JP2007331165A - 綴じ具及びファイル - Google Patents

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Abstract

【課題】綴じ部材が紙葉類の綴じ込み位置にあるときに、紙葉類の不用意な抜け出しを防止することのできる綴じ具を提供する。
【解決手段】紙葉類Pの片面側に位置する片状のベース11と、このベース11の長手方向両側に設けられた一対の綴じ部材12とを備えて綴じ具10が構成されている。綴じ部材12は紙葉類Pの綴じ穴P1を貫通する起立部15と、この起立部15の上端に連なる閉ループ状の保持部材16とを含む。保持部材16は、パンタグラフに近似した軌跡に沿って変位可能であり、上端に設けられた突部25を起立部15間に嵌合させることで保持部材16が紙葉類Pの面に略沿うように屈曲してベース11との間に紙葉類Pを保持するようになっている。
【選択図】図2

Description

本発明は綴じ具に係り、更に詳しくは、紙葉類の片面側に位置するベースと、紙葉類に形成された綴じ穴を貫通する部分を含む綴じ部材とを備え、これらベースと綴じ部材との間に紙葉類を綴じ込むことのできる綴じ具及びファイルに関する。
従来より、紙葉類の端部に綴じ穴を形成して当該紙葉類を綴じ込むことのできる種々の綴じ具が知られている。この種の綴じ具としては、細長い片状をなすベースと、当該ベースの両端に連なるとともに、前記綴じ穴に挿通される一対の綴じ部材とを備えた板状の綴じ具が存在する。この綴じ具は、全体が金属製とされており、ベースと綴じ部材とが平面内に直線状に連なる初期形状をなし、使用に際しては、ベースの両端部位置で綴じ部材をそれぞれ折り曲げて綴じ穴に挿通した後、綴じ部材を再び平面内に倒伏させることで紙葉類を綴じ込むことができるようになっている。このような綴じ具によれば、ベースと綴じ部材とが一体構造となり、金属材料を細長い片状に打ち抜くだけで成形可能となり、量産性を備えて廉価に提供できる、という利点がある。
しかしながら、前記綴じ具は、紙葉類の綴じ込み量が段階的に増加するに従い、綴じ部材に折り曲げ癖が残ってしまい、見栄えが非常に悪くなるという不都合がある他、紙葉類の加除を行うときに、綴じ部材が紙葉類の綴じ穴に引っ掛かり易くなり、綴じ穴回りを傷めてしまう、という不都合がある。
ところで、綴じ具の成形材料として、プラスチックを用い、ベースと綴じ部材とを一体成形可能にするとともに、前述した折り曲げ癖を生じさせることのない綴じ具が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
特公昭59−28199号公報
特許文献1に記載された綴じ具は、片状をなすベースと、当該ベースに連結部を介して一体的に設けられた綴じ部材とを備え、当該綴じ部材が帯状をなして略閉ループ状に設けられているとともに、紙葉類の端部に形成された綴じ穴の中心を通る軸線に沿って直線状に延びる姿勢から紙葉類を押さえ込む折り曲げ姿勢に変位可能となっている。
特許文献1に記載された綴じ具によれば、前述した金属製の綴じ具における不都合を解消することができるが、紙葉類を押さえ付ける力が、前記折り曲げ姿勢となった綴じ部材の形状によってもたらされるものであり、当該折り曲げ姿勢を一定に維持させる積極的な構成は何ら有していない。
そのため、多数枚の紙葉類を押さえ込むように綴じ込んだときに、押さえ込まれている紙葉類の反力によって前記折り曲げ姿勢が崩れ、綴じ部材が直線状に延びて紙葉類が抜け出てしまうおそれを生じる、という不都合がある。
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、綴じ部材が紙葉類の綴じ込み位置にあるときに、当該位置を固定的に保って紙葉類の不用意な抜け出しを防止することのできる綴じ具及びファイルを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、綴じ部材の姿勢変位を利用して本来の綴じ幅を拡大することが可能な綴じ具及びファイルを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、紙葉類の片面側に位置するベースと、このベースと一体成形されるとともに、前記紙葉類に設けられた綴じ穴を貫通する複数の綴じ部材とを備えた綴じ具において、
前記綴じ部材は、前記綴じ穴を貫通する綴じ幅形成部材と、この綴じ幅形成部材に連設されて前記ベースとの間に紙葉類を保持する保持部材とを含み、
