JP2007331975A - 酸化インジウム粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化インジウムを原料として用いた場合であっても、残留塩素量が少ない酸化インジウム粉末を低コストに製造する方法を提供する。
【解決手段】塩化インジウム塩を用いて合成した水酸化インジウムを、濃度0.08mol/L以上の塩基性水溶液に分散させ、サスペンションとする。該サスペンションを60〜100℃の液温に保持した後、濾過し、水洗して水酸化インジウムを得て、これを熱処理する。前記水洗後の水酸化インジウムを一旦乾燥させ、さらに硝酸アンモニウム水溶液中に分散させた後、水洗することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化インジウム粉末の製造方法に関する。さらに詳しくは、出発原料として、塩化インジウム塩を用いる酸化インジウム粉末の製造方法に関する。
酸化インジウム粉は、その導電性を利用して樹脂混練用導電性フィラーのほか、透明導電膜塗料、透明導電性薄膜作製用のターゲット材などの原料として電子材料用に広く使われている。
酸化インジウム粉は、例えば、インジウム塩水溶液にアンモニアや水酸化ナトリウム等のアルカリを添加して中和し、水酸化インジウムを晶析させ、これを水洗、乾燥、仮焼することにより作製することができる。
導電性フィラーあるいは透明導電膜塗料は、その用途が電子材料用であることから、不純物、特にハロゲン元素が含まれることが問題となる。ハロゲン元素が存在すると、電子機器内に用いられている金属の腐食、溶出が発生しやすくなるとともに、酸化インジウム粉が混合された樹脂においても経時劣化が起き易くなる。
例えば、特許文献1(特開平5−201731)には、酸化インジウムにスズをドープしたITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)粉についてではあるが、ハロゲン元素である塩素の除去に関して記載されている。塩化インジウムおよび塩化スズの混合水溶液をアルカリ水溶液で中和して得た共沈沈殿物を、デカンテーションまたは遠心分離法によって水洗し、加熱分解することによりITO粉末を得ている。
しかし、残留する塩素量を100質量ppm未満にするためには、デカンテーションまたは遠心分離法による水洗を、濾液の導電率が2000Ωcm以上、好ましくは5000Ωcm以上となるまで行う必要があり、水洗工程の高コスト化が予想される。さらに、得られたITO粉は蒸留水への溶出塩素が6〜44質量ppmであるとしているが、通常は粉末内部に溶出分より多くの塩素が残留しているものであり、粉末内部の塩素まで十分に除去されているとは言い難い。
一方、ITOに代表される透明導電性薄膜作製用のターゲット材では、ハロゲン元素が存在すると焼結性が阻害されるとされている。
例えば、特許文献2(特開平10−182150号公報)では、インジウム塩としては、焼結を阻害する塩素や硫黄を含まない硝酸インジウムが用いられている。焼結温度域、特に800℃を超える温度で揮発する成分が残存すると焼結が阻害されると考えられ、特にハロゲン元素の存在は好ましくない旨が示され、出発インジウム塩として、塩化インジウムではなく、硝酸インジウムを使用することが記載されている。
しかし、塩化インジウムを原料として酸化インジウムを合成する場合と比較すると、硝酸インジウムを原料とする場合には、硝酸は塩酸よりも高価であること、および、硝酸性窒素の廃液処理コストが高いことにより、製造コストが高くなる。
硝酸性窒素の排水処理コストは高いため、排水処理コストを含む生産コストの観点からは、硝酸性窒素が副生する硝酸インジウムを出発原料とする製造プロセスはではなく、塩化インジウムを出発原料とするプロセスの方が望ましい。
しかしながら、生産コストが安価な塩化インジウムを原料として酸化インジウムを合成すると塩素が残留するため、前述のように電子材料用としての使用は困難である。さらに、残留塩素を除去する場合には、塩素除去の困難さから製造コストが高くなるという問題点があった。
特開平5−201731号公報 特開平10−182150号公報
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、塩化インジウムを原料として用いた場合であっても、残留塩素量が少ない酸化インジウム粉末を低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る酸化インジウム粉末の製造方法は、塩化インジウム塩を用いて合成した水酸化インジウムを、濃度0.08mol/L以上の塩基性水溶液に分散させ、サスペンションとし、該サスペンションを60〜100℃の液温に保持した後、濾過し、得られた粉末を水洗し、仮焼することを特徴とする。
塩基性水溶液はアンモニア水溶液であることが好ましく、前記サスペンションを60〜100℃の液温に保持している状態で撹拌することが好ましい。
また、前記粉末を水洗後、仮焼前において、乾燥、その後さらに水洗することが好ましい。
さらに、前記粉末を水洗後、仮焼前において、乾燥、その後、硝酸アンモニウム水溶液に分散させ、濾過し、得られた粉末を水洗することが好ましい。このとき前記粉末が分散
した硝酸アンモニウム水溶液のpHを8〜11に制御することが好ましい。
本発明によれば、塩化インジウムを原料として用いた場合であっても、残留塩素量が少ない酸化インジウム粉末を製造することができ、電子材料用として好適な酸化インジウム粉を低コストで提供することができる。
本発明者は、塩化インジウムを出発原料として用いた場合であっても、残留塩素量が少ない酸化インジウム粉末を低コストで製造する方法を確立すべく、鋭意研究開発を行った。
