JP2007322342A - ガス検知素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】貴金属触媒を用いることなく安価に製造できるガス検知素子及びその製造方法を得る。
【解決手段】陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2と、陽極酸化アルミナ2にその厚み方向に形成された複数の細孔3と、該細孔3の内周に付着された酸化錫(酸化物半導体)4と、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ形成され、酸化錫4と電気的に接続された端子電極5,6とで構成したガス検知素子。
【選択図】図2
【解決手段】陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2と、陽極酸化アルミナ2にその厚み方向に形成された複数の細孔3と、該細孔3の内周に付着された酸化錫(酸化物半導体)4と、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ形成され、酸化錫4と電気的に接続された端子電極5,6とで構成したガス検知素子。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガス検知素子、特に、水素ガスなどの可燃性ガスを検知するガス検知素子及びその製造方法に関する。
特許文献1には、ガスが触媒の表面で反応することにより発生する熱を、熱電変換素子を用いて電圧に変換し、ガスを検知するガス検知素子が記載されている。このガス検知素子は、熱電変換層上の一部に多孔質化した触媒担持層を有し、この触媒担持層の細孔にガス燃焼に必要な触媒を充填している。触媒担持層の一例として、アルミニウムを陽極酸化したアルミナを用いている。そして、触媒としてはPtなどの貴金属触媒を用いている。
しかしながら、特許文献1に記載のガス検知素子では、触媒としてPtなどの貴金属触媒を用いているため、ガス検知素子の製造コストが大きく上昇するといった問題点を有していた。
特開2005−98844号公報
そこで、本発明の第1の目的は、貴金属触媒を用いることなく安価に製造することができるガス検知素子及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、前記第1の目的を達成するとともに高い応答性を有するガス検知素子及びその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、第1の発明に係るガス検知素子は、陽極酸化により形成された陽極酸化膜と、該陽極酸化膜にその厚み方向に形成された複数の細孔と、該細孔の内周に付着された酸化物半導体と、陽極酸化膜の表裏面にそれぞれ形成され、酸化物半導体と電気的に接続された端子電極と、を備えたことを特徴とする。この場合、陽極酸化膜の厚みは100〜200μmであることが好ましい。
また、第2の発明に係るガス検知素子は、陽極酸化により形成された陽極酸化膜と、該陽極酸化膜にその厚み方向に形成された複数の細孔と、該細孔の内周に付着された酸化物半導体と、陽極酸化膜の表裏面にそれぞれ形成され、酸化物半導体と電気的に接続された端子電極と、陽極酸化膜の表裏面のいずれか一方の面に配置されるとともに、細孔が位置する穴が設けられ、陽極酸化膜を陽極酸化する前の材料で形成された支持部材と、を備えたことを特徴とする。
第2の発明に係るガス検知素子において、陽極酸化膜の厚みは第1の発明に係るガス検知素子の陽極酸化膜よりも100μm以下と薄くしても、支持基板又は支持部材によって機械的強度が補償されるため、30〜200μmの範囲とすることが可能である。
第1及び第2の発明に係るガス検知素子において、陽極酸化膜は例えばアルミナからなり、酸化物半導体は酸化錫又は酸化亜鉛であることが好ましい。細孔の径は3〜300nmであることが好ましい。
第1及び第2の発明に係るガス検知素子は、細孔の内周に酸化物半導体を付着したので、酸化物半導体の粒子を小さくしても、凝集が起こり難く、細孔を水素ガスが通過することにより、ガス検知素子による水素ガスなどの検知が長期に安定して行われる。
第3の発明に係るガス検知素子の製造方法は、アルミニウム板を準備する工程と、アルミニウム板に電極を取り付けて陽極とし、電気分解を行うことにより、アルミニウム板の一部を陽極酸化アルミナにする工程と、陽極酸化アルミナに形成された複数の細孔の内周に、酸化物半導体を付着させる工程と、陽極酸化アルミナに、酸化物半導体と電気的に接続された端子電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、細孔の内周に酸化物半導体を付着したので、高価な貴金属触媒を用いることなく高感度のガス検知素子を安価に製造することができる。そして、支持部材を設けることにより、陽極酸化膜の膜厚を薄くし、検知の応答性を高めることができる。
