JP2002298911A - 有機電解液電池 - Google Patents
有機電解液電池Info
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Abstract
て、発電要素及び電池ハウジングに対して耐高温特性の
悪化を招くことなく、これによりリフロー法を用いた実
装が可能な有機電解液電池を提供する。 【解決手段】 正極、負極、セパレータ及び有機電解液
からなる構成される発電要素を正極缶、負極缶およびガ
スケットから構成されるハウジング部材に収納した構成
を有し、ブチルジグライムを含む溶媒と、熱分解温度の
高いリチウム塩の溶質からなる有機電解液を構成する。
Description
やメモリーバックアップ用電源に使用する有機電解液電
池であって、更に詳しくは発電要素及びハウジング部材
に高温耐熱性を付与することで高温保存時の信頼性を高
め、リフロー法を用いた自動ソルダリングによる基板実
装を可能とした有機電解液電池に関するものである。
を用いた有機電解液電池は、エネルギー密度が高く、機
器の小型化および軽量化が可能であることに加え、保存
特性,耐漏液性等の信頼性に優れていることから、各種
電子機器の主電源やメモリーバックアップ用電源として
その需要は年々増加している。この種の電池においては
充電ができない一次電池が主流であるが、充電可能な二
次電池としては、負極にリチウムアルミニウム合金等
を、正極に五酸化バナジウム、マンガン酸リチウムをそ
れぞれ組合せた電池が知られており、これらの発電要素
を偏平形の電池容器に収納した有機電解液電池が実用化
されている。このような有機電解液電池は、小型ポータ
ブル機器のメモリーバックアップ電源として好適に用い
られており、特に最近では電池径が6mm以下に設定さ
れた電池の開発が盛んに行われている。このような電池
の回路基板への実装は、電池及び回路基板が小型化され
ているために、手作業による実装方法を採用した場合に
は、工数の大幅な増加を招いてしまう。そこで、効率的
な実装方法として、電池のリード端子をリフロー法によ
る自動ソルダリングにより実装する試みがなされてい
る。
基板への実装は、リフロー炉内部に電池を通過させるこ
とによって行われる。リフロー炉内部は短時間ではある
が、高温状態となり、特にピーク時において数十秒間程
度は250℃もの超高温状態となる。このため、少なく
とも電解液の溶媒の沸点は250℃以上である事が望ま
しい。
であるプロピレンカーボネイト及びエチレンカーボネイ
トの沸点は、いずれも250℃以下である。このような
有機電解液電池をリフロー炉の中を通過させた際に、電
池内部の電解液は瞬間的に気化してしまう。このため、
電池内部の圧力が急激に上昇し、破裂に至ることがあ
る。
で、リチウムイオンの移動度を高め、電池の放電反応を
スムースに進行させる為に、ジエチレンカーボネート、
1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン
等の定粘度溶媒を配合するのが一般的である。しかし、
これらの溶媒は沸点が100℃前後と低いために、リフ
ロー炉内部において、電解液の沸点を降下させ、急激な
温度上昇に伴う圧力の上昇を助長することになる。
塩には、過塩素酸リチウム、リチウム6フッ化リン等が
用いられており、これらの熱分解温度はいずれも100
℃前後である。リフロー炉の内部において250℃の高
温下に一瞬でも曝されてしまうと、リチウム塩は熱分解
し、その機能が失われ、正常な電池反応が行われなくな
ってしまう。
に対する耐熱性も重要である。一般に、正極缶、負極缶
を絶縁するガスケット、及び正極、負極を絶縁するセパ
レータには共に、ポリプロピレン製のものを用いられて
いる。ポリプロピレンの熱軟化温度は100から120
℃であり、ガスケット及びセパレータは、リフロー炉を
通過する際に、熱軟化温度よりも大幅に高い温度に曝さ
れ、熱による損傷を受けてしまう。
不具合に対して、電池の構成要素に対して耐熱性を付与
した有機電解液電池が知られている(特開平8−321
