JP2008047580A - 半導体受光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2次相互変調歪を抑制した上で、高い量子効率、低い素子容量を実現することができる半導体受光素子を提供する。
【解決手段】 n型バッファ層2と、n型InGaAs受光層3と、n型窓層4と、n型窓層4からInGaAs受光層3に届くように形成されたp型領域5と、p型領域に電気的に接続されるp部電極15aとを備えるアナログ伝送用のIII−V族化合物半導体の受光素子において、バッファ層のn型キャリア濃度が1.0×1017cm−3以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体受光素子に関し、より具体的には光通信用の長波長域の半導体受光素子に関するものである。
光通信には、光ファイバー内で低損失とするために、長波長域の光が用いられ、受光素子には、InP基板上に形成されたInGaAs受光層を含むエピタキシャル積層構造のPIN型フォトダイオードが用いられる。とくにアナログ伝送光通信のように、大きなフォトカレントを生じる光を受光するフォトダイオードでは、2次相互変調歪が大きくなるという問題がある。フォトダイオードで2次相互変調歪が大きくなる原因は次のとおりである。
上記のPIN型フォトダイオードでは、動作時にpn接合に逆バイアス電圧を加えることによって、pn接合のn型領域のInGaAs受光層(バッファ層)側に空乏層を広げ、この空乏層内に電界を形成している。この状態で信号光が入射されると、空乏層において光電効果によるキャリアが生成する。生成したキャリアは、空乏層内の電界によって飽和速度まで加速され、フォトカレントとして外部回路に取り出される。できるだけ小さい逆バイアス電圧で、上記のフォトカレントを十分取り出すことが、逆バイアス電圧の供給装置の制約から好ましい。上記のようなアナログ伝送光通信で用いられる光の受光では、大きなフォトカレントを生じ、これが大きな空間電荷効果を生じる。すなわち、InGaAs受光層内に高密度にキャリアが生成し、その空間電荷効果によってInGaAs層内の上記電界が打ち消される。このため、空乏層内の電界分布が歪み、空乏層内を走行するキャリアに、速度大のものと速度小のものとができる。これが2次相互変調歪の原因となり、アナログ伝送特性を劣化させる。
上記のような空間電荷効果を抑制するには、InGaAs受光層の厚みを薄くして、かつキャリア濃度を低く、たとえば5×1015cm−3以下にすることが有効である。しかしながら、InGaAs受光層の厚みを薄くして、キャリア濃度を低くした場合、光の吸収領域が減少するため量子効率の低下を生じ、またpn接合からInGaAs受光層側(バッファ層側)へ広がる空乏層の厚みが減少するため素子容量が増大し、高速動作に支障をきたすという問題が生じる。
上記の問題を解決するために、p部電極をAuZnで形成することにより接触抵抗を低下させ、InGaAs受光層の下に位置するInPバッファ層のキャリア濃度を減少させた受光素子の提案がなされた(特許文献1)。この受光素子によれば、p部電極の接触抵抗を低下させ、かつ受光層の厚みを薄くすることにより、2次相互変調歪を抑制することができる。また、バッファ層のキャリア濃度を低くして空乏層を受光層内だけでなく、バッファ層にまで広げることにより、量子効率を高め、かつ素子容量を低くすることができる。
特許3183931号公報
上記特許文献1に開示された受光素子では、空乏層をInGaAs受光層/InPバッファ層のヘテロ界面を越えてInPバッファ層内に広げることを改良の大きなポイントにしている。しかしながら、空乏層をInPバッファ層に広げても、InPのエネルギーギャップより小さいエネルギーの長波長側の光に対してはInP内の空乏層で、キャリアが生じることはない。したがって長波長域の信号光に対する検出感度は増加しない。また、InGaAs受光層/InPバッファ層の界面はヘテロ界面であり、空乏層がヘテロ界面を含むことに起因する問題が生じる可能性がある。そこで、2次相互変調歪を抑制するのに空乏層をInGaAs受光層内に留めた上で、高い量子効率、低い素子容量を実現する受光素子の開発が要望されてきた。
本発明は、2次相互変調歪を抑制するのに空乏層をInGaAs受光層内に留めた上で、高い量子効率、低い素子容量を実現することができる半導体受光素子を提供することを目的とする。
