JP2007515455A - 混合された男性ホルモン及び黄体ホルモン特性を有するステロイド - Google Patents

混合された男性ホルモン及び黄体ホルモン特性を有するステロイド Download PDF

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Abstract

本発明は、経口で活性であり、骨梁の骨塩密度(BMD)の喪失を抑え、及び肝臓毒性を欠き、式(I)の構造(RはO又はNOR(Rは、水素、(C1−6)アルキル又は(C1−6)アシルである。)であり、Rはメチル又はエチルであり、Rは水素又は(C1−15)アシルである。)を有する、男性ホルモン/黄体ホルモンの混合された特性を有する19−ノル−D−ホモステロイドを提供する。

Description

本発明は、男性ホルモン及び黄体ホルモン活性の混合された特性を有する化合物、これらの化合物を含む薬学的組成物及び治療におけるそれらの使用に関する。
雄性避妊は、性腺刺激ホルモンである黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の抑制を通じて精子形成を抑制することを目指している。これにより、精巣内のテストステロンの枯渇と精子形成の停止がもたらされる。
黄体ホルモンの投与は、下垂体の性腺刺激ホルモンの用量依存的抑制をもたらし、その結果、テストステロンレベルの減少と精子形成の可逆的阻害をもたらす。低下したテストステロンレベルを補うために、外因性男性ホルモンが必要とされる。
同様に、雄性ホルモン補充療法(HRT)を実施することが可能であり、内因性テストステロンに比べて前立腺に対してより安全な外因性男性ホルモンによってテストステロンが置換される。
雄性避妊及び雄性HRTでは何れも、男性ホルモン及び黄体ホルモン活性の混合された特性を有する化合物、すなわち、1つの分子内に内在的に両活性を保有する化合物を使用することが特に有用であろう。目的は、最適な効力、経口活性及び安全性を有する化合物を提供することであろう。安全に関しては、骨量の低下と肝臓毒性のリスクを最小化することが特に重要である。
男性ホルモン特性と黄体ホルモン特性をともに有する化合物は、本分野において公知である。例えば、7α,17α−ジメチルナンドロロン(ミボレロン)は、黄体ホルモン活性も有する高活性の男性ホルモンである(例えば、L. Markiewicz et Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology(1997),19(4),215−222を参照。)。7α,17α−ジメチルナンドロロン(ミボレロン)は、経口的に活性であるが、重度の肝臓毒性という欠点に見舞われる(例えば、J. Seaman, Toxicologic Pathology(1985),13(3),177−180を参照。)。
ある種のD−ホモステロイドは、男性ホルモンと黄体ホルモンの混合された特性を有することも知られている。例えば、米国特許第3,959,322号に記載されている(17αβ)−13−エチル−17a−ヒドロキシ−D−ホモゴン−4−エン−3−オン、(17αβ)−13−エチル−17a−ヒドロキシ−17a−メチル−D−ホモゴン−4−エン−3−オン及び(17αβ)−13,17a−ジエチル−17a−ヒドロキシ−D−ホモゴン−4−エン−3−オンは、男性ホルモン活性と黄体ホルモン活性をともに有すると主張されている。しかしながら、本発明者らは、これらの化合物が経口的に非活性であることを示した。
7α−メチル−19−ノル−D−ホモテストステロンは、WO85/05361号において、合成中間体として開示されている。本発明者らは、この化合物が男性ホルモンと黄体ホルモンの混合された特性を有することを示した。しかしながら、本発明者らは、この化合物が経口的に非活性であることも示した。
同化作用を有することが示されており、本発明者らが把握しているところによれば、黄体ホルモン活性も有する17aα−メチル−19−ノル−D−ホモテストステロンが、「S. N. Ananchenko et al. in Tetrahedron (1962),18,1355−67」に記載されている。しかしながら、本発明者らは、本化合物が、経口投与時の活性が低く、且つ骨梁の骨塩密度(BMD)の減少を抑制できないという欠点を併有していることを示した。
思いがけないことに、19−ノル−D−ホモステロイドの系列内に、経口活性であり、骨梁の骨塩密度の低下を抑制し、及び肝臓毒性を欠く、男性ホルモン性/黄体ホルモン性の混合型ステロイドが存在することが本発明によって見出された。このように、第一の態様において、本発明は、式I:
Figure 2007515455
(Rは、O又はNORであり(Rは、水素、(C1−6)アルキル又は(C1−6)アシルである。)、
は、メチル又はエチルであり、及び
は、水素又は(C1−15)アシルである。)
の一連の化合物を提供する。
一実施形態において、本発明は、RがOである式Iに記載の化合物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、RがOであり、及びRが水素である式Iに記載の化合物、すなわち、化合物(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オンおよび(7α,17aβ)−17a−エチル−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オン、特に化合物(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オンを提供する。
