JP2007330886A - フッ素樹脂膜表面の清掃方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凹凸のあるフッ素樹脂膜表面を有する複合材料表面を、簡易な方法で清掃することができ、表面の清浄化を十分に行いうるフッ素樹脂膜表面の清掃方法、特に、既存の構造物に使用されたフッ素樹脂膜表面を有する複合材料を、現場において、膜面を傷つけることなく、効率よく清掃しうるフッ素樹脂膜表面の清掃方法を提供する。
【解決手段】繊維基布の少なくとも片面をフッ素含有樹脂で被覆してなる複合材料のフッ素樹脂膜表面に、塗布、乾燥後の被膜がゴム弾性を有する粘接着剤組成物を塗布し、乾燥して、フッ素樹脂膜表面の所定領域に粘接着剤層を形成する工程と、該粘接着剤層に、基材表面に粘着剤層を有する粘着テープを貼着し、粘着テープの粘着力により、該粘接着剤層を剥離する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明はフッ素樹脂膜表面の清掃方法に関し、詳細には、長期間にわたり使用され、経年劣化を受けているフッ素樹脂を有する表面の清掃に特に有用であり、補修などの処理を行う前処理として必要な清掃を、既存の構造物に付属するフッ素樹脂膜を現場において行うのに適するフッ素樹脂膜表面の清掃方法に関する。
フッ素樹脂加工製品は「物がつきにくい」「他の物と化学的に反応しない」といった性質を特徴とするものである。表面の撥油、撥水性に優れたフッ素含有樹脂(以下、本明細書では、適宜、「フッ素樹脂」と称する)により繊維基布をコーティングした複合材料は、高強度で表面に汚れが付着しにくく、耐久性にも優れるため、テントやドーム型構造物の屋根材として汎用されている。
このようなフッ素樹脂からなる被膜(フッ素樹脂膜)を有する複合材料は、その表面に繊維基布由来の凹凸があり、経時により汚れが付着した場合、それを取り除くことが困難である。特に、経年劣化により補修、修復が必要な場合、まず、表面を清浄にし、さらに、表面処理を行って、修復材料を接着させて補修するが、その場合にも、複合材料自体の破損やさらなる劣化を生じさせることなく、表面を清掃する方法が求められている。
フッ素樹脂膜表面を有する複合材料を清掃する方法としては、膜表面に付着している汚れを樹脂ブラシ、金属ブラシなどを用いて剥離させた後、洗剤を含有する水を高圧で吹き付ける方法、水あるいは洗浄剤を含浸させた布により拭き取る方法などがあり、これらの洗浄処理後、乾燥布を用いて清掃するという物理化学的な方法が一般に行われている。
しかしながら、このような物理化学的清掃方法によれば、清掃後の清浄化状態に比較して多大の労力を有し、特に凹凸面の凹部の汚れを完全に除去しようとすると、凸部におけるフッ素樹脂膜を傷つけ、フッ素樹脂膜が一部剥離する懸念があり、さらに、洗浄に用いた界面活性剤が膜面に残存し、引き続き行われる処理に悪影響を与えるという問題も有していた。
水洗いを有しない被膜表面の清掃方法としては、例えば、塗料を塗布し、この塗料が乾燥して薄膜を形成する過程で膜材の表面の汚染物質を薄膜に転着させ、その後薄膜を剥がすことにより、膜材表面の汚染物質を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで用いられる薄膜形成可能な塗料は、形成される薄膜が硬くもろいことから、凹凸のある膜表面では薄膜が容易に除去できず、結果として水洗などの物理化学的清掃方法を併用せざるを得ないという問題があった。
類似の方法として、例えば、建物の床の清掃方法として、塩化ビニル樹脂溶液を塗布し、ゲル状または固体状に変化させた軟質塩化ビニル皮膜を利用する清掃方法(例えば、特許文献2参照。)や、合成樹脂シートや合成樹脂板にエマルション系合成樹脂を塗布し、被膜形成させて清掃する方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。