以下、本発明に係るガス検知素子及びその製造方法の実施例について添付図面を参照して説明する。
(実施例1、図1〜図4参照)
図1に実施例1であるガス検知素子1Aの外観を示し、図2にその断面を示す。このガス検知素子1Aは、陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2と、陽極酸化アルミナ2にその厚み方向に形成された複数の細孔3と、該細孔3の内周に付着された酸化錫(酸化物半導体)4と、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ形成され、酸化錫4と電気的に接続された端子電極5,6とで構成されている。
図1に実施例1であるガス検知素子1Aの外観を示し、図2にその断面を示す。このガス検知素子1Aは、陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2と、陽極酸化アルミナ2にその厚み方向に形成された複数の細孔3と、該細孔3の内周に付着された酸化錫(酸化物半導体)4と、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ形成され、酸化錫4と電気的に接続された端子電極5,6とで構成されている。
細孔3を有する陽極酸化アルミナ2は以下の方法で製作される。まず、純度が99.99%で厚みが500μmのアルミニウム板10を準備する。このアルミニウム板10を図3に示す装置20にセットする。この装置20はアルミニウム板10を支持する白金電極22、対向電極としての白金線23、電解液24を入れた反応容器21、電源25及び電流計26を備えている。
図4(A)に示すように、アルミニウム板10の一方の面に、白金電極22を取り付けて陽極とする。アルミニウム板10の白金電極22を取り付けた側をマスク28にてマスキングして、2℃に冷却した電解液(1モル%硫酸水溶液)24に浸漬し、印加電圧25Vで20時間通電する。図4(B)に示すように、電気分解の進行に伴い、アルミニウム板10の一部が陽極酸化アルミナ2になるとともに、該陽極酸化アルミナ2には厚み方向に細孔3が形成される。この細孔3はアルミニウム板10までは貫通せず、アルミニウム板10との界面には緻密なバリア層15が形成される。
こうして、30nmの径を有する細孔3が陽極酸化アルミナ2の全面にほぼ均一な分布で形成されるとともに、陽極酸化アルミナ2の厚みは150μm、アルミニウム板10の厚みは350μmとなる。この後、陽極酸化アルミナ2とアルミニウム板10を装置20から外し、9体積%臭素メタノール液に室温で4時間浸漬してアルミニウム板10を除去する(図4(C)参照)。
さらに、陽極酸化アルミナ2を5℃に冷却した1モル%硫酸水溶液中に24時間浸漬して、細孔3の底部に形成されたバリア層15を除去して細孔3を貫通させる(図4(D)参照)。こうして、細孔3が厚み方向に貫通した陽極酸化アルミナ2が形成される。なお、陽極酸化の電解液の種類、濃度、温度、印加電圧、電流密度を変えることで、細孔3の径や陽極酸化アルミナ2の厚みを制御することができる。
次に、陽極酸化アルミナ2を真空中に置き、これに酸化錫前駆体(例えば酸化錫ゾル、錫のアルコキシドなどの液体)溶液を滴下し、細孔3内に誘導して120℃で乾燥する。これを数回繰り返した後、500℃で熱処理する。これにより、細孔3の内周に酸化錫4が付着する。
さらに、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ、Alペーストを印刷して端子電極5,6を形成する。なお、Ag,Au又はカーボンペーストなどで端子電極5,6を形成してもよい。このとき、ペースト膜には細孔3のそれぞれの位置において孔(図示せず)が形成されるため、端子電極5,6は多孔質電極となり、酸化錫4と電気的に接続される。
こうして得られたガス検知素子1Aは、端子電極5,6を介して細孔3を水素ガスなどの可燃性ガスが通過することにより、検知が安定して行われる。そして、酸化錫4の粒子が小さく、比表面積が大きいため、PtやPdなどの高価な貴金属触媒を用いることなく高感度のガス検知素子1Aを安価に製造することができる。
さらに、酸化錫4が陽極酸化アルミナ2の細孔3の内壁に形成されているので、酸化錫4の粒子同士の接触が少ない。このため、酸化錫4粒子相互の凝集が起こり難く、長期安定性に優れている。
具体的に、陽極酸化アルミナ2の厚みや細孔3の径を種々変更してガス検知素子1Aを作製し、感度及び応答性の評価を行った。評価は、ガス検知素子1Aの動作温度である300〜400℃(例えば、300℃)の空気雰囲気中で、一定電流を流して電位差Vaを測定した。次に、0.5%水素を入れ、一定電流を流して電位差Vgを測定した。感度はVa/Vgで表される。応答性は、90%応答に要する時間を応答時間として評価した。長期安定性は、例えば、300℃で長時間保持した場合の安定性として評価した。
