JP2007335753A - 半導体受光素子、その製造方法および受光装置 - Google Patents

半導体受光素子、その製造方法および受光装置 Download PDF

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博史 稲田
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陽一 永井
Yasuhiro Inoguchi
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Abstract

【課題】 暗電流を大きく抑制することができる半導体受光素子、その製造方法およびその半導体受光素子を用いた受光装置を提供する。
【解決手段】 受光層3を含むエピタキシャル積層構造のプレーナー型半導体受光素子10であって、受光層3の上にエピタキシャル成長したInAlAsの窓層4と、InAlAs窓層4が酸化されてなり、窓層を被覆する酸化被膜5と、窓層から受光層に届くようにp型不純物が導入されたp型領域15とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体受光素子、その製造方法および受光装置に関し、より具体的には暗電流を抑制した長波長域用の半導体受光素子、その製造方法および受光装置に関するものである。
長波長域の光の半導体受光素子には、InP基板上に形成されたInGaAs受光層を含むエピタキシャル積層構造のフォトダイオードが用いられる。これらのフォトダイオードには形状的に2つの主要な型がある。一つは、エピタキシャル積層構造がエッチングなどによって損傷を受けにくく、高信頼性を確保しやすいという利点を生かすことができるプレーナー型フォトダイオード(PD:Photo-Diode)である。また他の一つは、断面積容量を抑制して動作速度を高めることができるメサ型PDである。暗電流の抑制は、直ちに半導体受光素子の感度向上に有効に作用するので、プレーナー型PDおよびメサ型PDともに、暗電流の一層の抑制が求められている。とくに長波長域用の化合物半導体は、多くの技術蓄積がなされた単結晶シリコンほど良好な結晶性を確保できないために暗電流が大きく、暗電流を抑制することが、プレーナー型PDおよびメサ型PDともに強く望まれている。
プレーナー型PDでは、たとえば受光層の上にInP窓層を、またInP窓層の上にInGaAsコンタクト層を設け、そのInGaAsコンタクト層の上にSiNパッシベーション膜を設けて、暗電流の抑制を図っている(特許文献1参照)。また、メサ型PDとしては、メサポスト側面に流れる暗電流を抑制するために、メサ側面に露出するAl半導体層およびメサポストの周りの光閉じ込め層表面を酸化することにより形成したアルミ酸化膜で被覆する方法(特許文献2)が提案されている。
特開平8−8455号公報 特開平11−330531号公報
上記のPDでは、つぎの(1)〜(3)の問題を生じる。
(1)上記特許文献1に開示の装置では、SiNパッシベーション膜下において、そのSiNパッシベーション膜と、p型領域のZn含有InGaAsコンタクト層およびZnを含有しないInGaAsコンタクト層との界面に、欠陥密度やキャリアトラップ準位の増大が生じ、このため暗電流が増大する。
(2)多結晶であるSiNやSiO等をパッシベーション膜として用いた場合、単結晶とのボンド結合が完全でないため、表面リーク電流が発生し、また経時的な信頼性劣化の原因となる。
(3)メサ型PDではメサポスト側面のエッチングによる損傷を避けることができないため、信頼性確保に欠ける。
また、上記の長波長域の導体受光素子を用いた受光装置では、感度を向上させるため、または暗電流を抑制するため、受光装置中の半導体受光素子を冷却装置で冷却することを余儀なくされている。すなわち長波長域用の分光器などでは、半導体受光素子の暗電流を抑制するため、フィンを設け冷却媒体を強制循環させる冷却装置を設けている。このような冷却装置は、受光装置を大型化して高価格の要因となる。また携行用の装置にはファンを設ける場合が多いが、利便性の低下をもたらしていた。
本発明は、暗電流を大きく抑制することができる半導体受光素子、その製造方法およびその半導体受光素子を用いた受光装置を提供することを目的とする。
