以下、本発明を実施するための最良の形態として、飲食店や家庭等において食物を調理する際に適用されるシステムキッチンについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したシステムキッチン1は、少なくともワークトップ又はカウンター(以下、これらを天板という)を有するシステムキッチンであって、図1に示すように、キャビネット11と、このキャビネット11における上面を被覆する天板13と、この天板13に隣接する流し台領域Aにおいて形成されたシンク14と、シンク14に対して湯水を供給するための水栓15とを備えている。以下では、システムキッチン1を、キッチンの作業台を壁面から分離し、島(Island)型に設けたいわゆるアイランドキッチンとして適用する場合について説明をするが、かかる場合に限定されるものではなく、シンク、コンロのある作業台を1列に並べたいわゆる1列型キッチン、或いはシンク、コンロをL字型に並べたいわゆるL型キッチンとして適用するようにしてもよい。
キャビネット11は、例えば前面側に片開き可能に軸着されている図示しない扉や収納用引出を設けてもよく、これら各扉や収納用引出内には、主として台所用具や食器等を収納可能な棚やケース等を設けるようにしてもよい。
シンク14には、水切り用の凹み部等が形成されており、底面には排水口が設けられている。このシンク14において、凹み部並びに排水口は、プレス成形や注型成形、インジェクション成形等の方法により互いに一体に成形されている。シンク14の材質は、特に限定されるものではないが、耐熱性のある樹脂やステンレス鋼板等の金属を用いることも可能である。
天板13は、表面が平滑なガラス板で構成されている。この天板13上には、食材等を加熱調理するための調理鍋やポット等に代表される調理用容器や、実際に食材を切り刻み、加工するためのまな板がユーザ任意の位置に載置可能な構成とされている。この天板13は、全ての領域が同素材で構成される場合に限定されるものではなく、後述するコイルユニットを配置する範囲について上述の如きガラス板等で構成されていればよい。
この天板13上には、調理用容器が複数に亘り任意の位置に載置される場合もあるし、まな板以外に、図示しない食器篭や炊飯器、ジューサー等といった各種調理用容器20がそれぞれ任意の位置に載置される場合もある。即ち、この天板13は、調理用容器20が載置される可能性があることから、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機械的強度に優れた材料で構成する必要があるところ、通常、耐熱ガラスやセラミックス等で構成される。
ちなみに、本発明を適用したシステムキッチン1では、天板13上に載置された調理用容器20につき、IHヒータを利用して誘導加熱する。実際にこの誘導加熱は、天板13の下部に配設されたコイルユニット3を介して実行していくことになる。また、このシステムキッチン1では、ユーザがこれらコイルユニット3を操作するための操作板95が天板13側方に配設されてなるとともに、この操作板95を介してユーザの操作を受けてコイルユニット3に制御信号を送信するための中央制御ユニット94が内部に実装されている。
コイルユニット3は、少なくとも1箇所に亘り移動自在に配置されてなる平板状のベースプレート4に搭載されている。以下では、図1に示すように、天板13の長手方向Xに4列のベースプレート4a〜4dを配列させた場合を例にとり説明をする。このとき、ベースプレート4a〜4cをユーザによる指示に基づいて制御することとし、ベースプレート4dを、天板13上に載置された調理用容器20へ向けて自動的に移動制御するものとする。このベースプレート4dには、近接センサ56、57が図中幅方向Y両端にそれぞれ設けられている。
また、これらベースプレート4a〜4dは、天板13の幅方向Yに移動自在とされているものとする。なお、天板13上には、これらベースプレート4a〜4cが配列されている箇所に応じたマーキングが描かれていてもよい。
ベースプレート4は、天板13下部における空間19中に配設される。この空間19は、天板13と底板の周囲を側壁で囲むことにより密閉状態とされたいわゆる閉空間として構成される。ちなみに、この空間19は、天板13上において調理用容器20が載置可能な位置に対応させて形成されている。
このようにシステムキッチン1においては、コイルユニット3a〜3d(ベースプレート4a〜4d)を幅方向Yに移動させることができるため、天板13上の略全ての領域で、鍋等の調理用容器を誘電加熱することができる。即ち、本実施形態のシステムキッチン1は、流し台領域A以外の領域が、従来のコンロ領域及び調理台ユニット領域の両方の機能を兼ね備えた加熱調理領域Dとして機能させることが可能となる。このため、ユーザは、天板13上の任意の位置で加熱調理を行うことができると共に、天板13上の任意の位置でまな板等を載置して調理を行うことができ、更には天板13上の任意の位置に各種調理用機器を載置することができる。
