいが、ゲル−シェルで被覆されたラテックスを含む、いくつかの物質のいずれかで出来たコアを有する。生体分子は、吸着後、共有結合によって、又は生体分子が更に反応することなく維持されるように周囲pH及び/又はイオン強度の条件を選択することによってゲル内に維持出来る。
上述のように、その中にタンパク質又は他の生体分子を吸着したゲル−シェルビードは、分析に使用出来る。特に、タンパク質を吸着し、吸着したタンパク質とよく反応する酵素、抗原又は抗体を含むリガンドを分析することが出来る。ゲル層の特性は、吸着したレセプター又はキャプチャータンパク質のエピトープ及び/又は活性が変化しない又は影響を受けないといったことである。従って、吸着したタンパク質は、各々のリガンドに結合する能力を保持している。
また、検体の粗製混合物、例えば全血又は細胞溶解物から、特殊な核酸又はタンパク質を選択的に捕獲するためのゲル−シェル粒子の使用プロセスが開示されている。全血を含有するサンプルは、重要なリガンド分子と官能化されるゲル−シェル粒子と接触して配置される。赤色及び白色細胞は、その大きさから、ゲルによって自動的に排除され、ゲルの微細孔よりも小さい分子のみ入り、リガンドに結合することが出来る。ゲルに入るのに十分小さいプラズマにおける成分はリガンドに結合し、この結合を既知の方法によって検出することが出来る。成分の残余は容易に洗い落とすことが出来る。この方法では、大きな検体が分離され、結合事象を発生させないので、分析結果の信頼性が向上する。
また、ゲル−シェル粒子は、例えば、ELISAを使用して検出されるような、様々なビードで行われる様々な結合反応の識別を分離及び増加させるに当たり、マイクロリアクターとして使用される。表面上にレセプター−リガンド複合体を有する従来のスポット配列において、結合事象は、第2の探知剤(第2抗体、ストレプトアビジン又はその類似物)に典型的に関連した酵素の存在によって探知される。適当な基質の存在において、酵素は、局所的に蛍光又は着色された生成物の形成に触媒作用を及ぼす。しかし、一般的にこの生成物は、配列を通して放散する傾向があり、近接スポットからのシグナルを不鮮明にする。これは、ELISAフォーマットで有用である高特性密度を有するマイクロアレイの開発を妨げるものであった。しかし、本発明のゲル−シェル粒子を用いると、結合事象からのシグナルを粒子のゲルシェル中でローカライズされた状態に保つことが出来、基質と生成物との間の分配係数差についての利点を得ることが出来る。例えば、ゲル−シェルは、両親媒性であり、親水性及び疎水性ドメインを有する。親水性ドメインは、酵素の反応槽としての役割を果たし、疎水性ドメインは、蛍光性及び疎水性生成物を仕切る働きをする。そのような化学的性質は、最近、文献(Kiyoshima, S.他 Nature Material,3,58−64(2004))で報告されている。
ゲル−シェル吸着タンパク質又は他の生体分子は、一段階分析及び同種リガンドの精製用薬剤として使用出来る。このような方法では、吸着生体分子を有するコア−シェルビードは、窓付き保持セルに詰められ、分析/精製すべき物質を含むサンプルは、このセルを通って通過する。分析結果は、透明なセル穴を介して元の場所でモニタすることが出来る。また、精製段階のために、ビードをカラムから除去して、次いで、既知の方法を使用してタンパク質をビードから溶出することが出来る。
コア−シェルビード及びその様々な使用を、以下でに更に説明する。
詳細な説明
高度な生物学的活性を維持する係留された又は物理的に吸収されたタンパク質又は他の生体分子を運ぶゲル被覆(ゲル−シェル)ビードの製造方法は、以下のように実施される。
(1)適切な緩衝液内に本発明のゲル−シェルビードを分散させる(図1A);
(2)固定すべき生体分子(図1D)の水溶液又は緩衝溶液をビード混濁液に加える;
(3)この混合物を生体分子固定化(図1B及び図1E)のステップにさらす;及び
(4)ビードから生体分子を分離し、最適の緩衝液でビードを再分散させる。(図1C及び図1F)
ポリマー粒子の安定した分散が利用できるならば、どのポリマーでもコアポリマー粒子を提供するのに使用することが出来る。好ましいポリマーには、ホモポリマー又はコポリマーが挙げられ、ここではコポリマーは、2又はそれ以上のモノマーユニットで形成されたポリマーを含み、これは「ターポリマー」と称される、3又はそれ以上のモノマーユニットを含む。ビニルクラスのモノポリマー、すなわち、ビニル基含有モノマーを含む疎水性ポリマーが好ましく、これはスチレン基を有するものを含む。好ましいポリマーの群には、約50〜100重量%のスチレンモノマーユニットを含むポリスチレン又はポリスチレンコポリマーがある。ポリマーは、選択的に架橋されているか、或いは非架橋であってよい。一の実施例では、微粒子は、微粒子の重量に基づいて1%のジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンで出来ている。別の実施例では、この微粒子は、微粒子の重量に基づいて、約0.6〜1%のメタクリル酸を含むスチレン/メタクリル酸コポリマーを具える。
好ましいポリマー物質は、一例として、及び限定されない例として、次のモノマーを含むポリマーである;
アクリル酸又はアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、2−アクリル酸エチルヘキシル又はアクリル酸グリシジルなどのアクリル酸のエステル;
メタクリル酸又はメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、メタクリル酸グリシジル又はN,N−(メタクリロキシヒドロキシプロピル)−(ヒドロキシアルキル)アミノエチルアミドアゾリジノンなどのメタクリル酸のエステル;
メタクリル酸アリルなどのアリルエステル;
イタコン酸又はそのエステル;
クロトン酸又はそのエステル;
マレイン酸又はマレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジオクチル、又はマレイン酸ジエチルなどのマレイン酸のエステル;
スチレン又はエチルスチレン、ブチルスチレン又はジビニルベンゼンなどのスチレンの置換誘導体;
メタクリル酸ジメチルアミノエチル又はメタクリル酸ブチルアミノエチルなどのアミン官能基を含むモノマーユニット;
アクリルアミド又はメタクリルアミドなどのアミド官能基を含むモノマーユニット;
ビニルエーテル;ビニルチオエーテル;ビニルアルコール;ビニルケトン;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;ビニル酢酸塩又はビニルバーサテートなどのビニルエステル;アクリロニトリル又はメタクリロニトリルなどのビニルニトリル;
塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;
テトラフルオロエチレン;
ブタジエン及びイソプレンなどのジエンモノマー;及び
アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル。
好適なポリマー物質は、一例として及び限定されない例として、次のポリマー;
ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)などのポリオキシド;ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル;ポリウレタン;ポリスルホン酸;ポリ(ジメチルシロキサン)などのポリシロキサン;多硫化物;ポリアセチレン;ポリスルホン;ポリスルホンアミド;ポリカプロラクタム及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)などのポリアミド;ポリイミン;ポリ尿素;ポリビニルピリジン及びポリビニルピロリジノンなどの複素環式ポリマー;天然ゴム、ゼラチン、セルロースなどの天然産ポリマー;ポリカーボネート;ポリ無水物;及びポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレンコポリマーなどのポリアルケン;を含む。
ポリマー物質は、これは、カルボン酸塩、エステル、アミン、アルデヒド、アルコール又はハロゲン化物などの官能基を含み、化学的又は生物学的分析における粒子の実用性を強化するのに望ましい、化学的又は生物学的モエティを吸着させる部位を提供する。このようなポリマーからの微粒子製造方法はこの分野において公知である。コア微粒子を製造する典型的な手順を、以下の例で説明する。
ゲル−シェルは、任意のポリマー被覆技術によって形成してもよい。シェル形成ポリマーが、コア形成ポリマーよりも高い極性、又は低い表面張力を示すならば、ゲル−シェルビードのコア−シェル形態が熱力学的に好ましい。また、シェル形成ポリマーの体積分率がコア形成ポリマーより大きいならば、やはりコア−シェル形態が好ましい。従って、コア−シェル粒子の合成は、1よりも大きいシェル/コア重量比で行われる。ある実施例では、コアポリマーは疎水性であり、ゲル−シェルポリマーは、比較的親水性であり対象となる官能基を有する。
