JP2007331284A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにそれらの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにそれらの製造方法 Download PDF

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友紀 松下
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Abstract

【課題】低電圧駆動が可能で且つ振動板の変位量を拡大することが可能な静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、これらの製造方法を提供する。
【解決手段】振動板22と、振動板22にギャップを介して対向配置された個別電極12とを備え、振動板22と個別電極12との間に電圧を印加することにより発生する静電気力によって振動板22を変位させる静電アクチュエータであって、振動板22は、振動板22の振動板端部22bが支持された状態で振動するものであり、その振動板端部22bの振動板22の厚みをその振動板端部22b以外の振動板中央部22aの厚みよりも薄く形成して振動板22の個別電極12とは反対側の面を段差構造にし、且つ、振動板中央部22aにおいて個別電極12に対向する面側に凹部22cを形成して振動板22の個別電極12に対向する面側も段差構造にした。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッド等の駆動機構として用いられている静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、それらの製造方法に関するものである。
従来より、液滴吐出ヘッドとして、駆動手段に発熱素子等を利用したサーマル方式や、アクチュエータ駆動方式の液滴吐出ヘッドがある。アクチュエータ駆動方式としては、駆動手段に静電気力を利用した、いわゆる静電駆動方式や、圧電素子(ピエゾ素子)を利用した、いわゆる圧電駆動方式がある。
アクチュエータ駆動方式の液滴吐出ヘッドでは、吐出室の一部を構成する振動板を静電気力や圧電素子の圧電効果によって弾性変位させ、圧力室内に圧力を発生させることによりノズルから液滴を吐出させるようにしている。この種の液滴吐出ヘッドでは、近年、高速印字に対応するため多ノズル化が進んでおり、また高解像度化の要求から微小なアクチュエータが求められている。しかしながら、アクチュエータが小型化、高密度化されると、振動板の変位量が不十分となり、これにより液滴吐出時の液滴排除体積が低下するという問題があった。
そこで、圧電駆動方式の液滴吐出装置では、圧電素子の積層数を増やすことで振動板の変位量を大きくし、排除体積を大きくするようにしていた(例えば、特許文献1)。
特開2004−255605号公報
特許文献1の技術では、圧電素子の積層数を増やすことにより振動板の変位量を大きくしているが、この場合、圧電素子全体が厚くなりアクチュエータが大型化してしまう。また、静電駆動方式のアクチュエータにおいて同様に振動板の変位量を大きくしようとすると、振動板と、これに対して対向配置されている対向電極との間の静電気力を増加させる必要があり、このために駆動電圧を大きくする必要がある。しかしながら、駆動電圧は、振動板と対向電極との短絡及び絶縁破壊防止するために設けている絶縁膜の絶縁耐性の関係から制限があり、よって、十分な振動板変位量を確保できず、かかるアクチュエータを液滴吐出ヘッドの駆動手段として適用した場合に、排除体積の向上ができないという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、低電圧駆動が可能で且つ振動板の変位量を拡大することが可能な静電アクチュエータを提供することを目的とする。また、この静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置を提供し、併せてこれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエータは、振動板と、振動板にギャップを介して対向配置された対向電極とを備え、振動板と対向電極との間に電圧を印加することにより発生する静電気力によって振動板を変位させる静電アクチュエータであって、振動板は、振動板の外周端部が支持された状態で振動するものであり、その外周端部の振動板の厚みをその外周端部以外の振動板中央部の厚みよりも薄く形成して振動板の対向電極とは反対側の面を段差構造にし、且つ、振動板中央部において対向電極に対向する面側に凹部を形成して振動板の対向電極に対向する面側も段差構造にしたものである。
