JPH09232619A - 半導体受光素子 - Google Patents

半導体受光素子

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JPH09232619A
JPH09232619A JP8324245A JP32424596A JPH09232619A JP H09232619 A JPH09232619 A JP H09232619A JP 8324245 A JP8324245 A JP 8324245A JP 32424596 A JP32424596 A JP 32424596A JP H09232619 A JPH09232619 A JP H09232619A
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JP
Japan
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layer
type
light
wavelength
semiconductor
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Application number
JP8324245A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Nishikata
一昭 西片
Masanori Irikawa
理徳 入川
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光吸収層とp型半導体層との界面における正
孔のパイルアップ現象を防止し、歪みのない信号電流が
得られる半導体受光素子を提供する。 【解決手段】 光吸収層と、この光吸収層に隣接するp
型半導体層との価電子帯の準位の差を0.05eV以下
にする。特に基礎吸収端波長が1.65〜1.55μmの
GaInAsP層を光吸収層とし、基礎吸収端波長が1.5
5〜1.30μmのp型AlGaInAs層を上記光吸収層
に接するp型半導体層とすることで、波長1.55μm
の光を高感度に、リニアリティ良く検出し得る導波路型
の半導体受光素子を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、受光量に対する
信号電流のリニアリティが高く、広帯域化と高速化を図
った半導体受光素子に関する。特に光吸収層とこの光吸
収層に接するp型半導体層との界面における正孔のパイ
ルアップ現象を防止して信号電流の歪みをなくした半導
体受光素子に関する。
【0002】
【関連する背景技術】PIN構造の半導体受光素子は、
p型の半導体層とn型の半導体層との間に、キャリア濃
度の低いi型の半導体層を挟んだ多層膜構造を持つ。特
に導波路型の半導体受光素子は、例えば図8に示すよう
に、n型のInP基板11上に、n型InP層12,n型
GaInAsP層13,InGaAs層14,p型GaInAs
P層15,p型InP層16、そしてp+型GaInAs層
19を順に結晶成長させて実現される。この半導体受光
素子の正電極17は上記p+型GaInAs層19の上に形
成され、負電極18はn型InP基板11の下面(裏
面)に形成される。ちなみに正電極は17にはTi/Pt
/Auが用いられ、また負電極18にはAu-Ge-Ni/A
uが用いられる。
【0003】ところで前記InGaAs層14は、受光す
るに十分な光の基礎吸収端波長を持ち、それに応じて決
定された禁制帯幅の低不純物濃度の半導体層で、光吸収
層として機能する。またこの光吸収層に接するn型Ga
InAsP層13およびp型GaInAsP層15は光閉じ
込め層をなすもので、入射光を光吸収層に効率よく導く
ために、その屈折率が光吸収層より低く、入射光を吸収
することのない半導体として、上記のGaInAsPが用
いられる。更にn型InP層12およびp型InP層16
はクラッド層で、入射光を光吸収層と光閉じ込め層とに
効率よく閉じ込めて光吸収を促進する役割を果たす。こ
の為、クラッド層には光吸収層の屈折率よりも小さい屈
折率を持つ半導体として、上記のInPが用いられる。
【0004】上記構造の半導体受光素子は、前記正電極
17と負電極18との間に逆バイアス電圧を印加し、前
記光吸収層内に空乏層を形成した状態で用いられる。こ
の状態で半導体受光素子の端面に光Lを照射すると、こ
の光Lは前記光吸収層と光閉じ込め層とからなるコア層
に導かれて上記光吸収層内に入り込む。すると光吸収層
における空乏層において、光のエネルギを吸収して光電
変換が生じ、光量に応じた信号電荷が発生する。この信
号電荷が、前記正電極17と負電極18を介して信号電
流として出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記信号電荷
の内、特に質量の大きい正孔は、正電極17に到達する
までに、例えば導波路層であるp型GaInAsP層15
とクラッド層であるp型InP層16とにおける禁制帯
の差が大きいとき、その界面において不要な蓄積する。
更には導波路であるp型GaInAsP層15と光吸収層
であるInGaAs層14とにおける禁制帯の差が大きい
とき、その界面においても発生する。この正孔の不要な
蓄積(パイルアップ現象)は、前記信号電流を歪ませる
原因となる。但し、信号電荷の内、電子は質量が小さい
ので、信号電流の歪みには殆ど影響しない。
【0006】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たもので、その目的は、光吸収層とこの光吸収層に隣接
するp型半導体層との界面における正孔の不要な蓄積
(パイルアップ現象)を防止し、受光信号に忠実な(リ
ニアリティの高い)信号電流、つまり歪みのない信号電
流を得ることのできる半導体受光素子を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
べく、本発明に係る半導体受光素子は、信号電流の歪み
の原因となる、前記光吸収層とp型半導体層(導波路
層)との界面における禁制帯の差が、該光吸収層と導波
路層とにおける価電子帯の準位の差に大きく依存するこ
とに着目し、光吸収層の価電子帯の準位と、この光吸収
層に接するp型半導体層の価電子帯の準位との差を0.