これらの制約の中で、任意のモノマー又はモノマーのの組み合わせを、ゲル−シェルポリマーとして選択することが出来る。ビニルモノマーの混合物が好ましい。本発明の一つの実施例によれば、主成分としてメタクリル酸メチルのモノマー混合物を、微量成分としてメタクリル酸ヒドロキシエチル及びメタクリル酸を用いて、ポリスチレン又は修飾したポリスチレンコア上にシェルを形成する。このようなモノマー混合物の一つは、重量で約6%のメタクリル酸ヒドロキシエチル、約5%乃至約20%のメタクリル酸から成り、残りはメタクリル酸メチルである。これらのモノマーは、ポリスチレンより親水性である。
ビードサイズは、意図されている最終使用に適切になるように選択することが出来る。典型的に、粒子は直径約0.1乃至約100ミクロンのサイズの範囲であり、より典型的には、約0.5乃至50ミクロンであり、更に典型的には、約1乃至約10ミクロンである。好ましくは、ビードは「単分散」である。すなわち、組ビードは、サイズ範囲が狭く、好ましくは、約5%を超えない平均径の変動係数(「CV」)を示す。
ゲル−シェルビードは、よく知られた手順に従って、コア内又はシェル内で、適切な磁性材料に結合することによって磁気的に反応するようにしてよい。このような方法の一つによれば、粒子が例17に記載されるフェロ流動体のようなフェロ流動体で被覆されている。本明細書において使用される「磁気的反応」は、磁場の作用に応じて位置又は方向を変化する能力を意味する。
また、ゲル−シェルビードは、蛍光染料を組み込むことによって蛍光にしてよい。この染料は、選択的に色を検知できる又は蛍光を与える任意の染料を含んでいてもよい。色又は蛍光は、肉眼で又は顕微鏡若しくは他の機器を用いて検知することが出来る。1又はそれ以上の染料を使用する場合は、染料が本質的に異なる吸収スペクトル、発光スペクトル又は発光寿命を有するように、染料を選択することが出来る。
ゲル−シェル合成に続いて、対象となる生体分子が、ゲル−シェルビードと接触して配置される。生体分子などの溶質を含む溶液に接触すると、生体分子がゲルと周囲液体との間を仕切る。荷電し、pH感受性のゲル中の生体分子の分配係数は、ハイドロゲル中のpH、温度及びイオン強度などの溶液特性、及びゲル組成、電荷密度、架橋及びポリマー留分などの物質特性によって影響される。これらのパラメーターのいずれか一つの変化は、荷電ハイドロゲルの分配に寄与する3つの主要なメカニズム:サイズ排除、静電学、及び疎水性のような短距離相互作用に影響を与える。ゲル中の大きな生体分子の分配は、ゲルの気孔率に依存する。しかし、通常使用される製造方法は、大きな、永続する気孔を導入しないため、ゲル内に存在する気孔率又は口径は、直ちに決定されることが出来ない。むしろ、気孔率はフレキシブルで可動な水和ポリマー鎖の間に一時的な空間が生じる結果出来る。従って、より大きな膨張が疑いなく大きな生体分子により高い分配係数をもたらす。マクロスコーピックゲルの場合の一つの問題は、ゲルへ及びゲルからの分子の移送が、しばしば拡散によって制御され、このためプロセスが遅くなることである。しかし、本件では、拡散のための特徴時間は、シェルの厚さの2乗に比例し、ミクロンの割合しかないので、ゲル−シェルの中及び外への移送は速い。気孔率に加えて、静電及び勤電効果は、帯電ゲルにおけるタンパク質分配に、主要な役割を果たす。膨張した帯電ゲルとタンパク質との間の相互作用の力は、そのpHがタンパク質のpIよりも低いか高いか、及びタンパク質がゲルに対して反対に帯電しているかどうかによって、ネット誘因あるいはネット反発のいずれであってよい。タンパク質とゲルの高いゲル電荷密度及び対立する電荷は、静電学的相互作用により高い分配を助ける。
本発明によれば、重要な生体分子の固定化は、上記のような物理的吸収段階に続いて、共有結合(カルボジイミド結合、アルデヒド結合、トシルエステル結合(以下、参照)などの、よく知られた結合反応のいずれか一つの使用(図1B、参照))を行うことによって実施することが出来る。エステル類、アルコール類、アミン類、チオール類、ハロゲン化物又はエポキシドを使用する他の対象となる結合方法を、この分野で公知の方法を用いて同様に使用することが出来る。
代替的に、最初の生体分子吸収後、刺激感受性のゲル−シェルを利用して、破壊遷移が始まり、吸収された生体分子(図1E、参照)を効果的物理的に捕獲することが出来る。刺激感受性のゲルは、それらの環境で小さな変化に対する平衡体積における不連続な遷移に反応するポリマーである。そのようなゲルは、温度、pH、イオン強度、光、電気、又は電磁場感受性などの、それらが反応する刺激に従って分類することが出来る。このようなゲルは、再生医療用の潜在的骨格及び医薬用タンパク質の制御された放出(N.A.Peppas:Hydrogels in Medicine and Pharmacy,Vol.1.Fundamentals,CRC Press,Boca Raton,FL,1986,180ページ、N.A.Peppas:Hydrogels in Medicine and Pharmacy,Vol.2.Polymers,CRC Press,Boca Raton,FL,1987,172ページ、及びN.A.Peppas:Hydrogels in Medicine and Pharmacy,Vol.3.Properties and Applications,CRC Press,Boca Raton,FL,1987,196ページ)として、及びタンパク質の分離及び精製のためのクロマトグラフィー担体メディア(Sassi,A.P. et al. AIChE Journal 42(8):2335−2353(1996))として広く研究されてきた。また、崩壊ゲルにおいて、低度の膨張は、タンパク質の高い分配を示すが、この体制における分配は、異なるメカニズムによってなされる。収縮ゲル層における増加したポリマー濃度は、誘因ポリマー−タンパク質相互作用(主として疎水性相互作用などの短距離相互作用)をもたらす。pH感受性ゲルの破壊遷移pHを調整する幾つかの方法が、文献で報告されている。例えば、ポリアクリル酸ベースゲル内に疎水性構成成分の結合のために、破壊が生じるpHは、5乃至7に調整されていた(Philippova, O.他 Macromolecules,30,8278−8285(1997))。加えて、疎水性相互作用に起因する分配は、しばしばハイドロゲル(Sukhishvili,S.A.,and Granick S.J. Chem.Phys.110,20,10153−10161(1999))におけるタンパク質分子の不可逆的捕獲を導き、それは、タンパク質を固定するための分配後の共有結合反応を不必要にする。
1.粒子の製造
実施例1−ポリマーコア粒子の製造
ハイドロゲルに被覆するための好ましいポリマー粒子を次のように製造した。環流冷却器及びN注入−排出アダプター及び攪拌器を具えた250ml丸底ガラスフラスコをサーモスタット付き水浴に置いた。フラスコを4.2gのポリビニルピロリドン(Aldrich,MW 〜29,000)及び106gのエチルアルコール(Aldrich,200proof,99.5%)の溶液で満たした。フラスコ内容物を70℃に加熱し、26gのスチレン(Aldrich,99+%)及び0.156gのメタクリル酸(Aldrich,99%)を加えた。スチレン及びメタクリル酸の双方を減圧蒸留によって精製したてにした。10gのエーテルに溶かした0.265gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(Aldrich,89%)を加えることにより重合を始めた。攪拌速度を200rpmとし、反応時間を24時間とした。反応終了時に、系を室温まで冷却した。重量測定法で測定したモノマー換算は、81.7%であった。ラテックスを1,000rpmで15分間遠心分離し、上澄みを除去した。エタノールでの再分散及び遠心分離によって、ポリマー粒子を3回洗浄した。次いで、蒸留水に0.2%のポリビニルピロリジン及び0.02%のビス(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸ナトリウム塩(Fluka,99.0%)の1:1の混合物にポリマーを再分散し、2,000rpmで20分間混合及び遠心分離した。この操作を繰り返し、最後に粒子を乳化剤溶液の同じ混合物に懸濁させた。ラテックス固体成分は、16.9%であった。SEMにより測定したCV2.0%を有する2.78±0.06μmの平均数直径を有する単分散ポリスチレン粒子を得た。
より大きい径のコア粒子を生成するために、10gのエタノールに0.25gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを除いて、同様の手順を上記のように使用し、ポリマー化を開始するために使用した。22時間後、反応を冷却によって停止し、モノマーの変換を89.0%として測定した。ラテックスを洗浄し、最後に21.9%固体として決定した。粒子直径をSEMにより測定し、3.5%のCVを有する3.08±0.11μmが分かった。
実施例2−1.0のシェル/コア重量比を有するゲル−シェル粒子の合成(シック−シェル)
