JP2005331268A - センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粒子状のセンシング部分では、空隙の大きさにより、応答速度に違いがあった。センサが小型になるにつれて、さらなる応答速度の速いセンサが求められていた。
【解決手段】 そこで、本発明は、酸化スズを主成分とする金属酸化物層を備え、前記金属酸化物層に吸脱着した物質を前記金属酸化物の抵抗値の変化により物質を検知するセンサであって、前記金属酸化物層がメソ細孔を有し、細孔壁に金属酸化物微結晶を含んだ多孔質薄膜からなり、かつ前記多孔質薄膜が、X線回折測定において1nm以上の構造周期性に対応する角度領域に少なくとも一つ以上の回折ピークを有するセンサを提供するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属酸化物半導体表面に吸脱着した物質を検知するセンサ、及びその製造方法に関する。本発明のセンサは、ガスを検知するガスセンサ、生体物質を検知するバイオセンサ等に好適に応用できる。
ガスセンサやバイオセンサに代表される物質の存在や濃度を検知するセンサには、種々の方式が提案されている。中でも、半導体式センサは、物質の吸脱着により、抵抗値が変化する金属酸化物半導体を利用して物質の有無を検出するセンサであり、広く用いられている。そして、酸化スズは、このような金属酸化物半導体材料のひとつとして知られており、例えば、ガス漏れ警報機に使用するガスセンサ用金属酸化物半導体として既に実用化されている。
現在まで、この半導体式センサの感度を増やすために様々な検討が行われている。非特許文献1には、酸化スズを金属酸化物半導体層に用いたガスセンサについての報告がある。ここでは、H2やCOに対するガス感度と酸化スズの結晶子径との関係が検討されており、結晶子径が10nm以下になると感度が急激に上昇するという記載がある。現在ではその臨界値は約6nmとされており、これは、表面空間電荷層の厚みの2倍、つまり結晶子全体が空間電荷層に呑み込まれる結晶子径であると理解されている。
また、酸化物半導体層の比表面積を大きくすることができれば、物質の脱吸着量も多くなり、感度が上がる。
よって、センサ感度を向上させるためには、結晶子径が小さく、且つ比表面積が大きな酸化物半導体を用いることが好ましいとされている。
このようなセンサとして、特許文献1には、比表面積が40m2/g以上で結晶子径が7.3nm以下のSnO2を用いたガスセンサが提案されている。特許文献1では、SnCl4水溶液をアンモニア水で加水分解し、得られた沈澱を濾過し水洗後に塩化アンモニウムの水溶液に含浸し、次いで再洗浄無しに600℃で焼成して得られたものを比表面積が60m2/g弱、結晶子径が7nm以下のSnO2とし、金属酸化物半導体層の構成材料として用いている。
特許文献1では、得られたSnO2を水と混合してペースト状にし、電極を取り付けたアルミナ管に塗布することでガスセンサを作製している。よって、SnO2は粒子状である。特許文献1は粒子を用いることで比表面積の増加をさせ、より効率的にガスを検知している。
DENKI KAGAKU58,No.12p1143(1990) 特開平8−178882
しかしながら、特許文献1では、SnO2は粒子状であるため粒子間の空隙の大きさ自体は制御されておらず不均一である。ガスの拡散速度は空隙の大きさによるため、空隙の大きさが異なると、ガスの拡散速度の違いにより、空隙のガス濃度が異なる状態になる。測定の初期では、このようなガス濃度が異なる状態が起きやすく、その結果、本来の検知対象物質の濃度に応じた抵抗値変化が定常状態になるまでに時間が必要になる。これは、さらなる高感度なセンサが求められた場合に、粒子状のものでは十分な応答速度が得られない場合が考えられる。