(C1−6)アルキルという用語は、1ないし6個の炭素原子を有する分岐又は非分岐アルキル基を表す。(C1−6)アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及び三級ブチルが含まれる。
(C1−6)アシル及び(C1−15)アシルという用語は、それぞれ、1ないし6個及び1ないし15個の炭素原子を有するカルボン酸から得られるアシル基を表す。アシル基は、分岐、非分岐、飽和又は不飽和であり得る炭化水素を含むことができる。(C1−6)アシル基の例には、ホルミル、アセチル、プロパノイル、プロペノイル及びピバロイルが含まれ、(C1−15)アシル基の例には、デカノイル及びウンデカノイルが含まれる。同じく(C1−6)アシル及び(C1−15)アシルの定義に含まれるのは、ヘミ−マロイル、ヘミ−スクシノイル及びヘミ−グルタロイルのようなジカルボン酸から得られるアシル基である。
がNOR(Rは、水素、(C1−6)アルキル又は(C1−6)アシルである。)である化合物は、RがOである化合物のプロドラッグである。同様に、Rが(C1−15)アシルである化合物は、Rが水素である対応する化合物のプロドラッグである。通常、前記プロドラッグは、インビボで活性形態へ変換される親化合物の不活性誘導体である。
本発明の19−ノル−D−ホモステロイド誘導体は、天然の立体配置8β、9α、10β、13β及び14αを有する。C−7位の立体配置は7αであり、C−17aの立体配置は17aβである。
本発明の化合物は、一般的な有機化学の分野、特にステロイド化学の分野で周知の方法に従って合成することができる。例えば、「Fried, J. and Edwards, J. A.,‘Organic Reactions in Steroid Chemistry,‘ Volumes I and II, van Nostrand Reinhold Company, New York, 1972」を参照。RがOであり、Rが上記意味を有し、及びRが水素である式Iの化合物を調製するための便利な出発物質は、例えば、(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(すなわち、式IIの化合物)である。この化合物は、本分野で周知の方法を用いて合成することが可能であり、例えば、FR1434172を参照されたい。
Figure 2007515455
(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンのD環の相同化(homologation)は、数多くの方法によって実施することができる。例えば、(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5−(10)−トリエン−17−オンは、(7α)−17−(アミノメチル)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オールに変換された後、例えば、NaNO/AcOHで処理されて、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オンを与えることができる(例えば、Avery, M.A. et al., Steroids, 1990,55,59)。あるいは、(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンは、(7α,17β)−3−メトキシ−7−メチル−16,17−メチレン−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10)−トリエンに変換された後、例えば、塩化鉄(III)で処理されて、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),16−テトラエン−17a−オンを与えることができる(例えば、Johns, W. F. et J..Org.Chem., 1971,36, 1952 および Ito, Y. et al., J.Org.Chem 1976,41, 2073を参照。)。後者は、例えば、接触水素化によって、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オンに変換され得る。
(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オンは、必要に応じて塩化セリウム(III)の存在下で、メチルリチウム若しくはエチルリチウム又は対応するグリニャール試薬で処理されて、(7α,17aβ)−17a−アルキル−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オール誘導体を与えることができる。後者は、対応する17aα−OH、17aβ−アルキル異性体と一緒に産生される場合があり得るが、この場合には、クロマトグラフィー又は結晶化によって、所望の17aβ−OH、17aα−アルキル異性体を、不要な後者の化合物から分離する。あるいは、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オンを、例えば、ヨウ化トリメチルスルホニウム及び塩基と反応させて、17a−エポキシドを与えることができ、次いで、該17a−エポキシドは、それぞれ、還元剤(例えば、水素化リチウムアルミニウム又はトリエチルボランリチウム)又はメチル銅化合物(例えば、MeCuLi)との反応によって、17aβ−OH、17aα−メチル化合物又は17aβ−OH、17aα−エチル化合物に変換することができる。「Caine,D. Org. reactions, Wiley, New York, 1976,23,1」に記載されているように、得られた(7α,17aβ)−17a−アルキル−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オール誘導体をBirch還元し、続いて、このようにして得られたΔ2,5(10)ジエン誘導体を加水分解すると、(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オン又は(7α,17aβ)−17a−エチル−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オンが得られる。
