JP2007331984A - セラミックス焼結体、その製造方法及び金属蒸発用発熱体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性を損なわせることなくその端部劣化を軽減した高寿命のボートを提供する。
【解決手段】二硼化チタンと、窒化硼素と、ストロンチウム化合物と、アルミニウム化合物とを含むものにおいて、更に0.1〜8.5質量%の炭窒化チタンを含有してなるセラミックス焼結体。硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、炭酸ストロンチウムが0.3〜2.5質量%、並びにアルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種がAl換算で0.3〜2.0質量%を含む原料粉末を成型し、それを非酸化性雰囲気中、温度800〜1000℃で1〜3時間保持した後、更に温度を高めて焼成するに際し、少なくとも、温度が1800〜2200℃の間でホットプレスをすることを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。本発明のセラミックス焼結体で構成された金属蒸発用発熱体。
【選択図】なし
【解決手段】二硼化チタンと、窒化硼素と、ストロンチウム化合物と、アルミニウム化合物とを含むものにおいて、更に0.1〜8.5質量%の炭窒化チタンを含有してなるセラミックス焼結体。硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、炭酸ストロンチウムが0.3〜2.5質量%、並びにアルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種がAl換算で0.3〜2.0質量%を含む原料粉末を成型し、それを非酸化性雰囲気中、温度800〜1000℃で1〜3時間保持した後、更に温度を高めて焼成するに際し、少なくとも、温度が1800〜2200℃の間でホットプレスをすることを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。本発明のセラミックス焼結体で構成された金属蒸発用発熱体。
【選択図】なし
Description
本発明は、セラミックス焼結体、その製造方法、及びこのセラミックスで構成された金属蒸発用発熱体に関する。
従来、二硼化チタン及び窒化硼素を含むセラミックス焼結体で構成された金属蒸発用発熱体(以下、「ボート」ともいう。)を、真空下で通電加熱し、その上面にアルミニウム等の金属線材を供給しながら金属を蒸発させ、フィルム、紙類、ガラス基板等に蒸着させることが行われている。ボートには、二硼化チタンと窒化硼素を主成分とする2成分ボートと、この2成分ボートの窒化硼素の一部を廉価な窒化アルミニウムに置き換えた3成分ボートが知られている。これらのボート上面に、溶融アルミニウムを溜めるキャビティを施したものもある。
ボートの寿命は、溶融金属に対する耐食性に左右される。すなわち、溶融金属(例えばアルミニウム)とボート成分との浸食反応がボート表面で起こり、この浸食が進むと金属の蒸着速度を一定でなくなることによってボートが寿命となる。2成分ボートは3成分ボートよりも溶融金属に対する耐食性が大きいので高寿命であるがまだ十分ではなかった。そこで、ボートに更にストロンチウム化合物を含有させることが提案され(特許文献1)、かなり改善されたが、このボートにあってはボートと電極の接触部分にクラックが発生(以下、「端部劣化」ともいう。)し、ボートの寿命になることがわかった。
特開2006−016279号号公報
本発明の目的は、ストロンチウム化合物を更に含有させたボートにおいて、耐食性を損なわせることなくその端部劣化を軽減することである。
本発明は、二硼化チタンと、窒化硼素と、ストロンチウム化合物と、アルミニウム化合物とを含むものにおいて、更に0.1〜8.5質量%の炭窒化チタンを含有してなるセラミックス焼結体である。本発明においては、二硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、ストロンチウム化合物がSr換算で0.1〜2.0質量%、アルミニウム化合物がAl換算で0.2〜1.8質量%の含有率であり、酸素含有率が1.2〜2.0質量%であること、ストロンチウム化合物が酸化ストロンチウムであり、アルミニウム化合物がアルミニウムのホウ化物、酸窒化物及び硼酸化物から選ばれた少なくとも1種であること、窒化硼素のC軸格子定数が6.670Å以下であること、から選ばれた少なくとも一つの実施態様を有することが好ましい。