このように、振動板の外周端部を振動板中央部に比べて薄く形成したので、振動板が撓みやすくなって当接電圧(振動板を変位させて電極に当接させるときの電圧)を低くすることが可能となる。また、振動板中央部において対向電極に対向する面側に凹部を設けたので、凹部を設けなかった場合に比べて振動板の変位量を増加させることが可能となる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記の静電アクチュエータを有し、静電アクチュエータを液滴吐出の駆動手段として用いるものである。
これにより、低電圧駆動可能で且つ吐出特性を向上することが可能な液滴吐出ヘッドを得ることができる。
また、本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
これにより、低電圧駆動可能で且つ吐出特性を向上することが可能な液滴吐出装置を得ることができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法であって、振動板を形成するにあたり、シリコン基板の一方の面に選択的にボロンを拡散する第1のボロン拡散工程と、第1のボロン拡散工程によってシリコン基板のボロン拡散部分表面に形成される第1のボロン化合物層を除去して凹部を形成する工程と、シリコン基板の一方の面の全面にボロンを拡散する第2のボロン拡散工程と、第2のボロン拡散工程によってシリコン基板のボロン拡散面の表面に形成される第2のボロン化合物層を除去する工程と、第2のボロン化合物層除去後のシリコン基板をウェットエッチングし、第1、第2のボロン拡散工程により形成されたボロンドープ層を、エッチングストップ技術により振動板として形成する工程と、振動板の対向電極に対向する面側に、絶縁膜を形成する工程とを行うものである。
このように、第1のボロン拡散工程後に第1のボロン化合物層を除去することにより、振動板変位量増加に寄与する凹部を形成することが可能となり、また、第2のボロン拡散工程後に第2のボロン化合物層を除去することにより、絶縁膜と振動板との密着強度を高めることが可能となる。すなわち、この製造方法によれば、排除体積の増加に寄与する凹部の形成と、絶縁膜と振動板との密着強度を高めるのに必要な処理とを、各ボロン拡散工程後にボロン化合物層を除去する工程を行うことによって実現できる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造するものである。
これにより、低電圧駆動可能で且つ吐出特性を向上することが可能な液滴吐出ヘッドを製造することができる。
また、本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造するものである。
これにより、低電圧駆動可能で且つ吐出特性を向上することが可能な液滴吐出装置を製造することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。図1は液滴吐出ヘッドの一部を示している(ここではノズルを5つしか設けていないが実際にはさらに多くのノズルを有している)。本実施の形態1では、例えば静電方式で駆動する静電アクチュエータを用いる素子(デバイス)の代表として、フェイスイジェクト型の液滴吐出ヘッドについて説明する。(なお、構成部材を図示し、見やすくするため、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものと異なる場合がある。また、図の上側を上とし、下側を下とし、ノズルが並んでいる方向を短手方向、短手方向と垂直な方向を長手方向として説明する)。
図1に示すように本実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドは、電極基板10、キャビティ基板20、ノズル基板30を下から順に積層することにより構成する。一般的に、電極基板10とキャビティ基板20とは陽極接合により接合している。また、キャビティ基板20とノズル基板30とはエポキシ樹脂等の接着剤を用いて接合している。
電極基板10は、厚さ約1mmであり、図1で見るとキャビティ基板20の下面側と接合される基板である。本実施の形態1においては、電極基板10はホウ珪酸系の耐熱硬質ガラスによる基板を用いることにする。また、電極基板10には、例えば深さ約0.2μmの凹部11を設けている。
