JP2007327527A - エネルギー回生型動力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エネルギー効率の高い建設機械の動力装置を提供する。
【解決手段】 作業機系のアクチュエータと、走行系のアクチュエータと、上記作業機系または走行系のアクチュエータに作動油を選択的に供給する第1ポンプP1および第2ポンプP2とを備えた建設機械の動力装置において、上記作業機系のアクチュエータに慣性エネルギーや位置エネルギーが作用したときに戻り側となる通路30に接続する可変容量形の回生モータM1と、この回生モータと一体に回転するとともに、上記第1ポンプまたは第2ポンプのいずれか一方または双方に作動油を合流する可変容量形の補助ポンプP3と、上記回生モータおよび補助ポンプと一体に回転する発電電動機Mと、この発電電動機が発電した電力を蓄電する蓄電ユニットUとを備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、パワーショベル等の建設機械であって、エネルギーの回生を可能にした動力装置に関する。
建設機械の動力装置として、例えばパワーショベルがあるが、このパワーショベルに用いる回路構成には、特許文献1に示すものが一般的に用いられている。以下に、このパワーショベルの主要な構造および作用について説明する。
図4に示すように、このパワーショベルにおいては、第1ポンプP1と第2ポンプP2とを駆動源であるエンジンに連係するとともに、エンジンの回転によって上記両ポンプP1,P2から作動油を吐出するようにしている。
上記第1ポンプP1は、第1ポンプ通路1および第1タンデム通路1aを介して左走行用バルブ2に接続しているが、第1タンデム通路1aにおいて、旋回用バルブ3、アームI速用バルブ4、ブームII速用バルブ5、予備用バルブ6を接続している。ただし、第1ポンプ通路1には第1パラレル通路7を接続するとともに、各バルブ3〜6を、この第1パラレル通路7を介してパラレルに接続している。
また、第2ポンプP2は、第2ポンプ通路8および第2タンデム通路8aに接続するとともに、この第2タンデム通路8aには、右走行用バルブ9、バケット用バルブ10、ブームI速用バルブ11、アームII速用バルブ12を接続している。ただし、第2ポンプ通路8には第2パラレル通路13を接続するとともに、上記バケット用バルブ10およびブームI速用バルブ11を、この第2パラレル通路13に対してパラレルに接続している。
なお、上記左走行用バルブ2および右走行用バルブ9が走行系のアクチュエータを制御するバルブであり、その他のバルブが作業機系のアクチュエータを制御するバルブである。
また、上記第2ポンプ通路8には分配通路14を接続するとともに、この分配通路14を上記左走行用バルブ2に導いている。そして、分配通路14には切換弁15を設け、第2ポンプP2と左走行用バルブ2とを連通したり遮断したりするようにしている。
なお、図中符号16はメインリリーフの切換弁、17〜19はリリーフ弁、20はパイロットポンプである。このパイロットポンプ20は、各バルブや切換弁15、切換弁16を切り換えるためのパイロット圧を吐出するものであり、リリーフ弁19によってパイロットラインの最高圧が設定されている。
また、リリーフ弁17はリリーフ弁18よりも設定圧を高くしている。したがって、切換弁16が図示の連通位置にある場合には、リリーフ弁18の設定圧が回路の最高圧となり、切換弁16が図面左側の遮断位置にある場合には、リリーフ弁17の設定圧が回路の最高圧となる。
また、図中符号Aは、作業機系のアクチュエータの一例であるブーム用アクチュエータである。このブーム用アクチュエータAは、シリンダ内にピストンを収容するとともに、このピストンによってシリンダ内をロッド側室A1と、ピストン側室A2とに区画している。そして、ピストンにはロッド側室A1側に突出するようにロッドを固定するとともに、このロッドにブームの負荷を作用させるようにしている。また、上記ロッド側室A1には接続通路21を接続するとともに、ピストン側室A2には接続通路22を接続している。なお、図示していないが、この接続通路21,22は、ブームII速用バルブ5およびブームI速用バルブ11を一方の側に切り換えたとき、第1パラレル通路7および第2パラレル通路13に連通し、上記バルブ5,11を他方の側に切り換えたとき、タンクに連通する。
次に、このパワーショベルの作用について説明する。
パワーショベルが停止した状態で作業機系のアクチュエータを作動する場合には、第1ポンプP1を回転させるとともに、旋回用バルブ3、アームI速用バルブ4、ブームII速用バルブ5のいずれかを切り換える。いま、アーム用アクチュエータを制御するために、アームI速用バルブ4を切り換えたとすると、第1ポンプP1から吐出した作動油は、第1パラレル通路7およびアームI速用バルブ4を介してアーム用アクチュエータに導かれるとともに、当該作動油によってアーム用アクチュエータを作動することができる。なお、このときアームI速用バルブ4が切り換わったことによって、第1ポンプ通路1が遮断されて第1ポンプP1と左走行用バルブ2とが遮断される。