05[eV]以下にしたことを特徴としている。
【0008】即ち、本発明は常温において正孔が持つエ
ネルギの分布の幅が、ボルツマン定数kと温度Tとの積
で示される常温での熱エネルギ、約0.025[eV]の
約2倍であることに着目し、前記光吸収層とp型半導体
層とにおける価電子帯の準位の差を0.05[eV]以下
に設定することで、例えばバイアス電圧が加えられない
状態においても、熱エネルギによって正孔の伝導が行わ
れるようにし、その界面における正孔のパイルアップ現
象の発生を防止することを特徴としている。
【0009】特に前記光吸収層をなす半導体として低不
純物濃度のGaInAsPを用い、また上記p型半導体層
としてp型AlInAsPを用いることで上記各層の価電
子帯の準位を等しくし、或いは上記各層の価電子帯の準
位の差を実質的に無視できる程度に小さくし、その界面
において正孔のパイルアップ現象を防ぐようにしたこと
を特徴としている。
【0010】望ましくは前記光吸収層を基礎吸収端波長
が1.65〜1.55μmであるGaInAsP層とし、前
記p型半導体層を基礎吸収端波長が1.55〜1.30μ
mで、且つ光吸収層の吸収端波長よりも短く設定したp
型AlGaInAs層とすることで、波長1.55μmの光
を高感度に、リニアリティ良く検出することを特徴とし
ている。或いは前記光吸収層を基礎吸収端波長が1.5
6〜1.36μmであるGaInAsP層とし、前記p型半
導体層を基礎吸収端波長が1.30〜1.14μmのp型
AlGaInAs層とすることで、波長1.3μmの光を高
感度に、リニアリティ良く検出することを特徴としてい
る。
【0011】より具体的には本発明は、n型のInP基
板上に格子整合させて形成したn型のInP層またはn
型のAlInAs層からなるn側のクラッド層と、このn
側のクラッド層上に格子整合させて形成したn型のGa
InAsP層またはn型のAlGaInAs層からなり、波長
1.55μm(または1.3μm)の光を吸収することの
ないn側の導波路層と、このn側の導波路層上に格子整
合させて形成したノンドープまたはn型の低濃度ドープ
のGaInAs層またはGaInAsP層からなり、波長1.
55μm(または1.3μm)の光を吸収する光吸収層
と、この光吸収層上に格子整合させて形成したp型のG
aInAsP層またはp型のAlGaInAs層からなり、波
長1.55μm(または1.3μm)の光を吸収すること
のないp側の光閉じ込め層と、このp側の光閉じ込め層
上に格子整合させて形成したp型のInP層またはp型
のAlInAs層からなり、波長1.55μm(または1.