凹部11の内側(特に底面部分)には、個別電極12、リード部13及び端子部14(以下、特に区別する必要がない場合はこれらを合わせて電極15として説明する)を設ける。本実施の形態では、電極15の材料として酸化錫を不純物としてドープした、透明(可視光領域)のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用い、例えばスパッタリングにより0.1μmの厚さで形成するものとする。凹部11の深さが0.2μmであり、電極15の厚さが0.1μmであるため、キャビティ基板20(振動板22)と電極15との間には、後述する図2に示すような空隙(ギャップ)ができる。なお、本実施の形態では電極15の材料としてITOを用いているが、これに限定するものではない。例えばクロム、金等の金属等を材料に用いることもできる。また、電極基板10には、他にも、リザーバ23と連通して外部タンク(図示せず)からリザーバ23に吐出する液体を供給するための液体供給口16を設ける。
キャビティ基板20は、例えばシリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板という)を主たる材料として構成されている。シリコン基板に例えば異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)等を行い、底壁が振動板22となり、振動板22により圧力を加える液体を一時的にためる吐出室21、各ノズル孔31から吐出する液体を共通にためておくための共通液室となるリザーバ23となる凹部をキャビティ基板20上に形成する。振動板22は、キャビティ基板20となるシリコン基板内にドープ(拡散、添加)することにより形成された高濃度のボロン(ホウ素)ドープ層によりできており、後述するように振動板22の吐出室21側の面は、振動板中央部22aと振動板端部22bとにより2段構成となっており、さらに、振動板22の個別電極12と対向する側の面は、振動板中央部22aの個別電極12側に凹部22cが形成されて、同様に2段構成となっている。そしてキャビティ基板20には、電極基板10上の個別電極12と反対の電荷をシリコン基板(振動板22)に供給するための共通電極端子24を設けている。
また、キャビティ基板20の下面(電極基板10と対向する面)には、TEOS(ここでは、Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン(珪酸エチル)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )法によりできるSiO2 の絶縁膜25を0.1μm成膜する。ここでキャビティ基板20の上面(ノズル基板30と対向する面)には、SiO2 による液体保護膜(図示せず)を成膜するようにしてもよい。
ノズル基板30も例えばシリコン基板で構成されており、電極基板10とは反対の面(図1の場合には上面)で、キャビティ基板20と接合されている。ノズル基板30にはノズル基板30を貫通する複数のノズル孔31を形成し、吐出室21により加圧されたインク等の液体を液滴として吐出する。さらに下面には吐出室21とリザーバ23とを連通させるためのオリフィス32を形成する。
ここではノズル孔31を有するノズル基板30が上面側となり、電極基板10が下面側となっているが、実際には、ノズル基板30の方が電極基板10よりも下面となって用いられることが多い。また、図1では示していないが、振動板22が撓むことでリザーバ23方向に加わる圧力を緩衝するダイヤフラムが設けられている場合もある。
図2は液滴吐出ヘッドの吐出室の長手方向の断面図、図3は図1の液滴吐出ヘッドの吐出室の短手方向の断面の一部を示す図である。
図2及び図3に示すように、本実施の形態1では、振動板22の吐出室21側及び個別電極12側の表面を段状に形成して段差を設ける。まず、中央の部分を一部を従来の厚さ(約0.8μm)と同程度の厚さで形成する(この部分を振動板中央部22aとする)。また、残りの部分すなわち振動板22の振動を支持する振動板22の外周端部を振動板中央部22aよりも薄く形成する(この部分を振動板端部22bとする)。これにより、振動板22の吐出室21側の面が段差構造となる。また、さらに、振動板中央部22aの個別電極12側に凹部22cを形成する。これにより、振動板22の個別電極12側の面が段差構造となる。
次に、このように構成された液滴吐出ヘッドの動作を説明する。
発振回路41は、例えば24kHzで発振し、個別電極12に例えば0Vと30Vのパルス電圧を印加して電荷供給を行う。発振回路41が発振駆動し、各個別電極12に選択的に電荷を供給して正に帯電させ、また、振動板22を相対的に負に帯電させる。このとき、静電気力により振動板22は個別電極12に引き寄せられて撓む。これにより吐出室21の容積は広がる。電荷供給を止めると振動板22は元に戻るが、そのとき吐出室21の容積も元に戻り、その圧力により液滴が吐出する。この液滴が例えば吐出対象物に着弾して印刷等が行われる。
