JP2007326429A - 速度制限装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の走行速度を抑制する制御を行ってもハンチングの発生を防止できる速度制限装置を提供する。
【解決手段】操作量に比例した駆動力を発生させる駆動力発生手段5と、自車速度を制限速度以下に制限するため前記駆動力を制限する駆動力制限手段10と、を備えた速度制限装置であって、前記駆動力制限手段10は、前記制限速度と前記自車速度との差が小さいほど前記駆動力の制限を大きくする。このような速度抑制制御を行うことでハンチングの発生を防止して自車速度を制限速度以下に抑えるこができる。そして、前記差が大きいほど当該差の減少に対する前記駆動力の制限を増大させるようにするのが望ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】操作量に比例した駆動力を発生させる駆動力発生手段5と、自車速度を制限速度以下に制限するため前記駆動力を制限する駆動力制限手段10と、を備えた速度制限装置であって、前記駆動力制限手段10は、前記制限速度と前記自車速度との差が小さいほど前記駆動力の制限を大きくする。このような速度抑制制御を行うことでハンチングの発生を防止して自車速度を制限速度以下に抑えるこができる。そして、前記差が大きいほど当該差の減少に対する前記駆動力の制限を増大させるようにするのが望ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両の速度が予め設定した制限速度(リミッタ速度)を超えないように制限する速度制限装置に関する。
車両の走行速度を制限する速度制限装置を備えた車両については従来から複数の提案がある。速度制限装置を効果的に駆動させることができれば、車両の安全走行を確保して乗員や歩行者の保護などに役立てることができる。例えば、特許文献1の速度制限システムは、GPS(Global Positioning System、全地球的位置測位システム)を用いて得た現在位置情報を元に速度制限情報が蓄積されたデータベースを参照し、現在位置で設定された法定速度と速度計測手段で得た自車速度とを比較する。そして、現在の自車速度が法定速度を超える場合に駆動力発生手段に対して制限をかけ、さらには制動手段を作動させる。このように速度制御することで、道路を走行する様々な車両に対して適切な法定速度を設定し、車両が法定速度を超えないようにすることができる。
しかしながら、特許文献1の速度制限システムでは自車速度が法定速度を超えたときに、制限を開始して駆動力発生手段に対して制限をかけると共に制動手段を作動させるため、制限車速付近でハンチングが生じ易い。ここでハンチングとは急激な速度制限によってエンジン回転が上下に変動する状態であり、ドライバが違和感を感じることになる。このように速度制限時において、ハンチングを発生させる車両は商品性の低いものとなってしまう。
したがって、本発明の目的は、車両の走行速度を抑制する制御を行ってもハンチングの発生を防止できる速度制限装置を提供することである。
上記目的は、操作量に比例した駆動力を発生させる駆動力発生手段と、自車速度を制限速度以下に制限するため前記駆動力を制限する駆動力制限手段と、を備えた速度制限装置であって、前記駆動力制限手段は、前記制限速度と前記自車速度との差が小さいほど前記駆動力の制限を大きくする速度制限装置によって達成できる。
本発明によると、駆動力制限手段は、自車速度の制限をするときに、制限速度と自車速度との差が小さいほど駆動力の制限を大きくするので、ハンチングの発生を防止して自車速度を制限速度以下に抑えるこができる。
また、前記駆動力制限手段は、前記差が大きいほど当該差の減少に対する前記駆動力の制限を増大させるようにするのが望ましい。このようにすると、速度抑制制御(リミッタ機能)が効き始めたことをドライバに体感させることができる。
また、前記駆動力制限手段は、前記制限速度を増大する変更があった場合に、変更前の制限を逓減させながら変更後の制限とすることが好ましい。このようにすると、走行環境の変化で制限速度を増大させる場合があっても、自車が急加速するという事態の発生を防止できる。
また、ドライバによる駆動力制限解除の意図を検出して駆動力制限の解除を行う解除手段と、駆動力制限を解除したときのリスクを評価するリスク評価手段と、前記リスクが所定基準以上であるときの駆動力制限の解除を抑制する解除抑制手段とを更に備えた速度制限装置としてもよい。このようにするとドライバの要求に応じて手動操作に切替る際にリスクを低減できる。