がNOR(Rは水素、(C1−6)アルキル又は(C1−6)アシルである。)ある本発明の化合物及びRが(C1−15)アシルである本発明の化合物は、本分野で周知の方法によって容易に得られる。例えば、Rが(C1−15)アシルである本発明の化合物は、例えば、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、所望の酸塩化物などのアシル化剤を用いて、Rが水素である対応する前駆体をアシル化することによって容易に得られる。
本発明の19−ノル−D−ホモステロイドは、治療において、例えば、特に雄性避妊及び雄性HRTにおいて使用するのに適している。雄性HRTとは、男性ホルモン補充及びテストステロン補充を意味する。
本発明の化合物の投与は、薬学的組成物の製造によって大いに助けられるであろう。従って、本発明は、「Gennaro et al., Remmington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Lippincott, Williams and 2000;特に第5部:pharmaceutical manufacturing」に記載されているものなどの、薬学的に許容される賦形剤と混合された本発明の化合物を含む薬学的組成物にも関する。適切な賦形剤は、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition; Editors A. Wade and P. J. Weller, American Pharmaceutical Association, Washington, The Pharmaceutical Press, London, 1994」から得られる。本発明に記載の化合物と薬学的に許容される賦形剤との混合物は、錠剤などの固体投薬単位に圧縮することができ、又はカプセル若しくは坐薬に加工することができる。投薬単位、例えば錠剤を作製する場合、充填剤、着色剤及びポリマー性結合剤などの慣用の添加物の使用が意図される。一般に、活性化合物の機能を妨害しない、薬学的に許容される任意の添加物を使用することができる。薬学的組成物を調製し、投与することができる適切な充填剤には、ラクトース、デンプン、セルロース及びそれらの誘導体、又は適切な量で使用されるそれらの混合物が含まれる。
雄性避妊は、黄体ホルモンが避妊効果を達成する役割を果たし、男性ホルモンが引き起こされたテストステロンレベルの低下を補充する役割を果たすホルモンの投与療法を含むことがしばしば記載されている。本発明の化合物は、男性ホルモン/黄体ホルモンの性質を併有しているので、単一の化合物に基づいて、黄体ホルモン−男性ホルモン系を通じた雄性避妊を達成することができる。
このように、本発明は、避妊活性を有する医薬(本分野では、「避妊剤」という用語も使用される。)の製造のための、本発明のステロイド化合物の使用にも関する。
本発明は、本発明の化合物がそれ自体避妊効果を示すのに十分な投薬量及び投薬計画で、並びに該避妊法に対する雄性対象中に十分な男性ホルモンレベルを維持する役割を同時に果たす投薬量及び投薬計画で、稔性を有する雄、特にヒトに、本発明の化合物を投与することを含む、避妊方法に関する。あるいは、本発明によって提供される避妊方法は、黄体ホルモンと本発明の化合物などの、不妊剤(sterilitant)の避妊に有効な組み合わせを、稔性を有する雄、特にヒトに投与することを含む。別の代替法として、前記避妊方法は、(黄体ホルモン性)不妊剤として本発明の化合物を投与することを含み、ここでは、一つには本発明の化合物の男性ホルモン活性によって十分な男性ホルモンレベルの維持に注意が払われ、及び追加の男性ホルモンが補充される。
本発明は、黄体ホルモンを投与するための手段と、男性ホルモンを投与するための手段とを含み、前記手段のうち一つが本発明の化合物を含む薬学的組成物であることを特徴とする、雄性避妊用キットにも関する。
本発明の男性ホルモン/黄体ホルモン化合物は、部分的に男性ホルモンが欠乏した(加齢)雄にテストステロンを補充するために使用することも可能である。
本発明の男性ホルモン/黄体ホルモン化合物は、内在性テストステロンの(部分的)補充のために使用することも可能である。黄体ホルモン活性は、内因性テストステロンの産生が抑制される点で、本発明の化合物の利点をもたらす。男性ホルモン活性は、生じたテストステロン欠乏を補う役割を果たす。これによって、外因性男性ホルモンによるテストステロンの補充が可能となり、これは内因性テストステロンより安全である。内因性テストステロンは、5α−還元酵素によって、さらに強力な5α−ジヒドロテストステロンへ変換され、前立腺に関する問題、にきび及び毛髪の喪失などの周知の副作用をもたらす。