上記の状態において、切換弁15を図示の遮断位置に保ったまま、第2ポンプP2を回転させるとともに、バケット用バルブ10を切り換える。すると、第2ポンプP2から吐出した作動油は、第2ポンプ通路8、第2パラレル通路13およびバケット用バルブ10を介して、図示しないバケット用アクチュエータに導かれるとともに、当該作動油によってバケット用アクチュエータを作動することができる。
なお、第1、第2ポンプP1,P2から作動油を吐出させた状態で、アームI速用バルブ4およびアームII速用バルブ12を切り換えれば、アーム用アクチュエータを2速制御することができる。
このように、第1、第2ポンプP1,P2を回転させるとともに、作業機系のアクチュエータを制御するバルブを切り換えれば、アームやブームを2速制御したり、あるいは、ブーム、アーム、バケットを同時に制御したりすることができる。
一方、パワーショベルの走行中に、作業機系のアクチュエータを制御する場合、言い換えれば、走行系と作業機系とを同時制御する場合には、切換弁15を図中左側の連通位置に切り換える。そして、第2ポンプP2を回転させるとともに、左走行用バルブ2および右走行用バルブ9を切り換えれば、第2ポンプP2から吐出した作動油が、第2ポンプ通路8および右走行用バルブ9を介して右走行用アクチュエータに、また、分配通路14および左走行用バルブ2を介して左走行用アクチュエータに導かれる。このように、第2ポンプP2から吐出した作動油が、走行系の両アクチュエータに導かれるので、パワーショベルを走行させることができる。
この状態において、第1ポンプP1を回転させるとともに、旋回用バルブ3、アームI速用バルブ4、ブームII速用バルブ5のいずれかを切り換えれば、第1ポンプP1から吐出する作動油によって作業機系のアクチュエータを作動することができる。
そして、作業機系のアクチュエータを作動せずに、パワーショベルを走行させる場合には、切換弁15を図示の遮断位置に保ったまま、第1、第2ポンプP1,P2を回転させるとともに、左走行用バルブ2と右走行用バルブ9とを切り換える。すると、第1ポンプP1から吐出した作動油が左走行用アクチュエータに導かれるとともに、第2ポンプP2から吐出した作動油が右走行用アクチュエータに導かれ、パワーショベルを走行させることができる。
油空圧便覧((社)日本油空圧学会編)油圧ショベル応用事例P638、639
上記のパワーショベルにおいては、第1ポンプP1が吐出する作動油を左走行用アクチュエータに導くとともに、第2ポンプP2が吐出する作動油を右走行用アクチュエータに導いて、パワーショベルが走行するようにしている。
ところが、パワーショベルを用いる建設現場には、泥濘や凸凹が散見され、路面状況が非常に劣悪な場合が多い。このような泥濘や凸凹の地面をパワーショベルが走行すると、クローラが泥濘や凸凹にはまってしまい、そこから抜け出せなくなってしまうおそれがある。
そのため、両ポンプP1,P2の最大吐出容量を大きくして、走行系のアクチュエータに大きな作動力を付与できるようにするとともに、クローラが泥濘や凸凹にはまった場合にも、そこから容易に抜け出すことができるようにしている。
ところが、劣悪な路面状況でも走行できるように両ポンプP1,P2の最大吐出容量を大きくしてしまうと、負荷の小さい作業をする場合や、平坦な路面を走行する場合に、駆動源の負荷が必要以上に大きくなってしまう。そのため、通常作業時におけるエネルギー効率が非常に悪くなってしまうという問題があった。
この発明の目的は、エネルギー効率の高い建設機械の動力装置を提供することである。
この発明は、作業機系のアクチュエータと、走行系のアクチュエータと、上記作業機系または走行系のアクチュエータに作動油を選択的に供給する第1ポンプおよび第2ポンプとを備えた建設機械の動力装置を前提とする。
上記の構成を前提として、第1の発明は、作業機系のアクチュエータに慣性エネルギーや位置エネルギーが作用したときに戻り側となる通路に接続する可変容量形の回生モータと、この回生モータと一体に回転するとともに、上記第1ポンプまたは第2ポンプのいずれか一方または双方に作動油を合流する可変容量形の補助ポンプと、上記回生モータおよび補助ポンプと一体に回転する発電電動機と、この発電電動機が発電した電力を蓄電する蓄電ユニットとを備えた点に特徴を有する。