また、前記駆動力制限手段は前記制限速度を法定速度より小さい速度に設定して、駆動力制限を解除したときに、自車速度を前記制限速度よりも大きく前記法定速度以下である上限速度を超えないように前記駆動力を制限するようにしてもよい。この場合、ドライバによる駆動力制限解除後であっても自車速度が新たに定めた制限速度となる上限速度を越えないようにできるのでリスク低減を図ることができる。
本発明によると、車両の走行速度を抑制する制御を行ってもハンチングの発生を防止できる速度制限装置を提供できる、
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る速度制限装置について説明する。この速度制限装置は車両に適用され、法定速度を遵守するように車両の速度を制限する。以下では、この速度制限装置が適用された車両を自車、また、この車両の現在速度を自車速度と称して説明する。また、この速度制限装置は、自ら制限速度を設定してこれを基準に速度制御を行う。以下において、この制限速度を「リミッタ速度」と称して説明する。リミッタ速度は、法定速度以下で設定される速度である。例えば、法定速度100km/hの高速道路でリミッタ速度を100km/hに設定してもよいし、法定速度より小さい90km/h等に設定してもよい。
図1は、車両に適用された実施例に係る速度制限装置の構成を示したブロック図である。速度制限装置1はアクセル開度センサ2、車速センサ3、情報取得装置4、電子スロットル5、ブレーキ装置6及びECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)10を含んでいる。ECU10は、上記アクセル開度センサ2、車速センサ3及び情報取得装置4からの出力を参照して、電子スロットル5及びブレーキ装置6の一方或いは両方の駆動を制御することにより自車速度を調整することができる。
アクセル開度センサ2はドライバによるアクセルペダルの踏込み量(操作量)をアクセル開度として検出し、その検出信号をECU10に供給する。車速センサ3は自車速度を検出し、その検出信号をECU10に供給する。情報取得装置4は自車の走行に活用できる種々の情報を取得する装置である。情報取得装置4には、例えば道路のインフラ情報、自律走行情報、ナビゲーション情報(以下、ナビ情報とする)など自車周辺の情報を取得する種々の装置、例えば通信装置、自律走行装置及びGPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション装置などを含めることができる。
電子スロットル5は、図示しないエンジンの吸気通路内を流れる吸気量を調整する弁装置である。この電子スロットル5は、ECU10により開度が調整されてエンジンが発生させる駆動力を変化させる。また、ブレーキ装置6は自車を制動して自車速度を下げる。ECU10は上記アクセル開度センサ2、車速センサ3及び情報取得装置4からの出力を参照して、電子スロットル5及びブレーキ装置6を適宜に制御して自車速度を調整する。
ECU10は、自車の速度制御に関する一連のプログラムやプログラムを実行するために用いるデータを格納したROM7及び処理領域を提供するRAM8とバス9を介して接続されている。ECU10は、自車速度の速度制御を実行するときには、ROM7から所定のプログラムやデータを読みだして速度制限の制御を実行する。
ところで、一般にエンジンが駆動したときに発生させる力(トクル)を駆動力と称する。よって、電子スロットルを閉じることにより、エンジンが発生させる力の発生を制限できる。しかし、エンジンが発生させた力はブレーキ装置を駆動することで減衰され自車速度を減速させることができる。よって、駆動力を制限する手段にはブレーキ装置6を含めることができる。但し、エンジンで発生させた力をブレーキ装置で減衰させるよりも、エンジンで発生させる力を制限する方が効率的である。そこで、本実施例では電子スロットル5を調整することにより駆動力の発生を制限して自車速度の速度制御を行う場合について例示している。そして、自車速度が上記リミッタ速度を超えてしまうときに、ブレーキ装置を補助的に使用する。
図2は、駆動力制限手段として機能するECU10が、自車速度の速度抑制制御を行うときの処理をまとめて示したブロック図である。この図2を参照してECU10による速度制御の概要を説明する。なお、図2ではECU10による処理の部分を破線TE内で示している。ECU10は車速センサ3が検出する自車速度(現在速度)Vnとリミッタ速度VLとを比較して、その速度差VnLが予め定めた所定値VnL1よりも小さくなったときに自車速度の速度抑制制御(以下、リミッタ制御と称する)を実行する。リミッタ制御は自車速度がリミッタ速度に近付いたときに、自車速度がリミッタ速度を超えることがない様にエンジンの駆動力を制限するものである。
