JP2730471B2 - 超格子アバランシェフォトダイオード - Google Patents

超格子アバランシェフォトダイオード

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JP2730471B2 JP5337170A JP33717093A JP2730471B2 JP 2730471 B2 JP2730471 B2 JP 2730471B2 JP 5337170 A JP5337170 A JP 5337170A JP 33717093 A JP33717093 A JP 33717093A JP 2730471 B2 JP2730471 B2 JP 2730471B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信用の超格子アバ
ランシェフォトダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】高速・高感度・高信頼性の光通信システ
ムを構成するには、高速応答、低暗電流、かつ、高信頼
性を有する半導体受光素子が不可欠である。このため、
近年シリカ系光ファイバの低損失波長域1.3〜1.6
μmに適応できるInP/InGaAs系アバランシェ
フォトダイオード(APD)やpinフォトダイオード
(pinPD)の高速化・高感度化に対する研究が活発
となっている。現在、InP/InGaAs系APDで
は、利得帯域幅(GB)積80GHz程度、最大帯域8
GHz程度の高速・高信頼性の素子が実用化されてい
る。
【0003】しかしながら、この素子構造では、アバラ
ンシェ増倍層であるInPのイオン化率比β/α(α:
電子のイオン化率、β:正孔のイオン化率比)が約2と
小さいため、GB積の最大値が80〜100GHz程度
に制限され、また、過剰雑音指数X(イオン化率比が小
さいほど大きくなる)が約0.7と大きくなり、高速化
・低雑音高感度化には限界がある。これは、他のバルク
の3−5族化合物半導体をアバランシェ増倍層に用いた
場合も同様であり、高GB積化(高速応答特性)・低雑
音化を達成するにはイオン化率比α/βを意図的に増大
させる必要がある。
【0004】そこでカパッソ(F.Capasso)等
は、アプライド・フィジックス・レターズ(Appli
ed Physics Letters)1982年、
第40巻、第1号、38〜40頁で超格子による伝導帯
エネルギー不連続量ΔEcを電子の衝突イオン化に利用
してイオン化率比α/βを人工的に増大させる構造を提
案し、実際にGaAs/GaAlAs系超格子でイオン
化率比α/βの増大(バルクGaAsの約2に対して超
格子で約8)を確認した。
【0005】さらに、香川らは、ジャーナル・オブ・ク
ォンタム・エレクトロニクス(Journal of
Quantum Electronics)1992
年、第28巻、第6号、1419〜1423頁で長距離
光通信に用いられる波長1.3〜1.6μm帯に受光感
度を有するInGaAsP/InAlAs系超格子を用
いて同様の構造を形成し、やはりイオン化率比α/βの
増大(バルクInGaAsの約2に対して超格子層で約
10)を報告した。その素子構造を図3に示す。この超
格子構造では伝導帯不連続量ΔEcが0.39eVと価
電子帯不連続量ΔEvの0.03eVより大きく、井戸
層に入ったときバンド不連続により獲得するエネルギー
が電子の方が正孔より大きく、これによって電子がイオ
ン化しきい値エネルギーに達しやすくなることで電子イ
オン化率が増大し、イオン化率比α/βの増大とそれに
よる低雑音化が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の超格子アバランシェフォトダイオードは、メサ側壁
の半導体33,34,35/SiN表面パッシベーショ
ン膜310界面における界面順位、半導体表面の残留酸
化膜・欠陥を介して経時的にリーク電流が発生増大し、
実用的な増倍率領域(10〜20)において暗電流が
0.8〜数μAオーダ程度となり、この暗電流による雑
音増加がイオン化率比改善による低雑音効果を打ち消し
てしまうという欠点を有する。
【0007】また、このパッシベーション界面は従来報
告されているように一般的な信頼性試験の条件(例えば
雰囲気温度200℃、逆方向電流100μAのバイアス
条件)のもとでは経時的に不安定であり、暗電流増加に
よる素子特性の信頼性が十分でないという欠点を有す
る。
【0008】一方、図4に示すように、中村等がプロシ
ーディングス・オブ・ユーロピアン・コンファレンス・
オン・オプティカル・ファイバ・コムニケーション(P
roceedings of European Co
nference on Optical−fiber
Communication)TuC5−4、261
