JP2007331572A - 車室内用覚醒照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車室乗員の居眠りを防止する覚醒照明装置を提供する。
【解決手段】筐体12の内側に、乗員にメラトニン分泌を抑制して覚醒を促す波長光(覚醒光)を得るための光源となるLED14を配置する。LED14の下方の車両室に向いた面には、半透明又は透光性部材からなる室内レンズなどの導光体20が筐体12に嵌め込まれて配置される。導光体20の一部には、凹形状のマップレンズ22が形成される。マップレンズ22は、LED14からの光を図中矢印で示される運転手のアイポイント方向に導くことで、運転手の顔部付近に覚醒光をスポット状に照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両乗員に覚醒を促す効果を有する光を用いた車室内用覚醒照明装置に関する。
従来より、車室内で用いられる覚醒照明装置が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2)。こうした覚醒照明装置は、車両室内の天井部や運転席前部のインストルメントパネルに設けた光源から乗員顔部に向けて所定照度の光を照射することで乗員に覚醒を促す。
ところで近年、光の波長の中に、メラトニンの分泌を抑制する効果を有する波長の光が存在することが確認されるようになった(例えば非特許文献1)。メラトニンは眠気を促すホルモン物質として知られており、脳の松果体から分泌される。特に夜間の入眠前から睡眠前半の時間帯(一般に午後10時ごろから深夜にかけて)に多く分泌することで、人に体温低下や入眠を促すと考えられている。非特許文献1には、波長440nmから600nmまでの光に対するメラトニン分泌抑制度についての調査結果が示されており、このうち波長464nmの光の持つメラトニン分泌抑制効果が最も高いとしている。
このことを利用した提案として、屋内用の照明装置が知られている(例えば特許文献3)。この装置は、メラトニン分泌抑制効果の高い波長の光を除去した照明光を用いることで覚醒作用を抑制し、夜間における視覚情報を確保すると同時に、後の入眠を阻害しないようにする。
"Action Spectrum for Melatonin Regulation in Humans:Evidence for a Novel Circadian Photoreceptor"、The Journal of Neuroscience、August 15,2001,21(16)、6405-6412、Brainard et al. 特開2006−27533号公報 特開2006−56407号公報 特開2005−230171号公報 特開2000−272409号公報
近年、交通事故の未然防止のために車両の安全性の確保が求められている。こうした中、居眠り運転等の人的要因に起因するとされる事故に対しても、新技術活用により車両の安全性を向上し、事故予防を図ることが期待される。特に、夜間に自動車を運転する機会が増加した昨今においては、夜間における居眠り運転の防止対策の高度化は重要な課題である。
ところで、特許文献1及び2に記載の覚醒照明装置は、覚醒作用において光の照度のみに着目している。しかし、このような構成だけでは十分な覚醒効果が得られない可能性がある。また、運転手の顔面において光を一定時間高照度に維持するために、比較的大きな照明用電力が必要となり実用上好ましくない。
また一方、特許文献3に記載の屋内用照明装置は、メラトニン分泌抑制効果の高い波長光をカットする点において光の波長に着目する。しかし、その目的は居室内における夜間の受光によって後の入眠を妨げない照明としてであり、車両の乗員に覚醒を促す場合に応用する際の具体的手段については必ずしも明らかとされていない。
本発明は、覚醒作用の発揮において光の波長に着目したものであり、その目的は、車両乗員の覚醒を促進する波長の覚醒光を射出する光源を備える車室内用の車室内用覚醒照明装置を提供することである。
本発明に係る車室内用覚醒照明装置は、車両乗員に覚醒作用を促す覚醒光を照射する光源を備え、覚醒光は、略410nmないし505nmの波長成分を有する光であることを特徴とする。覚醒光のピーク波長は、略464nmであることが好ましい。