リミッタ速度VLは、情報取得装置4から取得したインフラ情報、自律走行情報、ナビ情報などに基づいてECU10が自動設定してもよい。また、ドライバの指示に基づいてリミッタ速度VLを設定できるにしてもよい。ドライバによる指示で設定する場合、例えばリミッタ速度VLを法定速度より10km/h小さいくする、などの様にして設定すればよい。
通常、道路の上限の制限速度は法定速度である。しかし、交通事故が発生した場合や道路が工事中である場合などでは、法定速度より小さい速度で自車を走行させることが必要となる。よって、ECU10は情報取得装置4から取得する種々の情報に基づいて走行する道路の情報を定期的に確認して随時にリミッタ速度VLを変更する。
なお、ECU10は、リミッタ制御を行う必要のない通常時にあっては、アクセル開度センサ2からアクセル開度の出力を確認し、これに応じたスロットル開度信号を生成して電子スロットル5の制御を行う。図2では、この通常時の場合の流れを点線で示している。この場合には、自車はアクセルペダルの踏込み量に比例した駆動力を発生させる。そのために、アクセル開度をスロットル開度に変換する変換マップが前述のROM7に格納されており、ECU10はこの変換マップに基づいてスロットル開度信号を生成させる。
これに対して、ECU10はリミッタ制御を実行するときには、ROM7から速度抑制プログラムを読出し、これに基づいて自車速度Vnがリミッタ速度VLを超えることがない様にスロットル開度信号を変更する。更に、ECU10は自車速度Vnが例外的にリミッタ速度VLを超えてしまった場合には、目標減速信号を生成させてブレーキ装置6を作動させることにより自車速度を速やかに減速させる。
図3は、ECU10により実行されるリミッタ制御の仕様の一例について示した図である。ECU10は、リミッタ速度VLと自車速度Vnとの速度差VnL(=Vn−VL)を監視している。ECU10は、速度差VnLによりリミッタ制御を作動させるポイント(作動ポイント)を規定している。ECU10は上記作動ポイントとして所定値VnL1を予め設定している。ECU10は、速度差VnLが0(ゼロ)の場合及び所定値VnL1の場合を境界にして、3つの領域(I)、(II)、(III)を設定している。以下では、発明の理解を容易とするため、法定速度が100km/hである高速道路を自車が走行する場合を想定し、リミッタ速度VLを100km/h、所定値VnL1を−10km/hとして説明する。
ECU10は上記各領域により目標スロットル開度TAmを変更する。目標スロットル開度TAmは、ROM7に記憶した開度変換マップに基づいて、アクセル開度に応じて算出される。この目標スロットル開度TAmが、下記に示すリミッタ制御用目標スロットル開度算出式(1)により、リミッタ制御用目標スロットル開度TAmLに変換される。
TAmL=TAm×Kta・・・・(1)
上記Ktaは、リミッタ制御係数であり、3つの領域(I)、(II)、(III)に異なるリミッタ制御係数Ktaが設定されている。
TAmL=TAm×Kta・・・・(1)
上記Ktaは、リミッタ制御係数であり、3つの領域(I)、(II)、(III)に異なるリミッタ制御係数Ktaが設定されている。
自車速度Vnが90km/h以下であるようなときは、自車速度Vnがリミッタ速度VLに近づくまでに余裕のある。この場合、ECU10は速度差VnLが領域(I)(VnL≦VnL1)にあると判断する。この領域(I)では、リミッタ制御係数Ktaが「1」に設定されている。上記算出式(1)からTAmL=TAmとなるので、ECU10は通常どおりのスロットル開度を採用することになる。すなわち、ECU10はアクセルペダルの踏込み量に応じて電子スロットル5の開度を設定する。
一方、自車速度Vnが90km/hを超え、100km/h未満であるときには、自車速度Vnがリミッタ速度にかなり近付いていることになる。よって、速度差VnLが領域(II)(VnL1<VnL<0)に入る。ECU10は、速度差VnLが領域(II)に入ったことを確認したときに実質的にリミッタ制御を開始する。すなわち、自車速度Vnがリミッタ速度VLを超えないように、リミッタ制御用目標スロットル開度TAmLを設定して駆動力を制限する。そして、リミッタ制御係数Ktaとして「(VnL−VnL1)2」を設定する。図示するように、この領域(II)ではKta=(VnL−VnL1)2によって曲線Aが設定されている。この曲線Aは2次曲線に基づくものであるので、領域(II)内では、速度差VnLが大きい左側となるほどKtaの変化が大きく、右側に行く程にKtaの変化が小さくなっている。すなわち、領域(II)内は速度差VnLが小さいほど駆動力の制限が大きくなる(Ktaの値が小さくなる)ように設定されている。さらに、速度差VnLが大きくなる左側となるほど、速度差VnLの減少に対する駆動力の制限を増大(Ktaの値が減少する割合が大きくなる)ように設定されている。