そこで、本発明は、酸化スズを主成分とする金属酸化物層を備え、前記金属酸化物層に吸脱着した物質を前記金属酸化物の抵抗値の変化により検知する物質を検出するセンサにおいて、前記金属酸化物層がメソ細孔を有し、細孔壁に金属酸化物微結晶を含んだ多孔質薄膜からなり、かつ前記多孔質薄膜が、X線回折測定において1nm以上の構造周期性に対応する角度領域に少なくとも一つ以上の回折ピークを有するセンサを提供するものである。さらには、窒素ガス吸着測定により求められた前記メソ細孔の径の分布は、単一の極大値を有し、且つ60%以上の細孔が極大値に対してプラスマイナス5ナノメートル以内の範囲に含まれていることが好ましい。尚、前記微結晶の結晶子径が6nm以下であるとよい。
また、本発明は、酸化スズを主成分とする金属酸化物層を備え、前記金属酸化物層に吸脱着した物質を前記金属酸化物の抵抗値の変化により検知するセンサの製造方法において、溶媒にスズ化合物と界面活性剤を溶解し反応溶液を作製する工程、前記反応溶液を基板上に塗布する工程、前記基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持し多孔質薄膜前駆体を作製する工程、前記前駆体から界面活性剤を除去して多孔質薄膜を作製し金属酸化物層とする工程、前記金属酸化物層と電極を接触させる工程とを有することを特徴とする。前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤が好ましく、エチレンオキサイド鎖を含んでいるとよい、さらには、前記界面活性剤はブロックコポリマーであることが好ましい。前記基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持し多孔質薄膜前駆体を作製する工程は、温度が100℃以下、相対湿度が40%以上100%以下で行われることが好ましい。
そこで、本発明は比表面積をさらに大きくし、感度を上昇させることにより、センサとしての応答速度を早くすることが可能になった。また、同じ体積での比表面積を大きくすることでき、センサの小型かも可能になる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(金属酸化物半導体式センサについて)
本発明における金属酸化物半導体式センサは、金属酸化物半導体層が、規則性を有したメソ領域の細孔構造と、細孔壁に酸化スズの微結晶を備えた薄膜状の酸化スズ多孔質体からなることを特徴とする。
図1は本発明によるセンサの一例を示す模式図であり、図2はその拡大断面図である。図2のように、本発明のセンサは、絶縁基板13上に櫛型に電極12が形成されており、前記電極上に多孔質体11が形成されている。但し、多孔質体に一対、もしくはそれ以上複数の電極が接合されていれば、電極形状、配置等はこれに限るものではない。例えば、図3のように多孔質体上に複数の電極が形成されている構成や、図4のような多孔質体の上下に電極が接続されている構成等も適用可能である。電極は図示しない電気回路に接続され、多孔質体の抵抗値の変化を測定することが出来る。また、検知対象物質の吸脱着反応を促進するために、基板にヒーターを設置してもよい。
本発明によるセンサはガスセンサ、バイオセンサ等として好適に用いられるが、金属酸化物層に吸脱着した物質を前記金属酸化物の抵抗値の変化によって検知するセンサであれば、これに限られるものではなく、その他イオンセンサ、湿度センサ、pHセンサ等にも好適に利用できる。
次に、本発明による多孔質体について説明する。
本発明における多孔質体の細孔径は、メソ細孔領域のものが好ましい。
メソ細孔とは、IUPACの分類に基づくもので、細孔径が2nmから50nmのものをいう。
これよりも径の大きいマクロポーラスの場合は、多孔質体全体の比表面積が減ってしまい、吸着量が減ってしまう可能性がある。一方、径の小さいミクロポーラスの場合には、検知対象物質の迅速な吸着が困難となる場合がある。特に、検知対象物質が生体物質である場合は、多くの生体物質のサイズがミクロポーラス領域の細孔径より大きくなってしまい、細孔内に吸着できなくなってしまう。