3μm)の光を吸収することのないp側クラッド層とを
備えた導波路型の半導体受光素子を実現するものであ
る。
【0012】更に本発明は、n型のInP基板上に設け
たノンドープまたはn型の低濃度ドープのGaInAs層
またはGaInAsP層からなる光吸収層と、この光吸収
層上に形成した基礎吸収端波長が1.55〜1.14μm
のAlGaInAs層と、このAlGaInAs層内にp型不純
物の拡散または打ち込みドーピングにより形成したp型
領域とを備えた面受光型の半導体受光素子を実現するも
のである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態に係る半導体受光素子について説明する。この
実施形態に係る導波路型の受光素子は、図1に示すよう
な多層膜構造をなす。この素子構造についてその製作過
程と共に説明すると、波長1.55μmの光を検出する
受光素子を実現する場合には、先ず第1段階として有機
金属気相成長(MOCVD)法を用いて、図2に示すよ
うに、キャリア濃度が4×1018cm -3のn型のInP
基板1上に、キャリア濃度が1×1018cm-3のn型の
InP層からなるn側クラッド層2を結晶成長させる。
更にその上にキャリア濃度が1×1018cm-3で、基礎
吸収端波長が1.3μmのn型のGaInAsP層からなる
n側導波路層3を結晶成長させる。更にその上にノンド
ープまたは不純物を低濃度にドープした半導体として、
基礎吸収端波長が1.6μmのGaInAsP層からなる光
吸収層4を結晶成長させる。
【0014】これらの各層の膜厚は、例えば上記n側ク
ラッド層2を0.5μmに、n側導波路層3を1μm
に、また光吸収層4を0.1μmとして形成する。但
し、上記n側導波路層3の光吸収層4に接する厚み0.
4μm程度の領域を、ノンドープとすることが望まし
い。次いで図2に示した半導体層の積層体上に、第2段
階として分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、図
3に示すように、先ずキャリア濃度が1×1018cm-3
で、基礎吸収端波長が1.4μmのp型のAlGaInAs
層からなるp側導波路層5を結晶成長させる。その上
に、キャリア濃度が1×1018cm-3のp型のAlInA
s層からなるp側クラッド層6を結晶成長させ、更にそ
の上にキャリア濃度が2×1019cm-3のp型GaInA
s層からなるコンタクト層7を結晶成長させる。
【0015】これらの各層の膜厚は、例えば前記p側導
波路層5を2μmに、p側クラッド層6を2μmに、そ
してコンタクト層7を0.4μmとして形成する。但
し、上記p側導波路層5の光吸収層4に接する厚み0.
4μm程度の領域を、ノンドープとすることが望まし
い。この第2段階でMBE法を用いるのは、前述したM
OCVD法に比較して急峻なヘテロ界面を形成可能なこ
と、またモノレイヤー・レベルまで膜厚制御が可能なこ
とを利用して、前記光吸収層4との格子整合が良好で特
性の優れた半導体層、特に前記p側導波路層5、更には
p側クラッド層6を成長させる為である。
【0016】しかる後、第3段階としてリソグラフィ法
を用いて、図4に示すように、例えば長さ200μmの
ストライプ状の素子領域を残して、前記コンタクト層
7、p側クラッド層6、p側導波路層5、光吸収層4、
そしてn側導波路層3の上半分を順に除去する。次いで
前記ストライプ領域の両側に、例えばポリイミド膜から
なる絶縁膜8を形成する。更に前記ストライプ領域の前
記コンタクト層7上に、レジストマスク(図示せず)を
形成し、このレジストマスクを用いて前記絶縁膜8の前
記ストライプ領域の上部に開口部を設ける。そしてこの
ような絶縁膜8を形成した後、前記レジストマスクを除
去する。
【0017】次いで前記ストライプ領域のコンタクト層
7上と、その両側の絶縁膜8上にTi/Pt/Au層から
なる正電極9を形成する。また前記n型のInP基板1
の裏面側を研磨してその厚みを100μm程度にした
後、該InP基板1の裏面にAu-Ge-Ni/Au層からな
る負電極10を形成する。その後、前記ストライプ領域
の中央を劈開し、素子分離して図1に示すような素子構
造の半導体受光素子が完成される。