本発明の半導体受光素子は、受光層を含むエピタキシャル積層構造のプレーナー型半導体受光素子である。この半導体受光素子は、受光層の上にエピタキシャル成長したAlを含むAl含有半導体の窓層と、Al含有半導体層が酸化されてなり、窓層を被覆する酸化被膜と、窓層から受光層に届くようにp型不純物が導入されたp型領域とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、パッシベーション膜を形成するとき、エピタキシャル積層構造の表面を大気にさらすことなく当該パッシベーション膜を形成することができる。また、パッシベーション膜と、p型領域(p型不純物導入領域またはZn拡散領域)およびp型不純物非導入領域との界面が、同じAl含有半導体エピタキシャル成長層内にあるので、欠陥密度の減少やキャリアトラップ準位の低減を実現することができる。この欠陥密度の減少やキャリアトラップ準位の低減を通じて暗電流を低減することができる。
また、パッシベーション膜にSiNやSiO等の多結晶を用いずに、Al含有半導体、たとえばInAlAsを酸化して形成した酸化被膜(以後、Al系酸化被膜と記す)をパッシベーション膜とするため、下層すなわち窓層とのボンド結合が良好なため、表面リーク電流の発生を抑えることができる。この表面リーク電流の発生抑制を通じて、暗電流を低減させることができる。
上記の窓層を形成するAl含有半導体に、InAlAsを用いることができる。InAlAsはInPに格子整合することができ、また波長1.55μm〜3μmの光に対して透明であり、好ましい。また、このあと説明する各種の酸化処理に対して緻密なAl系酸化被膜を形成することができる。
また、p型領域の窓層の上にエピタキシャル成長したInGaAsコンタクト部を備え、酸化被膜はInGaAsコンタクト部の周りに設けられている構造とすることができる。
Al含有半導体(窓層)のp型領域上に、直接、p側電極を設けて、接触抵抗を低くできる適当な材料が存在しない。Al含有半導体のp型領域上に、接触抵抗が高くなるのをかまわずp側電極を直接設けた場合、動作電圧が高く、消費電力が増大してしまう。上記のように、Al含有半導体のp型領域上にInGaAsコンタクト部を設けた場合には、電極材料としてに一般的なAuZn系金属やTiPt系金属を用いることにより低抵抗接続を実現することができる。
また、InGaAsコンタクト部がパターニングして形成される前は、InGaAs層がAl含有半導体層(窓層)上にエピタキシャル成長してAl含有半導体層を被覆している。そして、Al含有半導体層を酸化してパッシベーション膜を形成する直前に、上記のInGaAs層に対してパターニング処理を行いInGaAsコンタクト部の周りのInGaAs層をエッチングして、Al含有半導体層を露出する。このため、Al含有半導体層において不安定要因となるAlの自然酸化を防ぐことができる。
上記のp型不純物はInGaAsコンタクト部の表面から受光層に届くように導入されているような構造とできる。この構造によれば、プレーナー型受光素子においてとくに重要なp型不純物導入によるpn接合の形成処理を、つぎの手順で行うことができる。「受光層上へのAl含有半導体層のエピタキシャル膜形成→InGaAsコンタクト層のエピタキシャル膜形成→p型不純物導入(pn接合の形成:前後にマスクパターンの形成および除去)→InGaAsコンタクト層のメサ構造形成→Al含有半導体層の酸化処理による酸化被膜の形成」の処理工程。上記の工程では、InGaAsコンタクト部は酸化処理される前のInAlAs層(窓層)に直接エピタキシャル成長されるため接触抵抗を低くできる。また、下方のpn接合に至る経路において、一度でも酸化性雰囲気にさらされる箇所はなく、高い導電性の経路が連続するため、pn接合に高い電圧を効率よくかけることができる。
また、上記の受光層のバンドギャップ波長を1.55μm〜3μmの範囲内にすることができる。波長1.55μm〜3μmの長波長域用の受光素子は、感度向上のために暗電流の抑制を非常に強く必要としている。上記の構成により、暗電流が非常に小さくなり、感度が良好な長波長域用の受光素子を提供することができる。
前記受光層が、InGaAs、GaInNAs、GaInNAsSbおよびGaInNAsPのいずれかで形成されるようにしてもよい。上記の化合物半導体はいずれもバンドギャップ波長が1.55μm〜3μmの範囲内にあり、上記の感度を飛躍的に向上させた長波長域用の受光素子を実現することができる。
また、上記の酸化被膜は、酸素を含む雰囲気内での熱処理、ドライエッチング処理、液相酸化処理および熱水蒸気処理のいずれかで生成されることができる。ここで、ドライエッチング処理は、InGaAs層をパターニングしてInGaAsコンタクト部を形成する際に行うドライエッチング処理をさし、少し処理時間を延長するなどして、露出したAl含有半導体層を酸化する処理をさす。この場合、効率的に酸化被膜を形成することができる。また、既存の装置のうち適切な装置を用いて、上記のような多様な手段を用いて酸化被膜の形成を行うことができる。