また、領域(II)は、リミッタ制御係数Ktaが0(ゼロ)に近い領域が多くなるよう設定してある。このようにすると速度の収束を容易にして、適合するのに要する時間を小さくできる。なお、仮に、点線で示すB直線を用いてスロットル開度を変更するとハンチングが発生し易くなり、ドライバに違和感を与えるばかりでなく、速度が収束し難くなる。
上記のようにECU10は、リミッタ速度VLと自車速度Vnとの速度差VnLを監視しており、速度差VnLが領域(II)に入るとリミッタ制御を実行するので、自車速度Vnがリミッタ速度VLを超えることは原則としてない。しかし、自車周辺の走行状況は刻々と変化する。例えば、走行している高速道路の前方で事故が発生する場合もある。この場合には法定速度100km/hが一時的に50km/hなどに変更される。ECU10はこのような環境変化を情報取得装置4で確認している。ECU10は、上記のようにリミッタ速度VLを90km/h、所定値VnL1を−10km/hとして制御していると、自車速度が70km/hであってもリミッタ速度VLを超えてしまうことになる。
よって、本実施例では自車速度Vnがリミッタ速度VLを超えた場合についても、ECU10が対処するように設定してある。自車速度Vnがリミッタ速度VL以上であるときには、リミッタ速度を超えた領域(III)(0≦VnL)に速度差VnLがあるので、リミッタ制御を速やかに実行して自車速度Vnの低減を図る。この領域(III)では、リミッタ制御係数Ktaが「0(ゼロ)」に設定されている。すなわち、ECU10はアクセルペダルの踏込み量にかかわらずスロットル開度を全閉として自車速度Vnをリミッタ速度VL以下にまで下げる。このとき、ECU10は必要に応じてブレーキ装置6を駆動して自車を制動させて自車速度Vnをリミッタ速度VL以下にまで下げる。
以上のようにECU10がリミッタ制御を実行したときには領域(II)でリミッタ速度VL(制限速度)に対して自車速度Vnが近付く程、すなわちリミッタ速度VLから自車速度Vnを減算した速度差VnLが小さいほど駆動力の制限を大きくするのでハンチングの発生を防止しながら速度抑制の制御を行える。
また、リミッタ制御を実行したときに速度差VnLが大きい程に駆動力の変化を大きくしている。すなわち、リミッタ制御を実行した直後のように、相対的に速度差VnLが大きいときにリミッタ制御係数Ktaを急峻に下げることによりリミッタ制御が効き始めたことをドライバに体感させることができる。
上記実施例では、ECU10が自車速度Vnとリミッタ速度VLとの差である速度差VnLを監視すると共に、3つの領域(I)、(II)、(III)を設定して、リミッタ制御を行う場合を説明した。そして、領域(I)ではリミッタ制御係数Kta=1としている。前述したようにリミッタ制御係数Kta=1とした場合は通常時の制御となるので実質的な速度抑制制御を行っていない。よって、領域(I)を設定することなく速度差VnLが所定値VnL1を超えたときに、ECU10がリミッタ制御を起動するようにしてもよい。なお、上記実施例と特許請求の範囲の記載との関係では、駆動力発生手段がECU10と電子スロットル5とによって実現され、駆動力制限手段はECU10によって実現されている。
さて、前述したように領域(II)については、速度差VnLが大きいとき(領域(I)に近いとき)にはリミッタ制御係数Ktaを大きく設定し、速度差VnLが小さくなる程(速度差VnLが0に近付く程)にリミッタ制御係数Ktaを小さく設定することが望ましい。このようにリミッタ制御係数Ktaを規定すると、速度抑制を行ったときにハンチングの発生を防止しながら、速度収束を速やかに行える。また、速度差VnLが大きいときには、速度差VnLの減少に対してリミッタ制御係数Ktaの変化が大きくなる。これにより、ドライバにリミッタ制御が効き始めたことを実感させることができるというメリットがある。上記実施例では領域(II)に2次式Kta=(VnL−VnL1)2による曲線Aを設定する例を示している。領域(II)におけるリミッタ制御係数Ktaの設定例を図を参照して更に説明する。
(領域(II)の設定例1)
図4(A)は、領域(II)の設定例1について示した図である。この図4(A)では、領域(II)を更に3つの領域に分けている。領域(I)側を領域1、領域(III)側を領域2とし、その間を領域3としている。
図4(A)は、領域(II)の設定例1について示した図である。この図4(A)では、領域(II)を更に3つの領域に分けている。領域(I)側を領域1、領域(III)側を領域2とし、その間を領域3としている。