−264頁、1991年で報告したポリイミド膜410
をメサパッシベーション膜に用いた超格子APDの構造
においても、高電界時におけり界面順位、半導体表面の
残留酸化膜・欠陥を介して発生するリーク暗電流・信頼
性の問題は図3の従来例の場合と本質的に同様である。
【0009】他方、図5に示すように、特開平4−10
478号公報に記載されたプレーナ型の素子では、超格
子増倍層55をキャリア濃度1016cm-3以下のp-
のドーピングにより形成しなければならないが、現在用
いられている結晶成長法では、このような低濃度のp型
ドーピングを行ったアルミニウムを含む混晶を結晶性を
損うことなく再現性良く形成することが困難であるとい
う問題がある。
【0010】本発明の目的は、メサ型pn接合フォトダ
イオードで問題となる表面リーク暗電流を低減し低暗電
流で信頼性の高い超格子アパランシェフォトダイオード
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の超格子アバラン
シェフォトダイオードは、高濃度の一導電型InP基板
上に順次積層して形成した高濃度の一導電型バッファ
層、高濃度の一導電型光吸収層、一導電型の電界緩和
層、アンドープもしくは低濃度の逆導電型超格子層、低
濃度の逆導電型キャップ層からなるメサ形の積層構造
と、前記逆導電型キャップ層内に形成した高濃度の逆導
電型拡散領域を有する。
【0012】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0013】図1は本発明の一実施例を示す断面図であ
る。
【0014】図1に示すにうに、p+ 型InP基板11
の上に厚さ0.5μmのp+ 型Inpバッファ層12
(バンドギャップEg1 )と、厚さ1μmでキャリア濃
度約2×1015cm-3のp- 型InGaAs光吸収層1
3(バンドギャップEg2 )と、厚さ0.2μmでキャ
リア濃度約5×1017cm-3のp+ 型InP電界緩和層
14(バンドギャップEg3 )と、厚さ0.23μmで
キャリア濃度約1×1015cm-3のアンドープi型もし
くはn- 型InAlGaAs/InAlAs超格子増倍
層15と、厚さ0.5μmでキャリア濃度約5×1015
cm-3のn型InPキャップ層16(バンドギャップE
4 )と、厚さ0.1μmでキャリア濃度約1×1016
cm-3のn型InGaAsコンタクト層17(バンドギ
ャップEg5 )とを順次ガスソース分子線成長法(ガス
ソースMBE法)により積層して形成する。
【0015】次に、n型InGaAsコンタクト層17
の表面よりSiイオンを選択的にイオン注入してn型I
nPキャップ層16中に直径20μm程度でキャリア濃
度約1019cm-3のn+ 型拡散領域110およびn+
コンタクト層17aを形成する。ここでn+ 型拡散領域
110の底部は超格子増倍層15の表面に接しているか
又はn型InPキャップ層16を介して0.1μm以下
に近接して形成しても良い。
【0016】次に、n型InGaAsコンタクト層17
からp+ 型InPバッファ層12までを選択的に順次エ
ッチングしてn+ 型拡散領域110を同心円とする直径
30μmのメサ形状を形成し、メサの側面を含む表面に
パッシベーション膜112を形成する。次に、パッシベ
ーション膜112を選択的にエッチングして開口部を設
け、この開口部のn+ 型コンタクト層17aと接続する
AuGeNiからなるn側電極18およびp+ 型InP
基板11と接続するAuZnからなるp側電極19を形
成する。ここで、バッファ層12およびキャップ層17
としてInAlAs層を用いても良い。
【0017】なお、各層のバンドギャップは次の関係に
ある。
【0018】Eg1 〉Eg2 ,Eg3 〉Eg2 ,E
4 〉Eg2 ,Eg5 〈Eg4 また、n型InGaAsコンタクト層17は省いても良
い。
【0019】図4に示す従来例では、パッシベーション
用のポリイミド膜410と、メサ側壁の半導体43,4
4,45の界面には多数の界面順位(2×1012cm-2
/eV以上)が存在する、この界面順位は通常の半導体
/ポリイミド膜界面のダングリングボンドと、メサ形成
後に生成した半導体自然酸化膜/半導体界面のタングリ
ングボンド、さらには、表面欠陥に起因するもの等が挙
げられる。特に、逆バイアス時に空乏化する半導体層
(43,44,45)の中で、比較的禁制帯幅の小さな
p- 型InGaAs光吸収層43中には前者が、また、
自然酸化されやすいアルミニウム原子を含む超格子増倍
層43,44中では後者が多く存在すると考えられる。
したがって、従来構造では、アバランシェ増倍が得られ
るような高電界(従来構造では電界分布はメサ中央、端
部ともに図2(a)に示すような電界強度分布になり、
その値は増倍層で約500から600kV/cm)にな