このため、本発明の男性ホルモン/黄体ホルモン化合物によって、内因性テストステロンに固有の副作用を有利に減弱させることができる。従って、より具体的には、本発明の化合物は、両性前立腺肥大症(BPH)の治療のために使用することができる。必要に応じて、本発明の男性ホルモン/黄体ホルモン化合物は、MENTのような5α−非還元性の本分野で公知の男性ホルモン、又はWO 99/67271号、WO 00/53619号、WO 00/59920号若しくはWO 01/05806号に開示されている男性ホルモン、又は本分野において公知の黄体ホルモンと組み合わせることが可能である。
このように、本発明は、男性ホルモン不足の治療用医薬又はテストステロン補充用医薬の製造のための、本発明の化合物の使用にも関する。当業者であれば、この使用は、本発明の化合物と男性ホルモンとの併用投与又は本発明の化合物と黄体ホルモンとの併用を含み得ることが自明であろう。従って、雄に、前記化合物を(適切な薬学的剤形で)投与することを含む、雄ホルモン補充療法の分野における治療方法も本発明に含まれる。
本発明は、男性ホルモンの補充又はテストステロンの補充を必要としている雄に、必要に応じて、本分野で公知の男性ホルモン又は本分野で公知の黄体ホルモンと組み合わせて、本発明の化合物の治療的有効量を投与することを含む治療方法にも関する。
以下の実施例によって、本発明を説明する。
(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オンの調製
(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オン
i)−無水テトラヒドロフラン(294mL)中のジイソプロピルアミンの溶液(42.4mL)を−30℃まで冷却した。n−BuLi(ヘキサン中の1.6M溶液、173mL)を滴加し(T<−10℃)し、−30℃で10分間撹拌を続けた。この反応混合物を−78℃まで冷却し、無水テトラヒドロフラン(398mL)中の(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン[FR 1434172を参照;25.0g]の溶液を滴加した。−78℃で撹拌を1時間継続した。クロロトリメチルシラン(31.5mL、CaHから新たに蒸留された)を添加し、温度を室温まで上昇させた。この混合物を30分間撹拌した。TMSClの添加後、0℃まで冷却し、次いで、塩化アンモニウムの飽和水溶液で反応を停止した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10),16−テトラエン(35.5g)を得た。この生成物は、さらなる精製を行わずに、以下の工程で使用した。
ii)−前工程で得られた生成物(35.5g)及びジヨードメタン(27.3mL)の無水ジクロロメタン溶液(503mL)を0℃まで冷却した。ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(15重量%、305mL)を添加し(T<5℃)、氷槽を取り除き、反応混合物を室温で1時間撹拌した。氷を加え、塩化アンモニウムの飽和水溶液中にこの混合物を注ぎ、この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−16,17−メチレン−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10)−トリエン(35.5g)を得た。この生成物は、さらなる精製を行わずに、以下の工程で使用した。
iii)−前工程で得られた生成物(35.5g)の無水ジメチルホルムアミド溶液(169mL)を、同じ溶媒(169mL)中の塩化鉄(III)(極めて乾燥、40.8g)の氷冷された溶液に添加した。氷槽を取り除き、この反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。冷却下、塩酸水溶液(2M)を滴加して、この混合物の反応を停止した。この混合物を水の中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を水及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10),16−テトラエン−17a−オン(10.0g)が得られた。
iv)−活性炭上パラジウム(10%;5g)の水懸濁液(50mL)を、エタノール(1250mL)及びTHF(250mL)の混合物中の、前工程で得られた生成物(67g)の溶液に添加し、この混合物を水素下(5バール)、室温で一晩撹拌した。この反応混合物の試料をセライト上でろ過し、減圧下でろ液を濃縮した。H−NMRによって、70%の変換が示された。さらにPd/C(10%、2.5g)を添加し、水素下(5バール)で撹拌し、一晩継続した。上記の作業によって、(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オン(61g)を得た。この生成物は、さらなる精製を行わずに、以下の工程で使用した。
v)−メチルリチウム(ジエチルエーテル中の1.4M溶液、475mL)と無水THF(5000mL)の混合物を−40℃まで冷却した。前工程で得られた生成物(54g)の無水THF溶液(1000mL)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。塩化アンモニウムの飽和水溶液(7500mL)中にこの混合物を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オール(19.9g)が得られた。