領域1は、ECUがリミッタ制御を作動させるポイント(所定値VnL1)からリミッタ制御係数Ktaを急峻に下げてリミッタ制御が効き始めたことをドライバに体感させる領域である。よって、傾きaを大きくした直線を設定してリミッタ制御係数Ktaの変化を大きくする。また、反対側の領域2はハンチングのないスムーズな速度制御を実現するためリミッタ制御係数Ktaを小さくして0(ゼロ)に収束させていく領域である。よって、傾きbを小さくした直線を設定する。なお、この領域2はスムーズな速度制御を実現するため、領域(II)全体の半分(VnL1/2)程度とし、他の領域より広目に設定するのが好ましい。これによりリミッタ制御係数Ktaが0(ゼロ)に近い領域を多くして収束性を高めることができる。
そして、上記領域1と領域2との間の領域3は、前後の領域1、2に設定されたリミッタ制御係数Ktaと接続できるリミッタ制御係数Ktaを設定すれば、特に制限なく自由に設定してもよい。図4(A)は領域1と領域2とをスムーズに繋ぐ曲線式を実験により求めた場合を示している。所定値VnL1を−10km/hとして、領域3の曲線CをKta=(VnL/10)2としている。図4(A)で示す曲線は、前述した実施例の場合と同様にスムーズな曲線となっている。
(領域(II)の設定例2)
さらに、図4(B)は領域(II)の設定例2について示した図である。この図4(B)も、領域(II)を更に3つの領域に分け、領域(I)側を領域1、領域(III)側を領域2とし、その間を領域3としている。領域1と領域2は、図4(A)の場合と同様に設定してあるが、その間の領域3は山型に設定してある。このような山型に設定すると後半部分でリミッタ制御係数Ktaが再び急峻に低下する。よって、自車速度Vnがリミッタ速度VLに近付いていること、またリミッタ制御が実行されていることをドライバに確実に伝達できる。
さらに、図4(B)は領域(II)の設定例2について示した図である。この図4(B)も、領域(II)を更に3つの領域に分け、領域(I)側を領域1、領域(III)側を領域2とし、その間を領域3としている。領域1と領域2は、図4(A)の場合と同様に設定してあるが、その間の領域3は山型に設定してある。このような山型に設定すると後半部分でリミッタ制御係数Ktaが再び急峻に低下する。よって、自車速度Vnがリミッタ速度VLに近付いていること、またリミッタ制御が実行されていることをドライバに確実に伝達できる。
図4(A)、(B)で示したように領域(II)内における中央の領域3については比較的自由度を持って設計することができる。このような領域(II)に関する設定についても前述したROM7に予め記憶しておき、ECU10が読出して設定できるようにすればよい。
(改善例1)
更に、上記実施例の改善例1について説明する。改善例1はリミッタ速度VLが大きい速度(高い速度)に変更された場合に、対処できるように改善した例である。前述したように速度制限装置1は情報取得装置4を備えている。よって、ECU10は道路のインフラ情報、自律走行情報、ナビ情報などを取得し、これに基づいてリミッタ速度VLを適宜に変更しながら前述したリミッタ制御を実行する。そのため、走行環境の変化でリミッタ速度VLを当初設定のVL1からこれより大きな速度VL2に変更する場合がある。例えば、法定速度100km/hの高速道路が事故のため60km/hに規制されていた場合に、事故処理が終わり本来の100km/hに戻されたときなどが想定される。
更に、上記実施例の改善例1について説明する。改善例1はリミッタ速度VLが大きい速度(高い速度)に変更された場合に、対処できるように改善した例である。前述したように速度制限装置1は情報取得装置4を備えている。よって、ECU10は道路のインフラ情報、自律走行情報、ナビ情報などを取得し、これに基づいてリミッタ速度VLを適宜に変更しながら前述したリミッタ制御を実行する。そのため、走行環境の変化でリミッタ速度VLを当初設定のVL1からこれより大きな速度VL2に変更する場合がある。例えば、法定速度100km/hの高速道路が事故のため60km/hに規制されていた場合に、事故処理が終わり本来の100km/hに戻されたときなどが想定される。
図5は、リミッタ速度VLがVL1から増大するVL2に変更されたときのリミッタ制御を説明するために示した図である。ただし、(VL2>VL1+所定値VnL1)である。ここでは、理解を容易とするため、リミッタ速度VL1=60km/hがリミッタ速度VL2=90km/hに変更された場合を説明する。また、所定値VnL1=−10km/hとする。
