JP2007328978A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温、高温高湿、正極が高電位になるような厳しい条件下でも性能を維持でき、従来の用途での長寿命化に加えて、新規な用途への応用展開の可能性が広がる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】正極、負極、セパレ−タ及び非水電解液を電池ケース、封口板とガスケットからなる電池容器に収納した非水電解液二次電池において、前記電池ケースが鉄、ニッケル及びクロムからなる群より選択される少なくとも一種を含み、かつ孔食指数が22以上の合金であり、スルホランが85〜95体積%と鎖状カーボネートが5〜15体積%とからなる混合溶媒に、溶質がLiN(CF3SO22を0.8〜1.30mol/L含有されている非水電解液からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池ケースおよび封口板が非水電解液に対して安定に存在することで高信頼性が得られる非水電解液二次電池に関する。
非水電解液電池の電極活物質、非水電解液、セパレータなどの電池の出力性能に大きく影響を及ぼすものについて多くの研究開発が行われている。一方、電池ケースや封口板などの外装缶や集電体などの構成材料に関する研究開発はまだまだ少ないのが現状である。
活物質材料については、3V級のV25、LiMnO2やより高電位の4V級のLiCoO2、LiNiO2、LiMn24が実用化されており、最近ではより高電圧の5V級のLiMn3/4Ni1/42材料の研究開発が行われている。
また、非水電解液の電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22などが実用化されている。
正極の電位が3V程度の場合は外装缶に耐食性のステンレスを用い、電解液の溶質としてはLiBF4、LiClO4、LiN(CF3SO22などが用いられている。
正極の電位が4V以上になる場合には、アルミニウムが電池ケース材に、電解液の溶質にはLiPF6が用いられている。高電位で安定にアルミニウムが存在する理由として、LiPF6由来のフッ素イオンによりアルミニウム表面上に緻密なフッ化アルミニウム層が形成されることで、電解液とアルミニウムが直接接触することが無くなるので腐食反応を抑制していると考えられている。
LiBF4も同じ様な機能を果たすが、LiPF6に比べて安定な為にフッ素イオン形成がしにくく、単体で用いられずにLiPF6などの混合系で用いられている。
但し、LiPF6は熱と耐水分に対して非常に弱いことが問題である。60℃以上の高温では安定が低いので分解反応が容易に進行するため電解液の電気伝導性を著しく低下させる。また、水との反応によりフッ酸を容易に形成し、正負極活物質と反応し電池容量低下や放電性能低下を引き起こす。
LiN(CF3SO22は電気伝導性が高く、熱安定性に優れ、また、水分に対して安定である。しかし、アルミニウムと組み合わせると3.5V前後で容易にアルミニウムを溶解させてしまう為、高電位の正極については用いられないのが現状である(特許文献1)。また、アルミニウムは強度が弱い為、外装缶材料に用いると電池の膨れや強度に課題がある。
電池の信頼性を考えると、溶質にはLiN(CF3SO22を、外装部品を構成する材料にはステンレス鋼などの強度を有する合金材料を用い、4V以上の正極を用いた場合にも安定に存在できるような性能を実現することが目標となる。
正極が4V以上の高電位になる電池の電池ケース材料として、クロムを22〜25重量%、モリブデンを6.5〜9.0重量%、窒素を0.15〜0.25重量%および鉄を30〜39重量%含有し、残部がニッケルとその他不純物からなるニッケル合金を用いることが提案されている(特許文献2)。
特開2004−363078号公報 特開2005−310424号公報
前記ニッケル合金を用いた場合でも、LiPF6やLiBF4では優れた連続充電性能が得られるが、LiN(CF3SO22を用いた場合には性能劣化が大きくなり、一部外装缶が腐食するものも見られ、更に性能を向上させる課題がある。
本発明では、電解液の溶質としてLiN(CF3SO22を、外装缶の材料には一般的に使用されている耐食性のステンレス鋼やニッケル合金を組み合わせた系において、電解液の溶媒種とその組成を検討することにより、4V以上の高電位や60℃を超える高温雰囲気などの厳しい条件下でも性能劣化が少ない非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、正極、負極、セパレ−タ及び非水電解液を電池ケース、封口板とガスケットからなる電池容器に収納した非水電解液二次電池において、前記電池ケースが鉄、ニッケル及びクロムからなる群より選択される少なくとも一種を含み、かつ孔食指数が22以上の合金であり、前記非水電解液がスルホラン85〜95体積%と鎖状カーボネート5〜15体積%とからなる混合溶媒に、溶質としてLiN(CF3SO22が0.8〜1.30mol/L含有されたことを特徴とする。
本発明により高温、高温高湿環境下や、正極が高電位になるような厳しい条件下でも性能を維持できる非水電解液二次電池を得ることができ、従来の用途での長寿命化に加えて、新規な用途への応用展開の可能性が広がる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
正極、負極、セパレ−タ及び非水電解液を電池ケース、封口板とガスケットからなる電池容器に収納した非水電解液二次電池において、前記電池ケースが鉄、ニッケル及びクロムからなる群より選択される少なくとも一種を含み、かつ孔食指数が22以上の合金であり、前記非水電解液がスルホラン85〜95体積%と鎖状カーボネート5〜15体積%とからなる混合溶媒に、溶質としてLiN(CF3SO22が0.8〜1.30mol/L含有されたことを特徴とする。
ここで、本発明で用いる孔食指数はクロムとモリブデン及び窒素の含有量から導かれる孔食指数PRE(Pitting Resistance Equivalent)=%Cr+3.3X%Mo+20X%Nで定義されており、耐食性の指標とされている。孔食指数が22以上の合金としては、SUS444、SUS329J3L、SUS316などのステンレスや、鉄、クロムを含むニッケル合金(Cr23.2重量%、Moを5.3重量%、Niを25.5重量%、Nを0.20重量%、Fe44.2重量%のニッケル合金、Cr23.2重量%、Moを7.4重量%、Niを35.4重量%、Nを0.22重量%、Fe33.4重量%のニッケル合金)が挙げられる。