ここで、本例の液滴吐出ヘッドでは、振動板22の振動板中央部22aよりも振動板端部22bを薄く形成したので、振動板全体が撓みやすくなるため、低電圧で駆動することが可能となる。また、振動板中央部22aの個別電極12側に凹部22cを設けたため、凹部22cを設けなかった場合に比べて液滴の排除体積を増加させることができ、吐出特性を向上することが可能となる。
次に、図4〜図6を参照して実施の形態1に係る静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッドの製造工程を説明する。図4、図5は、振動板22となるボロンドープ層の形成工程図、図6は、図5に続く液滴吐出ヘッドの製造工程図である。ここで、実際には、ウェハ単位で複数個分を同時形成し、他の基板と接合等をした後、個々に切り離して液滴吐出ヘッドを製造するが、図4、図5では、1つの液滴吐出ヘッドの一部分を短手方向で切ったときの断面を示しており、図6では、1つの液滴吐出ヘッドの一部分を長手方向で切ったときの断面を示している。
まず、シリコン基板61の片面(電極基板10との接合面側となる)を鏡面研磨等し、例えば220μmの厚みの基板(キャビティ基板20となる)を作製する(図4(a))。そして、振動板22の厚さを複数段(ここでは2段)にするため、ボロンを拡散する際のマスクとなる、酸化シリコン(SiO2 )膜62を表面に形成する(図4(b))。
さらに、レジスト膜63を塗布(図4(c))し、フォトリソグラフィ法によりレジスト膜63をパターニングする(図4(d))。そして、例えば、ウェットエッチング法により、レジスト膜63の開口部分の酸化シリコン膜62をフッ酸等でエッチングし、シリコン基板61のボロンを拡散する部分(ここでは振動板端部22bとなる)を露出させレジスト膜63を剥離する(図4(e))。
そして、シリコン基板61のボロンドープ層64を形成する面を、B23を主成分とする固体のボロン拡散源71に対向させ(図4(f))、縦型炉に入れて、シリコン基板61が露出した部分についてボロンを拡散させ、ボロンドープ層64を形成する(図5(g))。このとき、ボロンドープ層42の表面にはボロン化合物であるSiB6 層(第1のボロン化合物層)64aが形成される。このSiB6 層64aを除去するために、まず、酸素及び水蒸気雰囲気中、600℃の条件で1時間30分酸化し、SiB6 層64aを、フッ酸水溶液によるエッチングが可能なB23+SiO2膜64bに化学変化させる(図5(h))。そして、シリコン基板61のボロンを選択拡散した面と反対面にレジスト(図示せず)を塗布し、シリコン基板61をフッ酸水溶液に10分間浸す。これにより、B23+SiO2膜64bがエッチング除去される。これにより、シリコン基板61の表面のボロンドープ層64の形成部分には、凹部22cが形成される。その後、シリコン基板61からレジストを剥離する(図5(i))。
さらに、工程(f)と同様にシリコン基板61のボロンドープ層64が形成された面をB23を主成分とするボロン拡散源71に再度対向させ(図4(j))、縦型炉に入れてシリコン基板61にボロンを拡散させ、今度は拡散面側全面にボロンドープ層64を形成する(図4(k))。これにより、先の工程でシリコン基板61が露出した部分については、ボロンがさらに深く拡散され、その他の部分は、それよりも浅く拡散されることとなる。ここでもボロンドープ層64の表面にボロン化合物のSiB6 層(第2のボロン化合物層)64cが形成される。
ここで、SiB6 層64cがボロンドープ層42の表面(シリコン基板61の表面)に残存したまま次の工程(l)で絶縁膜25を形成すると、シリコン基板61の表面と絶縁膜25との密着強度が低下し、液滴吐出ヘッドの駆動の繰り返しにより絶縁膜25が剥離することがあるため、SiB6 層64cを除去する。すなわち、上記と同様に酸素及び水蒸気雰囲気中、600℃の条件で1時間30分酸化することで、フッ酸水溶液によるエッチングが可能なB23+SiO2膜に化学変化させ、そして、シリコン基板61をフッ酸水溶液に10分間浸し、B23+SiO2膜をエッチング除去する(図5(l))。
そして、ボロンドープ層64を形成した面に、プラズマCVD法により、成膜時の処理温度は360℃、高周波出力は250W、圧力は66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3 /min(100sccm)、酸素流量1000cm3 /min(1000sccm)の条件で絶縁膜25を0.1μm成膜する(図5(m))。