287号公報に記載)。この有機電解液電池は、沸点が
少なくとも170℃以上である有機溶媒に、溶質として
リチウム塩を溶解した有機電解液、沸点が170℃以上
である多孔性の合成樹脂シートからなるセパレータ、連
続使用温度が少なくとも150℃である熱可塑性合成樹
脂を各々用いるものである。さらに具体例として、γ−
ブチルラクトンを主体とする溶媒に、ホウフッ化リチウ
ムを溶質とした有機電解液を使用し、セパレータ及びガ
スケットにポフェニレンサルファイド等の樹脂を使用す
ることも開示されている。
0℃を越える高温環境下での長期間の使用及び/または
保存を可能とする有機電解液電池を提供することを目的
としており、さらに高温となる250℃程度の環境下に
おける耐熱性を有しておらず、有機電解液の急激な気
化、溶質の分解、ガスケット及びセパレータの損傷とい
う従来例と同等の不具合が生じてしまう。
達するリフロー炉内における耐高温特性を備えておら
ず、自動ソルダリングに対応し、リフロー法を用いて回
路基板に実装可能な有機電解液電池は未だ実用には至っ
ていない。
板への実装時における諸条件を考慮して、発電要素およ
び電池ハウジングに対して耐高温特性を付与すること
で、250℃程度の高温に曝された場合でも電池特性の
悪化を招くことなく、これによりリフロー法を用いた実
装が可能な有機電解液電池を提供することを目的とす
る。
有機電解液電池は、正極、負極、セパレータ及び有機電
解液から構成される発電要素を、正極缶、負極缶及びガ
スケットから構成されるハウジング部材に収納した構成
を有し、有機電解液が、ブチルジグライムを含む溶媒と
リチウム塩の溶質から構成されることを特徴とする。
媒としては、ブチルジグライムを主体とする溶媒を、あ
るいはブチルジグライムに、スルホラン、3−メチルス
ルホラン、テトラグライムの中から少なくとも一種以上
を混合した混合溶媒が好ましい。
しては、熱分解温度が200℃以上であるホウフッ化リ
チウム(LiBF4)、ベンゼンジオラートボラート塩
(例えばLiBBBなど)やスルホン基を有するリチウ
ム塩が上げられる。特に、電解液の導電性の点から、ス
ルホン基を有するリチウム塩が好ましい。
ては、トリフルオロメタン酸リチウム(LiCF3S
O3)が好ましく、構造中にイミド結合を有するリチウ
ムビスパーフルオロメチルスルホニルイミド(LiN
(CF3SO2)2)、もしくはリチウムビスパーフルオ
ロエチルスルホニルイミド(LiN(C2F5S
O2)2)、非対称のLiN(CF3SO2)(C4F9SO
2)などが挙げられる。
フェニレンスルフィド(PPS)製の不織布あるいはセ
ルロース製の紙を、同様に正極缶と負極缶とを絶縁する
ガスケットにポリフェニレンスルフィド(PPS)製を
用いるものである。
有機電解液電池に耐熱性を付与することが可能となり、
250℃程度の高温環境下に曝されても、電池特性に悪
影響を与えることはない。
について説明する。
極、セパレータ及び有機電解液から構成される発電要素
を正極缶、負極缶及びガスケットを備えたハウジング部
材に収納した有機電解液電池であって、前記有機電解液
が、ブチルジグライムを主成分とする有機溶媒と、ホウ
フッ化リチウム、ベンゼンジオラートボラート塩、スル
ホン基を有するリチウム塩から選択される少なくとも1
種の熱分解温度の高いリチウム塩を主体とする溶質から
構成されることを特徴とする。
り、リフロー炉内部の温度よりも高い。従って、250
℃近傍の温度領域において、ブチルグライムは比較的高
い蒸気圧を有するが、比較的安定な状態にある。更に、
溶質としてリチウム塩が溶解されているために、ブチル
ジグライムを主体とする溶媒の沸点がモル沸点上昇によ
りブチルジグライム単体での沸点に比べて高くなり、高
温環境下における特性で有効に作用するものである。
ルジグライムを主成分とする溶媒を用いた有機電解液
は、低温域においても良好な特性を有する。有機電解液
電池に対する要求として、低温の環境下における放電特
性の確保があげられる。一般的に沸点の高い溶媒は融点
が高く、且つ粘度も大きい傾向がある。このために、低