前記多孔質体は図5に示すように規則性を有したメソ領域の細孔構造を有する。図5には、二次元ヘキサゴナル構造のものが示されているが、細孔の配置はこれに限定されるものではない。例えば、この他に、キュービック構造、三次元ヘキサゴナル構造等のものを使用することが可能である。このような構造規則性の有無は、X線回折測定によって確認することができる。よって、本発明は、X線回折測定において、1nm以上の構造周期性に対応する角度領域に少なくとも一つ以上の回折ピークを有することが好ましい。
多孔質体中の細孔径分布の評価には、一般に窒素等のガスの吸着等温線を測定する方法が用いられ、得られた等温吸着線からBerret−Joyner−Halenda(BJH)の解析法等によって細孔径分布が計算される。本発明に用いられる多孔質体の細孔は、窒素ガス吸着測定からBJH法により求められた細孔径の分布が単一の極大値を有し、且つ60%以上の細孔が極大値に対してプラスマイナス5ナノメートル以内の範囲に含まれるものが好ましい。これ以上の細孔径分布を有する多孔質体を用いた場合には、より小さな細孔内部へ検知対象物質の拡散、浸透が円滑に行われないといった問題や、より大きな細孔内部では隙間となる無駄な領域が増えてしまうといった問題が生じる場合がある。
尚、細孔径は、後に説明する界面活性剤を適宜選択することで変化させることができる。細孔径を制御できるということは、以下のような利点を有している。ひとつは、測定雰囲気中に検知対象物質よりサイズの大きな非検知対象物質が存在している場合、細孔のサイズによって非検知対象物質と多孔質体との反応を制限することができる点である。もうひとつは、検知対象物質や前述の分子認識材料が生体物質、とくにタンパク質である場合は、その大きさにあわせて適宜細孔径を制御することで、タンパク質の安定担持にも寄与することができる点である。
多孔質体の細孔表面には検知対象物質と選択的に反応する分子認識材料が形成されていてもよい。例えば生体内には互いに親和性のある組み合わせとして、酵素−基質、抗原−抗体、DNA−DNA等がある。よって、生体物質を検知対象物質とする場合は、これらの組み合わせの一方を多孔質体細孔表面に分子認識材料として形成することで、もう一方の物質を選択的に計測することが可能となる。
多孔質体の構成材料には良好な半導体特性を示す金属酸化物が好適に使用されるが、本発明による多孔質体は、細孔壁に酸化スズ、特に、酸化スズ微結晶を含むことを特徴とする。前述のように酸化スズは結晶子径が10nm以下になると感度が急激に上昇すると言われており、現在ではその臨界値は約6nmとされている。よって、本発明においても、結晶子径が10nm以下、好ましくは6nm以下の微結晶を含む酸化スズ多孔質体が好ましく用いられる。
多孔質体の形状は連続薄膜であることが好ましい。多孔質体が粒子の集合体であると、前述のように、素子の利用効率が高くならない可能性や、センサとしての十分な応答速度が得られない可能性があるからである。
(金属酸化物半導体式センサの製造方法について)
本発明による、規則性を有したメソ領域の細孔構造と、細孔壁に微結晶を有した薄膜状の酸化スズ多孔質体を備えた金属酸化物半導体式センサの製造方法について説明する。
図6は本発明における酸化スズ多孔質体薄膜の製造方法を示す工程図である。図6において、工程Aは、スズ化合物、界面活性剤を溶媒に溶解させて反応溶液を調整する工程、工程Bは前記反応溶液を基板上に塗布する工程、工程Cは前記基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程、工程Dは界面活性剤を除去する工程を示す。
かかる工程A〜Cを経ることにより、前記基板上に界面活性剤の集合体からなり、後に細孔となる領域を有した膜状の多孔質体前駆体が形成される。このような構造体は、界面活性剤が自己集合することでミセルを形成して細孔の鋳型となり、さらにスズ化合物により細孔壁が形成されるために出来上がる。そして、工程Cにおける水蒸気雰囲気中への基板の保持を行うと、形成される多孔質体前駆体の細孔構造規則性は高くなると同時に、水蒸気により、塗布直後非晶質であった酸化スズの結晶化が誘起される。
さらに、工程Dを経ることで、界面活性剤は除去され、多孔質体が形成される。
以下、各工程について詳細に説明する。
(工程A:反応溶液の調整)
本工程では、スズ化合物、界面活性剤を溶媒に溶解させて反応溶液を調整する。