シック−シェルコアシェルビードを生成するために、上記で製造した粒子を次の手順を使用してハイドロゲルで被覆した。粒子径2.78μm及び16.9%の固体成分を有する、49.4gのラテックス粒子(上記の例のように製造された)に、0.21gのt−ブチルペルオキシ−2−ヘキサン酸エチル(Luperox 26, ATOFINA)と一緒に6%のメタクリル酸ヒドロキシエチル及び20%のメタクリル酸を含有する8.33gのメタクリル酸メチルを加えた。混合物を250mlスクリューキャップガラス瓶に入れて少なくとも0.5時間振った。次いで、蒸留水に16.67gの0.2%のPVP及び0.02%のビス(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸ナトリウム塩の1:1混合物を溶解した0.21gのCuCl・2HOを加え、更に、0.2%のポリビニルピロリドン及び0.02%のビス(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸ナトリウム塩の同じ1:1混合物の溶液3.3gに0.27gのホルムアルデヒド・スルホオキシル酸ナトリウム塩、0.014gのエチレン二アミン四酢酸鉄ナトリウム錯体を加えた。瓶は、45℃にした水浴攪拌器に置いた。反応を6時間行った。ラテックスを100μmナイロン膜を通してろ過し、1000rpmで20分間遠心分離した。上澄みを除去し、pH10の0.1%のツウィーン溶液を用いて、10時間ローラーで混合することにより、粒子を数回洗浄し、次いで、遠心分離及びデカンテーションを行った。最後に、粒子を0.1%ツウィーン溶液で懸濁した。平均粒子直径は3.29μm±0.06であり、CVは、1.9%であった。
実施例3−0.5のシェル/コア重量比を有するゲルシェル粒子の合成(シン−シェル)
シン−シェルコアシェルビードを生成するための手順は、(前の例で記載されたように)コア粒子が3.08μm径を有すること及び構成成分の特定の量が異なること以外、上述された手順と同様とした。要約すると、前の例で調整された57.2gのラテックス(21.9%固体)を0.107gのt−ブチルペルオキシ−2−ヘキサン酸エチルと一緒に6%のメタクリル酸ヒドロキシエチル及び20%のメタクリル酸を含有する4.17gのメタクリル酸メチルと混合した。0.2%のPVP及び0.02%のビス(2−エチルヘキシル)スルホ琥珀酸ナトリウム塩の16.67gの1:1混合物に溶解した0.1gのCuCl・2HOを蒸留水に加え、次いで、同じ1:1乳化剤混合物の溶液3.3gに溶解した0.15gのホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム塩、0.007gのエチレン二アミン四酢酸鉄ナトリウム錯体を加えた。ラテックス粒子は、3.23μm±0.08の直径を有し、CVは2.7%であった。
2.様々な条件下でのゲル−シェルビードに対するタンパク質の受動的吸着
以下の実施例において、ビードに被覆するハイドロゲル内にタンパク質を吸着した。ある条件下(低pH及び低塩濃度又は高塩濃度)での吸着については、タンパク質はハイドロゲルシェル内に保持されることが出来、条件が修正されたにも関わらず、受動的に拡散しないであろう。pH及びイオン強度は、吸着タンパク質のリガンドとの相互作用に影響を及ぼさない範囲にあるときに選択することが出来る。
実施例4−シン−シェル上のタンパク質の受動的吸着の温度依存性
組み替え型タンパク質L(Sigma Chemical Co.が提供している「Pro−L」)を使用した、シン−シェルビード上のタンパク質の受動的吸着に対する温度の影響を試験する実験を行った。識別できる蛍光染色されたシン−シェルビードを洗浄し、ビード1mg当たり25、100、400及び1600μgの濃度で、Pro−Lと混合した。3つの温度条件下−室温(おおよそ25℃)、37℃及び50℃で各々4時間、500μLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH=3、HClを加えることにより調整された)で反応を実施した。次いで、Pro−L被覆ビードを、ブロッキング目的のために、室温で一夜、500μLの貯蔵緩衝液(PBS、pH=7.2、0.1%のBSA及び0.1%のアジド)で実施した。これらのビードを使用するまで、4℃で個別に貯蔵した。
タンパク質Lは、ヒト免疫グロブリンに対して高い結合親和性を有するので、各ビードタイプのヒトIgG結合活性の測定により、カップリング効率を間接的にモニターした。シリコンチップ上にPro−L被覆ビードを混合し、アッセンブルし、次いで、それがPro−L及びヒトIgG分子の相互作用させるヒト血清サンプル(SLR Reseachが提供しているAAB224、1乃至50希釈)に接触した。非特定の結合抗体の除去後、ヤギ抗ヒトIgG特定抗体Cy−5複合体を捕獲された抗体を視覚化するために使用した。復号及び分析イメージをCCDカメラを取り付けた顕微鏡を使用して得た。分析シグナルを抽出して分析した。図1は、(1)抗体結合活性が、1mgのビードに対して1600μgのPro−Lで結合されたビードで監視された最も高い活性と共に、濃度依存法で増加し;(2)また、抗体結合活性が、試験された最も高い温度の50℃被覆されたビードで監視された最も高い活性と共に、温度依存法で増加することを示している。シグナル強度は、各々のビード上に結合したプロテインの量を示す。
これらの結果は、より高い温度条件(約50℃まで)が、シン−シェルビード上にタンパク質吸着を容易にすることを意味する。
シン−シェルビードに対して結合するタンパク質Lのための手順:
1.500μLのPBSLTを含有する管内に10μLの1%ビード(10μg)を加え、ボルテックスすることによって混合する。
2.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
3.500μLのPBSLTにビードを再懸濁し、ボルテックスして混合する。
4.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
5.500μLのPBS、pH=3にビードを再懸濁する。
6.各管に適量のタンパク質Lを加える。ボルテックスして混合する。
7.回転させつつ、4時間適切な温度でインキュベートする。
8.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
9.500μLの貯蔵緩衝液で一度洗う。
10.500μLの貯蔵緩衝液で再懸濁し、回転の間一夜RTでインキュベートする。
11.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
12.500μLの貯蔵緩衝液で一度洗う。
13.開始容量の2倍の容量で再懸濁する。
14.使用のために4℃で貯蔵する。
実施例5−ゲル−シェルビード上へのタンパク質の受動的吸着の時間依存性
シン−シェルビード上のタンパク質L(Pro−L)の受動的吸着における時間経過の効果を試験するための実験を実施した。はっきりと識別できる蛍光染色されたシン−シェルビードを洗浄し、500μLのPBS(pH=3)で再懸濁し、564μLの全容量中の64μLを加えることによりビード1mg当たり100μgの濃度でPro−Lと混合した。15分間、30分間、1時間、2時間、3時間及び4時間回転する間に、37℃インキュベーターで反応を実施した。次いで、Pro−L被覆ビードをブロッキング目的のために室温で一夜500μLの貯蔵緩衝液(PBS、pH=7.2、0.1%のBSA及び0.1%のアジド)を用いてインキュベートした。これらのビードを使用されるまで4℃で個別に貯蔵した。
Pro−L被覆ビードを混合してシリコンチップ上でアッセンブルし、次いで、Pro−L及びヒトIgG分子の相互作用を許容するヒト血清サンプル(SLR Reseachが提供しているAAB224、1乃至50希釈)に接触させた。非特定結合抗体を除去した後、ヤギ抗ヒトIgG特定抗体−Cy5複合体を捕獲された抗体を視覚化するために使用した。復号及び分析イメージをCCDカメラを取り付けた顕微鏡を使用して得た。分析シグナルを抽出して分析した。図2は、抗体結合活性が、タンパク質の吸着時間の長さに関連していることを示す。抗体結合活性は、インキュベーションの4時間後、すなわち、試験される最も長い時間の後、ピークレベルを伴って15分で現れ始める。
実施例6−ゲル−シェルビード上のタンパク質の受動的吸着のpH依存性
シン−シェルビード上のタンパク質の受動的吸着のpHの影響をPro−L及びヒト血清サンプルを使用して評価した。受動的吸着を通してはっきりと識別できる蛍光復号されたシン−シェルビードとタンパク質を結合した。37℃で4時間、異なるpH(すなわち、3、5、7、9、11)を用いて、リン酸緩衝生理食塩水中で反応を実施した。次いで、Pro−L被覆ビードをRTで60分間、BSA(PBS、pH=7.2、0.1%のBSA及び0.1%のアジド)含有貯蔵緩衝液でインキュベートした。ビードを結合させたPro−Lを貯蔵緩衝液で再懸濁し、使用するまで4℃で個別に貯蔵した。
Pro−Lと結合したビードをシリコンチップ上で混合してアッセンブルし、室温で30分間、2つのヒト血清サンプルで実質的にインキュベートした。次いで、非特定結合を除去した後、室温で15分間、蛍光標識検出抗体(ヤギ抗ヒトIgG特定抗体−Cy5複合体)でインキュベートして、ビードチップを各々個別のビードによって捕獲されたIgG分子の量を視覚化した。復号及び分析イメージをCCDカメラ付きの顕微鏡を使用して得た。次いで、分析シグナルを抽出して分析した。図4Aは、最も高いIgG捕獲活性を、pH3で結合したビードで観察され、有意でない活性をBSA(負の制御)被覆ビードのいずれかで観察したことを示す。これらの結果は、低いイオン強度(pH=3)が受動的吸着を容易にすることを示す。