本発明の半導体受光素子の製造方法は、受光層を含むエピタキシャル積層構造のプレーナー型半導体受光素子の製造方法である。この製造方法は、受光層の上にAlを含むAl含有半導体の窓層をエピタキシャル成長する工程と、窓層の上にInGaAsコンタクト層をエピタキシャル成長する工程と、InGaAsコンタクト層表面から受光層にまで届くようにp型不純物を拡散導入してp型領域を形成する工程とを備える。そして、InGaAsコンタクト層のメサ構造であるInGaAsコンタクト部をドライエッチングまたはウエットエッチングにより形成して、InGaAsコンタクト部を囲むようにAl含有半導体の窓層を露出させる工程と、露出したAl含有半導体の窓層を酸化して、その窓層を被覆する酸化被膜を形成する工程とを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、パッシベーション膜を形成するとき、エピタキシャル積層構造の表面を大気にさらすことなく当該パッシベーション膜を形成することができる。また、パッシベーション膜と、その下層の窓層(p型領域およびp型不純物非導入領域)との界面が、同じAl含有半導体エピタキシャル成長層内にあるので、欠陥密度の減少やキャリアトラップ準位の低減を実現することができる。この欠陥密度の減少やキャリアトラップ準位の低減を通じて暗電流を低減することができる。
また、パッシベーション膜にSiNやSiO等の多結晶を用いずに、Al含有半導体、たとえばInAlAsを酸化して形成した酸化被膜(以後、Al系酸化被膜と記す)をパッシベーション膜とするため、下層すなわち窓層とのボンド結合が良好なため、表面リーク電流の発生を抑えることができる。この表面リーク電流の発生抑制を通じて、暗電流を低減させることができる。
上記の窓層を形成するAl含有半導体に、InAlAsを用いることができる。InAlAsはInPに格子整合することができ、また波長1.55μm〜3μmの光に対して透明であり、好ましい。また、このあと説明する各種の酸化処理に対して緻密なAl系酸化被膜を形成することができる。
また、p型領域の窓層の上にエピタキシャル成長したInGaAsコンタクト部を備え、酸化被膜はInGaAsコンタクト部の周りに設けられている構造とすることができる。
上述のように、Al含有半導体(窓層)のp型領域上にp側電極を直接設けて、接触抵抗を低くできる適当な材料が存在しない。Al含有半導体のp型領域上に、接触抵抗が高くなるのをかまわずp側電極を直接設けた場合、動作電圧が高く、消費電力が増大してしまう。上記のように、Al含有半導体のp型領域上にInGaAsコンタクト部を設けた場合には、電極材料として一般的なAuZn系金属やTiPt系金属を用いても低抵抗接続を実現することができる。
また、InGaAsコンタクト部がパターニングして形成される前は、InGaAs層がAl含有半導体層(窓層)上にエピタキシャル成長してAl含有半導体層を被覆している。そして、Al含有半導体層を酸化してパッシベーション膜を形成する直前に、上記のInGaAs層に対してパターニング処理を行いInGaAsコンタクト部の周りのInGaAs層をエッチングして、Al含有半導体層を露出する。このため、Al含有半導体層において不安定要因となるAlの自然酸化を防ぐことができる。
また、酸化被膜を形成する工程では、酸素を含む雰囲気内での熱処理、メサ構造を形成するために行なうドライエッチング処理、液相酸化処理および熱水蒸気処理のいずれかを用いることができる。この構成により、既存の装置のうち適切な装置を用いて、上記のような多様な手段を用いて酸化被膜形成を行うことができる。
また、エピタキシャル積層構造の各層を、分子線エピタキシャル成長法(Molecular
Beam Epitaxy)および有機金属気相エピタキシャル成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)のいずれかを用いて成膜することができる。これにより、高品質のエピタキシャル積層構造を容易に形成することができる。
本発明の受光装置は、上記のいずれかの半導体受光素子を用いて、波長1.55μm〜3μmの光を受光する受光装置であって、半導体受光素子を冷却するための冷却装置を備えないことを特徴とする。