【0018】ところで上述した如くして製造される半導
体受光素子の、光吸収層等を構成する半導体層の吸収端
波長は、その半導体層の禁制帯幅と密接に関係してい
る。そして半導体層の吸収端波長はプランク定数h(=
6.6256×10-34 J・s)を、該半導体層の禁制帯幅で除し
た値として求められる。従って光吸収層4や、n側導波
路層3およびp側の導波路層5としてそれぞれ成長させ
る半導体層の種類は、上記各層が必要とする吸収端波長
が決定されたとき、その吸収端波長にて前記プランク定
数を除算して求められる禁制帯幅を有し、且つ格子整合
性の良い組成の半導体として決定される。この例では、
前述した如く光吸収層4をなす半導体層としてGaInA
sP、またn側およびp側の導波路層3,5をなす半導
体層としてAlGaInAsが決定される。
【0019】また上記光吸収層4をなすGaInAsP層
と、導波路層3,5をなすAlGaInAs層との界面にお
けるバンドダイヤグラム、つまり上記各半導体層の禁制
帯幅とその価電子帯の準位について検討したところ、次
のような結果を得た。この検討は、計算機によるシミュ
レーションと、フォトルミネッセンスを用いた量子井戸
からの発光実験結果に基づいて行った。
【0020】この検討結果について簡単に説明すると、
AlGaInAs層の禁制帯幅を0.95[eV]に固定し、
AlGaInAs層に格子整合したGaInAsP層の禁制帯
幅を0.75[eV]から1.3[eV]まで変化させたと
き、これらのAlGaInAs層とGaInAsP層とのバン
ドダイヤグラムは、図5(a)〜(e)に示すように変化し
た。但し、図5(a)〜(e)はポテンシャルのノッチ等を
省略して、AlGaInAs層およびGaInAsP層におけ
る価電子帯および伝導帯の準位とを示してある。
【0021】図5(a)に示すように、GaInAsP層の
バンドギャップエネルギが小さいときには[ Eg1 >
Eg2 ]、AlGaInAs層の価電子帯の準位Ev1と、Ga
InAsP層の価電子帯の準位Ev2とは、[ Ev1 > Ev
2 ]となっている。しかしGaInAsP層のバンドギャ
ップエネルギが大きくなると、図5(b)に示すように価
電子帯の準位の差ΔEvが次第に小さくなり、或る条件
で上記差ΔEv(=Ev1−Ev2)が零[0]となる。
【0022】この状態から更に前記GaInAsP層のバ
ンドギャップエネルギを大きくして[ Eg1 = Eg2 ]
となると、図5(c)に示すように各層の価電子体の準位
が[Ev1 < Ev2 ]となる。更にGaInAsP層のバン
ドギャップエネルギを大きくすると、図5(d)に示すよ
うに、今度は伝導帯の準位が等しくなる[ Ec1 =Ec2
]。そして更に前記GaInAsP層のバンドギャップエ
ネルギを大きくすると[ Eg1 < Eg2 ]、図5(e)に
示すようにGaInAsP層の伝導帯の準位がAlGaInA
s層の伝導帯の準位よりも高くなり[ Ec1 < Ec2
]、同時に各層の価電子帯の準位が[ Ev1 > Ev2
]となる。
【0023】図6は前記AlGaInAs層の価電子帯の準
位Eg1と、GaInAsP層の価電子帯の準位Eg2とが等
しくなり、図5(b)に示したようにその準位の差ΔEv
が零[0]となるときの上記AlGaInAs層およびGa
InAsP層の禁制帯幅(バンドギャップ・エネルギ)、
ひいてはその基礎吸収端波長の関係を示している。前述
した如くして製造される半導体受光素子は、この図6に
示す関係に基づいて、光吸収層4をなすGaInAsP層
と、p側の導波路層5をなすp型AlGaInAs層との各
吸収端波長、或いはその価電子帯の準位を定めている。
そして有効質量の重い正孔が、価電子帯の準位差に起因
するポテンシャル・ノッチによって伝導障害を受け、そ
の界面において不要な蓄積しないようにしている。
【0024】かくして前述したようにして製造される半
導体受光素子は、光吸収層4の吸収端波長が1.6μm
のi型GaInAsP層であり、またこの光吸収層4に隣
接するp側導波路層5が、吸収端波長1.45μmのp
型AlGaInAs層からなり、前記InP基板1に格子整
合している。そして図6に示す関係から明らかなよう
に、吸収端波長が1.6μmのi型GaInAsP層からな