前記保持部材は、前記綴じ幅形成部材の所定高さ位置に嵌合可能に設けられるとともに、前記綴じ幅形成部材に嵌合したときに、前記紙葉類の抜け出しを規制する向きに角度変位する、という構成を採っている。
本発明において、前記綴じ幅形成部材は、前記ベースから起立する一対の起立部により構成され、前記保持部材は、前記起立部に連なる帯状部と、この帯状部の内周側に設けられた突部とを備え、
前記突部を前記起立部間に嵌合させたときに、前記帯状部が紙葉類に沿う向きに角度変位する、という構成を採ることができる。
また、前記起立部の相対面に、前記突部の嵌合高さ位置を規制する複数の段部を形成するとよい。
更に、前記保持部材は、綴じ幅形成部材に対する嵌合位置に応じて当該綴じ幅形成部材の綴じ幅を拡大する領域を形成する、という構成を採っている。
また、前記帯状部の基部は相対的に薄肉に形成され、前記突部の嵌合高さ位置を上位に設定したときに、前記起立部が延びる方向に略沿うように変形して前記綴じ幅形成部材の綴じ幅を拡大するように設けることができる。
更に、前記保持部材は、当該保持部材が前記綴じ幅形成部材に沿う姿勢にあるときに、当該姿勢を保持するストッパを備えた構成とすることが好ましい。
この際、前記ストッパによる姿勢保持を解除するための操作部を更に備えた構成を採用するとよい。
更に、本発明に係るファイルは、請求項1ないし7の何れかに記載された綴じ具と、少なくとも表表紙と裏表紙とを備える表紙体とを具備してなり、
前記綴じ具におけるベースを前記表紙体の一部に取り付ける、という構成を採ることができる。
なお、本明細書において、「嵌合」とは、部材相互の相対位置を固定的に保ち得る状態をいい、部材が相互に嵌り合う状態の他、部材が相互に係り合う状態をも含む。
本発明によれば、綴じ幅形成部材に保持部材が嵌合したときに、当該保持部材が角度変位して紙葉類の綴じ込みを行う構成を採用しているため、紙葉類が不用意に綴じ部材から抜け出てしまう、という不都合を確実に解消することができる。
また、前記綴じ幅形成部材がベースから起立する一対の起立部により構成されているため、当該起立部間に、保持部材の突部を嵌合するときに、起立部間の隙間が容易に拡大してスムースな操作感を得ることができる。また、保持部材が帯状部を備えて構成されているため、紙葉類に沿う向きとなったときに、当該紙葉類の抜け出しを規制する領域が面的なものとなり、安定した保持を実現することができる。
また、前記起立部の相対面に複数の段部を形成することにより、前記綴じ幅形成部材の綴じ幅を拡大することができるので、多数枚の紙葉類を綴じ込む適性を備えた綴じ具を提供することが可能となる。特に、保持部材を構成する帯状部の基部が薄肉に形成されている構成によれば、当該基部領域を綴じ幅形成部材に沿う向きに設定し易くなる。
更に、ストッパを設けた構成により、綴じ部材を紙葉類の綴じ穴に挿入する際の引っ掛かりを回避することができる。また、ストッパが機能して保持部材の姿勢が保持されていても、操作部の操作により、綴じ幅形成部材に沿った保持部材の姿勢保持を容易に解除することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2には、本実施形態に係る綴じ具の概略斜視図が示されている。これらの図において、綴じ具10は合成樹脂材料により一体成形品として形成されている。この綴じ具10は、紙等のシートからなる紙葉類Pの片面側に位置するベース11と、紙葉類Pの綴じ穴P1を貫通して前記ベース11と共に紙葉類Pを保持する綴じ部材12とを備えて構成されている。ベース11は細長い片状をなし、当該ベース11の長手方向に沿う両側に前記綴じ部材12がそれぞれ連設されている。
前記綴じ部材12は、図1に示されるように、ベース11の面に対して略直交する方向に真っ直ぐに延びて前記綴じ穴P1に挿入可能な直立姿勢と、図2に示されるように、一部が屈曲して紙葉類Pを抜け出し不能に保持する折り曲げ姿勢に変位可能に設けられている。これを更に詳述すると、綴じ部材12は、図3ないし図11に示されるように、ベース11の面から起立する一対の綴じ幅形成部材としての起立部15,15と、これら起立部15の上部間を連結するように略閉ループ状に連なる保持部材16とにより構成されている。各起立部15,15は、図10に示されるように、相対面が略平行に位置する内面18と、この内面18に連なる側端面19,19と、これら側端面19の外縁に連なるとともに中央部が膨出するように緩やかな曲面形状を備えた外面20とを備え、その横断面形状は略蒲鉾形状に設けられている。内面18の図4中上下二箇所には、前後方向(同図中紙面直交方向)に延びる段部22が形成されている。なお、外面20の上部は傾斜面23を介して保持部材16に連なるように形成され、これにより、上方から差し込まれる紙葉類Pの綴じ穴P1をガイドするようになっている。