波長1.55μm〜3μmの光を受光する受光装置は、通常、暗電流を抑制して感度を向上させるために、冷却装置、たとえばドライアイス冷却を行なう。このため、装置は大型化、高重量化、高価格化をもたらし、またファンを備える携行用装置においても携行に不便をきたしていた。上記のいずれかの半導体受光素子を用いることにより暗電流を大幅に抑制でき、感度向上を得ることができ、そのため上記の冷却装置を不要とすることができる。この結果、小型化、軽量化した安価な長波長域用の受光装置を提供することができ、また携行に便利なタイプも容易に提供可能となる。
また、本発明の別の受光装置では、上記のいずれかの半導体受光素子を用いて、波長1.55μm〜3μmの光を受光する受光装置であり、半導体受光素子を冷却するためのフィン構造を備えないことを特徴とする。このため、上記と同様に、小型、軽量で安価な受光装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態における半導体受光素子を示す図である。InP基板1の上にInAlAsバッファ層2がエピタキシャル成長しており、そのInAlAsバッファ層2の上にGaInNAs受光層3がエピタキシャル成長している。ここで受光層3は、GaInNAsに限定されず、InGaAs、GaInNAsSb、GaInNAsPなど、波長域1.55μm〜3μmに感度のある化合物半導体を用いることができる。GaInNAs受光層3の上にはAl含有半導体層であるInAlAs窓層4がエピタキシャル成長しており、そのInAlAs窓層4を被覆するようにAl系酸化被膜5が位置している。
InGaAsコンタクト部7はAl系酸化被膜5を介在させずに直接InAlAs窓層4の上にエピタキシャル成長している。InGaAsコンタクト部7の上には、AuZn系またはTiPt系のp側電極8が形成されている。InGaAsコンタクト部7の周りのAl系酸化被膜5を、SiONで形成されたAO(Anti-Reflection)膜6が被覆している。窓層4を経て、受光層3に届くようにZnが拡散導入されたp型領域15が形成され、受光層3内にpn接合17ができている。このあと分かるようにZn拡散は、InGaAsコンタクト部7の表面からInAlAs窓層4を経由してGaInNAs受光層3に至るようになされている。そして、InP基板1の裏面にn側電極18が形成されている。
上記の構造において、窓層4をAl含有半導体層のInAlAs層とし、そのInAlAs層の表層部を酸化して、酸化被膜5のパッシベーション膜を形成している点が第1のポイントである。パッシベーション膜5は、下地となるエピタキシャル積層構造の表面を大気にさらすことなく下地の上に形成される。また、パッシベーション膜5とp型領域17との界面、およびパッシベーション膜5とp型不純物非導入領域との界面が、いずれも酸化処理前のAl含有半導体エピタキシャル成長層内にできるので、欠陥密度の減少やキャリアトラップ準位の低減を実現することができる。この欠陥密度の減少やキャリアトラップ準位の低減を通じて暗電流を低減することができる。
また、パッシベーション膜にSiNやSiO等の多結晶を用いずに、Al系酸化被膜をパッシベーション膜5とするため、下層すなわち窓層4とのボンド結合は良好であり、表面リーク電流の発生を抑えることができる。この表面リーク電流の発生抑制を通じて、暗電流を低減させることができる。
図1の半導体受光素子の第2のポイントは、p型領域の窓層の上にエピタキシャル成長したInGaAsコンタクト部を備え、酸化被膜をInGaAsコンタクト部の周りに設けた点にある。InAlAs窓層4のp型領域17上にInGaAsコンタクト部7を設けた場合には、電極材料としてに一般的なAuZn系金属やTiPt系金属を用いることにより低抵抗を実現することができる。しかし、InAlAs窓層4のp型領域17上に直接、p側電極を設ける場合には、接触抵抗を低くできる適当な材料が存在せず、接触抵抗が高くなるのをかまわずp側電極を直接設けた場合には、動作電圧が高くなり、その結果、消費電力が増大する。上記のようにInGaAsコンタクト部7を介在させてp側電極8を設けることにより、既存の原料を用いて接触抵抗の低い電極を形成することができる。
また、InGaAsコンタクト部がパターニングして形成される前は、InGaAs層がAl含有半導体層(窓層)上にエピタキシャル成長してAl含有半導体層を被覆している。そして、Al含有半導体層を酸化してパッシベーション膜を形成する直前に、上記のInGaAs層に対してパターニング処理を行いInGaAsコンタクト部の周りのInGaAs層をエッチングして、Al含有半導体層を露出する。このため、Al含有半導体層において不安定要因となるAlの自然酸化を防ぐことができる。