また、本発明は、二硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、炭酸ストロンチウムが0.3〜2.5質量%、並びにアルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種がAl換算で0.3〜2.0質量%を含む原料粉末を成型し、それを非酸化性雰囲気中、温度800〜1000℃で1〜3時間保持した後、更に温度を高めて焼成するに際し、少なくとも、温度が1800〜2200℃の間でホットプレスをすることを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法である。
さらに、本発明は、本発明のセラミックス焼結体で構成された金属蒸発用発熱体である。
本発明によれば、溶融金属に対する耐食性に優れ、端部劣化を抑制したボートと、そのボートの製造に適用されるセラミックス焼結体とその容易な製造方法が提供される。
ストロンチウム化合物を含有した2成分ボート又は3成分ボートの端部劣化は、セラミックス焼結体の粒界に含まれる低融点の酸化硼素の一部がボート加熱中に液相を形成し、ボート端部へ移動し、電極とボートの間に電気接触を向上するため、ボートを蒸着装置に設置する際に使用される黒鉛シートと反応し、ボートと電極のコンタクトが経時劣化しボートが偏加熱されることが原因であることを本発明者は究明した。そこで、この酸化硼素の液相移動現象を極力少なくする方法について更に検討したところ、アルミニウム化合物を析出させて酸化硼素をトラップさせればよいことを見いだし、更に炭窒化チタンを存在させると耐食性が向上することを見いだしたものである。
すなわち、本発明のセラミックス焼結体の特徴は、二硼化チタンと、窒化硼素と、ストロンチウム化合物と、アルミニウム化合物とを含むものにおいて、更に0.1〜8.5質量%の炭窒化チタンを含有していることである。炭窒化チタンの含有率が0.1質量%未満ではボートの耐食性が十分でなく、また8.5質量%をこえるとボート材が固くなり、脆化しやすく端部劣化発生の原因になりやすい。とくに好ましい含有率は3.5〜8.5質量%である。
セラミックス焼結体に炭窒化チタンを含有させるには、原料粉末に炭窒化チタンをあらかじめ存在させておく、原料粉末の窒化硼素と二硼化チタンとの反応によって生成させるなどによって行うことができる。前者の方法によれば、原料粉末中の含有率がそのままセラミックス焼結体の含有率にすることができる。後者の方法では、焼成温度に比例させて炭窒化チタンの含有率の増減させることができる。炭窒化チタンは後述するリートベルト法によって定量することができる。
本発明において、二硼化チタンの含有率は40〜60質量%であることが好ましい。40質量%よりも著しく少ないと比抵抗が高くなり、また60質量%よりも著しく多いと比抵抗が低くなりすぎて、いずれもボート寿命が延びない。
窒化硼素の含有率が35〜55質量%であることが好ましい。35質量%よりも著しく少ないとセラミックス焼結体の快削性が損なわれ、また55質量%よりも著しく多いと比抵抗が高くなりすぎて、ボートを加熱することが困難となる。窒化硼素のC軸格子定数は6.670Å以下であることが好ましい。格子定数が6.670Åよりも著しく大きいと、結晶性の低いかつ結晶歪みの大きな窒化硼素であるため、溶融金属に対する耐食性が低下する恐れがある。更にいえば、結晶性の低い窒化硼素は固溶酸素や積層欠陥等のいわゆる粒内結晶欠陥を多く含有するので溶融金属による腐食の起点となりやすい。格子定数は理論値の6.662Åに近いものほど好ましい。格子定数は焼成温度を高くするほど小さくすることができる。また、ストロンチウム化合物の添加量によって増減させることができる。格子定数は後述するリートベルト法によって測定することができる。
また、ストロンチウム化合物の含有率は、Sr換算で0.1〜2.0質量%であることが好ましい。Sr換算で0.1質量%よりも著しく少ないと窒化硼素の結晶性を十分に向上することができず耐食性が劣る。また、2.0質量%よりも著しく多くするとボートが脆化しやすくなり、結果として使用中に端部劣化が発生しやすくなる。ストロンチウム化合物の含有率はその原料粉末中の含有率によって増減させることができる。ストロンチウム化合物を例示すれば酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、硼酸ストロンチウム等である。とくに炭酸ストロンチウムが好適である。