その結果、塩化インジウム水溶液を用いて合成した水酸化インジウムを、所定の濃度の塩基性水溶液に分散させてサスペンションとし、所定の温度で保持した後、濾過、洗浄を行うことにより、効率的に水酸化インジウム中に残留する塩素の量を減らすことができることを見出し、本発明に至った。以下、本発明に係る酸化インジウム粉末の製造方法を詳細に説明する。
本発明に係る酸化インジウム粉末の製造方法は、塩化インジウム塩を用いて合成した水酸化インジウムを、濃度0.08mol/L以上の塩基性水溶液に分散させ、サスペンションとし、該サスペンションを60〜100℃の液温に保持した後、濾過し、得られた粉末を水洗して、700〜1200℃の温度で仮焼する。
塩化インジウム塩を用いて合成した水酸化インジウムを分散させてサスペンションとするための塩基性水溶液の濃度は、0.08mol/L以上とすることが必要である。0.08mol/L未満では、水酸化インジウム中に残留する塩素の量を減らすことが十分にはできないことがある。塩基性水溶液の濃度は1.0mol/L以下であることが好ましく、この濃度を超えても問題はないが、塩素除去の効果は大きくならず、コストが増加するのみである。
水洗あるいはサスペンションに用いる液量には特に制限はなく、通常に行われる液量とすればよいが、塩素を十分に吸収でき、かつ、十分に撹拌できる液量が必要であり、残留塩素量を勘案して決めればよい。
また、塩化インジウム塩を用いて合成した水酸化インジウムを前記塩基性水溶液に分散させて得たサスペンションは、60〜100℃液温に保持することが必要である。液温が60℃未満の場合、水酸化インジウム中に残留する塩素の量を減らすことが十分にはできないことがある。より好ましくは80℃以上に保持する。また、液温が100℃を超えると、塩基成分によってはその蒸発が激しくなり、塩基成分濃度が減少してしまうため、塩素の量を減らすことが十分にはできないことがある。また、100℃を超えても塩素除去の効果は大きくならず、取り扱いの危険性が増してしまう。
塩基性水溶液としては、塩素除去効果の観点から、アンモニア水溶液を用いることが望ましい。ただし、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液なども、用いることができる。
水酸化インジウムを分散させて得たサスペンションを撹拌すると、静置した場合と比較して高い脱塩素効果が得られる。サスペンションを回転により撹拌する場合、回転数は200rpm以上であることが好ましく、より好ましくは300rpm以上であり、さらに好ましくは400rpm以上である。
サスペンションを濾過し、得られた水酸化インジウムケーキを水に再分散させてサスペンションとした後、攪拌して洗浄すると、残留する塩素をより低減することができる。そして、濾過・水洗を繰り返すことで、さらに塩素を低減できる。
しかし、濾過と水洗を繰り返すだけでは塩素濃度を40質量ppm以下にするのは困難である。再度サスペンションにする前に、水洗した水酸化インジウム粉末を乾燥させた後、再度サスペンションにして、前記した工程を繰り返すと、残留塩素量の低減に効果的である。乾燥を加えることで、水酸化インジウム粉内部まで十分に再洗の水が入るため、塩素が効果的に除去できるものと思われる。
なお、乾燥工程後の洗浄は、水で行うよりも無機塩水溶液を用いて再度サスペンションにして洗浄を行うことが好ましく、特に、硝酸アンモニウム水溶液で行うことがより好ましい。さらには、硝酸アンモニウム水溶液中に水酸化インジウムを分散させて得るサスペンションのpHを8〜11に制御することがさらに好ましい。pHが11を超えても問題はないが、効果の向上が認められず、高コストとなるのみである。
以上のようにして得た水酸化インジウムの残留塩素量は100質量ppm以下と少なく、その水酸化インジウムを焼成して得る酸化インジウム粉末における残留塩素量は120質量ppm以下であって、電子材料用としては好適なものとなる。さらに得られる酸化インジウム粉末の残留塩素量が少ないほど、電子材料用として好適であるため、得られる酸化インジウム粉末の残留塩素量は、40質量ppm以下であることが好ましく、20質量ppm以下であることがより好ましい。
[実施例1〜9、比較例1〜2]
実施例1〜9、比較例1〜2では、合成した水酸化インジウムを分散させるサスペンションに用いるNH4OH水溶液の濃度およびその液温が、最終的に得られる水酸化インジウム中に残留する塩素の量へ及ぼす影響について検討した。
(実施例1)
1.09mol/Lの塩化インジウム水溶液140Lに当量分の25質量%NH4OH水溶液を供給して水酸化インジウムを合成し、濾過した。合成した水酸化インジウムを質量比で約15倍の純水で水洗した後、同じ質量比の0.1mol/LのNH4OH水溶液に分散させてサスペンションとした。撹拌は行わず、これを80℃で1時間保持した後、濾過し、同じ質量比で水洗を行ったところ、最終的に得られた水酸化インジウム粉末中に残留する塩素の量は58質量ppmであった。以上の結果を下記表1に示す。本実施例における水酸化インジウム中の残留塩素量は、乾燥後の水酸化インジウムを蛍光X線定量分析(PnNalytical製Magix)にて測定した。また、塩素含有量が100質量ppm以下のものについては、乾燥後の水酸化インジウムを硝酸で溶解し、硝酸銀を加えて塩化銀を沈殿させ、沈殿物中の塩素を検量線による蛍光X線定量分析(PnNalytical製Magix)にて測定することで残留塩素量を求めた。
(実施例2〜9、比較例1〜2)