温領域における電解液の導電率が低く、例えば−20℃
まで温度が低下すると、有機電解液中のリチウムイオン
が有効に移動できなくなり、放電容量が殆ど得られない
のが実状となる。これに対して、ブチルジグライムは2
56℃という高い沸点を示すにも拘わらず、融点が−6
0℃と低く、溶液として存在する温度範囲が約316℃
と広いのが特徴である。
も、ブチルジグライムを溶媒に用いた上述の有機電解液
は、電解液自体が凝固することなく、実用に足る程度の
導電率を維持することができる。また、粘度についても
その値が2.8cpであり、本発明者らが先に提案した
スルホラン、3−メチルスルホラン、テトラグライムな
どに比べて小さな値となっており、電解液の導電性およ
び吸液性の点で優れている。したがって、先に提案した
電解液に比較して、放電反応時におけるリチウム塩の移
動がスムースになることは言うまでもない。このように
本発明の電池に適用される係る有機電解液は、幅広い温
度範囲にて優れた特性を有しており、例えば−30℃か
ら250℃の範囲で、所定容量の50%以上の放電容量
を得ることが可能である。
グライムを主成分としており、これに他の溶媒が混入さ
れる構成としても良い。しかし、容量維持率や高率放電
特性等の放電特性を重要視するのであれば、ブチルジグ
ライムのみからなる単独溶媒を用いる構成が好ましい。
媒としてブチルジグライムを主体とし、スルホラン、3
−メチルスルホラン、テトラグライムから選択される少
なくとも1種類を混合した混合溶媒を用い、溶質として
ホウフッ化リチウム、ベンゼンジオラートボラート塩、
スルホン基を有するリチウム塩から選択される少なくと
も1種を用いることを特徴とする。
ラグライムを用いた有機電解液は、ブチルジグライムを
単独にて用いた有機電解液に比べて、正極、負極に対す
る反応性が低く、電解液の分解によるガス発生反応が生
じにくい点、さらに電解液の電位窓がブチルジグライム
単独での有機電解液に比べて広い点から、過充電特性の
面で優位な効果を奏する。
的として、3−メチルスルホラン、およびスルホランか
らなる混合有機溶媒、あるいはテトラグライム、スルホ
ラン、3−メチルスルホランからなる混合溶媒と、スル
ホラン基を有するリチウム塩を主体とする溶質とを用い
た電池を提案した(特開2000−48859号公
報)。この提案で述べた通りスルホランの沸点は約28
7℃、3−メチルスルホランの沸点は約275℃、テト
ラグライムの沸点は約275℃にあることから、リフロ
ー炉内部の温度より高く、リフロー炉通過時に高温雰囲
気に曝されても安定な特性を示す。従って、これらの溶
媒とブチルジグライムとの混合溶媒を用いた電解液は、
いずれの沸点もリフロー炉内の温度より高いことから、
高温環境下においても分解が生じない。
の凝固点は28℃、6℃である。これらの溶媒を有機電
解液として使用する際には、溶質とするリチウム塩によ
って凝固点降下が生じせしめ、凝固温度を低温側に移動
させる必要がある。しかし、−20℃以下の低温環境下
まで凝固温度を低下させることは極めて困難であり、さ
らに低温温度域での導電率が低いために、これら溶媒の
みを使用した電池は、低温環境下での大幅な放電特性の
悪化を招いてしまう。本発明者らは、前記提案におい
て、テトラグライムを添加した有機電解液を用いること
で、低温環境下での放電特性が改善されることを示した
が、その改良によっても−20℃以下での放電特性十分
ではない。
溶媒は、ブチルジグライムと、スルホラン、3−メチル
スルホラン及びテトラグライムから選択される少なくと
も1種の溶媒とを混合したものである。この混合溶媒
は、ブチルグライムを含むことから電解液の誘電率の増
加による溶質の溶解性の向上、及び電解液の粘度の低下
による正極における吸液性の向上という効果が得られ
る。また、耐高温特性については、何れの溶媒も高温特
性に優れることから、高温特性及び低温特性の両方に優
れた電池が得られるものである。
ルホラン、テトラグライムの何れかを含む混合溶媒に占
めるブチルジグライムの体積分率は5〜90%の範囲が