評価結果を表1に記載する。なお、比較のために、細孔3の径が400nmのもの(比較例1)、細孔3を形成していないアルミナ基板上に酸化錫前駆体溶液を塗布したもの(比較例2)、平均粒子径2μmの酸化錫粉末をターピネオールとエチルセルロースを用いてペースト化し、細孔3を形成していないアルミナ基板上に印刷塗布したもの(比較例3)を作製し、ガス検知特性を評価した。
表1に示すように、陽極酸化アルミナ2の細孔3の径が3〜300nmのときは、感度は25以上であり、比較例3の感度10に比べて高かった。これは酸化錫4の粒子径を小さくした効果である。
酸化錫4などの酸化物半導体は、空気中では表面に酸素が吸着し、自由電子が拘束されるため、表層に電子空乏層が形成される。この電子空乏層に可燃性ガスが吸着すると、酸素と反応して自由電子が開放される。即ち、空気中と比較して、可燃性ガス中では自由電子が増えるため抵抗が小さくなる。感度とは、前述のとおり空気中の抵抗とガス中の抵抗の比である。粒子径が小さいほど、電子空乏層の影響が大きくなり、感度が向上する。
ところで、酸化物半導体の粒子径を小さくすると、粒子同士が凝集しやすくなり、長期安定性に問題が生じる。本実施例1において酸化錫4の粒子径は100nm以下と小さいが、陽極酸化アルミナ2の壁で分離されているため、凝集が起こり難く長期安定性に優れている。
また、実施例1のガス検知素子1Aは300〜400℃(例えば、300℃)の高温雰囲気で長時間稼働させても、感度に変化がなかった。一方、比較例1及び比較例2のガス検知素子は、300〜400℃(例えば、300℃)の高温雰囲気で長時間稼働させると、感度が低下した。実施例1の感度が低下しなかったのは、細孔3内に形成された個々の酸化錫4が陽極酸化アルミナ2の壁で分離されているためである。細孔3の径が大きくなると、分離する壁が少なくなり、分離効果が低減する。細孔3の径が400nmの比較例1の長期安定性が悪かったのはこのためである。
(実施例2、図5及び図6参照)
図5に実施例2であるガス検知素子1Bの断面を示す。このガス検知素子1Bは、陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2と、陽極酸化アルミナ2にその厚み方向に形成された複数の細孔3と、該細孔3の内周に付着された酸化錫(酸化物半導体)4と、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ形成され、酸化錫4と電気的に接続された端子電極5,6と、穴10aを有する支持部材であるアルミニウム板10とで構成されている。
図5に実施例2であるガス検知素子1Bの断面を示す。このガス検知素子1Bは、陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2と、陽極酸化アルミナ2にその厚み方向に形成された複数の細孔3と、該細孔3の内周に付着された酸化錫(酸化物半導体)4と、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ形成され、酸化錫4と電気的に接続された端子電極5,6と、穴10aを有する支持部材であるアルミニウム板10とで構成されている。
細孔3を有する陽極酸化アルミナ2は以下の方法で製作される。まず、純度が99.99%で厚みが500μmのアルミニウム板10を準備する。このアルミニウム板10を図3に示す装置20にセットする。
図6(A)に示すように、アルミニウム板10の一方の面に、白金電極22を取り付けて陽極とする。アルミニウム板10の白金電極22を取り付けた側を、塩化ビニル、PET、ふっ素樹脂などの硫酸に対して劣化しない材質からなるマスク28にてマスキングして、2℃に冷却した電解液(1モル%硫酸水溶液)24に浸漬し、印加電圧25Vで7時間通電する。図6(B)に示すように、電気分解の進行に伴い、アルミニウム板10の一部が陽極酸化アルミナ2になるとともに、該陽極酸化アルミナ2には厚み方向に細孔3が形成される。この細孔3はアルミニウム板10までは貫通せず、アルミニウム板10との界面には緻密なバリア層15が形成される。
こうして、30nmの径を有する細孔3が陽極酸化アルミナ2の全面にほぼ均一な分布で形成されるとともに、陽極酸化アルミナ2の厚みは50μmとなる。なお、本実施例2の場合、支持部材として残されるアルミニウム板10によって機械的強度が補償されるため、陽極酸化アルミナ2の厚みは100μm以下と薄くしてもよく、例えば、30〜80μmが可能である。一方、100μm以上であってもよく、全体として30〜200μmの範囲とすることが可能である。
この後、陽極酸化アルミナ2とアルミニウム板10を装置20から外し、図6(C)に示すように、アルミニウム板10のうち、残したい部分を、ふっ素樹脂など、臭素メタノール液に対して劣化しない材質からなるマスク32にてマスキングして9体積%臭素メタノール液に室温で4時間浸漬してアルミニウム板10の一部を除去する。これにて、アルミニウム板10には穴10aが形成される(図6(D)参照)。