る光吸収層4の価電子帯の準位と、吸収端波長1.45
μmのp型AlGaInAs層からなるp側導波路層5の価
電子帯の準位とが、ほぼ等しく設定されている。
【0025】従って光が導入された光吸収層4におい
て、該光のエネルギを受けて生じる光電変換によって生
起された電荷の内、質量の重い正孔は、p側導波路層5
との界面の影響を受けることなしに、p側導波路層5か
らp型クラッド層6へと移動する。つまり正孔は、光吸
収層4とp側導波路層5との界面において、その移動が
妨げられることなく、つまり正孔は、パイルアップ現象
を生じることなく移動する。この結果、電極9,10を
介して出力される信号電流に歪みが生じることがなく、
受光量に対してリニアリティの良い信号電流を得ること
が可能となる。
【0026】具体的には、このようにして製作した導波
路型受光素子における波長1.55μmの光に対する変
調歪を測定し、その特性を評価した。この測定は−5V
のバイアス電圧を印加した導波路型受光素子を、8°に
カットした光ファイバーの端面に10μmの距離まで近
付けて、光2トーン法(光ヘテロダイン法)により行っ
た。このときの測定条件は、変調周波数が250MHz
と244MHz、変調度が70%である。このとき平均
入力電力0dBmにおいて、2次相互変調歪が−80d
Bc、また3次相互変調歪が−110dBcと、極めて
良い値を示すことが確認できた。この測定結果は、従来
の一般的な導波路型受光素子に比較して20dBc程度
の改善効果があることを示している。
【0027】一方、本発明の別の実施形態として、波長
1.3μmの光を検出する受光素子を実現するべく、前
述した光吸収層4として、基礎吸収端波長が1.46μ
mのi型GaInAsP層を成長させた。またこの光吸収
層4に隣接するp側導波路層5として、基礎吸収端波長
が1.15μmのp型AlGaInAs層を成長させた。但
し、その他の半導体層については前述した実施形態と同
様にした。
【0028】このような光吸収層4とp側導波路層5と
を備えた導波路型受光素子においては、図6に示すよう
に基礎吸収端波長が1.46μmのi型GaInAsP層か
らなる光吸収層4の価電子帯の準位と、基礎吸収端波長
1.15μmのp型AlGaInAs層からなるp側導波路
層5の価電子帯の準位がほぼ等しくなる。従ってこの波
長1.3μm用の導波路型受光素子でも、光吸収層4と
p側導波路層5との界面における正孔のパイルアップ現
象が生じることがない。そして受光量に対してリニアリ
ティ性が高く、歪みのない信号電流が得られた。具体的
には上記導波路型受光素子における波長1.3μmの光
に対する変調歪を、先の実施形態と同様にして調べた。
そして測定条件を同じくしたとき、2次相互変調歪が−
90dBc、また3次相互変調歪が−105dBcと、
極めて良い値を示すことが確認できた。
【0029】また本発明の更に別の実施形態として、波
長1.5μmの光を検出する受光素子を実現するべく、
前述した光吸収層4として基礎吸収端波長が1.65μ
mのi型GaInAsP層を成長させた。またこの光吸収
層4に隣接するp側導波路層5として、基礎吸収端波長
が1.45μmのp型AlGaInAs層を成長させた。但
し、その他の半導体層については前述した実施形態と同
様にした。
【0030】この場合、図6に示すように基礎吸収端波
長が1.65μmのi型GaInAsP層からなる光吸収層
4の価電子帯の準位と、基礎吸収端波長1.45μmの
p型AlGaInAs層からなるp側導波路層5の価電子帯
の準位に若干のずれが生じたが、その準位の差は僅かで
あることから、光吸収層4とp側導波路層5との界面に
おける正孔のパイルアップ現象が大幅に抑圧された。こ
の結果、受光量に対して殆ど歪みを生じることのない信
号電流が得られた。
【0031】ところで本発明は、上述した各実施形態に
示すような導波路型の受光素子のみならず、面受光型
(面入射型)の受光素子にも適用可能である。即ち、導
波路型受光素子は、結晶成長させた半導体層に対して平
行に光を導入し、その入射光を導波しながら光吸収を行
うので、局地的な光吸収の集中が起きにくく、歪みが小
さいと言う利点を持つ。また光電変換により生起された