スズ化合物には、例えば塩化第一スズ、塩化第二スズ等のスズの塩化物やスズイソプロポキシド、スズエトキシド等スズのアルコキシドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
界面活性剤はミセルを形成し、細孔の鋳型となる。この界面活性剤には、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。特に、エチレンオキサイド鎖を含んでいる界面活性が好適である。このような界面活性剤としては、例えば<HO(CHCHO)20(CHCH(CH)O)70(CHCHO)20H>のようなトリブロックコポリマーがある。このようにエチレンオキサイド鎖の比較的長いブロックポリマーを用いると形成される多孔質体の細孔壁厚が増加する傾向があり、多孔質体の強度の観点から好ましい。
検知対象物質が小さく、より小さな細孔が必要な場合は、ポリオキシエチレン(10)ドデシルエーテル<C1225(CHCHO)10OH>、ポリオキシエチレン(10)テトラデシルエーテル<C1429(CHCHO)10OH>、ポリオキシエチレン(10)ヘキサデシルエーテル<C1633(CHCHO)10OH>、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル<C1837(CHCHO)10OH>等が使用可能であり、アルキル鎖長の減少とともに細孔径を減少させることが可能である。
溶媒には、メタノール、エタノール等のアルコールが適しているが、アルコール/水といった混合溶媒でも使用が可能で、液体であり前記スズ化合物と界面活性剤を溶解可能であればこれに限るものではない。
さらに、触媒として塩酸等の酸を適宜加えても良い。
(工程B:反応溶液の塗布)
本工程では工程Aで作製した反応溶液を基板上に塗布する。
前記基板は、反応溶液に対して安定なもの、即ち反応溶液と基板とが化学反応を起こさない、あるいは起こし難いものが好ましい。例示すると、ガラス、ガラス、セラミクス、樹脂、金属等が挙げられる。勿論、プラスチックなどのフレキシブルなフィルムを基板として用いることもできる。
尚、図1、図2に示したように、絶縁基板に電極が形成されているものを基板として用いれば、後に説明する工程B、Cを経る事で、電極と多孔質体との接続を容易に行うことが出来る。しかし、図3のように多孔質体形成後に多孔質体上に電極を形成することも可能であるため、基板は電極が形成されていない基板でも構わない。また、図4のように多孔質体の上下に電極を形成する場合は、基板そのものを電極材料で形成してもよい。
前記基板に簡便かつ短時間に塗布できる方法としてはキャスト法、ディップコート法、スピンコート法が有効である。また、他に大量生産性に優れているスプレーコート法等、基板上に反応溶液を塗布できる方法であればこれに限らない。
以上が反応溶液を塗布する工程Bであるが、前記工程Bの後、工程Cに移行する前に、基板上の反応溶液(特に溶媒)を一旦乾燥させるとよい。例えば、工程Bの後、25℃から50℃の範囲で、10%〜30%の湿度で溶媒を乾燥させる乾燥工程を経て、その後工程Cを行うとよい。
(工程C:水蒸気を含む雰囲気中への基板の保持)
次に、反応溶液を塗布した基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持し、多孔質体前駆体を形成する。
工程Cにおける水蒸気を含む雰囲気は、湿度40%以上100%以下であることが好ましく、温度は100℃以下であることが好ましい。但し、この範囲外の条件であっても、目的の多孔質体前駆体が形成できる範囲であれば用いる事が可能である。
この工程を経ることによって、多孔質体内のメソ細孔の均一性、つまり構造規則性を向上させることができる。また、工程Cの時間で酸化スズの結晶化の進行状況が変化するため、時間は目的の結晶度等により適宜決められる。
(工程D:界面活性剤を除去する工程)