リミッタ速度VLがVL1=60km/hであるときに自車速度Vnが例えば55〜59km/hであると、リミッタ制御係数Ktaは0(ゼロ)にかなり近いLAとなる。このときに、リミッタ速度VLがVL2=90km/hに変更されると制限速度の差が30km/hも増加する。そのために、速度差VnLが速度抑制が行われる領域(II)から速度抑制が行われない領域(I)に飛ぶことになる。このときにリミッタ制御係数Ktaは0(ゼロ)に近いLAからLB=1に大きく変化する。これにより、ドライバによるアクセル操作に対してスロットル開度を抑制していた状態から、アクセル操作にダイレクトに対応してスロットルを開く状態に変化する。その結果、スロットルが急開されて自車が急加速してしまう状態となるのでリスクが増加してしまう。
このような不都合に対処しているのが、本改善例1である。この改善例1のECU10は、リミッタ速度をVL1からVL2に変更したときに、VL1とVL2との速度差VnLの変化が領域を超えるような大きなものでないかを確認する。ECU10は、変更後のリミッタ速度VL2が次式(2)を満たす場合には、急加速状態が発生しないように対処する。
VL2>VL1+所定値VnL1・・・・(2)
VL2>VL1+所定値VnL1・・・・(2)
ECU10は、リミッタ制御係数Ktaが急変して自車が急加速しないようにするために、リミッタ制御係数Ktaを徐々に変化させて領域(I)で設定されている「Kta=1」に近づける。すなわち、ECU10は変更前の制限を逓減させて変更後の制限に緩やか一致させる。ECU10は、例えば図6で示すようにKta=Kr×tの関係式を設定して、リミッタ速度が変更された時点から徐々にリミッタ制御係数Ktaが1に近付くようにさせる。なお、Krは傾きで、Kr<1であることが好ましい。tは時間である。一定の時間をもってリミッタ制御係数Ktaを1に近付けることで自車が急加速状態になるのを予防できる。なお、リミッタ速度が変更された時点でリミッタ制御係数Ktaを1に急変化させると前述した急加速の状態となる。
以上で説明したリミッタ速度が増大するように変更されたときに対処する改善例1につても、改善例1に係るプログラム及びこれに関連するデータをROM7に予め格納しておき、ECU10が読出して実行するようにすればよい。
(改善例2)
実施例の速度制限装置1は、前述したように自車速度Vnを監視して必要なときにリミッタ制御を実行するので、リミッタ速度を超えることがないように自車を走行させることができる。しかし、ドライバが自らの意思に基づいて自車を操縦したいという状況になる場合もある。このような場合には、ECU10がドライバの意思を検出(推定)して前述したリミッタ制御を解除し、アクセル操作量に応じて自車を操縦できるように設計しておくことがより望ましい。なお、このようにドライバによる手動操作を優先してリミッタ制御(自動制御)を解除することを「オーバーライド(Override control)」と称する。
実施例の速度制限装置1は、前述したように自車速度Vnを監視して必要なときにリミッタ制御を実行するので、リミッタ速度を超えることがないように自車を走行させることができる。しかし、ドライバが自らの意思に基づいて自車を操縦したいという状況になる場合もある。このような場合には、ECU10がドライバの意思を検出(推定)して前述したリミッタ制御を解除し、アクセル操作量に応じて自車を操縦できるように設計しておくことがより望ましい。なお、このようにドライバによる手動操作を優先してリミッタ制御(自動制御)を解除することを「オーバーライド(Override control)」と称する。
しかし、自車周辺の走行環境は刻々と変化するのでオーバーライドすることが、自車にとってリスク(危険度)が高く不適切であるという場合もある。よって、この改善例2のECU10は、周囲の状況が自車にとって所定基準以下のリスクである場合に限ってオーバーライドを許可する。このようなオーバーライドに係るプログラム及びこれに関連するデータもROM7に予め格納しておき、ECU10が読出して実行するようにすればよい。図を参照して、ECU10によるオーバーライド処理例を説明する。
前提として、ドライバのアクセル操作に基づいて、ECU10がオーバーライドの要求があるか否かを判断する。ECU10は、アクセル開度センサ2の出力からアクセル開度変化を確認することで、ドライバのオーバーライド要求を確認する。
ECU10は、例えば次式(3)によりオーバーライド要求の有無を確認する。
Aa(n)<Aa(n−1)+Ac かつ Aa(n)−Aa(n−1)>B
・・・・・(3)
ただし、Aa(n):アクセル開度値(deg)、Ac:定数、B:定数である。
Aa(n)<Aa(n−1)+Ac かつ Aa(n)−Aa(n−1)>B
・・・・・(3)
ただし、Aa(n):アクセル開度値(deg)、Ac:定数、B:定数である。