同様に、シック−シェルビードに関連する別の実験において、酸性緩衝液(pH=3)で行われた蛍光標識タンパク質(ヤギ抗ヒトIgA抗体−Cy5複合体)の受動的吸着は、中性(pH=7)又はアルカリ性(pH=11)緩衝液で結合したビードと比較して有意により高い蛍光シグナル強度をもたらす。色素タンパク質複合体を、第2段階の分析を用いずに固定化及び視覚化したので、シグナル強度は、各ビードに結合したタンパク質の実際の量を示す(データでは示さず)。
同様の実験をMolecular Probes,OR.Briefly,から得たBodipy−FL標識アビジン(10という高いpI値を有するタンパク質)を使用して実施した。要するに、500μgの洗浄シンゲル−シェルビードを、適切なpH(pHを希HCl又はNaOHを使用して調整した)で、500μLの50mM NaCl溶液で懸濁させた500μgの標識タンパク質でインキュベートした。混合物を1時間インキュベートし、次いで、ビードを遠心分離によって分離し、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄して貯蔵した。分析のために、ビードの小さなアリコートをチップ上に取ってアッセンブルし、それらの緑色蛍光を記録した。図4Bは、緑色オン−ビード蛍光のプロットは、pHの機能として記録した。以前に見られたように、pH=3で取り込んだタンパク質が強化されていることが明示されている。
総ての実験的証拠は、シン又はシックシェルビード上にタンパク質の受動的吸着を中性又はアルカリ性緩衝液条件よりも酸性緩衝条件でよりよく達成することを支持する。従って、他のタンパク質の受動的吸着にこの酸性緩衝液を使用した。
異なるpHレベルでのシン−シェルビードへのPro−L結合のための手順:
1.500μLのPBSLTを含む管内に10μLの1%ビード(10μg)を加えてボルテックスすることによって混合する。
2.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
3.500μLのPBSLTにビードを再懸濁し、ボルテックスして混合する。
4.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
5.異なるpH(3、5、7、9、11)で500μLのPBSLTにビードを再懸濁する。
6.各管に適量のタンパク質Lを加える。ボルテックスして混合する。
7.回転させながら、37℃で4時間インキュベートする。
8.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
9.500μL貯蔵緩衝液で1度洗浄する。
10.500μLの貯蔵緩衝液で再懸濁し、回転させながらRTで60分間インキュベートする。
11.10000rpmで3分間ビードを遠沈し、上澄みを捨てる。
12.500μL貯蔵緩衝液で1度洗浄する。
13.開始容量の2倍の容量で再懸濁する。
14.使用のために4℃で貯蔵する。
実施例7−ゲル−シェルビード上へのタンパク質の受動的吸着に対する低塩効果
タンパク質固定化への塩効果を試験するために、タンパク質L、SSA−60及びJo−1を異なる塩濃度を有するPBS緩衝液に識別できる蛍光復号されたシン−シェルビードに結合した。これらの緩衝液は総てHClを使用してpH3に調整した。3つの異なる塩濃度条件−通常のPBS(10mMリン酸ナトリウム;0.15M塩化ナトリウム);1乃至10希釈PBS(10mMリン酸ナトリウム;15mM塩化ナトリウム)及び1乃至50希釈PBS−37℃で4時間反応を実施し、次いで、それをRTでBSAを含有する貯蔵緩衝液で60分インキュベートした。ビードを、混合してシリコンチップ上でアッセンブルし、それを、抗SSA−60及び抗Jo−1抗体を含有するプールヒト血清サンプル、又は負の制御としてのみの緩衝液を用いてインキュベートした。非特定結合抗体を除去した後、RTで15分間ヤギ抗ヒトIgG特定抗体−Cy5複合体でチップをインキュベートした。復号及び分析イメージを得て、分析シグナルを抽出して解析した。
図5に示されるように、低塩緩衝液を使用して結合したビードは、通常のPBSで結合したビードと比較して、有意により高い抗体反応性を有し、その結果、受動的吸着が低イオン強度環境でより好ましいことを示す。同様に、低塩及び酸性緩衝条件でビード上に固定したHLA class I、ClassII抗原、ヒトIgG、マウスIgG、SSB及びCENPを含有するタンパク質に対して、より高い抗体反応性が達成された(結果は示さず)。
実施例8−疾病陽性血清サンプルの自己抗体スクリーニング及び滴定カーブ用の受動的吸着によって結合した抗原パネル
自己抗体スクリーニング用の受動的に吸着したタンパク質の実現可能性を評価するために、低塩及び低pH条件下で受動的吸着によって、シン−シェルビード上に自己抗原SSA−60、Sm、Sm/RNP、Jo−1、CENP及びSSB−を結合することによって6−抗原パネルを作った。0.1%(W/V)含有貯蔵緩衝液でブロッキングする手順の後、これらのビードを使用するまで個別に4℃で貯蔵した。
様々な抗原と結合したビードをシリコンチップ上でプールしてアッセンブルした。これらのチップ及び前特性化抗Jo−1陽性血清サンプルを使用して、抗体滴定曲線を得た。一連の希血清サンプルを1:3、1:9、1:27、1:81、1:243、1:729、1:2187、1:6561比で準備した。これらの希釈サンプルを室温で30分間8つのチップを用いて順次インキュベートした。非特定結合抗体を除去した後、ヤギ抗ヒトIgG特定抗体−Alexa複合体を結合IgG抗体を視覚化した。復号及び分析イメージを収集して、次いで、分析シグナルを抽出して解析した。図6は:(1)Jo−1結合シン−シェルビードは、総ての他の抗原結合シン−シェルビードが観測されるように、バックグラウンド最小活性を有する特定反応性を生じさせ、その結果、特定抗体−抗原相互作用を示し;(2)抗Jo−1反応性の強度が、濃度依存的に増加する;ことを示す。
加えて、抗SSA−60、抗SSB、抗CENP及び抗Jo−1抗体を含有するプール血清サンプルを、6−抗原パネルで被覆されたチップと反応させた。図7に示すように、強特定反応性をSSA−60、SSB、CENP及びJo−1抗原と結合したビードを観察したが、sm、sm/RNP又は負の制御(h−SA;ヒト血清アルブミン)と結合したビードを観察しなかった。
実施例9−タンパク質チップ分析手順
Cy5抗体複合体を使用するタンパク質チップ分析手順A:
1.15μLの調整血清サンプルを各チップに加える。加湿室にチップを置く。振動させながら、室温で30分間インキュベートする。
2.血清サンプルを除去し;各チップを、15乃至20μLの洗浄緩衝液(0.25%(V/V)ツウィーン−20を含む通常のPBS)で素早く3回洗浄する。
3.15μLの1乃至100希釈ヤギ抗ヒトIgGガンマ特定抗体−Cy5複合体を加える。湿度室にチップを置く。振動させながら、室温で15分間インキュベートする。
4.検出抗体を除去し;各チップを、素早く3回15乃至20μLの洗浄緩衝液で洗浄する。
5.各チップに10μLの通常のPBSを加える。上にカバースリップを置く。
6.CCDカメラを具える顕微鏡を用いてイメージを得る。
7.データ抽出及び解析。
Alexa−抗体複合体を使用するタンパク質チップ分析手順B:
1.15μLの調整血清サンプルを各チップに加える。加湿室にチップを置く。振動させることなく、室温で30分間インキュベートする。
2.血清サンプルを除去し;各チップを、15乃至20μL洗浄緩衝液(0.25%(V/V)ツウィーン−20を含む通常のPBS)で素早く3回洗浄する。
3.15μLの1乃至50希釈ヤギ抗ヒトIgGガンマ特定抗体−Alexa複合体を加える。加湿室にチップを置く。振動させることなく、室温で15分間インキュベートする。
4.検出抗体を除去し;各チップを15乃至20μL洗浄緩衝液で3回素早く洗浄する。
5.10μLの通常のPBSを各チップに加える。上にカバースリップを置く。
6.CCDカメラを備えた顕微鏡を使用してイメージを得る。
7.データ抽出及び解析。
実施例10−ゲル−シェルビード上にタンパク質の受動的吸着への高塩効果
また、シン−シェルビード上にタンパク質吸着の高塩の影響を試験した。2つの抗原−SCL−70及びSm(ImmunoVision、アリゾナ)−を異なる塩濃度でPBS緩衝液に、はっきりと識別できる蛍光復号されたシン−シェルビードに結合した。緩衝液を、HClを使用してpH3に調整した。特に、37℃で4時間5つの異なる塩条件(5倍、1倍、0.2倍、0.04倍及び0.008倍 PBS)下で、反応を実施した。5倍濃縮緩衝液は、0.5Mリン酸ナトリウムと;pH7.2の0.75M塩化ナトリウムであった。次いで、ビードを0.1%BSA含有貯蔵緩衝液でブロックした。これらのビードをシリコンチップ上にプールしてアッセンブルした。