好ましい。ブチルジグライムの比率を5%以上とするこ
とにより、−20℃の放電でも25℃の放電容量の50
%以上を維持することができ、さらに低温の−30℃で
も30%以上の放電容量が得られ、低温温度域での放電
特性の改善が可能となる。しかし、ブチルジグライムの
体積分率が90%を超えると連続充電時の容量劣化率が
急激に大きくなり、スルホラン、3−メチルスルホラ
ン、テトラグライムの混合により得られる効果、すなわ
ち耐過充電特性に影響を与えてしまう。
溶媒に溶解される溶質には、ホウフッ化リチウム、ベン
ゼンジオラートボラート塩(例えばLiBBBなど)や
スルホン基を構造中に有するリチウム塩から選択される
少なくとも1種を用いた。耐高温特性の付与を目的とし
た有機電解液に適用されるリチウム塩の特性としては、
リチウム塩の熱分解温度と、電解液の導電率を考慮する
必要がある。
ンジオラートボラート塩、スルホン基を有するリチウム
塩は、いずれも熱分解温度が高い。特に、リチウムビス
パーフルオロメチルスルホニルイミド、あるいはリチウ
ムビスパーフルオロエチルスルホニルイミド等のスルホ
ン基とイミド結合を有するリチウム塩は熱分解温度が2
00℃を大きく上回るために、例えば電池が250℃の
環境下に放置されても安定している。これらに対して、
有機電解液に汎用的に用いられる周知の溶質である過塩
素酸リチウム、及びリチウム6フッ化リン等は、いずれ
も熱分解温度が低く、高温に曝されるとリチウム塩とし
ての機能を失ってしまう。このように、熱分解温度の高
いホウフッ化リチウム、ベンゼンジオラートボラート塩
やスルホン基を有するリチウム塩を溶質として用いた有
機電解液は、高温環境下でも円滑な電池反応の進行を可
能にするものである。
基を有するリチウム塩は、ホウフッ化リチウム、ベンゼ
ンジオラートボラート塩にくらべ電解液の導電率に対し
て影響を与える。電解液の導電の面では高い値が望まし
く、大電流での放電を可能にする重要な要因の一つであ
る。周知の有機電解液では、溶媒の粘度を低下させてリ
チウムイオンの移動度を高め、電池の放電反応をスムー
スに進行させることを目的として、ジエチレンカーボネ
ート,1,2−ジメトキシエタン,1,2−ジエトキシ
エタン等の低粘度溶媒を配合するのが一般的である。し
かしながら、これらの溶媒は沸点が100℃前後と低い
ことから、耐高温特性の付与を目的とした電池には不適
当である。これら周知の溶媒に対して、本実施形態にお
けるスルホン基を有するリチウム塩は、溶解事に高い導
電率を示し、これを含む有機電解液は比較的高い導電率
を得ることができる。この電解液は、電解液の沸点を低
下させる主因となる低粘度溶媒の配合を必要としないこ
とから、本発明が目的とする高温環境下における電池特
性の改善の面で適している。特に、イミド結合を分子構
造中に有するリチウムビスパーフルオロメチルスルホニ
イミド、リチウムビスパーフルオロエチルスルホニルイ
ミド、及び非対称のイミド結合を有する(LiN(CF
3SO2)(C4F9SO2))等では、解離塩の移動度が
特に高く、スムーズな放電反応を可能にする。
分子構造中に有するリチウム塩を溶解した有機電解液
と、リチウムアルミニウム合金を用い、リチウムが電気
化学に吸蔵される負極とを組み合わせ電池では、有機電
解液の導電率が高いことに起因して、リチウムとアルミ
ニウム合金とを合金化させる際、アルミニウム合金の表
面におけるリチウム拡散がスムースになり、充放電サイ
クル特性が飛躍的に向上する。
主溶媒としてブチルグライムを用い、溶質としてホウフ
ッ化リチウム、ベンゼンジオラートボラート塩、スルホ
ン基を有するリチウム塩から選択される少なくとも1種
を用いた有機電解液を適用することで、耐高温特性が飛
躍的に改善された電池を得ることができる。
び/もしくはセパレータを構成する材料として、ポリフ
ェニレンスルフィドを用いるものである。ガスケット
は、正極缶と負極缶とを絶縁する絶縁パッキングとして
の機能を併せ持っており、正極間の内周面に沿う形状に
射出成型によって作成される。また、セパレータは、ポ