次に、図1に示す半導体受光素子10の製造方法を説明する。成膜装置には、どのような装置を用いてもよいが、MOVPE装置またはMBE装置のいずれかを用いるのがよい。まず、図2に示すように、InP基板1上に、バッファ層2をInGaAs層で形成してもよいし、InAlAs層で形成してもよい。次いで、受光層3をInGaAs層、GaInNAs層、GaInNAsSb層およびGaInNAsP層のいずれかで形成することができる。受光層3の上の窓層4は、InAlAs層またはその他のAl含有半導体層、たとえばInAlAsSb、InAlGaAs、InAlGaAsSbなどで形成することができる。Al含有半導体の窓層4の上にコンタクト部を形成するためのInGaAs層7を形成する。図2に示す、InP基板1からInGaAsコンタクト層7に至る各エピタキシャル層の組成、厚み、ドーパント濃度などの典型例をまとめて表1に示す。InGaAsコンタクト層7は、他の層に比べて薄いが、p部電極との接触抵抗を低下させる上で有効である。表1の組成やドーパント濃度は、あくまで例示であって、表1の範囲外のドーパント濃度であってもよい。
Figure 2007335753
次に、図3に示すように、InGaAs層7の上にp型不純物であるZnを拡散導入するためのマスクパターン31を形成し、Znを拡散導入してp型領域15を形成する。したがって、p型不純物のZnは、InGaAs層7の表面からInAlAs窓層4を経由して受光層3に至るように導入される。このため、コンタクト部が形成されるInGaAs層7の下部のpn接合17に至る経路において、製造工程中に一度でも酸化性雰囲気にさらされる箇所はなく、高い導電性の経路が連続するため、pn接合17に高い電圧を効率よくかけることができる。
次いでマスクパターンを除去して、図4に示す状態を得る。このあと図5に示すように、InGaAs層をメサ構造へとドライエッチングしてInGaAsコンタクト部7を形成して、当該InGaAsコンタクト部7の周りのInAlAs窓層4を露出させる。そして、図6に示すように、露出したInAlAs窓層4の表層部を酸化処理してAl系酸化被膜のパッシベーション膜5を形成する。酸化処理は次に示すどの方法を用いてもよい。
(1)酸素を含む雰囲気での熱処理:既存の通常の処理装置を用いて行なうことができる。
(2)上記のメサ構造を形成するために行うドライエッチング処理の延長工程:処理工程を新たに加えることなく、効率よく酸化被膜を形成することができる。とくに酸化傾向の強いAlを含有するAl含有半導体層を酸化するのに有効な方法である。
(3)液相酸化処理:確実な酸化被膜形成が可能となる。
(4)熱水蒸気処理:短時間で厚みのある酸化被膜を形成することができる。
上記の(1)〜(4)の酸化処理方法に限らず、その他の酸化処理方法を用いてもよい。
このあと、図7に示すように、パッシベーション膜5およびInGaAsコンタクト部7を被覆するようにSiON膜からなるAR膜6を成膜する。次いでInGaAsコンタクト部7の上のAR膜6を部分的に除去して、図8に示すようにp側電極8をInGaAsコンタクト部7の上に形成する。p側電極8は、上述のように、AuZn系金属またはTiPt系金属で形成することができる。図8に示す状態に対して、InP基板1の裏面にn側電極を形成することにより、図1に示す半導体受光素子10を得ることができる。
図1に示す半導体受光素子10は、エピアップ受光素子であり、エピタキシャル積層構造の表面側から光が入射する配置をとる。本発明の半導体受光素子は、図9に示すように、エピダウン受光素子すなわちフリップチップ方式の受光素子として、InP基板1の裏面側から光が入射する配置をとることができる。エピダウン受光素子では、図9に示すように、光入射面に電極を設ける必要がない利点を得ることができる。
上記の本発明のいずれかの半導体受光素子を組み込んだ、科学技術用の分光装置などにおいては暗電流を低減して感度向上を確保するため、半導体受光素子を冷却するために冷却装置を組み込むことが普通に行われている。これは、1.55μm〜3.0μmという長波長域に感度を有する化合物半導体(GaInNAs、GaInNAsSb、GaInNAsP、InGaAsなど)では、膨大な技術蓄積を持つ単結晶Siほど良質の結晶を得ることが未だできないからである。このため、分光装置などの静置する装置では、たとえばドライアイスによる冷却が行われる。また夜間移動時の視界を確保するための携帯用視界支援装置にも、ファンが備えられる。これら静置装置および携帯用装置には、当然、冷却を促進するためにフィン構造が設けられる。