る。ときには、これらの界面順位を介する表面リーク暗
電流が発生し、μAオーダとなってしまう。また、経時
的にも高電界によるパッシベーション膜へのホットキャ
リア注入効果などでこれらの界面順位や表面欠陥が増大
し、暗電流が増加することで素子の信頼性は不十分なも
のとなる。
【0020】これに対して図1に示す本発明の実施例で
は、図2(a),(b)に示すように、メサ中央部に比
較して、メサ端部でn型キャップ層16にも空乏層が延
びるために最大電界強度が600kV/cm程度から3
00kV/cm程度に大幅に低減できる。さらに、キャ
ップ層16のキャリア濃度を適切な値(1016cm-3
以下)に設定すれば、メサ端部では空乏層が超格子増倍
層とキャップ層だけに広がり、光吸収層側には広がらな
いようにする事ができ、禁制帯幅の小さなp-InGa
As光吸収層13のメサ表面の導電型反転が起きたとし
ても逆バイアス暗電流特性への影響を及ぼさなくする事
ができる。
【0021】このように、従来のメサ型のフォトダイオ
ード構造と比較して、本発明の構造ではメサ表面の電界
強度を緩和することでリーク暗電流が減少し、さらに経
時的変化についても従来と比較して抑制され、素子信頼
性が向上した半導体受光素子を実現できる。
【0022】ここで、InAlAs/InAlGaAs
超格子を増倍層として用いた場合について説明したが、
InAlAs/InGaAs超格子、あるいはInAl
As/InGaAsP超格子を増倍層として用いた場合
も同様の効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、キャップ
層に高濃度の拡散領域を選択的に形成することにより、
波長1.3〜1.6μm帯に受光感度を有し、高イオン
化率比α/βで低雑音・高速応答特性と同時に、表面リ
ーク暗電流が小さく、高信頼性を有するアバランシェフ
ォトダイオードを実現することがでるという効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す模式的断面図。
【図2】本発明の一実施例のメサ中央部およびメサ端部
の電界強度分布を示す図。
【図3】従来の超格子アバランシェフォトダイオードの
第1の例を示す模式的断面図。
【図4】従来の超格子アバランシェフォトダイオードの
第2の例を示す模式的断面図。
【図5】従来の超格子アバランシェフォトダイオードの
第3の例を示す模式的断面図。
【符号の説明】
11,51 p+ 型InP基板 12,52 p+ 型InPバッファー層 13,53 p- 型InGaAs光吸収層 14 p+ 型InP電界緩和層 15 アンドーブi型又はn- 型InAlGaAs/
InAlAs超格子増倍層 16 n型InPキャップ層 17 n型InGaAsコンタクト層 17a n+ 型コンタクト層 18,38,48 n側電極 19,39,49 p側電極 110 n+ 型拡散層 111 反射防止膜 112 表面パッシベーション膜 31,41 n+ 型InP基板 32 n+ 型InPバッファー層 33 n- 型InGaAsP/InAlAs超格子ア
バランシェ増倍層 34 p型InP電界緩和層 35,45 p- 型InGaAs光吸収層 36 p+ 型InPキャップ層 37,47 P+ 型InGaAsコンタクト層 310 SiNパッシベーション膜 311 ポリイミド膜 42 n+ 型InAlAsバッファー層 43 n- 型InGaAs/InAlAs格子アバラ
ンシェ増倍層 44 p型InAlAs電界緩和層 46 p+ 型InAlAsキャップ層 410 ポリイミドパッシベーション膜 411 反射防止膜 54 p型InGaAs電界緩和層 55 p型InGaAs/InAlAs超格子アバラ
ンシェ増倍層 56 p型InPキャップ層 57 高濃度n型InP領域 58 低濃度n型InP領域 59 AuGeNiオーミック電極 510 AuZnNiオーミック電極 511 光入射用窓

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高濃度の一導電型InP基板上に順次積
    層して形成した高濃度の一導電型バッファ層、高濃度の
    一導電型光吸収層、一導電型の電界緩和層、アンドープ
    もしくは低濃度の逆導電型超格子層、低濃度の逆導電型
    キャップ層からなるメサ形の積層構造と、前記逆導電型
    キャップ層内に形成した高濃度の逆導電型拡散領域を有
    することを特徴とする超格子アバランシェフォトダイオ
    ード。
  2. 【請求項2】 高濃度の逆導電型拡散領域を含む表面に
    形成した逆導電型コンタクト層を有する請求項1記載の
    超格子アバランシェフォトダイオード。
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