JP2007506451A - 髄内釘 - Google Patents

Abstract

髄内釘（１）は、長手方向軸（２）、近位端３、遠位端４、前記長手方向軸（２）に対して横方向に走り、ロック要素（１２、１３）を受入れるための規定直径（ｄ１０、ｄ１１）を有する平面（２０）に位置する少なくとも１つの穴（１０、１１）、および前記平面（２０）において前記長手方向軸（２）に対して平行に走る細長い穴（９）を有する。細長い穴（９）は、前記髄内釘（１）の伸びていない状態で前記穴（１０、１１）の外側範囲において前記平面（２０）に対して垂直に測定されたスリット幅「ｂ」を有し、これが前記穴（１０、１１）の規定直径（「ｄ１０」）の最小の多くても０．６倍に対応する。
【選択図】 図１

Description

本発明は、特許請求の範囲第１項による髄内釘に関する。

特許文献１により、その遠位端において細長い穴を有する髄内釘が周知である。この周知の髄内釘は、付属するロック要素（ネジまたはボルト）の髄腔への移植成功後に初めて確実に導入され、次いでその穴付き先端がロックネジに当たり、それによってスリットは拡張し、髄内釘はロックネジを介してその最終位置まで摺動しうる。したがって、最初に挿入されたロックネジは、その後に移植される髄内釘のターゲティング補助として役立つ。この目的に適しているために、周知の髄内釘の細長い穴はロックネジの直径に比べ、そうでない場合には細長い穴が開放しえないため相対的に広い。しかし、相対的に広い細長い穴は、２つの不利点を有する。すなわち、第一に、髄内釘の先端がその堅牢度の点で大いに弱体化し、第二に、髄内釘がロックネジに対して軸方向に転位することがつねに再び可能となる。
スイス特許第Ａ５６６８１７３号明細書

この点で本発明は改善を提供する。本発明の課題は、ロック要素の導入後に相互の軸方向の可動性を不可能にする穴付き髄内釘を提供することである。
本発明は、請求項１の特徴を有する髄内釘で上記課題を解決する。
本発明による髄内釘の利点は多種多様である。すなわち
ａ）削減された釘剛性が移植を容易にし、
ｂ）その直径が髄内釘における横穴よりもわずかに大きいロックボルトの使用に際しては、ボルトが釘の弾性の変型によって締付けられ、これが釘の骨における良好な固定をもたらし、
ｃ）小さな釘の直径においては、ロック穴の存在するスリット範囲での弾性によって、直径の大きなロックボルトを使用することができ（従来の釘においては、これは大きすぎる穴によって、釘断面の弱体化が生じうる）、
ｄ）ロック穴の範囲でのスリットにより生じる弾性によって、有害な応力集中を削減することができ、
ｅ）髄内釘またはロック要素の可塑性の変形が生じることなく、髄内釘とロックネジとの間の相対的な長手方向の転位が不可能であり、かつ
ｆ）１つもしくは複数のロック要素が締付けられ、曲がりおよび何らかの転位に対して緩みなしに保護される。

特定の実施形態においては、髄内釘のスリット幅「ｂ」は、穴の規定直径の最小の多くても０．５倍、好ましくは、多くても０．４倍に対応する。それによって、髄内釘は最適なやり方で挿入に際してフレキシブルに、かつロック要素は最適に角安定に固定もしくは締付けられる。
別の実施形態においては、穴（１０、１１）の数は２つであり、ここで細長い穴の開口近くに位置する穴の直径「ｄ１０」が他の穴の直径「ｄ１１」よりも小さい。それによって、大きく寸法決めされたロック要素を使用することができ、それによってほとんどボルトの破損が生じない。
髄内釘の細長い穴は長さＬを有し、これは好ましくは、穴の規定直径「ｄ１０」の最小の少なくとも１０倍、通常、１５倍に対応する。それによって、髄内釘は挿入に際してフレキシブルとなる。
スリット幅「ｂ」は、好ましくは、全スリット長さＬにわたって実質的に一定であるべきである。それによって、製造技術上の簡略化および可能な限り小さいスリット幅における髄内釘の最小限の弱体化が生じる。
スリットは、好ましくは、蟻継ぎの形で保護部を有しうるが、これによりスリットの伸びが量的に制限される。それによってスリットの可能な過度の伸びが阻止される。