これらのビードの抗体結合活性を評価するために、2つの高特性化血清サンプル(抗Sm陽性、及び抗SCL−70陽性)を使用した。サンプルを、1:10の比率で標準緩衝液で希釈し、次いで室温で30分間、チップで順次インキュベートした。非特定結合抗体を除去した後、RTで15分間ヤギ抗ヒトIgG特定抗体−Alexa複合体でチップをインキュベートした。第2洗浄ステップ後、復号及び解析イメージを得、分析シグナルを抽出して解析した。図8に示されるように:(1)特定抗SCL−70の反応をSCL−70抗原と結合したビードで観察したが、Smと結合したビードと観察しなかった;(2)抗SCL−70の反応強度は塩濃度に依存し、5倍PBSで結合したビードで最も高活性が得られた。最も高い抗Sm反応性を5倍PBSで結合したビードで観察した。図9参照。
実施例11−ゲル−シェルビード上の酵素の固定化及び酵素活性の効果
ハイドロゲルコアシェルビード上に固定化された酵素が酵素活性を失うかどうかを決定する実験を行った。ストレプトアビジン合成ホースラディッシュペルオキシダーゼ(ストレプトアビジン−HRP)をコアシェルビードを特徴づけるモデル酵素として使用した。ストレプトアビジンは、ビオチン及びビオチン化分子に対して高い親和性を有することがよく知られている。ホースラディッシュペルオキシダーゼは、ラベリング広く使用されており、化学発光法などの酸化反応で抗原−抗体複合体の検出のための第2抗体と結合する。結合タンパク質複合体におけるストレプトアビジン及びホースラディッシュペルオキシダーゼの活性を検出する公知の方法がある。
ストレプトアビジン−HRPを受動的吸着によってカラーエンコードシン及びシック−シェルコアビードに固定した。要するに、750μgのタンパク質複合体を結合緩衝液(3mM塩化ナトリウム、2mMリン酸ナトリウム、pH3.0)中で37℃で一夜、定回転で、1mgのカラーエンコードシン及びシック−シェルコアビードとインキュベートした。ウシ血清アルブミン(BSA)を負の制御タンパク質として使用した。タンパク質官能化後、0.05%のツウィーン−20(PBST)を添加して、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;0.1Mリン酸ナトリウム、0.15M塩化ナトリウム、pH7.2)を使用することによって、粒子を洗浄した。次いで、官能化した全ビードを試験管内でアッセンブルして、混合した。使用前にチップ結合サイトをPBSTに1%ウシ血清アルブミン(BSA)を使用することによってブロックした。
ビード上のストレプトアビジン−HRPの固定化を確認するために、5’及び3’末端をビオチン及びCy5.5染料で標識した5チミン塩基を含有するオリゴヌクレオチドで、チップをインキュベートした。インキュベート後、チップをPBSTで洗浄して非結合オリゴヌクレオチドを除去し、蛍光顕微鏡を使用してビードからのシグナルを調べた。Cy5.5蛍光シグナルをビードを結合したストレプトアビジン−HRPを識別して、HRP活性を失うことなくビードによってタンパク質複合体の固定化を示した(図10)。
Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)が提供しているチラミドシグナル増幅技術などの既知の方法を使用してコアシェルビードを結合したストレプトアビジン−HRP上でHRP活性を決定することが出来る。チラミドシグナル増幅において、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)は、近接タンパク質のチロシン残渣に共有結合することが出来る、高反応性で短命のチラミドラジカルを生じる蛍光標識チラミドの活性化を触媒する。実験を要約すると、チップ上のビードを官能化したストレプトアビジン−HRP官能化ビードをチラミド試薬(Molecular Probes,Inc. 例 カタログ # T−20912,T−20916)でインキュベートし、次いで、公知の方法により、ビードチップ上の蛍光シグナルを決定した。ストレプトアビジン−HRPシン及びシック−シェルビードからのシグナル強度は、BSA被覆制御ビードからのシグナル強度よりもかなり高く、ビード上のペルオキシダーゼ活性があったことを示唆している(図11)。
実施例12−ゲル−シェルビード上に固定化されたヒト白血球抗原の相補抗体との反応
本明細書に記載されたコアシェルビードをヒト白血球抗原(HLA)に対して特異的な同種抗体を分析するために使用することが出来る。ヒトクラスI及びII分子は、組織及び細胞中に現れるHLA抗原の2つの特異なクラスである。ヒト細胞から単離したクラスI及びII分子を、実施例4で述べた方法による着色エンコードコアシェルハイドロゲルビードに固定した。並行して、非関連タンパク質を負の制御としての他の型の着色コアシェルビードに結合した。結合後、官能化した全ビードを結合して、シリコンチップ上のランダム平面アレイにアッセンブルした。次いで、クラスI又はクラスII−特異ヒト血清又はマウスモノクローナル抗体とチップをインキュベートした。チップ上のHLA抗原と結合した抗体を、蛍光標識ヒト又はマウス−特異第2抗体を使用することによって検出し、蛍光顕微鏡法によって調べた。
図12A、12B、13A、13Bで示されるように、クラスI及びクラスII−特異ヒト抗体を、固定化クラスI及びII抗原を含有するコアシェルビードからそれぞれ特定した。更に、ヒト抗体結合の選択性を、分析においてクラスI又はクラスII−特異マウスモノクローナル抗体を使用することによって確認した(図12B、13B)。従って、コアシェルビード上のクラスI及びIIHLAを、有用な抗原−抗体分類における、例えば移植又は輸血の適合性を決定するときにおける、パネル反応抗体(PRA)に用いることが出来る。
3.ゲル−シェルビードに対するタンパク質の共有結合
実施例13−カルボン酸修飾ゲルシェルビードに対するタンパク質の結合
自由アミン基を有する分子(例、タンパク質)を、第1段階カルボジイミド(EDAC)反応を使用したカルボキシル化されたビードに対して結合することが出来る。しかし、大きな分子に対しては、水溶性スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドを加えて、カップリング効率を増加出来る(図1B参照)。N−ヒドロキシ化合物によって形成された活性エステル中間体は、別の方法で形成されたアシルイソ尿素中間体を置換し、それは、極めて不安定である。NHSエステルは、加水分解に対してより安定であるが、結合されるタンパク質上のアミンに対する非常に反応性が高い。
A.タンパク質カップリングの手順(EDAC反応)
2mlのガラス瓶中で、10mgのカルボキシル化官能化ハイドロゲル(登録商標)−シェル微粒子を含むアリコートを1mlの10mMホウ酸塩緩衝剤(pH=8.5)と混合した。次いで、粒子を遠沈によって分離し、上澄みを吸い上げた。これに次いで、分離沈殿物を0.1MのMES緩衝剤(pH=4.5)で2回洗浄し、最後に600μlの同じもので再懸濁した。別のガラス瓶中で、事前に計算した量のタンパク質を、300μlのMES緩衝剤に溶解して、溶液をポリマー微粒子の懸濁液にゆっくりと加えた。懸濁液を、プローブソニケーターを使用して、簡単な超音波処理を行った。これに次いで、150μlの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(Aldrich−Sigma、ミルウォーキー、WI)(EDCA)溶液(200mg/ml)を粒子溶液に加えた。混合物を、室温で2時間反応させ、次いで、タンパク質官能化ポリマー微粒子を分離して、1度目はカップリング緩衝剤で、2度目はホウ酸緩衝液で洗浄し、最後に貯蔵緩衝剤(PBS pH=7.4、0.1%(w/v)BSA、0.5%(w/v)ツウィーン20、10mM EDTA及び0.02%(w/v)NaN)に2乃至8℃で貯蔵した。図14A参照。
B.タンパク質カップリングの手順(EDAC−NHS反応)
1.1.5mLエッペンドルフ管に1mLのPBSTを加える。
2.50μLの1%カルボキシル化ビード(0.5mg)を対応する管に移し、ボルテックスすることにより、よく混合する。
3.7500rpmで2時間遠心分離し、上澄みを静かに移す。
4.1mLのPBSTで1回、1mLのカップリング緩衝剤(0.1M MES、0.15M NaCl溶液、pH6.0)で1回洗浄し、上澄みを静かに移す。
5.30mgのEDAC及び6mgのNHSを3mLのカップリング緩衝剤へ加えて、完全に混合して1mLの溶液を管に加える。
6.エンド−オーバー−エンドミキシングを用いて、室温で15分間反応させる。
7.7500rpmで2時間遠心分離し、上澄みを静かに移す。
8.1mLのPBSTで1回、1mLのカップリング緩衝剤(0.1M MES、0.15M NaCl溶液、pH6.0)で1回洗浄し、上澄みを静かに移す。
9.必要量のタンパク質(タンパク質量の詳細を含む)を0.5mLのカップリング緩衝剤に溶解してよく混合する。
10.ステップ#9のタンパク質溶液500μLをステップ#8のビードを含む管に移し、よく混合して、4℃で一夜緩やかに混合してタンパク質とビード懸濁液の混合物をインキュベートする。
11.室温にする。反応物を、50μLのエタノールアミンを500μL体積の反応溶液に加えることにより急冷する。
12.エンド−オーバー−エンドミキシングを用いて、室温で30分間インキュベートする。