リフェニレンスルフィドからなる不織布によって形成さ
れており、これに代えて、セルロースからなる紙セパレ
ータを用いてもよい。本実施形態のセパレータおよびガ
スケットに用いられるポリフェニレンスルフィドは、耐
熱性に加え、電解液に対する安定性から見いだされたも
のである。ポリフェニレンスルフィドは、200℃以上
の熱軟化温度を有しており、ガラス繊維等のフィラーの
添加により250℃程度の高温下においても熱変形する
ことがない。このため、リフロー炉内部の高温環境下に
おいてもガスケット及びセパレータとしてのそれぞれの
機能を維持し続ける事が可能である。これは、セルロー
スについても同様のことが言える。
ースは本発明に係わる有機電解液に用いられるブチルジ
グライム、スルホラン、3−メチルスルホラン、テトラ
グライムの溶媒に対して溶解することなく、化学的に安
定であるという特性を有する。この特性により、長期信
頼性を得ることが可能となった。
て説明する。
次電池の断面図である。本実施例では、径6.8mm、
厚み2.1mmの電池寸法を有する電池を作成した。図
1において、正極缶1は正極端子を兼ねており、耐食性
の優れたステンレス鋼からなる。負極缶2は負極端子を
兼ており、正極缶1と同じ材質のステンレス鋼からな
る。ガスケット3は正極缶1と負極缶2を絶縁してお
り、ポリフェニレンスルフィド製である。正極缶1及び
負極缶2とガスケット3との接する面にはピッチが塗布
されている。正極4は、活物質であるマンガン酸リチウ
ムに導電剤としてカーボンブラックおよび結着剤として
フッ素樹脂粉末を混合し、直径4mm,厚さ1.2mm
のペレット状に成型した後、250℃中で12時間乾燥
したものである。負極5は、マンガン金属を1重量%含
むアルミニウム−マンガン合金を直径4mm,厚さ0.
3mmの円板状に打ち抜き、負極缶2の内側に圧接させ
ている。また、リチウムと合金化するには、電池組み立
て時にアルミニウム合金の表面にリチウム箔を圧着し、
電解液の存在下でアルミニウム合金中にリチウムを吸蔵
させて電気化学的にリチウム−アルミニウム合金を作
り、これを負極として用いている。ポリフェニレンスル
フィド製の不織布からなるセパレータ6を正極4と負極
5との間に配した。
イムを用い、これにリチウム塩としてリチウムビスパー
フルオロメチルスルホニルイミドを1mol/lの比率
にて溶解したものを使用した。これを正極缶1、負極缶
2及びガスケット3からなる電池容器へ15μlが充填
されている。作成された電池を本発明に係る電池Aとす
る。
のリチウム塩としてトリフルオロメタンスルホン酸リチ
ウムを用い、これを溶媒であるブチルジグライムに1m
ol/lの比率にて溶解した有機電解液を使用し、他の
構成は電池Aと同じとした電池Bを作成した。
のリチウム塩としてホウフッ化リチウムを用い、これを
溶媒であるブチルジグライムに1mol/l比率にて溶
解した有機電解液を使用し、他の構成は電池Aと同じと
した電池Cを作成した。
て、溶媒にブチルジグライムとスルホランをそれぞれ体
積分率が65%と35%となるように混合した混合溶媒
を用い、リチウムビスパーフルオロメチルスルホニルイ
ミドを1mol/lの比率にて溶解した有機電解液を使
用し、他の構成は電池Aと同じとした電池Dを作成し
た。
て、溶媒にブチルジグライム、スルホラン、テトラグラ
イムをそれぞれ体積分率が65%、25%、10%とな
るように混合した混合溶媒を用い、リチウムビスパーフ
ルオロメチルスルホニルイミドを1mol/lの比率に
て溶解した有機電解液を使用し、他の構成は電池Aと同
じとした電池Eを作成した。
フィド製の不織布からなるセパレータに代えて、セルロ
ースからなる紙製のセパレータを用い、その他の構成は
電池Aと同じとした電池Fを作成した。
解液に代えて、プロピレンカーボネートからなる溶媒に
リチウムビスパーフルオロメチルスルホニルイミドから
なる溶質を1mol/lに溶解し、他の構成は電池Aと
同等とした比較電池Gとする。さらに、溶媒としてブチ
ルジグライムを用い、これにリチウム塩としてリチウム