図2は、操作板95の構成例を示している。操作板95は、ベースプレート4d側に配設されている操作板95aと、ベースプレート4a〜4c側に配設されている操作板95bからなる。この操作板95aは、ベースプレート4dを操作するためのものであり、また、操作板95bは、ベースプレート4a〜4cを操作するためのものである。
操作板95aは、ベースプレート4dを手動で制御するか自動制御するかを指定するための手動モードボタン101並びに自動モードボタン104と、コイルユニット3dによる加熱を行うための加熱スイッチ105並びに加熱処理を終了させるための加熱切スイッチ102と、火加減を調整する火加減調整ボタン106と揚げ物を揚げる際の温度を調整する揚げ温度調整ボタン103とを備えている。
操作板95bは、ベースプレート4a〜4cを幅方向Yに移動させるための前方移動ボタン109と、ベースプレート4を逆Y方向へ移動させるための後方移動ボタン108とをさらに備え、いかなるコイルユニット3a〜3cを制御するかを指定する指定ボタン107a〜107cと、火加減調整ボタン106と、温度調整ボタン103と、加熱スイッチ105並びに加熱切スイッチ102とを備えている。
自動ボタン104がユーザにより押圧された場合には、ベースプレート4d(コイルユニット3d)を自動的にコントロールすることになる。また、手動ボタン101が押圧された場合には、ベースプレート4d(コイルユニット3d)をユーザの操作に基づいてコントロールされることになる。
また、指定ボタン107aが押圧入力された場合には、ベースプレート4a(コイルユニット3a)が、また指定ボタン107bが押圧入力された場合には、ベースプレート4b(コイルユニット3b)が、また指定ボタン107cが押圧入力された場合には、ベースプレート4c(コイルユニット3c)がコントロールされることになる。
以下、加熱調理領域Dの具体的な構成について説明する。図3に示すように、ベースプレート4は、昇降ユニット38上に設置されてなる。また、この昇降ユニット38は、それぞれ幅方向Yに伸びるベルト40に取り付けられたベルト係合部材41に配設されている。ベルト40は、プーリ33とプーリ36間に掛け渡されてなり、プーリ33の回転駆動に応じて幅方向Y又はその正反対方向に移動可能とされている。プーリ33は、サーボモータ31による回転駆動力に応じて回転させられるものであり、さらにその回転速度は減速機32により制御されることになる。
また、ベルト40の内周側におけるプーリ33の近傍には、第1のオーバーラン検知部34が、またプーリ36の近傍には第2のオーバーラン検知部35が設けられている。さらにこの昇降ユニット38の昇降動作は、昇降モータ37により制御されることになる。この昇降モータ37の回転に応じて昇降ユニット38が下降限と上昇限との間を昇降することになる。
このベースプレート4の水平方向への移動や、昇降ユニット38の昇降動作は、中央制御ユニット94による制御に基づいて実行されていくことになる。この中央制御ユニット94は、操作板95に接続されており、この操作板95に対するユーザの操作状況が全てこの中央制御ユニット94に伝えられることになる。この結果、操作板95を操作することにより中央制御ユニット94を介してベースプレート4(コイルユニット3)を制御することが可能となる。
なお、ベースプレート4d(コイルユニット3d)に関しては、例えば図4に示すように、上述した近接センサ56、57がさらに設けられている。この近接センサ56、57は、例えば赤外センサ等で構成され、天板13上に載置された調理用容器20の存在を識別することが可能となる。この近接センサ56、57は、幅方向Yに向けて互いに離間された状態で設けられている。以下の例においては、この近接スイッチ56、57の間隔は360mmであり、また近接センサ56、57とコイルユニット4dの中心位置との間隔を180mmで構成する場合を例にとり説明をする。
図5は、コイルユニット3のブロック構成図である。コイルユニット3は、インバータブロック331と、制御ブロック332に大別されて構成されている。このインバータブロック331は、実際に誘導加熱する高周波磁界を制御するためのブロックであり、制御ブロック332は、コイルユニット3全体を制御するためのブロックである。
インバータブロック331は、家庭用のAC200V(50/60Hz)の電源を電源プラグ329から電源コード330を介して受給する整流回路333と、この電源コード330と整流回路333との間に配設された電流検知コイル344と、この整流回路333に接続されてなり、鉄心にコイルを巻回すことにより構成されるチョークコイル334と、このチョークコイル334との間で直列LC回路を構成するコンデンサ335と、整流回路333の出力端子間を直列に接続するようにして配設される第1のスイッチング素子336並びに第2のスイッチング素子337と、これらスイッチング素子336,337に対して並列に接続される2つの共振コンデンサ338,339と、これら共振コンデンサ338,339の接続点に短絡されるカーレントトランス340と、インバータブロック331の内部の何れかに実装される回路保護サーモ341とを備えている。