前記保持部材16は、折り曲げ若しくは屈曲可能に連なる帯状部24と、この帯状部24の直立姿勢における上部内周側に設けられた突部25とを備えて構成されている。帯状部24は、前記各起立部15の上端部に薄肉ヒンジ状の基部26を介して連なる第1の帯状部27,27と、これら第1の帯状部27に中間薄肉部28を介して連なる第2の帯状部29,29と、当該第2の帯状部29の先端側に上部薄肉部30を介して連なるとともに、内面側に前記突部25を備えた頂部32とを備えて形成され、これにより、帯状部25が全体として、略閉ループ状をなすようになっている。
前記第1の帯状部27,27の内面側において、中間薄肉部28の近傍にはストッパ35が形成されている。このストッパ35は、図5に示されるように、相互に係り合う鈎状のフック36,36により構成されており、これらフック36を相互に係り合わせたときに、保持部材16を起立部13に沿って真っ直ぐに延ばした姿勢が保たれ、フック36の係り合いを解除したときに、パンタグラフに近似した動作(図7参照)を行えるようになっている。
また、前記第1の帯状部27,27において、前記ストッパ35が設けられた領域には、操作部としての幅拡大部37,37(図6参照)がそれぞれ形成されている。これら幅拡大部37は、図6に示されるように、保持部材16が真っ直ぐに延びた姿勢において、最大幅Wが上下に寸法W1分ずれる対称形状をなすように設けられ、これにより、がま口の口金を開くような捻り操作によって前記フック36,36の係り合いを解除させる操作が行い易くなっている。
前記突部26を備えた頂部32は、図7及び図8に示されるように、前記幅拡大部37と略同程度の幅を有するとともに、先端(上端)が略円弧状に湾曲した形状に設けられている。この頂部32は、第2の帯状部29よりも幅広とすることで、突部25が前記起立部15間の段部22に嵌合した状態を解除する際に摘み代を形成するようになっている。ここで、突部25は、板状部38と、当該板状部38の下部に一体成形された膨出部39とからなり、当該膨出部39が前述した段部22に嵌合可能となっている。
次に、本実施形態における綴じ具10の使用方法について図12をも参照しながら説明する
紙葉類Pを綴じ込むときには、図1及び図3に示されるように、綴じ部材12を構成する起立部15に沿って保持部材16が真っ直ぐに延びる姿勢に保たれる。この際、第1の帯状部27,27の内面側に設けられたフック36,36が相互に係り合う状態となり、従って、保持部材16の直立姿勢が安定的に保たれ、綴じ穴P1への挿入作業をスムースに行うことができる。
綴じ部材12が挿通された紙葉類Pを保持する場合には、帯状部24の幅拡大部37,37に指先を当てがい、これらを捻り操作又は指先で頂部32をベース11側に押圧することで、フック36相互の係り合いを解除する。
次いで、帯状部24の中間薄肉部28,28が互いに離れるように(図7参照)、頂部32を下方に押し下げる。この押し下げにより、突部25が起立部15,15の相対面間に入り込み、下降限まで押し下げることで、下方の段部22に膨出部39が嵌合することとなる(図11及び図12参照)。この状態では、第1及び第2の帯状部27,29は、ベース11に対してある程度の傾きをもった状態となる。また、頂部32の位置が最も低い位置にあることにより、基部26は鋭角に折れ曲がり、この折れ曲がった位置とベース11との間の高さHが綴じ幅となる。
この一方、突部25の嵌合位置を上段の段部22としたときには(図12中二点鎖線参照)、第1及び第2の帯状部27,29は、ベース11の面に沿う方向に倒れ込むように姿勢変位する。これは、頂部32の位置が上方に位置することで基部26を折り曲げようとする力が減じられる結果、当該基部26は、起立部15が延びる方向に略沿うように変形するようになり、これにより、紙葉類Pの綴じ込み高さが図12中H1位置まで上昇することとなる。
紙葉類Pを抜き出すときには、頂部32を指先で摘み、これを上方に引き上げることで、前記嵌合が解除され、綴じ部材12を真っ直ぐな姿勢に戻せばよい。