第2の発明は、回生モータの傾角、補助ポンプの傾角、および発電電動機の回転を制御するコントローラを設けるとともに、このコントローラは、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーや位置エネルギーを電気エネルギーに変換するとき、補助ポンプを制御して傾角を最小にする一方、補助ポンプから吐出する作動油を上記第1、第2ポンプから吐出する作動油に合流させるとき、発電電動機を回転させるとともに、補助ポンプの傾角を大きくし、かつ、回生モータの傾角を最小に制御する点に特徴を有する。
第3の発明は、補助ポンプと第1、第2ポンプとの接続過程には合流制御機構を設け、この合流制御機構によって、補助ポンプから走行系または作業機系のアクチュエータに供給する作動油を制御する点に特徴を有する。
第1の発明によれば、必要に応じて補助ポンプから吐出する作動油を合流することができるので、第1、第2ポンプの容量を小さくすることができる。したがって、駆動源の負荷を小さくすることができ、エネルギー効率を高めることができる。
また、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーあるいは位置エネルギーによって、補助ポンプを回転させることができるので、補助ポンプによって補助力を付与する場合でも、エネルギー効率を高めることができる。
第2の発明によれば、慣性エネルギーや位置エネルギーを電気エネルギーに変換する場合に、コントローラが補助ポンプを制御して傾角を最小にするので、補助ポンプが負荷にならない。したがって、慣性エネルギーや位置エネルギーを、効率よく電気エネルギーに変換することができる。
また、発電電動機によって補助ポンプを回転する場合に、コントローラが回生モータを制御して傾角を最小にするので、回生モータが負荷にならない。したがって、効率よく補助ポンプによって補助力を付与することができる。
第3の発明によれば、合流制御機構によって、補助ポンプから走行系または作業機系のアクチュエータに供給する作動油を制御するようにしたので、路面状況や作業機系のアクチュエータに作用する負荷に応じて、最適な制御が可能となる。
図1を用いて、この発明の第1実施形態について説明する。
なお、この第1実施形態においては、上記従来の回路構成と同様、作業機系のアクチュエータと、走行系のアクチュエータと、上記作業機系または走行系のアクチュエータに作動油を選択的に供給する第1、第2ポンプとを備えた建設機械の動力装置を前提とする。そして、この第1実施形態は、従来の回路構成において、合流制御機構および回生機構を接続した点に特徴を有する。したがって、上記従来の回路構成については同様の符号を付するとともに、ここでは、合流制御機構および回生機構の構成および作用を中心に説明することとする。
図1は、動力装置の一つであるパワーショベルの回路構成であるが、このパワーショベルにおいては、発電電動機Mと一体に回転する可変容量形の補助ポンプP3を通路23に接続するとともに、合流制御弁24によって、上記通路23を第1合流通路25および第2合流通路26に分岐させている。そして、第1合流通路25を第1ポンプ通路1に接続するとともに、第2合流通路26を第2ポンプ通路8に接続している。
上記合流制御弁24は、3位置に切り換え可能なバルブであって、センター位置において、通路23を第1合流通路25と第2合流通路26とに連通させる。また、合流制御弁24が図面上側位置に切り換わると、通路23と第1合流通路25とを連通させるとともに、通路23と第2合流通路26とを遮断し、図面下側位置に切り換わると、通路23と第2合流通路26とを連通させるとともに、通路23と第1合流通路25とを遮断する。
上記の合流制御弁24は、両端にパイロット圧が作用することによって切り換わるが、このパイロット圧を制御するのがコントローラCである。すなわち、コントローラCは、各操作レバー27と電気的に接続しており、各操作レバー27の操作信号に基づいてパイロット電磁弁28,29を制御するとともに、合流制御弁24に作用するパイロット圧を制御する。なお、この第1実施形態においては、合流制御弁24、パイロット電磁弁28,29で、この発明の合流制御機構を構成している。
一方、ブーム用アクチュエータAのピストン側室A2と接続した接続通路22には、戻り流路30を介して回生モータM1を接続している。この回生モータM1は、可変容量形であって、上記補助ポンプP3および発電電動機Mと一体となって回転する。なお、戻り流路30には2位置切換弁31を設け、通常時において、ピストン側室A2と回生モータM1とを遮断するようにしている。ただし、この2位置切換弁31は、パイロット電磁弁32によって制御されるパイロット圧を作用させることによって、ピストン側室A2と回生モータM1とが連通する位置に切り換わる。
また、上記発電電動機Mは、回生モータM1の回転によって発電するとともに、発電電動機Mが発電した電気エネルギーは、インバータやコンバータ等の機能を有する電力変換装置Gを介して蓄電ユニットUに蓄電される。そして、発電電動機Mを駆動する際には、蓄電ユニットUに蓄電された電気エネルギーによって、発電電動機Mが駆動するようにしている。