このインバータブロック331におけるカーレントトランス340の一端側と、上記スイッチング素子336,337の接続点には、さらに誘導加熱コイル342が接続され、この誘導加熱コイル342の略中心付近には図2に示すような断熱材306を介して鍋温度検知サーミスタ350が設けられている。ちなみに、加熱調理時においては、この誘導加熱コイル342からの高周波磁界により天板13を介してスイッチング素子336,337とに接続されるインバータ駆動回路348と、接続された回路保護サーモ341からの検知情報を制御回路347へ送信するため調理用容器20を誘導加熱できる位置まで、コイルユニット3自体が移動させられることになる。
制御ブロック332は、上記インバータブロック331における電流検知コイル344に接続される一次電流検知回路345と、整流回路333へ供給される電流を検知するための電源電圧検知回路346と、少なくとも上記一次電流検知回路345並びに電源電圧検知回路346に接続されてなり、この制御ブロック332全体を制御するための中央演算ユニットとしての役割を担う制御回路347と、この制御回路347と上記スイッチング素子の温度検知回路349と、カーレントトランス340並びに制御回路347にそれぞれ接続されるコイル電流検知回路351と、温度検知サーミスタ350並びに制御回路347にそれぞれ接続される鍋温度検知回路352とを少なくとも備えている。また、この制御ブロック332は、上記制御回路347に対して更にアラーム364と、操作部357とを接続して構成されている。
先ず、インバータブロック331の詳細な構成につき説明をする。
整流回路333は、接続された電源プラグ329からの電源用電流を整流するために配設されたものであって、供給された交流としての電源用電流を直流に変換する。チョークコイル334とコンデンサ335とにより構成されるLC直列回路は、いわゆる平滑回路を構成する。スイッチング素子336,337は、例えばトランジスタ等で構成され、各スイッチング素子336,337のエミッタとコレクタには逆導通用のダイオード362,363がそれぞれ並列接続される。スイッチング素子336のベースにはインバータ駆動回路348からの駆動信号QAが供給され、スイッチング素子337のベースにはインバータ駆動回路348からの駆動信号QBが供給される。即ち、インバータ駆動回路348は、この駆動信号QAと駆動信号QBとを交互に供給することにより、共振コンデンサ338,339と誘導加熱コイル342に共振電流を流すことが可能となる。
誘導加熱コイル342における巻き数は、上記調理用容器20を加熱する際における電力を支配するものであり、調理用容器20における底板の表皮抵抗や共振電流の大きさとの関係において最適に調整されている必要がある。この誘導加熱コイル342は、上記供給される共振電流に基づいて共振されることになり、その結果、高周波磁界を発生させることが可能となる。
回路保護サーモ341は、温度の変化に応じて抵抗値が変化するサーミスタ等で構成される。この回路保護サーモ341は、主としてインバータブロック331や制御ブロック332を構成する空間の温度を測定する。
温度検知サーミスタ350は、回路保護サーモ341と同様にサーミスタで構成される。この鍋温度検知サーミスタ350は、天板13を介して調理用容器20の温度を検知すべく、上述の如く誘導加熱コイル342の中心付近に配設されることになる。
カーレントトランス340は、誘導加熱コイルに流れる共振電流の電流値を検知するためのコイル等である。
次に、制御ブロック332の詳細な構成につき説明をする。
一次電流検知回路345は、接続された電流検知コイル344を介して、電源プラグ329を介して供給される電源用電流の電流値を検知する。この一次電流検知回路345は、この検知した電流値を制御回路347へと通知する。
電源電圧検知回路346は、電源プラグ329からの電源用電流に基づく電圧を検知する。電源電圧検知回路346は、この検知した電圧を制御回路347へ通知する。
制御回路347は、CPU等で構成される。この制御回路347は、上述した一次検知回路345により検知された電流値が通知され、かつ電源電圧検知回路346により検知された電圧が通知された場合には、これらを参照しつつ、設定された電力となるようにインバータ駆動回路348を制御する。この制御回路347は、操作部357を介したユーザからの命令を解釈し、これに基づいてインバータ駆動回路348、アラーム364を制御する。
インバータ駆動回路348は、正弦波信号を発振させるための発振回路として構成され、制御回路347による制御に基づいて、上記駆動信号QA又は駆動信号QBを生成する。
温度検知回路349は、回路保護サーモ341における抵抗値の変化を検出する。この温度検知回路349は、この検出した回路保護サーモ341の抵抗値の変化に基づき、内部の温度を検知する。この温度検知回路349は、検知した温度を制御回路347へ通知する。制御回路347は、温度検知回路349からの通知を介し内部の温度を随時認識することが可能となる。