これらの方法においても、同様に、凹凸を有する複合材料の凹面に存在する薄膜が十分に除去できず、十分な清浄化を達成するためには、液体を用いた清掃手段の併用は必須であり、さらに、フッ素樹脂膜表面の高い撥水・撥油性により、液状の樹脂材料が細かい凹部の奥まで均一に浸透して表面に均一に付着し難いために、汚染物質を転着させるための薄膜がフッ素樹脂膜表面に密着した状態で形成されない領域があり、結果として清掃が不十分となるという問題があった。
このため、フッ素樹脂膜表面、特に凹凸のある表面を有する複合材料を効率よく清掃する方法が求められている。
特開平4−349984号公報 特開平10−57918号公報 特開昭59−26177号公報
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、フッ素樹脂膜表面を有する複合材料表面を、該表面に凹凸を有する場合であっても、簡易な方法で清掃することができ、表面の清浄化を十分に行いうるフッ素樹脂膜表面の清掃方法を提供することにある。特に、既存の構造物に使用されたフッ素樹脂膜表面を有する複合材料を、現場において、膜面を傷つけることなく、効率よく清掃しうるフッ素樹脂膜表面の清掃方法を提供することにある。
本発明の課題は以下の手段により解決された。
<1> 繊維基布の少なくとも片面をフッ素含有樹脂で被覆してなる複合材料のフッ素樹脂膜表面に、塗布、乾燥後の被膜がゴム弾性を有する粘接着剤組成物を塗布し、乾燥して、フッ素樹脂膜表面の所定領域に粘接着剤層を形成する工程と、該粘接着剤層に、基材表面に粘着剤層を有する粘着テープを貼着し、粘着テープの粘着力により、該粘接着剤層を剥離する工程と、を有することを特徴とするフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
<2> 前記複合材料に用いられるフッ素含有樹脂が、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、及び、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする<1>に記載のフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
<3> 前記複合材料に用いられる繊維基布が、繊維径3.30μm〜4.05μmであって、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、及び、合成繊維から選択される1種以上の繊維からなる糸を織製してなるものであることを特徴とする<1>又は<2>に記載のフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
<4> 前記粘接着剤組成物が、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び、ジエン系共重合体合成ゴムからなる群より選択される1種以上のゴム原料を含有することを特徴とする<1>乃至<3>のいずれかに記載のフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
本発明の方法によれば、フッ素樹脂膜表面を有する複合材料表面を、該表面に凹凸を有する場合であっても、簡易な方法で清掃することができ、表面の清浄化を十分に行いうるフッ素樹脂膜表面の清掃方法を提供することができる。本発明によれば、既存の構造物に使用されたフッ素樹脂膜表面を有する複合材料を、現場において、膜面を傷つけることなく、効率よく清掃することができるという優れた効果を奏する。
本発明のフッ素樹脂膜表面の清掃方法は、フッ素樹脂被膜表面に、ゴム弾性を有する粘接着剤層を形成し、該粘接着剤層に汚染物質を付着させた後、剥離することを特徴とし、これらの構成により、凹凸のある表面の凹部の底面においても汚染物質を十分に除去することができ、粘接着材層も残膜なく剥離することができるものである。