なお、上記コントローラCは、各操作レバー27から入力される操作信号に基づいて、発電電動機Mの回転数や、第1ポンプP1,第2ポンプP2、補助ポンプP3および回生モータM1の傾角を制御するとともに、パイロット電磁弁28,29,32を制御している。また、2位置切換弁31、パイロット電磁弁32、発電電動機M、回生モータM1、補助ポンプP3、電力変換装置G、および蓄電ユニットUによって回生機構を構成している。
次に、この第1実施形態の作用について説明する。
ブーム用アクチュエータAに負荷が作用している状態において、このブーム用アクチュエータAに作用する負荷を下降させて、慣性エネルギーや位置エネルギーを電気エネルギーに変換する場合には次の操作を行う。
すなわち、接続通路21と、第1パラレル通路7および第2パラレル通路13とが連通するようにブーム用操作レバー27を下げ側に操作し、ブームII速用バルブ5およびブームI速用バルブ11を切り換える。
すると、操作レバー27からの操作信号を受信したコントローラCは、第1ポンプP1または第2ポンプP2、補助ポンプP3、回生モータM1、およびパイロット電磁弁32を制御する。
そして、第1ポンプP1または第2ポンプP2から作動油を吐出させて、ロッド側室A1に作動油を供給するとともに、回生モータM1の傾角を所定の角度に、また補助ポンプP3の傾角をゼロに制御する。このとき、2位置切換弁31は、パイロット電磁弁32から導かれたパイロット圧によって連通位置に切り換わっているため、ピストン側室A2からの戻り油は、戻り側の通路となる接続通路22→戻り流路30→2位置切換弁31を介して回生モータM1に導かれる。
すると、ピストン側室A2からの戻り油によって、回生モータM1が回転するとともに、この回生モータM1の回転に伴って補助ポンプP3および発電電動機Mが回転する。このように、回生モータM1が回転すると、発電電動機Mが発電するとともに、この発電電動機Mが発電した電気エネルギーを蓄電ユニットUが蓄電することになる。
ただし、補助ポンプP3は、コントローラCによって、その傾角がゼロに制御されているため、油を吐出することなく空回転する。したがって、ブーム用アクチュエータAに作用する慣性エネルギーや位置エネルギーを電気エネルギーに変換する場合に、補助ポンプP3が負荷とならずに、効率よく発電することができる。
一方、補助ポンプP3から吐出する作動油を、第1ポンプP1または第2ポンプP2から吐出する作動油に合流させて、走行系または作業機系のアクチュエータに補助力を付与する場合には、各操作レバー27の操作信号に基づいて、コントローラCが次のような制御を行う。
すなわち、第1、第2ポンプP1,P2の傾角を制御して、走行系または作業機系のアクチュエータに作動油を供給するとともに、蓄電ユニットUに蓄電した電気エネルギーによって発電電動機Mを駆動する。さらに、このとき回生モータM1を制御して、その傾角をゼロにするとともに、補助ポンプP3を制御して、その傾角を各操作レバー27の操作量に応じて変化させる。
すると、発電電動機Mの回転に伴って補助ポンプP3が回転するとともに、その傾角に応じた作動油を通路23に吐出する。このとき、回生モータM1は、その傾角をゼロにしているため、発電電動機Mや補助ポンプP3の回転に対して、回生モータM1が負荷になることがなく、効率よく補助力を付与することができる。
なお、上記のようにして補助ポンプP3から吐出した作動油を、走行系のアクチュエータに導いたり、作業機系のアクチュエータに導いたりするのが合流制御機構である。
例えば、第1ポンプP1から吐出した作動油を左走行用アクチュエータに導くとともに、第2ポンプP2から吐出した作動油を右走行用アクチュエータに導いて、パワーショベルを走行しているとする。この状態からパワーショベルを高速走行させる場合には、上記のようにして補助ポンプP3から作動油を吐出させればよい。合流制御弁24は、両端に設けたスプリングによってセンター位置を保持しているので、補助ポンプP3から吐出した作動油は、第1合流通路25と第2合流通路26とに等量分配されて、補助ポンプP3の補助力を両走行用アクチュエータに導くことができる。
また、走行系と作業機系とを同時制御している場合に、走行系のアクチュエータに補助力を付与する場合には、上記と同様に、コントローラCが、発電電動機Mを駆動するとともに、回生モータM1、補助ポンプP3の傾角を制御し、しかも、これと同時にパイロット電磁弁29を制御する。すると、パイロット電磁弁29によって制御されたパイロット圧によって、合流制御弁24が、図中下側位置に切り換わる。したがって、補助ポンプP3から吐出する作動油が、第2合流通路26を介して第2ポンプ通路8において、第2ポンプP2から吐出した作動油と合流して、走行系のアクチュエータに補助力を付与することができる。