特定の実施形態においては、細長い穴は髄内釘の近位端で始まる。通常、遠位に取付けられるスリットを有する髄内釘に対して、近位に配置されたスリットを有する髄内釘は、適切な嵌め込みインスツルルメンタリウムによって弾性にあらかじめ伸ばされ、次いでロック要素をインスツルメンタリウムのターゲティングガイドによって髄内釘へ挿入する利点を有する。インスツルメンタリウムの除去後、近位スリットは再び閉鎖し、それによってロック要素は髄内釘で締付けられる。
別の実施形態においては、細長い穴は髄内釘の遠位端にも近位端にも達しない。この閉鎖された変形は、髄内釘の遠位（または近位）端の望ましくない大きな伸びが―特に小さな直径を有する髄内釘において―阻止される利点を有する。かかる伸びは、スリット端における応力集中をもたらしうる。スリットが両側で閉鎖されていると、ロック要素はさらに強く締付けられうる。
髄内釘は長手方向軸の方向で中空にも構成されうる。
髄内釘の穴へ導入されるロック要素は、好ましくは、付属する穴の規定直径よりも大きい規定直径を有する。しかし、ロック要素の規定直径は、付属する穴の規定直径と同じ大きさでありうる。後者の実施例は、釘剛性の削減および移植の簡略化という利点を有する。
ただし、ロック要素の規定直径は、付属する穴の規定直径の少なくとも１．１倍、好ましくは、１．２倍でもありうる。この実施例においては、一定の釘断面において大きなロック要素が使用されうるとともに、小さな髄内釘においてはロック要素の破損が阻止される。
細長い穴の開口近くに導入されるロック要素の直径は、好ましくは、その他のロック要素の直径よりも大きい。
ロック要素の穴への導入によって、髄内釘は細長い穴の範囲で弾性に伸ばされている。細長い穴の長さＬは、好ましくは、ロック要素の挿入に際して弾性範囲でのみ変形するように選択されるべきである。
別の実施形態においては、穴の平面に対して垂直に走る追加のロック穴を有する。これにより移植成功後および両方の穴の平面におけるロック要素の配置後の釘剛性の増大がもたらされる。釘弾性は、細長い穴によって達成され、釘移植を簡略化する。ただし、釘がいったん移植されると、特に細い釘における補強が望ましくなる。

（図面の簡単な説明）
本発明および本発明の発展形態を以下、複数の実施例の部分的概略図を用いてさらに詳細に述べる。
図１は、遠位部で開放した穴付き髄内釘の部分的縦断面図を示す。
図２は、挿入されたロック要素とともに図１による部分的縦断面図を示す。
図３は、９０°回転させた図２による部分的縦断面図を示す。
図４は、追加の横穴を有する図２による部分的縦断面図を示す。
図５は、追加の横穴の範囲における図４による拡大図を示す。
図６は、取付けられたターゲティングガイドとともに近位部で開放した穴付き髄内釘の部分的断面図を示す。
図７は、９０°回転させた図６による部分的縦断面図を示す。
図８は、ロック要素が挿入され、ターゲティングガイドが除去された図７による部分的縦断面図を示す。
図９は、遠位部で開放していないスリットを有する髄内釘の部分的断面図である。
図１０は、挿入されたロック要素とともに図９による部分的縦断面図を示す。
図１１は、スリット保護部とともに遠位部で開放した穴付き髄内釘の部分的縦断面図を示す。

図１に示されている髄内釘１の遠位部は、長手方向軸２、近位端３、遠位端４、および長手方向軸２に対して横方向に走り、図面レベルに対して垂直に位置する、ロックネジの形でロック要素１２、１３（図２）を受入れるために直径ｄ１０およびｄ１１を有する２つの穴１０、１１、ならびに長手方向軸２に対して平行に図面レベルに対して垂直に走る、一定の幅ｂおよび長さＬ＝（２０×「ｄ１０」）の遠位端４で始まる細長い穴９を有する。この場合、細長い穴９の開放端近くに位置する穴１０の直径「ｄ１０」は、他方の穴１１の直径「ｄ１１」よりもわずかに大きい。両方の穴１０、１１間の範囲において、細長い穴９は―図面レベルで測定される―スリット幅ｂ＝（０．２×「ｄ１０」）を有する。
両方の穴１０、１１は、それぞれ中心５、６を有する。細長い穴９は、その遠位端４に位置した開口から両方の穴（１０、１１）を介してさらにわずかに近位へ小さな直径を有する小さな穴の形のスリット基部８まで延在する。スリット基部８と穴１１の中心６との間の距離は「Ｌ２」である。「Ｌ２」が大きいほど髄内釘はフレキシブルになる。両方の穴１０、１１の中心５、６間の距離は「Ｌ１」である。この実施形態においては、「Ｌ１」は約３０ｍｍである。さらに、髄内釘１は、長手方向軸２に対して同軸に走る貫通する管状部７を有する。