これらの耐食性の合金は非常に高い強度を有しており、外装缶に用いることは最適である。
非水電解液の溶媒としてはスルホランと鎖状カーボネートを混合したものが好ましい。溶媒であるスルホランが前記ケース材と反応して表面層を緻密な遷移金属硫化物などで覆うことにより、ケース材と電解液とが直接接触しなくなり腐食反応を抑制しているものと推察している。但し、スルホラン自身は融点が28℃高い為、単一溶媒で使用すると低温放電がほとんどできない問題がある。そこで低凝固点の溶媒を混合することで低温特性の改善の検討を行い、電池ケース材料安定性及び高温安定性なども含めて評価した結果、スルホランに鎖状カーボネートを混合した系が最も優れた性能が得られことを見出した。
ジメチルカーボネートは凝固点が3℃、沸点が90℃、エチルメチルカーボネートは凝固点が−55℃、沸点が108℃、ジエチルカーボートは凝固点が−43℃、沸点が126℃と広い温度範囲で液体として電池内で安定に存在するので、スルホランによる腐食反応に関する効果に対して阻害しない物と考えられる。但し、鎖状カーボネートの量を多くしていくと、電池の性能劣化が起こった。劣化要因として、電池ケースの腐食による影響が大きいことがわかった。詳細については不明であるが、鎖状カーボネートの含有量が増えることで、ケース材表面に接触する電解液でのスルホランの割合が低下して、部分的にはスルホランに起因する緻密な被膜が形成されていない部分がLiN(CF3SO22により腐食されて溶解してしまったと考えられる。
スルホランへの鎖状カーボネートの混合比としては、スルホランが85〜95体積%と鎖状カーボネートが5〜15体積%の範囲が最適であった。鎖状カーボネートの量が5体積%未満になると電解液の低温での導電性が低下する為、好ましくない。また、15体積%を超えてくると前記の様にスルホランの効果を阻害する可能性があるため、それ以下にすることが好ましい。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートの少なくとも一種を含んだ溶媒を用いることが好ましい。
溶質であるLiN(CF3SO22の濃度は0.8〜1.30mol/Lにすることが好ましい。0.8mol/L未満になると、電解液の低温での導電性が低下し、また、1.30mol/Lを超えると、電解液自身の粘度が高くなり導電性が低下する為、前記範囲内とすることが電解液としての性能を引き出すことができる。
また、正極が4V以上の高電位になる電池では、0Vの過放電状態になると正極の電位である4Vに近い電位まで負極の電位が上昇する為、封口板の腐食による溶解反応が起こる為、封口板の材質にも鉄、ニッケル及びクロムからなる群より選択される少なくとも一種を含み、かつ孔食指数が22以上の合金であることを用いることが好ましい。
更に、電池ケース及び封口板の材質が同一にすることで0Vの過放電状態における安定性が向上する為より好ましい。
非水電解液にLiBF4を溶質のLiN(CF3SO22に対して5〜20モル%添加することで耐電池ケースへの安定性を維持しつつ、低温での放電特性を向上させれることができる。
正極の電極材料としては、LiCoO2、LiNiO2、LiNixCo1-X2(0<X<1)及びLiCo1/3Ni1/3Mn1/32、スピネル型のLi1+X Mn2-X4(0≦X≦0.33)またはスピネル型のマンガンの一部を異種元素で置換したLi1+X Mn2-X-yAO4(AはCr、Ni、Co、Fe、Al、B、0≦X≦0.33、0<y≦0.25)などの4V級のリチウム含有遷移金属酸化物や、3V級のLiMnO2、Li0.3MnO2、MnO2、V25、V613、Nb25、WO3、TiO2、MoO3、Li4/3Ti5/34を用いることができる。
負極の電極材料としては、金属リチウム、スズ、ケイ素、アルミニウムなどのリチウム合金、黒鉛やコークス等の炭素系材料、Li4/3Ti5/3O4、Nb2O5、Li1+X Mn2-X4などのリチウム吸蔵可能な遷移金属を含む酸化物などを用いることができる。
電極を構成する導電剤種としては、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)等を用いることができる。結着剤としては、ポリテロフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリフッカビニリデン(PVDF)などのフッ素系樹脂が好ましく、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のゴム系の物を用いることも可能である。
セパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンの単体の微多孔膜、単体の不織布、混合物の微多孔膜、混合物の不織布、ポリフェニレンスルフィドの不織布、ガラス繊維セパレータ、セルロースセパレータ等が使用できる。
以上の構成の電池にすることで、外装の材料には一般的に使用されている耐食性のステンレス鋼やニッケル合金を用いて、4V以上の高電位や60℃を超える高温雰囲気などの厳しい条件下でも性能劣化が少ない非水電解液二次電池を提供することができ、従来の用途での長寿命化や今まで対応できなかった新規の用途への展開が可能となる。
以下、本発明の好ましい実施例について説明する。
(実施例1)
図1に本実施例で用いたコイン型非水電解質二次電池の断面図を示す。電池ケース1と封口板2にはSUS316(Cr16.1重量%、Moを2.0重量%、Niを11.2重量%、Fe69重量%、孔食指数22.7)を用いた。
電池ケース1と封口板2の内面部に集電体7として導電性カーボンを塗布し、ガスケット3にはポリプロピレン製のものを用いた。電池ケース1及び封口板2とガスケット3との間にピッチをトルエンで希釈した溶液を塗布し、トルエンを蒸発させることによりピッチからなるシ−ラント8を設けた。
6はポリフェニレンスルフィド製の不織布からなるセパレ−タである。電解液はスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比90:10の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した。電池寸法は直径が16mm、厚みが1.6mmであった。以下、正極、負極について詳しく説明する。