また、走行系と作業機系とを同時制御している場合に、作業機系のアクチュエータに補助力を付与する場合には、上記と同様に、コントローラCが、発電電動機Mを駆動するとともに、回生モータM1、補助ポンプP3の傾角を制御し、しかも、これと同時にパイロット電磁弁28を制御する。すると、パイロット電磁弁28によって制御されたパイロット圧によって、合流制御弁24が、図中上側位置に切り換わる。したがって、補助ポンプP3から吐出する作動油が、第1合流通路25を介して第1ポンプ通路1において、第1ポンプP1から吐出した作動油と合流して、作業機系のアクチュエータに補助力を付与することができる。
なお、上記の説明では、発電電動機Mを駆動することによって、補助ポンプP3から補助力を付与するようにしたが、この第1実施形態によれば、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーや位置エネルギーによって、直接補助ポンプP3から補助力を付与することができる。
例えば、第1ポンプP1から吐出する作動油をロッド側室A1に導いて、ブーム用アクチュエータAを作動し、第2ポンプP2から吐出する作動油によって、両走行系のアクチュエータを作動する場合には、コントローラCが次のように制御すればよい。
すなわち、コントローラCは、パイロット電磁弁29,32、および補助ポンプP3の傾角を制御する。すると、ピストン側室A2からの戻り油によって、回生モータM1が回転するとともに、この回生モータM1の回転に伴って、補助ポンプP3が回転する。補助ポンプP3は、コントローラCによって、各操作レバー27の操作量に応じた傾角に制御されているため、補助ポンプP3が回転することによって通路23に作動油を吐出する。
このとき、コントローラCがパイロット電磁弁29を制御しているので、合流制御弁24が図中下側位置に切り換わって、通路23と第2合流通路26とが連通する。したがって、補助ポンプP3から吐出した作動油が、第2ポンプP2から吐出する作動油と合流して、両走行用のアクチュエータに補助力を付与することができる。
上記第1実施形態によれば、必要に応じて補助ポンプP3から吐出する作動油を合流することができるので、第1、第2ポンプP1,P2の容量を必要以上に大きくする必要がない。したがって、駆動源の負荷を小さくすることができ、エネルギー効率を高めることができる。
また、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーあるいは位置エネルギーによって、補助ポンプP3を回転させることができるので、補助ポンプP3によって補助力を付与する場合でも、エネルギー効率を高めることができる。
さらに、合流制御機構を制御して、補助ポンプP3から走行系または作業機系のアクチュエータに供給する作動油を制御するようにしたので、路面状況や作業機系のアクチュエータに作用する負荷に応じて、最適な制御が可能となる。
なお、上記第1実施形態では、ブーム用アクチュエータに作用する慣性エネルギーや位置エネルギーを電気エネルギーに変換する構成としたが、作業機系のアクチュエータであって、慣性エネルギーあるいは位置エネルギーが作用するものであれば、いずれのアクチュエータでも構わない。したがって、作業機系のアクチュエータは、シリンダに限られずモータを利用するものでもよい。
また、上記第1実施形態においては、第1、第2ポンプの傾角を制御して吐出量を可変にすることができるが、定吐出ポンプを用いても構わない。
さらに、合流制御弁は、各操作レバーの操作量に比例して、その切換量を制御するようにしてもよいし、オンオフ的に切り換わるようにしてもよい。
また、第1実施形態においては、パワーショベルの回路構成について説明したが、この発明はパワーショベルに限らず、走行系と作業機系のアクチュエータに、二台のポンプによって作動油を導く動力装置において、広く利用することができる。
図2を用いて、この発明の第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態においては、上記第1実施形態における合流制御機構の構成のみ異なり、他の回路構成、および電気エネルギーの変換方法、および補助ポンプの駆動方法は上記第1実施形態と同じである。
したがって、上記第1実施形態と同じ回路構成については同様の符号を付するとともに、ここでは、上記第1実施形態と異なる点である合流制御機構の構成および作用を中心に説明することとする。
図2に示すように、補助ポンプP3を接続する通路23は、この発明の合流制御機構を構成する合流制御弁33によって、第1合流通路25および第2合流通路26に分岐するとともに、第1合流通路25は第1ポンプ通路1に、第2合流通路26は第2ポンプ通路8にそれぞれ接続している。