13.1mLのPBSTで2回洗浄し、上澄みを静かに移して、10mg/mL(1%固体)のビード濃度で50μLの貯蔵緩衝剤(0.1%BSA、0.1%ツウィーン20及び0.1%NaN3を含有する0.1M PBS)に再懸濁する。図14B参照。
様々なビオチン−結合タンパク質を上記のようなプロトコルを使用するビードに結合した。ニュートラビジン(Neutravidin)(ビオチン−結合タンパク質、Pierce Chemicals、Rockfold、IL)を1段階EDAC反応を使用してシン及びシック−シェルコアビードの双方に結合した。マウス抗ビオチンmAb及び抗ビオチンFab(ビオチン−結合全体及び断片化IgG、Roche Molecular Biochemical、インディアナポリス、IN)をEDAC−NHSプロトコルを使用して結合した。以下のように全ビードの捕獲活性を試験した。
構造5’−/5Cy55/TTTTT/3BioTEG/−3’を有するビオチン化オリゴヌクレオチドをIDT(Coraville、IA)から得た。また、NeutrAvidin(登録商標)又は他のビオチン−結合タンパク質既被覆ビードを得た。26.5ng/μLの溶液濃度で存在するビオチン化オリゴと0.5ml反応緩衝剤(PBS、0.1Mリン酸ナトリウム及び0.15M NaCl、pH7.2)に50μLのタンパク質被覆粒子溶液の1%溶液中で結合反応を実施した。反応混合物をボルテックスしながら、室温で30分間インキュベートした。結合反応の完了時に、粒子を遠心分離によって集め、PBST(0.05%ツウィーン20と一緒の150mM NaCl、100mMリン酸ナトリウム、pH7.2)を用いて3回洗浄して、0.2mlPBSに再懸濁した。次いで、オリゴヌクレオチド官能化エンコードゲル−シェル粒子を、シリコン層にアッセンブルし、(5’Cy55蛍光プローブタグからの)蛍光強度を蛍光顕微鏡及び社内で開発された分析イメージソフトウェアを使用して解析した。結果を図15A、15B、及び15Cに示す。また、全ケースで、比較のために、同じバッチのタンパク質を市販類似サイズ粒子(Bangs Laboratories、Fishers、インディアナ)に共有結合した。結果は、ゲル−シェルビードがよりよく機能し、又は最悪の場合でも、市販のビードと同様であることを示している。
別に、アフィニティー精製SCL−70タンパク質(Immunovision、Springdale、AR)をEDAC−NHSプロトコルを使用してゲル−シェルビードに結合した。ここでも、比較のために、同じバッチのタンパク質を市販類似サイズ粒子(Bangs Laboratories、Fishers、インディアナ)に共有結合した。前述のように、ビードをSCL−70陽性血清と反応させた。結果を図15D及び15Eに示す。
実施例14−アルデヒド修飾ゲル−シェルビードに対するタンパク質の結合
A.アミノジオールリガンドと−COOHゲル−シェル粒子の結合
0.5乃至1Mのリガンド濃度を有する100mM MES緩衝溶液(pH=4.5)中で、pHを調節した3−アミノ−1,2−プロパンジオールリガンド[Sigma−Aldrich]を調整する。(一度溶解した自由塩基がpHを4.5に戻すために濃縮酸溶液との滴定を必要とする。)100μlの1%ビード懸濁液、沈殿物を取り、500μlのリガンド溶液で2回洗浄する。1mlのリガンド溶液に再懸濁し、ボルテックスしてよく混合する。
2本の別個の遠心分離管に、20mg及び10mgのEDACをそれぞれ量り取る。(量り取る前にEDACを室温にする)。上記のように調整した1mlのビード懸濁液を20mgEDACを入れた管に加えて、ボルテックスしてEDACを溶解し、RTで30分間エンド−オーバー−エンドで回転する。内容物を、10mgのEDACを含む第2遠心分離管に移し、室温でもう1時間エンド−オーバー−エンドで回転する。
沈殿物;PBST(3倍)で洗浄し、更に使用に必要になるまで(2乃至4℃で)PBST(1ml、0.1%)に保存する。
B.アミノ−ジオール結合ゲル−シェルの酸化
120mM 過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を20mM PBS(Pierceが提供する5倍希釈標準BuPH)に調整する。50ml貯蔵溶液を調整するために過ヨウ素酸ナトリウムを1.3gまで量り取り、それを50mlの20mM PBSに溶解する。
上記のように調整したビード懸濁液1mlを取り、沈殿物を500μLの過ヨウ素酸ナトリウム溶液で1回洗浄して1mlの同じもので懸濁する。光から保護して、室温で30分間エンド−オーバー−エンドで回転する。
インキュベーションが終了した後、沈殿させてPBSTでビードを2回洗浄し、同じ溶液で保存する。[各洗浄後、短時間(10秒まで)超音波で分解する]
C.アルデヒド ゲル−シェルに対するタンパク質の結合
初期シアノホウ化水素ナトリウム溶液(NaCNBH)を調整する:0.5mlの10mM水酸化ナトリウム(NaOH)に32gのシアノホウ化水素を量り取る[注意:NaCNBHは有毒であり、フード下で扱われるべきであり、また、溶液を前もって1時間以上前に調整しておくべきである]。図16参照。
サブパートBにおいて調整したビードを取り、沈殿させて500μl PBSで2回洗浄する。300μlのPBSを加え、再懸濁し、次いで、所定の濃度で200μlのタンパク質溶液を加える(PBS中に作られる又は供給されるように)(1mg/mlまで)。よく混合し、10μLのホウ化水素溶液を加え、光から保護して、室温で2時間エンド−オーバー−エンド回転で反応する。インキュベーション後、ブロッキング緩衝液で2回洗浄して、500μlの同じものに再懸濁する。更なる使用に必要になるまで、2乃至4℃で貯蔵する。
図17A、17B及び17Cは、アルデヒドビードに固定化されたモノクローナルマウス抗ビオチン抗体(Jackson Immunoresearch、Westgrove、PA)を使用した分析結果を示す。2タイプの検出を、ビオチン化Cy5.5標識化オリゴヌクレオチド(5’−/5Cy55/TTTTT/spacer/ビオチン/−3’)(IDT Inc.、Coralville、IN)及びヤギ抗マウスIgG(H+L)F(ab’)(Cy5標識化)(Jackson Immunoresearch、Westgrove、PA)を使用して実施した。抗体制御ビード(わずかな3−アミノ−1,2−プロパンジオール官能化ビード)は負の制御として使用しなかった。総ての場合で、分析シグナルは特異的であり、バックグラウンド結合は低かった。また、抗ビオチン被覆ビードをヤギ抗ヒトIgG(Fγ)全分子(Cy5標識化)抗体(Jackson Immunoresearch、Westgrove、PA)にさらすことにより試験を実施した。非特異結合は無視した。
図18は、アフィニティー精製自己抗原SSB(Immunovision、Springdale、AR)ビードを使用した分析結果を示す。ビードをSSA/SSB陽性血清(1:250希釈)と反応させ、抗ヒトIgG(Fcγ)全分子(Cy5標識化)抗体(Jackson Immunoresearch、Westgrove、PA)を使用して結合を検出した。反応を2重に行い、各場合で非特異結合にアクセスするための抗原制御ビード(わずかな3−アミノ−1,2−プロパンジオール官能化ビード)は含まれていなかった。
実施例15−トシル修飾ゲル−シェルへのタンパク質の結合
A.トシル化リガンドの合成
パラ−スルホニル塩化トルエン及びエタノールアミンを、Sigma−Aldrichから入手した。190mgの塩化トシル及び60μlのエタノールアミンを10mlの乾燥ジクロロメタンを加えて、250μlのピリジンをそれに加えた。無色の溶液がすぐに黄色になり;次いで、色は徐々に消えて、溶液は再び無色になった。反応を室温で3時間進行させ、その後混合物を蒸発乾固し、べとべとした粘着性ペーストを最終生成物として得た。
B.カルボキシル化ゲル−シェルに対するリガンドの結合
0.1乃至1Mのリガンド濃度を有する100mM MES緩衝溶液(pH=4.5)中でpHを調節した2−アミノ−1−エタントシル酸溶液を調整した。100μlの1%ビード懸濁液を沈殿し、MES緩衝剤で2回洗浄し、次いで、1mlのリガンド溶液で再懸濁し、ボルテックスしてよく混合した。2本の別々の遠心分離管に、20mg及び10mgのEDACそれぞれを量り取った(EDACは量り取る前に室温にした)。ステップ1で調整したビード懸濁液1mlを20mgのEDACを入れた管に加え、ボルテックスしてEDACを溶解し、RTで30分間エンド−オーバー−エンドで回転した。内容物を10mgのEDACを含む第2遠心分離管に移し、室温でもう1時間エンド−オーバー−エンドで回転した。次いで、沈殿させ、PBST(3倍)で洗浄して更なる使用まで(2乃至4℃)でPBST(1ml、0.1%)に貯蔵した。
C.タンパク質結合
2mlのガラス瓶中で、10mgのトシル−官能化コア−シェル微粒子を含むアリコートを、1mlの100mMホウ酸緩衝剤(pH=9.0)と混合した。次いで、粒子を遠心分離によって分離し、上澄みを吸い上げた。これに続いて、分離沈殿物を100mMホウ酸緩衝剤(pH=9.0)で2回洗浄し、最後に600μlの同じもので再懸濁した。別のガラス管に、事前に計算した量のタンパク質を300μlのホウ酸緩衝剤に溶解し、溶液をポリマー微粒子の懸濁液に徐々に加えた。懸濁液をプローブソニケーターを使用して短時間で超音波で分解した。混合物を37℃で一夜反応させ、次いで、タンパク質官能化ポリマー微粒子を分離し、ホウ酸緩衝剤で2回洗浄して、最後に懸濁して貯蔵緩衝剤(PBS pH=7.4、0.1%(w/v)BSA、0.5%(w/v)ツウィーン20、10mM EDTA及び0.02%(w/v)NaN)に2乃至8℃で保存した。図19参照。