本発明の半導体受光素子は、基板上に位置するn型バッファ層と、該バッファ層上に位置するn型InGaAs受光層と、InGaAs受光層上に位置するn型窓層と、n型窓層からInGaAs受光層に届くように形成されたp型領域と、p型領域に電気的に接続されるp部電極とを備えるアナログ伝送用のIII−V族化合物半導体の受光素子である。この半導体受光素子では、バッファ層のn型キャリア濃度が1.0×1017cm−3以上であることを特徴とする。
上記の半導体受光素子では、n型キャリア濃度1.0×1017cm−3以上と、これまで類をみないほど高いキャリア濃度のバッファ層を備える。このような高キャリア濃度のバッファ層は電気抵抗値が低いため、大きな電圧がかからず(完全導体では各部同一電圧)、InGaAs受光層に実効的に大きな電圧を印加することができる。すなわち逆バイアス電圧供給装置の制約から限定される、外部からの小さな逆バイアス電圧でも十分大きい電圧を受光層に印加できる。このため、受光層内の電界強度を高めることができ、その結果、空間電荷効果による電界打消しの影響を抑制することができ、2次相互変調歪を低減することができる。
さらに、InGaAs受光層内に形成されたpn接合からバッファ層側に広がる空乏層は、バッファ層のn型キャリア濃度が高濃度であることにより、上記の電圧印加の下で受光層内に留めやすく、また、受光層/バッファ層のヘテロ界面を越えてバッファ層にまで広げなくてよい。このため長波長側の光に感度を有するInGaAs受光層内にのみ空乏層を厚く形成することにより、長波長光に対する量子効率を高めることができる。さらに空乏層がInGaAs受光層/(InPやInAlAsなどのバッファ層)のヘテロ界面を含むように形成されることに起因する暗電流増大の弊害を避けることができるを除くことができる。
バッファ層のn型キャリア濃度を1.0×1017cm−3以上とするのは、作動中にInGaAs受光層内に高電界を形成することができ、かつ空乏層の広がりが受光層/バッファ層のヘテロ界面を越えることを防止できるからである。より好ましいバッファ層のn型キャリア濃度は2.0×1017cm−3以上であり、さらに好ましいのは5.0×1017cm−3以上である。
上記のInGaAs受光層を、厚み2.5μm〜2.9μmで、n型キャリア濃度5×1015cm−3以下とすることができる。このように、受光層のn型キャリア濃度を低くすることにより、空間電荷効果の原因となる光電効果で生じるキャリアを低くして、高密度のキャリアに起因する2次相互変調歪をさらに抑制することができる。また、InGaAs受光層の厚みが、上記のように十分厚いために、空乏層を受光層内に十分厚く広げることができる。このため、量子効率を高くでき、また素子容量を低下させることができる。
また、上記のp型領域上に位置するInGaAsコンタクト層を備え、p部電極はそのInGaAsコンタクト層上に位置することができる。このように、p部電極とp型領域との間にInGaAsコンタクト層を介在させることにより、p部電極とp型領域との間の接触抵抗を低減することができ、このため、外部からの小さな逆バイアス電圧でも、上述の高濃度バッファ層のみによる場合に比較して、さらに大きな電圧を受光層に印加できる。この結果、空間電荷効果をさらに抑制して、2次相互変調歪を低く抑えることができる。
上記のp部電極の電極パッドを、厚み3μm以上の樹脂層上に配置することができる。上記の樹脂層に、比誘電率(ε)が低く、かつ誘電正接(tanδ)が低い樹脂を選ぶことにより、電極パッド形成に伴う寄生容量を低減することができる。この結果、高速応答に高感度の受光素子とすることができる。上記の樹脂層には、最も好ましいものとしてポリイミドを用いることができる。その他、BCB(ベンゾシクロブテン)などを用いてもよい。
上記のp型領域を囲むように位置するp型の拡散遮蔽領域を備えてもよい。この構成により、外部からのかく乱要因を遮蔽し、とくに遅いキャリアを捕獲することができる。またInGaAs受光層のキャリア濃度が低い場合には外部からかく乱要因の影響を大きく受けるので、上記拡散遮蔽領域はとくに重要な役割を果たすことになる。
上記のp部電極を、Au/Zn/Au/Ti/Auから形成することができる。この構成によれば、p部電極のコンタクト抵抗を下げることができ、さらに空間電荷効果を抑えることができる。