次に、図6を参照して液滴吐出ヘッド完成までの工程について説明する。なお、電極基板10については、別工程で作製する。約1mmのガラスの基板の一方の面に対し、エッチング等を行って約0.3μmの深さの凹部11を形成する。凹部11の形成後、例えばスパッタリング法を用いて、0.1μmの厚さの電極15を同時に形成する。最後に液体供給口16となる穴をサンドブラスト法または切削加工により形成する(図6(a))。
そして、シリコン基板61と電極基板10を360℃に加熱した後、電極基板10に負極、シリコン基板61に正極を接続して、800Vの電圧を印加し、陽極接合を行う。そして、陽極接合した後の基板(以下、接合済み基板という)において、シリコン基板61側表面の研削、ウェットエッチング等を行い、シリコン基板61部分の厚みを約50μmにする(図6(b))。
次に、ウェットエッチングを行ったシリコン基板61側表面に対し、TEOSによるエッチングマスク(以下、TEOSエッチングマスクという)65を1.5μm成膜する。そして、吐出室21、リザーバ23、電極取出し口26となる部分に対し、TEOSエッチングマスク65のレジストパターニングを施す。フォトリソグラフィ法等により、最終的にフッ酸水溶液でそれらの部分のTEOSエッチングマスク65をエッチングし、TEOSエッチングマスク65をパターニングする(図6(c))。ここで、例えば、リザーバ23となる部分について、シリコンを残して剛性を確保するために、TEOSエッチングマスク65を若干残しておいてもよい。
次に、接合基板を35wt%の濃度の水酸化カリウム水溶液に浸し、吐出室21、リザーバ23及び電極取出し口26となる部分の厚みが約10μmになるまで異方性ウェットエッチング(以下、ウェットエッチングという)を行う。さらに、接合基板を3wt%の濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液に浸し、ボロンドープ層64が露出し、エッチングの進行が極度に遅くなるエッチングストップが十分効いたものと判断するまでウェットエッチングを続ける(図6(d))。これによりボロンドープ層64が段状に形成され、それぞれ振動板中央部22aと振動板端部22bとなる。ここで2種類の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液を用いたエッチングを行うことによって、吐出室21となる部分に形成される振動板22の面荒れを抑制厚み精度を高くすることができる。その結果、液滴吐出ヘッドの吐出性能を安定化させることができる。ウェットエッチングを終了すると、接合済み基板を例えばフッ酸水溶液に浸し、シリコン基板61表面のTEOSエッチングマスク65を剥離する(図6(e))。
シリコン基板61の電極取出し口26となる部分のシリコン(ボロンドープ層64)を除去し、開口する。その後、キャビティ基板20の電極取出し口26側の端部と各凹部11との間で形成されるギャップの開口部に沿って、例えばエポキシ樹脂を流し込んだり、酸化シリコンを堆積等させたりして封止材27を形成して封止し、ギャップを外気から遮断する(図6(f))。
封止が完了すると、例えば、共通電極端子24となる部分を開口したマスクを、接合基板のシリコン基板61側の表面に取り付ける。そして、例えばプラチナ(Pt)をターゲットとしてスパッタ等を行い、共通電極端子24を形成する。そして、あらかじめ別工程で作製していたノズル基板30を、例えばエポキシ系接着剤により、接合基板のキャビティ基板20側から接着し、接合する(図6(g))。そして、ダイシングラインに沿ってダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッドに切断し、液滴吐出ヘッドが完成する。
以上のように実施の形態1によれば、振動板22の振動板端部22bを振動板中央部22aに比べて薄くするとともに、振動板中央部22aの個別電極12側に凹部22cを設けたので、振動板22が撓みやすくなって当接電圧(振動板を変位させて電極に当接させるときの電圧)を低くすることが可能となり、また、凹部22cを設けたことにより排除体積が増加するため、吐出特性を向上させることができる。
また、本実施の形態1では、SiB6 層64aを除去することにより、排除体積の増加に寄与する凹部22cを形成することが可能となり、また、SiB6 層64cを除去することにより、絶縁膜25と振動板22との密着強度を高めることが可能となる。すなわち、この製造方法によれば、排除体積の増加に寄与する凹部22cの形成と、絶縁膜25と振動板22との密着強度を高めるのに必要な処理とを、各ボロン拡散工程後にSiB6 層を除去する工程を行うことによって実現できる。
実施の形態2.
