JP2007333475A - 恒温試験装置 - Google Patents

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【課題】供試体に高圧油を負荷する内圧試験を行った際の恒温槽の被害を抑える。
【解決手段】供試体TPを試験するための試験室SP1を内部に形成する内槽22と、内槽22の外側に密閉室SP2を形成する外槽23と、密閉室SP22を横断して外槽23の外側から試験室SP1に通じる通路21を形成する通路形成部25と、密閉室SP2の温度を調整する温度調整手段42,43とを備える。供試体TPが破壊され、供試体TPから油が噴出しても、その油が密閉室SP2に達することはない。
【選択図】図2

Description

本発明は、恒温槽の内部で試験を行う恒温試験装置に関する。
従来より、供試体が収容された恒温槽内に所定温度の空気を循環させ、供試体の周囲の雰囲気温度を一定に保った状態で試験するようにした恒温試験装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この種の恒温試験装置は、雰囲気温度を上昇させるためのヒータを備え、ヒータで加熱した空気を循環させて恒温槽内を一定温度に保つ。
実開平6−76876号公報
上記のような恒温槽により、例えば内部に高圧の油が充填された供試体を試験すると、供試体が破壊した際に油が飛散してヒータに接触するおそれがあり、試験装置に大きな被害を与える。
本発明による恒温試験装置は、供試体を試験するための試験室を内部に形成する内槽と、内槽の外側に密閉室を形成する外槽と、密閉室を横断して外槽の外側から試験室にかけて通路を形成する通路形成部と、密閉室の温度を調整する温度調整手段とを備えることを特徴とする。
試験室内の供試体に、通路を介して試験力を負荷する負荷手段をさらに備えることもできる。
温度調整手段として、密閉室にヒータを配置し、負荷手段を、高圧油を用いて供試体に内圧を負荷する内圧負荷装置としてもよい。
通路を介して外槽の外側から供試体を支持する支持手段をさらに備えることもできる。
本発明によれば、恒温槽を内槽および外槽の二層構造とするとともに、外槽と内槽の間の温度調整用の密閉室を横断して外槽の外側から内槽内部の試験室にかけて通路を形成するようにしたので、試験室からの噴出物が密閉室に導かれることがなく、装置の被害を抑えることができる。
以下、図1,図2を参照して本発明による恒温試験装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る恒温試験装置の全体構成を示す図である。図1では、ディーゼルエンジンなどに用いられるインジェクションを供試体TPとして用いており、この供試体TPに所定サイクルの内圧をかけて疲労試験を行う。恒温試験装置は、供試体TPに内圧を負荷する負荷装置10と、供試体TPの周囲に所定条件の雰囲気を形成する恒温槽20と、供試体周囲の雰囲気温度を調整する温度調整装置40とを有する。なお、供試体TPとしてのインジェクションには、燃料の代わりに油によって内圧を負荷する。また、内圧を負荷するために、インジェクションの燃料噴射用の孔は塞いでいる。
負荷装置10は、基台11上に支持された油圧アクチュエータ12と、油圧アクチュエータ12により駆動されるピストン13と、ピストン13の先端部が摺動可能に挿入される圧力容器14とを備える。供試体TPは、支柱17から略水平方向に延設された支持バー16の先端部に支持されている。
圧力容器14には、配管15を介して供試体TPが接続されている。圧力容器14内は油で満たされており、アクチュエータ12の駆動により所定サイクルでピストン13を往復運動させると、供試体TPに所定サイクルの内圧が作用する。供試体TPに作用する圧力波形は、実機のインジェクションに作用する圧力波形を考慮して決定される。供試体TPに負荷する内圧は、例えば圧力容器内14に設けられた図示しない圧力センサにより検出される。
恒温槽20は、テーブル上に設けられたレール18に沿って矢印方向にスライド可能に支持されている。供試体TPに対向する恒温槽20の外表面には、内部に向けて通路21が設けられている。供試体TP側に恒温槽20をスライドさせると、通路21に沿って供試体TPと支持バー16とが恒温槽内に進入する。支持バー16にはフランジ部16aが設けられ、恒温槽20をスライドさせた後、恒温槽20の外表面にフランジ部16aを固定し、試験可能状態となる。
図2(a)は恒温槽20と温度調整装置40の構成を示す縦断面図であり、図2(b)は図2(a)のb−b線断面図である。なお、図2は、恒温槽内に供試体TPを収容した試験可能状態を示している。