また、上記のp部電極との間にInGaAs受光層を電気的に挟むように位置するn部電極を、AuGeNiから形成することができる。これにより、これまで実績のある電極材料により、n部電極のコンタクト抵抗を下げることができる。n部電極は、基板裏面に配置してもよいし、またバッファ層上に配置させてもよい。どちらの場合も、p部電極との間にInGaAs受光層を電気的に挟むように位置している。
上記のp型領域の表面側またはp型領域と反対側の基板裏面側に、反射防止膜を備えることができる。これにより、InGaAs受光層に到達する光量を増やして、実効感度を向上させることができる。
本発明の半導体受光素子によれば、2次相互変調歪を抑制するのに、空乏層をInGaAs受光層内に留めた上で、高い量子効率、低い素子容量を実現することができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体受光素子(フォトダイオード)10である。InP基板1の上にInPバッファ層2が位置しているが、このInPバッファ層2の厚みは2.1μm〜2.3μmであることが望ましく、またそのn型キャリア濃度は1.0×1017cm−3以上とする。バッファ層のキャリア濃度は、望ましくは2.0×1017cm−3〜5.0×1017cm−3とするのがよい。このような高キャリア濃度をもつバッファ層は、これまできわめて稀である。本発明において、高キャリア濃度をもつバッファ層2は基本的に重要であり、順次、説明してゆく。
上記のバッファ層2の上にInGaAs受光層3が位置し、このInGaAs受光層3の厚みは2.5μm〜2.9μmと厚く、またそのn型キャリア濃度は5×1015cm−3以下、望ましくは2×1015cm−3以下と低くするのがよい。InGaAs受光層3の上にはInP窓層4が位置し、InP窓層4の厚みは1.5μm〜1.7μmとし、そのn型キャリア濃度は2.0×1015cm−3〜4.0×1015cm−3とするのがよい。InP窓層4の上に保護膜12が形成され、上記のエピタキシャル積層構造を保護している。保護膜12の開口部からZn等のp型キャリアが窓層4を経由してInGaAs受光層3にまで届くように導入され、p型領域5が形成されている。p型領域5のp型キャリア層濃度は、1×1018cm−3〜1×1020cm−3と高濃度にするのがよい。p型領域5は、InGaAs受光層3とInP窓層4との界面からInGaAs受光層3側に0.1μm〜0.2μm程度入るように形成される(図2のd)。この結果、n型InGaAs受光層3とp型領域5との間にpn接合21が形成される。また、p型領域5を周りから囲むように拡散遮蔽領域18が形成される。拡散遮蔽領域18は、p型領域5と同じ深さでもよいし、p型領域5より深くてもよい。同じ深さの場合にはp型領域5を形成するのと同じ工程において、同じ不純物拡散処理で形成できる利点がある。
p型領域5にはInGaAsコンタクト層13が配置され、p型領域5と電気的に接続される。p部電極15aおよびp部電極パッド15bは、InGaAsコンタクト層13を介在させて、p型領域5と電気的に接続される。そしてp部電極パッド15bは、厚み3μm以上のポリイミド樹脂層14の上に配置されることが望ましい。また、InP基板1の裏面にはn部電極16が形成されている。図1では示していないが、光が入射されるp型領域の表面側にAR膜(Anti-Reflection反射防止膜)を配置してもよい。次に、上記半導体受光素子の各部分がどのような作用を奏するのか説明する。
図2は、図1に示す半導体受光素子の各部分の作用を説明するための図である。図2では、pn接合21に逆バイアス電圧が印加され、空乏層25が、p型領域5に少し、またn型InGaAs受光層3に大きく、それぞれに張り出している。p型領域5のp型キャリア濃度をNとし、n型InGaAs受光層3のn型キャリア濃度をNとして、空乏層25にかかる電圧Vとする。この場合、上記の各層のキャリア濃度の説明より、NがNより10倍〜10倍大きく、N≫Nが成立する。空乏層25の、InGaAs受光層3の側に張り出す厚み(張り出し幅)dと、p型領域5の側に張り出す厚みdの比(d/d)≒(N/N1/2であるため、上記の各部分のキャリア濃度を反映して、空乏層25は、InGaAs受光層3に圧倒的に大きく張り出す(d≫d)。p型領域の空乏層の厚みdはほとんど無視してよい。またd、dともに、電圧の1/2乗(V1/2)に比例して大きくなる。