アルミニウム化合物の含有率は、Al換算で0.2〜1.8質量%であることが好ましい。Al換算で0.2質量%よりも著しく少ないと酸化硼素をトラップする作用が弱まり、1.8質量%よりも著しく多いと窒化硼素の結晶性を劣化させる原因となる。アルミニウム化合物の含有率はその原料粉末中の含有率によって増減させることができる。アルミニウム化合物を例示すれば、アルミニウムのホウ化物、酸窒化物及び硼酸化物、具体的にはAlB2、AlB12、Al22O36N2、及びAl8B2O15等である。中でも、Al22O36N2及びAl8B2O15が存在していることが好ましい。
セラミックス焼結体の酸素含有率は1.2〜2.0質量%であることが好ましい。酸素含有率が1.2質量%よりも著しく少ないと窒化硼素と二硼化チタンを結合するための最低限の量を確保できず、脆化しやすくなり、また2.0質量%よりも著しく多いと窒化硼素の結晶性を劣化させる原因となる。酸素は主に二酸化チタンや酸化硼素、更には酸化ストロンチウムの形態となって存在するので、その含有率は二硼化チタン原料や窒化硼素が含有する酸素量、更には添加するストロンチウム化合物の量によって増減させることができる。
本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、本発明のセラミックス焼結体を製造するのに適合するものである。本発明のセラミックス焼結体の製造方法は、二硼化チタンと、窒化硼素と、炭酸ストロンチウムと、アルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種とを含む特定割合の原料混合粉末を成型した後、予備焼成をしてからホットプレスするものである。
本発明の製造方法の第1の特徴は、セラミックス焼結体中に0.1〜8.5質量%の炭窒化チタンを含有させるために、特に二硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、ストロンチウム化合物がSr換算で0.1〜2.0質量%、アルミニウム化合物がAl換算で0.2〜1.8質量%、炭窒化チタンが0.1〜8.5質量%であり、酸素含有率が1.2〜2.0質量%であるセラミックス焼結体を製造するために、二硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、炭酸ストロンチウムが0.3〜2.5質量%、並びにアルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種がAl換算で0.3〜2.0質量%を含む原料粉末を調製することである。
窒化硼素粉末としては、例えば硼砂と尿素の混合物をアンモニア雰囲気中、温度800℃以上で加熱する方法、硼酸又は酸化硼素と燐酸カルシウムの混合物をアンモニウム、ジシアミンミド等の含窒素化合物を1600℃以上に加熱する方法等によって製造したものが使用される。その平均粒径は、15μm以下、特に10μm以下で、酸素量は2.0質量%以下であることが好ましい。
二硼化チタン粉末としては、例えば金属チタンとの直接反応や酸化チタン等の酸化物の還元反応を利用した方法等によって製造されたものが使用される。その平均粒径は、20μm以下、酸素量は1.0質量%以下であることが好ましい。
炭酸ストロンチウム粉末、並びにアルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の粉末(以下、「アルミニウム源」ともいう。)については、市販品で十分である。原料粉末中の炭酸ストロンチウムの含有率が0.3質量%よりも著しく小さいと、窒化硼素の結晶化を促進できず、ボートの耐食性が高まらない。また、2.5質量%よりも著しく過剰になるとボートが脆化しやすくなり、端部劣化の抑制効果が弱まる。アルミニウム源が原料粉末中に0.3質量%よりも著しく少ないと、酸化硼素をトラップする作用が弱まり、また2.0質量%よりも著しく過剰になると、窒化硼素の結晶化に阻害を来し、ボートの耐食性を劣化させる恐れがある。