実施例16−サイトカインモニタリングのためのゲル−シェルビード分析
本明細書で記載されているゲル−シェルビードのその他の可能な使用可能性は、細胞が分泌するサイトカインの多重分析を実施することである。この方法は、基質上のアッセンブル、ゲルに固定化した抗体を有する符号化したゲル−シェル微粒子の分析を含む。次いで、適切な刺激性細胞を(分析フォーマットにおいても)特定の期間、加湿した37℃CO2インキュベーターにおける微粒子配列と接触させる(層にする)。細胞は、微粒子よりも大きく、従って、各細胞が幾つかの異なる微粒子と接触しやすく、各微粒子は別の細胞生成物の分析を可能にする。
このインキュベーション時間中に、細胞はサイトカインを分泌し、分泌細胞のすぐ近くの固定化抗体官能化ビードに分配し、サイトカインを捕獲する。シェル化学は、他の大きな分子を排除するように、分配を最適化させることが出来る。細胞の除去及び任意の非結合性物質を洗い流した後、選択されたサイトカインに対して特異的な蛍光標識化第2抗体のカクテルを配列に加える。次いで、任意の非結合性第2抗体を除去するための洗浄をし、配列を標準蛍光顕微鏡を使用して画像にし、異なるエンコード微粒子に対する記録済みの蛍光強度からサイトカイン分泌の程度及びタイプを決定する。この分析フォーマットにおける、細胞及びビードの相対的な位置(サイトカイン放出前後)を、図20に図示する。
サイトカイン分析の標準フォーマットに勝るこの分析の利点は、各細胞が幾つかの微粒子に接触することが出来、その各々が異なるサイトカインを検出することである。この方法で、特定の細胞から分泌されるサイトカインを、現在可能ではない多重及びより高スループット態様で特定することが出来る。
実施例17−マグネティックゲル−シェルビードの作成
本発明のビードのゲル−シェルは、従来の様々な方法のいずれか1つを使用して磁化することが出来る。例えば、ゲル−シェルに先駆物質磁気ミネラル塩溶液を含浸させることが出来た。反応剤及び任意に酸化剤又は加熱の追加は、金属塩をゲルシェルの全体に含まれる磁気酸化物の結晶に転化する(Chang M. US4,873,102)。また、マグネティックゲル−シェルビードを、2段階プロセスを介して生成することが出来る。このプロセスにおける第1のステップは、(1)表面が適切に修飾されたゲル−シェルビードの合成、及び(2)超常磁性マグネティックナノ粒子に修飾された表面、を含む。合成されたナノ粒子及びビードを一旦一緒に混合すると、ゲル−シェルビード上のナノ粒子の蒸着及び結合を導く。表面修飾マグネティックナノ粒子は、Molecular Probes(Eugene、Or)、Micromod(Rostock、Germany)、Chemicell(Berlin、Germany)及びMiltenyi Biotech Inc.(Auburn、CA)などの源から商業的に入手するか、又はこの分野で公知の方法(Wilson K.S.他、Europian Cells Vol.3 Suppl.2(2002)206乃至209;Gruttner,C.and Teller,J.Magn.Magn.Mat.194(1999)8乃至15)によって製造することが出来る。ナノ粒子被覆ビードを、この分野で公知の方法の任意の1つを使用して製造することが出来る(Radtchenko I.L.他 Adv.Mater.2001,13,No.22(1684乃至1687);Graf C.他 Langmuir 2003,19,6693乃至6700;Margel他 US6,103,379;Caruso,F.他 Adv.Mater.1999,11,950乃至953;Caruso,F.他 Chem.Mater.2001,13,109乃至116)。
この特定の実施例において、高分子電解質被覆の多層方法のバリエーション(Caruso,F.他 Chem.Mater.2001,13,109乃至116)を用いて磁気ゲル−シェル粒子を製造した。1mg/mlのポリアリルアミン塩酸塩(Mol.Wt.15,000,Aldrich,Milwaukee,WI)及びポリアクリル酸ナトリウム塩(Mol.Wt.8,000,Aldrich,Milwaukee,WI)を含む2つの個別の溶液を調整した。5mgの洗浄カルボキシル化ゲル−シェルビード(直径3.4μmまで、上で記載されたように合成された)を1.5mlのエッペンドルフ管に取り、500μlの1mg/mlポリアリルアミン溶液を加えた。懸濁液をボルテックスし、放置して、30分間エンド−オーバー−エンド回転によって混合した。次いで、ビードを遠心分離を介して分離し、上澄みを除去した。沈殿物を遠心分離再分散サイクルを介して、DI水で2回洗浄した。次に、500μlのポリアクリル酸溶液を沈殿物に加えて、懸濁液をボルテックスして混合した。次いで、懸濁液を上述したのと同様に処理した。各5層が沈殿するまで、ポリアリルアミン及びポリアクリル酸の交互のサイクルを続けた。第5ポリアリルアミン層の沈殿後、ビードを遠心分離によって分離し、沈殿物をDI水で完全に洗浄し、500μlの同じものに分散した。次の10μlのポリサッカリド被覆カルボキシル官能化ナノ粒子(供給されたように)をビード懸濁液(Chemicell,Berlin,Germany)に加えて、ボルテックスすることによって混合し、一夜エンド−オーバー−エンド回転によって混合しておいた。次いで、ビードは、遠心分離によって分離され、ビードに関係しないナノ粒子又はナノ粒子集合体を確保せず、最終的に沈殿物になった。沈殿物をDI水で完全に洗浄し、PBST(0.1%ツウィーン(v/v)を含むPBS緩衝剤、及び保存料としてアジ化ナトリウムを含む)に懸濁した。磁気粒子濃縮器(Promega、Madison、WI)内に設置すると、粒子は、サンプル管の側面に移動することによって判断されるように、磁化した。適切な移動時間は2分であった。
本明細書中で使用される用語、表現及び実施例は、典型的に単一であるが、限定ではなく、本発明の適用範囲は、後に続く特許請求の範囲にのみ規定され、特許請求の範囲の対象の総ての同等物を含むことを理解されたい。特許請求の範囲におけるプロセス及び方法のステップは、他で特許請求の範囲に定められていない限り、特許請求の範囲に記載されている順番を含む、任意の順番で実施される。
図1は、共有結合及びゲル−シェルビード上へのタンパク質の吸着/吸収を模式的に示す。 図2は、ゲル−シェルビードに固定されたタンパク質Lからのシグナル強度対3つの異なる温度でタンパク質Lの濃度をプロットする。 図3は、ゲル−シェルビードに固定されたタンパク質Lからのシグナル強度対タンパク質がビードとインキュベートされる時間をプロットする。 図4Aは、ゲル−シェルビード上の様々なpHで固定されたタンパク質Lからのシグナル強度と様々なpHでゲル−シェルビードとインキュベートされたBSAのシグナル強度をプロットする。 図4Bは、図4Aにおけるシグナル強度対pHのヒストグラムを示すグラフである。 タンパク質がビードにインキュベートされる時間対ゲル−シェル上に様々なpHで固定されたヤギ抗ヒトIgA抗体Cy5複合体からのシグナル強度をプロットする。 図6は、様々な塩濃度とpH3.0でゲル−シェル上に行われた反応で固定された様々なタンパク質からのシグナル強度をプロットする。 図7は、比較的低く固定されたイオン濃度でpH3.0でゲル−シェル上に行われた反応で固定された様々な濃度で、様々なタンパク質からのシグナル強度をプロットする。 図8は、図に示す抗原パネルで反応した、抗−SSA−60、抗−SSB、抗−CENP及び抗−Jo−1抗体を含むプールされた血清サンプルの反応からの結果を示す図であり、ここでは抗原がゲル−シェルビードに吸着されている。 図9は、pH3.0及び様々な濃度でゲル−シェルビードに対して吸着したSCL−70及びSmと抗−SCL−70との反応による結果を示す。 図10は、pH3.0及び様々な濃度でゲル−シェルビードに対して吸着したSCL−70及びSmと抗−Smの反応からの結果を示す。 図11は、シン及びシック−シェルゲル−シェルビードの双方に固定されたストレプトアビジン−HRP及びBSAコントロールに対する蛍光ビオチンターゲットを使用する蛍光シグナルを示す。 図12は、図11に比べて異なる試薬によって発生されたシグナルで、受動的吸着によってシン及びシック−シェルゲル−シェルビードを固定されたストレプトアビジン−HRP及びBSAコントロールからの蛍光シグナルを示す。 図13Aは、特定のヒト血清によって分析されるように、ゲル−シェルビードによってHLAクラスI抗原の吸着からの結果を示す。 図13Bは、抗クラスIモノクローナル抗体によって分析されるように、ゲル−シェルビードによってHLAクラスI抗原の吸着からの結果を示す。 図13Cは、特定のヒト血清によって分析されるように、ゲル−シェルビードによってHLAクラスII抗原の吸着からの結果を示す。 図13Dは、抗クラスIIモノクローナル抗体によって分析されるように、ゲル−シェルビードによってHLAクラスII抗原の吸着からの結果を示す。 