キャリアの走行距離が短いので、この点でも歪みが小さ
いと言う利点を持つ。
【0032】しかし光吸収層の厚さを、その受光感度が
劣化しない程度まで薄くしてキャリアの走行距離を短く
し、また光の入射範囲をできるだけ広くすれば、高感度
な面入射型の受光素子を実現できる。この場合にも、光
吸収層に接するp側の半導体層として、前述したように
その価電子帯の準位の差が殆どないものとすれば、前述
した各実施形態と同様にして正孔の流れを妨げの要因を
除き、信号電流の歪を抑制することができる。
【0033】図7は本発明を面入射型の半導体受光素子
に適用した実施形態を示している。この受光素子は、第
1段階としてキャリア濃度が4×1018cm-3のn型I
nP基板21上に、キャリア濃度が1×1018cm-3
n型InPバッファ層22、キャリア濃度が1×1015
cm-3のn型GaInAs光吸収層23、キャリア濃度が
1×1017cm-3で、吸収端波長が1.45μmのn型
AlGaInAs低歪挿入層24、キャリア濃度が1×10
17cm-3のn型InPキャップ層25を順に結晶成長さ
せて製造される。尚、これらの各層の結晶成長は、MO
CVD法によりn型InP基板21に対して格子整合さ
せながら行われる。また上記各層の膜厚は、例えば上記
n型InPバッファ層22は0.5μm、n型GaInAs
光吸収層23は2μm、n型AlGaInAs低歪挿入層2
4は0.5μm、そしてn型InPキャップ層25は3n
mである。
【0034】しかる後、第2段階として上記の半導体多
層膜の、例えばn型GaInAs光吸収層23の途中位置
までp型の不純物としてZnを拡散し、その拡散領域を
p型に反転させてp型Zn拡散領域26とする。次いで
前記半導体多層膜の上にSiN膜をパッシベーション膜
27として設ける。そして前記p型Zn拡散領域26上
に位置するパッシベーション膜27を、例えばリング状
に除去し、その除去領域上にリング状の正電極28を形
成する。このリングの直径は、例えば50μmであり、
正電極28としてはTi/Pt/Auが用いられる。その
後、前記n型InP基板21を厚さ120μm程度に研
磨して板厚調整し、その裏面に負電極29を形成する。
負電極29としては、Au-Ge-Ni/Auが用いられる。
【0035】かくしてこのようにして製造される面入射
型の半導体受光素子によれば、n型InPキャップ層2
5は、n型AlGaInAs低歪挿入層24に対する酸化防
止層として機能する。しかしn型InPキャップ層25
の膜厚が3nmと非常に薄いので、受光感度の低下や電
流電圧特性の劣化、更には変調歪増加の原因とはならな
い。
【0036】ちなみにこの受光素子の上面から光を入射
したところ、波長1.0μm〜1.6μmの範囲の光に対
して、0.9 A/W 以上の受光感度が得られた。特に
n型GaInAs光吸収層23で発生した電荷が伝導する
際、n型AlGaInAs低歪挿入層24での表面再結合電
流の発生が抑制されるので、波長の低い光に対してまで
も高い受光感度が得られた。
【0037】この面入射型の受光素子に対して、8°カ
ットの光ファイバーからの光をレンズを介して集光して
照射し、その特性試験を行った。この際、意図的にその
焦点をずらして直径50μmの前記リング領域内の全体
に、一様に光が照射されるようにした。そして−10V
のバイアス電圧を印加し、前述した実施形態の場合と同
様な測定条件にて変調歪を計測したところ、平均入力電
力0dBmにおいて、2次相互変調歪が−75dBc、
また3次相互変調歪が−100dBcと、極めて良い値
を示すことが確認できた。
【0038】尚、本発明は上述した実施の形態に限定さ
れるものではない。実施の形態においては、MOCVD
法やMBE法を用いて半導体層を形成したが、ガスソー
スMBE法や、CBE(ケミカル・ビーム・エピタキ
シ)法を用いて半導体層を成長させるようにしても良
い。特にMOCVD法で全ての半導体層を一度に成長さ
せるようにしても良い。この場合には、クラッド層とし
てInP層を用いることが望ましい。また光吸収層とし
てノンドープまたは低濃度ドープのGaInAsを用いる
ことも可能であり、更には光吸収層に接するp側半導体