本発明のフッ素樹脂膜表面の清掃方法が適用できる複合材料としては、繊維基布表面にフッ素樹脂膜を積層してなるものであれば特に制限はないが、その代表的なものとして、ガラス繊維基布にフッ素樹脂をコーティングしてなるA種膜が挙げられる。A種膜とは、国土交通省、膜構造の告示(平成14国交告第666号)第2(膜面の構造)第2項第一号の表に規定される膜であり、標準的なものとして、JIS R3413−1999年、ガラス糸の規定に適合する単繊維(繊維径3.30μm〜4.05μm程度)を使用したガラス繊維糸により織製された繊維基布表面を、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)又は四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)等から選択されるコーティング剤で被覆することで、表面にフッ素樹脂膜を有する複合材料が挙げられる。
本発明の方法を適用しうる複合材料は、これに制限されず表面に繊維基布の最表面がフッ素樹脂膜で被覆されるものであればいずれにも好適に適用できる。特に、繊維基布に由来する凹凸が表面にあるものに適用すると本発明の効果が著しい。
繊維基布を構成する繊維は、複合材料の使用目的に応じて適宜選択されるが、通常が耐久性を必要とすることから、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などの無機繊維、合成繊維、特にケブラー繊維(商標)に代表される変性ポリアミド繊維などの高強度有機合成繊維などから選択される1種以上の繊維が好ましく、このような繊維からなる糸を織製してなる織物を使用することができる。
繊維の太さも、目的に応じて選択されるが、一般的には、3.30μm〜4.05μm程度であることが好ましい。
繊維基布は、織物、編み物、不織布のいずれであってもよいが、寸法安定性の観点からは織物が好ましい。
繊維基布をコーティングするフッ素樹脂としては、−(CF)−の如き構造単位を有するフッ素系高分子を含む樹脂であれば特に制限はなく、例えば、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニル共重合体(PFA)、及び、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)などが挙げられる。
このようなフッ素樹脂膜を表面に有する複合材料の表面は平滑であっても凹凸を有するものであってもよいが、凹凸、なかでも繊維材料に起因する細かい凹凸を有する表面に対して、本発明の方法が特に有効である。
以下、本発明の方法について、工程順に詳細に説明する。
まず、塗布、乾燥後の被膜がゴム弾性を有する粘接着剤組成物を塗布し、乾燥して、フッ素樹脂膜表面の所定領域に粘接着剤層を形成する工程を実施する。
なお、この工程を実施するに先立ち、清掃する領域を区画するため、清掃対象領域の周辺にマスキングテープを貼着するなどの工程を実施してもよい。
本発明におけるゴム弾性とは、化学大辞典(共立出版:1960年)第3巻P699において「ゴム状弾性」として規定される特性、即ち、ひずみの可逆弾性域が数百%、初期ヤング率が10〜10dyne/cm、ヤング率の温度係数が正であり、応力−ひずみ関係がフックの法則に従わないといった特性を示すものを指し、塗布、乾燥後に形成された被膜が上記特性を有するものであれば、本発明におけるゴム弾性を有する組成物として用いることができる。
<粘接着剤組成物>
塗布、乾燥後の被膜がゴム弾性を有する材料としては、ゴムやエラストマー材料を粘接着剤主成分として含有し、粘接着剤組成物には、さらに、それらを均一に溶解或いは分散しうる溶剤を含有する。
粘接着剤主成分として用いられるゴム、エラストマーとしては、後述する溶剤への溶解性が高いこと、製膜後にゴム弾性を有することから変形に対して破損しにくいこと、フッ素樹脂膜表面に対し、ある程度の粘着性を有しており、且つ、強固な接着性を発現しないこと、などの特性を有するものを選択することが好ましく、そのような観点からは、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系合成ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンマーなどのジエン系共重合合成ゴム、アクリルゴムなどの非ジエン系合成ゴムから選択されるゴム材料、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