原料粉末の混合には、ボールミル、振動ボールミル、ヘンシェルミキサー、ボールトンミル等の混合機が用いられる。原料粉末は成型後焼成される。原料粉末を0.5〜2mmに造粒しておくことによって、未焼成成型体にクラックが発生するのを抑制することができる。造粒方法としては、例えばスプレードライヤー法、転動造粒等の湿式造粒法、圧縮成形後整粒する乾式造粒法等を用いることができるが、原料粉末の酸化を極力抑えるために乾式造粒法が好ましい。
本発明の製造方法の第2の特徴は、非酸化性雰囲気中、温度800〜1000℃で1〜3時間保持する予備加熱を行ってから、温度が1800〜2200℃の間でホットプレスを少なくとも行うことである。本発明で予備加熱を行うのは、窒化硼素と二硼化チタンに由来する酸化硼素と、アルミニウム源とを反応させるためである。予備加熱がこの条件よりも不十分であると、ホットプレス時に酸化硼素の液相が不均一に分布するのでセラミックス焼結体中の酸素量が不均一に分布し、比抵抗がばらついて低寿命のボートとなる。一方、予備加熱が過酷に行われると、液相の揮発によって窒化硼素と二硼化チタンの結合力を弱めボートが脆くなる。ホットプレスは、温度1800〜2200℃の間で少なくとも行われるが、この温度領域以外の温度領域で更に行うことは何ら差支えがない。温度1800〜2200℃の間でホットプレスをしないと、窒化硼素の結晶化を十分に進めることができないのでボートの耐食性が劣る。ホットプレスの圧力は25MPa以上であることが好ましい。予備加熱とホットプレスの行われる雰囲気は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、真空等の非酸化雰囲気下である。
実施例1〜13、比較例1〜8
二硼化チタン粉末(酸素量0.8質量%、平均粒子径13.2μm)、窒化硼素粉末(酸素量1.3質量%、平均粒子径8.8μm)、炭酸ストロンチウム粉末(平均粒子径13.2μm)、酸化カルシウム粉末(平均粒子径8.5μm)、アルミニウム粉末(平均粒子径30μm)、アルミナ粉末(平均粒子径0.5μm)、窒化アルミニウム粉末(酸素量0.7質量%、平均粒子径1.5μm)を、ボールミルを用いて混合し表1に示す原料粉末を調整した。これを平均粒子径が1.5mmの粒子に造粒し、25MPaで一軸加圧して成形体(長さ132mm×幅37mm×厚み18mm)を製造した。ついで、黒鉛坩堝に収納し、窒素雰囲気中、表1の条件で予備加熱後ホットプレスした。得られたセラミックス焼結体の物性を以下に従って測定した。それらの結果を表2に示す。
二硼化チタン粉末(酸素量0.8質量%、平均粒子径13.2μm)、窒化硼素粉末(酸素量1.3質量%、平均粒子径8.8μm)、炭酸ストロンチウム粉末(平均粒子径13.2μm)、酸化カルシウム粉末(平均粒子径8.5μm)、アルミニウム粉末(平均粒子径30μm)、アルミナ粉末(平均粒子径0.5μm)、窒化アルミニウム粉末(酸素量0.7質量%、平均粒子径1.5μm)を、ボールミルを用いて混合し表1に示す原料粉末を調整した。これを平均粒子径が1.5mmの粒子に造粒し、25MPaで一軸加圧して成形体(長さ132mm×幅37mm×厚み18mm)を製造した。ついで、黒鉛坩堝に収納し、窒素雰囲気中、表1の条件で予備加熱後ホットプレスした。得られたセラミックス焼結体の物性を以下に従って測定した。それらの結果を表2に示す。
(1)組成
粉末X線回折法(理学社製商品名「RAD−B」)により、試料紛75μm以下、40kV、100mA、2θ(Cu−Kα)が10〜70°の条件で測定した。なお、ストロンチウム化合物については酸化ストロンチウムを、アルミニウム化合物についてはホウ化物(AlBX;例えばAlB2)、酸窒化物(AlXOYNZ;例えばAl22O36N9)及び硼酸化物(ALXBYOZ;例えばAl4B2O9)を測定した。
粉末X線回折法(理学社製商品名「RAD−B」)により、試料紛75μm以下、40kV、100mA、2θ(Cu−Kα)が10〜70°の条件で測定した。なお、ストロンチウム化合物については酸化ストロンチウムを、アルミニウム化合物についてはホウ化物(AlBX;例えばAlB2)、酸窒化物(AlXOYNZ;例えばAl22O36N9)及び硼酸化物(ALXBYOZ;例えばAl4B2O9)を測定した。
(2)炭窒化チタン及び窒化硼素の格子定数