上記合流制御弁33は、3位置に切り換え可能なバルブであって、両端に設けたスプリングのバネ力によってセンター位置を保持する。合流制御弁33は、このセンター位置において、通路23を第1合流通路25と第2合流通路26とに連通させ、補助ポンプP3から吐出する作動油を両合流通路25,26に等分配する。
また、第1合流通路25の圧力が第2合流通路26の圧力よりも高くなると、合流制御弁33が図中上側位置に切り換わるとともに、通路23と第2合流通路26との連通開度が徐々に絞られるので、補助ポンプP3の吐出流量が低圧側である第2合流通路26側へ多く流れてしまうことがない。一方、第2合流通路26の圧力が第1合流通路25の圧力よりも高くなると、合流制御弁33が図中下側位置に切り換わるとともに、通路23と第1合流通路25との連通開度が徐々に絞られるので、補助ポンプP3の吐出流量が低圧側である第1合流通路25側へ多く流れてしまうことがない。
上記の合流制御弁33は、第1合流通路25側からバルブの一端(図中上側)にパイロット圧を導くとともに、第2合流通路26側からバルブの他端(図中下側)にパイロット圧を導いている。
したがって、第1合流通路25側の圧力が、第2合流通路26側の圧力よりも高くなると、パイロット圧によって合流制御弁33が図中上側位置に切り換わり、反対に第2合流通路26側の圧力が、第1合流通路25側の圧力よりも高くなると、パイロット圧によって合流制御弁33が図中下側位置に切り換わる。
上記の構成からなる合流制御弁33は、補助ポンプP3から作動油を吐出したとき、次のような制御を行う。
例えば、第1ポンプP1によって左走行用アクチュエータを作動させるとともに、第2ポンプP2によって右走行用アクチュエータを作動させてパワーショベルが走行している状態で、補助ポンプP3から作動油を吐出して、両走行用アクチュエータに補助力を付与したとする。
このとき、合流制御弁33は、両端に設けたスプリングによってセンター位置を保持しているため、補助ポンプP3から吐出した作動油が、合流制御弁33によって第1合流通路25と第2合流通路26とに等分配される。したがって、第1ポンプP1および補助ポンプP3から吐出した作動油が、第1ポンプ通路1で合流して左走行用アクチュエータに導かれるとともに、第2ポンプP2および補助ポンプP3から吐出した作動油が、第2ポンプ通路8で合流して右走行用アクチュエータに導かれる。
このように、第1、第2ポンプP1,P2から吐出する作動油に、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流することによって、走行系のアクチュエータに大きな作動力を付与することができる。したがって、必要に応じてパワーショベルを高速走行させたり、クローラが泥濘にはまった場合にも、そこから容易に脱出したりすることができる。
そして、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流させて走行している場合において、例えば、左側のクローラが泥濘にはまったとする。すると、左走行用アクチュエータの圧力が、右走行用アクチュエータの圧力よりも高くなるとともに、第1ポンプ通路1および第1合流通路25の圧力が、第2ポンプ通路8および第2合流通路26の圧力よりも高くなる。第1合流通路25の圧力が、第2合流通路26の圧力よりも高くなると、パイロット圧によって、合流制御弁33が図中上側位置に徐々に切り換わる。
合流制御弁33が図中上側位置に切り換わると、第2合流通路26側への連通開度が徐々に絞られるとともに、第1合流通路25側への連通開度が徐々に大きくなる。したがって、補助ポンプP3から吐出する作動油が、第1合流通路25側により多く導かれ、走行系のアクチュエータのうち、圧力の高い方のアクチュエータ、すなわち、左走行用アクチュエータにより多くの作動油を導くことができる。このように、走行系のアクチュエータのうち圧力の低い方のアクチュエータに導く作動油を絞るので、圧力の低い方へ多くの流量が流れてしまうことがなくなり、パワーショベルが曲走せずに確実に走行することができる。
なお、この第2実施形態においては、パワーショベルが走行している場合について説明したが、作業機系のアクチュエータを制御している場合や、走行系と作業機系とを同時制御している場合に、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流させてもよい。
例えば、走行系と作業機系とを同時制御している場合に、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流させれば、同時制御時であっても、高負荷作業を行ったり、高速走行したりすることができる。