6フッ化リンを1mol/lの比率にて溶解した有機電
解液を使用し、その他の構成は電池Aと同じである比較
電池Hとする。
プロピレン製のセパレータを使用し、他の構成は電池A
と同じとした比較電池Iとする。また、ポリプロピレン
製のガスケットを使用し、他の構成は電池Aと同じとし
た比較電池Jとする。
の構成を、(表1)に示す。
初期の内部抵抗(交流法1kHz)を確認した後、10
0kΩの負荷を接続し放電容量の測定を行った。放電容
量は本実施例における有機電解液電池の理論容量を10
0とし、それに対する比率により求めた。
G〜Jのそれぞれについて、充放電サイクル試験も行っ
た。試験条件は、0.1mAの定電流により、3.25
Vと2.0Vの間にて充放電を繰り返し、充放電可能な
回数を求めた。
通過させるリフロー通過試験を実施し、電池A〜Fおよ
び比較電池G〜Jに対する耐高温特性を検討した。リフ
ロー炉の温度プロファイルは、余熱工程として180℃
を2分間、次に、加熱工程として180℃、245℃、
180℃を30秒間で通過し、その後、室温に至るまで
自然冷却した。電池が充分に冷却された後、外観による
目視検査及び電圧検査を行い、問題の生じなかった電池
については、内部抵抗を再測定した後、上記と同様の温
度プロファイルにてリフロー炉を通過させ、検査、測定
を行なった。これを3回繰り返した後、初期の状態と比
較して劣化の程度を確認した。(表2)に結果を示す。
90%であり、リフロー通過試験も3回まで異常はみら
れず、また、通過後の内部抵抗値も初期状態とほとんど
変化はみられないことから、リフロー通過による熱ダメ
ージはみられず良好な結果が得られた。次に、リチウム
塩としてトリフロオロメタン酸リチウムを用いた電池B
は、初期の内部抵抗値が電池Aに比べて高い。ホウフッ
化リチウムを用いた電池Cでは初期の内部抵抗値が電池
Aに比べて低くなった。しかし、電池Aと同様に、リフ
ロー通過試験3回まで異常はみられず、電気特性的にも
良好な結果が得られた。
率で混合された混合溶媒を用いた為に、電解液粘度の上
昇を招き、初期の内部抵抗は高い。しかし、放電容量及
び充放電サイクルにおいて電池Aに比べて良好な結果が
得られ、リフロー通過試験3回でも異常はみられなかっ
た。また、スルホラン及びテトラグライムを加えた電池
Eは、電気特性は電池電気特性においては更に向上し
た。
セパレータを用いた為に、初期の内部抵抗値において電
池Aより高い値となったが、他の結果については同様に
良好な結果が得られた。
リフロー炉通過中に溶媒として使用したプロピレンカー
ボネイトが沸騰し、これに起因する内圧上昇に伴う破裂
が発生した。また、比較電池Hでは、リチウム塩として
使用したリチウム6フッ化リンがリフロー炉通過中に熱
分解し、電解液の抵抗が上昇した。これは結果的に内部
抵抗の増大となり、電池としての電気特性が破壊された
事を示している。
められ、内部ショートが発生した。これは、セパレータ
として用いたポリプロピレンが、リフロー炉を通過する
際に溶融温度を超える温度に曝された為に、セパレータ
の溶融、収縮が発生し、正極と負極が接触したことによ
る。また、比較電池Jでは、ポリプロピレンを用いた。
は、比較電池Hと同様の現象により、ガスケットが溶
融、収縮し、この部位より液漏れが生じたものである。
にほとんど関係無く、リチウム塩にリチウムビスパーフ
ルオロメチルスルホニルイミドを用いた電解液におい
て、約80回以上の充放電が可能であり、その他のリチ
ウム塩に比べて良好な結果が確認され、これは負極のリ
チウムアルミニウム合金の表面におけるリチウムの析出
形態に良い効果を生み出したためと考えられる。
電性能、充放電サイクル性能、リフロー時における耐高
温性能のいずれにおいても優れた結果を見出すことがで
きた。これは、電解液の溶媒主成分であるブチルジグラ
イムの耐熱性とリチウム塩であるリチウムビスパーフル
オロメチルスルホニルイミドの耐熱性、優れた導電性及
びリチウムアルミニウム合金負極に対する安定性による
ものであり、更に、電池構成部品とガスケットにポリフ