層としてAlGaInAsを用いることも可能である。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、光
吸収層と、この光吸収層に隣接するp型半導体層(導波
路層)との価電子帯の準位の差を0.05[eV]以下に
し、また前記光吸収層をなす半導体として低不純物濃度
のGaInAsPを用い、また上記p型半導体層としてp
型AlInAsPを用いているので、上記各層の界面にお
いて正孔のパイルアップ現象を防ぐことができ、歪みの
ない信号電流を得ることができる。
【0040】特に基礎吸収端波長が1.65〜1.55μ
mのGaInAsP層を光吸収層とし、基礎吸収端波長が
1.55〜1.30μmのp型AlGaInAs層を上記光吸
収層に接するp型半導体層とすることで、波長1.55
μmの光を高感度に、リニアリティ良く検出し得る導波
路型の半導体受光素子を実現することができ、また基礎
吸収端波長が1.56〜1.36μmであるGaInAsP
層を光吸収層をとし、基礎吸収端波長が1.30〜1.1
4μmのp型AlGaInAs層をp型半導体層をとするこ
とで、波長1.3μmの光を高感度に、リニアリティ良
く検出し得る導波路型の半導体受光素子を実現すること
ができた。
【0041】更に本発明によれば、n型のInP基板上
に設けたノンドープまたはn型の低濃度ドープのGaIn
As層またはGaInAsP層からなる光吸収層に基礎吸収
端波長が1.55〜1.14μmのAlGaInAs層を形成
し、このAlGaInAs層内にp型不純物の拡散または打
ち込みドーピングによりp型領域を形成することで、リ
ニアリティの高い面受光型の半導体受光素子を実現する
ことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体受光素子の構
造を示す図。
【図2】図1に示す半導体受光素子の製造過程における
第1段階の状態を示す図。
【図3】図1に示す半導体受光素子の製造過程における
第2段階の状態を示す図。
【図4】図1に示す半導体受光素子の製造過程における
第3段階の状態を示す図。
【図5】AlGaInAs層の禁制帯幅を0.95[eV]に
固定し、AlGaInAs層に格子整合したGaInAsP層
の禁制帯幅を0.75[eV]から1.3[eV]まで変化さ
せたときの、上記AlGaInAs層とGaInAsP層との
禁制帯幅とその価電子帯の準位とを示すバンドダイヤグ
ラム。
【図6】GaInAsPおよびAlGaInAsの禁制帯幅と
吸収端波長との関係、更にGaInAsPおよびAlGaIn
Asの価電子帯の準位が同じくなる条件を示す図。
【図7】本発明の別の実施形態に係る半導体受光素子の
構造を示す図。
【図8】従来一般的な半導体受光素子の構造を示す断面
図。
【符号の説明】
1 InP基板 2 n側クラッド層(n型のInP層) 3 n側導波路層(n型のGaInAsP層) 4 光吸収層(GaInAsP層) 5 p側導波路層(p型のAlGaInAs層) 6 p側クラッド層(p型のAlInAs層) 7 コンタクト層(p型GaInAs層) 8 絶縁膜(ポリイミド膜) 9 正電極(Ti/Pt/Au層) 10 負電極(Au-Ge-Ni/Au層) 21 n型InP基板 22 n型InPバッファ層 23 n型GaInAs光吸収層 24 n型AlGaInAs低歪挿入層 25 n型InPキャップ層 26 p型Zn拡散領域 27 パッシベーション膜(SiN膜) 28 正電極(Ti/Pt/Au) 29 負電極(Au-Ge-Ni/Au)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GaInAsP層からなる光吸収層と、こ
    の光吸収層に隣接するp型のAlGaInAs層からなるp
    型半導体層とを備えたことを特徴とするPIN構造の半
    導体受光素子。
  2. 【請求項2】 GaInAsP層からなる光吸収層の価電
    子帯と準位と、この光吸収層に隣接するp型のAlGaI
    nAs層からなるp型半導体層の価電子帯の準位の差が
    0.05eVよりも小さく設定されていることを特徴と
    する請求項1に記載の半導体受光素子。
  3. 【請求項3】 前記光吸収層は、基礎吸収端波長が1.