本発明の半導体受光素子では、InGaAs受光層3の厚みDを、2.5μm〜2.9μmと厚くしているので、空乏層25の上記厚みdは、ほとんどDに近い範囲にまで張り出すように、上述の電圧を加えて使用することができる。言い換えると、空乏層を広くして使用できる。
一方、電圧は、半導体受光素子が組み込まれる装置上の制約(逆バイアス電圧電源の制約)から、外から供給される電圧をできるだけ低くすることが望ましい。すなわち、外部から加える逆バイアス電圧を低くしながら、空乏層に加わる逆バイアス電圧を大きくできれば、商品価値を高めた半導体受光素子ということになる。
信号光が、上記の空乏層25に入射され、キャリアが生成すると、キャリアは空乏層にかかっている電圧、すなわち空乏層内の電界により加速され、フォトカレントとして外部に取り出される。上記キャリアが高密度で生成したとき空間電荷効果により、空乏層25内の電界が打ち消され、速度大のキャリアと速度小のキャリアが生じ、2次相互変調歪が生じることが問題となる。本発明では、バッファ層2のn型キャリア濃度を、1.0×1017cm−3以上とすることにより、空間電荷効果を抑制することができる。すなわち、本発明ではこれまで類をみないほどバッファ層のキャリア濃度が高いので、バッファ層には電圧がかからない。そのために外部から印加された電圧が従来より実効的に大きく空乏層25に印加され、空乏層内の電界を高くすることができる。バッファ層のキャリア濃度が1.0×1017cm−3未満では、上記の空間電荷効果の抑制は不十分である。より望ましくは2.0×1017cm−3〜5.0×1017cm−3とするのがよい。また、上限は製造可能であれば、どこまで高い濃度であってもよいが、結晶性の良好なエピタキシャル膜を形成するという趣旨を全うするためには、1.0×1019cm−3程度が上限と考えられるが、結晶性の良いエピタキシャル膜が形成されるのであれば、その上限値にはこだわらない。
また、本発明の実施の形態1では、上記のInGaAs受光層3のn型キャリア濃度は、2×1015cm−3以下と低くされているため、上記の光入射によって高密度にキャリアが生成することがなく、さらに空間電荷効果は小さく抑制される。InGaAs受光層3のキャリア濃度を低くした弊害として、量子効率または検出感度が低下するという問題が生じるが、この問題に対しては、InGaAs受光層3の厚みDを厚くして、空乏層25をInGaAs受光層3内に厚く張り出させることにより、光電効果によるキャリア生成の機会を増やすことにより対処できる。すなわち空乏層のInGaAs受光層3の側への張り出し厚みdを大きくすることにより対処でき、さらにその空乏層の厚みdの中の電界強度の確保は、上記バッファ層における高いキャリア濃度により解決できる。そして、従来の空間電荷効果抑制の対処策における、空乏層厚みを薄くすることに起因する容量の増大については、本実施の形態では、上記のように空乏層を厚く受光層内に張り出させるので、空乏層厚みに関連する容量増大の問題は大きくない。
さらに、InGaAs受光層内に形成されたpn接合から受光層内に広がる空乏層は、バッファ層のn導電型キャリア濃度が高濃度であることにより、上記電圧供給装置の下、受光層内に留めやすく、また受光層/バッファ層のヘテロ界面を越えてバッファ層にまで広がる必要はない。このため長波長側の光に感度を有するInGaAs受光層内にのみ空乏層を形成することができ、長波長光に対する量子効率を高めることができる。
また、図1の半導体受光素子10では、p型領域5上に位置するInGaAsコンタクト層13を備える。p部電極15aはそのInGaAsコンタクト層13上に位置して、p部電極15aとp型領域5との間にInGaAsコンタクト層13を介在させることにより、p部電極15aとp型領域5との間の接触抵抗を低減することができる。このため、外部からの小さな逆バイアス電圧でも、上述の高キャリア濃度バッファ層2のみによる場合に比較して、さらに大きな電圧を受光層3または空乏層25に印加できる。この結果、空間電荷効果をさらに抑制して、2次相互変調歪を低く抑えることができる。
上記のp部電極15aの電極パッド15bを、厚み3μm以上のポリイミド樹脂層14上に配置するのがよい。ポリイミド樹脂が最も好ましいが、比誘電率(ε)が低く、かつ誘電正接(tanδ)が低ければどのような樹脂であってもよい。このような厚く、比誘電率、誘電正接が小さい樹脂層上に電極パッドを形成することにより、寄生容量を低減することができる。この結果、高速応答に高感度の受光素子とすることができる。樹脂層には、上述のように最も好ましいものとしてポリイミドを用いることができる。その他、BCB(ベンゾシクロブテン)などを用いてもよい。