従って、このような実施形態によれば、紙葉類Pが不用意に綴じ部材12から抜け出てしまう、という不都合を確実に解消することができるとともに、必要に応じて綴じ込み幅(高さ)を拡大、縮小することができる、という従来にない優れた効果を奏する綴じ具を提供することができる。
本発明を実施するための最良の構成、方法、被収容材などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、位置、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、位置などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した物品の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
すなわち、前記実施形態では、綴じ具10がそれ自体で紙葉類Pを綴じ込む場合について図示、説明したが、例えば、図13に示されるように、表紙体Fの内面側に前記綴じ具10を装着してファイルを形成することもできる。
また、前記実施形態では、段部22が上下二箇所に設けられた場合を示したが、段部の数を増加、減少してもよい。要するに、本発明は、保持部材が綴じ足形成部材に対して嵌合できる構成、或いは嵌合高さ位置を調整できる構成であれば足り、その他の構成は種々変更可能である。
紙葉類の綴じ穴に綴じ部材を挿入する状態を示す綴じ具の概略斜視図。 紙葉類を綴じ込んで当該紙葉類を保持した状態を示す綴じ具の概略斜視図。 図1の一部拡大斜視図。 図1の一部拡大正面図。 図4のA−A線に沿う端面図。 図4の右側面図。 保持部材がパンタグラフに近似して変位する状態を示す綴じ具の一部拡大正面図。 図7の平面図。 図7の右側面図。 図9のB−B線に沿う断面図。 図2の一部拡大斜視図。 突部の嵌合位置に応じて保持部材が姿勢変位する状態を示す要部正面図。 綴じ具が表紙体に組み合わされたファイルの概略斜視図。
符号の説明
10 綴じ具
11 ベース
12 綴じ部材
15 起立部(綴じ幅形成部材)
16 保持部材
22 段部
24 帯状部
25 突部
26 基部
P 紙葉類
P1 綴じ穴
F 表紙体

Claims (8)

  1. 紙葉類の片面側に位置するベースと、このベースと一体成形されるとともに、前記紙葉類に設けられた綴じ穴を貫通する複数の綴じ部材とを備えた綴じ具において、
    前記綴じ部材は、前記綴じ穴を貫通する綴じ幅形成部材と、この綴じ幅形成部材に連設されて前記ベースとの間に紙葉類を保持する保持部材とを含み、
    前記保持部材は、前記綴じ幅形成部材の所定高さ位置に嵌合可能に設けられるとともに、前記綴じ幅形成部材に嵌合したときに、前記紙葉類の抜け出しを規制する向きに角度変位することを特徴とする綴じ具。
  2. 前記綴じ幅形成部材は、前記ベースから起立する一対の起立部により構成され、前記保持部材は、前記起立部に連なる帯状部と、この帯状部の内周側に設けられた突部とを備え、
    前記突部を前記起立部間に嵌合させたときに、前記帯状部が紙葉類に沿う向きに角度変位することを特徴とする請求項1記載の綴じ具。
  3. 前記起立部の相対面に、前記突部の嵌合高さ位置を規制する複数の段部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の綴じ具。
  4. 前記保持部材は、綴じ幅形成部材に対する嵌合位置に応じて当該綴じ幅形成部材の綴じ幅を拡大する領域を形成することを特徴とする請求項1,2又は3記載の綴じ具。
  5. 前記帯状部の基部は相対的に薄肉に形成され、前記突部の嵌合高さ位置を上位に設定したときに、前記起立部が延びる方向に略沿うように変形して前記綴じ幅形成部材の綴じ幅を拡大することを特徴とする請求項4記載の綴じ具。
  6. 前記保持部材は、当該保持部材が前記綴じ幅形成部材に沿う姿勢にあるときに、当該姿勢を保持するストッパを備えていることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の綴じ具。
  7. 前記保持部材は、前記ストッパによる姿勢保持を解除するための操作部を更に含むことを特徴とする請求項6記載の綴じ具。
  8. 請求項1ないし7の何れかに記載された綴じ具と、少なくとも表表紙と裏表紙とを備える表紙体とを具備してなり、
    前記綴じ具におけるベースを前記表紙体の一部に取り付けていることを特徴とするファイル。
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