本発明の粘接着剤組成物は、前記粘接着剤主成分を均一に分散或いは溶解しうる溶剤を含有する。溶剤としては、フッ素系樹脂に対して接触角が小さく濡れがよいものを選択することで、粘接着性組成物が複合材料表面の微細な凹部にまで浸入し、表面に付着している汚染物質を成膜時に巻き込むことで、優れた汚れ除去性を達成しうることから、使用されるフッ素樹脂膜表面に対し、概ね静的接触角として50°以下のものを選択することが好ましい。ここで、接触角の測定は、エルマ販売株式会社より入手可能な接触角測定器 ゴニオメーターG−1を用いて行うことができる。測定方法は、フッ素樹脂被膜としてのPTFE樹脂被膜に、測定対象有機溶剤を適用するのに、小液滴法により行い、計測方法としては、測微計によるθ/2法及びh−r 法を用いる。
このような観点から選択される使用可能な溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ヘキサデカン、工業用ガソリンなどが挙げられ、なかでも、PTFE樹脂膜表面に対する親和性の観点から、トルエン(室温におけるPTFE樹脂膜表面に対する静的接触角:42°)、キシレン(同:48°)、及び、ヘキサン(同:10°以下)などが好ましく挙げられ、これらを単独或いは必要に応じて混合した有機溶剤を用いることができる。
粘接着剤組成物における粘接着剤主成分と有機溶剤との含有量は、これを塗布する複合材料の配置状態、汚れの状態などで適宜調整しうるが、均一塗布性、作業性の観点からは、粘接着剤の固形分濃度が3〜60質量%であることが好ましく、10〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
粘接着剤組成物の塗布量には特に制限はないが、粘接着剤主成分濃度が10〜20%組成物を用いた場合の塗布量は100〜300g/mが好適であり、100〜200g/mがより好適であるが、形成されたゴム弾性を有する被膜及び有機溶剤ともに、作業後には除去されることから、この範囲外の使用においても発明の効果を損なうものではない。
塗布は、常法により行うことができ、作業環境に応じて、刷毛での塗布、ローラー塗布などの方法をとることができる。
塗布後の乾燥は、自然乾燥、熱風や非接触型ヒータによる加熱乾燥など、いずれの方法により行われてもよいが、省エネルギーの観点からは。自然乾燥が好ましく、屋外での作業の場合、夏季では5〜10分以上、冬季では15〜30分以上乾燥することが好ましい。乾燥は指触乾燥以上の状態となるように行われることが好ましい。
このようにして、フッ素樹脂膜表面の所定領域に粘接着剤層が形成される。
次に、前工程において形成された粘接着剤層に、基材表面に粘着剤層を有する粘着テープを貼着し、粘着テープの粘着力により、該粘接着剤層を剥離する工程を実施する。
この剥離工程によって、粘接着剤層の製膜時に表面粘着性により粘接着剤層に移行した汚染物質が、粘接着剤層とともに剥離され、フッ素樹脂膜表面の清浄化が達成される。
ここで、粘接着剤層を剥離する際に、粘接着剤層被膜はゴム弾性を有することから、柔軟で伸張性もあるため、形成された被膜の膜厚によっては剥離力による破損が懸念される。このため、剥離には、伸張性を有しない基材表面に粘着層を有する粘着テープを用いる。
ここで用いられる粘着テープとしては、その粘着層と、被清掃面に形成されたゴム弾性を有する粘接着剤層(被膜)との間の粘着力が、粘接着剤層とフッ素樹脂膜表面との粘着力よりも大きければ、いずれのものも使用することができる。
粘着テープの基材としては、柔軟で伸張性を有しないシートであればどのようなものであってもよく、例えば、紙基材、樹脂コーティング層を有する紙基材、布基材(基布)、樹脂コーティング層を有する布基材、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PTE)に代表されるポリエステル樹脂などから選ばれる樹脂シートなどを用いることができる。
粘着剤は、以下に規定される粘着力を有すればどのようなものであってもよい。
本発明に用いられる粘着テープとして、市販のクラフトテープ、ガムテープなどを用いることも可能であり、その粘着力として、JIS Z1524(2004年) 包装用布粘着テープに規定された粘着力、即ち、2.15N/10mm以上の粘着力を有するものであればいずれも好適に使用することができる。