さらに、陽極酸化アルミナ2を5℃に冷却した1モル%硫酸水溶液中に24時間浸漬して、細孔3の底部に形成されたバリア層15を除去して細孔3を貫通させる(図6(E)参照)。こうして、細孔3が厚み方向に貫通した陽極酸化アルミナ2が形成される。
次に、陽極酸化アルミナ2を真空中に置き、これに酸化錫前駆体(例えば酸化錫ゾル、錫のアルコキシドなどの液体)溶液を滴下し、細孔3内に誘導して120℃で乾燥する。これを数回繰り返した後、500℃で熱処理する。これにより、細孔3の内周に酸化錫4が付着する。
さらに、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ、Alペーストを印刷して端子電極5,6を形成する(図6(F)参照)。なお、Ag,Au又はカーボンペーストなどで端子電極5,6を形成してもよい。このとき、ペースト膜には細孔3のそれぞれの位置において孔が形成されるため、端子電極5,6は多孔質電極となり、酸化錫4と電気的に接続される。
こうして得られたガス検知素子1Bは、前記ガス検知素子1Aと同様の作用効果を奏する。具体的に、ガス検知素子1Bを作製し、感度及び応答性の評価を行った。評価結果は前記表1に記載されている(実施例2参照)。表1に実施例2として示すように、感度は35であり、長期安定性も好ましいものであった。応答時間は10秒であり、実施例1の15〜25秒と比較して短縮した。これは陽極酸化アルミナ2の厚みが50μmと実施例1の100〜200μmと比較して薄く、ガスの吸着が速くなったためである。陽極酸化アルミナ2の厚みを薄くできたのは、残されたアルミニウム板10で陽極酸化アルミナ2を補強したからである。また、ガス検知素子1Bは、陽極酸化アルミナ2の面積を大きくとることができるとともに、陽極酸化アルミナ2の片面をマスキングする必要はなく、プロセス上有利である。
(実施例3、図7参照)
図7に実施例3であるガス検知素子1C(図7(F)参照)の製造工程を示す。このガス検知素子1Cは、前記実施例2と同様に、陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2を形成する前の材料であるアルミニウム板10の一部を残して陽極酸化アルミナ2の支持部材としたものである。
図7に実施例3であるガス検知素子1C(図7(F)参照)の製造工程を示す。このガス検知素子1Cは、前記実施例2と同様に、陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)2を形成する前の材料であるアルミニウム板10の一部を残して陽極酸化アルミナ2の支持部材としたものである。
製造は以下の工程によって行われる。まず、純度が99.99%で厚みが500μmのアルミニウム板10を準備する。このアルミニウム板10を図3に示す装置20にセットする。
図7(A)に示すように、アルミニウム板10の一方の面に、白金電極22を取り付けて陽極とする。アルミニウム板10の白金電極22を取り付けた面及びその反対面をマスク28,29にてマスキングし、2℃に冷却した電解液(1モル%硫酸水溶液)24に浸漬し、印加電圧25Vで20時間通電する。なお、マスク29では陽極酸化アルミナ2を形成する部分だけマスキングが解除されている。図7(B)に示すように、電気分解の進行に伴い、アルミニウム板10の一部が陽極酸化アルミナ2になるとともに、該陽極酸化アルミナ2には厚み方向に細孔3が形成される。この細孔3はアルミニウム板10までは貫通せず、アルミニウム板10との界面には緻密なバリア層15が形成される。
こうして、30nmの径を有する細孔3が陽極酸化アルミナ2の全面にほぼ均一な分布で形成されるとともに、陽極酸化アルミナ2の厚みは50μmとなる。この後、陽極酸化アルミナ2とアルミニウム板10を装置20から外し、マスク28,29及び白金電極22を陽極酸化アルミナ2とアルミニウム板10から取り外す。
さらに、図7(C)に示すように、陽極酸化アルミナ2が形成されたアルミニウム板10の表裏面をマスク31,32にてマスキングする。なお、マスク31では陽極酸化アルミナ2に対応する部分に対してマスキングが解除され、マスク32ではアルミニウム板10の穴10aとなる部分に対してマスキングが解除されている。
そして、マスク31,32でマスキングしたアルミニウム板10を、9体積%臭素メタノール液に室温で4時間浸漬し、図7(D)に示すように、アルミニウム板10のマスキングされていない部分に前記細孔3が位置する穴10aを形成し、マスク31,32を除去する。なお、マスク29をそのままマスク31として用いてもよい。その場合、ふっ素樹脂のように硫酸と臭素メタノール液の両方に劣化しない材質のものを用いることが好ましい。