本発明に係る他の車室内用覚醒照明装置は、覚醒光の射出方向が、車両運転手のアイポイント方向に合わせられていることを特徴とする。
本発明に係る他の車室内用覚醒照明装置は、車両運転手の顔部における覚醒光の照度を段階的又は連続的に変更調整する照度調整手段を備えることを特徴とする。上記において、光源を点灯又は消灯させるスイッチ手段を備えることが好ましい。さらに、時刻情報を発生する時刻発生手段を備え、スイッチ手段は、時刻発生手段により発生された時刻情報に基づいて光源を点灯及び消灯させることが好ましい。
本発明に係る他の車室内用覚醒照明装置は、車両室内の比較的広い範囲を照明するルーム光を照射する光源と、乗員の手元等の車両室内の比較的狭い範囲を照明するマップ光を照射する光源とを備えることを特徴とする。
上記構成により、本発明に係る覚醒照明装置は、車両乗員に眠気を催させる原因物質とされるメラトニンの分泌を抑制する効果を奏する。このため、車両運転手の居眠り防止、ひいては居眠り運転事故の未然防止、道路交通環境の改善に寄与する。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の車室内用覚醒照明装置10の概略構成を示す断面図である。覚醒照明装置10は、車両室内の、例えば運転席前方に設けられた操作パネル部、天井部又はルームミラーの近傍に設けてもよい。また、例えば特許文献4に示すような、一つの筐体内にルームランプ、マップランプ等を収容して車両室内の天井部に設けられるオーバーヘッドモジュールに組み込んで用いてもよい。
図1に示すように、車室内用覚醒照明装置10の筐体12の内側には、乗員にメラトニン分泌を抑制して覚醒を促す波長光(覚醒光)を得るための光源となるLED14と、照明用の光源となるバルブ16とが基板18に配置されている。LED14とバルブ16の下方の車両室に向いた面には、半透明又は透光性部材からなる室内レンズなどの導光体20が筐体12に嵌め込まれるように配置されており、導光体20の一部には、凹形状のマップレンズ22が形成されている。導光体20は、バルブ16からの光を拡散して車両室内の比較的広い範囲に向けてドーム光を照射する。マップレンズ22は、バルブ16からの光を図中矢印で示されるマップ方向に導き、マップ光として運転手(車両の運転席に座った乗員)の手元又はひざ付近をスポット状に照射する。さらに、マップレンズ22は、LED14からの光を図中矢印で示される運転手のアイポイント方向に導くことで、運転手の顔部付近に覚醒光をスポット状に照射する。
この構成において、覚醒光は運転手のアイポイント方向に向いているので、運転手の視覚を刺激することでメラトニン分泌を抑制し、運転手に覚醒を促す。一方、ドーム光は車両室内を比較的広範囲に照射し、マップ光は運転手の手元などの比較的小範囲を照射する。従って本実施形態では、運転手の覚醒促進はもちろんのこと、車室内の広域な照明及びスポット照明という複数の機能を、一の装置で簡易かつ安価に実現できる。なお、覚醒光の光源としてのLED14の配置位置を左右又は上下方向にずらすことで、覚醒光を導くための導光体を新たに設けることなしに、その光軸をアイポイント方向に容易に向けることができる。
上記において、図1における凹形状のマップレンズ22の代わりに図2に示すような凸形状のマップレンズ24を形成するようにしても、上記と同様の作用・効果を得ることができる。
(変形例)
図3に、本発明に係る他の実施形態の車室内用覚醒照明装置30の構成を示す。図3に示すように、車室内用覚醒照明装置30の筐体32と筐体34の内側には、マップ光用の光源となるLED36と、覚醒光用の光源となるLED38とが基板40に配置されている。LED36、38の斜め下方の車両室に向いた面には、半透明又は透光性部材からなるマップレンズ42が、LED36からの光をマップ方向に配光可能なように筐体32と筐体34の間に嵌め込まれて配置されている。マップレンズ42は、LED38からの光をアイポイント方向に、LED36からの光をマップ方向に導く。
また、筐体32と筐体12の間の内側には、照明用の光源となるバルブ16が基板18に配置され、バルブ16の下方の車両室に向いた面には、導光体20が筐体32と筐体12の間に嵌め込まれるように配置されている。導光体20は、バルブ16からの光を拡散して車両室内の比較的広い範囲に向けてドーム光を照射する。この構成においても上記と同様の作用・効果を得ることができる。