ェニレンスルフィドPPS製を用い、かつ、セパレータ
にポリフェニレンスルフィドPPS製の不織布を用いリ
フロー時の耐熱性を得ることが可能になったことによる
ものである。また、リチウム塩にリチウムビスパーフル
オロエチルスルホニルイミドやLiN(CF3SO2)
(C4F5SO2)を用いた場合、あるいは混合溶媒成分
として3−メチルスルホランを用いた場合においても上
記と全く同様の結果を得ることができる。
イムおよびスルホランの混合割合を種々変化させた溶媒
を使用し、両者の混合比率についての検討を行った。
尚、本実施例では溶質としてリチウムビスパーフルオロ
メチルスルホニルイミドを用い、各溶媒に対して1mo
l/lの比率にて溶解した有機電解液を作成した。正極
にマンガン酸リチウム、負極にリチウム−アルミニウム
合金を用い、得られた各電解液と組み合わせて、実施例
1と同様に図1に示す構成を有する電池J〜Qを作成し
た。尚、ガスケット及びセパレータはポリフェニレンス
ルフィドを使用した。電池J〜Qにて用いた有機電解液
におけるブチルジグライムとスルホランとの混合比率を
(表3)に示す。
るリフロー通過試験を実施し、電池K〜Qに対する耐高
温特性を検討した。試験方法は、実施例1と同様の温度
プロファイルにて、リフロー炉を2回通過させて実施し
た。試験後、目視により、破裂、漏液の発生を確認した
が、電池K〜Qのいずれの電池についても漏液および破
裂等は認められなかった。
の電池を用いて、−20℃で300kΩの抵抗に接続
し、放電試験を実施した。また、同様にリフロ−炉通過
試験で使用した電池を用いて、60℃の恒温槽中でそれ
ぞれの電池に外部回路から3.3Vの電圧を印加した状
態で40日間放置した後、常温で51kΩの抵抗に接続
して放電試験を実施した。これら放電試験によって得ら
れた放電容量の測定をもとにして、実施例1と同様に理
論容量に対する比率を求め、これを(表4)に示す。さ
らにまた、リフロ−炉通過試験の保存初期時における放
電容量と、高温連続過充電後の放電容量からの劣化率を
求め、(表4)に示す。
ランのみを用いており、−20℃の環境下ではほとんど
放電しない。
ものと考えられる。一方、ブチルジグライムを含有する
電池K〜Qについては、溶媒に占めるブチルジグライム
の比率の増加に伴い、低温環境下における放電容量は増
加した。特に、ブチルジグライム単体を溶媒に用いた電
池Qがこの環境下における放電容量の面で最も良好な結
果を得ることができる。これらのことから、スルホラン
のみからなる溶媒を用いた場合には−20℃で電解液が
凝固してしまうが、溶媒にブチルジグライムを含有させ
ることにより、電解液が凝固せず、低温環境下で放電す
ることを可能にする。この時、電解液自体の導電性を向
上させる効果も考えられる。
ば、スルホランのみを用いた電池Kが好ましい。ブチル
ジグライムのみからなる溶媒を用いた電池Qでは、容量
劣化率が30%以上という高い値を示した。この放電容
量劣化率の増加は、溶媒に占めるブチルジグライムの体
積分率が90%を境に差が見られ、ブチルジグライムの
割合が高い電池PおよびQでは放電容量劣化率が急激に
悪化している。
%以下の電池K〜Oでは、スルホランの占める割合が高
いほど放電容量劣化率が減少している。特にスルホラン
単体を溶媒として用いた電池Kについては放電容量劣化
率が5%という低い値を示し、連続過充電特性に優れて
いる。したがって、スルホランを主体とする溶媒を用い
た電池はブチルジグライムを主体とする電池に比較し
て、連続充電時の放電容量劣化率が小さいといえる。
ホランとの混合溶媒についての検討を行った。同様に、
ブチルグライムと3−メチルスルホランもしくはテトラ
グライムとを組み合わせた混合溶媒、あるいはブチルグ
ライムとスルホラン、3−メチルスルホラン、テトラグ
ライムの2種以上の溶媒と混合した3成分以上の混合溶
媒であっても、本実施例と同様の効果が得られる。ま
た、溶質としては、リチウムビスパーフルオロメチルス
ルホニルイミドを用いたが、本発明に係る溶質、すなわ
ちホウフッ化リチウム、ベンゼンジオラートボラート