さらに、陽極酸化アルミナ2を5℃に冷却した1モル%硫酸水溶液中に24時間浸漬して、細孔3の底部に形成されたバリア層15を除去して細孔3を貫通させる(図7(E)参照)。こうして、細孔3が厚み方向に貫通し、かつ、アルミニウム板10を支持部材とした陽極酸化アルミナ2が形成される。
次に、陽極酸化アルミナ2を真空中に置き、これに酸化錫前駆体(例えば酸化錫ゾル、錫のアルコキシドなどの液体)溶液を滴下し、細孔3内に誘導して120℃で乾燥する。これを数回繰り返した後、500℃で熱処理する。これにより、細孔3の内周に酸化錫4が付着する。
さらに、陽極酸化アルミナ2の表裏面にそれぞれ、Alペーストを印刷して端子電極5,6を形成する(図7(F)参照)。なお、Ag,Au又はカーボンペーストなどで端子電極5,6を形成してもよい。このとき、ペースト膜には細孔3のそれぞれの位置において孔が形成されるため、端子電極5,6は多孔質電極となり、酸化錫4と電気的に接続される。
こうして得られたガス検知素子1Cは、前記ガス検知素子1Bと同様の作用効果を奏する。また、陽極酸化アルミナ2がアルミニウム板10に覆われているため、より変形しにくい構造となっている。アルミニウム板10の部分を挟持して搬送することもでき、取り扱いが容易である。さらに、マザー基板から個々のガス検知素子1Cを切り出すときに、アルミニウム板10の部分で切断することができ、陽極酸化アルミナ2を傷付けることがない。
(他の実施例)
なお、本発明に係るガス検知素子及びその製造方法は、前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
なお、本発明に係るガス検知素子及びその製造方法は、前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
例えば、前記各実施例では、酸化物半導体として酸化錫を用いたが、必ずしもこれに限るものではなく、酸化亜鉛などのガス感応材であってもよい。また、前記各実施例では、端子電極として導電ペーストを印刷して形成しているが、スパッタ、真空蒸着、めっきなどで形成してもよい。また、各実施例で示した数値はあくまで例示である。
1A〜1C…ガス検知素子
2…陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)
3…細孔
4…酸化錫(酸化物半導体)
5,6…端子電極
10…アルミニウム板
10a…穴
2…陽極酸化アルミナ(陽極酸化膜)
3…細孔
4…酸化錫(酸化物半導体)
5,6…端子電極
10…アルミニウム板
10a…穴
Claims (8)
- 陽極酸化により形成された陽極酸化膜と、
前記陽極酸化膜にその厚み方向に形成された複数の細孔と、
前記細孔の内周に付着された酸化物半導体と、
前記陽極酸化膜の表裏面にそれぞれ形成され、前記酸化物半導体と電気的に接続された端子電極と、
を備えたことを特徴とするガス検知素子。 - 前記陽極酸化膜の厚みが100〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載のガス検知素子。
- 陽極酸化により形成された陽極酸化膜と、
前記陽極酸化膜にその厚み方向に形成された複数の細孔と、
前記細孔の内周に付着された酸化物半導体と、
前記陽極酸化膜の表裏面にそれぞれ形成され、前記酸化物半導体と電気的に接続された端子電極と、
前記陽極酸化膜の表裏面のいずれか一方の面に配置されるとともに、前記細孔が位置する穴が設けられ、陽極酸化膜を陽極酸化する前の材料で形成された支持部材と、
を備えたことを特徴とするガス検知素子。 - 前記陽極酸化膜の厚みが30〜200μmであることを特徴とする請求項3に記載のガス検知素子。
- 前記陽極酸化膜がアルミナからなり、前記酸化物半導体が酸化錫又は酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のガス検知素子。
- 前記細孔の径が3〜300nmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のガス検知素子。
- 前記細孔を水素ガスが通過することにより、水素ガスを検知することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のガス検知素子。
- アルミニウム板を準備する工程と、
前記アルミニウム板に電極を取り付けて陽極とし、電気分解を行うことにより、前記アルミニウム板の一部を陽極酸化アルミナにする工程と、
前記陽極酸化アルミナに形成された複数の細孔の内周に、酸化物半導体を付着させる工程と、
前記陽極酸化アルミナに、前記酸化物半導体と電気的に接続された端子電極を形成する工程と、
を備えたことを特徴とするガス検知素子の製造方法。
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