なお、合流制御弁33は、補助ポンプP3を発電電動機Mによって回転させた場合であっても、回生モータM1の回転に伴って回転させた場合であっても、同じ制御を行うこと当然である。
上記第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様、必要に応じて補助ポンプP3から吐出する作動油を合流することができるので、第1、第2ポンプP1,P2の容量を必要以上に大きくする必要がない。したがって、駆動源の負荷を小さくすることができ、エネルギー効率を高めることができる。
また、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーあるいは位置エネルギーによって、補助ポンプP3を回転させることができるので、補助ポンプP3によって補助力を付与する場合でも、エネルギー効率を高めることができる。
ただし、上記第1実施形態においては、第1ポンプP1および第2ポンプP2のいずれか一方または双方に対して、補助ポンプP3を選択的に合流させることができたが、この第2実施形態では合流先を選択することはできない。
図3を用いて、この発明の第3実施形態について説明する。
なお、この第3実施形態においては、上記第2実施形態における合流制御機構の構成のみ異なり、他の回路構成、および電気エネルギーの変換方法、および補助ポンプの駆動方法は上記第2実施形態と同じである。
したがって、上記第2実施形態と同じ回路構成については同様の符号を付するとともに、ここでは、上記第2実施形態と異なる点である合流制御機構の構成および作用を中心に説明することとする。
図3に示すように、補助ポンプP3に接続した通路23は、第1合流通路25および第2合流通路26に分岐して接続するとともに、第1合流通路25は、第1ポンプ通路1に、第2合流通路26は、第2ポンプ通路8にそれぞれ接続している。
そして、第1、第2ポンプP1,P2と補助ポンプP3との接続過程である第1、第2合流通路25,26には、一対の圧力補償弁34,35を設けている。また、第1、第2合流通路25,26であって、一対の圧力補償弁34,35よりも第1、第2ポンプP1,P2側には、高圧選択弁36を接続している。そして、これら一対の圧力補償弁34,35と高圧選択弁36とで、この発明の合流制御機構を構成しているが、この合流制御機構の構成は次の通りである。
すなわち、高圧選択弁36は、第1合流通路25および第2合流通路26のいずれか高い方の圧力を選択するとともに、この選択した圧力をパイロット圧として上記一対の圧力補償弁34,35に導いている。
圧力補償弁34は、第1合流通路25であって、補助ポンプP3側(通路23側)の圧力と、高圧選択弁36から導かれた上記パイロット圧とによってバランスする。一方、圧力補償弁35は、第2合流通路26であって、補助ポンプP3側(通路23側)の圧力と、高圧選択弁36から導かれた上記パイロット圧とによってバランスする。また、圧力補償弁34,35の上流側には、それぞれ同一面積の固定絞りを設けているので、補助ポンプP3から第1合流通路25に導かれる作動油と、補助ポンプP3から第2合流通路26に導かれる作動油とは、常に等しくなる。
上記の構成からなる合流制御機構は、補助ポンプP3から作動油を吐出したとき次のような制御を行う。
例えば、第1ポンプP1によって左走行用アクチュエータを作動させるとともに、第2ポンプP2によって右走行用アクチュエータを作動させてパワーショベルが走行している状態で、補助ポンプP3から作動油を吐出して、両走行用アクチュエータに補助力を付与したとする。
このとき、両走行用アクチュエータの圧力がパイロット圧として、高圧選択弁36を介して一対の圧力補償弁34,35に導かれている。したがって、このパイロット圧と補助ポンプP3の吐出圧とによって圧力補償弁34,35がバランスして、両合流通路25,26の圧力を補償するとともに、補助ポンプP3から吐出した作動油は、通路23から第1合流通路25と第2合流通路26とに等分配される。
そして、第1ポンプP1および補助ポンプP3から吐出した作動油が、第1ポンプ通路1で合流して左走行用アクチュエータに導かれるとともに、第2ポンプP2および補助ポンプP3から吐出した作動油が、第2ポンプ通路8で合流して右走行用アクチュエータに導かれる。
上記のように、第1、第2ポンプP1,P2から吐出する作動油に、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流することによって、走行系のアクチュエータに大きな作動力を付与することができる。したがって、必要に応じてパワーショベルを高速走行させたり、クローラが泥濘にはまった場合にも、そこから容易に脱出したりすることができる。