この工程においては、製膜されたゴム弾性を有する粘接着剤層に上記粘着テープを貼着し、十分に密着させた後、粘着テープを剥離すると、粘着テープに貼着した粘接着剤層がフッ素樹脂膜表面より剥離される。粘着テープは非伸張性の基材を有することから、粘接着剤層は伸張による破損の懸念なく剥離され、細かい凹部に形成された粘接着剤層も残膜の懸念なく除去されることになる。このとき、フッ素樹脂膜表面より粘接着剤層形成時にその表面に移行した汚染物質も同時に除去されることになる。
粘接着剤層の残膜の有無、汚染物質の除去状態は目視、或いは、ルーペによる観察にて確認される。
この方法によれば、粘接着剤組成物を液状で塗布し、弾性のある被膜を形成するとともに、その剥離を基材を有する粘着テープにより行うことから、単純な工程で、凹凸のあるフッ素樹脂膜表面の汚染物質を効果的に除去することができる。
このように、既存建物等に利用されているフッ素樹脂膜表面を有する複合材料の清掃を効率よく行うことができる。清掃されたフッ素樹脂膜表面には、不純物や汚染物質が存在しないことから、その後、所望により行われる、接着剤を塗布して修復材料などの他の材料との接着を行う工程、或いは、塗料や着色剤を付与して意匠を施す工程や、それらの前処理としての表面接着性向上処理など各種の処理を容易に行うことができる。
本発明のフッ素樹脂膜表面の清掃方法は、被清掃表面に液状組成物を塗布し、製膜後に粘着テープで剥離するという簡易な工程で実施されることから、既存建造物などに使用されているフッ素樹脂膜を有し、表面凹凸を有するような複合材料に対しても、現場にて簡易に施工可能であり、ドームやテントの被覆材のごとき、非硬質材料、即ち、剛性が小さく、外力により形状が変化するようなフッ素樹脂膜面に対しても、膜面に傷を付けることなく、容易に清掃が実施できることから、その応用範囲は広い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
フッ素樹脂膜表面を有する複合材料として、A種膜(サンゴバン製−SFII:表面フッ素樹脂:PTFE)を用いた。このA種膜を新品、劣化水準として1年間屋外暴露品、20年間屋外暴露品を準備し、汚染物が付着した複合材料として用いた。
この表面に粘接着剤組成物:三ツ星ベルト製ネオ・ボンドR(クロロプレンゴムをトルエン/工業用ガソリン=7/3溶剤で溶解した組成物、固形分濃度:15質量%)を、150g/m塗布した。室温にて自然乾燥させ、指で接触しても付着しない指触乾燥状態であることを確認した。乾燥時間は15分であった。このようにしてA種膜表面に粘接着剤層を形成した。
その後、形成された粘接着剤層表面に粘着テープ(積水化学工業(株)製、布テープNo.600V、粘着力:3.40N/10mm)を貼着し、十分に密着させてから粘着テープを剥がすと、粘着テープの粘着層に貼着した粘接着剤層被膜も同時にA種膜表面から剥離された。
剥離後の表面をルーペで観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表1に示す。
(汚れ除去性)
◎:ルーペ観察で確認できる汚染物質が全くない。
○:ルーペ観察で確認できる汚染物質が殆どない。
×:ルーペ観察で確認できる汚染物質が表面の凹部に観察された。
××:ルーペ観察で確認できる汚染物質が全面にわたり観察された。
(粘接着剤層の残膜)
○:粘接着剤層の残膜が観察されなかった。
×:粘接着剤層の残膜が観察された。
(実施例2)
前記実施例1において用いた粘接着剤組成物を、三ツ星ベルト製、ネオプライマTF(変性ポリイソブチレン系ゴムをn−ヘプタン/n−ヘキサン=8/2混合溶媒で溶解した組成物、固形分濃度:15質量%)に代えた他は、実施例1と同様にしてA種膜表面の清掃を行い、同様に評価した。結果を下記表1に示す。
(比較例1)
前記実施例1において用いた粘接着剤組成物を、市販塩化ビニル樹脂接着剤:三菱樹脂化学(株)製、ヒシボンドHI(塩化ビニル樹脂をテトラヒドロフランで溶解した組成物、固形分濃度:約15質量%)に代え、塗布量を180g/mとした他は、実施例1と同様にしてA種膜表面の清掃を行い、同様に評価した。被膜の乾燥時間は20分であり、形成された被膜はゴム弾性を有しない被膜であった。結果を下記表1に示す。