図2に示すように恒温槽20は、略ボックス状の内槽22と外槽23とを有する二槽構造をなし、内槽22は、その底面角部に設けられた支持台24を介し外槽内に固定されている。内槽22の内側には試験室SP1が形成され、内槽22と外槽23の間には密閉室SP2が形成されている。内槽22は熱伝導性のよい材料、例えばアルミなどにより構成される。
温度調整室SP2には、内槽22と外槽23を貫通してパイプ部材25が横断し、パイプ部材25により上述した通路21が形成されている。パイプ部材25と内槽お22よび外槽23との接合部はシールされ、密閉室SP2の密閉が保たれている。外槽20の表面にはボルトを介して支持バー16のフランジ部16aが固定され、通路21内における配管15および支持バー16の周囲の隙間はフランジ部16aによって塞がれる。
試験室SP1には攪拌用のファン30が設けられている。ファン30は、内槽22および外槽23を貫通した回転軸を介してモータ31の駆動により回転し、ファン30の回転により試験室SP1の温度を均一化する。試験室SP1には調圧用のレギュレータ32も設けられている。内槽22および外槽23には、図2(b)の点線で示すようにそれぞれヒンジ部33a,34aを支点に回動する開閉ドア33,34が設けられている。ドア33,34はシールした状態で閉鎖され、ドア33,34を閉鎖した状態では密閉室SP2の密閉が保たれている。
密閉室SP2には、高さ方向中央部に略水平方向に仕切板26が延設され、密閉室SP2は仕切板26により上下に分割されている。仕切板26の一端面26aは、外槽23の一の内壁面23aに当接している。仕切板26の他端面26bと外槽23の他の内壁面23bとの間には空隙SP23が設けられ、この空隙SP23を介して上下の密閉室SP21,SP22が連通している。外槽23の内壁面23aには、密閉室SP21,SP22に面して上下一対の空気口27,28が開口されている。
密閉室SP2の側方には温度調整室SP3が形成され、密閉室SP2と温度調整室SP3は空気口27,28を介して連通している。温度調整室SP3には送風用のファン41と、加熱用ヒータ42と、冷却用熱交換機43が配設されている。ファン41を駆動すると、図2(a)の矢印で示すように温度調整室SP3の空気が空気口27を介して上側の密閉室SP21に送風される。送風された空気は、空隙SP23を通って下側の密閉室SP22に導かれ、空気口28を通って温度調整室SPに戻る。すなわち温度調整室SP3と密閉室SP2の間を空気が循環する。
温度調整室SP3内では、ファン41により送風された空気が熱交換機43およびヒータ42を通過する。この際、温度調整室SP3の空気は、熱交換機43における冷媒との熱交換により冷却され、あるいはヒータ44からの熱で加熱されて、所定温度に制御される。試験室SP1の温度、あるいはこれと相関のある密閉室SP2の温度は、図示しない温度センサにより検出され、試験室SP1が所定の試験温度に保たれるように熱交換機43とヒータ44とが図示しないコントローラにより制御される。
本実施の形態に係る恒温試験装置を用いた試験手順を説明する。
まず、恒温槽20をレール18に沿ってスライドさせ、通路21を介し試験室SP1内に供試体TPをセットする。次いで、ファン41を駆動するとともに、恒温槽20の設定温度と温度センサの検出値とに応じて熱交換機43およびヒータ42を制御する。これにより温度調整室SP3と密閉室SP2の間で所定温度の空気を循環させ、試験室SP1内の雰囲気温度を一定の試験温度、例えばエンジン室相当の温度に保つ。
この場合、内槽22を熱伝導性のよい材料により構成しているため、試験室SP1内の温度を効率よく設定温度に制御することができる。仕切板26により密閉室SP2を上下に分割して流路を形成しているため、内槽22の外表面に沿って均一に空気が流れ、内槽22の温度を均一化できる。ファン30により試験室SP1内の空気を攪拌すれば、試験室SP1の雰囲気温度を容易に均一化できる。
試験室SP1が一定の試験温度になると、油圧アクチュエータ12を駆動して供試体TPに所定周波数の内圧を負荷し、疲労試験等、目的に応じた試験を行う。試験が終了すると、レギュレータ32を操作して試験室SP1を大気圧とする。さらに高温条件の試験をしていた場合には、ヒータ42の作動を停止し、場合によっては試験室SP1の温度が所定温度に低下するまで待機する。なお、熱交換機43を作動させて密閉室SP2内に低温の空気を流すようにすれば、試験室SP1の温度を速やかに低下することができる。恒温槽20にダクトを接続して密閉室SP2の高温空気を外部に排気することによっても、迅速な温度低下が可能である。