これに対して、上記の半導体受光素子は、上記のパッシベーション膜を備えることにより暗電流を低くできるため、上記冷却装置を廃止することができる。その結果、たとえば携帯用夜間視界支援装置の利便性(小型化、軽量化、低価格)を飛躍的に向上させることができる。そして、より重要なことは、上記冷却装置を必要とするために搭載されずにいた用途が拓けることであり、たとえば夜間視界支援装置の自動車への利用拡大などもはかられ、自動車の安全性をより一層向上させることが可能となる。
次に実施例により本発明の効果を検証した結果について説明する。本発明例および比較例の半導体受光素子の構造を図10〜図12に示す。
(本発明例(図10の半導体受光素子)):n側電極18/InP基板1/InPバッファ層2/InGaAs受光層3/InAlAs窓層4/Al系酸化被膜(パッシベーション膜)5//上記エピタキシャル積層構造にZn拡散導入されたp型領域15/InGaAsコンタクト部7/p側電極8が形成されている。InGaAs受光層3の中にpn接合17が形成される。製造方法は、上述の方法にしたがい、ZnはInGaAs層の表面から受光層3に届くように拡散導入し、そのあとInGaAs部7のメサ構造を形成し、Al系酸化被膜5は、酸化性雰囲気内での熱処理により形成した。
(比較例1(図11の半導体受光素子)):n側電極118/InP基板101/InPバッファ層102/InGaAs受光層103/InP窓層104/InGaAsコンタクト層107/パッシベーション膜SiN105//このエピタキシャル積層構造にZn拡散導入されたp型領域115/p側電極108が形成されている。InGaAs受光層3の中にpn接合117が形成される。SiNパッシベーション膜105は、InGaAsコンタクト層107の表面からZnを拡散導入するマスクパターンとして用いたものを残存させている。
(比較例2(図12の半導体受光素子)):n側電極118/InP基板101/InPバッファ層102/InGaAs受光層103/InP窓層104/InGaAsコンタクト層107//このエピタキシャル積層構造にZn拡散導入されたp型領域115/p側電極108が形成されている。InGaAs受光層3の中にpn接合117が形成される。比較例2では、パッシベーション膜は設けていない。
上記の3種類の試験体に逆方向電圧を0〜10Vの範囲で印加して、暗電流を測定した。結果を図13に示す。比較例1および比較例2とを対比させると、パッシベーション膜を設けない比較例の暗電流は、比較例1に比べて格段に小さく、パッシベーション膜が暗電流の発生に大きく影響することを示す。また、パッシベーション膜を設けた受光素子であっても、本発明例は、Al系酸化被膜5によって形成したパッシベーション膜を持つため、暗電流はパッシベーション膜を持たない比較例2よりも歴然と低くなる。逆方向電圧の全範囲にわたって暗電流が比較例2より小さくなるが、とくに低い逆方向電圧の範囲で暗電流抑制の効果が著しい。これは、(E1)パッシベーション膜と、その下層の窓層(p型領域およびp型不純物非導入領域)との界面が、同じAl含有半導体エピタキシャル成長層内にあるので、欠陥密度が減少し、キャリアトラップ準位が低減することに起因する暗電流の抑制効果、および(E2)下層すなわち窓層とのボンド結合が良好なため、表面リーク電流の発生減少を通じた、暗電流の抑制効果、の2つの効果によって得られる。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の半導体受光素子では、受光層の上にエピタキシャル成長させたAl含有窓層を酸化してAl系酸化被膜によってパッシベーション膜を形成するので、当該パッシベーション膜の下層との界面に高密度の欠陥やキャリアトラップ準位が形成されず、また窓層とのボンド結合が強固なために表面リーク電流が抑制されるため、暗電流を大幅に低減することができ、現行の受光装置における冷却装置を廃止することができる。これにより利便性(小型化、軽量化、低価格)が向上してこれまでなかった用途分野を拓くことが可能となり、たとえば自動車の夜間視界支援などに用いられ、安全性の向上に寄与することができる。