図２に示されているように、両方の穴１０、１１によって、骨ネジの形の２つのロック要素１２、１３が挿入されうる。この場合、細長い穴９の伸びが生じ、その幅は細長い穴の開放端で「ｂ」の値からｂ’＞ｂの値まで拡大する。
図３に示されているように、両方のロック要素１２、１３の軸は、対応する穴１０、１１の直径の１．２倍に対応する直径Ｄ１０、Ｄ１１を有し、両方のロック要素１２、１３の穴１０、１１への導入後に髄内釘１は、図４において示されているように、その細長い穴９の範囲で弾性に伸ばされている。
図４においては、髄内釘１の変型が示されており、この場合、さらに第３の穴１５が両方の穴１０、１１間に配置されている。穴１５は、両方の他の穴１０、１１に対して９０°回転されている。図４および５に示されているように、この追加の穴１５にはロックネジの形の追加のロック要素１４が導入されうる。髄内釘１の進入から離れた部分には雌ネジ１６が備えられており、ここにはロック要素１４の雄ネジ１７が噛合い、髄内釘１は穴付き範囲で―ロック要素１４によって―再び結合される。

図６−８においては、髄内釘１の変型が示されており、この場合、細長い穴９は髄内釘１の遠位端ではなく、近位端３に取付けられている。この実施例においては、ロックネジの形の唯一のロック要素１３を受入れるために唯一の穴１０が備えられている。他の点では、この実施例は、遠位穴付き髄内釘１に対する図１および２による実施例に対応する。図６に示されているように、ロック要素１３の穴１０への挿入は取付けられたターゲティングガイド１８において行われ、この場合、髄内釘１の穴付き近位端はロックネジ１９によって―矢印２２（図７）によって示されているように―伸ばされ、穴１０に対してきわめて拡大されたロック要素１３がここに問題なく挿入されうる。次いで、ロックネジ１９は再び解除され、ターゲティングガイド１８が除去されうる。この場合、穴付き髄内釘１は近位端３において―矢印２１（図８）によって示されているように―再び収縮しようとするとともに、導入されたロック要素１３を角安定に穴１０において固定する。
図９および１０においては、髄内釘１の別の変型が示されており、この場合、遠位に配置されたスリット９がその両端で閉鎖されており、すなわち、図１−４による実施例における場合のように髄内釘１の遠位端では開放されていない。この構造によって、両方のロック要素１２および１３の穴１０および１１への導入に際して、細長い穴９はその最初の幅ｂ１から幅ｂ１’へ伸ばされる。したがって、伸ばされた細長い穴９は、両方のロック要素１２および１３の穴１０への継続的な締付け力を発揮し、これらがその中で確実に保持される。Ｌが長いほど、髄内釘はフレキシブルになり、かつその挿入は容易になる。「Ｌ１」は個別に適合可能であり、機能に対する影響を有さない。さらに「Ｌ２」が長いほど、ロック要素１２および１３の挿入は容易になり、かつ後者の角安定性を有さなくなる。その他の点では、この実施例は図１−４による実施形態に対応する。

図１１においては、髄内釘１の別の変型が示されており、この場合、遠位に配置されたスリット９が連続的に直線に、すなわち、長手方向軸２に対して同軸に走らず、遠位端４直前で曲がっており、スリット９は外側（ここでは右側）に達する。スリット９の曲がりによって、「蟻継ぎ」の構造で保護部２３、２４が実現され、これがスリット９の伸び可能性を制限する。髄内釘１の右部は、その傾斜端を有するスリット９の伸びに際して髄内釘１の左の屈曲部２４の対応する傾斜端２４に対して配置され、それによって髄内釘のその遠位部における別の過度の伸びを阻止する。

遠位部で開放した穴付き髄内釘の部分的縦断面図を示す。 挿入されたロック要素とともに図１による部分的縦断面図を示す。 ９０°回転させた図２による部分的縦断面図を示す。 追加の横穴を有する図２による部分的縦断面図を示す。 追加の横穴の範囲における図４による拡大図を示す。 取付けられたターゲティングガイドとともに近位部で開放した穴付き髄内釘の部分的断面図を示す。 ９０°回転させた図６による部分的縦断面図を示す。 ロック要素が挿入され、ターゲティングガイドが除去された図７による部分的縦断面図を示す。 遠位部で開放していないスリットを有する髄内釘の部分的断面図である。 挿入されたロック要素とともに図９による部分的縦断面図を示す。 スリット保護部とともに遠位部で開放した穴付き髄内釘の部分的縦断面図を示す。