実施例1と同様の方法で水酸化インジウムを合成した。合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の濃度を下記表1に示す通りとし、サスペンションの保持温度と保持時間を変更した以外は、実施例1と同様の方法で洗浄した。最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は、下記表1に示す通りとなった。図1に、サスペンションの保持温度を80℃、保持時間を1時間としたときの合成した水酸化インジウムを分散させサスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の濃度と、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量との関係を示す。
Figure 2007331975
表1および図1から明らかなように、サスペンションの保持温度が本発明の範囲である80℃としたとき、合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の濃度が0.05mol/Lでは、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は2145質量ppmと非常に大きくなったのに対し、サスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の濃度が0.05mol/Lよりも大きくなると、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は82質量ppm以下と小さくなった。したがって、合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いるNH4OH水溶液の濃度は0.05mol/Lよりも大きくする必要があることがわかる。
また、サスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の温度が60℃以上であれば、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は98質量ppm以下と小さくなったのに対し、サスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の温度が25℃の比較例1では、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は2034質量ppmと大きくなった。したがって、合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いるNH4OH水溶液の温度は60℃以上する必要があることがわかる。
[実施例10〜12比較例3〜5]
実施例10〜12比較例3〜5では、合成した水酸化インジウムを分散させるサスペンションに用いる水溶液をNH4OH水溶液ではなく、NaOH水溶液とした。そして、NaOH水溶液の濃度が、最終的に得られる水酸化インジウム中に残留する塩素の量へどのように影響するかについて検討した。
水酸化インジウムの合成は、実施例1と同様の方法で行った。合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いた水溶液を、NH4OH水溶液ではなくNaOH水溶液とし、その濃度を下記表2に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法で洗浄した。最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素量およびナトリウム量は、下記表2に示す通りとなった。
Figure 2007331975
表2からわかるように、合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いる塩基水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合であっても、その濃度が0.05mol/Lより大きくなると、最終的に得られる水酸化インジウム中に残留する塩素の量は急激に少なくなる。しかし、水酸化インジウム中の塩素品位はNH4OH水溶液を用いた場合と比較して若干高い。また、水酸化ナトリウムを用いると最終的に得られる水酸化インジウム中にもNaが残留する。したがって、塩基性水溶液としては、NH4OH水溶液を用いる方が望ましい。
[実施例13〜15]
実施例13〜15では、合成した水酸化インジウムを分散させたサスペンションに対する撹拌が、最終的に得られる水酸化インジウム中に残留する塩素の量へどのように影響するかについて検討した。
1.05mol/Lの塩化インジウム水溶液140Lに当量分の25質量%NH4OH水溶液を供給して水酸化インジウムを合成し、濾過した。合成した水酸化インジウムを実施例1と同様に水洗した後、0.1mol/LのNH4OH水溶液に分散させてサスペンションとし、80℃で1時間保持した。保持している間はAS ONE CORPORATION製 TORNADO PM-203型を用いて撹拌を行った。攪拌の回転数は、200rpm(実施例13)、300rpm(実施例14)、400rpm(実施例15)とした。その後、濾過し、実施例1のようにして水洗を行ったところ、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は表3に示す通りとなった。撹拌を行わなかった実施例1の水酸化インジウム中の残留塩素量が58質量ppmであるのに対して、撹拌の回転数の増加に伴い、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量が少なくなることがわかる。
Figure 2007331975
[実施例16〜17]