vi)−前工程で得られた生成物(1.0g)の無水テトラヒドロフラン溶液(25mL)を液体アンモニア(100mL)に添加し、−45℃まで冷却した。リチウム(0.65g)を添加し、この反応混合物を−45℃で2時間撹拌した。2−プロパノール(10mL)と無水THF(10mL)の混合物を滴加し、アンモニアを蒸発させながら、この混合物を一晩撹拌した。塩化アンモニウム(100mL)の飽和水溶液を添加した後、酢酸エチル(250mL)を添加した。この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17aβ)−3−メトキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−2,5(10)−ジエン−17a−オール(1.02g)を得た。この生成物は、さらなる精製を行わずに、以下の工程で使用した。
vii)−前工程で得られた生成物(1.02g)のアセトン溶液(50mL)を、塩酸(6M、5mL)で処理した。室温で2時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液でこの反応混合物を中和させ、この生成物を酢酸エチル中に抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。結晶化によって、(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストル−4−エン−3−オン(融点152℃)。
(7α,17aβ)−17a−エチル−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストル−4−エン−3−オンの調製
(7α,17aβ)−17a−エチル−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストル−4−エン−3−オン
i)塩化セリウム(III)(1.8g)の無水テトラヒドロフラン懸濁液(40mL)を一晩撹拌した後、−78℃まで冷却した。テトラヒドロフラン中の塩化エチルマグネシウム(25%、3.3mL)を添加し、撹拌を1時間継続した。固体の(7α)−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オン[実施例1、工程iv;0.50g]を添加し、この反応混合物が1.5時間で室温に達するようにした。塩化アンモニウムの飽和水溶液中にこの混合物を注ぎ、生成物を酢酸エチル中に抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α,17aβ)−17a−エチル−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17a−オール(0.11g)を得た。
ii)−前工程で得られた生成物(0.11g)の無水テトラヒドロフラン溶液(10mL)を、還流している液体アンモニア(50mL)に添加した。リチウム(0.65g)を添加し、この反応混合物を10分間撹拌した。テトラヒドロフランのtert−ブタノール溶液を添加し、さらに1.5時間撹拌を継続した。−78℃まで冷却した後、この混合物をエタノールで停止し、アンモニアを蒸発させた。水を添加し、生成物を酢酸エチル中に抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17aβ)−17a−エチル−3−メトキシ−7−メチル−D−ホモエストラ−2,5(10)−ジエン−17a−オールを得た。この生成物は、さらなる精製を行わずに、以下の工程で使用した。
iii)−実施例1のviiに記載されている手順と同様の手順に従って、前工程で得られた生成物を、(7α,17aβ)−17a−エチル−17a−ヒドロキシ−7−メチル−D−ホモエストル−4−エン−3−オン(0.071g)に変換した。H−NMR(CDCl)5.83(bs,1H)、2.48−0.94(m)、0.90(t,3H,J=7.8Hz)、0.72(d,3H,J=4)。
本発明の化合物の男性ホルモン及び黄体ホルモンアゴニスト活性
男性ホルモン活性及び黄体ホルモン活性について、本発明の化合物を検査した。
マウス乳癌ウイルス(MMTV)及びルシフェラーゼ受容体遺伝子とともに、ヒト男性ホルモン受容体(hAR)を形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)中で、本発明の化合物のトランス活性化男性ホルモンアゴニスト活性を測定し(インキュベーション16時間、温度37℃)、[Schoonen, W.G.E.J. et al., Analyt. Biochem. 261, 222−224(1998)に記載されている手順に従って]5α−ジヒドロテストステロンの活性と比較した。
マウス乳癌ウイルス(MMTV)及びルシフェラーゼ受容体遺伝子とともに、ヒト黄体ホルモン受容体B(hPRB)を形質移入されたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)中で、本発明の化合物のトランス活性化黄体ホルモンアゴニスト活性を測定し(インキュベーション16時間、温度37℃)、[Schoonen, W.G.E.J. et al., Analyt. Biochem. 261, 222−224(1998)に記載されている手順に従って](16α)−16−エチル−21−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−4−エン−3,20−ジオンの活性と比較した。結果は、表1にまとめられている。
LH抑制アッセイ