本発明の実施の形態における半導体受光素子を示す図である。 図1の半導体受光素子の製造方法においてエピタキシャル積層構造を形成した状態を示す図である。 マスクパターンを用いてp型不純物(Zn)を拡散導入した状態を示す図である。 マスクパターンを除去した状態を示す図である。 InGaAsコンタクト層のメサ構造をドライエッチングにより形成した状態を示す図である。 InGaAsコンタクト部の周りの窓層を酸化して酸化被膜を形成した状態を示す図である。 AR膜のSiON膜を成膜した状態を示す図である。 InGaAsコンタクト部の上にp側電極を形成した状態を示す図である。 本発明の実施の形態のその他の半導体受光素子(エピダウン型)を示す図である。 本発明の実施例における本発明例の半導体受光素子を示す図である。 本発明の実施例における比較例1の半導体受光素子を示す図である。 本発明の実施例における比較例2の半導体受光素子を示す図である。 本発明の実施例の暗電流測定結果を示す図である。
符号の説明
1 InP基板、2 バッファ層、3 受光層、4 窓層、5 Al系酸化被膜、6 AR膜(SiON膜)、7 InGaAsコンタクト部、8 p側電極、10 半導体受光素子、15 p型領域、17 pn接合、18 n側電極、31 不純物拡散用マスクパターン。

Claims (10)

  1. 受光層を含むエピタキシャル積層構造のプレーナー型半導体受光素子において、
    前記受光層の上にエピタキシャル成長したAlを含むAl含有半導体の窓層と、
    前記Al含有半導体層が酸化されてなり、前記窓層を被覆する酸化被膜と、
    前記窓層から受光層に届くようにp型不純物が導入されたp型領域とを備えることを特徴とする、半導体受光素子。
  2. 前記p型領域の窓層の上にエピタキシャル成長したInGaAsコンタクト部を備え、前記酸化被膜は前記InGaAsコンタクト部の周りに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体受光素子。
  3. 前記p型不純物は前記InGaAsコンタクト部の表面から前記受光層に届くように導入されていることを特徴とする、請求項2に記載の半導体受光素子。
  4. 前記受光層のバンドギャップ波長が1.55μm〜3μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体受光素子。
  5. 前記受光層が、InGaAs、GaInNAs、GaInNAsSbおよびGaInNAsPのいずれかで形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体受光素子。
  6. 受光層を含むエピタキシャル積層構造のプレーナー型半導体受光素子の製造方法であって、
    前記受光層の上にAlを含むAl含有半導体の窓層をエピタキシャル成長する工程と、
    前記窓層の上にInGaAsコンタクト層をエピタキシャル成長する工程と、
    前記InGaAsコンタクト層表面から前記受光層にまで届くようにp型不純物を拡散導入してp型領域を形成する工程と、
    前記InGaAsコンタクト層のメサ構造であるInGaAsコンタクト部をドライエッチングまたはウエットエッチングにより形成して、前記InGaAsコンタクト部を囲むように前記Al含有半導体の窓層を露出させる工程と、
    前記露出したAl含有半導体の窓層を酸化して該窓層を被覆する酸化被膜を形成する工程とを備えることを特徴とする、半導体受光素子の製造方法。
  7. 前記酸化被膜を形成する工程では、酸素を含む雰囲気内での熱処理、前記メサ構造を形成するために行なうドライエッチング処理、液相酸化処理および熱水蒸気処理のいずれかを用いることを特徴とする、請求項6に記載の半導体受光素子の製造方法。
  8. 前記エピタキシャル積層構造の各層を、分子線エピタキシャル成長法(Molecular
    Beam Epitaxy)および有機金属気相エピタキシャル成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)のいずれかを用いて成膜することを特徴とする、6または7に記載の半導体受光素子の製造方法。
  9. 前記請求項1〜8のいずれかに記載の半導体受光素子を用いて、波長1.55μm〜3μmの光を受光する受光装置であって、前記半導体受光素子を冷却するための冷却装置を備えないことを特徴とする、受光装置。
  10. 前記請求項1〜8のいずれかに記載の半導体受光素子を用いて、波長1.55μm〜3μmの光を受光する受光装置であって、前記半導体受光素子を冷却するためのフィン構造を備えないことを特徴とする、受光装置。
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