上記変形例において、マップレンズ42に代え、又はマップレンズ42とともに、LED38からの覚醒光をアイポイント方向に導くための専用レンズを配置してもよい。この場合、専用レンズは、略410nmから505nmの波長範囲を含む覚醒光を照射可能なレンズを使用してもよい。この覚醒光は、この波長範囲にピーク波長を有してもよいし、覚醒促進作用が最も高いとされる略464nmにピーク波長を有してもよい。
また、上記変形例において、図3に示すように、覚醒光用の光源となるLED38をバルブ16の近傍に併置してもよい。この場合、導光体20は、バルブ16からの光とともにLED38からの光も導いて、車両室内の比較的広い範囲に向けてドーム光と覚醒光とを照射してもよい。さらに、図4に示すように、マップ光の機能を省略した構成としてもよい。
上記実施形態において、覚醒光は、略410nmから505nmの波長範囲を含む光としてよいし、この波長範囲にピーク波長を有する光としてもよい。また、覚醒促進作用が最も高いとされる略464nmにピーク波長を有してもよい。
上記実施形態において、減光回路や調光スイッチを有していてもよく、例えば夜間、運転手が安全運転するのに適した明るさに覚醒光の光源の光度や輝度を調光可能な構造としてもよい。この場合、運転手の顔部又はアイポイントにおける覚醒光の照度を20〜3000ルクスの範囲、アイポイント方向から見た輝度を50〜3000cd/m2の範囲で調節可能なようにしてもよい。覚醒効果は覚醒光の照度の大小により異なると考えられているため、覚醒光の光源の輝度を変更することで、アイポイントでの覚醒光の照度を使用者の所望する照度に設定することにより、覚醒効果の大小を選択できるようにしてもよい。この場合、例えば、眠気が強い場合には覚醒光の光源の輝度を上げ、眠気が弱い場合には下げるというように調整してもよい。また、乗員が煩わしいと感じる照度の場合は、照度を下げて使用してもよい。
また、車両走行中に覚醒光の光源が自動的に減光するようにしてもよい。例えば、覚醒光の照射を受け、覚醒の効果をある程度自覚するようになると、覚醒光の照度を低く落としたいと考える運転手もいる。しかし、これが車両走行中であると手動操作が煩わしいと感じることがある。このような場合に備えて、本装置にて所定時間経過後に覚醒光が減光するように車両停止中に予め設定しておくとともに、車両走行中にその減光がなされるようにしてもよい。さらに所定光度を段階的に又は連続的に低くした後で、覚醒光の光源が自動的に消灯するようにしてもよい。これにより、覚醒光の受光が自動的に低減され得るので、乗員の乗車快適性は損なわれずに済む。
上記実施形態において、覚醒光を得る光源をON及びOFFするスイッチのうち少なくとも一つを備えてもよい。こうしたスイッチを設けることで、乗員の意思に基づいて覚醒光の点灯及び消灯を自由に設定できる。例えばメラトニンの分泌を抑制する効果の大小は、その乗員が受けた受光強度及び受光時間の積分値によって決まると考えられていることから、眠気が強い場合には覚醒光の光源を予めONに設定しておいて覚醒光を長時間浴びるようにしてもよい。また、眠気を感じなくなった場合や、駐車して仮眠する場合には、スイッチをOFFに切り替えて覚醒光の光源を消灯してもよい。このように、乗員自らが都合のよい時間帯に、自己の身体の状態や要求に応じて、スイッチのON及びOFFを適宜切り替えるようにしてもよい。
ON又はOFFするスイッチのいずれか一方のみを設けることとした場合には、車両ドアの解錠、車室内の乗員の有無、車両エンジンの始動等の動作と連動して覚醒光の光源が自動的にON又はOFFするように制御してもよい。
また、覚醒光の光源のスイッチは、「ON/OFF」の2モードや、「ON/常時ON/OFF」の3モードで構成してもよい。例えば3モードの場合では、スイッチが「ON」のときは、乗車ドアの解錠又はドアオープンに合わせて覚醒光の光源が点灯するようにしてもよい。そして、ドアクローズ、シフトパーキングレンジの解除、手動操作によるスイッチOFF又はマップ光のスイッチのON操作に合わせて覚醒光の光源を消灯するようにしてもよい。スイッチが「常時ON」のときは、ドアの解錠又はドアオープンに合わせて覚醒光の光源が点灯するようにしてもよい。そして、乗員の退去、手動操作によるスイッチOFF又はマップ光スイッチONに合わせて消灯することとしてもよい。なお、この場合、乗車席に乗員検知センサを設けて乗員の退去を検知してもよい。スイッチが「OFF」のときは、常時点灯しないようにしてもよい。