コイル電流検知回路351は、カーレントトランス340により検知された共振電流の電流値を読み取り、これを制御回路347へ通知する。制御回路347は、コイル電流検知回路351を介して共振電流の電流値を随時認識することができる。これにより、制御回路347は、例えば、調理用容器20の材質や形状に応じて決定される誘導加熱に必要な電力に対して、必要以上の共振電流が流れるのを抑制することが可能となり、さらには、誘導加熱中において調理用容器20が外された場合において、コイルユニット3全体の動作を停止させるとともに、アラーム364を介してこれをユーザに通知することも可能となる。
鍋温度検知回路352は、鍋温度検知サーミスタ350における抵抗値の変化を検出する。この鍋温度検知回路352は、この検出した鍋温度検知サーミスタ350の抵抗値の変化に基づき、調理用容器20の温度を検知する。この鍋温度検知回路352は、検知した調理用容器20の温度を制御回路347へ通知する。制御回路347は、温度検知回路349からの通知を介して調理用容器20の温度を随時認識することが可能となる。これにより、例えば調理用容器20の底部の温度が規定値以上に上昇した場合には、コイルユニット3全体の動作を停止させることも可能となる。
アラーム364は、制御回路347による制御に基づいて所定の音を発生させる音声発振器で構成される。操作部357は、ユーザが実際にコイルユニット3を操作するためのキーやボタン等で具体化される。この操作部357においてユーザから入力された内容は、制御回路347へ通知され、制御回路347はかかる入力された内容に基づいてコイルユニット3の各構成要素を制御していくことになる。ちなみにこの操作部357は、筐体表面に形成されたボタン等を想定しているが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば、無線通信でユーザからの入力内容を送信するためのリモートコントローラで構成されていてもよい。また、操作部357に関する機能についても、操作板95に担わせるようにしてもよい。
図6は、コイルユニット3dのブロック構成を示している。このコイルユニット3dの構成は、上述したコイルユニット3a〜3cと同一構成であるが、近接センサ56、57が制御回路347へ接続されている点が異なる。近接センサ56、57により調理用容器20の有無が検出された場合には、その旨が制御回路347へと通知されることになる。この制御回路347は、近接センサ56による検出結果を、中央制御ユニット94へと伝える。
次に、上述の構成からなるコイルユニット3により、実際に調理用容器20を誘導加熱する方法につき説明をする。
先ず、電源プラグ329から電源コード330を介して電源用電流を受給する。この受給した電源用電流は、整流回路333において整流されることになる。このとき、インバータ駆動回路348は、制御回路347による制御の下、スイッチング素子336,337に供給する駆動信号QA、QBの調整する。
図7(a)は、誘導加熱コイル342に流れる共振電流を、図7(b)は、このスイッチング素子336に対して供給される駆動信号QAを、図7(c)は、このスイッチング素子337に対して供給される駆動信号QBを示している。
インバータ駆動回路348は、制御回路347による制御の下、時点t0から時点t1に至るまで駆動時間がT1である駆動信号QAをON出力する。この駆動時間T1の間では、スイッチング素子336及びダイオード362と、誘導加熱コイル342と、共振コンデンサ338とで形成される閉回路で共振することになる。ちなみに、インバータ駆動回路348は、時点t1において駆動信号QAをOFFにする。
次にインバータ駆動回路348は、制御回路347による制御の下、時点t2から駆動時間がT2である駆動信号QBをON出力する。この駆動時間T2の間では、スイッチング素子337及びダイオード363と、誘導加熱コイル342と、共振コンデンサ339とで形成される閉回路で共振することになる。なお、この駆動時間T2は、上記駆動時間T1と同一である。
このように閉回路を変えて誘導加熱コイル342を共振させることにより、誘導加熱コイル342において高周波磁界を発生させることができる。この発生させられた高周波磁界は、天板13を介して調理用容器20の底板を通過していくことになる。この調理用容器20の底板は、金属製であるため、この高周波磁界を金属製の底板に通すことにより、渦電流が発生することになる。この渦電流と調理用容器20の持つ電気抵抗によりジュール熱が生じ、調理用容器20自体が発熱することになる。その結果、調理用容器20内にある食物を加熱調理することが可能となる。
また、このような構成からなるシステムキッチン1において、ユーザは、コイルユニット3を介して調理用容器20を加熱することができる。