図14Aは、機能的ゲル−シェルに対するタンパク質の共有結合固定化のためのEDAC媒介反応を示す。 図14Bは、機能的ゲル−シェルに対するタンパク質の共有結合固定化のためのEDAC−NHS媒介反応を示す。 図15Aは、第1段階EDAC反応を使用する機能的ゲル−シェルビードに結合したニュートラビジン(Neutravidin)からの結果を示す。 図15Bは、EDCA−NHSプロトコルを使用する機能的ゲル−シェルに対するマウス抗−ビオチンmAbの結合のビオチン−(dT)−Cy5.5を結合することによって決定されるような結果を示す。 図15Cは、EDCA−NHSプロトコルを使用する機能的ゲル−シェルに対するマウス抗−ビオチン−Fabの結合のビオチン−(dT)−Cy5.5を結合することによって決定されるような結果を示す。 図15Dは、EDCA−NHSプロトコルを使用する機能的ゲル−シェルに対するSCL−70の結合から標識された探知抗体によって決定されたような結果を示す。 図15Eは、EDCA−NHSプロトコルを使用する機能的ゲル−シェルに対するSCL−70の結合から標識された探知抗体によって決定されたような結果を示す。 図16は、機能的ゲル−シェルに対するタンパク質のアルデヒド媒介共有結合反応を示す。 図17Aは、アルデヒドゲル−シェルビードに固定されたマウス抗ビオチン抗体に対するビオチン−(dT)−Cy5.5の結合によって測定された結果を示す。 図17Bは、アルデヒドゲル−シェルビードに固定されたマウス抗ビオチン抗体に対するビオチン−(dT)−Cy5.5の結合によって測定された結果を示す。 図17Cは、アルデヒドゲル−シェルビードに固定されたマウス抗ビオチン抗体に対する標識ヤギ抗マウスIgGの結合によって測定された結果を示す。 図18は、SSA/SSB陽性血清と反応した、自己抗原SSBで被覆したアルデヒドゲル−シェルビードを使用した結果、及び、標識抗ヒトIgGを用いて検出した結合を用いた結果を示す。 図19は、機能的ゲル−シェルに対するタンパク質のトシル介在共有結合反応である。 図20は、細胞によって放出されるサイトカインをモニターし、決定するための分析フォーマットにおける細胞及びビードの相対的位置を示す。

Claims (28)

  1. 特定の結合分子を検出する方法において:
    コア及びシェルを有するビードを提供するステップであって、前記シェルがイオン化ゲルを含み、生体分子がイオン化ゲルに固定化されているビードを提供するステップと;
    前記ビードを前記結合分子に接触させるステップと;
    前記結合分子と関連する標識化からのシグナルの検出に基づいて、結合が行われるかどうかを決定するステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記生体分子がタンパク質又はオリゴヌクレオチドであることを特徴とする方法。
  3. 請求項2記載の方法において、前記生体分子がタンパク質であり、前記結合分子が抗体、抗原又は酵素であることを特徴とする方法。
  4. 請求項2記載の方法において、前記生体分子がオリゴヌクレオチドであり、前記結合分子がオリゴヌクレオチドであることを特徴とする方法。
  5. 請求項3記載の方法において、前記標識化が、標識化された二次抗体又は別の標識化分子を用いており、それが、前記抗体、抗原又は酵素と結合することを特徴とする方法。
  6. 請求項1記載の方法において、前記イオン化ゲルがハイドロゲル(登録商標)であることを特徴とする方法。
  7. 請求項2記載の方法において、前記タンパク質を、前記タンパク質と前記イオン化ゲル中の官能基とイオン化ゲルとの間の共有結合によって固定することを特徴とする方法。
  8. 請求項7記載の方法において、前記共有結合が、EDAC介在結合反応を使用することによって、ハイドロゲル(登録商標)におけるカルボキシル基と、タンパク質上のアミノ酸の側鎖に存在するアクセス可能な遊離アミン基との間のアミド結合を形成することによって得られることを特徴とする方法。
  9. 請求項7記載の方法において、前記共有結合が、同種の又は異種の二官能性リガンドに最初に結合され、次いでタンパク質の共有結合に利用するリガンドの官能基に結合されたカルボキシル基によって得られることを特徴とする方法。
  10. 請求項2記載の方法において、タンパク質が、pHが約3であり、イオン濃度が約100mMよりも小さい条件下で固定化されることを特徴とする方法。
  11. 請求項10記載の方法において、イオン濃度を決定するためにモニタされるイオンがナトリウムであることを特徴とする方法。
  12. 請求項1記載の方法において、前記イオン濃度が約1Mより大きいことを特徴とする方法。
  13. 請求項12記載の方法において、前記イオン濃度を決定するためにモニタされるイオンがナトリウムであることを特徴とする方法。
  14. タンパク質結合分子を検出及び精製する方法において:
    透明なカラムの内部にコア及びシェルを有する複数のビードを提供するステップであって、前記シェルがイオン化ゲルを含み、前記タンパク質が前記イオン化ゲルに固定化されているビードを提供するステップと;
    前記ビードを前記タンパク質結合分子と接触させるステップと;
    前記カラムからビードを除去することなく、前記タンパク質結合分子とこのタンパク質結合分子に関連した標識からのシグナルの検出に基づくタンパク質との間に結合が行われるかどうかを決定するステップと;
    前記ビードを除去し、当該ビードから前記タンパク質結合分子を除去するステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  15. 請求項14記載の方法において、前記タンパク質結合分子が、抗体、抗体フラグメント、抗原又は酵素を含有するタンパク質であることを特徴とする方法。
  16. 請求項15記載の方法において、前記イオン化ゲルがハイドロゲル(登録商標)であることを特徴とする方法。
  17. 請求項15記載の方法において、前記タンパク質が、前記タンパク質とイオン化ゲルの官能基との間の共有結合によって固定化されることを特徴とする方法。
  18. 請求項16記載の方法において、EDAC介在結合反応を使用することにより、共有結合が、ハイドロゲル(登録商標)とタンパク質分子上にアミノ酸の側鎖に存在するアクセス可能な遊離アミン基との間のアミド結合を形成することによって得られることを特徴とする方法。
  19. 請求項17記載の方法において、前記共有結合が、同種の又は異種の二官能性リガンドに最初に結合され、次いで、タンパク質の共有結合に利用するリガンドの官能基に結合されたカルボキシル基によって得られることを特徴とする方法。
  20. 請求項17記載の方法において、前記タンパク質が、pHが約3であり、イオン濃度が約100mMよりも小さい条件下で固定化されることを特徴とする方法。
  21. 請求項20記載の方法において、前記イオン濃度を決定するためにモニタされるイオンがナトリウムであることを特徴とする方法。
  22. 請求項21記載の方法において、イオン濃度が約1Mより大きいことを特徴とする方法。
  23. 請求項22記載の方法において、イオン濃度を測定するのに監視されるイオンがナトリウムであることを特徴とする方法。
  24. 分子の反応をモニタする方法において:
    コア及びシェルを有する複数のビードを提供するステップであって、親水性及び疎水性ドメインを有するシェルが両親媒性ゲルを含み、親水性生体分子を前記両親媒性ゲルの親水性ドメインに固定化し、疎水性生体分子を両親媒性ゲルの疎水性ドメインに固定化するビードを提供するステップと;
    前記ビードを親水性生体分子を結合した分子及び疎水性生体分子を結合した分子と接触させるステップと;
    前記結合が、分子と分子に関連した標識からのシグナルの検出に基づいた生体分子との間に結合が行われるかどうかを決定するステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  25. 請求項24又は15記載の方法において、前記分子が抗体、抗体フラグメント、抗原及び酵素を含むタンパク質であることを特徴とする方法。
  26. ゲル中の生体分子とある種の分子間のある種の反応を起こさせ、その他の分子間の反応を阻害する方法において;
    コア及びシェルを有する複数のビードを提供するステップであって、シェルが生体分子を含有するゲルと、あるサイズより大きい又は指定電荷を有しており、前記ゲルに入ることができない分子分子を含むビードを提供するステップと;
    前記ビードに前記分子の試料を、試料中のいくらかの分子がゲルに入り、前記生体分子と反応するが、他の分子が排除されるように接触させるステップと;
    を具えることを特徴とする方法。
  27. 請求項26記載の方法において、分子と関連した標識化からのシグナルの検出に基づいて分子と生体分子との間で行われるかどうかを決定することを更に含むことを特徴とする方法。
  28. 請求項26記載の方法において、前記分子が抗体、抗体フラグメント、抗原又は酵素を含むタンパク質であることを特徴とする方法。
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