    65〜1.55μmのGaInAsP層からなり、前記p型
    半導体層は、基礎吸収端波長が1.55〜1.30μm
    で、且つ前記光吸収層の基礎吸収端波長よりも短い基礎
    吸収端波長のp型のAlGaInAs層からなることを特徴
    とする請求項2に記載の半導体受光素子。
  4. 【請求項4】 前記光吸収層は、基礎吸収端波長が1.
    56〜1.36μmのGaInAsP層からなり、p型半導
    体層は、基礎吸収端波長が1.30〜1.14μmである
    p型のAlGaInAs層からなることを特徴とする請求項
    2に記載の半導体受光素子。
  5. 【請求項5】 導波路型構造をなすことを特徴とする請
    求項1乃至4のいずれかに記載の半導体受光素子。
  6. 【請求項6】 n型のInP基板と、 このn型のInP基板上に格子整合させて形成したn型
    のInP層またはn型のAlInAs層からなるn側のクラ
    ッド層と、 このn側のクラッド層上に前記n側のInP基板に格子
    整合させて形成したn型のGaInAsP層またはn型の
    AlGaInAs層からなり、波長1.55μmの光を吸収
    することのないn側の導波路層と、 このn側の導波路層上に格子整合させて形成したノンド
    ープまたは低濃度ドープのGaInAs層またはGaInAs
    P層からなり、波長1.55μmの光を吸収する光吸収
    層と、 この光吸収層上に格子整合させて形成したp型のGaIn
    AsP層またはp型のAlGaInAs層からなり、波長1.
    55μmの光を吸収することのないp側の導波路層と、 このp側の導波路層上に格子整合させて形成したp型の
    InP層またはp型のAlInAs層からなり、波長1.5
    5μmの光を吸収することのないp側クラッド層とを具
    備し、上記各層と平行に光を入射することを特徴とする
    導波路型の半導体受光素子。
  7. 【請求項7】 n型のInP基板と、 このn型のInP基板上に格子整合させて形成したn型
    のInP層またはn型のAlInAs層からなるn側のクラ
    ッド層と、 このn側のクラッド層上に格子整合させて形成したn型
    のGaInAsP層またはn型のAlGaInAs層からな
    り、波長1.3μmの光を吸収することのないn側の導
    波路層と、 このn側の導波路層上に前記InP基板と格子整合させ
    て形成したノンドープまたは低濃度ドープのGaInAs
    層またはGaInAsP層からなり、波長1.3μmの光を
    吸収する光吸収層と、 この光吸収層上に格子整合させて形成したp型のGaIn
    AsP層またはp型のAlGaInAs層からなり、波長1.
    3μmの光を吸収することのないp側の導波路層と、 このp側の導波路層上に格子整合させて形成したp型の
    InP層またはp型のAlInAs層からなり、波長1.3
    μmの光を吸収することのないp側クラッド層とを具備
    し、上記各層と平行に光を入射することを特徴とする導
    波路型の半導体受光素子。
  8. 【請求項8】 n型のInP基板と、 このn型のInP基板上に設けたノンドープまたはn型
    の低濃度ドープのGaInAs層またはGaInAsP層から
    なる光吸収層と、 この光吸収層上に形成した、吸収端波長が1.55〜1.
    14μmのAlGaInAs層と、 このAlGaInAs層内にp型不純物の拡散または打ち込
    みドーピングにより形成されたp型領域とを具備し、上
    記各層に光を面入射することを特徴とする請求項1乃至
    4に記載の半導体受光素子。
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JP2008047580A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体受光素子

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