LiOHとMnO2を1:2のモル比で混合し、650℃5時間焼成することで得られたLiMn24を得た。この酸化物を正極活物質とし、導電剤としてカーボンブラックを、結着剤としてPTFEを重量比で88:5:7の割合で混合し正極合剤とした。この正極合剤を2ton/cm2で直径10mm、厚み0.5mmのペレットに加圧成形したのち、空気中250℃で24時間乾燥して正極4を作製した。
負極は、天然黒鉛を活物質とし、導電剤には気相成長炭素繊維を、結着剤としてはスチレンブタジエンゴムを重量比で90:5:5の割合で混合し負極合剤とした。この負極合剤を2ton/cm2で直径11mm、厚み0.5mmのペレットに加圧成形したのち、空気中150℃で24時間乾燥して負極5を作製した。以上の部品、材料構成により電池Aを作製した。
電池ケース材として、SUS444(Cr18.5重量%、Moを2.1重量%、Fe77.8重量%、孔食指数25.4)を用いたこと以外は電池Aと同様にして電池Bを作製した。
電池ケース材として、SUS329J4L(Cr25.0重量%、Moを3.3重量%、Niを6.3重量%、Nを0.10重量%、Fe63.6重量% 孔食指数 36.9)を用いたこと以外は電池Aと同様にして電池Cを作製した。
電池ケース材として、鉄、クロムを含むニッケル合金(Cr23.2重量%、Moを7.4重量%、Niを35.4重量%、Nを0.22重量%、Fe33.4重量%、孔食指数52.4)を用いたこと以外は電池Aと同様にして電池Dを作製した。
電池ケース材として、SUS304N(Cr18.2重量%、Niを10.1重量%、Nを0.12重量%、Fe77.8重量%、孔食指数20.6)を用いたこと以外は電池Aと同様にして比較電池1を作製した。
電池ケース材として、SUS430(Cr18.2重量%、Niを10.1重量%、Nを0.12重量%、Fe77.8重量%、孔食指数20.6)を用いたこと以外は電池Aと同様にして比較電池2を作製した。
電池A〜Dおよび比較電池1、2について、0.1mAの定電流にて4.2Vまで充電した後に、0.1mAの定電流で3Vまで放電して初期放電容量を得た。また、電池A〜Dと比較電池1、2を60℃90%の高温多湿環境下にて4.2Vの電圧を連続印加した状態で20日間放置した。その後、試験電池を0.1mAの定電流で3Vまで放電して試験後の放電容量を得た。初期放電容量を100として、試験後の放電容量を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2007328978
電池A〜Dについては、保存試験後でも放電容量を90%以上確保できた。比較電池1、2については大きい劣化率を示した。比較電池ではケース材の腐食が見られた。
(実施例2)
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比95:5の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.3mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Eを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比95:5の混合溶媒にLiN(CF3SO22を0.8mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Fを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比90:10の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.3mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Gを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比85:15の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.3mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Hを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比85:15の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Iを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比85:15の混合溶媒にLiN(CF3SO22を0.8mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Jを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比90:10の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Kを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とエチルメチルカーボネート(DMC)を体積比90:10の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Lを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比90:5:5の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Mを作製した。