リートベルト法により測定した。リートベルト法については、「粉末X線解析の実際―リートベルト法入門(中井泉著;2002年2月10日 朝倉書店)」に記載されている。本実施例では、次のようにして炭窒化チタンを定量し、また窒化硼素の格子定数を測定した。すなわち、(1)で得られた粉末X線回折強度データをテキストファイルに変換し、それをリートベルト解析に用いる市販ソフトウェア「RIETAN−2000(泉富士夫氏作成のフリーソフト;参考文献(F.Izumi and T.Ikeda、Mater.Sci.Forum、321−324(2000)198−203頁)」に入力し、結晶構造データ(窒化硼素の窒化硼素のa軸、b軸及びc軸の格子定数)を基に、測定データとシミュレーションデータが一致するように、結晶構造パラメータ(窒化硼素の格子定数)を最小自乗法により精密化して求めた。本実施例では、S=Rwp/Rpで定義されるgoodness−of−fit−indicatorが1.3以下になったときのフィッティング値を窒化硼素の格子定数の測定値とした。この精密化シミュレーションと同様な操作により、窒化硼素、二硼化チタン、炭窒化チタンの定量も行った。
リートベルト法により測定した。リートベルト法については、「粉末X線解析の実際―リートベルト法入門(中井泉著;2002年2月10日 朝倉書店)」に記載されている。本実施例では、次のようにして炭窒化チタンを定量し、また窒化硼素の格子定数を測定した。すなわち、(1)で得られた粉末X線回折強度データをテキストファイルに変換し、それをリートベルト解析に用いる市販ソフトウェア「RIETAN−2000(泉富士夫氏作成のフリーソフト;参考文献(F.Izumi and T.Ikeda、Mater.Sci.Forum、321−324(2000)198−203頁)」に入力し、結晶構造データ(窒化硼素の窒化硼素のa軸、b軸及びc軸の格子定数)を基に、測定データとシミュレーションデータが一致するように、結晶構造パラメータ(窒化硼素の格子定数)を最小自乗法により精密化して求めた。本実施例では、S=Rwp/Rpで定義されるgoodness−of−fit−indicatorが1.3以下になったときのフィッティング値を窒化硼素の格子定数の測定値とした。この精密化シミュレーションと同様な操作により、窒化硼素、二硼化チタン、炭窒化チタンの定量も行った。
(3)Sr換算含有率、Ca換算含有率及び酸素含有率
ICP発光分析(日本ジャーレルアッシュ製「ICP−AES、MODEL ICAP−1000S」)によるSr及びCaの定量分析を行った。酸素含有率は、昇温分析法による酸窒素分析装置(機器;LECO製「TC−436」)により測定した。
ICP発光分析(日本ジャーレルアッシュ製「ICP−AES、MODEL ICAP−1000S」)によるSr及びCaの定量分析を行った。酸素含有率は、昇温分析法による酸窒素分析装置(機器;LECO製「TC−436」)により測定した。
セラミックス焼結体からボート(長さ130mm×幅35mm×厚み10mm、キャビティ寸法:幅31mm×厚み1.5mm×長さ110mm)を機械加工し、(5)ボート寿命を測定し、その原因を検討するため、(6)端部劣化及び(7)浸食深さを以下に従って測定した。それらの結果を表3に示す。
(5)ボート寿命
市販の蒸着装置(キャビティアプライドフィルム社製商品名「トップメット2450」)を用いて蒸着試験を行った。ボートの24本を蒸着装置のチャンバー内に並べ、それらの端部を電極に繋ぎ、キャビティ中央部の温度が1500℃となるように印加電圧を設定した。真空度2×10−2Paの真空中、アルミニウムワイヤー(直径1.6mm)の供給量を8.5g/分、蒸着膜厚みがOD(光学密度)値3.0になるようにPETフィルム24,000MTR/ロールを巻き取りながら蒸着した。1本のボートでもOD値が3.0を維持できなくなった時点をボート寿命とした。ボート寿命は蒸着されたPETフィルムの長さで表示した。
市販の蒸着装置(キャビティアプライドフィルム社製商品名「トップメット2450」)を用いて蒸着試験を行った。ボートの24本を蒸着装置のチャンバー内に並べ、それらの端部を電極に繋ぎ、キャビティ中央部の温度が1500℃となるように印加電圧を設定した。真空度2×10−2Paの真空中、アルミニウムワイヤー(直径1.6mm)の供給量を8.5g/分、蒸着膜厚みがOD(光学密度)値3.0になるようにPETフィルム24,000MTR/ロールを巻き取りながら蒸着した。1本のボートでもOD値が3.0を維持できなくなった時点をボート寿命とした。ボート寿命は蒸着されたPETフィルムの長さで表示した。
(6)端部劣化の有無及び浸食深さ