なお本発明においては、コイルユニット3により調理用容器20を誘導加熱させる際には、ベースプレート4を天板13の底面へ近接させるようにし、ベースプレート4を幅方向Y(逆Y方向)へ移動させる際には、ベースプレート4を天板13の底面から離間させるようにしてもよい。
実際にユーザにより、手動モードボタン101が選択され、さらに指定ボタン107aが押圧されることにより、コイルユニット3aによる加熱調理ならびに移動動作を実行する例について図8、9に基づいて説明をする。
スタート時においては、まだ調理用容器20を誘導加熱する前の待機状態にあることから、ベースプレート4aは、図10(a)に示すように天板13の底面から離間された状態にある。
先ず、ステップS11において、加熱スイッチ105が入力されたか否か識別する。加熱スイッチ105が入力された場合には、ステップS13へと移行する。これに対して、加熱スイッチ105の押圧を識別できない場合には、ステップS12へと移行する。
ステップS12では、さらに、後方移動ボタン108の押圧入力を識別する。後方移動ボタン108の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS14へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS15へと移行する。
ステップS14へ移行した場合には、ベースプレート4aを幅方向Yへと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この幅方向Yへの移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。
また、このステップS14における移動動作を実行しつつ、ステップS16において後方移動ボタン108の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。後方移動ボタン108の押圧入力が解除されない場合には、ステップS14における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、後方移動ボタン108の押圧が解除された場合には、ステップS17へと移行する。
ステップS17に移行した場合には、ベースプレート4aの幅方向Yへの移動を停止させる。
ステップS15では、さらに、前方移動ボタン109の押圧入力を識別する。前方移動ボタン109の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS18へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS11へと戻る。
ステップS18へ移行した場合には、ベースプレート4aを逆Y方向へと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この逆Y方向への移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。
また、このステップS18における移動動作を実行しつつ、ステップS19において前方移動ボタン109の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。前方移動ボタン109の押圧入力が解除されない場合には、ステップS19における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、前方移動ボタン109の押圧が解除された場合には、ステップS20へと移行する。
ステップS20に移行した場合には、ベースプレート4aの幅方向Yへの移動を停止させる。
なお、ステップS17、S20を終了させた後には、ステップS11へと再び戻ることになる。
また、ステップS13に移行した場合には、昇降モータ37を回転させることにより、昇降ユニット38を上昇限に向けて上昇させる。その結果、図10(b)に示すように、コイルユニット3を天板13底面に近接させることが可能となる。ちなみに、この昇降ユニット38を上昇させている際には、ステップS21へと常時移行し、昇降ユニット38が上昇限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降ユニット38が上昇限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS22へと移行し、それ以外の場合には再びステップS13へと移行し、昇降ユニット38を上昇限へ向けて上昇させることになる。
ステップS22へと移行した場合には、昇降ユニット38が上昇限へと到達した場合であることから、昇降モータ37の回転を停止させる。
次に、ステップS23へと移行し、コイルユニット3による加熱を開始する。
次に、ステップS24へと移行し、後方移動ボタン108の押圧入力を識別する。後方移動ボタン108の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS25へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS26へと移行する。