符号の説明

１ 髄内釘 ２ 長手方向軸 ３ 近位端
４ 遠位端 ５、６ 中心 ８ スリット基部
９ 細長い穴 １０、１１ 穴 １２、１３ ロック要素

Claims (17)

1. 長手方向軸（２）、近位端（３）、遠位端（４）、前記長手方向軸（２）に対して横方向に走り、ロック要素（１２、１３）を受入れるための規定直径（「ｄ１０」、「ｄ１１」）を有する平面（２０）に位置する少なくとも１つの穴（１０、１１）、および前記平面（２０）において前記長手方向軸（２）に対して平行に走る細長い穴（９）を有し、前記細長い穴（９）が前記髄内釘（１）の伸びていない状態で前記穴（１０、１１）の外側範囲において前記平面（２０）に対して垂直に測定されたスリット幅「ｂ」を有し、これが前記穴（１０、１１）の規定直径（「ｄ１０」）の最小の多くても０．６倍に対応する髄内釘（１）において、
   前記細長い穴が前記端（３、４）で閉鎖されているか、または保護部（２３、２４）を有し、前記細長い穴（９）の伸びが量的に制限されていることを特徴とする髄内釘（１）。
2. 前記スリット幅「ｂ」が、前記穴（１０、１１）の前記規定直径（「ｄ１０」）の最小の多くても０．５倍、好ましくは、多くても０．４倍に対応することを特徴とする請求項１に記載の髄内釘（１）。
3. 前記穴（１０、１１）の数が２つであり、前記細長い穴（９）の開口の近くに位置する穴（１０）の前記直径「ｄ１０」が、前記他方の穴（１１）の前記直径「ｄ１１」よりも小さいことを特徴とする請求項１または２に記載の髄内釘（１）。
4. 前記細長い穴（９）が、前記穴（１０、１１）の前記規定直径（ｄ１０）の最小の少なくとも１０倍に対応する長さＬを有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
5. 前記細長い穴（９）が、前記穴（１０、１１）の前記規定直径（ｄ１０）の最小の少なくとも１５倍に対応する長さＬを有することを特徴とする請求項４に記載の髄内釘（１）。
6. 前記スリット幅ｂが、全スリット長さＬにわたって実質的に一定であることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
7. 前記細長い穴（９）が、前記髄内釘（１）の近位端（３）において始まることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
8. 前記細長い穴（９）が、前記遠位端（４）にも前記近位端（３）にも達しないことを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
9. 前記長手方向軸（２）の方向で中空に構成されていることを特徴とする請求項１〜８のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
10. 規定直径（Ｄ１０、Ｄ１１）を有する少なくとも１つのロック要素（１２、１３、１４）を有することを特徴とする請求項１〜９のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
11. 前記ロック要素（１２、１３）の前記規定直径（Ｄ１０、Ｄ１１）が、前記付属する穴（１０、１１）の規定直径（ｄ１０、ｄ１１）よりも大きいことを特徴とする、請求項１０に記載の髄内釘（１）。
12. 前記ロック要素（１２、１３）の前記規定直径（Ｄ１０、Ｄ１１）が、前記付属する穴（１０、１１）の規定直径（ｄ１０、ｄ１１）と同じ大きさであることを特徴とする、請求項１０に記載の髄内釘（１）。
13. 前記ロック要素（１２、１３）の前記規定直径（Ｄ１０、Ｄ１１）が、前記付属する穴（１０、１１）の規定直径（ｄ１０、ｄ１１）の少なくとも１．１倍、好ましくは、１．２倍であることを特徴とする、請求項１０に記載の髄内釘（１）。
14. 前記細長い穴（９）の開口近くに導入されたロック要素（１３）の直径がその他のロック要素（１２）の直径よりも大きいことを特徴とする請求項１０〜１３のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
15. 前記ロック要素（１２、１３）が前記穴（１０）に導入されており、かつ前記髄内釘（１）が前記細長い穴（９）の範囲で弾性に伸ばされていることを特徴とする請求項１０〜１４のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
16. 前記細長い穴（９）の長さＬが、前記髄内釘（１）が前記ロック要素（１２、１３）の挿入に際して弾性範囲でのみ変形するように選択されることを特徴とする請求項１〜１５のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
17. 追加として前記平面（７）に対して垂直に走るロック穴（１５）を有することを特徴とする請求項１〜１６のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
    
    

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