界面活性剤を除去する方法には、一般的に様々な方法がある。焼成処理は簡便な方法であり、温度によって細孔壁の結晶化を促す効果がある。温度が高いと酸化スズの結晶化は進行するが、細孔構造が乱れる傾向があるため、最適温度は適宜設定する。基板等材料が高温にもたない場合は、超臨界流体による抽出、溶剤による抽出等を用いることも可能である。他にも、紫外光照射、オゾンによる酸化分解等様々な手法があるが多孔質構造を破壊しない方法であれば、いずれの方法も用いることが可能である。
以上、説明したように工程Aから工程Dを経ることで、規則性を有したメソ領域の細孔構造と、細孔壁に微結晶を備えた薄膜状の酸化スズ多孔質体を形成することができる。
そして、上記酸化スズ多孔質体に電極を接続し、電気回路とつなぐことで、センサを作製することができる。
例えば、図2のような構成で電極と多孔質体を接続する場合は、絶縁基板に先に電極を形成し基板として、その後上記工程A〜Dを行えば、多孔質体と電極を良好に接触させることができる。図3のような構成の場合は、まず基板上に多孔質体を形成し、その上に電極を形成すればよい。図4のような構成の場合は、基板上に電極を形成したあと、もしくは電極材料からなる基板を用いて基板上に多孔質体を形成し、その上にさらに電極を形成すればよい。つまり、電極を形成する工程は、多孔質体を形成する工程の前でも後でもその両方で行っても構わない。また、電極の形成には蒸着やスパッタリング、電着法等一般的な金属等電極形成方法を用いればよい。
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、材料、反応条件等は、同様な構造のセンサが得られる範囲で自由に変えることが可能である。
(実施例1)
本実施例は、電極が形成された基板上に酸化スズ多孔質薄膜を形成してガスセンサを作製し、Hガスの検知に用いた例である。
まず、石英基板上にPtのくし型電極が形成された基板を用意した。
次に、エタノール10gに無水塩化第二スズ2.9gを添加し、30分撹拌後、トリブロックコポリマーP123(BASF社製)<HO(CHCHO)20(CHCH(CH)O)70(CHCHO)20H>1.0gを溶解し、さらに30分間撹拌して反応溶液Aとした。
次に、基板のくし型電極部分に反応溶液Aをディップコート法で塗布した。
前記基板を環境試験機内に移動し、保持した。環境試験内は温度と相対湿度を次のように制御した。まず40℃20%RHで10時間乾燥し、その後、1時間かけて50℃90%RHにし、そのまま5時間、そして、1時間で再び40℃20%RHに戻した。
その後、前記基板を環境試験機から取り出し、マッフル炉に入れ、300℃まで昇温し、空気中で焼成した。
その結果、基板上には薄膜が形成されていた。
次に、前記薄膜の表面及び、断面に対してSEM観察を行ったところ、表面からはチューブ状の構造と、かつ欠陥部分が多数存在する様子が観察された。そして断面からは細孔がハニカム状に配列している様子が確認された。
X線回折分析(X‘Pert PRO、フィリップ社)を行ったところ、面間隔5nmに明確な回折ピークが観測され、2次元ヘキサゴナル構造に帰属される回折パターンが得られた。よって、規則性を有する構造であると言える。ただし、断面のSEM観察等から、実際は膜厚方向に縮んだヘキサゴナル構造であるといえる。
窒素ガス吸着測定(AUTOS=RB−1、エアサアイオニクス社)を行ったところ、細孔径は約5nmに極大値を持つ単一分散を示し、かつ分布曲線は1nm以上10nm以下の領域に入っていた。また、比表面積は約170m/gであった。よって、前記薄膜は、実質的に均一なメソ細孔を有し、比表面積の大きい多孔質薄膜であることが確認された。
次に、前記薄膜について斜入射X線回折分析を行ったところ、Cassiteriteに帰属される明確なピークが確認された。つまり、メソ細孔を有したまま、細孔壁内で微結晶が成長したと言える。さらに、2θ=45°〜58°の領域におけるピークの半値幅B(rad)、及びピーク位置2θより、以下のシェラー式から平均結晶子径Lを求めたところ、2.7nmであった。
L=0.9λ/Bcosθ
以上、電極基板上に、規則性を有したメソ領域の細孔構造と、細孔壁に微結晶を備えた薄膜状の酸化スズ多孔質体が形成できることを確認した。