ステップS25へ移行した場合には、昇降モータ37を回転させることにより、昇降ユニット38を下降限に向けて下降させる。図10(a)に示すように、コイルユニット3を天板13から離間させることが可能となる。ちなみに、この昇降ユニット38を下降させている際には、ステップS27へと常時移行し、昇降ユニット38が下降限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降ユニット38が下降限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS28へと移行し、それ以外の場合には再びステップS25へと移行し、昇降ユニット38を下降限へ向けて下降させることになる。
ステップS28へ移行した場合には、昇降モータ37の回転を停止させる。次にステップS29へ移行し、ベースプレート4aを幅方向Yへと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この幅方向Yへの移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。
また、このステップS29における移動動作を実行しつつ、ステップS30において後方移動ボタン108の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。後方移動ボタン108の押圧入力が解除されない場合には、ステップS29における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、後方移動ボタン108の押圧が解除された場合には、ステップS31と移行する。
ステップS31に移行した場合には、ベースプレート4aの幅方向Yへの移動を停止させ、再びステップS13へと戻ることになる。
ステップS26へ移行した場合には、前方移動ボタン109の押圧入力を識別する。前方移動ボタン109の押圧入力を識別することができた場合には、ステップS32へ移行し、これを識別することができなかった場合には、ステップS33へと移行する。
ステップS32へ移行した場合には、昇降モータ37を回転させることにより、昇降ユニット38を下降限に向けて下降させる。この昇降ユニット38を下降させている際には、ステップS34へと常時移行し、昇降ユニット38が下降限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降ユニット38が下降限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS35へと移行し、それ以外の場合には再びステップS32へと移行し、昇降ユニット38を下降限へ向けて下降させることになる。
ステップS35へ移行した場合には、昇降モータ37の回転を停止させる。次にステップS36へ移行し、ベースプレート4aを逆Y方向へと移動させる。ベースプレート4aは、天板13の底面から離間した状態にあることから、この幅方向Yへの移動時において天板13の底面にこすれたり、ぶつかることがなくなることから、スムーズな移動を実現することが可能となる。
また、このステップS36における移動動作を実行しつつ、ステップS37において前方移動ボタン109の押圧入力が解除されたか否かを常時識別していくことになる。前方移動ボタン109の押圧入力が解除されない場合には、ステップS36における移動動作がそのまま継続することになる。これに対して、前方移動ボタン109の押圧が解除された場合には、ステップS38と移行する。
ステップS38に移行した場合には、ベースプレート4aの逆Y方向への移動を停止させ、再びステップS13へと戻ることになる。
ステップS33へと移行した場合には、加熱切スイッチ102が押圧入力されたか否か識別する。加熱切スイッチ102が押圧入力された場合には、ステップS39へと移行する。これに対して、加熱切スイッチ102が押圧入力されなかった場合には、ステップS40へと移行し、コイルユニット3による加熱動作を継続することになる。
ステップS39では、コイルユニット3による加熱処理を終了させる。次に、ステップS41へ移行し、昇降モータ37を回転させることにより、昇降ユニット38を下降限に向けて下降させる。この昇降ユニット38を下降させている際には、ステップS42へと常時移行し、昇降ユニット38が下降限に到達したか否か識別を行う。その結果、昇降ユニット38が下降限に到達したものと識別することができた場合には、ステップS43へと移行し、それ以外の場合には再びステップS41へと移行し、昇降ユニット38を下降限へ向けて下降させることになる。ステップS43へ移行した場合には、昇降モータ37の回転を停止させる。
このステップS39〜ステップS43に至るまでのプロセスを通じて、コイルユニット3の加熱を終了させ、昇降ユニット38を下降させて処理動作を終了させることができる。その後、ステップS11へと戻ることになる。