端部劣化の有無は、寿命となったボートをクランプから外しボート端部を観察した。端部にクラックやボートの剥落が明らかに目視観察できたときに、「有り」、と評価した。浸食深さは、寿命となったボート又は端部劣化の認められたボートについて、キャビティ内の最も深く浸食された深さを、レーザー変位計(機器;キーエンス社製「LT−9000」)を用いて測定した。
端部劣化の有無は、寿命となったボートをクランプから外しボート端部を観察した。端部にクラックやボートの剥落が明らかに目視観察できたときに、「有り」、と評価した。浸食深さは、寿命となったボート又は端部劣化の認められたボートについて、キャビティ内の最も深く浸食された深さを、レーザー変位計(機器;キーエンス社製「LT−9000」)を用いて測定した。
実施例と比較例との対比から、本発明のセラミックス焼結体で構成されたボートは、ボート使用中の端部劣化が軽減され、浸食深さが小さく、ボート寿命が向上した。
本発明のセラミックス焼結体は、ボートを初め、坩堝等として使用される。本発明のボートはプラスチック等に金属を蒸着するための金属蒸発用発熱体として使用される。
Claims (6)
- 二硼化チタンと、窒化硼素と、ストロンチウム化合物と、アルミニウム化合物とを含むものにおいて、更に0.1〜8.5質量%の炭窒化チタンを含有してなるセラミックス焼結体。
- 含有率が、二硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、ストロンチウム化合物がSr換算で0.1〜2.0質量%、アルミニウム化合物がAl換算で0.2〜1.8質量%であり、酸素含有率が1.2〜2.0質量%である請求項1に記載のセラミックス焼結体。
- ストロンチウム化合物が酸化ストロンチウムであり、アルミニウム化合物がアルミニウムのホウ化物、酸窒化物及び硼酸化物から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2に記載のセラミックス焼結体。
- 窒化硼素のC軸格子定数が6.670Å以下である請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス焼結体。
- 二硼化チタンが40〜60質量%、窒化硼素が35〜55質量%、炭酸ストロンチウムが0.3〜2.5質量%、並びにアルミニウム、アルミナ及び窒化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種がAl換算で0.3〜2.0質量%を含む原料粉末を成型し、それを、非酸化性雰囲気中、温度800〜1000℃で1〜3時間保持した後、更に温度を高めて焼成するに際し、少なくとも、温度が1800〜2200℃の間でホットプレスをすることを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。
- 請求項1〜4に記載のいずれかのセラミックス焼結体で構成された金属蒸発用発熱体。
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JP2006166345A JP2007331984A (ja) | 2006-06-15 | 2006-06-15 | セラミックス焼結体、その製造方法及び金属蒸発用発熱体 |
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Cited By (1)
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CN104355623A (zh) * | 2014-10-29 | 2015-02-18 | 安徽省皖捷液压科技有限公司 | 一种阻燃耐候性佳的陶瓷喷嘴及其制作方法 |
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2006
- 2006-06-15 JP JP2006166345A patent/JP2007331984A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104355623A (zh) * | 2014-10-29 | 2015-02-18 | 安徽省皖捷液压科技有限公司 | 一种阻燃耐候性佳的陶瓷喷嘴及其制作方法 |
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