その後、レール18に沿って恒温槽20を反対方向にスライドさせ、試験室SP1から供試体TPを取り出す。試験の結果、供試体TPが破壊すると、供試体TPから高圧の油が噴出することがある。この場合は、開閉ドア34および33を順次開放し、ドア33,34を介して試験室SP1から供試体TPを取り出す。この際、試験室SP1は内槽22を介して密閉室SP2から隔離されているため、噴出した油がヒータ42や熱交換機43に接触することはなく、試験装置の被害を最小限に抑えることができる。その結果、試験室SP1内を清掃するだけで、供試体TPを変更して続けて試験を行うことができる。
本実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)恒温槽20を内槽22と外槽23の二槽構造として試験室SP1と密閉室SP2とを形成するとともに、密閉室SP2を横断して外槽23の外側から試験室SP2にかけて通路21を設けるようにした。これにより恒温槽20の外部に負荷装置10を設置して試験を行うことができるとともに、供試体TPが破壊した場合にヒータ42等に油が接触することはなく、試験装置の被害を最小限に抑えることができる。ヒータ42の熱で油が引火こともないため、安全上も好ましい。
(2)恒温槽20の外部から通路21を介して試験力を負荷するので、恒温槽20を大型化することなく試験室SP1で試験を行うことができる。
(3)支持バー16の先端部に供試体TPを支持し、恒温槽20の通路21を介して試験室SP1内に供試体TPを挿入するので、供試体TPのセットが容易である。
(4)密閉室SP2内に仕切板26を設けて空気の流路を形成するので、内槽22の外表面を均一に空気が流れ、内槽22の温度が均一となって、良好な試験環境を構築できる。
なお、上記実施の形態では、支持バー16の先端部に供試体TPを取り付け、通路21を介して試験室SP1に供試体TPを挿入するようにした。すなわち支持手段としての支柱17および支持バー16を介して供試体TPを支持するようにしたが、大型の供試体TPを試験する場合には、開閉ドア33,34を介して供試体TPを試験室SP1にセットするようにしてもよい。この場合、試験室SP1の内部に、供試体TPを支持するための支持部を設ければよい。通路21には配管15を通すだけでよいため、通路径を最小化できる。パイプ部材25により通路21を形成したが、パイプ部材以外を通路形成部としてもよい。恒温槽20の上面や底面に通路21を形成してもよい。
負荷装置10により供試体TPに内圧を負荷するようにしたが、内圧試験だけでなく種々の試験を試験室SP1で行うこともできる。例えば通路21を貫通した負荷ロッドを介して供試体TPに繰り返し荷重を負荷するような試験も行うことができ、負荷手段の構成は上述したものに限らない。ヒータ42と熱交換機43により密閉室SP2の温度を調整するようにしたが、温度調整手段の構成はこれに限らない。すなわち本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の恒温試験装置に限定されない。
本発明の実施の形態に係る恒温試験装置の全体構成を示す図。 (a)は図1の要部縦断面図、(b)は図2(a)のb−b線断面図。
符号の説明
10 負荷装置
16 支持バー
17 支柱
21 通路
22 内槽
23 外槽
25 パイプ部
42 ヒータ
43 熱交換機

Claims (4)

  1. 供試体を試験するための試験室を内部に形成する内槽と、
    前記内槽の外側に密閉室を形成する外槽と、
    前記密閉室を横断して前記外槽の外側から前記試験室にかけて通路を形成する通路形成部と、
    前記密閉室の温度を調整する温度調整手段とを備えることを特徴とする恒温試験装置。
  2. 請求項1に記載の恒温試験装置において、
    前記試験室内の供試体に、前記通路を介して試験力を負荷する負荷手段をさらに備えることを特徴とする恒温試験装置。
  3. 請求項2に記載の恒温試験装置において、
    前記温度調整手段は、前記密閉室に配置されたヒータを有し、
    前記負荷手段は、高圧油を用いて供試体に内圧を負荷する内圧負荷装置であることを特徴とする恒温試験装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の恒温試験装置において、
    前記通路を介して前記外槽の外側から供試体を支持する支持手段をさらに備えることを特徴とする恒温試験装置。
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