実施例16〜17では、サスペンションからの濾過後の水酸化インジウムを一旦乾燥させてから、さらに洗浄する効果について検討した。
0.88mol/Lの塩化インジウム水溶液140Lに当量分の25質量%NH4OH水溶液を供給して水酸化インジウムを合成し、濾過した。合成した水酸化インジウムを実施例1と同様に水洗した後、実施例1と同じ質量比の0.2mol/LのNH4OH水溶液に分散させてサスペンションとした。そして、回転数を200rpmにして、80℃にて1時間攪拌した。
その後、濾過し、実施例1のようにして水洗を行い、110℃で一旦乾燥させた後、同じ質量比で再度水に分散させて水洗を行ったところ、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は28質量ppmとなった(実施例16)。
実施例16と同様に、サスペンションとし、撹拌させ、濾過、水洗、乾燥を行った。得られた水酸化インジウムを同じ質量比の0.1mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液中に再分散させ、200rpmで1時間撹拌した後、乾燥前と同様に濾過し、水洗したところ、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は18質量ppmとなった(実施例17)。
[実施例18〜20]
実施例18〜20では硝酸アンモニウム洗浄におけるpHの効果について検討を実施した。
0.1mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液中に再分散させたサスペンションにNH4OH水溶液を添加してpHを8(実施例18)、9(実施例19)、11(実施例20)に調整した以外は実施例17と同様の処理を行ったところ、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量は表4に示す通りとなった。pH無調整の場合と比較して、NH4OHを添加してpHを8〜11に調整した場合は、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量が少なくなることがわかる。
Figure 2007331975
[焼結体の作製および焼結体の相対密度の算出]
脱塩素処理を施して最終的に得られた水酸化インジウムを850℃、大気中雰囲気で仮焼して酸化インジウムとし、その後、ハンマーミルで粉砕した。粉砕後の酸化インジウム粉の残留塩素濃度は、水酸化インジウムの残留塩素濃度を仮焼による質量減少分で換算することにより求めた。また、酸化インジウム粉のBET比表面積を、ユアサアイオニクス製 MULTISORB 16型で測定した。得られた酸化インジウム粉を400kgf/cm2の圧力で一軸成型し、得られた成型体を1500℃で5m3/minの流量の酸素気流中で焼成した。焼成後の焼結体の質量および寸法を測定して焼結体密度を算出し、酸化インジウムの真密度を7.0g/cm3として相対密度を算出した。これらの結果をあわせて表5に示す。
Figure 2007331975
表4からわかるように、本発明の範囲内の製造方法で作製した実施例1、実施例8、実施例13〜20は水酸化インジウム中の残留塩素量が100質量ppm以下と少なく、また、酸化インジウム中の残留塩素量も120質量ppm以下と少なく、最終的に得られた焼結体の相対密度は62〜98%と大きくなった。特に酸化物の残留塩素量が20質量ppm以下の場合は焼結体の相対密度は90%以上と非常に大きくなる。
それに対して、水酸化インジウム合成後のサスペンションにおけるアンモニア水溶液濃度と保持温度が本発明の製造方法の範囲から外れる比較例1および2は、水酸化インジウム中の残留塩素量が100質量ppmより大きくなり、また、酸化インジウム中の残留塩素量も120質量ppmより大きくなり、得られた焼結体の相対密度は60%を下回った。
サスペンションの保持温度を80℃、保持時間を1時間としたときの合成した水酸化インジウムを分散させ、サスペンションとするのに用いたNH4OH水溶液の濃度と、最終的に得られた水酸化インジウム中に残留する塩素の量との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 塩化インジウム塩を用いて合成した水酸化インジウムを、濃度0.08mol/L以上の塩基性水溶液に分散させ、サスペンションとし、該サスペンションを60〜100℃の液温に保持した後、濾過し、得られた粉末を水洗し、仮焼することを特徴とする酸化インジウム粉末の製造方法。
  2. 塩基性水溶液がアンモニア水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の酸化インジウム粉末の製造方法。
  3. 前記サスペンションを60〜100℃の液温に保持している状態で攪拌することを特徴とする請求項1または2に記載の酸化インジウム粉末の製造方法。
  4. 前記粉末を水洗後、仮焼前において、乾燥、その後さらに水洗することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化インジウム粉末の製造方法。
  5. 前記粉末を水洗後、仮焼前において、乾燥、その後、硝酸アンモニウム水溶液に分散させ、濾過し、得られた粉末を水洗することを特徴とする請求項1〜3に記載の酸化インジウム粉末の製造方法。
  6. 前記粉末が分散した硝酸アンモニウム水溶液のpHを8〜11に制御することを特徴とする請求項5に記載の酸化インジウム粉末の製造方法。
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