さらに、この酸化スズ多孔質薄膜が形成された電極基板を電気回路と接続し、ガスセンサを作製した。
次に、本実施例におよるガスセンサと従来型のセンサの、Hガスに対するセンサ特性を測定した。尚、従来型センサは、一般的に用いられているガスセンサと同様に600℃〜800℃で焼成した酸化スズ焼結体を用いて作製した。また、従来型センサの酸化スズ層の見かけ上の面積は、本実施例によるセンサの酸化スズ層の面積と同じにした。
測定はフロー系で行った。まず、合成空気(窒素80、酸素20%)を流しながらセンサの電極間に直流電圧を印加し、電流値を計測した。その後、上記合成空気に2%のHガスを加えて流した。図7はこのときの経過時間に対する電流値の変化を示したものである。その結果、本実施例による酸化スズ多孔質薄膜を有するガスセンサは従来型のガスセンサよりも、Hガス添加前後での電流の変化量が大きかった。
以上の結果から、本実施例では、細孔壁に微結晶を含む酸化スズ多孔質薄膜からなる金属酸化物層を用いることで、高感度な検出が行える金属酸化物半導体式ガスセンサの作製が可能となることが確認された。
(実施例2)
本実施例は、電極が形成された基板上に酸化スズ多孔質薄膜を形成し、さらに酸化スズ多孔質薄膜に分子認識材料としてビオチンを固定化し、アビジンを検出するバイオセンサを作製した例である。
ビオチンはアビジンと特異的に結合する補酵素であり、この強い結合を利用して多くの物質や構造を標識することが可能であり、有用な分子認識材料である。
まず、実施例1と同様に電極が形成された基板を用意した。
次に、エタノール10gに無水塩化第二スズ2.9gを添加し、30分撹拌後、トリブロックコポリマーF127(BASF社製<HO(CHCHO)106(CHCH(CH)O)70(CHCHO)106H>1.0gを溶解し、さらに30分間撹拌して反応溶液Bとした。
次に、基板の電極上に反応溶液Bをスピンコート法で塗布した。尚、電気回路と接続する電極部分等、多孔質薄膜が不要な領域は、ポリイミドテープによりマスキングして、反応溶液を塗布した。
前記基板を環境試験機内に移動し、保持した。環境試験内は温度と相対湿度を次のように制御した。まず40℃20%RHで10時間乾燥し、その後、1時間かけて50℃90%RHにし、そのまま5時間、そして、1時間で再び40℃20%RHに戻した。
その後、前記基板を環境試験機から取り出し、マッフル炉に入れ、300℃まで昇温し、空気中で焼成した。
その結果、基板上には薄膜が形成されていた。
次に、前記薄膜の表面及び、断面に対してSEM観察を行ったところ、表面、及び断面からは球状の細孔と欠陥部分が多数存在する様子が観察された。
次に、前記薄膜について斜入射X線回折分析を行ったところ、実施例1と同様に、Cassiteriteに帰属される明確なピークが確認された。つまり、メソ細孔を有したまま、細孔壁内で微結晶が成長したと言える。また、平均結晶子径Lを求めたところ、2.8nmであった。
以上、電極基板上に、規則性を有したメソ領域の細孔構造と、細孔壁に微結晶を備えた薄膜状の酸化スズ多孔質体が形成できることを確認した。
次に、作製した酸化スズ多孔質薄膜を、ビオチンシランを溶解したエタノール溶液に浸漬し、分子認識材料としてビオチンを固定化した。金属酸化物へのビオチンシランの固定方法は、特開平7−260790号公報に開示されおり、本発明の酸化スズ多孔質薄膜に対しても適用可能である。
さらに、前記酸化スズ多孔質薄膜が形成された電極基板を電気回路と接続し、バイオセンサを作製した。
次に、本実施例によるバイオセンサと従来型のセンサの、アビジンに対するセンサ特性を測定した。尚、従来型センサは、実施例1と同様に、600℃〜800℃で焼成した酸化スズ焼結体を用い、同様のビオチン固定化処理を行って作製した。従来型センサの酸化スズ層の見かけ上の面積は本実施例によるセンサの見かけ上の面積と同じにした。