また、この図8、9に示すフローチャート全体を通じて、ベースプレート4aを幅方向Y又はその正反対方向へ移動させる際において、天板13の対面から離間させた状態でこれを実行することができることから、ベースプレート4aが天板13の底面にこすれたりぶつかることがなくなり、常にスムーズな移動を実現することが可能となる。
なお、上述した図8、9に示すフローチャートでは、あくまで、コイルユニット3aによる加熱調理ならびに移動動作を実行する場合を例に挙げて説明をしたが、かかる場合に限定されるものではなく、例えばコイルユニット3b、3cについても同様のフローに基づいて加熱調理並びに移動動作が実行されていくことになる。
次に、コイルユニット3d(ベースプレート4d)による移動動作を実行する例について説明をする。
図11におけるa−1に示すように、ベースプレート4dを幅方向Yへと移動させる。このときは、ベースプレート4dが天板13の底面から離間されている状態にある。このベースプレート4dのY方向への移動時においては、近接センサ56により、天板13上に載置された調理用容器20の有無を随時検出していくことになる。
次にa−2に示すように、近接センサ56により天板13上に載置された調理用容器20の存在を検出することができた場合には、その座標点Aを記憶する。
ベースプレート4dをさらにY方向へ移動させることにより、a−3に示す位置状況になる。これは、a−2状態から随時検出してきた調理用容器20が、このa−3を境に検出することができなくなることを意味している。かかるa−3状態において、近接センサ56の座標点Bを記憶する。
次に、記憶した座標点Aと座標点Bとに基づいて、調理用容器20の中心位置を算出し、算出した調理用容器20の中心位置がコイルユニット3dの中心位置と一致するようにベースプレート4dを移動し、微調整させる。その結果、最終的にb−4に示すように調理用容器20の載置位置に対してコイルユニット3dを正確に位置合わせさせることが可能となる。
次に、コイルユニット3d(ベースプレート4d)による移動動作を実行する他の例について説明をする。
図12におけるb−1に示すように、ベースプレート4dを幅方向Yへと移動させる。このときは、ベースプレート4dが天板13の底面から離間されている状態にある。このベースプレート4dのY方向への移動時においては、近接センサ56、57により、天板13上に載置された調理用容器20の有無を随時検出していくことになる。
次にb−2に示すように、近接センサ56により天板13上に載置された調理用容器20の存在を検出することができた場合には、その座標点Aを記憶する。その後、逆Y方向へとベースプレート4dを移動させる。
次に、b−3に示すように、近接センサ57により調理用容器20の存在を検出することができた場合には、その座標点Bを記憶する。
次に、記憶した座標点Aと座標点Bとに基づいて、調理用容器20の中心位置を算出し、算出した調理用容器20の中心位置がコイルユニット3dの中心位置と一致するようにベースプレート4dを移動し、微調整させる。その結果、最終的にa−4に示すように調理用容器20の載置位置に対してコイルユニット3dを正確に位置合わせさせることが可能となる。
次に、コイルユニット3d(ベースプレート4d)による移動動作を実行するさらなる他の例について説明をする。
図13におけるc−1に示すように、ベースプレート4dを幅方向Yへと移動させる。このときは、ベースプレート4dが天板13の底面から離間されている状態にある。その結果、c−2に示すようにベースプレート4dが移動可能範囲における上端へ到達することになる。その後ベースプレートを逆Y方向へと移動させていく。このとき、近接センサ57により、天板13上に載置された調理用容器20の有無を随時検出していくことになる。
次にc−3に示すように、近接センサ57により天板13上に載置された調理用容器20の存在を検出することができた場合には、その座標点Aを記憶する。その後、逆Y方向へとベースプレート4dを移動させる。
次に、c−4に示すように、近接センサ57により調理用容器20の存在を検出することができた場合には、その座標点Bを記憶する。
次に、記憶した座標点Aと座標点Bとに基づいて、調理用容器20の中心位置を算出し、算出した調理用容器20の中心位置がコイルユニット3dの中心位置と一致するようにベースプレート4dを移動し、微調整させる。その結果、最終的にc−5に示すように調理用容器20の載置位置に対してコイルユニット3dを正確に位置合わせさせることが可能となる。
このように、本発明を適用したシステムキッチン1においては、ベースプレート4dを、天板13上に載置された調理用容器20へ向けて自動的に移動制御することができ、ユーザの労力負担の軽減を図ることが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、ベースプレート4を天板13の幅方向に移動自在とする場合に限定されるものではなく、天板13の長手方向に移動自在となるように構成してもよいことは勿論である。