そして、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流させて走行している場合において、例えば、左側のクローラが泥濘にはまったとする。すると、左走行用アクチュエータの圧力が、右走行用アクチュエータの圧力よりも高くなるとともに、第1ポンプ通路1および第1合流通路25の圧力が、第2ポンプ通路8および第2合流通路26の圧力よりも高くなる。第1合流通路25の圧力が、第2合流通路26の圧力よりも高くなると、高圧選択弁36が第1合流通路25の圧力を選択して、第1合流通路25の圧力をパイロット圧として、一対の圧力補償弁34,35に導く。したがって、両圧力補償弁34,35が、どちらも左走行用アクチュエータの圧力によって制御され、しかも、圧力補償弁34,35の上流側に同一面積の固定絞りを設けているので、補助ポンプP3から両合流通路25,26に、等量の作動油が導かれることになる。
このように、走行系のアクチュエータのうちいずれか高い方の圧力によって一対の圧力補償弁34,35を制御すれば、走行系の両アクチュエータに圧力差が生じても、圧力の低い方のアクチュエータに多くの作動油が流れてしまうことがない。したがって、第1ポンプP1に合流する作動油と第2ポンプP2に合流する作動油とを、走行系のアクチュエータに生じる圧力と関係なく、常に等しくすることができ、路面状況に影響を受けずに直進走行することができる。
なお、この第3実施形態においては、パワーショベルが走行している場合について説明したが、作業機系のアクチュエータを制御している場合や、走行系と作業機系とを同時制御している場合に、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流させてもよい。
例えば、走行系と作業機系とを同時制御している場合に、補助ポンプP3から吐出する作動油を合流させれば、同時制御時であっても、高負荷作業を行ったり、高速走行したりすることができる。
なお、合流制御機構は、補助ポンプP3を発電電動機Mによって回転させた場合であっても、回生モータM1の回転に伴って回転させた場合であっても、同じ制御を行うこと当然である。
上記第3実施形態においても、上記第2実施形態と同様、必要に応じて補助ポンプP3から吐出する作動油を合流することができるので、第1、第2ポンプP1,P2の容量を必要以上に大きくする必要がない。したがって、駆動源の負荷を小さくすることができ、エネルギー効率を高めることができる。
また、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーあるいは位置エネルギーによって、補助ポンプP3を回転させることができるので、補助ポンプP3によって補助力を付与する場合でも、エネルギー効率を高めることができる。
第1実施形態の回路図である。 第2実施形態の回路図である。 第3実施形態の回路図である。 従来の建設機械の動力装置に用いられる回路図である。
符号の説明
24,33 合流制御弁
28,29 パイロット電磁弁
30 戻り流路
34,35 圧力補償弁
36 高圧選択弁
A ブーム用アクチュエータ
C コントローラ
G 電力変換装置
M 発電電動機
M1 回生モータ
P1 第1ポンプ
P2 第2ポンプ
P3 補助ポンプ
U 蓄電ユニット

Claims (3)

  1. 作業機系のアクチュエータと、走行系のアクチュエータと、上記作業機系または走行系のアクチュエータに作動油を選択的に供給する第1ポンプおよび第2ポンプとを備えた建設機械の動力装置において、上記作業機系のアクチュエータに慣性エネルギーや位置エネルギーが作用したときに戻り側となる通路に接続する可変容量形の回生モータと、この回生モータと一体に回転するとともに、上記第1ポンプまたは第2ポンプのいずれか一方または双方に作動油を合流する可変容量形の補助ポンプと、上記回生モータおよび補助ポンプと一体に回転する発電電動機と、この発電電動機が発電した電力を蓄電する蓄電ユニットとを備えたエネルギー回生型動力装置。
  2. 回生モータの傾角、補助ポンプの傾角、および発電電動機の回転を制御するコントローラを設けるとともに、このコントローラは、作業機系のアクチュエータに作用する慣性エネルギーや位置エネルギーを電気エネルギーに変換するとき、補助ポンプを制御して傾角を最小にする一方、補助ポンプから吐出する作動油を上記第1、第2ポンプから吐出する作動油に合流させるとき、発電電動機を回転させるとともに、補助ポンプの傾角を大きくし、かつ、回生モータの傾角を最小に制御する構成にした請求項1記載のエネルギー回生型動力装置。
  3. 上記補助ポンプと第1、第2ポンプとの接続過程には合流制御機構を設け、この合流制御機構によって、補助ポンプから走行系または作業機系のアクチュエータに供給する作動油を制御する構成にした上記請求項1または2記載のエネルギー回生型動力装置。
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