本発明における高キャリア濃度のバッファ層2は、p部電極パッド15bとの間の素子容量を高める可能性があるが、上記のように厚み3μm以上のポリイミド樹脂層の上にp部電極パッド15bを配置することにより、素子容量の増大を防ぐことができる。すなわちp部電極パッド15bと、高キャリア濃度のバッファ層2と間の距離を大きくし、かつ比誘電率および誘電正接の小さい物質(ポリイミド)を間に挟むことにより、上記の原因(高キャリア濃度バッファ層2)による素子容量の増大を防止することができる。
上記のp部電極15aは、Au/Zn/Au/Ti/Auから形成するのがよい。また、p部電極との間にInGaAs受光層を電気的に挟むように位置する(図1の場合は、InP基板裏面に形成された)n部電極16を、AuGeNiから形成することができる。この構成によれば、p部電極およびn部電極のコンタクト抵抗を下げることができ、上述のフォトカレントによる電圧降下を低くでき、さらに空間電荷効果を抑えることができる。
上記の半導体受光素子は、これまで知られている任意の製造方法を用いて製造することができる。たとえば半導体基板1に形成するエピタキシャル積層構造2,3,4は、MBE(Molecular
Beam Epitaxy)法、MOVPE(Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)法などを用いて形成することができる。p型キャリアの導入についても、Znを拡散して窓層4を経由してInGaAs受光層3に届くように時間−温度制御などにより実現することができる。拡散遮蔽領域18は、マスクパターンを適宜変えることにより。p型領域5のZn拡散処理と同じ工程で形成することができる。この場合、p型領域5と同じ深さの拡散遮蔽領域18が形成される。
InGaAs受光層3の厚みDにわたって空乏層25を張り出して、十分利用するためには、InGaAs受光層3内へp型領域が入り込む深さdの精度が重要である。すなわち、空乏層のInGaAs受光層内の張り出し厚みdを大きくして、InGaAs受光層3の厚みDにわたって利用するには、p型領域が受光層内に入り込む深さdは、必要最小限にすることが望ましく、0.15μm〜0.4μmとするのがよく、さらに望ましくは0.15μm〜0.3μmとするのがよい。このようなp型不純物導入の拡散処理における寸法精度を高めるためには、温度を低目にして時間の余裕をもって行うことが望ましい。しかし、Znの拡散速度はとくに大きいわけではなく、これまで行ってきた方法で、十分高い精度でp型領域を形成し、InGaAs受光層内の上端部にpn接合を形成することができる。
InGaAsコンタクト層13は成膜時にキャリア(不純物)を導入する必要はなく、ドーパントなしで成膜後に熱処理時に高キャリア濃度のp型領域5からの不純物(Zn)拡散により、結果的に高キャリア濃度にすることができる。また、上記のバッファ層2または窓層4には、InP層を用いたが、材料の限定は重要ではなく、InAlAs層などを用いてもよい。また、p型領域5の表面を覆うようにAR(Anti-Reflection)膜を配置して、受光領域または空乏層に到達する信号光の量を多くすることも望ましい。
上記の本実施の形態における半導体受光素子は、高いキャリア濃度のバッファ層2のために空間電荷効果または2次相互変調歪を抑制でき、InGaAs受光層の低いキャリア濃度のために2次相互変調歪を抑制でき、InGaAs受光層の大きい厚みのために厚い空乏層を形成できて量子効率および端子間容量を改善できる。さらにInGaAsコンタクト層を用い、またp部電極およびn部電極に上記特定材料を用いることにより、接触抵抗を減らして、光電変換部への電圧印加を実効的に向上させることができる。さらにp部電極パッドを厚み3μm以上のポリイミド樹脂層の上に配置することにより、電極パッドに伴う寄生容量を低減することができる。