また、スイッチにタイマースケジュール機能を設けてもよく、さらに自動調光機能と組み合わせて用いてもよい。例えば、昼間の運転時など覚醒促進が不要な時間帯には覚醒光の光源の減光を効果的に実施するようにし、そして、夜間の運転時など覚醒促進が必要な時間帯に合わせて自動的に覚醒光の光源が点灯し、その輝度を徐々に上昇させるようにしてもよい。このように覚醒促進効果を発揮すべき適切な時間帯にのみ覚醒光が点灯するように制御を行うことで、覚醒光用電力の節減及び消費効率化を図ることとしてもよい。
また、乗員から見て覚醒光の光源がマップ光の光源とは異なる色で視認されるようにしてもよい。また、覚醒光の光源のON又はOFFによって点灯又は消灯するインジケータを設け、使用者がインジケータの点灯又は消灯によって、覚醒光の光源のON又はOFFを確認できるようにしてもよい。これにより、どちらの光源を使用しているのかを容易に把握できるようになり、誤操作を未然に防止することができる。
また、車室内に配装されたヒータコントロール装置等のインジケータの光源に覚醒光を得る光源を適用してもよい。すなわち、車室内に配設されたインジケータの照射方向は通常、運転手のアイポイント方向に合わされているので、インジケータから覚醒光を発することで、車室内に配装された装置を大きく改変することなく簡易かつ安価に上記と同様の作用・効果を得ることができる。
本発明の実施形態に係る覚醒照明装置の一例を示す断面図であり、導光体に凹形状のマップレンズが形成されている図である。 本発明の実施形態に係る覚醒照明装置の一例を示す断面図であり、導光体に凸形状のマップレンズが形成されている図である。 本発明の実施形態に係る覚醒照明装置の一例を示す断面図であり、専用のマップレンズを備える場合の図である。 本発明の実施形態に係る覚醒照明装置の一例を示す断面図であり、マップレンズを備えない場合の図である。
符号の説明
10,30 (車室内用)覚醒照明装置、12,32,34 筐体、14,38 LED(覚醒光用の光源)、16 バルブ(照明用の光源)、18,40 基板、20 導光体、22,24,42 マップレンズ、36 LED(マップ光用の光源)。

Claims (7)

  1. 車両乗員に覚醒作用を促す覚醒光を照射する光源を備え、
    覚醒光は、略410nmないし505nmの波長成分を有する光であること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
  2. 請求項1に記載の車室内用覚醒照明装置において、
    覚醒光のピーク波長は、略464nmであること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車室内用覚醒照明装置において、
    覚醒光の射出方向が、車両運転手のアイポイント方向に合わせられていること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一つに記載の車室内用覚醒照明装置において、
    車両運転手の顔部における覚醒光の照度を段階的又は連続的に変更調整する照度調整手段を備えること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一つに記載の車室内用覚醒照明装置において、
    光源を点灯又は消灯させるスイッチ手段を備えること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
  6. 請求項5に記載の車室内用覚醒照明装置において、
    時刻情報を発生する時刻発生手段を備え、
    スイッチ手段は、時刻発生手段により発生された時刻情報に基づいて光源を点灯及び消灯させること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一つに記載の車室内用覚醒照明装置において、
    車両室内の比較的広い範囲を照明するルーム光を照射する光源と、乗員の手元等の車両室内の比較的狭い範囲を照明するマップ光を照射する光源とを備えること
    を特徴とする車室内用覚醒照明装置。
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