塩、スルホン基を有するリチウム塩から選択される少な
くとも1種のリチウム塩を主体とする溶質であれば、本
実施例と同様に、低温環境下での放電特性と連続充電特
性を両立した電池が得られる。
有機溶媒を用い、実施例2ではブチルグライムとスルホ
ラン等との混合溶媒を用いた。本発明に係る溶媒の適用
は、有機電解液電池に求められる電池性能に応じて選択
することが好ましい。例えば、低温環境下における放電
特性と連続充電特性の点から判断すると、ブチルジグラ
イムを単体にて用いた溶媒に比べて、ブチルグライム
と、スルホラン、3−メチルスルホラン、テトラグライ
ムとの混合溶媒を用いるのが好ましい。特に、スルホラ
ン、3−メチルスルホラン、テトラグライムを含有し、
溶媒に占めるブチルジグライムの比率が90%以下に設
定された溶媒は、電池性能の面から好ましい。また、低
温環境下における放電特性に比べて、連続充電特性等に
重点が置かれる電池、例えば常温環境下での使用が前提
とされた機器でのメモリーバックアップを主用途とする
電池では、溶媒に占めるブチルジグライムの比率が5〜
60%の範囲とするのが好ましい。
有機電解液にブチルジグライムを主体とした溶媒、もし
くはブチルジグライムと、スルホラン、3−メチルスル
ホラン、テトラグライムから選択される少なくとも一種
を組合せた混合溶媒を用いることにより、リフロー法を
用いた基板実装に耐える耐高温特性を備えると共に、低
温環境下での放電特性、連続充電特性に優れた有機電解
液を提供することができ、その工業的価値は大なるもの
である。
断面図
Claims (10)
- 【請求項1】 正極、負極、セパレータ及び有機電解液
から構成される発電要素を、正極缶、負極缶、ガスケッ
トを備えたハウジング部材に収納した有機電解液電池で
あって、前記有機電解液が、ブチルジグライムを主成分
とする有機溶媒と、ホウフッ化リチウム、ベンゼンジオ
ラートボラート塩、スルホン基を有するリチウム塩から
選択される少なくとも1種のリチウム塩を主体とする溶
質から構成されることを特徴とする有機電解液電池。 - 【請求項2】 スルホン基を有するリチウム塩が、トリ
フルオロメタンスルホン酸リチウムLiCF3SO3であ
る請求項1記載の有機電解液電池。 - 【請求項3】 スルホン基を有するリチウム塩が、分子
構造中にイミド結合を有するリチウム塩である請求項1
記載の有機電解液電池。 - 【請求項4】 スルホン基及び分子構造中にイミド結合
を有するリチウム塩が、リチウムビスパーフルオロメチ
ルスルホニルイミド(LiN(CF3SO2)2)である
請求項3記載の有機電解液電池。 - 【請求項5】 スルホン基及び分子構造中にイミド結合
を有するリチウム塩が、リチウムビスパーフルオロエチ
ルスルホニルイミド(LiN(C2F5SO2)2)である
請求項3記載の有機電解液電池。 - 【請求項6】 スルホン基及び分子構造中にイミド結合
を有するリチウム塩が、LiN(CF3SO2)(C4F5
SO2)である請求項3記載の有機電解液電池。 - 【請求項7】 ガスケットがポリフェニレンスルフィド
から構成される請求項1記載の有機電解液電池。 - 【請求項8】 セパレータがポリフェニレンスルフィ
ド、あるいはセルロースから構成される請求項1記載の
有機電解液電池。 - 【請求項9】 正極、負極、セパレータ及び有機電解液
から構成される発電要素を、正極缶、負極缶、ガスケッ
トを備えたハウジング部材に収納した有機電解液電池で
あって、前記有機電解液が、ブチルジグライムと、スル
ホラン、3−メチルスルホラン、テトラグライムから選
択される少なくとも1種類を混合した有機溶媒、ホウフ
ッ化リチウム、ベンゼンジオラートボラート塩、スルホ
ン基を有するリチウム塩から選択される少なくとも1種
のリチウム塩を主体とする溶質から構成されることを特
徴とする有機電解液電池。 - 【請求項10】 有機溶媒が、ブチルジグライムを1〜
90%の体積分率で含む請求項7記載の有機電解液電
池。
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