上記式(3)によりオーバーライド要求があることを確認しても、自車のリスクが所定値より高いという場合には、ECU10はオーバーライドを許可しない。この点を図を参照して説明する。図7は、オーバーライド許可の条件の一例を説明するため自車SCの周囲状況を示した図である。
図7で示すように、自車SCの前方領域FA及び側方領域SAのいずれかの領域に他の車両や障害物を確認したときには、ECU10はオーバーライドを許可しない。なお、前方領域FAは自車SCの前端から所定長FD(m)以内、また、側方領域SAは自車SCの中央を基準として前後にSD/2(m)以内、全体で所定長SD(m)以内として設定してある。
上記前方領域FAは、例えば次のように設定する。リミッタ制御の解除時の加速度g(m/s2)を求め、この加速度と時間T秒間に進む距離から安全を確保できる所定長FDを設定する。時間Tはドライバが障害に対処できると考えられる最小時間を考慮したものである。例えばACC(アダプティブ クルーズ コントロール)などの最低車頭時間を参照して時間Tを設定する。
上記側方領域SAは、例えば次のように設定する。自車速度Vn+Vnp(定数)で時間T秒間に進む距離から安全を確保できる所定長SDを設定する。定数Vnpは側方を走行している他車両の速度を検出して算出する。なお、前方及び側方の車両や障害物の検出は、情報取得装置4として採用している自律走行装置(例えば画像センサやレーダなど)や路車間通信装置或いは車々間通信装置などから情報取得して、ECU10が行うようにすればよい。
以上で説明した改善例2を適用した速度制限装置1は前述した実施例の効果に加えて、ドライバのアクセル操作から手動操作の意思を確認したときに、自車の安全を確保しつつオーバーライドできる。よって、スムーズに手動操作に切替えることができる。なお、上記改善例2の記載と特許請求の範囲の記載との関係では、駆動力制限の解除を行う解除手段、リスクを評価するリスク評価手段、及び駆動力制限の解除を抑制する解除抑制手段の各手段は、ECU10により実現されている。
さらに、オーバーライドする場合に関しては、更に以下のように設定することが好ましい。リミッタ制御を行っているときに走行環境が急激に変化して、自車が障害物に接触するリスクが急激に増加したような場合にドライバの意思にかかわらずECU10がオーバーライドを許可するように設定しておくと、速度制限装置1がより好ましい装置となる。この危険回避する場合について、更に、オーバーライド後にリミッタ制御係数Ktaを1より大きく、すなわち、Kta>1に設定してドライバによるアクセル操作に対して通常より大きな加速を発生させて操舵回避がし易いようにしてもよい。
また、上記改善例2でオーバーライドが許可されるとドライバのアクセル操作量に応じてスロットル開度が調整されることになる。このときには前記(改善例1)で説明したのと同じ状態、すなわちリミッタ制御係数Ktaが急変して自車が急加速してしまう場合が想定される。よって、本改善例2の場合についてもKta=1となるまでKta=Kr×t(図6参照)による緩和制御を実施するのが好ましい。
さらに、オーバーライド許可した後に、自車速度Vnがリミッタ速度に近付いたときには、リミッタ制御を再度、オンとするように設定してもよい。また、オーバーライド許可した後に、リミッタ速度VLを法定速度以下で標準的なリミッタ速度VLCより大きい速度のリミッタ速度VLE(上限速度)に設定し直して、前述したと同様のリミッタ制御を継続するようにしてもよい。この場合には、標準的なリミッタ制御より速度制御の基準を若干緩めて速度制限制御を継続することになる。これにより、リミッタ速度を再設定して異なるレベルで速度制御を行えるので、オーバーライド後のリスク低減を促進できる。
例えば、法定速度100km/hの高速道路で標準的なリミッタ速度VLCを90km/hとしてリミッタ制御を行っていたときにオーバーライドした場合を考える。ECU10は、オーバーライドを許可したときに、更にリミッタ速度VLCより大きな95km/hを新たなリミッタ速度VLEに設定変更して自車速度の監視を継続する。このようにすれば、オーバーライド許可後においても、自車が法定速度を超えることを抑制できる。また、オーバーライド判定後においても、ECU10がアクセル開度を監視して、オーバーライドを許可したアクセル開度よりも小さいアクセル開度が時間Tt秒間以上継続する場合に、オーバーライドを解除してリミッタ制御を再開するように設定しもよい。
図8は、ECU10により実行されるリミッタ制御の一例をまとめて示したフローチャートである。このフローチャートには前述した改善例も含めて示してある。