図3は、本発明の実施の形態1の受光素子の変形例を示す図である。図1に示す半導体受光素子10は、エピタキシャル層アップの姿勢で実装され、エピタキシャル層側から入射光を受けるが、図3では、エピタキシャル層ダウン実装され、InP基板の裏面にて、入射光を受ける。図3の受光素子10の構成は、光入射面、電極配置、電極パッド配置、コンタクト層などを除いて、図1の半導体受光素子と同じである。p型電極パッドを厚み3μm以上のポリイミド樹脂の上に配置してもよいし、InGaAsコンタクト層を介在させてp部電極をp型領域に電気的に接続してもよい。
図3の半導体受光素子では、InP基板1の裏面にn部電極16が、p型領域に対応する開口領域を除いて配置され、その開口領域にはAR膜19が配置され、入射光量を増大させるのがよい。また実装面側では、p型領域5に接触して、入射光の妨げにならないことに配慮することなくほぼ全面的に、p部電極15aが設けられ、その上にp部電極パッド15bが設けられる。
上記の構成においても、高いキャリア濃度のバッファ層2、低いキャリア濃度で、大きい厚みの受光層3により、2次相互変調歪を抑制し、端子間素子容量を抑制することができる。さらに、p部電極15aを大面積で形成することにより、接触抵抗を減らすことができる。また、図1の半導体受光素子に比べて、構造が簡単である。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における半導体受光素子10を示す図である。本実施の形態における半導体受光素子10は、実施の形態1に比べて、n部電極16がバッファ層2上に位置している点に特徴がある。(1)InPバッファ層2のキャリア濃度および厚み、(2)InGaAs受光層3のキャリア濃度および厚み、(3)InP窓層のキャリア濃度および厚み、(4)p型領域のキャリア濃度、(5)InGaAsコンタクト層13、(6)厚み3μm以上のポリイミド樹脂14上へのp部電極パッド15bの配置、(7)拡散遮蔽領域18、などは、図1に示した受光素子の構成と同じであり、その作用も同様である。図4の光入射面(p型領域5の表面)にはAR膜を配置してもよく、これにより受光層3に至る光量をより多くすることができる。
バッファ層2の上面に位置するn部電極16は、高キャリア濃度のバッファ層2に接触するため接触抵抗を低くすることができる。さらに半導体基板1という厚い部分を介在させずに、n部電極16/バッファ層2/InGaAs受光層3/p型領域5/InGaAsコンタクト層13/p部電極15aという、電気的構造のもとで電圧を加えることになる。このため、同じ電圧供給装置の下、図1の構造よりも、より一層高い電圧を空乏層に印加でき、空乏層における空間電荷効果の影響を、より確実に小さくすることができ、2次相互変調歪をより一層抑えることができる。
上記のn部電極16をバッファ層2上に配置した効果に加えて、図1の半導体受光素子について説明した各部分の作用を得ることができる。すなわち、(1)バッファ層2の高いキャリア濃度、(2)InGaAs受光層3の低いキャリア濃度および大きな厚み、(4)p型領域の高いキャリア濃度、(5)InGaAsコンタクト層13、(6)厚み3μm以上のポリイミド樹脂14上へのp部電極パッド15bの配置、(7)拡散遮蔽領域、に起因する、図1の半導体受光素子と同じ作用を得ることができる。
図5は、本発明の実施の形態2の受光素子の変形例を示す図である。図4に示す半導体受光素子10は、エピタキシャル層アップの姿勢で実装され、エピタキシャル層側から入射光を受けるが、図5では、エピタキシャル層ダウン実装され、InP基板の裏面にて、入射光を受ける。図5の受光素子10の構成は、光入射面、電極配置、電極パッド配置、コンタクト層、拡散遮蔽領域などを除いて、図4の半導体受光素子と同じである。p型電極パッドを厚み3μm以上のポリイミド樹脂の上に配置してもよいし、InGaAsコンタクト層を介在させてp部電極をp型領域に電気的に接続してもよいし、また拡散遮蔽領域を設け、その拡散遮蔽領域をよりバッファ層側に深く設けてもよい。
上記の本実施の形態における半導体受光素子は、高いキャリア濃度のバッファ層2のために空間電荷効果または2次相互変調歪を抑制でき、InGaAs受光層の低いキャリア濃度のために2次相互変調歪を抑制でき、InGaAs受光層の大きい厚みのために厚い空乏層を形成できて量子効率および端子間容量を改善できる。さらにInGaAsコンタクト層を用い、またp部電極およびn部電極に上記特定材料を用いることにより、接触抵抗を減らして、光電変換部への電圧印加を実効的に向上させることができる。さらにp部電極パッドを厚み3μm以上のポリイミド樹脂層の上に配置することにより、電極パッドに伴う寄生容量を低減することができる。