測定は溶液中で行った。まず、センサをリン酸緩衝液(pH7.4)中に浸漬し、センサの電極間に直流電圧を印加し、電流値を計測した。その後、溶液中にアビジン溶液を注入した。このときの経過時間に対する電流値の変化を測定した。その結果、実施例1と同様に本実施例による酸化スズ多孔質薄膜を有するバイオセンサは、従来型センサよりも、アビジン添加前後での電流の変化量が大きかった。
以上の結果から、本実施例では、細孔壁に微結晶を含む酸化スズ多孔質薄膜からなる金属酸化物層を用いることで、高感度な検出が行える金属酸化物半導体式バイオセンサの作製が可能となることが確認された。
本発明によるセンサ構造の一例を示す模式図である。 本発明によるセンサの断面構造の一例を示す模式図である。 本発明によるセンサ構造の一例を示す模式図である。 本発明によるセンサ構造の一例を示す模式図である。 本発明による多孔質体の細孔構造の一例を示す模式図である。 本発明による多孔質体の製造工程を示す図である。 実施例1における測定結果を示す模式図である。
符号の説明
11 多孔質体
12 電極
13 絶縁基板
21 多孔質体
22 電極
23 絶縁基板
31 多孔質体
32 電極
33 絶縁基板
41 多孔質体
42 電極
43 絶縁基板
51 多孔質体
52 細孔
53 細孔壁

Claims (9)

  1. 酸化スズを主成分とする金属酸化物層を備え、前記金属酸化物層に吸脱着した物質を前記金属酸化物の抵抗値の変化により物質を検知するセンサであって、
    前記金属酸化物層がメソ細孔を有し、細孔壁に金属酸化物微結晶を含んだ多孔質薄膜からなり、かつ前記多孔質薄膜が、X線回折測定において1nm以上の構造周期性に対応する角度領域に少なくとも一つ以上の回折ピークを有することを特徴とするセンサ。
  2. 窒素ガス吸着測定により求められた前記メソ細孔の径の分布が、単一の極大値を有し、且つ60%以上の細孔が極大値に対してプラスマイナス5ナノメートル以内の範囲に含まれることを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記微結晶の平均結晶子径が6nm以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のセンサ。
  4. 酸化スズを主成分とする金属酸化物層を備え、前記金属酸化物層に吸脱着した物質を前記金属酸化物の抵抗値の変化により物質を検知するセンサの製造方法であって、
    溶媒にスズ化合物と界面活性剤を溶解し反応溶液を用意する工程と、
    前記反応溶液を基板上に塗布する工程と、
    前記基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持し多孔質薄膜前駆体を作製する工程と、
    前記前駆体から界面活性剤を除去して多孔質薄膜を作製し金属酸化物層とする工程と、
    前記金属酸化物層と電極を接触させる工程とを有することを特徴とするセンサの製造方法。
  5. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載のセンサの製造方法。
  6. 前記界面活性剤がエチレンオキサイド鎖を含んでいることを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のセンサの製造方法。
  7. 前記界面活性剤がブロックコポリマーであることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のセンサの製造方法。
  8. 前記基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持し多孔質薄膜前駆体を作製する工程が、温度100℃以下で行われることを特徴とする請求項4又は7のいずれかに記載のセンサの製造方法。
  9. 前記基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持し多孔質薄膜前駆体を作製する工程が、相対湿度40%以上100%以下で行われることを特徴とする請求項4又は8のいずれかのに記載のセンサの製造方法。
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