図7は、上述の実施の形態1で製造した静電アクチュエータを適用した液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置の一例を示す図で、図7では、特にインクを吐出するインクジェット記録装置の例で示している。図7に示されるインクジェット記録装置100は、インクジェットプリンタであり、実施の形態1の静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッド10の何れかを搭載している。このため、安定した吐出特性を備え、安定して高品質の印字が可能なインクジェット記録装置100を得ることができる。
なお、実施の形態1の静電アクチュエータは、液滴吐出ヘッドの他、ミラーデバイス等のアクチュエータにも適用できる。また、実施の形態1の静電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッド10は、図7に示すインクジェットプリンタの他に、吐出する液体を種々変更することで、カラーフィルタのマトリクスパターンの形成、有機EL表示装置の発光部の形成、生体液体試料の吐出等を行う液滴吐出装置にも適用することができる。
実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解して表した図である。 液滴吐出ヘッドの断面図である。 実施の形態1の液滴吐出ヘッドの短手方向の断面の一部を示す図である。 実施の形態1に係るボロンドープ層形成の工程図(1/2)である。 実施の形態1に係るボロンドープ層形成の工程図(2/2)である。 図5に続く液滴吐出ヘッドの製造工程図である。 液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置の外観図である。
符号の説明
10 電極基板、11 凹部、12 個別電極、13 リード部、14 端子部、15 電極、16 液体供給口、20 キャビティ基板、21 吐出室、22 振動板、22a 振動板中央部、22b 振動板端部、22c 凹部、23 リザーバ、24 共通電極端子、25 絶縁膜、26 電極取出し口、27 封止材、30 ノズル基板、31 ノズル孔、32 オリフィス、41 発振回路、42 配線、61 シリコン基板、62 酸化シリコン膜、63 レジスト膜、64 ボロンドープ層、64a、64c SiB6 層、64b B23+SiO2膜、65 TEOSエッチングマスク、71 ボロン拡散源、100 プリンタ。

Claims (6)

  1. 振動板と、該振動板にギャップを介して対向配置された対向電極とを備え、前記振動板と対向電極との間に電圧を印加することにより発生する静電気力によって前記振動板を変位させる静電アクチュエータであって、
    前記振動板は、該振動板の外周端部が支持された状態で振動するものであり、その外周端部の振動板の厚みをその外周端部以外の振動板中央部の厚みよりも薄く形成して前記振動板の前記対向電極とは反対側の面を段差構造にし、且つ、前記振動板中央部において前記対向電極に対向する面側に凹部を形成して前記振動板の前記対向電極に対向する面側も段差構造にしたことを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 請求項1記載の静電アクチュエータを有し、該静電アクチュエータを液滴吐出の駆動手段として用いることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項2記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
  4. 請求項1記載の静電アクチュエータの製造方法であって、
    前記振動板を形成するにあたり、
    シリコン基板の一方の面に選択的にボロンを拡散する第1のボロン拡散工程と、
    前記第1のボロン拡散工程によって前記シリコン基板のボロン拡散部分表面に形成される第1のボロン化合物層を除去して前記凹部を形成する工程と、
    前記シリコン基板の前記一方の面の全面にボロンを拡散する第2のボロン拡散工程と、
    前記第2のボロン拡散工程によって前記シリコン基板のボロン拡散面の表面に形成される第2のボロン化合物層を除去する工程と、
    前記第2のボロン化合物層除去後の前記シリコン基板をウェットエッチングし、前記第1、第2のボロン拡散工程により形成されたボロンドープ層を、エッチングストップ技術により前記振動板として形成する工程と、
    前記振動板の前記対向電極に対向する面側に、絶縁膜を形成する工程と
    を行うことを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。
  5. 請求項4記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  6. 請求項5記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
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