成熟した雄去勢ラットモデル中で、本発明の化合物のインビボでの効力を測定した。
このモデルでは、血清LHが高い(精巣のテストステロンのネガティブフィードバックが存在しないために、無処置のラットより約20倍高い。)。ラッカセイ油又はラッカセイ油+5若しくは10%エタノールの懸濁液中の本発明の所定の化合物で、これらのラットを4日間毎日、経口処理した。投薬前および最後の経口投薬から3時間後に、尾静脈を介して血液を収集し、血清LHを測定する。本発明の化合物の効力(経口)(最少活性用量、MAD)は、血清LHを(95%の信頼区間で)65%に抑制する本発明の化合物の量(mg/kg)として表される。
ラットLH Time−Resolved Immuno Fluorometric Assay(TR−IFMA)は、自家製の試薬、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットに対して誘導されたモノクローナル捕捉抗体(hCG、ラットβサブユニットと交差反応する。)及びビオチン標識された検出抗体(組換えラットLHのα−サブユニットに対して誘導されたウサギポリクローナル抗体)を用いて、社内で開発した。組換えラットLHは、公知の方法、例えば、「Hakola et al., Molecular & Cellular Endocrinology(1997), 128, 47−56」に記載されている方法に従って調製した。この二部位IFMAでは、ストレプトアビジン−ユーロピウムとの最終インキュベーションによって、無処置ラットLHのみを測定する。IFMAにおける検出は、比較的長い励起期間にわたる、ユーロピウムランタニドの蛍光に基づいている。ラットLH標準の濃度範囲は、0.001ないし10ng/mLであり、血清LHの最も正確な測定のために、血清試料をアッセイ緩衝液で8倍希釈した(J.I. van Casteren et al., Biol. Reprod.(2000),62,886−894)。結果は、表1にまとめられている。
Figure 2007515455
成熟雄去勢ラットでの抗骨粗鬆症試験(6週間の処置)
この試験では、去勢によって誘導された雄ラットにおける骨梁の骨塩密度(BMD)の喪失の抑制について、本発明の化合物の経口効力を評価した。
成熟雄Wistarラット(350−400g)を使用した。イソフルラン麻酔下で睾丸摘出術(orx)又は偽施術を行った。麻酔から回復した後、24時間以内に、本発明の化合物又はビヒクルのみ(プラセボ無処置、プラセボorx)の異なる用量を用いて、1ml/kgの容量で、ラットを6週間毎日1回経口処置した(n=5)。最後の投与から1日後に、剖検を行い、右の大腿を解剖した。pQCT(peripheral Quantitative Computed Tomography機器;XCT 960A, Stratec, Birkenfeld, Germany)を用いて、大腿の骨端(metaphysal)部分の骨梁の骨塩密度を測定した。結果は、表2にまとめられている。
Figure 2007515455
肝臓の安全性の測定:BSP保持アッセイ
本試験の主な目的は、雄の去勢ウサギを7日間(1日1回)経口処置した後に、静脈内注射された単回投与のブロモスルホフタレイン(BSP)のクリアランスを測定することによって、肝機能を評価することであった。
簡潔に述べると、本試験は、成熟雄去勢NZWウサギで行った。去勢から少なくとも2週後、10mg/kgの用量になるように、錠剤中またはビヒクルラッカセイ油+5%エタノール中の本発明の化合物で、動物を7日間(1日1回)処置した。最後の投与から24時間後に、0.15mLのHypnorm筋肉内でウサギを軽く安静状態とし、BSPを注射した(15mg/kg 静脈内、5%(w/v)マニトール/HO中に溶解)。5、10、15及び20分の時点で血液を集め、血漿中のBSP含量を分光光度計で測定した。得られたデータから、BSPに関するT1/2を計算した(表3参照)。
Figure 2007515455

Claims (9)

  1. 式Iの化合物。
    Figure 2007515455
    (Rは、O又はNORであり(Rは、水素、(C1−6)アルキル又は(C1−6)アシルである。)、
    は、メチル又はエチルであり、及び
    は、水素又は(C1−15)アシルである。)
  2. がOであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
  3. がOであり、及びRが水素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 化合物(7α,17aβ)−17a−ヒドロキシ−7,17a−ジメチル−D−ホモエストラ−4−エン−3−オン。
  5. 治療において使用するための請求項1ないし4の何れか一項に記載の化合物。
  6. 請求項1ないし4の何れか1項に記載の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物。
  7. 避妊活性を有する医薬の製造のための、請求項1ないし4の何れか1項に記載の化合物の使用。
  8. 黄体ホルモン(progestagen)を投与するための手段と、男性ホルモンを投与するための手段とを含み、前記手段の1つが請求項6に記載の薬学的組成物であることを特徴とする、雄性避妊のためのキット。
  9. 男性ホルモン不足の治療用医薬又はテストステロン補充用医薬の製造のための、請求項1ないし4の何れか1項に記載の化合物の使用。
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