(比較例2)
前記実施例1において用いた粘接着剤組成物を、市販塗装用ウレタン系塗料:関西ペイント(株)製、アレスレタン(ポリウレタン樹脂をキシレン/エチルベンゼン=1/1混合溶媒で溶解した組成物、固形分濃度:15.2質量%)に代え、塗布量を180g/mとした他は、実施例1と同様にしてA種膜表面の清掃を行い、同様に評価した。被膜の乾燥時間は20分であり、形成された被膜はゴム弾性を有しない被膜であった。結果を下記表1に示す。
(比較例3)
前記実施例1において用いた粘接着剤組成物を、市販エマルション系塗料:関西ペイント(株)製、ビニデラックスシャープ(アクリル系樹脂粒子を水に均一分散した分散液、固形分濃度:15質量%)に代えた他は、実施例1と同様にしてA種膜表面の清掃を行い、同様に評価した。塗布量を180g/mとした他は、実施例1と同様にしてA種膜表面の清掃を行い、同様に評価した。被膜の乾燥時間は360分であり、形成された被膜はゴム弾性を有しない被膜であった。結果を下記表1に示す。
Figure 2007330886
表1に示すように、A種膜の清掃対象面に成膜物がゴム弾性を有する粘接着材溶液を塗布し、造膜乾燥させた後、粘着材付きテープで成膜物を剥離させた場合、表面の汚れ落ちも良好で、粘接着剤層の残膜も観察されなかった。
一方、樹脂系の被膜形成材料を用いても、形成された被膜がゴム弾性を有しない比較例1及び2の方法では、汚れはある程度除去できるものの、A種膜面の微細な凹凸に浸入し乾燥した樹脂被膜が除去できず、残存してしまい、表面の清掃が不十分であった。また、水系のエマルション系材料を用いた比較例3では、被膜の乾燥、製膜に時間が掛かり、また、撥水性のフッ素樹脂膜表面にエマルション系の組成物が十分に密着しないため、汚れも十分に除去できず、特に表面の凹部に汚れが残存してしまうことがわかる。また、表面撥水性の高い新品を用いた場合には、樹脂被膜の残存も観察された。
以上のように、本発明によれば、膜面を傷つけることなく凹凸面を含む汚れ物質の除去が極めて効率的に行えるため、例えば、膜屋根上などの極めて足元の不安定な中での安全な清掃を行うことができ、A種膜面の如き、フッ素樹脂膜表面の補修、改修工法としての溶着工法、接着工法を行う場合にも、その品質確保に大いに寄与できることがわかる。

Claims (4)

  1. 繊維基布の少なくとも片面をフッ素含有樹脂で被覆してなる複合材料のフッ素樹脂膜表面に、塗布、乾燥後の被膜がゴム弾性を有する粘接着剤組成物を塗布し、乾燥して、フッ素樹脂膜表面の所定領域に粘接着剤層を形成する工程と、該粘接着剤層に、基材表面に粘着剤層を有する粘着テープを貼着し、粘着テープの粘着力により、該粘接着剤層を剥離する工程と、を有することを特徴とするフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
  2. 前記複合材料に用いられるフッ素含有樹脂が、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、及び、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
  3. 前記複合材料に用いられる繊維基布が、繊維径3.30μm〜4.05μmであって、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、及び、合成繊維より選択される1種以上の繊維からなる糸を織製してなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
  4. 前記粘接着剤組成物が、天然ゴム、ジエン系合成ゴム、及び、ジエン系共重合体合成ゴムからなる群より選択される1種以上のゴム原料を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフッ素樹脂膜表面の清掃方法。
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