図5の半導体受光素子では、InP基板1の裏面にn部電極16が、p型領域に対応する開口領域を除いて配置され、その開口領域にはAR膜19が配置され、入射光量を増大させるのがよい。また実装面側では、p型領域5に接触して、入射光の妨げにならないことに配慮することなくほぼ全面的に、p部電極15aが設けられ、その上にp部電極パッド15bが設けられる。
上記の構成においても、高いキャリア濃度のバッファ層2、低いキャリア濃度で、大きい厚みの受光層3により、2次相互変調歪を抑制し、端子間素子容量を抑制することができる。さらに、p部電極15aを大面積で形成することにより、接触抵抗を減らすことができる。また、図4の半導体受光素子に比べて、構造が簡単である。
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の半導体受光素子では、高キャリア濃度のバッファ層により2次相互変調歪を抑制しすることができ、さらに低キャリア濃度で大きい厚みのInGaAs受光層を用いることにより量子効率および素子容量を改善することができる。またInGaAsコンタクト層や厚いポリイミド層をp部電極パッド下に配置することにより、さらに2次相互変調歪および素子容量を低減することが可能となる。これらの改良により、光通信分野とくにアナログ伝送分野での大きな貢献が期待される。
本発明の実施の形態1における半導体受光素子を示す図である。 図1の半導体受光素子における各部分の作用を説明するための図面である。 本発明の実施の形態1における半導体受光素子の変形例を示す図である。 本発明の実施の形態2における半導体受光素子を示す図である。 本発明の実施の形態2における半導体受光素子の変形例を示す図である。
符号の説明
1 InP基板、2 InPバッファ層、3 InGaAs受光層、4 InP窓層、5 p型領域、10 半導体受光素子(フォトダイオード)、12 保護膜、13 InGaAsコンタクト層、14 ポリイミド層、15a p部電極、15b p部電極パッド、16 n部電極、18 拡散遮蔽領域、19 AR膜、21 pn接合、25 空乏層。

Claims (8)

  1. 基板上に位置するn型バッファ層と、該バッファ層上に位置するn型InGaAs受光層と、前記InGaAs受光層上に位置するn型窓層と、前記n型窓層から前記InGaAs受光層に届くように形成されたp型領域と、前記p型領域に電気的に接続されるp部電極とを備えるアナログ伝送用のIII−V族化合物半導体の受光素子において、
    前記バッファ層のn型キャリア濃度が1.0×1017cm−3以上であることを特徴とする、半導体受光素子。
  2. 前記InGaAs受光層は、厚み2.5μm〜2.9μmで、n型キャリア濃度5×1015cm−3以下であることを特徴とする、請求項1に記載の半導体受光素子。
  3. 前記p型領域上に位置するInGaAsコンタクト層を備え、前記p部電極はそのInGaAsコンタクト層上に位置することを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体受光素子。
  4. 前記p部電極の電極パッドは、厚み3μm以上の樹脂層上に配置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体受光素子。
  5. 前記p型領域を囲むように位置するp型の拡散遮蔽領域を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体受光素子。
  6. 前記p部電極が、Au/Zn/Au/Ti/Auから形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体受光素子。
  7. 前記p部電極との間に前記InGaAs受光層を電気的に挟むように位置するn部電極が、AuGeNiから形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体受光素子。
  8. 前記p型領域の表面側または前記p型領域と反対側の基板裏面側に、反射防止膜を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の半導体受光素子。
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