ECU10は、例えば自車のイグニッションキーがオンされたときにルーチンを起動し、リミッタ制御がON(オン)状態(すなわち、速度差VnLが所定値VnL1より小さい状態)になったか否かを監視する(S11)。ECU10はオン状態であることを確認すると、リミッタ速度VL、自車速度Vn、周辺監視情報、アクセル開度、目標スロットル開度TAmなどのデータを読込んで、リミッタ制御の準備に入る(S12)。
ECU10は、更にアクセル開度センサ2の出力に基づいて、ドライバによるオーバーライド要求があるか否かを確認し(S13)、オーバーライド要求があることを確認した場合には続いてオーバーライド不許可とするか否かについて判断する(S14)。オーバーライド許可、不許可の判断は前述したように自車のリスクが所定基準より高いか否に基づいてなされる。
ECU10は、上記ステップS14でリスクが高いと判断した場合には、オーバーライドを不許可とし、さらに自車速度Vnがリミッタ速度VL以上となっていないかを確認する(S15)。上記ステップS13でオーバーライド要求が無かった場合も、このステップS15に進んで自車速度Vnがリミッタ速度VL以上となっていないかを確認する。自車速度Vnがリミッタ速度VL未満であることを確認した場合には、前述したリミッタ制御を行ってリミッタ制御係数Ktaを算出し、リミッタ制御用目標スロットル開度TAmLを求める(S21)。そして、このTAmLに基づいてスロットル制御を実施する(S22)。
なお、ECU10は、上記ステップS15で自車速度Vnがリミッタ速度VL以上となっていることを確認した場合には、ブレーキ装置6を駆動して速やかに自車を減速させ(S16)、自車速度Vnがリミッタ速度VL未満となるようにする。
さらに、ECU10は上記ステップS14でオーバーライドを許可すると判断した場合には、一端リミッタ制御を解除して(S31)、速度差VnLが所定値VnL1より小さい状態となったときにリミッタ制御を再開するようにしてもよい。また、ECU10はリミッタ速度VLを標準的なリミッタ速度VLCからこれよりαだけ大きいリミッタ速度VLEに設定してリミッタ制御を継続するようにしてもよいし、ドライバによる手動操作を設定してリミッタ制御を継続するようにしてもよい(S32)。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
1 速度制御装置
2 アクセル開度センサ
3 車速センサ
4 情報取得装置
5 電子スロットル
6 ブレーキ装置
7 ROM
10 ECU(駆動力制限手段)
Vn 自車速度
VL リミッタ速度(制限速度)
VnL 速度差
2 アクセル開度センサ
3 車速センサ
4 情報取得装置
5 電子スロットル
6 ブレーキ装置
7 ROM
10 ECU(駆動力制限手段)
Vn 自車速度
VL リミッタ速度(制限速度)
VnL 速度差
Claims (5)
- 操作量に比例した駆動力を発生させる駆動力発生手段と、自車速度を制限速度以下に制限するため前記駆動力を制限する駆動力制限手段と、を備えた速度制限装置であって、
前記駆動力制限手段は、前記制限速度と前記自車速度との差が小さいほど前記駆動力の制限を大きくする、ことを特徴とする速度制限装置。 - 前記駆動力制限手段は、前記差が大きいほど当該差の減少に対する前記駆動力の制限を増大させる、ことを特徴とする請求項1に記載の速度制限装置。
- 前記駆動力制限手段は、前記制限速度を増大する変更があった場合に、変更前の制限を逓減させながら変更後の制限とする、ことを特徴とする請求項1または2に記載の速度制限装置。
- ドライバによる駆動力制限解除の意図を検出して駆動力制限の解除を行う解除手段と、駆動力制限を解除したときのリスクを評価するリスク評価手段と、前記リスクが所定基準以上であるときの駆動力制限の解除を抑制する解除抑制手段とを更に備えた、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の速度制限装置。
- 前記駆動力制限手段は前記制限速度を法定速度より小さい速度に設定して、駆動力制限を解除したときに、自車速度を前記制限速度よりも大きく前記法定速度以下である上限速度を超えないように前記駆動力を制限する、ことを特徴とする請求項4に記載の速度制限装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006158119A JP2007326429A (ja) | 2006-06-07 | 2006-06-07 | 速度制限装置 |
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- 2006-06-07 JP JP2006158119A patent/JP2007326429A/ja active Pending
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