JP2007326733A - 断熱傾斜材の製造方法及び断熱傾斜材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐火原料に、水硬性結合剤と発泡剤と製泡剤を添加して混練後、鋳込み成形することにより、鋳込み面から垂直方向に見掛け気孔率を連続的または段階的に変化させた後、熱処理を行うことを特徴とする断熱傾斜材の製造方法。
【選択図】なし
Description
例えば、フライアッシュ、カオリン等の反応性無機質粉体と、珪砂やワラストナイト等の柱状又は針状の無機質充填材と、アルカリ金属珪酸塩としての珪酸ソーダの混合物に、過酸化水素と水を添加し、成形、過熱処理することにより発泡断熱体が得られることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従って、断熱性と溶融金属に対する耐食性を同時に満たせない為に、従来、鉄皮側に断熱質、稼動面側には緻密質の耐火材の積層ライニングにする必要があり、築炉作業上とライニング厚みの制約から耐食性を重視し、断熱性を犠牲にせざるを得なかった。
(1) 耐火原料に、水硬性結合剤と発泡剤と製泡剤を添加して混練後、鋳込み成形することにより、鋳込み面から垂直方向に見掛け気孔率を連続的または段階的に変化させた後、熱処理を行うことを特徴とする断熱傾斜材の製造方法。
(2) 前記の耐火原料に、気孔形成材も併せて添加することを特徴とする(1)に記載の断熱傾斜材の製造方法。
(3) 前記の耐火原料に、さらに繊維径2mm以下、アスペクト比2〜30の無機繊維がヤーン状に紡糸され、その表面が有機樹脂コーティングされたものも、併せて添加することを特徴とする(1)または(2)に記載の断熱傾斜材の製造方法。
(5) さらに、繊維直径2mm以下、アスペクト比2〜30の無機繊維がヤーン状に紡糸され、その表面が有機樹脂コーティングされたものを含有することを特徴とする(4)に記載の断熱傾斜材。
本発明の断熱傾斜材は、稼働面側が緻密質で背面側に向かうに従って見掛け気孔率が増加した断熱質に変化するように構成されるのが好ましい。
この様な形態とすることで、従来の様な、鉄皮側に断熱質、稼動面側には緻密質の耐火材の積層ライニングにする必要もなくなり、築炉作業上とライニング厚みの制約から耐食性を重視し、断熱性を犠牲にせざるを得ないという問題も解決できるものである。
さらに、2層の積層ライニングの耐火材の場合、接合面を有するため、強度が劣る場合があるが、本発明の断熱傾斜材によれば、一体物の断熱材であるため、この様な問題も解決できるものである。
この様な形態とすることで、高温でも安定な耐熱性繊維を補強材として含有されていることにより、高温下においても断熱傾斜材の強度を維持し変形し難くなり、マイクロクラックの発生を防止することが可能となる。
まず、耐火原料に、水硬性結合剤と、発泡剤と、製泡剤を添加して混練し、その後、鋳込み成形する。この鋳込み成形時に、鋳込み面から垂直方向に見掛け気孔率を連続的または段階的に変化させた後、熱処理を行う。
ここで、本発明で用いられる「耐火原料」とは無機材料であって、水硬性結合剤により硬化し得る材料を指す。具体的には、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、ムライト、スピネル、ドロマイト、黒鉛、炭化珪素、窒化珪素等を挙げることができ、少なくとも1種単又は2種以上の組み合わせても構わない。
また、耐火原料は粉末を用いることが良く、その最大粒径は200〜500μmとすることが、成形充填後の強度保持の点で好ましい。
本発明においては、水硬性結合剤の添加量は、耐火原料100質量部に対して3〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは10〜15質量部である。
水硬性結合剤の量がこれより多いと、耐火性が低下し、一方、水硬性結合剤の量が少ないと、耐火粉末との結合力が少なくなり強度発現が期待できない。
また、水硬性結合剤は、その最大粒径は5〜20μmとすることが、耐火原料との反応性の点から好ましい。
これらの過酸化物は水溶液として通常用いられ、例えば、濃度が5〜40質量%の過酸化水素水、60〜70質量%のt−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液が好ましい。
また、発泡剤の添加量は、耐火原料100質量部に対し、発泡剤としての過酸化物は、0.2〜3質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜2質量部である。
一方、過酸化水素の量が少ないと、発泡が小さいため成型体の密度が高くなり、強度と独立気泡は確保できるものの、軽量性が損なわれ断熱性能が劣る。
なお、本発明においては、作業者の安全を考え、過酸化水素も水溶液、つまり過酸化水素水として配合することが好ましく、例えば、市販品の35質量%水溶液を適度に水で希釈して用いることが好ましい。濃度10質量%の過酸化水素水を用いた場合には、耐火原料100質量部に対して2〜30質量部を加えることが好ましい。
製泡剤の添加量は、発泡する泡を微細なまま安定化させる観点から、耐火原料100質量部に対し、0.1〜1.0質量部が好ましく、より好ましくは0.3〜0.5質量部である。
連続的または段階的に、微細且つ独立気泡を厚み方向に傾斜させる手段としては、水硬性結合材の硬化時間を、養生温度、または硬化遅延剤や促進剤により予め設定し、発泡気泡スラリー中の浮上脱気速度との関係から、厚み方向の任意の場所で連続的に変化させることが可能となる。
一方、段階的に変化させる手段としては、気泡形成材の添加量を段階的に変化させ、鋳込みを行うことにより、厚み方向に発泡体を段階的に変化させ得る。