電解液にスルホラン(SLF)の単一溶媒にLiN(CF3SO22を1.3mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池3を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比95:5の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.5mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池4を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比95:5の混合溶媒にLiN(CF3SO22を0.7mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池5を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比85:15の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.5mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池6を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比85:15の混合溶媒にLiN(CF3SO22を0.7mol/l溶解させたものを使用した以外は
電池Bと同構成である比較電池7を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比70:30の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.3mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池8を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比70:30の混合溶媒にLiN(CF3SO22を0.8mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池9を作製した。
電解液にスルホラン(SLF)とジエチルカーボネート(DEC)体積比25:75の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池10を作製した。
電解液にエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(EMC)体積比25:75の混合溶媒にLiN(CF3SO22を1.0mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池11を作製した。
電池B、E〜Mと比較電池3〜11について実施例1と同様の高温多湿環境下での連続充電試験を行い、その結果を表2に示す。また、−20℃の低温下で、電池B、E〜Mと比較電池3〜11を0.1mAの定電流で3Vまで放電して−20℃の放電容量を得た。同様に初期放電容量を基準に算出して表2に示す。
電池B、E〜Mは試験後の残存容量を80%以上確保できた。また、低温放電でも、70%以上の放電容量が得られた。比較電池3〜11については発明電池に比べて保存試験または低温放電特性で特性に劣る結果となった。
Figure 2007328978
(実施例3)
LiN(CF3SO22とLiBF4がそれぞれ0.95mol/lと0.5mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Nを作製した。
LiN(CF3SO22とLiBF4がそれぞれ0.9mol/lと0.1mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Oを作製した。
LiN(CF3SO22とLiBF4がそれぞれ0.8mol/lと0.2mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である電池Pを作製した。
LiN(CF3SO22とLiBF4がそれぞれ0.7mol/lと0.3mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池12を作製した。
LiN(CF3SO22とLiBF4がそれぞれ0.5mol/lと0.5mol/l溶解させたものを使用した以外は電池Bと同構成である比較電池13を作製した。
電池B、N、O、Pと比較電池12、13について実施例2と同様の高温多湿環境下での連続充電試験と−20℃の低温放電試験行い、その結果を表3に示す。
LiBF4を5〜20モル%添加した電池N、O、Pは高温多湿環境に対する性能を維持しつつ、低温放電特性が向上した。
Figure 2007328978
本実施例では、形状としてコイン型を用いて説明したが、これに限定されるものではない。円筒型、角型等の形状でも同様な結果が得られる。
本発明により高温、高温高湿、正極が高電位になるような厳しい条件下でも性能を維持できる非水電解質二次電池を得ることができ、従来の用途での長寿命化に加えて、新規な用途への応用展開の可能性が広がり、その工業的価値は極めて高い。
本発明の実施例におけるコイン型非水電解質二次電池の断面図
符号の説明
1 正極缶
2 負極缶
3 ガスケット
4 正極
5 負極
6 セパレ−タ
7 集電体
8 シーラント
9 外装缶
10 絶縁封止部材
11 電極
12 セパレータ

Claims (5)

  1. 正極、負極、セパレ−タ及び非水電解液を、電池ケース、封口板及びガスケットからなる電池容器に収納した非水電解液二次電池において、前記電池ケースが鉄、ニッケル及びクロムからなる群より選択される少なくとも一種を含み、かつ孔食指数が22以上の合金であり、前記非水電解液がスルホラン85〜95体積%と鎖状カーボネート5〜15体積%とからなる混合溶媒に、溶質としてLiN(CF3SO22が0.8〜1.30mol/L含有されたことを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群より選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記封口板が鉄、ニッケル及びクロムからなる群より選択される少なくとも一種を含み、かつ孔食指数が22以上の合金であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記電池ケースと前記封口板の材質が同一組成である請求項1記載の非水電解液二次電池。
  5. 溶質としてLiBF4がLiN(CF3SO22に対して5〜20mol%添加されていることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
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