その後、熱処理を行なうが、その条件としては、例えば110℃で24時間脱水乾燥後、電気炉等における1000℃以上の高温焼成を行なうこと等が挙げられる。
但し、断熱傾斜材の温度が高温になると、断熱傾斜材の熱膨張に伴いマイクロクラックが発生する場合があるため、かかる場合には、上述の通り、本発明の断熱傾斜材に、更に耐熱性繊維を配合することが好ましい。
なお、このマイクロクラックの発生は、気泡間同士が連なった連通体構造が原因となり、結果的に気泡内部の気体の対流を増加させ、断熱傾斜材の断熱性を低下させることになる。
そこで、耐熱性繊維を配合することにより、高温下においても断熱傾斜材の強度を維持することで変形し難くなり、マイクロクラックの発生を防止することが可能となる。
具体的には、繊維径2mm以下、アスペクト比2〜30の無機繊維がヤーン状に紡糸され、その表面が有機樹脂コーティングされたものを含有する断熱傾斜材とすることが好適である。
また、上述の通り、添加可能な耐熱性繊維としては無機繊維が好ましく、更に、無機繊維として、アルミナファイバ−繊維、ムライト質ファイバ−繊維、ジルコニアファイバ−繊維、及びシリカ繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
尚、各繊維につては混練時に凝集合体や折れないようにヤーン状に紡糸し、有機樹脂コーティングすることが望ましい。
これらの無機繊維をヤ−ン状に紡糸し、アクリル又はスチロールコーティングしたものの添加量は、繊維による補強効果と断熱性付与の観点から、耐火原料100質量部に対し、1〜10質量部が好ましく、より好ましくは3〜5質量部である。
しかし、これらは従来から知られている補強繊維であり、成型体の強度を向上させ、且つ保形性をも向上させるために、これらの繊維を耐火原料100質量部に対して1質量部より少ない範囲で添加することは問題ない。1質量部より多くなると、粘度上昇により組成物の混練性、発泡性が悪化するため、好ましくない。
アスペクト比が2より小さくなると、目的とする補強効果が得られず、一方、30より大きくなると、本発明で用いられる各成分からなる原料液の粘度が高くなりすぎて、耐熱性繊維を所定量添加した場合、原料液の攪拌が均一に実施できなくなるおそれがある。
ただし、繊維長と繊維径との比率、すなわち、アスペクト比が上記範囲内であっても、繊維直径2mm超の繊維を添加した場合、断熱傾斜材中の気泡の壁に対して、耐熱性繊維の存在が疎となり、高温時のセル壁のクラック防止効果が得られなくなるため、好ましくない。
したがって、本発明の断熱傾斜材は、土木建築用耐火断熱材、耐火充填材、吸音材、産業資材用耐熱性断熱材は勿論、高温溶融金属容器のライニングとして好適に用いられる。
あるいは、例えば、上記の無機繊維がヤーン状に紡糸され、その表面がアクリル又はスチロールコーティングされたものを所定の型枠に予め充填し、その後、耐火原料、水硬性結合剤、発泡剤、製泡剤を混合したスラリーを、該型枠に充填硬化させる方法が推奨される。
(実施例1)
純度95質量%で最大粒径100μm(全通)のマグネシアクリンカー粉末13質量部、純度99質量%で最大粒径310μm(全通)の焼結アルミナ22質量部、仮焼アルミナの粗粉平均粒径50μmを20質量部、仮焼アルミナの微粉平均粒径4μmを30質量部に、水硬性結合剤としてアルミナセメント15質量部を添加したのち、気孔形成材として前記混合原料100kgに対して発泡ポリスチレンを5リットル添加混合し、添加水分24質量部を加えてハンドミキサーにて混練後、発泡剤として過酸化水素水(濃度10質量%)を5質量部を速やかに添加した。
その後、製泡剤ステアリン酸アルミニウム0.3質量部を追加し均一になった段階で内寸250mm×130mm×85mmに流し込み成型し、型枠に入れた状態で45℃に調整したドライヤー内で12時間乾燥・硬化させたのち脱型し、さらに150℃で24時間乾燥後、電気炉で1500℃で10時間焼成した。
実施例1における気孔形成材である発泡ポリスチレン添加の代わりに、スチロールコーティングされた外径1mm、長さ30mmのアルミナファイバーヤーンを外掛けで5質量部添加混合した以外は、実施例1と同様の条件で耐火材を製造した。
(比較例)
実施例1における発泡剤である過酸化水素水を添加しなかった以外は、実施例1と同様の条件で耐火材を製造した。
実施例1、実施例2、及び比較例の物性値を測定した。尚、各物性値の測定は、以下の方法に基づいて測定を行なった。
かさ比重:JIS R 2614
熱伝導率:JIS R 2616
見掛け気孔率:JIS R 2205
圧縮強度:JIS R 2615
結果を表1に示す。
Claims (5)
- 耐火原料に、水硬性結合剤と発泡剤と製泡剤を添加して混練後、鋳込み成形することにより、鋳込み面から垂直方向に見掛け気孔率を連続的または段階的に変化させた後、熱処理を行うことを特徴とする断熱傾斜材の製造方法。
- 前記の耐火原料に、気孔形成材も併せて添加することを特徴とする請求項1に記載の断熱傾斜材の製造方法。
- 前記の耐火原料に、さらに繊維径2mm以下、アスペクト比2〜30の無機繊維がヤーン状に紡糸され、その表面が有機樹脂コーティングされたものも、併せて添加することを特徴とする請求項1または2に記載の断熱傾斜材の製造方法。
- 見掛け気孔率が連続的または段階的に変化している断熱傾斜材であって、見掛け気孔率が変化している領域に継ぎ目がないことを特徴とする断熱傾斜材。
- さらに、繊維直径2mm以下、アスペクト比2〜30の無機繊維がヤーン状に紡糸され、その表面が有機樹脂コーティングされたものを含有することを特徴とする請求項4に記載の断熱傾斜材。
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